【ガルパン】杏「あー、大学サボっちった」

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1 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/26(月) 23:48:12.83 ID:o4tBJkwy0



眠い目をこすりながら私は家の近くの私鉄の駅へ歩いていく。

そこから満員電車に乗り込み、都心へと向かう。

背が短い私はつり革に掴まるのが大変だから、ドア付近の手すりに捕まるのがベストだけど…。

今日も車内へ押し込められ、背伸びをしながらつり革に掴まる。

目の前のにいちゃんが、背負ったデカいリュックを私に押し付けてくる。

横にいるOLが、つり革に掴まらず両手でスマホを持ってゲーム。

電車が揺れるたびに私に体重をかけてくる。

足がつりそう。

つり革を握る手に体重がかかる。

朝から嫌な気分。

こんなのが毎日。

東京の電車なんて大嫌いだ。

大洗の、赤くて短い列車が恋しい。




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1522075692
2 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/26(月) 23:49:35.77 ID:o4tBJkwy0


大洗女子学園を卒業して、私は東京の大学へと進学した。

都心から住宅街に伸びる私鉄の沿線に、アパートの部屋を借りて一人暮らし。

桃や柚子とは別の大学で、何もかも一からのスタート。

たくさん勉強して、友達たくさん作って。

高校生活に負けないくらい、楽しい大学生活にしようと意気込んでいた。

3 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/26(月) 23:50:39.78 ID:o4tBJkwy0


大学生活がはじまって数ヶ月。

友達は誰一人出来ていない。

講義では、教授の話す言葉が右耳から左耳へとすぐ抜ける。

ノートは真っ白。

ご飯もろくに食べず、コンビニの百円のパンやおにぎりで済ましてばっかり。

もともと軽い体が、さらに軽くなっていく。

勉強も料理も得意なはずなのに、何もやる気が出てこない。

大洗女子学園を卒業してから、ずーっとこんな感じ。

4 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/26(月) 23:51:27.85 ID:o4tBJkwy0


なんか、気持ち悪くなってきた気がした。

電車が途中駅に着く。

「すみません降ります。」

私の声を聞いた人たちが、渋々ドアへの道を作ってくれる。

狭いけど、私なら通れる。

電車から抜け出した私はホームのベンチに座り、小さく深呼吸した。

人をパンパンに詰めた電車が、何本も私の前を通り過ぎて行く。

そろそろ行かないと、大学の講義に間に合わなくなってしまう。

…もういいや。

5 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/26(月) 23:52:41.72 ID:o4tBJkwy0


生徒会長になって、学園のみんなにはたくさん思い出作って欲しくて。

桃と柚子と協力して、たくさんのイベントを実施した。

学園のみんなが笑顔になるのが嬉しくて、私も混ざってたくさん笑った。


突然の大洗女子廃校の危機。

こんな楽しい学園を絶対に廃校にしてたまるか。

そこに現れた西住みほ。

強引に西住みほに戦車道をやらせて、全国大会優勝。

その後の大学選抜戦も勝利。

これで廃校は無くなった。

…あんなことして西住ちゃんには嫌われて当然だなって思ってたけど、彼女は心優しい子だった。

西住ちゃんを中心に、私には戦車道の仲間がたくさんできた。

武部ちゃん、五十鈴ちゃん、秋山ちゃん、冷泉ちゃん。

バレー部、歴女チーム、ウサギの一年たち。

風紀委員、ネトゲチーム、自動車部、船舶科の不良たち。

学園の垣根を超えて、聖グロ、サンダース、アンツィオ、プラウダ、黒森峰。

それに知波単や継続ちゃん。

みんなみんな、友達になった。

学園生活の全てが私の宝物だった。

6 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/26(月) 23:53:37.55 ID:o4tBJkwy0


大学生になって、私は生徒会長ではなくなった。

戦車道の活動をしていない大学なので、戦車にも乗らなくなった。

別に大学が無くなるわけでもないし、それを阻止する仲間もいない。


私は、楽しかった学園生活から卒業してしまったため、

心に大きな穴がポッカリと空いてしまった。

その穴を埋めるものは大学に一つもなかった。

7 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/26(月) 23:54:23.50 ID:o4tBJkwy0


