唯「てんくうのはなよめ!」

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202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 04:42:14.76 ID:s6qXEhGz0
唯「へ、へへへへヘンリー……」


澪「だ、大丈夫だ唯、まだホウカゴとゲレゲレがいる!」


梓「マメに回復をすれば大丈夫です!」


ゲマの こうげき!
ゲレゲレは 35の ダメージを うけた!


律「つ、つえぇ……」


唯「う、ういぃ……」


澪「ゆ、唯大丈夫だ、とにかく回復しながら……」


梓「でもそれだと、いつまでも攻撃出来ないですよ!?」


律「ジリ貧になるな……」


紬「突破口はないのかしら……」
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 04:44:07.87 ID:s6qXEhGz0
ゲマは メラミを となえた!
ゲレゲレは 60の ダメージを うけた!
ゲレゲレは きぜつした!


律「くっ……ゲレゲレまで……」


憂「今までのボスとは段違いに強いよ……」


唯「うぅゲレゲレ……」


澪「……!そうか!」


梓「澪先輩、どうしたんですか!?」


澪「パパスだ!パパスが助けに来てくれるんだよ!」


五人「!」


紬「そ、そうね!」


梓「そうですね!きっと、一番最初に、スライムと戦ったときみたいに……」


ゲマの こうげき!
つうこんの いちげき!
ホウカゴは 97の ダメージを うけた!
ホウカゴは きぜつした!


六人「あ…………」
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 04:45:02.61 ID:s6qXEhGz0
唯「う、うぅ……もう、MPも、やくそうも、ありませんでした……」


律「唯……良く頑張ったよ……」


紬「そうよ、唯ちゃん。またレベルをして、再挑戦しましょう」


憂「私も頑張るよ、お姉ちゃん」


梓「これでセーブした所からやり直しに……あれ?」


澪「みんな、これ、話が続くようだぞ!?」


唯「え!?」


パパス『こっこれはいったい!ホウカゴ!ヘンリー王子!』


唯「お父さん!」


憂「お父さん!」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 04:45:35.48 ID:s6qXEhGz0
律「負けることが前提だったってことか……?」


澪「そうだな、きっと……」


パパス『む?お前は!?その姿はどこかで……』


ゲマ『おや?少しは私のことをご存知のようですね。ほっほっほっほ。ならばなおさら、私たち光の教団のすばらしさをお教えしておかなくては……』
 

ゲマ『出でよ、ジャミ!ゴンズ!』


紬「そ、そんな!」


律「強そうなのが2体も出てきたな……こりゃ、さすがのパパスでも……」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 04:46:13.54 ID:s6qXEhGz0
梓「楽勝でしたね……」


澪「こ、これならゲマも……」


唯「お父さん!やっちゃえー!ぼこぼこにしちゃえー!!」


憂「がんばって!お父さん!!!」


ゲマ『ほっほっほっほっ。みごとな戦いぶりですね。でもこうするとどうでしょう……』

なんと!ゲマはホウカゴののどもとに死神のカマをあてがった!


唯「!」


憂「ホ、ホウカゴちゃん!」


澪「な、なんて卑怯な奴なんだ……!」


紬「酷い、そんな……」


梓「う、うう……」


律「このやろー!正々堂々と戦えー!!」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 04:46:45.21 ID:s6qXEhGz0
ゲマ『この子供の命がおしくなければ、ぞんぶんに戦いなさい。でもこの子供のたましいは、永遠に地獄をさまようことになるでしょう。ほっほっほっほっ!』


律「こ、このオカマめ!!!」


紬「この子供の命が惜しくなければ、存分に戦いなさい……嫌な言い回しだわ……」


ジャミ『へっへっへっ。さっきはよくもやってくれたな!』


ゴンズ『覚悟しなっ!!』


唯「ええ!?さっき倒したのに!?」


律「まずいな、このままじゃ……」


梓「で、でもお父さんならきっと……!」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 04:48:13.30 ID:s6qXEhGz0
パパスは みをまもっている。


紬「パパスさん……」

憂「お、お父さん……」


パパスは ただジッと たえている!


唯「お父さん……いいよ……戦ってよ……いつもみたいに、簡単に倒してよ……お父さん……」


梓「そ、そうです、倒して、そして、いつもみたいに、『では行くとしよう!』って……」


パパスは おおきく息を すいこんだ!


律「くそっ、このままじゃ……」


澪「ど、どうなるんだ、一体……」






パパスは きぜつした!
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 04:49:01.47 ID:s6qXEhGz0
…………


ゲマ『ほっほっほっ。ずいぶん楽しませてくれました』


唯「お父さんー!お父さんーーー!!うわあーーーーん!!」


パパス『ホウカゴ!ホウカゴ!気がついているか?』


憂「!!お、お姉ちゃん、お父さんが!」


唯「お、お父さん!」


 
パパス『はあはあ…これだけは言っておかねば……』


紬「そんな……最後みたいに……」


澪「パパス……」


パパス『じつは お前の母さんはまだ生きているはず……わしに代わって、必ず母さんを…』


律「ホウカゴのお母さんは亡くなっていたのか……」


梓「で、でも生きているはずって……!」


パパス『ぬわーーーーーっ!!』


唯「…………!!」


六人「お父さんーーーーーー!!!!」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 04:50:02.78 ID:s6qXEhGz0
ゲマ『ほっほっほっほっ。子を想う親の気持ちは いつ見てもいいものですね。しかし心配はいりません。お前の息子はわが教祖さまのドレイとして、一生幸せに暮らすことでしょう。ほっほっほっ』


ゲマ『ジャミ!ゴンズ!この子供たちを運び出しなさい』


ジャミ『ゲマさま。このキラーパンサーの子は?』


ゲマ『捨ておきなさい。野にかえれば やがてその魔性を取り戻すはず。うん?待ちなさい。この子供はふしぎな宝玉を持っていますね。この宝玉はもしや……?まあ、どちらにしろこうしておくとしましょう』

なんと!ゴールドオーブはこなごなにくだけちった!


ゲマ『ほっほっほっほっ。さあ 行きましょう』


『ぬんっ!』


六人「……………………」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 04:50:45.09 ID:s6qXEhGz0
…………


澪「……唯、大丈夫か?憂ちゃんも……」


唯「う、うん……ひぐっ」


憂「ちょっと、ショックでした……」


律「さすがに、私も少し驚いたかな……」


梓「ゲレゲレ、置いてかれちゃいましたね……」


紬「そうね……」


澪「まさかパパスがあんなことになっちゃうなんてな……」


唯「私、最初に変な名前とか、色々バカにしちゃったけど、こんなことになるならお父さんが考えてくれたトンヌラって名前にしておけば良かったって、そう思っちゃう……」


紬「……ちょっと、お茶にしよっか。気分を入れ換えた方が良いと思うの」


律「そうだな」
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 04:51:50.73 ID:s6qXEhGz0
梓「本当に、物語を読んでるみたいに一喜一憂しちゃうますね……」


憂「音楽や絵もあるし……自分達で考えながら動くから尚更のめり込んじゃうんだよ……」


澪「私達でこれなんだから、特に唯みたいなタイプには、刺激が強すぎるかもな……」


唯「うぅ〜、お父さん……」


律「ほーら、唯、お菓子食べちゃうぞ〜……」
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 08:45:18.76 ID:hb6b7PA3O
おのれゲマめ、ティータイムの面々を悲しませるなんて、なんて酷いんだ(恍惚)
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:44:15.69 ID:s6qXEhGz0
…………


どれい!


澪「……よし、じゃあ続きをやって行こうか」


律「どうなるのか、全くわからなくなってきたな」


唯「えーと……あれ?ホウカゴちゃん、大人になってるよね?」


梓「そうですね。背が伸びてます」


律「おいおい、ゲマがドレイが何とかって言ってたけど、まさか……」


紬「六歳の頃から、こんなに大きくなるまでここで働かされていたの……?」


唯「かわいそう……ホウカゴ……」


憂「ねえお姉ちゃん、どこかにヘンリー王子がいるんじゃないかな?」


紬「そうね、きっと一緒に連れてこられている筈だわ」


梓「探しに行ってみましょう!」


律「そうだな!こんな仕事、サボれサボれ!!」
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:45:13.99 ID:s6qXEhGz0
…………


唯「あ、いたいた、ヘンリー」


澪「ヘンリーも大人になってるな、当然だけど」


律「王子から奴隷か……ヘンリーも辛いだろうな……」


梓「元々苦労を知らなかったんでしょうし、ここでの生活はホウカゴより大変だったかもしれませんね」


ヘンリー『やあホウカゴ!こんなところで油を売ってると、またムチで打たれるぞ』


梓「……なんだか爽やかな性格になってますね」


澪「そうだな、成長して毒が少し薄まったんだろ、律もそうだよ」


律「どうして私を引き合いに出すんだ?」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:47:03.76 ID:s6qXEhGz0
ヘンリー『それともまた逃げ出す相談かい?あれからもう10年になるもんな』


憂「10年もこんな所に……」


唯「私だったら耐えられないよ……お菓子もお茶もなさそうだし、憂のご飯も食べられないなんて……」


憂「大丈夫だよ、もしお姉ちゃんがそうなったら必ず助けに行くから」


唯「うい……」


憂「お姉ちゃん……」


律「おーい、戻ってこーい……」


梓(憂だったらゲマも倒しちゃいそうな気がしてちょっと怖いな……)
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:47:43.04 ID:s6qXEhGz0
ヘンリー『お前の親父さんには本当に申しわけなかったと思っているよ。お前はきっと親父さんの最期の言葉を信じて母親をさがしたいんだろうな。いいよなあ……。オレなんかここを逃げ出しても、お城じゃ弟のデールが王さまになってるだろうし。と、くどくど話してもしかたがないなっ!さあ仕事仕事……』


