他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
提督「霞にケッコンを申し込んだら意外にもOKを貰ってしまった」
Check
Tweet
1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 18:54:51.81 ID:dW4w7LEj0
艦これSSです
書き溜めしているので一気に投下します
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1521366891
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 18:55:35.33 ID:dW4w7LEj0
提督「やべえよやべえよ……とうとうお見合いの話がきちゃったよ……」
提督「母さんから珍しく電話が来たと持ったら早く孫の顔をときたもんだ」
提督「いやまあ確かに? 自分の息子がこういう下手したら死んじゃうかもしれない激戦区で指揮を執っているなら、そういう心配をしてしまうのも分かるけど」
提督「でも本人としてはまだ独身貴族でいたいんですわ」
提督「それに……」
筋トレグッズ、カメラ、フィギュア、酒瓶etc……
提督「こんな多趣味の奴を全部まとめて許容してくれる人なんているはずないしなぁ……」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 18:56:10.78 ID:dW4w7LEj0
提督「職場にいい人はいないかといわれてもここには艦娘しかいないしなぁ」
提督「ケッコンカッコカリなんてシステムもあるっちゃあるけど、これはどうもなぁ。戦力増強って割り切れればいいけどちょっと上は悪趣味だと思うよね、これ」
提督「しかし何もしなかったらお見合いの話が進んでしまう。……よし、ここは一つ演技をしよう。嘘も方便だ」
提督「『ケッコンを申し込んだがあえなく振られてしまってまだ傷心中だから今はまだお見合いとかは考えられない』……よし、こういう設定で行こう」
提督「……ん、母さんからメールが、ゲッ、わざわざ今週末お見合い写真持ってくるとか正気かよ! 職場の雰囲気も見ておきたいからって……こりゃ一芝居打つのも大変だぞ……」
提督「……しゃーない、確実に断られそうな子にケッコン申し込んで青葉に広めさせるか……」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 18:56:40.03 ID:dW4w7LEj0
提督「しかしあんまり接点もない子に申し込んでも効果は薄いだろうな。逆に金剛とかそこらへんに『あの娘にプロポーズの話が来るなら私にも!』と変な勢いが付きかねない。俺と長い付き合いでかつ俺をあまり好ましく思っていない子がベストか」
提督「となると……大井とかか? 練度も九十超えてるし俺のことは北上に近づく敵としか認識していないだろう」
ホワンホワン……
大井「はあ? 結婚してくれ? ……冗談も大概にしてください。酸素魚雷をブチ込みますよ?」
大井「さては私という外堀を埋めてから北上さんに近づこうと言う算段でしょう! そうはいくものですか!!」ガチャコン!
ホワンホワン……
提督「だめだ、冗談でも言ったら殺される」
提督「北上も俺を嫌ってはないだろう。よくて仲のいい男友達くらいにしか思っていないだろうしケッコンは断ってくれそうだが……大井にばれたら確実に殺される。却下だ」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 18:57:06.19 ID:dW4w7LEj0
提督「比叡はどうだ? ……いやダメだな、初対面の俺に先に金剛が着任していただけで主砲向けてきたような奴だ」
ホワンホワン……
比叡「私と結婚? ……はっ、さては金剛お姉さまを金剛お姉さまと呼べる私に嫉妬して、合法的に弟になろうと言う魂胆ですか!」
比叡「そんなことはさせません! 金剛お姉さまは私だけのものなんだからぁー!」
ホワンホワン……
提督「……うん、大井パターンに入りそうだ。単純に俺自身を嫌っているヤツじゃないと」
提督「となると……曙?」