気付いたら1時間近くもボーっとしていた。

走ってくる電車は、だんだんと空いてくる。

もう講義はとっくに始まっている。

まともに話を聞いてなかったが、講義をサボったことは一度もなかった。

「あー、大学サボっちった。」

せめて無欠席は貫こうと思ってたけど、もうどうでもよくなった。

8 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/26(月) 23:56:28.89 ID:o4tBJkwy0


桃は大学でもなりふり構わず頑張っているらしい。

頑張りすぎて空回りすることもあったみたいだけど、

彼女の頑張りは周りがちゃんと認めてくれる。

大学は楽しくやってるみたいだ。


柚子はあの性格だから人に好かれやすい。

すぐに周りと打ち解けて、よく旅行に行ってるみたい。

この前はサークル仲間と西表島に行ったんだって。


桃と柚子は私がいなくても楽しくやっていけるんだ…。

いや、私が桃と柚子がいないと何もできないのか。

西住ちゃんみたいな心優しい子を利用しないと何もできないのか。

私は人の上で踏ん反り返ってないと何もできないんだな。

9 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/26(月) 23:57:14.95 ID:o4tBJkwy0


私は何のために生きているんだろう。

考えることが全てマイナスで、何も楽しくない。

………。

いっそ、電車に飛び込んで楽になった方が…。

………。

…私は馬鹿か。

高校が楽しくて、今が楽しくないだけで自殺を考えるなんて。

大馬鹿にもほどがある。

さっさと立ち直ればいいじゃん。

今からでも大学行って、真面目に講義受ければいいじゃん。

友達いっぱい作ればいいじゃん。

何、高校が楽しすぎたからって今クヨクヨしてんの。

バッカみたい。

10 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/26(月) 23:57:59.87 ID:o4tBJkwy0


…でも、やる気が出ない。

誰かに背中を押して欲しい。

誰かに…甘えたい。

スマートフォンを取り出し、電話帳を見る。

…桃や柚子は今講義中かな。

………。

…西住ちゃんか。

西住ちゃんだって授業中でしょ。

…あと何分で授業終わるっけか。

………。

いや、なんて電話すんの。

あんだけ人を利用して、あんだけ踏ん反り返っといて。

大学がつまんないよー、寂しいよーって電話すんの?

そんなくだらないことで、また西住ちゃんに迷惑かけんの?

ホント馬鹿馬鹿しい。

どんどん自分が嫌いになる。

11 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/26(月) 23:59:06.70 ID:o4tBJkwy0


「お客様、具合でも悪いんですか?」

女性の駅員が話しかけてきた。

「少し、休まれていきます?」

「いえ、もう行きます。」

ちょうど到着した下り普通電車に乗る。

大学とは反対の自宅方面の電車。

私はもう、大学に行く気は無かった。

…もう大学やめちゃおうかな。

でも、親に迷惑はかけたくない。

就職は…。

いい大学行ったのに、くだらない悩みで中退したちんちくりんに働く場所なんてないか。

そもそも私にはやりたい仕事があって…、

それに向かって頑張らなきゃならなかったのに。

考えれば考えるほどネガティヴになってく。

頭空っぽにして、家で寝っ転がりながらテレビでもみてようかな。

あはは、本格的にダメ人間になってきたな。

12 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/27(火) 00:00:33.99 ID:APIx0h1p0

自宅最寄駅に着いた。

歩きながらスマートフォンを取り出し、時刻を確認しようとロック画面を解除する。

スマートフォンの画面には、さっきまで見ていた西住ちゃんの連絡先が表示された。

はぁ。

ため息をついた、その瞬間。

スマートフォンが震えだした。

ビックリして手の力が抜け、スマートフォンがするりと落ちる。

がしゃん。

嫌な音がした。

恐る恐る画面を見て見る。

あ、割れてる。

しかしそんなことがあまり気にならなかった。

割れた画面には、ケイの名前が表示されている。

スマートフォンがまだ震えている。

これはケイからの電話だ。

なんで突然…。

13 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/27(火) 00:02:45.67 ID:APIx0h1p0

「…もしもし。」

『ハローアンジー、元気ー?』

「…まぁ。」

久しぶりに聞いた明るい声。

ちょっぴり嬉しくなる。

『今暇?』

え。

今暇って…。

暇って答えたらどうなるの?