紬「ヘンリー王子……成長したのね……」


律「……そうだな、でも、ヘンリーが責任を感じることじゃないだろ!悪いのは全部ゲマの奴だ!」


梓「そうですよ!あいつさえいなければ!」


澪「ヘンリーも辛いよな、お城のことを考えると……」


紬「そうね……」
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:48:32.75 ID:s6qXEhGz0
…………


澪「これと言って動きのないまま仕事が終わりになったな」


律「ヘンリーもちらっと言ってたけど、とにかくどうやって脱獄するかじゃないか?」


梓「けど、何度か企ててる口振りでしたから、それだけ失敗してるんでしょうね」


ヘンリー『やあホウカゴ、やっと目がさめたようだな』


澪「ひどい寝床だな……」


唯「かわいそうだよ、みんな……」


ヘンリー『ずいぶんうなされてたようだけど またムチで打たれる夢でも見たんだろ。しかしお前はいつまでたっても反抗的で、ドレイになりきれないヤツだよなあ。その点オレなんか素直になったと自分でも思うよ。わっはっはっ』


律「ホウカゴはまだまだ全然心が折れてないみたいだな。安心したよ」


紬「あのパパスさんの息子だもの、当然だわ!」


澪「それにしてもヘンリー、ほんとに良い奴なってるな」


梓「そうですね、喋り方は変わってないですけど、性格は別人な気がします」


ヘンリー『もっとも、オレが素直になったのは、お前の親父さんの死がこたえたのもあるけどさ。あれから10年……。月日のたつのは早いもんだぜ』


六人「…………」
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:49:13.61 ID:s6qXEhGz0
…………


律「そして今日も労働……か」


梓「あのムチを持った人達、凄く感じが悪いです」


紬「真面目に働けば幸せになれるって、本当かしら……?」


律「…………怪しいもんだけどな」


澪「そうだな、きっと働かせるためのエサだよ」


紬「……そうね」


ヨシュア『まいった……妹のマリアがドレイにされてしまったのだ……なんとかしたいが教祖さまにはさからえないし……と、こんなことをドレイのお前に話しても仕方なかったな……』


憂「マリアさんって、さっきお話した人だよね?」


梓「元々信者だった人だっけ?」


澪「そんな人でもドレイにされちゃうなんて……ほんと酷いところだな、ここは」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:49:56.57 ID:s6qXEhGz0
…………


律「ん?なんか人だかりになってるぞ?」


紬「本当ね、どうしたのかしら」


憂「!お姉ちゃん、あれ、マリアさんじゃない!?」


唯「ひどい!ムチでうたれてるよ!」


ヘンリー『く…!あいつらっ!』


唯「ヘンリー!」


紬「ヘンリー王子、もしかして……」


ヘンリー『あれホウカゴ!いつのまにそこにいたんだっ!?まあいい……。オレはもうガマンできないぞ!』


唯「おお!ヘンリーかっこいい!やっちゃえやっちゃえーー!!」


澪「唯、応援してないで私達も手伝うんだよ!」


唯「あ、そ、そっか!」


律「やっとあの偉そうなムチ野郎をぼこぼこ出来るぜ!唯!私にやらせろー!」


唯「ういっす!りっちゃん隊員!!」


律「どりゃーーー!!!」
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:50:50.07 ID:s6qXEhGz0
…………


律「ふいー、そんなに強くはなかったけど、武器と防具がないとちょっと大変だったな」


澪「ヘンリーもレベル1だし、危なかったな」


紬「ゲレゲレちゃんがいてくれたらね……」


唯「元気かなあ、ゲレゲレ……」


ヘンリー『いや〜まいったな。しかし ムチで打たれるよりマシかな。わっはっはっ』


澪「閉じ込められちゃったな」


紬「けど、マリアさんも手当てを受けられるようで良かったわ」


梓「どうなるんでしょうね、これから」


唯「あ、人が来たよ!」


憂「あれはマリアさんと……ヨシュアさん?」
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:51:33.34 ID:s6qXEhGz0
ヨシュア『妹のマリアを助けてくれたそうで、本当に感謝している。私は兄のヨシュアだ。前まえから思っていたのだが、お前たちはどうも他のドレイとはちがう。生きた目をしている!』


澪「いきなり誉め殺しだな」


唯「ふんす!」


ヨシュア『そのお前たちをみこんでたのみがあるのだ。聞いてくれるな?』


憂「なんだろうね、お姉ちゃん」


律「ここのムチ野郎を全部倒してくれとか?」


ヨシュア『じつは、このことはまだウワサなのだが……この神殿が完成すれば、秘密を守るためドレイたちを皆殺しにするかも知れないのだ』


唯「なんと!」


澪「やっぱりそうか……」


紬「ひどい……」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:52:24.26 ID:s6qXEhGz0
ヨシュア『そうなれば、当然妹のマリアまでが……!お願いだ!妹のマリアを連れて逃げてくれ!お前が昔さらわれて来たときの荷物やお金も、うしろのタルに入れておいた。この水牢はドレイの死体を流す場所で……浮かべてあるタルは死体を入れるために使うものだ。気味が悪いかもしれんが、そのタルに入っていればたぶん生きたまま出られるだろう。さあ、誰か来ないうちに早くタルの中へ!』


律「!出られるってことか!?」


唯「やったね!りっちゃん!!」


紬「でも、残された奴隷の人達は……」


梓「そうですね……」


澪「……仕方がないよ、ここに残っていても、一緒に殺されてしまうだけなら……」


憂「それなら外に出て、教団をやっつける方法を探しましょう!」


律「そうだな!それに……」


唯「私、お父さんの敵を討ちたい!」


紬「唯ちゃん……!…………そうね!」


律「よーし!行くぞ!みんな!」


六人「おー!!!」


ヨシュアはタルにからめられたクサリのカギをはずし、願いをこめてタルを流れに押しだした!
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:52:59.38 ID:s6qXEhGz0
…………


律「うわぁ、ここ、山の上だったんだな……」


紬「樽、壊れちゃったりしないかしら……」


憂「あ、海に出ましたよ。良かった……」


澪「解放されたんだな……」


梓「あ、夜になった……」


唯「どこに着くのかなあ……」
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:53:48.50 ID:s6qXEhGz0
にげたどれい!


『…まあ、よかった!気がつかれましたのね!もう5日も眠ったままで、このまま起きないのではと心配していましたのよ。しかしタルの中に入っていたのにはびっくりしましたわ。お連れの人から聞いたのですが、とんでもない所から逃げていらしたとか……ここは名もない海辺の修道院。どうか、元気になるまでゆっくりしていってくださいね』


梓「助かったみたいですね」


澪「5日も眠っていたなんて……」


憂「お連れの人って、ヘンリー王子とマリアさんのことだよね?お姉ちゃん、行ってみようよ」


唯「うーん。ねえみんな」


律「どうした?唯」


唯「ホウカゴの服ってさ、もしかして……」


紬「……サンタローズにいた、あの人と同じね」


梓「!そういえば……」


澪「これは……どういうことなんだろうな……」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:54:27.15 ID:s6qXEhGz0
…………


唯「お!ヘンリー発見!」


澪「ヘンリーはまだ奴隷の格好のままか……」


ヘンリー『それはそうと、マリアさんがこの修道院の洗礼式を受けるらしいぞ。お前は目が覚めたばかりで、いまいちピンとこないだろうけど、まあとにかく出席しようぜ』


律「修道院か……どんなことするんだろうな」


澪「律も入ってみたらどうだ?少しは女の子らしくなるんじゃないのか?」


律「な、なんだとー!」


梓「ほら、そういう喋り方です」


律「ぐぐぐぐ……」


紬「り、りっちゃんは今のままで充分素敵よ!」


律「え、い、いやそんな面と向かって言われても……」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:55:33.17 ID:s6qXEhGz0
…………


『わが修道院へみちびかれし、われらの友マリアよ。そなたに聖なる神の祝福をさずけましょう』

マザーはグラスに入ったルビー色の水を少しずつマリアにふりかけた。


唯「ねえ、りっちゃん、あのお水、なんか美味しそうだね」


律「飲めるのかな?あれ」


憂「そ、そういうお水じゃないと思うよ、お姉ちゃん、律さん……」


澪「マリアさんはこの修道院で生きていくことを選んだんだな」


紬「あの酷い所から、海に導かれて辿り着いたのがこの修道院って考えると、私もマリアさんと同じように洗礼を受けるかもしれないわ」


梓「……樽に入っていたんですもんね。死んじゃう可能性の方がずっと高かった訳ですから……」
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 09:56:06.42 ID:L76WDRKlO
唯ちゃんのために笑顔でゲマをボコボコにする憂ちゃんの画像ください
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:56:23.73 ID:s6qXEhGz0
…………


マリア『ああ!やっと気がつかれましたのねっ!本当によかったですわ。兄の願いを聞き入れ、私を連れて逃げてくださってありがとうございました。まだあそこにいる兄や、多くのドレイの皆さんのことを思うと心からよろこべないのですが……今私がここにあるのも、きっと神さまのおみちびきなのでしょうね…ホウカゴさん。これは兄からあずかったものですが、どうぞお役に立ててください』

ホウカゴは 1000ゴールドを 受けとった!


