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北上「我々は猫である」

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502 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/10/26(金) 03:03:30.80 ID:EmfrTgUy0
夕張:できるできる。何すればいい?最近のオススメアニメとか流す?

北上「おー流石夕張」

多摩「何故できるにゃ…」

スマホの画面に表示された夕張からの返信に多摩姉が呆れる。

北上「何流せば皆の気を引けるかな」

多摩「一瞬じゃダメにゃ。CMくらいの長さは注意を逸らしていたいにゃ」

北上「じゃこれだ。これ流そう」

多摩「何かあるのかにゃ?」

北上「多摩姉の猫の仕草練習動画」

多摩「にゃ!?いつの間に!」

北上「撮ったのは球磨姉だけどね」

多摩「あんにゃろぉ」

殺気がすごい。
503 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/10/26(金) 03:04:25.81 ID:EmfrTgUy0
夕張:ならこれはどう?

北上「なんかきたよ」

多摩「なんの動画にゃ?」

北上「えっと、な、ん、の、ど、う、か、あれ?が、どうが…ハテナってどこだ」

多摩「打つの遅すぎにゃ…」

北上「約50もある平仮名をたった10のパネルで打つって無茶だと思うの」

多摩「それは、慣れにゃ」

北上「慣れかぁ」
504 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/10/26(金) 03:06:23.69 ID:EmfrTgUy0
夕張:じゃ今から流すね

北上「見せてくれるって」

多摩「時間かかりそうだにゃ」

北上「そうなの?」

多摩「動画を送るのは時間かかるものなんだにゃ」

北上「あー今送ってるのか」

多摩「読み込み中ってなってないかにゃ?」

北上「んーいや特になにも」

多摩「それは変だにゃ。ちょっと見せるにゃ」

北上「やだ多摩姉のエッチ」

多摩「うっせーにゃどうせろくにスマホで会話なんてしてないくせに」

北上「まあね」
505 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/10/26(金) 03:06:55.89 ID:EmfrTgUy0
多摩「…ホントだにゃ」

北上「だしょ?」

多摩「というか流すってなんにゃ」

北上「見せるってことでしょ」

多摩「なら送るって言うはずにゃ」

北上「言われてみれば」

多摩「…北上」

北上「うん。なんか嫌な予感がするね」

直後残念ながら期待を裏切らずにテレビの電源が入り映像が流れ始めた。

そこそこ静かだっただけに急に流れ始めたそれに皆が注目することになる。
506 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/10/26(金) 03:07:46.41 ID:EmfrTgUy0
そこには昨日見たばかりの提督の部屋と、ほぼ全裸の提督とシャツと下着姿の夕張が映っていた。

どうにも酔っているらしいテンションで何やら騒いでいる。スマホで撮っているのか妙に画面も揺れている。

多摩「」

多摩姉の顔には絶句って書いてある。

辺りを見渡してみる。

文字では表せない奇声を上げながら缶コーヒーを握りつぶす金剛さん、とそれを宥める比叡さん。

清霜江風を両手で目隠ししつつ画面を凝視する瑞鳳さん。

冷静に食事を続ける妙高さんとチラチラと目をやる那智さん。

意外にもそれ程慌てずテレビとそれに対する周りの反応をスマホで面白そうに撮る飛龍さんと顔を真っ赤にして騒ぎ立てる瑞鶴さん。

依然ゲームに没頭している川内と赤城さん。
507 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/10/26(金) 03:08:25.90 ID:EmfrTgUy0
北上「カオスだ」

夕張は間違いなく吹雪あたりに制裁を食らうであろうことを考えてはいないのだろうか。

多摩「はっ!これはチャンスにゃ!」バッ

北上「あっ、ちょっ待って待って」

振り返るとカウンターに何故か鳳翔さんがいなかった。

流れるようにカウンター横を潜り抜ける多摩に慌ててついていく。

後ろの騒ぎは、とりあえず考えないことにしよう。
508 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/10/26(金) 03:09:12.79 ID:EmfrTgUy0
しかしカウンターにいないということは鳳翔さんも厨房にいる可能性が高い。