ケイって長崎のサンダース大学に通ってんでしょ?

「今、大学だけど。」

嘘ついた。

『そう!じゃあ抜け出してきてよ!』

「はぁ?」

『今私ね、東京に来てるのよ!』

『アンジーって東京の大学通ってるんでしょ?』

『すぐ会えるすぐ会える!』

「あ、あのねぇ…。」

会いたい。

まさかケイが東京に来てるとは…。

ケイになら…。

ケイになら甘えてもいい気がする。

「わかったよ、抜け出すー。」

『わお、不真面目な元生徒会長ねぇ。』

「抜け出せって言っといてぇ。」

『あはは、じゃあ品川駅のKQ線の改札んとこで待ってるわ!』

「あいよー。」

割れたスマホの画面に写った私は、少し笑みを浮かべていた。

久しぶりに笑った気がする。

よし、ケイに全部話そう。

今日だけケイに甘えて、明日から頑張ろう。

自分を変えなきゃ。

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/27(火) 15:20:27.84 ID:iqYwPBh2O
期待
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/27(火) 15:36:09.42 ID:RI86TXSw0
期待
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 11:04:24.93 ID:pgzzEGt8O
>>1
大学サボってss書いてないで、早くゼミに顔出しなさい

でも期待してるので続きは書くように
17 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/28(水) 12:15:23.23 ID:A1xAwOAj0


品川駅の待ち合わせ場所の改札に着いた。

でも人がいっぱいいて、ケイはどこに…。

「おーい!!アンジー!!コッチコッチ!!」

駅を歩く人全員が同じ方向を見る。

ケイの場所がすぐにわかった。

「ケイ〜…声でかいって…。」

呆れながらも、ケイの生の声が聞けて私は安心した。

「おいぃ…!そんな大声出したら迷惑だろ…!」

特徴のある声がケイのいる方向から聞こえてきた。

そこにいたのはケイと安斎千代美だった。

「あははー、急に呼び出しちゃってゴメンね〜。」

「よう角谷!久しぶりだな!元気か?」

チョビ子がいることにビックリしたが、会えて嬉しかった。

「おっすおケイ〜、チョビ子〜。」

「チョビ子じゃない!安斎千代美!」

「あれ、アンチョビじゃないの?」

「もうドゥーチェじゃないからなー。」

チョビ子は髪をポニーテールにしていて、ちょっと大人っぽくなっていた。

ケイも元々このナイスバディだからなぁ。

この2人と並んじゃうと、やっぱり私は子供だなぁ。

18 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/28(水) 12:16:30.14 ID:A1xAwOAj0


「2人は私に何の用なの?」

「2人じゃないわよ〜。」

「え?」

「角谷の後ろにもう1人いるぞ。」

チョビ子が私の後ろを指差す。

「…なによ。小さくて見えなかったっていうの?」

カチューシャがいた。

「お久しぶり、生徒会長さん。」

「久しぶりカチューシャ。ノンナは一緒じゃないの?」

「ノンナはノンナで忙しいの。生徒会長さんだって片眼鏡の舎弟がいないじゃないのよ。」

「舎弟じゃないよ〜。」

ノンナがいないのか、それとも大学生になったからなのか。

背とは関係なく、カチューシャもちょっと大人っぽくなってる気が。

19 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/28(水) 12:17:25.72 ID:A1xAwOAj0


私は気になってることを聞いた。

「3人とも、大学は?」

ケイが答えた。

「今日ね、東京で大学の戦車道大会のトーナメント抽選があってね。」

そうか、ケイもチョビ子もカチューシャも、それぞれの大学で戦車道続けてるんだっけ。

「久しぶりに高校戦車道の隊長が集まったから、このあとお茶でもしないって私が誘ったの!」

なるほど。

…で、なぜ私も誘った?