唯「なんか、このマリアちゃんってちょっとムギちゃんに似てるね」


紬「え?そ、そう?」


澪「そうだな、心が綺麗で、優しくて」


紬「そ、そんな、照れるわ」


唯「アズニャンもプリズニャンに似て可愛いから安心してね!」


梓「全然嬉しくないですから!っていうか久しぶりに引っ張ってきましたね、それ」
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:57:20.57 ID:s6qXEhGz0
…………


ヘンリー『マリアさんって、ドレイのときは気づかなかったけどキレイな人だよな〜。ここでずっと暮らすなんてもったいないよ。まあ兄さんはまだあの神殿だろうし、ほかに身よりもないらしいからな……さあてと……。これからどうするかなあ……。出かける時には声をかけてくれよ』


唯「お?これはもしかして……」


澪「ヘンリー王子はマリアさんのことを……」


唯「ヘンリーも一緒に冒険してくれるのかなあ?」


澪「そうだな、あと……」


憂「そうだね!良かった、一人になっちゃうかと思って少し不安だったよ」


澪「……」


梓「でも、そうしたらまたヘンリーを育てないとですね、きっと装備品も持ってないでしょうし」


律「めんどくさいけど、仕方ないなー」


澪(あれ?みんな、そうじゃないだろ?今のヘンリーのセリフから読み取れるのって他にもあるだろ?女子としてそれはどうなんだよ、みんな……)
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:57:58.31 ID:s6qXEhGz0
…………


『ホウカゴ、あなたはもう大人です。これからは、自分の道を自分で見つけなくてはならないでしょう。しかし、神さまが見守っていてくださることを忘れずに……。ホウカゴの旅に、神のご加護のあらんことを』


唯「おとな、かあ」


紬「私達の目線でも、ホウカゴちゃんは突然大人になっちゃったと感じるけれど……」


律「ゲームだけどさ。きっと、本人もそう思ってるよ。六歳の頃なんて、私らも記憶が曖昧なとこあんじゃん?そんな頃から奴隷にされてさ、10年も経って、“あなたはもう大人です”なんてさ。ちょっと、残酷だよな」


憂「ホウカゴ……くん。これからは、少しでも良いことが起こってくれたらいいな……」


ヘンリー『さあて、行こうぜ!』


澪「何はともあれ、再出発だな」


唯「よし、行こうー!」


六人「おおー!!」
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:58:32.68 ID:s6qXEhGz0
…………


唯「でも、どこに行けば良いのかなー?」


澪「北に行けば街があるって言ってたよ。とりあえずはそこで装備を整えて、また街の人から情報を聞き出そう」


ヘンリー『こうして外の空気をすうなんて何年ぶりだろうな?なんだか、今はつまらないことでも全部しんせんに思えてくるよ』


唯「そうだねー、それに、今はもうどこへ行くのも自由なんだもんねぇ」


ヘンリー『外を自由に歩けるって幸せだなあ。考えてみれば、ラインハットの城からもほとんど出してもらえなかったからな』


紬「うん、なんだかヘンリー王子の気持ち、わかる気がするな、私も」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 09:59:23.13 ID:s6qXEhGz0
…………


ヘンリー『はぁ〜にぎやかな町だなあ。なんだかオレ見てるだけでクラクラしてきちゃったよ』


紬「そうね、今まで訪れた街のなかでも一番大きいかも」


澪「ホウカゴもヘンリーも、ずっとあの神殿にいたわけだし、尚更刺激的だろうな」


梓「どうしますか?とりあえず装備品を……」


律「!!おい、唯!カジノがあるぞ!行こう!」


唯「カジノ!?行きたい行きたい!れっつごー!」


澪「おいー!!冒険に関係ないだろ!いけません!!」


律「えー!?良いじゃんケチ!」


唯「ちょっとくらい遊んだっていいじゃんー!」


澪「いや、これゲームだから既に遊んでるんだけど……」


律「じゃあ多数決な!」


澪(いつも多数決の時は負けてばかりだけど……今回は憂ちゃんがいる!)


梓(憂は真面目だからこっち側に付くだろうし、仮にムギ先輩が遊びたいと言ってもイーブンに出来る!)


澪(それに、ムギはどちらかと言うと物語の続きを見たがってるはず、それなら……!)


澪「じゃあまず、カジノに行きたくない人!!!」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:00:10.91 ID:s6qXEhGz0
…………


ヘンリー『うは〜っ!これがカジノってやつか? すごいな舞台まであるぜ。なんだか明るすぎて 目がチカチカしてきたよ』


律「おお!唯!スロットがあるぞ〜!」


唯「りっちゃん!りっちゃん!バニーさん!!」


澪(まさかムギも憂もカジノ側に付くとは……)


梓(完全に読みを外しました……)


澪「ごめんね、澪ちゃん梓ちゃん。確かに二人の言うこともわかるんだけど……」


憂「ホウカゴくんとヘンリー王子も、少し遊ばせてあげたいなって、そう思ったんです」


紬「ずっと奴隷をさせられていたし……ホウカゴちゃんには辛いこともあったから……」


梓(しかもこの二人は、あっちの遊び人二人と違って天使のような理由だから反論できないぃ〜……)


澪(仕方がない、諦めよう、梓……)
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:00:53.50 ID:s6qXEhGz0
…………


律「ふむふむ、なあ澪、でも、あながち冒険に全く関係ない場所って訳でもないみたいだぞ?」


澪「え?」


律「見ろよ、この景品。なんだか強そうな装備があるぞ」


澪「このメタルキングの剣と、グリンガムのムチか?」


梓「でも、たくさんコイン必要ですよ」


律「だっから凄そうなんじゃん〜、きっとこれが取れたら冒険が凄く楽になるぞ!」


憂「でも、メタルキングってなんなんでしょうね?」


澪「メタル……」


唯「キング……」


さわ子『お前らが来るのを待っていたぁ……』ゴゴゴゴゴ


唯「絶対強いよ!この武器!」


澪「そ、そうだなっ!!」
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:01:33.83 ID:s6qXEhGz0
律「と言っても、ちょっと資金が心もと無さすぎたな〜」


梓「もっと先に進んで、ゴールドに余裕が出来たらまた来ましょう!」


唯「さわちゃんの剣欲しかったなぁ〜」


憂「後で私が取ってあげるよ、お姉ちゃん!」


紬「私も頑張るわ!」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:02:27.26 ID:s6qXEhGz0
…………


唯「りっちゃん、このスライムみたいな看板なんだろね?」


律「地下に行くのか、一応覗いてみようぜー!」


梓「モンスターとか出ませんよね……?」


憂「街の中だし、大丈夫だと思うけど……」


『わしが有名なモンスターじいさんじゃ』


唯「もんすたーじいさん?」


『なに?わしを知らん?まあよい。ふむ……。おぬしはなかなかよい目をしておるな。しかもふしぎな目じゃ。もしかするとおぬしなら、モンスターですら改心させ仲間にできるかも知れんの』


唯「ええ!?」


澪「モンスターを仲間に!?そんなこと出来るのか!?」


『まず馬車を手に入れることじゃ!そして……憎む心ではなく、愛をもってモンスターたちと戦うのじゃ』


律「おいおい、本当にモンスターを仲間になんて出来るのか……」


紬「でも、本当だとしたらとても心強いわね」


唯「ス、スライムやプリズニャンを仲間に出来るってことだよね!?」


梓「いや、プリズニャンはいいですから」


憂「けど、馬車ってどこにあるのかな?カジノの景品にはなかったよね?」


澪「そういえば、さっき街の人が夜にしか開かない店があるって言ってたけど、そこに行けば買えるかもしれないな」


律「んじゃ、一旦外に出て夜にしようぜ」


唯「そうだね!」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:03:31.52 ID:s6qXEhGz0
…………


『よし、商談成立だ!馬車は町の外に出しとくからいい旅をするんだぜ!』


唯「澪ちゃんの予想通りだったねぇ〜」


梓「3000ゴールドの所を300ゴールドって、得しちゃいましたね」


憂「早速外に出て、お馬さん見てみようよ、お姉ちゃん!」


唯「うん!お馬さんパカパカ〜♪」


ヘンリー『おお〜!安いから心配したけど、しっかりした馬車じゃないか!これでもっと仲間がふえても安心だな!』


パトリシア『ヒヒーン!』


唯「パトリシアっていうんだねー、よーしよしよし」


律「さて、それで、モンスターが仲間になるってことだけど……」


梓「倒さないとダメって言ってましたね」


憂「あ、早速戦いだよ、お姉ちゃん!」


唯「あ!スライム!よーし!こっちにおいで〜」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:04:23.64 ID:s6qXEhGz0
…………


なんと! スライムが おきあがり なかまに なりたそうに こちらをみている!


唯「おおおおーーー!!!」


梓「すごい!本当に仲間になるなんて……」


憂「名前をつけてあげますかだって!お姉ちゃんどうする??」


唯「んーとね」


律「ちょっと待った!」


唯「え?りっちゃんどうしたの?」


律「これから多分色んなモンスターが仲間になる訳だし、その度にみんなで決めてたら時間がもったいないだろ?」


梓「それは確かにそうですね」


律「だからあらかじめ名前をつける順番を決めておくっていうのはどうだ?」


澪「ああ、それはいいかもしれないな!」


紬「それなら不満も出ないわね!」


唯「じゃあ順番はじゃんけんで!!」


六人「さーいしょーはぐー!!」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:05:20.27 ID:s6qXEhGz0
…………


唯「じゃあスライムは私がつけるねー!」


憂「なんて名前にしてあげるの?お姉ちゃん」


梓「変なのはやめて下さいね」


唯「スライムってぇ〜ぷにぷにで気持ち良さそうだからぁ〜、ぷるん!」


憂「わあ!」


紬「かわいい名前♪」


澪「わ、私もちょっと好きかも!」


律「い、良いと思うか?梓……」ヒソヒソ


梓「いえ、全く……」ヒソヒソ


律「私たちはまともな名前にしような……」ヒソヒソ


梓「そうですね」ヒソヒソ

名付け順
唯→律→憂→紬→梓→澪
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:06:14.49 ID:s6qXEhGz0
…………


唯「あはは、ぷるんがついてくるよぉ〜かわいいねぇ〜」


澪「でも弱いな……戦わせるのはちょっと怖いよ」


梓「まあ、スライムですからね……根気よく育てるしかないですよ」


律「まあ、装備でカバーするしかないな。おい唯、オラクルベリーに……」


なんと! プリズニャンが おきあがり なかまに なりたそうに こちらをみている!


