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千早「賽は、投げられた」
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586 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 21:44:23.37 ID:9+Zy6u7A0
すみません、
>>585
はミスです。
無視してください。
587 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 21:45:13.83 ID:9+Zy6u7A0
「嫌だよぉ!!!」
588 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 21:45:46.35 ID:9+Zy6u7A0
千早ちゃんはね。
「……だって、千早ちゃん……指切り、したもん……」
私の全てなんだよ。
千早ちゃんが前に進むことはね。
「絶対に、前に進むことをやめないで……ってぇ……」
私が生きた証なんだよ。
589 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 21:47:41.32 ID:9+Zy6u7A0
私の夢。
私の想い。
押しつけがましくてごめんね。
傲慢でごめんね。
それでも、どうか。
どうか、私の全てを。
肯定して欲しいんだ。
千早ちゃん。
他でもない、あなたに。
590 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 21:48:21.71 ID:9+Zy6u7A0
「今度新曲を出す時は、明るい歌を歌ってほしいな」
体が震える。
やっぱり、怖いよ。
消えてしまうことがじゃない。
千早ちゃんと、一緒にいられなくなることが。
立ち直るところを、見届けられないのが。
それが、たまらなく怖いんだよ。
591 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 21:48:54.09 ID:9+Zy6u7A0
「だって……友達が寂しそうに歌ってるのなんて、見たくないよ」
「とも、だち……?」
「うん。大切な大切な、友達」
そうだよ、千早ちゃん。
私は、そう思ってるよ。
笑顔が素敵な千早ちゃん。
意外とすぐ拗ねる千早ちゃん。
ムキになる千早ちゃん。
笑い上戸な千早ちゃん。
全部全部、大好き。
大好きな、千早ちゃん。
592 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 21:50:21.52 ID:9+Zy6u7A0
でも、こんなお話ももう限界。
「千早ちゃん。さっき頼んだこと……できれば、お願いね」
そして、神様。
「ばいばい、千早ちゃん」
もし、神様がいるのなら。
願わくば、どうか、千早ちゃんを――。
593 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 21:51:10.18 ID:9+Zy6u7A0
そして私の世界は、独りになった。
594 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:01:41.25 ID:9+Zy6u7A0
すぐ近くに、泉があった。
覗くと、千早ちゃんの姿。
「千早ちゃん!」
名前を呼んだ。
でも、返事はない。
「千早ちゃん……」
その姿は、別れ際の時のまま。
傷つき、感情を失くした、悲しい姿だった。
595 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:04:50.10 ID:9+Zy6u7A0
私は見ていることしかできない。
みんなの辛そうな表情。
周りを突き放す千早ちゃん。
私に話しかける千早ちゃん。
私は見ていることしかできない。
千早ちゃんが自分自身に追いつめられ、苦しむ姿。
千早ちゃん、私はここにいるよ。
千早ちゃん、私はそばにいるよ。
距離はとても離れているかもしれないけれど。
私はいつも、あなたの隣にいるんだよ。
そんな心の叫びも、今の千早ちゃんには届かない。
596 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:07:15.55 ID:9+Zy6u7A0
独りぼっちの世界。
他に誰もいない。
何もない。
ただ、私が在るだけ。
きっとあの病院のベッドで眠り続けている限り。
私は、このままなのかな。
寂しいなぁ。
寂しいよ、千早ちゃん。
597 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:12:59.06 ID:9+Zy6u7A0
私は独りぼっち。
千早ちゃんと離れて、初めての独りぼっち。
前は家族がいた。
友達がいた。
お兄さんがいた。
いつも隣には、千早ちゃんがいた。
その千早ちゃんが、隣にいない。
ずっとずっと、このまま独りなのかな。
これが私の、いるべき場所。
運命、だったのかな。
598 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:14:02.21 ID:9+Zy6u7A0
――どれくらい時間が経っただろう。
独りきりで、座り込んで。
泉の中の千早ちゃんを見つめて。
ふと、どこからか、光が見えた。
カラフルな、千早ちゃんを導いてきた光。
それらが私の前で、手招きをしてる。
「今更どうしたのかな……」
光は見える。
見えるというか、感じる。
泉の中から。
「こっち……?」
ふらふらと、誘われるように泉に手を差し入れる。
暖かい光が、私を引っ張ってくれた。
599 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:44:54.90 ID:9+Zy6u7A0
すぐ隣に、千早ちゃんがいた。
雨に濡れそぼって、ノートを抱えて。
「千早ちゃん!」
私は必死に呼んだ。
けれども、その声は届かない。
代わりに見えるのは、怯えの瞳。
何度声をかけても。
何度その肩に触れようとしても。
千早ちゃんは、怯えた声をあげて逃げてゆく。
待って!