提督「いや、曙はないな……。最初のころはともかく最近はなんか暴言に棘を感じない。というかあれは照れ隠しなんだよな。最近気が付いた」
ホワンホワン……
曙「っはぁ!? 私と結婚してくれ!? なにいってんのよこのクソ提督!!」
曙「……あ、あたしはすっっっっごい嫌だけど! クソ提督がどぉぉぉーーーーーーしてもって言うんなら、そ、それ、う、うううう受け取ってあああああげなくもな、ないわよ……?」
ホワンホワン……
提督「だめだ。悪態付きながらも受け取ってくれる未来しか見えない。くそっ、こんなことなら練度九十近くまで育成するんじゃなかった!」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 18:57:38.29 ID:dW4w7LEj0
提督「あ、なら満潮はどうだ。あいつも俺のこと……」
満潮『……あ……。おはよ、司令官。えっと……その、い……いい、朝ね」
満潮『……なによ、そんなに見て。……あ、ちょ、ちょっとまって!』
満潮『えっと……こ、この前の作戦指揮……前よりかは、マシになったと思うわ。……そ、それだけ!!』
提督「……」
提督「……ほかの提督からよく『満潮からのあたりがきつい』って話を聞くが、言うほどかぁ……?」
提督「思い返せばアイツが俺をボロクソ言うことなんかめったにないし、補給したら小さな声でお礼ちゃんといってくれるし……」
提督「満潮はだめだな……」
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 18:58:13.99 ID:dW4w7LEj0
提督「となるとのこされた道は……」
『ほら! シャキッとする! 背を伸ばして、寝癖! ちゃんと直しなさいなこのグズ!!』
『なんなのよこの作戦指揮は! アンタ私たちを沈めたいわけ? 違うならもっと頭を使って考えなさいなこのクズ!!』
『ったく、補給のタイミングおかしいったら! あーもう、服もボロボロじゃない……なに見てんのよこの変態! クズで変態とか救いようがないわ!!』
提督「……練度九十以上、俺がここに着任してから初めての建造で来てくれたから付き合いの長さも申し分なし」
『あーもう、なんでこんなバカの所に来ちゃったのかしら……なによ、何か言いたいならちゃんと目を合わせて言いなさいな!』
『なによこんな時間まで仕事しているの? 言っとくけどお疲れ様なんて言わないわよ。この程度の仕事がこんな時間までかかる自分の要領の悪さを呪いなさい』
『はぁ? それで逆切れ? だらしないったら!! いい? 半人前にも満たないような使えない司令官殿に教えてあげるけどね、教本に書かれていることだけが全てじゃないのよ! 常に臨機応変に、柔軟に、的確に俊敏に! 判断力と決断力が提督には必要なのよわかる? ほら! 目を逸らさずに聞きなさいな!!』
提督「そして確実に俺のことを嫌ってくれている相手」
ホワンホワン……
『はぁ? ケッコン? あたしに?』
『……あのねぇ……バカも休み休み言いなさいな。なに? 私を動揺させようとしてみたいってハラ? なら十分成功してるわよ』
『あんたがここまでのバカだとは思ってなかったからね! あたしをコケにするのも大概にしなさいなこのグズが!!』
ホワンホワン……
提督「……うん。あいつのことだから本気で呆れて武器も出さずに帰ってくれそうだ」
提督「霞にケッコンを申し込もう」グスッ(今まで言われた罵倒の思い出しと申し込んだ時の想像で半泣き)
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 18:58:44.48 ID:dW4w7LEj0
翌日
提督(今日の出撃には霞と青葉、そのほか適当に選んだ子を編成した)
提督(いつも秘書艦を務めてくれている叢雲には少し長めの遠征に行ってもらって人払いは完璧)
提督(青葉を入れたのは新聞で事の顛末を広めてもらうためだ。あいつのことだからこんなおいしいネタをほおっておくわけはないだろう)
提督(みんなが帰ってきて報告に来る、俺が霞には大切な話があるから残ってくれという、ドアの外に誰もいないか確認する俺)
提督(だがほんのわずか開いてるドア、これ幸いと覗く青葉、霞に告白するもあえなく振られる俺、新聞で俺の失恋が明るみとなる……)
提督(……ふふふ……完璧な作戦だ……。自分の策士っぷりが我ながら恐ろしいぜ)