唯「お、おお……プリズニャンや……ようこそけいおん部に……」


梓「……」


律「おお!やったじゃん唯!」


紬「二匹目ね♪」


憂「えーと、次に名前を付けるのは……律さんですね」


梓(良かった……唯先輩だったら絶対私をネタにした名前にするだろうけど、ネーミングについては律先輩なら……)


律「じゃあ、アズサで」


梓「にゃ!?」


唯「おぉ〜りっちゃんわかってるぅ〜」


紬「うふふ、よろしくねアズサちゃん」


唯「アズニャンって呼ぼうよぉ〜」


憂「可愛いね〜お姉ちゃん♪」


澪「ま、まあまあ梓、ゲームだし、な……?」


梓「ううううう〜…………」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:07:14.56 ID:s6qXEhGz0
…………


唯「あ!りっちゃん占いしてくれそうな人がいるよー!」


律「おー占ってもーらお!」


『わしは占いババじゃ。占ってほしいのか?』


唯「はいはーい!!」


『よろしい。おぬしは男前じゃから 特別にただで見てしんぜよう』


唯「男前だって。りっちゃんのことかな?」


律「私は女だ!」


澪「いや、ホウカゴのことだろ……」


紬「りっちゃんだって男前よ」


律「」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:07:44.96 ID:s6qXEhGz0
『ふむふむ。おぬしは誰かをさがしておるな。それはおぬしに親しい女と出たぞ。しかしおぬしには、その者がまだ生きているのか分からないと見える……。安心せい!その者はまだ生きておる!そしておぬしに会える日を待っているぞ!まず北に行くがいい。そこでおぬしは なにかを見つけるじゃろう』


ヘンリー『親しい女って、お前の母さんのことかな?オレは占いはキライだけど、この占いの結果だけは当たってほしいと思うよ』


澪「そうだな、私もそう思う」


梓「生きてるかわからないってことは、そうかもしれないですね」


唯「んー、ビアンカってことはないかなあ?」


憂「その可能性もあるね、お姉ちゃん」


律「じゃあ装備も整ったし、北に向かってみるか?」


唯「ようし!新大陸だあー!」


律「未知なる世界が私を待ってるぜー!!」
244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:08:11.77 ID:s6qXEhGz0
…………


律「んー?なんかこの辺り見覚えがないか?」


紬「そうね、ここって……」


唯「サンタローズとアルカパの近くだよ!ほら!あれ!サンタローズ!!」


澪「ほ、本当だ!」


憂「行ってみようよ!お姉ちゃん!」


梓「な、なんか感慨深いですね……!」


唯「あ、ドラキーが仲間になったよ!次は憂だよね?」


憂「ドラキーも可愛いよね、じゃあ、ドラッチで!」


梓(良かった、まだまともだ……)
245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:09:01.94 ID:s6qXEhGz0
…………


唯「え……?な、なにこれ……?」


ヘンリー『なんだこのさびれた村は…えっホウカゴの村だって?…なんか聞いてたのとずいぶん感じがちがうなあ』


澪「いや、昔はこんなんじゃなかったよ、こんな廃村みたいな……」


律「……まるで何かに襲われたみたいになってんな……」


憂「!お、お姉ちゃん、そういえばサンチョさんは!?」


唯「!!そ、そうだよ!サンチョは……!」


紬「…………なに、これ……」


梓「い、家が……」


澪「他の家も酷いけど……ホウカゴの家が一番酷くやられてるな……」


憂「誰がこんなことしたんだろう……」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:09:33.55 ID:s6qXEhGz0
唯「あ、階段……地下室は、残ってそうだね……」


憂「お姉ちゃん、毒の沼があるよ……」


唯「いいよ、回復すれば……ここを下ったらさ、妖精の国に繋がって……」


澪「あ……」


紬「これって……」


憂「ベラちゃんがくれた桜の枝……」


唯「ベラちゃん……会いたいね……」


憂「そうだね……お姉ちゃん……」
247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:10:23.92 ID:s6qXEhGz0
…………


シスター『その昔、ここはとても美しい村でしたのよ。しかしある日 ラインハットの兵士たちが村を焼きはらいに来て……』


紬「え……?」


澪「ラインハットの兵って、嘘だろ?」


シスター『ひどい!ひどいわ!パパスさんのせいで、王子さまが行方不明になっただなんて!』


梓「!!」


憂「そ、そんな!」


シスター『あらごめんなさい。あたしったら急にとりみだしたりして…。見ず知らずの人にパパスさんの話をしてもしかたなかったですわね……。え?パパスさんを知ってる?あなたの父親ですって?そんなっ…!でも確かにあの時の坊やのおもかげが…。ホウカゴ!ホウカゴなの!?』
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:11:00.95 ID:s6qXEhGz0
唯「うんっうんっそうだよ!シスター!ホウカゴだよ!!」


紬「良かった……やっと、ホウカゴちゃんを知っている人に会えたわね……」


『そうだったの…。そんなことがあってパパスさんはもう…そして、パパスさんに代わってホウカゴがお母さまをさがしだすつもりなのね。ああ、どうかホウカゴに幸運を…神さま!』


ヘンリー『ラインハットの兵士が、村を焼き払っただって?お前の親父さんのせいで、オレが行方不明だって…?す…すまないホウカゴっ。こんなことになってるなんて、オレ思いもしなかった…』


憂「そんな、ヘンリー王子のせいじゃないのに……」


澪「……でも、確かに状況を考えたら……そう考えてしまうことも、自然なのかもしれない……」


紬「けど、だからって村の人達に罪なんてないわ!」


律「そうだよ、村を襲うなんてとんだお門違いだ。……ヘンリーが責任を感じるのだってな」


『…………………』
ヘンリーはうつむいてくちびるをかみしめている…。
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:11:38.69 ID:s6qXEhGz0
…………


唯「あ、りっちゃん、この洞窟懐かしいね」


律「最初の冒険はここだったよな、私達にとっても、ホウカゴにとってもさ」


澪「でも、パパスの後は追いかけられなかったんだよな、おじいさんが通せんぼしていて」


紬「あ、良かった……おじいさん、無事みたいよ」


澪「本当だ、しかも今は通れそうだぞ」


憂「洞窟の奥に大事なもの……だって、お姉ちゃん、行ってみようよ」


唯「うん!もちろんだよ憂!」


ヘンリー『オレもさがすぞ!なんでもいいからホウカゴの手伝いをさせてくれよ』


唯「もちろん!一緒に行こう!ヘンリー!!」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:12:08.12 ID:s6qXEhGz0
…………


澪「子供の頃と違って、なかなかモンスターが手強いな」


唯「トンちゃんが結構強いね……」


梓「ガメゴンです」


唯「トンちゃんは仲間にならないのかなあ?」


梓「だからガメゴンです!!」


憂「あれ?なんか銀色のスライムだよ?」


澪「本当だ、メタルスライムだって」


律「へえ、色違いか。強いのかな?」


メタルスライムは にげだした!


紬「あら?逃げちゃったわ」


律「澪みたいだな」


澪「なんでだよ」
251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:13:21.75 ID:s6qXEhGz0
…………


律「それにしてもさ」


澪「ん?」


律「子供の頃のエピソードはさ、お化け退治に妖精の国に、ファンタジー要素が強めだったけど」


澪「そうだな」


律「大人になった途端、宗教に、政治的な要素に、なんかいきなり現実的になったよな」


紬「そうね……」


澪「律にしては鋭い観点だな」


律「おい」


梓「なんかその辺、ちょっと現実の私達の世界とも近いですよね」


唯「……」


梓「今も、こうしてみんなといて、部活したりゲームしたり、一緒にいられますけど、大人になって社会へ出たら……」


唯「でも、私達はいつも一緒だよ!」


律「唯……」


憂「お姉ちゃん……」


唯「今も、今までも、これからも、ずーっと、一緒!」


梓「先輩」


紬「うふふ」


律「……ははっ。そうだな!」
252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:14:01.81 ID:s6qXEhGz0
唯「あ!またメタルスライム!」


律「どうせまた逃げちゃうんじゃないか〜?」


紬「唯ちゃん、私にやらせてみて?」


唯「ほい!ムギちゃん!」


紬「とりゃ〜!!」


かいしんの いちげき!
メタルスライムに 85の ダメージ!
メタルスライムを たおした!


唯「おお!」


憂「紬さん、凄い!」


紬「やったっ♪」


ホウカゴたちは それぞれ 1350の けいけんちを かくとく!!


律「って経験値たっか!」


澪「なるほど、すぐに逃げるのはこういうことだったんだな……」


憂「倒しにくいから、それだけ経験値を貰えるんですね」


唯「お手柄だよ〜ムギちゃん〜」


紬「えへへっ」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:14:48.73 ID:s6qXEhGz0
なんと! メタルスライムが おきあがり なかまに なりたそうに こちらをみている!