厨房がどういう構造かは知らないけど間宮さんと鳳翔さんの二人の目を盗み秋刀魚をいただくというのはなかなか難易度が高いんじゃ…

ダンボールを持ってくるべきだったか。

北上「多摩姉ぇー」ヒソヒソ

多摩「静かにするにゃ。ここからが勝負にゃ」ヒソヒソ

ダメだこりゃ。なるようになれ。

低い姿勢のままそろりと厨房に入る。
509 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/10/26(金) 03:09:41.77 ID:EmfrTgUy0
間宮「んーいい焼け具合。伊良湖ちゃんまた腕を上げたわね」

鳳翔「もっと沢山捕れれば皆にお出しできるんですけれどねぇ」

間宮「それはしょうがないわ。これでも年々量は増えてきているわけだし」

伊良湖「伊良湖、戻りましたー」

間宮「お帰りー。どう?外は」

伊良湖「今は霧島さん達が火を見ていてくれてます」

鳳翔「なら大丈夫そうですね」

間宮「それでは毎年恒例のいっちゃいましょうか」
510 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/10/26(金) 03:10:12.84 ID:EmfrTgUy0
「「「いただきます」」」

伊良湖「ん〜おいしい!」

鳳翔「油がよくのっていますね〜」

間宮「こうなると大根おろしも欲しくなりますね」

伊良湖「醤油さして」

鳳翔「ホカホカのご飯」

間宮「…大根おろしくらいなら」

伊良湖「ホントに我慢できます?」

鳳翔「私はちょっと自信ないですね」

間宮「まあ流石に二匹目まで食べるわけにはー…あ」チラ

あ、目が合った。

間宮さんが気まずそうな表情で硬直する。
511 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/10/26(金) 03:10:56.39 ID:EmfrTgUy0
伊良湖「もう少しでほかも焼ける頃合ですかね」

鳳翔「私もお手伝いしましょうか?」

伊良湖「いえいえ。既に何人か手伝ってくれてますし、鳳翔さんは盛り付けとかで忙しくなりますから」

鳳翔「今のうちに食べておかないとですね」

伊良湖「その通りです。ねぇ間宮さん。間宮さん?まみ…あー」チラ

今度は伊良湖さん。何とも言えない表情で凍る。

鳳翔「魚の目って食べると目が良くなると言いますけど、私この部分苦手なんですよねぇ。お二人共?さっきから何を」チラ

そして最後に鳳翔さん。
512 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/10/26(金) 03:13:06.74 ID:EmfrTgUy0
調理場の台の横からまさに猫のように首だけ覗かせている私達二人。

状況を理解できないのかしばらくこちらをじっと見つめた後、

サッと一瞬だけ青ざめて、

徐々に顔を赤くし、

鳳翔「ち、チガウンデス」サッ

両手で顔を隠しながらそう言った。

可愛い。

伊良湖「鳳翔さん…」

間宮「可愛い」

多摩「秋刀魚寄越すにゃ」



その後口止め料として皆で秋刀魚を頂いた。
513 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/10/26(金) 03:17:58.95 ID:EmfrTgUy0
これはもうダメなのでは、と思い別の話を書いていたらいつの間にか復活していました。
ネットの繋がりって案外脆いものですね。

またダラダラと、でもいつ同じ事が起こるかわからないのでしっかりとゴールに向かっていきますので何卒お付き合いお願い致します。
514 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 06:10:29.79 ID:pVuFYmaKO
おつ
しばらく見れないでさびしかったよー
515 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 09:03:04.82 ID:VyQfofK9O
おつおつ。待っておりました。
516 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/26(金) 18:01:27.45 ID:x5ntvCtSo
おつーにゃ
517 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/10/28(日) 03:48:08.53 ID:OsX54i3+0
おつおつ、復活してくれてよかったし、気づいてくれたのもよかったです…
今後ともよろしくお願いいたします。
518 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:40:04.64 ID:V/LmZtz90
北上「と、以上が事の顛末になります」