<コンコン ハイルワヨ
提督(おっと、丁度帰ってきたか)「ああ、入ってくれ」
霞「……ふん、特に何もない平凡な出撃だったわ。全員無傷、補給するだけよ」
提督「ああ、それは何よりだ。今日はもうなにもないから補給が終わったら各自自由行動に入ってくれ……ああ、そうだ、霞は少しここに残ってくれ」
霞「はぁ? なんでよ、補給の後じゃダメなわけ?」
提督「ああ、俺としては非常に大切な用事だ……時間がかかるものじゃない、他の子たちはもう行っていいぞ。ああ、青葉」
青葉「は、はいっ?」
提督「大切な話なんだ。くれぐれも外で盗み聞きなんてするなよ?」
青葉「あ、あはは〜そ、そんなことするわけないじゃないですか〜。それじゃあ青葉、補給に行ってまいります!!」スタコラ
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:00:15.28 ID:dW4w7LEj0
キョロキョロ
提督(……あれ? マジで青葉帰っちゃった?? まずいぞ……流石に自分から振られたことを言いふらすのは……ん)
提督(あ、あの角からポニーテールが見える。ただ隠れてただけか……よし、他には誰もいないな。それじゃほんの少しだけ隙間を開けて……と)
霞「……で? 一体何の用事なのよ。そんなに人気を気にして。まさか重大なミスだとかがあったんじゃないでしょうね?」
提督「いや、そういうことじゃないんだ。……なあ霞、お前今練度いくつくらいだっけ?」
霞「はぁ? ……九十八だけど」
提督「もうそんなになったのか……思い返せばお前がうちの鎮守府に来たのは一番最初の建造の時だったよなぁ。初期艦の叢雲とお前の三人で最初は運営してたっけ」
霞「……ええ、そうね。その叢雲の練度はもう九十九で打ち止めになってるけど……なに、昔話がしたくて残したの? それなら補給と、アンタの仕事が全部終わったら付き合ったげるわ」
提督「ああ、いや、ちがうんだ。そういうことじゃなくてだな……」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:01:05.37 ID:dW4w7LEj0
提督(ああクソっ、振られるってわかってても緊張するな……)
霞「なによ、なにかあるならはっきり言いなさいな!! 男でしょうが!!」
提督(ええい、ままよっ!)
――――
青葉(ふふーん。あんなに好奇心のくすぶられること言われて引き下がるのはジャーナリストとして失格ですよ!)
青葉(しかしわざわざ外まで確認するとは大した念の入れようですね……これはきっととんでもない特ダネの予感!)
青葉(おやおや? 部屋のドアが微妙に開いてますね〜。こういう細かいところが雑なのも司令官らしいですが……今回はラッキーです!)
霞『はっきり言いなさいな!! 男でしょうが!!』
青葉(うひ〜! 流石我が鎮守府ナンバーツーの霞さん。司令官相手にもこの怒鳴り声とは……。でも一体何の話……)
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:01:39.89 ID:dW4w7LEj0
提督「霞! 俺と、ケッコンしてくれないか!」つ指輪
霞「!」
青葉(!?!?!?!?!?!?!?!?)
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:02:08.58 ID:dW4w7LEj0
青葉(あ、ああ、青葉見ちゃいました聞いちゃいました知っちゃいました!! 一生独身貴族やらインポテンツやら同性愛者やらと囁かれていたあの司令官がまさかのプロポーズ!)
青葉(で、でもなぜ霞さん!? 普段あれだけ罵倒されていますし……それに先に練度が最高になったのは叢雲さん……これは、青葉、気になります!!)
――――
提督(よ、よし……い、言ったぞ!! すっげえ心臓バクバク言ってる……いろいろ考えてたけど一気に頭真っ白になっちまった……)
霞「……」
提督(さあ、どうでる霞……。正直ビンタの一、二発くらいなら覚悟してる……ぞ……)
霞「……ふぇ……」ジワァ
提督「!?」
霞「うぇぇぇぇぇぇぇん!!!!!」
提督・青葉(ええええええええええええええええええええええええええええええ!?!????!?!?!?!?!?!?)