紬「あら?」


律「お!しかも仲間になったじゃん!」


澪「スライム系は仲間になりやすいのかな?ぷるんもすぐ仲間になったもんな」


唯「おお〜、銀のスライムも可愛いねぇ〜」


梓「名前もムギ先輩の番ですよ!」


紬「え?ど、どうしようかしら……何も考えてなかったわ……」


憂「ゆっくり考えて良いですよ、紬さん」


紬「ありがとう、憂ちゃん。……じゃあ……めるめるなんてどうかしら……?」


唯「おお!かわいいよムギちゃん!」


澪「ぴったりな名前だな!」


憂「紬さんらしいお名前ですね♪」


紬「えへへ〜」


律梓「…………」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:15:18.83 ID:s6qXEhGz0
…………


律「仲間になったのは良いけど、めるめるはちょっと弱いな……」


澪「そうだな、すばやさとみのまもりはなんか物凄く高いけど、HPがな……」


紬「あんなに臆病なんだもの、戦わせるのは可哀想だわ」


憂「そうですね、きっと戦うの嫌いなんですよ」


唯「馬車でくつろいでてもらおうよ〜」


梓「ペット感覚ですね……」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 10:16:19.37 ID:s6qXEhGz0
…………


唯「あ、なんか剣が刺さってるよ!」


憂「わあ、なんだかかっこいい剣だね!」


澪「手紙みたいなものもあるぞ、なんだろう?」


梓「唯先輩、先に手紙を見てみましょう!」


唯「そうだね!」


“ホウカゴよ。お前がこの手紙を読んでいるということは、何らかの理由で私はもうお前のそばにいないのだろう。

すでに知っているかもしれんが、私は邪悪な手にさらわれた妻のマーサを助けるため 旅をしている。

私の妻、お前の母にはとても不思議なチカラがあった。
私にはよく分からぬが、その力は魔界にも通じるものらしい。

たぶん妻は、その能力ゆえに魔界に連れ去られたのであろう。

ホウカゴよ!伝説の勇者をさがすのだ!
私の調べたかぎり魔界に入り邪悪な手から妻を取り戻せるのは…

天空の武器と防具を身につけた勇者だけなのだ。
私は世界中を旅して天空の剣を見つけることができた。

しかし、いまだ伝説の勇者は見つからぬ…。

ホウカゴよ!残りの防具をさがし出し、勇者を見つけ、そしてわが妻マーサを助け出すのだ。

私はお前を信じている。たのんだぞ、ホウカゴ!”
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 12:04:40.65 ID:bIE+k3+A0
メタリンってロビンやバトラーと同じ確率だったな
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 12:15:27.80 ID:hb6b7PA3O
あ〜鬱ポ通るたびに心が痛むわ〜

次の鬱ポはカボチか
個人的には子供ら出来てから連れてきた方が現実直視させられて好きなんだけど

あと子供ら居る方が多少救いがあるし
258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 18:56:06.78 ID:s6qXEhGz0
唯「お父さん……お父さん……」


憂「お父さん……こんな風に手紙を残すっていうことは……」


律「……自分の身に何か起こるかもしれないって予感していたのかもな」


紬「ホウカゴちゃんのお母さんは、まだ生きているのね、良かった……」


梓「天空の装備と伝説の勇者。これがお母さんを助け出す鍵なんですね」


澪「なあ唯、ひょっとすると、天空の装備は、ホウカゴが装備するんじゃないか!?」


律「そうだな!主人公だし、伝説の勇者ってホウカゴのことなんだよ!」


唯「きっとそうだね……」


憂「じゃあ、この剣も持っていこうか、お姉ちゃん」


唯「うん!」


ホウカゴは天空の剣を手に入れた!


律「よし!じゃあ早速装備を……!」


…しかし剣を持つ手に力が入らず身体がなまりのように重くなった。ホウカゴは天空の剣を装備できそうにない…


唯「えーー!?」


澪「ホウカゴは伝説の勇者じゃないのか!?」


梓「主人公なのに……?」


律「うーん、これはちょっと残念だな……」


ヘンリー『お前なら……って思ってたんだけど』


憂「うん、私もだよ……」


ヘンリー『魔界に天空の剣に伝説の勇者か…。まったくとほうもない話だぜ。だがあの手紙を読んだからには天空の防具と勇者をさがすんだろうな。とりあえずさがしものは見つかったし、村へもどるとしようぜ』
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 18:56:49.84 ID:s6qXEhGz0
…………


『なんと洞くつで天空のつるぎというのを見つけなされたか?しかしその剣は勇者にしか装備できぬと。なるほどのう…』

『かつてパパスどのが、なぜ自分に装備できぬかとなげいておったのはその剣じゃったのか』

『パパスどののあんなにくやしそうな顔を見たのはその時が初めてじゃったのう』


唯「お父さんも悔しかったんだね」


澪「そうだな、今の私たちと同じように……な」


ヘンリー『あれだけ強かったお前の親父さんでも装備できなかったなんてなあ……やっぱり伝説の勇者にしか装備できないっていうんだから、特別な資格が必要なんだろうか』
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 18:57:25.69 ID:s6qXEhGz0
…………


紬「ねえ唯ちゃん、せっかくここまで来たんだし、次はビアンカちゃんに会いに行きましょうよ」


律「そうだな。ちょっと重い話が続いて気が滅入りそうだし、ビアンカに会って気分転換しようぜ」


唯「うん!私もそう思ってたよ!」


ヘンリー『ビアンカって、ホウカゴが前に言ってた幼なじみのことか。元気でいるといいな』


梓「ホウカゴってセリフが出てこないから無口に見えますけど、ちゃんと喋ってるんですね」


憂「そうだね、どんな性格なのかな?喋ってる所が見れないのは、ちょっと残念かも」
261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 18:58:23.25 ID:s6qXEhGz0
…………


律「うわー、なんか懐かしく感じるな……」


澪「ほんとだな、ゲームの中なのに、ちゃんと時間の流れを感じるよ」


唯「ビアンカー!今から行くからねぇ〜」


紬「懐かしいわ……きっと綺麗な女の人になっているんでしょうね」


唯「……あれ?でも、ビアンカいないね?」


澪「宿の中はそんなに変わっていないみたいだけど……唯、色んな人に話し掛けてみよう」


『あたしら夫婦は、7年ほど前ダンカンっていう人からここを買い取って宿を始めたのさ。ぜひ2回以上お泊まりになってあたしに声をかけてちょうだい。記念品をさしあげちゃうよ』


唯「ええ!?じゃあビアンカはもうこの街にはいないの!?」


律「期待してただけに、これは辛いなー」


ヘンリー『7年前か…そりゃずいぶん昔の話だな。ホウカゴ、ガッカリすんな!お前ならいつかきっとビアンカちゃんに会えるさ』


憂「ねえお姉ちゃん、せめて、ビアンカちゃんがどこに引っ越したのか知ってる人がいないか探してみようよ!」


梓「そうだね!先輩、きっと知ってる人がいますよ!」


唯「よ、ようし!聞き込み再開!」


律「ところで記念品ってなんだろな?」


澪「それは後で良いだろ。今はビアンカが先だよ」
262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 18:58:54.67 ID:s6qXEhGz0
…………



『わしは昔この宿をやっていたダンカンさんの知り合いでの、久しぶりに会いに来たのじゃ』


唯「おお!早速手掛かりはっけん!」


『けどダンカンさんは身体を悪くして宿屋をやめ、はるか海の向こうの山奥の村に引っ越して行ったらしい。あのかわいい娘さんにも会いたかったのう。ざんねんじゃわい…』


ヘンリー『そうだったのか…ざんねんだったなホウカゴ。オレもお前のよろこぶ顔が見られなくてざんねんだったよ…』


紬「ダンカンさん、お化け退治の時にも体調を崩していたわよね?引っ越したのが7年前で……元気だといいけれど……」


澪「はるか海の向こう、か。今はまだ会えなさそうだな、残念だけど……」


憂「残念だよぉ、お姉ちゃん……」


唯「そうだね憂……」
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 18:59:32.02 ID:s6qXEhGz0
…………


律「まあ、ビアンカはいないけど、せっかくここに来たし泊まってかないか?」


澪「そうだな、ホウカゴにとって思い出の場所だし、回復もしておきたいしな」


憂「ビアンカちゃん、元気だと良いですね」


唯「今夜はビアンカの夢を見そうだよ……」


梓「私たちが寝るわけじゃないんですから……でも、ホウカゴはビアンカの夢を見るかもしれないですね」
264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 19:01:27.62 ID:s6qXEhGz0
…………


ホウカゴはふと目が覚めた。
ヘンリーが何か考えごとをしているようだ。


唯「おや?」


澪「ヘンリーも色々思うことがあって眠れないんだよ、きっと」


ヘンリー『起きたのか?ホウカゴ。いや ちょっとお城のことを思い出していてね…』


律「自分の国だもんな。そりゃ気になるよな……」


梓「サンタローズの件もありますしね……」


ヘンリー『街の人に聞いたけど 親父が死んでいたなんて ちょっとショックだったな…弟のデールが王になったらしいけど あんまり評判もよくないみたいだし』


梓「ゲレゲレをいじめていた二人組がそんなこと言ってましたよね」


律「あの二人も大きくなってたよな、そういえば」


ヘンリー『ちょっとだけ帰ってみるかなあ…ラインハットはここから東の方だったよなあ……。まあいいや。今夜はもうねよねねよう!」
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 20:30:00.31 ID:vjVHD0cXO
けいおんもドラクエも懐かしいな
面白いので頑張って完走してほしい
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 22:02:01.53 ID:s6qXEhGz0
…………