吹雪「はぁぁぁぁぁ…」

うわすっごい深い溜息。

北上「秋刀魚は残さず食べたので」

吹雪「それはどうでもいいです。つまみ食いに関しても、まあ鳳翔さん達が食堂の責任者ですし私がどうこう言う気はないです。問題なのは映像だけです」

食堂の騒ぎを聞き付け即鎮圧。現場にいた者一人一人に事情聴取と口止めをして夕張をとっちめた後きっかけである私の元に聞きに来る。

ここまで1時間強。刑事とか向いてるんじゃないかなこの子。

北上「そんなにまずかった?ギリギリモザイクの入らない内容だったと思うけど」

吹雪「そこも別に問題じゃないんですよ。駆逐艦にだってモザイクじゃ済まないような内容のもの見てる子だっていますし」

北上「え」

吹雪「問題なのは司令官の部屋で遊んでるっていう事実です」
519 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:41:04.14 ID:V/LmZtz90
北上「提督同伴なら別にあの部屋入ってもいいんでしょ?」

吹雪「一応そうなってはいますけど基本的には司令官も誰かを入れたりしませんよ。それこそ夕張さんや明石さんくらいしか」

北上「何故あの二人」

吹雪「気兼ねなく遊べるからでしょうね。あの映像も飲みながら罰ゲームありでゲームやってた時見たいですし」

北上「提督お酒強くないのにねえ」

つまり撮影者は明石だったわけか。

吹雪「そのクセお酒は好きなんですよね。ちなみにゲームも弱いらしいです。でも好きだとか」
520 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:41:48.95 ID:V/LmZtz90
北上「じゃ何が問題なのさ」

吹雪「あんなのみたら皆司令官の部屋に行きたがるじゃないですか」

北上「あーそっちかあ」

吹雪「大変でしたよ…金剛さんなんか私が行った時には既に比叡さんと司令官の部屋に乗り込む算段立ててましたから」

北上「今は大丈夫なの?」

吹雪「零したコーヒー拭いてるはずです」

北上「あーね」

吹雪「飛龍さんなんか撮った動画で逆に私を脅してきましたからね」

北上「あの人そんなことすんの」

吹雪「加賀さんのお酒盗み飲みしてる事を引き合いに出したら消してくれました」

北上「あの人そんな、事しそうだね確かに」
521 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:42:21.91 ID:V/LmZtz90
北上「でもそうなると私もダメなんじゃない?昨日提督の部屋で寝てたし」

吹雪「公にはダメです。でもOKです。北上さんは」

サラッと矛盾した事を言われた。

北上「どういうことよそれ」

吹雪「だから個人的にですよ、個人的。前にも言ったじゃないですか、貴方には期待してるって」

北上「そうやってそれっぽい感じで内容ぼかすの、私はあんまり好きじゃないよ」

吹雪「そうですか?私は好きなんですよ」

しれっといいやがる。秘書艦殿にゃ口では勝てなさそうだ。
522 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:42:59.74 ID:V/LmZtz90
吹雪「司令官はどうでした?」

北上「?」

吹雪「司令官の様子ですよ」

北上「昨日の?」

吹雪「ええ」

北上「どうって言われてもねえ。いつも通り?」

吹雪「ホントに?」

北上「いや、なんかぎこちなかったかも」

吹雪「ヘタレですからねえ」

北上「手を出さなかったって話?そりゃいくら提督でもそんな事はしないでしょ」

思えば二人で出かけた時点で浮気みたいなものじゃないかこれ。

吹雪「見境なかったら流石にダメですけどね」

北上「一体どうしたのさ。今朝も大井っちと二人し提督に詰め寄ったりしてたし」

吹雪「大したことじゃないですよ。ただこれからも司令官の事、よろしくお願いしますね」

北上「はぁ…」

もっとこうスバっと物申してくれる人はいないのだろうか。
523 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:45:19.51 ID:V/LmZtz90
吹雪「じゃ私はまだ多摩さんの始末が残ってるんでここら辺で」