「ミホがまだ高校生だし、でも大洗の子がいたほうが話も弾むかなと思ってね!」

「でも大学サボらせるのは良くないぞ…。」

常識人のチョビ子。

「ごめんねアンジー!どうしてもアンジーに会いたかったの!」

照れながらも心の中でケイに謝る。

私は最初から大学をサボってたんだからな…。

20 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/28(水) 12:18:13.89 ID:A1xAwOAj0


「さっ!こんなとこで立ち話もなんだし、行きましょうか!」

ケイがぱんぱんと手を叩く。

どうやらカフェでゆっくりするらしい。

ケイとチョビ子が前を歩き、その後ろに私とカチューシャがついていく。


ケイが、そう言えば〜…と大学の話を嬉しそうに話そうとすると、

チョビ子が、周りの人に注目されるから声のボリューム落とせと突っ込む。

それを見たカチューシャが、子供ねと鼻で笑う。

21 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/28(水) 12:19:23.81 ID:A1xAwOAj0


私は今日、ケイに甘えようと思ってたけど、

チョビ子とカチューシャがいるから無理だなと諦めていた。

悩みは忘れて今日は楽しもうかな…。

するとカチューシャにポンと背中を叩かれる。

「せっかくみんなで集まったのに、なんでそんな顔してんのよ。」

ごめん、そうだね。

今日は楽しもう。

…本当はカチューシャって、面倒見のいいお姉さんキャラなのかも。

22 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/28(水) 12:20:55.81 ID:A1xAwOAj0


その後、カチューシャが大学の話をしてくれた。

同学年にはやっぱり背のことをいじられるけど、仲良くやってるみたい。

戦車道では、プラウダ元隊長で、しかも戦車内をスムーズに動くことができるその身長のおかげか、

期待のルーキーとして先輩たちから可愛がられているとのこと。

プラウダでは踏ん反り返ってたカチューシャも、ちゃんと立場をわきまえて上手くやってるんだな。

「生徒会長さんは?戦車道やってないの?どこの大学?新しい舎弟はできたの?」

…うーん。

私はもう生徒会長じゃないよ、と話をそらした。

私が大学で落ちぶれていることは、今日は誰にも話す気は無かった。


そうしているうちに、私たちはカフェに到着した。

23 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/29(木) 23:31:26.00 ID:Cta5UwLN0


可愛らしいカフェに着いた。

お客さんは私たちと年が近い女の子ばっかだ。

各々好きなメニューを注文して席に着いた。

ゆっくり飲み物を飲みながら雑談を始める。

24 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/29(木) 23:33:33.72 ID:Cta5UwLN0


ケイは航空輸送科で、大きな航空機をびゅんびゅん飛ばして楽しんでいるらしい。

将来はパイロットになるんだって。

チョビ子は一流の調理師になるため、頑張っているみたいだ。

イタリアへの修行も考えているらしい。

カチューシャはまだ将来やりたいことが決まっていないみたいだが、

自身のスキルアップのため大学で猛勉強をしているとのこと。

みんな立派じゃん。

いや、それが普通なのかな。

私みたいに過去に囚われてぐだぐだしてるのが普通じゃないんだ。

25 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/29(木) 23:34:22.95 ID:Cta5UwLN0


てかやばい。

そんな会話になったら私は何を話せばいい。

嘘ついて勉強一筋ですとか…。

言えないよそんなこと。

みっともな。

26 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/29(木) 23:35:07.48 ID:Cta5UwLN0


ケイが私を見た。

「アンジーはどうなの?」

と言った瞬間。


「みなさん、ご無沙汰ね。」

上品?な声が聞こえた。

そこにいるのは海外留学しているダージリンと西住まほだった。

「マホーシャ!?」

「ダージリンも!?」

カチューシャとチョビ子が驚いた。

「いやぁ〜、マホとダージリンが日本にちょっと帰ってくる日と、大会の抽選日が偶然一緒でね!」

「せっかくならみんなで会おうと思ってね!」

ケイが嬉しそうに話す。

自分は2人が来ること知らなかったと、カチューシャとチョビ子がお互いに顔を見る。

流石サンダース…というか、ケイはこういうサプライズが好きだなぁ。

27 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/29(木) 23:37:02.20 ID:Cta5UwLN0