梓「先輩、ヘンリー王子の為に、ラインハットに行ってあげましょうよ」


唯「あずにゃん気が合うねぇ〜、私もそう思ってたよ!」


ヘンリー『あの国のことは忘れるつもりだったが……なかなかそうもいかねえや』


紬「そうよね、当然だわ。生まれ育って、思い出に溢れた場所を忘れてしまうなんて、そんなこと簡単に出来るわけがないわ」


律「例え嫌なことが多かったとしても、思い出は思い出だもんな。早くラインハットに行ってやろうぜ」


ヘンリー『親父があの後ながくなかったなんて……。できればもう一度会って話したかったんだけど……まあしかたないな』



憂「ヘンリー王子、きっと辛いよね、お姉ちゃん」


唯「うん。もし私だったらって考えると、すっごく苦しくなって来ちゃうよ……」


ヘンリー『もう日が暮れちまったか。でも先を急ぎたいな…。ホウカゴたのむぜ!』
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 22:02:56.62 ID:s6qXEhGz0
…………


澪「関所か、ここも懐かしく感じるな」


唯「お父さんと一緒にここを通ったよね……」


紬「あの時は、まさかもう目の前にお別れの時が迫っているなんて思いもしなかったわよね」


律「唯、パパスの敵は絶対に取ろうな」


唯「うん!もちろんだよ!りっちゃん!!」


ヘンリー『川をはさんで向こうはもうラインハットの国だ。風のにおいは昔と変わらないな』


梓「なんていうか、解放されてからのヘンリー王子の言葉には、凄く哀愁が漂っていますよね」


紬「それだけの経験をしてきたんだもの、仕方がないわ」


兵士『ここから先はラインハットの国だ。太后さまの命令で、許可証のないよそ者は通すわけにいかぬぞ!』


唯「えぇ〜、そん……」


ヘンリーは 兵士に ゲンコツをした!


澪「!」


律「おー!?」


兵士『あたっ!!』


ヘンリー『ずいぶんえらそうだな、トム!』
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 22:03:34.63 ID:s6qXEhGz0
兵士『あいたた!タンコブが……。無礼なヤツ!何者だっ!?どうして私の名前を???』


紬「うふふ、なんか、やんちゃだったころのヘンリー王子みたいね」


梓「なんだかほっとしますね」


律「いきなりゲンコツなんて澪みたいだなー」


澪「やってやろうか?」


律「No thank you……」


ヘンリー『あいかわらずカエルは苦手なのか?ベッドにカエルを入れておいたときが いちばんけっさくだったな』


澪「ベッドにカエルなんて律みたいだな」


律「やってやろうか?」


澪「No thank you……」
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 22:04:20.99 ID:s6qXEhGz0
兵士『ヘンリー王子さま!ま、まさか生きておられたとは…。おなつかしゅうございます!思えばあの頃が楽しかった。今のわが国は…』


ヘンリー『なにも言うな、トム。兵士のお前が国の悪口を言えば、なにかと問題が多いだろう』


兵士『はっ………』


ヘンリー『通してくれるな?トム』


兵士『はい!よろこんで!』


紬「ヘンリー王子の言葉、とても御立派ね」


憂「やっぱり、いじけちゃってただけで元々優しい人だったんですね。王族なのに、一介の兵士さんを思いやる気持ちがあるなんて」


梓「教養を感じる言葉でしたね……つい最近まで奴隷をさせられていた人とは思えないです」


兵士『またこうしてヘンリー王子に会えるとは夢にも思いませんでした。あの頃は泣かされましたが、今となってはいい思い出ですなあ』
270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 22:05:06.26 ID:s6qXEhGz0
…………


唯「あ、ねえねえみんな、ここ!」


憂「お父さんに肩車してもらったよね……」


澪「……ホウカゴ、懐かしさと、そして辛さできっと胸がいっぱいだろうな」


律「変わらない川の流れと、目まぐるしく変わっていく環境か。私達も、きっとそんな風景をこれから何度も見ていくんだろうな」


紬「そうね……」
271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 22:05:50.57 ID:s6qXEhGz0
…………


唯「あ!スライムナイト!懐かしいねぇ〜」


梓「どんな乗り心地なんでょうかね、スライムって。つるつるしてそうですけど」


なんと! スライムナイトが おきあがり なかまに なりたそうに こちらをみている!


律「お!スライムナイトも仲間になるんだな!」


澪「まあ、騎士って感じで少し知的にも見えるからな」


憂「強いのかな?スライムナイト」


梓「敵としては結構あれこれしてきて面倒だったし、強いかもしれないね」


律「おーい梓、名前決めるの、次お前の番だぞー」


梓「へ?あ、そっか!」


唯「ブシにしようよ!あずにゃん!」


澪「いや、武士じゃなくて騎士だから……」


梓「そうですね……じゃあ、ナイトでお願いします」


唯「えぇ〜、何かふつう……」


梓「い、いいじゃないですか!とにかくこの子はナイトです!良いですね!」


唯「ちえ〜」
272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 22:07:14.30 ID:s6qXEhGz0
…………


律「さて、仲間もそれなりに集まってきてるな」


澪「スライム(ぷるん)、プリズニャン(アズサ)、ドラキー(ドラッチ)、メタルスライム(めるめる)、そしてスライムナイト(ナイト)か」


梓「ホウカゴちゃんとヘンリー王子は固定として、枠はあと二つですね」


紬「ぷるんちゃんとめるめるちゃんは、可愛いけど戦わせるのが可哀想よね……」


唯「アズサは結構強くない?」


梓「悔しいですけど、確かに強いです、プリズニャン」


唯「アズサだよ、あずにゃん」


澪「あんまり期待してなかったけど、言うことも聞いてくれるしメンバーに入れても良いと思う」


梓「じゃあプリズニャンも採用として、あと一枠ですね」


唯「あずにゃん、アズサだよ」
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 22:08:23.85 ID:s6qXEhGz0
憂「ナイトちゃん、使ってみませんか?」


律「うーん、でもまだ仲間に入ったばかりでレベルも1だからなあ」


憂「でもほら、ステータスも高いですし、見てください、もうホイミが使えます」


紬「あら、本当ね」


澪「これまではホウカゴしか回復魔法を使えなかったからな。これは心強いかもしれない」


律「ふーむ、これからの成長に期待しても良いかもしれないな。じゃあメンバーは、ホウカゴ、ヘンリー、アズサ、ナイトで良いな!」


紬「うふふ、なんだか梓ちゃんも一緒に戦ってるみたいね」


唯「かわいいよね〜♪」


梓「うう、だから嫌だったんです……」
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 22:23:50.26 ID:LlIRibnSo
>>1はいつ寝てんだ
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 22:27:35.28 ID:clfPFbnM0
俺が>>1の代わりに寝てるんだよ
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 22:46:56.26 ID:s6qXEhGz0
…………


ヘンリー『もうここに戻ることはないと思ってたんだが…とうとう来ちまったな』


澪「見たところ街に変わりはない……かな?」


律「いや……見ろよ、ほら、掘の前」


梓「あれって、神殿にいた奴隷……ですか?」


『どうかおめぐみを……もう3日も何も食べていないんです』


唯「ええ!?そんな!私だったら死んじゃうよ!!」


憂「お姉ちゃん、助けてあげよう?」


唯「もちろんです!」


『あ、ありがとうございます……このご恩は一生忘れません』


唯「たった5ゴールドで良かったのかなあ……?」


律「1ゴールドって、日本円でいくらぐらいなんだろな?」


梓「宿代もバラツキがありますし、なんとも言い難い所ですよね」


紬「あんな貧困に陥ってしまう人がいるなんて、やっぱりラインハットに何か起きているんだわ……」


ヘンリー『オレもドレイになってすぐは空腹に泣かされたよ。腹がへるって本当につらいよなあ』
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 23:00:50.25 ID:s6qXEhGz0
…………


律「高い金を払って強い兵士を集めてる……か、怪しいな」


憂「それで税金を高くして国民が苦しむなんて……」


ヘンリー『そうまでして強い兵士を集めるなんて戦争でも始める気かよ!?…いや、その通りなのか?だとしたら何としてでも止めなくちゃ……』


梓「唯先輩、そろそろお城に入ってみましょう」


澪「前国王が亡くなってから国がおかしくなったってことは……悪政を働いてるのはヘンリーの弟ってことになっちゃうもんな」


律「でも、関所でも聞いたけど怪しいのは怪しいのは太后って奴だよ。昔いた、あの感じの悪い王妃のことだろ?」


唯「とりあえずお城にいってみるっす!」


ヘンリー『ちょっと待ってくれよ。言っておくけど、とりあえず事情が分かるまで、オレが誰かはナイショにしておこうと思うんだ。しばらくは、オレはただの旅人だぜ。さあ行こうか』


律「だってさ、みんな」


六人「了解!!」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 23:01:28.66 ID:s6qXEhGz0
…………


澪「うーん、あの兵士、奥に入れてくれそうにないな」


唯「やっぱりヘンリーが王子様だって教えてあげた方が良いんじゃないかなー?」


澪「それは嫌だってヘンリーが言ってただろ?」


唯「えぇ〜だってぇ」


紬「ヘンリー王子は、王妃様に邪険にされていたわ。そして、ヘンリー王子がいなくなって、自分の思惑通り弟のデールさんが王位を継いだ」


憂「そして今、突然ヘンリー王子がお城に現れたら……」


律「……あまり良い想像は出来ないよな」


唯「じゃあどうするのー?」


憂「街の人で、何か知ってる人はいないのかな?もう一回お話を聞きに行ってみる?」


唯「うーん、憂がそう言うなら行ってみようかなあ……」


ヘンリー『おい!このままひきさがるつもりなのか?といっても、城の奥に入れなきゃしかたないか……』


唯「そうだよヘンリー」


ヘンリー『いや、まてよっ!たしかこの城には、外から中に入れる抜け道があったはずだ。抜け道の入り口はどこだったっけなあ……。水路があやしかったよなあ……』


紬「抜け道……そうね、お城なら、そういう通路は当然あるはずよ!」


律「ちなみにムギの家には?」


紬「あるわよ?」


六人(あるんかい……)
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 23:39:46.32 ID:TLSQQKRPO
六人じゃなくて五人じゃない?
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 00:26:07.90 ID:CVg/T8rq0
>>278