待ってよ千早ちゃん!
私はここにいるよ!
千早ちゃん!
600 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:45:27.76 ID:9+Zy6u7A0
千早ちゃんは、雨と涙に濡れて。
私は逃げ込む千早ちゃんと共に、部屋へと入った。
無機質な、でもところどころにみんなの思い出が詰まった。
千早ちゃんの、大切な部屋。
千早ちゃんが最後に逃げ込める、大切な部屋。
そんな玄関先で。
びしょ濡れの千早ちゃんが、座り込んでいた。
私のノートを、握りしめて。
私も、その隣に座りこんだ。
微かに伝わる体温が、暖かい。
神様がお願いを聞いてくれたのかな。
601 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:46:07.52 ID:9+Zy6u7A0
千早ちゃん、そのノート、読んでくれないかな。
私の想いを込めた、その夢のノートを。
千早ちゃんの指は動かない。
ノートを開こうとしているのに、何かに怯えているようで。
大丈夫だよ、千早ちゃん。
透き通った私の手が、千早ちゃんの手と重なる。
ゆっくりと、ノートのページをめくる。
暖かい。
千早ちゃん、あなたはこんなにも、暖かい人なんだよ。
602 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:46:43.78 ID:9+Zy6u7A0
一枚、一枚とページをめくる。
読み上げる千早ちゃんの声が、徐々に震えていく。
最後のページ。
私が、書ききることが出来なかった、白いページ。
そこにある、微かな跡を見て。
千早ちゃんの嗚咽が漏れた。
そうなんだよ、千早ちゃん。
本当はね。
本当に、私が思い描いた夢は、ね――。
603 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:48:05.92 ID:9+Zy6u7A0
読み終えた千早ちゃんは、泣きじゃくっていた。
そっか。
やっと私の想い、届いたんだね。
なんだかなあ……私、口下手だから。
もっと早く伝えてあげられたら、良かったのかな。
そしたら、こんなに苦しむこともなかったのかな。
ごめんね、千早ちゃん。
604 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:49:40.91 ID:9+Zy6u7A0
部屋の外に、光が見えた。
私を引っ張ってくれた、たくさんの、導きの光。
ほら、千早ちゃん。
みんなが待ってるよ。
私の身体と、千早ちゃんの身体が重なる。
あなたが独りで歩けないなら、私が手伝ってあげるよ。
さあ、立ち上がって。
605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:50:10.22 ID:9+Zy6u7A0
行こう、千早ちゃん。
「うん、何も言わなくていい。さ、行ってあげなさい」
社長の言葉を背に。
行こう、千早ちゃん。
みんなのところへ。
606 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:54:43.87 ID:9+Zy6u7A0
二人の力で、マンションの階段を駆け下りる。
もうここまでくれば、大丈夫だよね。
ありがとう、神様。
私の最後の願いを聞いてくれて。
みんなに駆け寄って。
囲まれて、涙が溢れる千早ちゃんは。
きっともう、私がいなくても大丈夫で。
あの日、私が夢見た千早ちゃんの姿でもあって。
607 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:55:28.64 ID:9+Zy6u7A0
みんなから代わる代わる声をかけられてるのに。
えへへ、千早ちゃん、まともに返事できてないじゃない。
そんな時はね、千早ちゃん。
一言でいいんだよ。
最後の最後に。
意地っ張りで恥ずかしがり屋な千早ちゃんに。
一言だけ。
ねえ、千早ちゃん。
みんな、その言葉を待ってるよ。
608 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:56:05.98 ID:9+Zy6u7A0
「ただ、いまぁっ……!」
頑張ったね。
よく言えたね。
よく、言ってくれたね。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら言う千早ちゃんを見て。
もう大丈夫だね。
また、立ち上がれるよね。
千早ちゃん。
千早ちゃんには、みんながいるよ。
だからね。
ゆーびーきーりげーんまーん……。
約束、だからね――。
609 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/06/08(土) 22:56:47.13 ID:9+Zy6u7A0
そして私は。
暗闇へ溶けていく。
610 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/07/17(水) 23:52:11.89 ID:DmRi+1R2o
すみません、まだ続きをかける状況にありません。
お待ちいただけますと幸いです。
611 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/09/20(金) 05:20:27.12 ID:kH4hQ1Vwo