西住まほちゃんは、落ち着いた服装で、何というか高校の時よりもカッコよくなっていた。

まさに女の子にモテる女の子って感じ。


ダージリンはブロンドのロングヘアーをなびかせて、カジュアルな格好をしていた。

聖グロの時の清楚らしさはなく、オフの日のダージリンって感じ。


まぁ、この2人も大人っぽくなっていた。

28 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/29(木) 23:37:39.49 ID:Cta5UwLN0


「私カチューシャの隣!」

ダージリンが嬉しそうにカチューシャの隣の席にヒョッコリと座る。

カチューシャはわざと嫌そうな顔をする。

いいじゃないのよ、とカチューシャの頭をワシャワシャと撫でて絡むダージリン。

食事中に髪を触るな、行儀悪いわよと怒るカチューシャ。

29 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/29(木) 23:38:20.16 ID:Cta5UwLN0


「私はここに座らせてもらおうかな。」

西住まほちゃんが私の隣に座った。

「久しぶり、角谷さん。」

優しい笑顔で私の顔を見る。

やっぱり西住ちゃんのお姉さんだなぁ。

凛々しさの中に、愛嬌のある可愛いお顔。


ケイとチョビ子とカチューシャは、海外留学はどう?と西住まほちゃんとダージリンに詰め寄る。

よかった。

私から話題がそれた。

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/31(土) 08:02:58.19 ID:T6T6mwSJo
四円
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/31(土) 17:07:36.01 ID:ea6/Fg5mO
支援
32 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/31(土) 22:33:17.78 ID:ico8IyEyO


まずダージリンから話し始めた。

ダージリンはイギリスに留学した。

日本から濃いキャラが来たと、イギリス人にいじられているとのこと。

「それが日本人のイギリスのイメージなの?」と散々聞かれたんだって。

ただダージリンの戦車道の腕は認められていて、先輩や同学年からはそれなりに愛されているらしい。

愛ゆえのいじりが多く、それに疲れちゃうんだって。

あと英会話の勉強がまだまだ必要だと嘆いていた。

33 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/31(土) 22:34:10.61 ID:ico8IyEyO


西住まほちゃんはドイツに留学。

黒森峰元隊長とか、西住流とかそんなこと関係なく1年生は雑用から。

戦車に乗せてもらったとしても、ものすごく過酷な訓練で、

同じドイツ人の1年生はひーこらひーこら言ってるらしい。

しかし西住まほちゃんは、小さい頃からあのお母さんにみっちりしごかれてきたからか、

そんなことで弱音なんか吐くわけなかった。

骨のある日本人が来たと、先輩には好かれているらしい。

自分はまだまだと思い知らされ、日々精進してるんだってさ。

34 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/31(土) 22:35:04.46 ID:ico8IyEyO


戦車道の海外留学が大変じゃないわけがなく、2人とも苦労してるみたいだ。

久しぶりの日本で思い切り羽を伸ばしたいんだって。


そこからは戦車道の話になった。

高校戦車道の有能な元隊長たちが集まっての会話。

レベルが高い。

西住ちゃんならこの話についていけるんだろうけど、

私にはちんぷんかんぷんだった。

35 : ◆jPr03Kti1lbd [saga]:2018/03/31(土) 22:35:52.85 ID:ico8IyEyO


しかしみんな笑っていた。

そうだよこの感じ。

本物の戦車を使って、

本物の砲弾を使って、

安全だとは言うけれど、命懸けの戦いをして。

試合が終わったら、敵味方関係なく集まって。

美味しいものを食べながら、お互いを称えあって。

お祭り騒ぎが好きな私は、

この瞬間が一番、戦車道をやって楽しいと思える時間だった。


似たような今のこの空間。

ずっとこの時間が続けばいいと思った。

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