六人(あるんかい……)×
五人(あるんかい……)○


…………


律「と言っても、抜け道はどこにあるんだ?」


唯「それならヘンリーがきっとわかるよ〜、なんたってヘンリーのお城だもん!ね!ヘンリー!」


ヘンリー『抜け道ってふだん使わないから、どこだったか忘れちまったよ。昼間は見えにくい場所にあったような気がするんだけどな』


唯「な、なんですと!」ガビーン


憂「ま、まあヘンリー王子がお城にいたのは小さい頃だし……10年も経ってるんだし仕方がないよ、お姉ちゃん」


律「昼間は見えにくい所……か、こういう謎解きは我らが誇る名探偵二人に任せて、私はちょいとお茶でも……」


憂「あそこですね、紬さん」


紬「ええ、間違いないわ、憂ちゃん」


律「ってはえーなおい!」
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 00:26:34.20 ID:CVg/T8rq0
>>279
ありがとう
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 00:27:16.98 ID:CVg/T8rq0
…………


澪「橋の下……か、よくわかったな二人とも」


紬「うふふ」


憂「たまたまですよ〜!」


唯「でもここ、行き止まりだね」


律「なんかスイッチみたいなのがあるぞ?それを踏むんじゃないか?」


唯「どらどら?」カチッ、ズーーン


唯「おお!ほんとだ!凄いりっちゃん!名探偵!!名探偵りっちゃん!!」


律「どうだ私だって負けてないだろー!?」


唯「いよっ!日本一!」


澪(幸せそうな奴ら……)
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 08:13:46.61 ID:CVg/T8rq0
…………


『おお!よくぞ来てくれた!わらわはこの国の太后じゃ!早くわらわをここから出してたもれ!』


唯「ふえ?」


梓「太后って、凄い権力を持ってるってお城の人言ってましたよね?どうしてこんなところに……」

  
『どうした?わらわが太后だと信じられぬと申すかっ?ええいはがゆい!』


律「でもこのムカつく言い回しは、本人な気がするけどな」

  
『たしかに10年前、ヘンリーをさらわせ亡き者にさせたのはわらわじゃ』


唯「な、なんと!」


律「やっぱりな……」


『しかしそれも、わが息子デールを王にさせたかったあわれな親心から……今では本当に悪かったと改心しておる』


紬「……」

  
『だからお願いじゃ。わらわをここから……うっうっうっ』


ヘンリー『どういうことだ!?あれはどう見ても太后…オレの義理のオフクロじゃないか。なんで城の中でふんぞり返ってるはずの女がこんな地下牢にいるんだ!?』


律「なあムギ、今悪政を働いてる太后ってもしかして……」


紬「ええ、きっと偽物よ」


唯「じゃあ、ここにいるのが本物の太后さん……?」


梓「……こんな姿を見ちゃうと、少し可哀想って思っちゃうけど、でも」


澪「この人のせいで、ホウカゴとヘンリー王子は奴隷にされて、そしてパパスは……」


六人「……」
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 08:14:31.45 ID:CVg/T8rq0
…………


唯「あ!お城の中に入れたよ!」


律「中庭か。ここに繋がってたんだな」


憂「あ、お姉ちゃん、わんちゃんがいるよ!」


唯「まぁまぁまぁよーしよしよし」


『ガルルルルー!!!!』


唯「ええ!?」


…………


ヘンリー『まさか城の中庭に魔物が放されてるなんてな。犬だと思ったから油断したぜ』


唯「うう、わんちゃんとドラゴンキッズじゃえらい違いだよ……」


梓「まあ確かにちょっとかわいいですけど、見間違えないですよね、普通……」


澪「羽生えてるしな……」


『あら、あなた見かけない顔ね。新しくやとわれた人でしょ。だったら教えてあげる。この国の王はデールさま。でも実権は、デールさまの母上太后さまがにぎっているのよ。くれぐれも太后さまにさからわないことね。でないとクビがとぶわよ』


澪「やっぱり城にはちゃんと太后様がいるんだな」


紬「今実権を握っている方が偽物だということは、まず間違いないと思うわ」


律「けど、その偽物って一体なんなんだろうな?」
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 08:15:09.69 ID:CVg/T8rq0
紬「ねえりっちゃん、ヘンリー王子が連れ去られたのって、このラインハットの近くにある神殿だったわよね?」


律「ん?ああそうだな」


憂「そして、そこに現れたのはゲマで、ゲマは光の教団の手先だった」


澪「つまり、今ラインハットを乗っ取っているのは光の教団ってことか?」


憂「城内に、明らかに魔物の兵士がいましたし、きっとそうだと思います」


梓「そんな、ヘンリー王子の国が光の教団なんかに……」


澪「やっとの思いで光の教団から解放されて、ようやく辿り着いた故郷にも同じ組織の手が回っていた……か」


律「本当にそうだとしたら、生々しいというか、胸くそ悪い話だよな……」
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 08:15:40.79 ID:CVg/T8rq0
唯「あそこにいるのがデールかな?」


紬「大きくなってるけど、きっとそうね」


デール『………………………。そこにいる大臣から聞いたであろう。今日は誰とも話したくないのだ。さがるがよい』


唯「え?大臣?」


梓「普通にスルーしちゃいましたね」


澪「うーん、でも話を聞いてくれる雰囲気じゃなさそうだな」


ヘンリー『ですが王さま。子分は親分の言うことを聞くものですぞ』


梓「!」


唯「おお!ヘンリー!」


デール『…………!!そんな……。まさか…………。おい大臣!私はこの者と話がある。さがっておれ!』
287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 08:16:21.79 ID:CVg/T8rq0
…………


唯「さっきのヘンリーのセリフ、なんかかっこよかったね〜!」


律『ですが王さま、子分は親分の言うことを聞くものですぞ!』


唯「そう!それそれー!」


唯「月曜日学校行ったら早速使ってみよーっと!」


律「私も私もー!」


澪「誰にどういうタイミングで使うんだよ……」
288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 08:17:24.50 ID:CVg/T8rq0
梓「ねえ憂、デール王は不思議な鏡の伝説って言ってたけど、なんなのかな?」


憂「うーん、まだちょっと情報が少なすぎるから、倉庫の本棚に行ってみようよ!」


澪「不思議な鏡か、どんな鏡なんだろうな?」


律「!」


澪「?律、どうした?」


律「わかったかもしれない……!」


澪「え、ほんとか!?」


律「ああ、澪、ちょっと耳を……」


澪「なんだよ、みんなにも教えてやればいいのに。ほら、聞かせろよ」


律「……かがみ」


澪「え?」


律「ム ラ サ キ カ ガ ミ」


澪「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 08:18:02.80 ID:CVg/T8rq0
…………


”○月×日。今日、この城の旅の扉より南の地におもむく。

”南の地には古き塔あり。真実の姿をうつしだす鏡がまつられていると聞く。

”しかし塔の扉は、我には開かれず。そのカギは修道僧が持てり”


澪「真実の姿を映出す鏡、か」


梓「なるほど、その鏡を使って、偽物の太后の正体を暴くんですね!」


紬「旅の扉はこの先にあるのね」


澪「よし、行こう!」


唯「ね、ねえりっちゃん、澪ちゃんになんて言ったの……?」


律「ゆ、ゆい、教会に……連れていってくれぇ……」


澪「私が20になるまで棺桶に入ってろ!!」
290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 08:18:47.75 ID:CVg/T8rq0
…………


唯「凄いね!全く違う場所に来たよ!」


梓「なるほど、だから旅の扉っていうんですね」


唯「良いなぁ〜、私の部屋と学校にも置きたいな〜、旅の扉」


澪「いや、そんなの旅の扉って言わないから」


紬「南にあるのが不思議な鏡が置かれている塔ね」


憂「でも、修道僧がいないと開かないって書いてありましたよね?」


唯「あ、ねえねえ、ここ、樽で流されてきた修道院じゃないー?」


律「お、ほんとだ、この辺りに繋がってたんだな」


唯「おお、りっちゃんふっかつ!」


紬「ねえねえ唯ちゃん、もしかしたら、修道院の人なら塔の鍵について知ってるんじゃないかしら?」


律「おお、それだな!ムギ」


澪「ヘンリーもマリアに会いたいだろうし、行ってみようか」
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 08:19:23.04 ID:CVg/T8rq0
…………


マリア『まあ!神さまが私の願いを聞きとどけてくださったのかしら。ホウカゴさまとヘンリーさまにはまたお会いしたいと…。ぽっ。ええ。私は元気です。皆さんとてもよくしてくださるし…』


唯「ぽっ、だって、ねえねえ、マリアちゃんってホウカゴのこと好きなのかな?」


梓「このリアクションは、そうかもしれないですね」ドキドキ


憂「な、なんか照れちゃうね」ドキドキ


澪「でも、ヘンリーは複雑かもな……」


紬「そうね、澪ちゃん」


澪「あ!ムギもヘンリーの気持ちに気が付いてたんだな!」


紬「もちろんよ、澪ちゃん!10年も一緒にいたんですもの。男の子同士だって良いと思う!」


澪「……へ?」
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 10:53:36.86 ID:CVg/T8rq0
…………


マリア『ここが神の塔ですね。私、ここに来るのは初めてなんです。私でお力になれるとよいのですが……』

マリアはひざまずき、手を合わせ天に祈った…。
なんと扉が開いた!