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:02:39.60 ID:dW4w7LEj0
提督「ちょっ、えっ、おまっ、霞! あれか! 泣くほど嫌だったか!! ごめんな! こんなものすぐ捨てるから!」
霞「うぇええぇえ!! えええぇえぇぇえぇぇん!!」ブンブンブン
提督「泣きながら腕にしがみつかれても分からんぞ!? 捨てちゃだめなのか!? わかった! 捨てないから! 捨てないからちょっと落ち着こう!! な!」
提督(やっべえ、霞が今まで見たこともないような顔で泣いてやがる……。予想外すぎてマジでどうしたらいいかわからんぞ!!)
提督「よーしよーし霞少し落ち着こう、な? 背中叩いてやるから……ほら鼻もかめ」背中ポンポン
霞「うぇっ……えぐっ……」鼻チーン
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:03:08.93 ID:dW4w7LEj0
提督(しばらく抱きしめて背中を叩いてやったらようやく泣き止んだ)
霞「……でよ……」
提督「ん?」
霞「……なんで、私、なのよ」
提督「あー、いや……その、霞とは付き合いも長いし、なんだかんだ面倒見てくれるし、これからもよろしく……的な」
霞「……じゃあ、別に私が好きだからとか、愛しているから渡した……ってことじゃないのね?」
提督(あっ、あれっ!? なんかまずい雰囲気? 心なしか俺の首に回された霞の腕の力が強くなったような)
提督「い、いやっ、そ……その気持もあるさ……。ただその、やっぱ口に出すのは恥ずかしいっていうか」
霞「ふーん……」
提督(よ、よし? 大丈夫か? ……いやダメじゃん。この空気もう成功しちゃったようなもんじゃん? あれ? 何俺霞と結婚すんの? ちょっと待てえーいやどうしよ)
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:03:46.54 ID:dW4w7LEj0
霞「ねえ、ちょっとこっち向きなさい」
提督「ん……っ!?」
霞「……っ。その、これが答えよ。……指輪、受け取ってあげるけど……アンタの口から先に言ってもらうまで私からアンタに好きだなんて言わないからね。覚悟なさい」
霞「……それと、さっき私が泣いたことは誰にも言わないようにね。……そこの出歯亀も、分かったかしら?」
<ガタタ リョ、リョウカイシマシタ! ソレデハ!
提督(え、今霞なにした? なんで今一瞬俺と霞ゼロ距離になったん? なんで俺の唇少し湿って俺の顔真っ赤になってんの?)
提督(あっ、青葉のこと完全に忘れてた……)
霞「ほら、シャキッとしなさいな! ……今日から私の、だ、旦那、に……なるんだから」
提督「え、あ、うん……そうだな」
提督(え、ちょ。……マジ?)
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:04:31.47 ID:dW4w7LEj0
提督「…………」
霞「なによ、頭なんか抱えて」
提督「……いや、なんでもない……」
提督(翌日目が覚めると何故か隣に霞が寝ていた)
提督(どうやら間違いはおこってないらしいが、聞くと夫婦は寝床を共にするものだ……と夜中にこっそり入り込んできたらしい)
提督(しかも青葉の新聞がでかでかと掲示板に張り出されていた。霞が泣いているところは書かれていなかったが……俺も口止めすりゃよかった……)
霞「なに、まだあの新聞のこと考えてるの? カッコカリなんてどうせすぐ分かるものでしょうに」
提督「いや、それはそうなんだが……」
<チョッ、マズイデスッテ! ハナシナサイ! ワタシハハナシヲキクケンリガアルワ!
霞「……なんか騒がしいわね。ちょっと注意して――」<ドーーーーン!!
叢雲「…………」フーッフーッフーッ
提督「」
提督(……一番ヤバいやつにばれた……)
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:05:01.23 ID:dW4w7LEj0
十分前
叢雲「ふぁーあ……久しぶりに朝寝をしたわ……」
叢雲(昨晩霞が翌日の秘書艦を代わるって申し出てきたから、遠征帰りでタイミングも良かったからお言葉に甘えたけど、まあいい休息になったわね。今度何かお礼でもしましょうか……ん?)
