阿良々木「忍野が怪談を解決して行く?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/30(金) 05:17:36.51 ID:kXRWmwK70
※ちょっぴりホラーです

忍野「あぁ、と言うか解決するのは二の次で、本当の所は蒐集がメインなんだけれどね」

阿良々木「うーん、そう言われてもな。知っての通り、僕は交友関係が広い方じゃないから、そういう都市伝説みたいな話を耳にする事自体少ないんだよな」

忍野「まぁまぁ、そう難しく考えなくても、阿良々木君が昔体験した不思議話でも良いんだ。語るのは得意だろう?何か試しに語ってみてくれよ」

阿良々木「……まぁ、そう言うなら。まだ上の妹が小学生の頃の話なんだけれど」

阿良々木「当時はまだ、妹の道場通いに親がついて行ってたんだ。ただ、その日は仕事か何かで行けないから、代わりに僕が送迎係だった____」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:19:05.15 ID:kXRWmwK70
火憐「なぁなぁ、兄ちゃん!多分そろそろ私、兄ちゃんと喧嘩しても勝てると思うんだ!」

阿良々木「そう言うことは身長で勝ってから言え」

火憐「え?何言ってんだ?もう私のが高いだろ?」

阿良々木「そんな訳あるか!僕はもう中学生だぞ!小学生の妹なんかに…」

火憐「ほれ」

阿良々木「目線が…僅かに上にあるッ!?」

火憐「や〜い、兄ちゃんのチービ!」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:20:07.41 ID:kXRWmwK70
阿良々木「くっ…そんな馬鹿な…!いや、だがまだだ!女子は男子より成長期が早いだけだ!」

火憐「うーん、でも私、将来的には180くらいまで伸びそうな気がするなー」

阿良々木「それは、それだけはないと断言しておこう。両親でさえ180はいっていないんだ」

火憐「いやぁ、でもさ、もうなんてーの?頭の中ではっきりイメージできるんだよねー。20p以上低い兄ちゃんを見下ろす将来が」

阿良々木「何故僕の将来が170未満という前提なんだ!」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:21:17.89 ID:kXRWmwK70
忍野「ちょっとストップ」

阿良々木「うん?なんだ、まだ不思議な所は出てきてないと思うけれど」

忍野「うん、そうだね。不思議なくらい不思議までが遠いよ。この流れは今回の怪談に繋がるのかな?」

阿良々木「いや、この強さ談義があったせいで、僕たちはこの後、肝試しで肝っ玉の強さを比べようと言う話になるんだ」

忍野「強さ談義と言うか、阿良々木君の身長コンプレックスの発端を垣間見ただけの気がするけど…まぁいいや、続けてよ」

阿良々木「まぁ、当然その後の肝試しで不思議に出会うんだ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:23:00.93 ID:kXRWmwK70
火憐「おぉ!ちょうどいい所に市民の森だぜ!」

阿良々木「ちょうどいいって、何にちょうどいいんだ?」

火憐「黄昏時の、薄暗い森なんて、やる事は一つしかないだろ?」

阿良々木「妙にワクワクしてる所悪いが、僕は嫌な予感しかしないぞ」

火憐「それに、肝試しには持ってこいの噂もあるし!」

阿良々木「…噂?」

火憐「この森に1人で入ると、烏に連れ去られるとか、異世界に飛んで帰って来られないとか…」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:24:12.93 ID:kXRWmwK70
阿良々木「ふーん、じゃあ、行ってらしゃい」

火憐「えぇ!?兄ちゃんは行かねーのかよ?」

阿良々木「いや、だってその噂が本当なら、2人で入ったって意味ないじゃん」

火憐「はっ!そ、そうか!解ったぜ兄ちゃん!不肖、この阿良々木火憐がこの森の安全性を確認するまで待っていてくれ!」

阿良々木「…安全確認されちゃったら、僕の肝試しにならないけどな」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:26:00.56 ID:kXRWmwK70
阿良々木「結局、その後1人ずつ入って無事に出てきたんだ」

忍野「うん?それはつまり、その森の噂が怪談だったって事で良いのかな?阿良々木君の語りにしちゃあ、随分とオチの弱い話だね」

阿良々木「そもそも僕は漫談家じゃないからな。と言うか、そうじゃなくて。この話には続きがあるんだよ」

忍野「肝試しでは何も起こらなかったのに?」

阿良々木「いや、確かに無事に出て来る事は出来たけど、何も起きなかった訳じゃ無いんだ」

阿良々木「出てきた後、『何だよこの森!本気で怖いじゃん!倒れた地蔵とかあるし!』って火憐ちゃんに文句を言ったんだ」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:27:26.37 ID:kXRWmwK70
忍野「火憐ちゃん…あぁ、大きい方の妹さんか」

阿良々木「……そしたらその大きい方の妹が『何言ってるんだ、兄ちゃん?地蔵なんて何処にもなかったぞ』と僕を見下ろしながら、物理的にも精神的にも見下ろしながら言ったんだ」

忍野「倒れた地蔵ねぇ…それは何とも怪談向きの話だね」

阿良々木「あぁ、ただ、決して一本道だった訳じゃないから、途中で違う道を通ったんだろう、と言うことでその時は納得したんだよ」

忍野「それで無くとも、夕暮れ時の薄暗い森の中なんて、見落としや見間違いの可能性はあるしね」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:28:49.45 ID:kXRWmwK70
阿良々木「でも、問題はここからなんだ。当時、既にファイヤーシスターズの前身的な活動をしていた妹達が、その地蔵の目撃情報が多数ある事を教えてくれたんだ」