北上「ナチュラルに始末とか言わないで」

吹雪「痛くはしないので」

それが一番怖い子なんだよなあ。

北上「でさ」

吹雪「まだ何か?」

北上「提督の部屋にそんなに入られると困る理由って何」

吹雪「秘密です」

短く答えて颯爽と去っていく秘書艦。

これ以上は何も言ってくれなさそうだ。

大井「あ!北上さん!!」

北上「およ?大井っちー、提督は生きてる?」

大井「命はあります」

北上「さいで」

こってり絞られたらしい。後で謝りに行こう。

大井「で!ホントに大丈夫なんですよね!?」クワッ

北上「おお?何がさ」

大井「提督に襲われたり犯されたり処女奪われたりしてないんですよね!!」

北上「」

あーいたわ。ズバッと物申してくる人。
524 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:46:05.15 ID:V/LmZtz90
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

【図書室】

北上「ここもなんだか久々だなぁ」

大井「なるほど、ここなら誰にも邪魔されませんね」

意味深に聞こえるけど単に話を聞かれたくないだけである。

北上「神風はいるかもと思ったけど」

大井「今の時期駆逐艦は秋刀魚漁で大忙しですからね」

北上「そっか、護衛に引っ張りだこか」

大井「私達は暇ですね」

北上「幸せだねえ」

大井「そうですねえ」

座椅子を並べて二人で座る。

日中の陽の光が閉じ込められたこの部屋は包み込むような温かさがある。
525 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:46:59.24 ID:V/LmZtz90
大井「北上さんはどうでした?」

北上「私?」

大井「北上さんは昨日どうでした?」

北上「昨日ねえ」

それは少し意外だった。

吹雪は「司令官はどうでした?」で
大井っちは「北上さんはどうしでた?」か。

同じようで、二人はちょっと違う目的があるようだった。

てっきり大井っちも提督の様子を聞いて浮気チェックするものかと。

北上「楽しかったよ」

大井「無難な回答ですね」

北上「波風立てるのは嫌いなのさ」

大井「船なのに?」

北上「船なら波も風も拾うものでしょ」

大井「それもそうですね」
526 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:47:31.68 ID:V/LmZtz90
提督といるのは楽しい。

楽しい、というよりは落ち着く?かな。

何せ鎮守府で唯一の人間だ。本能的にそう思うとかもしれない。

って猫が決して本能的に人に懐くわけじゃないのだが、でもそれだけ長い間人と猫は共に生きているのかもしれない。

大井「何かこう、普段と違った感覚はありませんでしたか?」

北上「普段と違った、ねえ。あーそういえば」

背中を洗ってもらってる時に、何かあった気がする。

大井「あったんですか!」

北上「いやでものぼせてたんだっけな」

大井「お風呂に入ってた時ですか、一緒に」

北上「いやあ気のせい気のせい」

大井っちの前であまり提督との話をするべきじゃない気がする。今更だけど。

そういえばのぼせたなんて経験も初めてだったなあ。
527 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:48:09.09 ID:V/LmZtz90
大井「…」ジーッ

北上「…なに、その慈愛に充ちた優しい眼差しは」

大井「いえ、でも北上さんはもっと自分の思ったようにするべきだと思いますよ」

北上「割とそうしてるつもりだけど」

大井「私はいつでも北上さんの味方ですからね!」

北上「いつでも?どんな時でも?本当に?」

大井「あー、基本的には、です」

北上「あはは、そりゃそうだ」

これで私が提督の事好きなんだとか言ったら流石に味方してはくれないだろう。

別に私は二人の間に入る気は無い。二人のそばに居られればいい。
528 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:48:40.57 ID:V/LmZtz90
大井「あ、秋刀魚は美味しかったですか?」