叢雲「何してるのよ。青葉の新聞なんてそんな一生懸命見るものでもないで、しょう……に……」
【速報】提督、霞さんに熱烈プロポーズ!! 霞さんは快く指輪を受け取り――
叢雲「は――」
叢雲(――ッ!)
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:05:40.31 ID:dW4w7LEj0
叢雲「なによ! 羽交い絞めなんかして!! 私はこのドア蹴破ってでもアイツに話を聞かせてもらうわ!!! 離しなさい!!」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:06:36.13 ID:dW4w7LEj0
提督(っべー! っべー! どっすんべどっすんべ!!)
叢雲「……さあ、きっっっちり話を聞かせてもらうわ。アンタの口から、なんで私じゃなくて霞を選んだのかをね!」
霞「は――。朝から息巻いて何しに来たのかと思えばそんなこと? それなら後で時間作っておいてあげるから引きなさい。今日の分の仕事は山積みなのよ?」
叢雲「へぇ。何? 指輪貰って一日たたずにもう正妻気取り? こないだまで散々罵倒していたとは思えない変わり身の早さね。流石私がいない間に掠め取った卑怯者は違うわ」
霞「……喧嘩でも売りにきたの?」
叢雲「あんたが先に売ってきたのを私が買ってあげようっていってんの」
霞「選ばれなかった負け犬が」
叢雲「ハイエナまがいの泥棒猫が」
提督(胃が……胃が痛い……)
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:07:16.08 ID:dW4w7LEj0
提督(ここでお見合いを回避するための隠れ蓑だったんだ! なんて言ったら冗談抜きで殺されるな俺……)
提督(いやでもここで何もしなくても修羅場になることは必至……というか絶賛修羅場中だ)
提督「ま、まて二人とも! なにもそうカッカすることは――「「アンタは黙って(なさい)!」」――はい……」
提督(こええよ!! なにあの目! 見たことないくらい殺気立ってんだけど!!)
提督(な、なんとか……なんとかこの場を収めなければ……!)
提督「ち、違うんだ叢雲!! 話を聞いてくれ!」
叢雲「なによ! 何が違うっていうのよ!」
提督「じ、じつは、その……(ええい、ままよ!)」
提督「む、叢雲にも! 叢雲にも指輪を渡そうと思っていたんだ!!」
叢雲「えっ……?」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:07:43.48 ID:dW4w7LEj0
叢雲「……本当?」
提督「当たり前だ。初期艦として共にこの鎮守府を支えてくれた叢雲のことを忘れるわけがないだろう」
提督(ほんとは叢雲はなんだかんだ付き合い長いからOK貰えそうで候補から外してたんだけど)
叢雲「で、でも私の分の指輪買ってないじゃない! それに私がいないときに渡すなんて……」
提督「それは俺の日程の調整ミスだ。本当はちゃんと二人が揃ったときに渡したかったんだが、大本営からも早く渡せと言われていてな……取り急ぎ霞が空いていたから先に渡しただけだ」
提督「それに最初の一つは大本営から支給されるものでな。だから既に手元にあっただけだ。誤解させるようなことをしてすまなかった」
提督「……だからと言ってはなんだが、二つ目はお詫びとしてお前の意見をちゃんと参考にした指輪を渡そう……それで許してくれないか?」
提督(どうだ……!? 結構スラスラ適当言えるもんじゃねえか俺……! この戦争終わったら俳優にでもなるか??)
叢雲「……ほんっっっっっとアンタは! まぁいいわ、もう。でも、しっっっかり償ってもらうわよ!」
提督「う、うむ!(ああこりゃ貯金崩すしかないなぁ……。欲しかったフィギュアあったんだが、仕方ないか……)」
霞「ちょっ、ちょっとまちなさい!! なに二人で問題解決みたいな空気出してるのよ!!」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:08:14.45 ID:dW4w7LEj0
叢雲「あら、大本営からの支給品で満足していたはやとちりさんが何か吠えているわね」
霞「どういうことよこのクズ! 私には既製品渡してあっちにはオーダーメイドですって!? バカにすんじゃないわよ!」
提督(ヒィ〜〜! こっち忘れてたぁ!)