近々投下しますので、しばらくお待ちください。
612 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/27(水) 10:06:58.26 ID:lNzQ8jTRO
すみません、仕事が立て込んで投下できていませんでした
今しばらくお待ちください
613 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/29(金) 22:32:43.91 ID:rKyy5NZUO
待ってる。
614 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:41:43.51 ID:HC/e3twa0
私の世界が暗闇に染まりきる直前。
どこからか、歌声が聞こえた。
気が、しました。
615 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:42:30.10 ID:HC/e3twa0
――――――――――
――――――――
――――――
――――
616 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:43:15.16 ID:HC/e3twa0
スポットライトに照らされて。
私が声を張り上げようとした瞬間。
白昼夢をみた。
そこは、いつもの夢の部屋で。
何もなく殺風景だけれど、光で満ちた私の部屋。
そして、ガラス張りの壁の向こうには。
煙か墨が淀んでいくように。
徐々に徐々に、暗く染まっていくもう一つの部屋。
617 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:43:47.62 ID:HC/e3twa0
私は拳を握りしめた。
この向こうで、あの子は一人きりで。
それはまるで、いつかの私で。
ああ。
あのときは、あの子が私を救い出してくれたんだった。
手を引っ張って、私をどん底からすくい上げてくれたんだった。
もう一度、私は拳を握りしめる。
拳の中には、六面体のキューブ。
固い。
これならば、きっと。
618 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:44:13.99 ID:HC/e3twa0
私は握りしめた右手を、大きく振りかぶる。
そして、全ての力を右手に込めて。
キューブを。
さいころを。
ガラスの壁へと投げつけた。
619 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:44:46.74 ID:HC/e3twa0
がちん。
微かに濁った音がして、さいころが跳ね返ってくる。
器用にそれを拾って壁を見ると。
当たったところに小さなひびが入っていた。
620 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:45:18.10 ID:HC/e3twa0
もう一度、振りかぶる。
投げる。
ばしっ、と。
先ほどよりも大きな音が響く。
壁のひび割れは、さらに大きくなった。
621 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:45:59.19 ID:HC/e3twa0
きっと、次が最後。
ねえ、春香。
あなたは今、そこで泣いているのよね。
私が泣いていたとき。
あなたは私を抱きしめてくれたわよね。
ねえ、春香。
あなたは今、そこから出てきたいのよね。
最後、涙を堪えながら私に笑ってくれたとき。
その瞳の奥に、見えたから。
ねえ、春香。
春香。
今、行くから。
622 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:46:33.30 ID:HC/e3twa0
私は、全ての力を振り絞って。
全力だったさっきよりも、さらに全力で。
623 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:46:59.58 ID:HC/e3twa0
さいころが、壁に当たる。
物音一つ立てず、壁に当たる。
624 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:48:04.81 ID:HC/e3twa0
静かに、水が壁面を伝うように。
細いひびが、波紋のように広がって。
625 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:48:32.46 ID:HC/e3twa0
ガラスの壁は砕けて、崩れ落ちた。
626 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:49:35.45 ID:HC/e3twa0
そうだ。
もう嫌な過去を振り返らない。
そして、目の前にあるものから、目を逸らさない。
私たちが見つめるべきは、これからだから。
627 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:50:04.20 ID:HC/e3twa0
私の部屋の光が。
淀んだもう一つの部屋へと流れ込んでいく。
暗闇が照らされ。
みるみる内に明るくなっていく。
その先で、あの子は、体育座りをしていて。