北上「げっ!何で知ってるのさ」

大井「フフ、秘密です」

北上「くわばらくわばら。秋刀魚はそりゃもう言うまでもなくだね」

大井「なら私達も釣りに行かなきゃですね」

北上「出番あるかなぁ」

大井「なければ作るんです!」

北上「どうやっ、あー提督か」

大井「さっ、提督室に行きましょう!」

北上「あんまり怒んないであげてね。昨日のは私も悪いんだから」

大井「分かってますって」

分かってて怒ってたのか。
529 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:49:19.96 ID:V/LmZtz90
北上「でも、眠くなってきた」コテン

大井っちの肩に寄りかかる。

大井「暖かいですからね、ここ」

大井っちは、特にこれといった反応はない。

肩に頬を乗せ、耳元に頭を擦り寄せてみる。

北上「大井っちはちっちゃいなあ」

大井「私が?北上さんと同じくらいだと思いますけど」

北上「まあね」

提督のことを思い出していた。提督は寄りかかっても肩の上には届かなかった。

それに比べれば私も大井っちも随分小さく思える。

そういや猫だった時はもっと小さかったんだよなぁ。
530 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:49:53.25 ID:V/LmZtz90
大井「私、北上さんとずっと一緒にいたいです」

北上「私もだよ〜」

大井「相思相愛ですね!」

北上「そうだねー」

大北「「ふあぁ…ぁ」」

二人して大欠伸をする。

北上「眠くなるよね」

大井「ええ、本当に」

北上「少し寝ていこっか」

大井「はい」

この後部屋の温かさが消えるまで寝ていたため私達は見事に夕食をすっぽかし、大井っちは初の秋刀魚を食べ損ねてしまうことになるのだが、

お互い幸せだったと思う。
531 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/12(月) 02:52:34.90 ID:V/LmZtz90
週一で書きたいなあと思いながら生きてはいるのです

谷風改二、なんだこの美少女。でも改派です。似た理由で長波サマも改です。
532 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/12(月) 08:05:57.12 ID:RrFiL81Io
おつーな
533 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:43:25.29 ID:wjB0yiku0
65匹目:like the cat that stole the cream



クリームを盗んだ猫のようだ。つまり満足そうだという意味の慣用表現。

球磨姉が姉としての威厳を示せた時、もしくは本人がそう思い込んでる時とか。

多摩姉が秋刀魚を食べてる時とか。

木曾が戦闘後に決めポーズをしっかり取れた時とか。

大井っちが私と一緒にいる時とか。

そんな感じ。

なので、今私の目の前にいる人物とは真逆の様子ということになる。
534 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:43:57.11 ID:wjB0yiku0
【工廠】

夕張「納得がいかないわ!」

北上「どうしたのさ急に。いやいつも急か」

夕張「重複をじゅうふくと読まない事くらい納得がいかない」

北上「それは分かる」

夕張「ポンドが未だに蔓延ってる事くらい納得がいかない」

北上「それは知らない。あれ、ヤードはいいの?」

夕張「あれは正直慣れたわ」

北上「結局慣れか」
535 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:44:59.41 ID:wjB0yiku0
北上「で何が納得いかないの」

夕張「まずさ、私と明石ってずっとここにいるじゃない?」

北上「自室も工廠だしね。ゲームも漫画も本も全部だしね」

夕張「そりゃあ明石は工作艦だし?作って遊ぼうだし?ここにいてしかるべきじゃん」

北上「工作の規模がやたら小さく聞こえるけどまあそうだよね」

夕張「で私。兵装実験軽巡夕張」

北上「だね」

夕張「おかしくない?」

北上「何が」

夕張「艦娘が日本発祥なのに嫌がらせの如く単位規格変えた部品で装備作ってくる国外のあんちきしょう共くらいおかしくない?」

北上「その一々例えるのやめてよしかも長いというかそんな高度に政治的かつ低度で幼稚な嫌がらせみたいなことされてんの?」

夕張「終いにゃ尺貫法持ち出すわよコルァ」

北上「落ち着いてメロン」
536 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:45:32.52 ID:wjB0yiku0
北上「凄く納得してないのは分かったけど、何に納得がいかないの」