唯「おお!開いたよみんな!」


律「神につかえる乙女かー、確かにマリアが適任だよな」


唯「でも、ムギちゃんも開けられそうだよね」


紬「え?そ、そうかしら?」


澪「いや、洗礼を受けて、ちゃんと修行すれば私達全員開けられるんじゃないか?」


梓「ですね」


唯「え?なんで?」


憂「そ、それは、アレだよ、お姉ちゃん 」


唯「えー?」


律「少なくとも私と唯は乙女って柄でもないしなー、洗礼を受けてもダメなんじゃないか?」


澪「いや、だから多分、乙女って意味合いが……」


唯「???」


律「???」


澪「だ、だから……ゴニョゴニョ」


律「……」


唯「……」


唯律「!!」ボンッ
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 10:54:14.50 ID:CVg/T8rq0
…………


律「ま、全くそんなことが理解出来ちゃうなんてどどどどんな教育を受けていらっしゃるのかしらあ?」パタパタ


唯「う、憂も、そそそんな子に育てた覚えはないでござるわよ!」パタパタ


憂「えーそんなあ(涙)」


唯「な、なんか暑くなってきたねりっちゃん」パタパタ


律「そ、そうだな唯」パタパタ


梓「女子高生なんだし、それくらい察しましょうよ……」


律「全く梓がむっつりだったなんて……」


唯「全くあずにゃんたら……」


梓「んなぁ!?ち、違いますよ!」


律「澪は昔からそうだったけどさー……」


紬「あら、そうなの?」


澪「なっ!で、でたらめ言うな!」


律「中学の頃なんてさー、」


澪「〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」
294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 10:55:03.49 ID:CVg/T8rq0
…………


唯「りっちゃん、またまた大丈夫……?」


律「ゆ、ゆい……教会に……」


澪「ずっと棺桶に入ってろ!」


澪「……あら?あそこにいるのは……」


梓「あ!ゆ、唯先輩!」


唯「ほえ?」


憂「お姉ちゃん、あれって……」


律「誰だ……?何も聞こえねぇ、何も見えねぇ……」


唯「お父さんがいたよ、りっちゃん……」


ヘンリー『ホウカゴ、見たよな?』


唯「うん、見たよ、ヘンリー……」


ヘンリー『オレも……あの人の姿は忘れないぜ。するとあの女の人がもしかして…?』


マリア『そういえば、神の塔はたましいの記憶が宿る場所とも言われているそうです。だからこそ、すべてを見通すふしぎな鏡がまつられているのだとか…。今の幻影も、もしかしたら誰かのたましいの記憶だったのかもしれません』


紬「魂の記憶……パパスさんも、昔ここへ来たことがあるのかしら」


唯「一緒にいたひとは、多分お母さんだよね?お父さんとお母さんも、昔ここに鏡を探しに来たのかなあ」
295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 10:55:40.48 ID:CVg/T8rq0
…………


唯「なかなか手強いモンスターさんが増えて参りました」


澪「そうだな。こっちのレベルも上がってきてるとは言っても、気が抜けないな」


律「しかし憂ちゃんの読みが見事に当たったよなー、ナイトめちゃくちゃつえーじゃん」


梓「べホイミもすぐに覚えましたし、攻撃翌力もありますからね」


紬「アズサちゃんも優秀よ」


梓「……」


唯「そうだね、アズニャンのなめまわしとか、あまいいきとか、凄く便利だよ、べホイミだって覚えたし!」


梓「……」


律「アズサのなめまわしがなかなか便利なんだよなー、色んな敵に効くしな」


澪「なかなかバランスの良いメンバーに育ってきたよな」


憂「??梓ちゃん、急に黙っちゃってどうしたの?」


梓(うう〜、プリズニャンに代わるモンスター、早く仲間になってぇ…… )
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 10:56:21.48 ID:CVg/T8rq0
…………


唯「あ、ホイミスライムが仲間になったよ!」


律「お!これは回復役として活躍してくれるんじゃないか?」


紬「次に名前をつけるのは澪ちゃんね」


澪「あ、私か……」


唯「どうする?澪ちゃん」


澪「そうだな……(あのつぶらな瞳、青くてつるつるの顔?体?そしてあのうねうねした足?触手?そう、この子の名前は……)」


澪「る、ルンルン……」


律「」


梓「」


紬「素敵な名前ね、澪ちゃん!」


唯「よーし今日からキミの名前はルンルンだぁー!」


現在仲間モンスター

スライム(唯命名・ぷるん)
プリズニャン(律命名・アズサ)
ドラキー(憂命名・ドラッチ)
メタルスライム(紬命名・めるめる)
スライムナイト(梓命名・ナイト)
ホイミスライム(澪命名・ルンルン)
297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 10:56:56.48 ID:CVg/T8rq0
…………


澪「うーん、律、あそこ……」


律「通路がないな」


梓「奥にある宝箱にきっと鏡が入ってるんでしょうけど、どうやってあそこまで行くんでしょうね」


律「ムギと憂ちゃん、どう思う?」


憂「うーん。そうですね」


紬「ここまで特にヒントってなかったわよね?」


五人「うーん…………」


唯「あ、通れたよーみんなー」


律「へ?」


憂「え、お姉ちゃんどうやって!?」


唯「んー?なんかねー、右端歩いてみたら行けたよー」


澪「落ちてたらどうするつもりだったんだ」


唯「えー?だって悩んでたって仕方がないしー」


梓「それはそうですけど……」


紬「うふふ、こういうときは、唯ちゃんが一番頼りになるかもしれないわね」


憂「すごいよ!お姉ちゃん!」


唯「えへへー」


律「ま、何はともあれ、これでこの塔はクリアだな!」


ホウカゴは ラーの鏡を 手にいれた!
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 10:57:32.84 ID:CVg/T8rq0
…………



『いったいどうしたことか!2人の太后さまが会ったとたんとっくみ合いのケンカに!なんとか2人を引きはなしたが、王さまにもどちらがどちらか分からなくなったのだ!』


律「おー、なんかいきなり大変なことになってんなー」


デール『う〜ん、どちらが本物の母上だろうか……。兄上だけに苦労させてはとボクなりにやってみるつもりだったのに…。どうもボクのやることはヘマばかりだな』


律「おいおい……」


ヘンリー『あちゃ〜。自分から行動してみたらこの結果かよ。そういえば、あいつ昔からどんくさかったんだよな』


紬「自分なりになんとかしてみるつもりだったのね」


梓「その意気込みは良いと思いますけど……」


マリア『さあ、今こそアレを…!』


唯「ラーの鏡だね!よーし!」


律「いけー!唯!!」


唯「……」


憂「お姉ちゃん、どうしたの?」


唯「どっちに使えば良いんだろう……?」
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 10:58:25.76 ID:CVg/T8rq0
…………


太后(右)『デールや、この母が分からぬのですか?さあこっちへいらっしゃい」


ヘンリー『う〜ん。こっちが本物かな? なんかうす汚れてるし……。でも、オレが知ってるこの人はこんなにやさしそうじゃなかったな』


太后(左)『ええい!私が本物だとなぜ分からぬのかっ!このうすぎたない女を早く牢に入れておしまい!』


ヘンリー『ああ、あのヒステリックな声、子供のころを思い出すよ。こっちが本物かな?』


唯「りっちゃんどう思う?」


律「え?私?うーん、ヘンリーの言う通り左じゃないか?あんな感じだったじゃん」


唯「ムギちゃんは?」


紬「私は右だと思うわ。汚れているのは長く牢に入れられていた証拠じゃないかしら」


唯「じゃあ左が偽物だねー」


律「私に聞いた意味な」


唯「使い方はやくそうとかと同じでいいんだよね?ほいっ」


なんと鏡には 魔物の姿がうつし出された!
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 10:58:59.72 ID:CVg/T8rq0
梓「ムギ先輩大正解ですね!」


紬「たまたまよ♪」


澪「正体は魔物だったんだな……」


律「まさか自分達の国が魔物に支配されてたなんて、国民が知ったらショックだなこりゃ」


太后『そ、その鏡はっ!ええい正体がバレてはしかたがない!』


唯「わあ、変身したよ」


憂「というか、元の姿に戻ったって感じかなあ?」


ニセ太后『こうなったら 皆殺しにしてくれるわっ!』


律「げげ、ボス戦だ!」


澪「そういえばストーリーばかり追いかけていて、意識的なレベル上げはしてなかったな」


梓「唯先輩、大丈夫そうですか?」


唯「が、頑張ってみるよ……」


憂「危なくなったら助けるからね、お姉ちゃん!」
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/30(金) 10:59:38.25 ID:CVg/T8rq0
…………


澪「ふう、特に問題なく勝てたな」


梓「でも、これまでのボスと比べると少し戦いにくかったですね……ゲマは別ですけど」


律「ルカナンとかマヌーサの重要性が段々上がってきてるよなー」


紬「そうね、効果がある相手とない相手の見極めも必要かも」


憂「攻撃呪文もそうみたいだよ、お姉ちゃん」


唯「そうだね憂、こりゃ大変だあ」


澪「メンバー構成も、覚える魔法で流動的にして行った方がこれから便利かもしれないな」


唯「ということは、これからぷるんやめるめるの出番も回ってくるかもしれないねえ〜」


ニセ太后『おろかな人間どもよ……。オレさまを殺さなければこの国の王は世界の王になれたものを…。ぐふっ!』


唯「なんで最後吹き出したのかな?」


澪「いや、違うだろ」


梓「ていうか男だったんですね」


律「何年も女装してたのか……結構恥ずかしい奴だな、アイツ」


なんと太后さまはニセ者だった。
このウワサはまたたく間に国中にひろがり そして夜が明けた…。
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