忍野「それは、全員が目撃しているのかい?」

阿良々木「いや、ほとんど半々だって言ってたっけな。兎に角、見た人と見ていない人とが居たんだよ」

忍野「まぁ、半々だと言うなら、阿良々木君がさっき言ったように、ルートの違いなのかもね」

阿良々木「そう思って、僕も後日見に行って見たんだ。色々あったから、数ヶ月経っちゃってたけど。全部のルートを虱潰しに」

忍野「それで、地蔵は見つかったのかい?」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:30:21.15 ID:kXRWmwK70
阿良々木「いや、無かったんだ。それ以降、時折妹達の情報網を使って調べてもらっても、目撃情報はなかった」

忍野「はっはー。中々に興味深い話だったけれど、恐らく今回のケースに超常的な事は絡んでいないね。ま、話を聞いただけじゃ断定までは出来ないけど」

阿良々木「超常的な事は絡んでいない?全部物理現象としてあり得るって事か?」

忍野「勿論、全部がそうかは判らない。ただ、神出鬼没の地蔵については、そうだね。ほぼ100%間違いないと思うよ」

阿良々木「?地蔵以外に不思議な話があったか?」

忍野「何だい、阿良々木君。自分が語った内容も忘れてしまったのかな」

阿良々木「おい忍野、勿体ぶらずに教えてくれよ」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:32:02.63 ID:kXRWmwK70
忍野「じゃあそうだね、まず地蔵の話をしよう。そこら辺にゴロゴロしているお地蔵様、どうして作られるんだろうね?」

阿良々木「え?そりゃ…それぞれ何かしらの由来なり霊験なりあるんじゃないのか?」

忍野「その通りだ。お地蔵様って一括りに言っても、様々な役割がある。珍しいモノだと、子宝地蔵なんてものもあるらしいよ。幼い頃、何も解らずに拝んでたもんだ」

阿良々木「どうでもいいけど、それが今回の話と関係あるのか?」

忍野「さっきの意趣返しかい?元気が良いねぇ、何か____」

阿良々木「それはもう聞き飽きた」

忍野「君は語るのは好きだけど傾聴するのは好きじゃないみたいだね。そんなんじゃ、大人になったら苦労するよ?」

阿良々木「それはお前の喋り方が回りくどいだけだ!」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:34:12.31 ID:kXRWmwK70
忍野「ま、いいや。それで、地蔵の話だけど、古くからあるものは、その場所の伝承を反映していたり、霊的に重要な場所を守ってたり、ってのもある」

忍野「けれど、新しく作られる場合、それは殆どが同じ理由なんだ」

阿良々木「新しく作られる場合…?」

忍野「事故の多発地域に置かれたりする。勿論、人々の恐怖を煽って速度を落とさせるとか、そう言った狙いもあるだろうけど」

忍野「どうなんだろうね、事故で身内を無くしたご遺族なんかは、どんな気持ちでそれを拝むのかな」

阿良々木「…供養の意味もあるのか」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:35:24.24 ID:kXRWmwK70
忍野「そして、今回のケース。さして深い森でもないし、聞いている限りでは車が出入りするような場所ではないんだろう?」

阿良々木「あぁ、市民の森って言うくらいだから、公園施設も兼ねてるんだ。だから、バイクでさえ入れないよ」

忍野「となると、事故が多発する場所とは考えにくい。つまり、役所や警察が、防止策として置いた地蔵ではなかった訳だ」

阿良々木「じゃあ、あれは…」

忍野「うん、ここまで言えば大体解るかな。遺族が置いた、供養のための地蔵だったんだろう」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:36:17.78 ID:kXRWmwK70
阿良々木「でも待てよ忍野、見えたり見えなかったりするのは、怪異現象じゃないんだろ?」

忍野「それについては、阿良々木君の予想通り、ルートの違いだろう」

阿良々木「じゃあ、唐突に消えた理由は?」

忍野「それは本当にその場からなくなったんだよ。勿論、地蔵が勝手にいなくなった訳じゃない。公的に、排除されたんだ」

阿良々木「…倒れていたから?」

忍野「この場合、それは関係ないだろうね。いや、あるのかな。倒れていたから誰かが役場に連絡したのかも知れない」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:37:37.00 ID:kXRWmwK70
忍野「兎に角、阿良々木君が地蔵を目撃した前後で、役場は地蔵の存在を知ったんだろう。公的な場に、私的に作られた地蔵を」

阿良々木「それで…役所が撤去したって事か?」

忍野「勿論、急にでは無かったはずだよ。阿良々木君がもう1ヶ月早く確認に行っていれば、撤去通知が貼られた地蔵に出会ったかもね」

阿良々木「成る程…。ん?ちょっと待てよ?確か最初に、全部が怪異と関係ないかどうか判らないって言ってなかったか?今の話だと、怪異の絡みようがない気がするんだけれど」

忍野「おいおい、君はちゃんと話を聴いていたのかい?聞くだけじゃ聴いた事にはならないんだぜ」

阿良々木「でも全部人為的な事で説明がついたような…」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 05:38:59.69 ID:kXRWmwK70
忍野「最初の噂と、そこにあった地蔵。これらから考えられる事はなんだと思う?」

阿良々木「最初の噂?」

忍野「全く、君は解説者泣かせだねぇ。勿論いい意味でだけど。これだけ鈍いと解説のし甲斐があって嬉し泣きしそうだよ」

忍野「そもそも阿良々木君が、その場所で肝試しをしようとしたのは何故だい」

阿良々木「あっ…」

忍野「『1人で入ると二度と出られない』と言う曰く付きの森だったんだろう?」

阿良々木「つまり、現実に行方不明者が出ているって事か?」

忍野「どうだろうね。地蔵を建てられている所を見ると、亡くなっていたのかもしれない」
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