提督「ち、違うぞ霞! 別にお前だから既製品だとかそういうわけじゃない! ただ単にタイミングの問題であって、例え昨日お前がいなくて叢雲がいたら俺は叢雲にその指輪を渡していただろう!!」
提督「そ、それにだ。既製品とはいっても曲がりなりにも大本営の用意した指輪だ。俺個人は上下の優劣をつけるつもりはないが……」
提督「やはり書類上というか、規則的にはそっちの指輪を持っている霞が本妻となる……のかな?」
霞「ほ……本妻……」
叢雲「ほ……本妻ぃ……?」
提督(あっ)
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:08:53.74 ID:dW4w7LEj0
叢雲「霞? アンタさっきオーダーメイドがいいって言ってたわよね? なら私がそっちの指輪をもらってあげるわ」
霞「あら、それには及ばないわよ。あんたはどうぞ自分の趣向を凝らした愛人指輪でも嵌めてなさい」
提督「む、叢雲! さっきも言ったがあくまで規則的なものだ! 俺個人は優劣をつけるつもりは……」
叢雲「それでも!!」
提督「叢雲……」
叢雲「それでも式典とかイベントなんかではそっちの霞がカッコカリの艦娘として出席するんでしょう!」
提督「ま、まあそうなる……かな? 多分」
叢雲「ならその席は絶対に譲れないわ。何が何でもアンタから奪い取る」
霞「はっ――やれるもんならやってみなさいよ」
提督(ひいいいいーーーー! この子たち目が据わっていらっしゃるーーーー!)
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:10:58.03 ID:dW4w7LEj0
提督「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」
提督(情けないことだがこっそり執務室の窓から逃げ出してきてしまった)
提督(いくら駆逐艦とはいえ艦娘、それに練度も最高クラスの二人だ。止めようものなら逆に俺がミンチになる)
提督(……まあ殴りあって生まれる友情もあるだろう……うん。とりあえず部屋の掃除が面倒そうだ……)
???「きゃっ」
提督「うぉっ! す、すまん考え事をして気が付かなかった」
提督「大丈夫か、大井」
大井「……ええ、大丈夫です」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:12:59.73 ID:dW4w7LEj0
提督(……? なんかいつもと雰囲気が違うな。北上も近くにいないし、なにかあったのか?)
提督(まぁ大井のことだし俺なんかが気にしなくても勝手に何とかなっているだろう)
提督「それじゃあちょっと俺用事あるから。……あ、今執務室には近づかない方がいいからなんか報告あったら聞いておくぞ」
大井「報告……ですか。……ええ、それなら一つだけありますよ」
提督「お、なんだ? またなんか北上関連か?」
大井「いえ……この、新聞の記事についてのことです」
提督「えっ? ……あー、いや。まあ、その……」
大井「これ、デマですよね?」
提督「へっ?」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:13:42.13 ID:dW4w7LEj0
大井「だって提督みたいないい加減な人がカリとはいえケッコンなんてできるわけないじゃないですか」
提督「い、いやまぁ……」
大井「しかも相手は駆逐艦でしょう? 戦艦や空母ならまだしも、いくら付き合いが長くて練度が高いからと言ってそんな艦に指輪を渡すわけないじゃないですか。ねぇ?」
提督(む、なんか今日はやけにつっかかってくるな。それに二人をそんな軽んじるような発言は大井とはいえ見逃せん)
提督「い、いや。そんなことはないぞ! 今まで通り夜戦はもちろん、昼での戦闘でも霞や叢雲は改二になってからとても大きな戦力になった。それに指輪にはまだ噂レベルではあるが運値の上昇が認められているとも聞く」
提督「駆逐艦は装甲の薄さが難点だったからな。これでその問題も解消に向かうかもしれん……。どうだ、駆逐艦に指輪を渡しても不思議ではない……だ、ろう……」
大井「……………………」
提督「ッ!」ゾクッ
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:14:46.02 ID:dW4w7LEj0
提督(め、目に光が、ない……。墨汁みたいな、黒くて淀んだ目で俺を見つめている……)
大井「……それじゃあこの記事は本物なんですか? 真実を語っていると、確かに指輪は駆逐艦に渡されたと、そう言うんですか?」
提督「お、大井。確かお前ここ最近結構出ずっぱりだったもんな……。こ、これ間宮券。北上や球磨型のみんなで食べにいくと――」
大井「質問に答えて!!!」
提督(ヒィィィィィィィッッッッッ!!!!)「わ、渡した! 渡しました!! すみません!!」
提督(い、一体なにに謝っているんだ俺は……! でも謝らないと殺されそうでした! モレそうになっちったよ!!)