小さく、しゃくりあげる声が聞こえて。
628 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:50:31.75 ID:HC/e3twa0
投げつけたさいころが宙を舞う。
出る目は果たして、なんだろうか。
関係ない。
さあ、行きましょう、春香。
進みましょう。
629 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:50:57.80 ID:HC/e3twa0
賽は、投げられた。
630 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:52:29.30 ID:HC/e3twa0
――――――――――
――――――――
――――――
――――
631 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:53:19.34 ID:HC/e3twa0
私は叫んだ。
喉の奥から、腹の底から。
これまでため込んできた、積年の想いを。
喜怒哀楽を。
吐き出すように。
叩きつけるように。
時に優しく、諭すように。
632 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:54:13.58 ID:HC/e3twa0
ああ、そうだった。
歌うことって、こんなにも心地良いものだったんだ。
これまで私を縛り付けていた鎖。
それらが全て引き千切られた今。
私には何の制約もなかった。
ただただ眼前には、自由。
歌という名の、大海原。
633 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:54:40.07 ID:HC/e3twa0
私は叫んだ。
全ての人に届くように。
空気を振動が伝い、耳から、全身から。
魂の奥底へと、届くように。
サイリウムが揺れる。
この揺れは、一体誰が生み出しているのだろう?
空気の振動?
違う、私だ。
他でもない私だ。
私が叫んだ魂が、他の魂を揺らしているのだ。
634 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:55:06.56 ID:HC/e3twa0
私は叫んだ。
一曲、また一曲と歌い上げる。
不安も恐怖も、微塵もなく。
まるでこれまでの鬱憤を晴らすかのように。
まるでこれまでの空白などなかったかのように。
声だけじゃない。
身体も勝手に、踊り動く。
私の魂を見せつけんとばかりに。
635 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:55:38.54 ID:HC/e3twa0
私は叫んだ。
マイクもいらないかもしれない。
この叫びはきっと、人間が作った機械など関係なく。
どこまでもどこまでも、響きわたる。
曲と曲の間の転換時さえも。
私の鼓動は、僅かたりとも弱まらない。
最高潮をキープして。
どくん、どくんと脈打って。
全身を血が駆けめぐる。
636 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:56:19.44 ID:HC/e3twa0
私は叫んだ。
会場も熱気を増していく。
届け、届けと想いが爆ぜる。
私の想いが。
観客の想いが。
会場を満たし、爆ぜる。
中でも私の想いはとびっきりで。
会場を越えて、どこまでも届けと。
あそこまで。
あの子の元まで。
あの部屋の暗闇を吹き飛ばすまで。
泣いているあの子が気付くまで。
637 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:57:09.16 ID:HC/e3twa0
息が上がる。
気付けばもう、次が最後の歌だった。
「皆さん、ここまで、本当にありがとうございました」
「今日だけではありません」
「あのとき、私の心が壊れてしまって」
「それでもなお、ここまで私のことを、待って、見守って」
「改めて、本当にありがとうございました」
全ての人へ向けた言葉。
プロデューサーはじめ事務所の仲間たち。
この日をずっと待っていてくれたファンの人々。
そして、私を救ってくれた――。
638 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:57:48.54 ID:HC/e3twa0
「次で、最後の歌です」
「この新曲は、ある大切な親友に捧げる歌です」
「どんな時もそばにいてくれて」
「どんな時も背中を押してくれて」
「どんな時も、私の心を救ってくれた」
「そんな、大切な、大切な人です」
「今はまだ、病室で眠り続けているけれど」
「きっと、この歌は届きます」
「そう、信じています」
「どうか、聴いてください」
639 :
◆on5CJtpVEE
[saga]:2020/08/13(木) 00:58:14.19 ID:HC/e3twa0
――――――――――
――――――――
――――――
――――
640 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/08/13(木) 07:05:57.11 ID:7lwtGD1n0
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