大井「……そう。渡したの……」
提督(大井の雰囲気が変わった……。なんか、まるで幽鬼のような……な、なんかわからんがまずいのはわかる!)
提督「ま、まってくれ大井! 確かに渡しはしたがそれを知った叢雲が霞と今話し合い中でな」
大井「………………」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:15:17.93 ID:dW4w7LEj0
提督「まだ正式な処理の手続きは行っていない。その記事はどちらかというとコンヤクカッコ」
大井「………………」ギロッ
提督「ヒッ、で、でもなくて! あ、青葉の勘違い、拡大解釈、誇張表現みたいな感じ的なサムシングだ!!」
大井「………………それで?」
提督「それで? ……あーっ、と……だから……その、違ってたら恥ずかしいんだけど」
提督「……指輪欲しいなら執務室で霞と叢雲が取り合ってるから混ざってきてもいいんじゃない?」
大井「失礼します!!」ダダダッ
提督「……はっやいなー……」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:16:52.49 ID:dW4w7LEj0
北上「……ふう、やっと大井っちが離れてったね」
提督「うおっ、北上! いたのか」
北上「いやー、なーんかあの新聞見てから大井っちの様子がおかしかったからね〜。それまで普通にお喋りしていたのにいきなり私に『ちょっと提督にあってきます』ってふらふらと歩いて行ったんだから」
提督「……あいつが北上と一緒にいるのを途中で切り上げるなんてな……。もしかしてアイツ……」
北上(おっ?)
提督「そんなに火力不足に悩んでいたのか……。雷巡に改装されてからかなり活躍しているのに、結構アイツもストイックなんだな」
北上(あちゃー)
提督「ん、なんだ北上。そんな呆れたような目は」
北上「いんや〜? ただ大井っちも他の子も大変そうだなぁ〜って」
提督「?」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:17:23.06 ID:dW4w7LEj0
トボトボ……
???「……はぁ……」
提督(ふう、いつの間にか工廠裏にまで来てしまったぞ)
提督(ここは水平線まで綺麗に見えて、かつ人もあまり来ない知る人ぞ知るスポットだ)
提督(あそこのベンチで海を眺めながら事態の鎮静を待つか……ん? 誰かいるな。あれは……)
提督「こんなところでなにしてるんだ? 比叡」
比叡「ひえっ!? し、司令!」
提督「な、なんだよそんなに驚いて……」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/03/18(日) 19:18:17.21 ID:dW4w7LEj0
比叡「い、いえ! し、執務はどうしたんですか?」
提督「あー……いや、ちょっとトラブルが発生してな。それどころじゃないから抜けてきた」
比叡「そ、そうだったんですか」
提督「……」
比叡「……」
提督(なんかいつもの比叡らしくないな。いつもなら聞いてもいないのに金剛の話を延々話してくるのに)
提督「なあ比叡。なにか悩みがあるんだったら話聞くぞ?」
比叡「ヒエッ!? な、なんですか急に!」
提督「いや、俺よくここ来るけど比叡がいるところは初めて見たからさ……。ここ落ち着くし、なにか悩みでもあったのかな〜って」
比叡「悩み……」
比叡(…………)
65.92 KB
Speed:0
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)