夕張「北上は他の鎮守府の夕張って知ってる?」

北上「私は特に知らないかなあ。似たり寄ったりの変人ってのは聞いたけど」

夕張「変人とは失礼ね」

北上「否定すると?」

夕張「ちょっと変わってるだけよ」

北上「だから変人って言われてるんだよ」

夕張「人は皆、誰かと同じにはなれないのよ…」

北上「常識がズレてるって話だよ」
537 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:46:17.70 ID:wjB0yiku0
夕張「この容姿端麗頭脳明晰な軽巡夕張」

北上「頭脳明晰て…容姿は皆そうだろうけど」

夕張「胸もCよ」

北上「嘘だBだB!」

夕張「あります〜由良がCなんだから私もCあります〜」

北上「自分で測ったんじゃないんかい」

夕張「ち、違ったら辛いし…」

北上「なんでそこで自信なくすのさ」

夕張「明石なんてEよE!あの口搾艦めえ!」

北上「なんだろう、凄く悪意を感じた」

夕張「今度鎮守府中の画面に細工してサブリミナル効果でピンクは淫乱って刷り込んでやるわ!」

北上「それ禁止されてるやつ。しかも大掛かりな割に陰湿。巻き添えによる被害者も多いし」
538 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:47:03.22 ID:wjB0yiku0
夕張「夕張って船は装備枠が4スロット。その特殊性から戦力としてもオンリーワンの性能で輸送や潜水艦キラーとして出撃する事も多いのよ」

北上「へーそりゃ知らなんだ」

夕張「なんで4つも積めるのかしらね。やっぱり頭いいからかな」

北上「うわ頭悪そう」

夕張「INT値高いからかな」

北上「うわゲーム脳」

夕張「まあその座も今は昔だけどね…」

北上「駆逐艦も対潜強くなったらしいよね。秋刀魚漁で引っ張りだこだって聞いたよ」

夕張「軽巡のライバルは由良と阿武隈だけど、由良には手を出せないし阿武隈には勝てる気がしない」

北上「ナチュラルに手を出そうとしないで」
539 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:47:38.03 ID:wjB0yiku0
夕張「ともかく、夕張ってのは普通に出撃できるしするものなのよ。だったのよ」

北上「そりゃ軽巡だしね」

夕張「なのに私はいっつもここに閉じこもってる」

北上「引きこもりかな」

夕張「最後に出撃したのいつだ」

北上「引きこもりだね」

夕張「そもそも食事ですら最近ここで済ます事を覚えた」

北上「引きこもりだこれダメだこれ」
540 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:48:16.87 ID:wjB0yiku0
夕張「やっぱり違うと思うのよそれは」

北上「でもさ、色々弄るの好きでしょ?」

夕張「モチのロン」

北上「だったらいいんじゃない?適材適所でさ。提督もそれを分かって出撃させてないんだろうし」

夕張「提督には感謝してるわよ。吹雪にもね」

北上「さっきも言ってたじゃん。夕張は夕張だよ。別に今更でしょ」

夕張「分かってるわよそれくらい」

北上「ツンデレめ」

夕張「私は幼馴染属性じゃない?もしくはクラスメートの女友達ポジ」

北上「何にせよとりあえずこの件は解決と「でもそうじゃない」あるぇー…?」
541 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:48:55.26 ID:wjB0yiku0
夕張「例えばよ?北上は明石が出撃したらどう思う?」

北上「あー提督やっちまったかー吹雪いなかったのかなー後で怒られるんだろうなーって」

夕張「中途半端にレベル高いものね明石」

北上「前に、これが私が戦火に晒された回数を物語ってるのよ、とか言ってたもんね」

夕張「なまじ大規模作戦中とかだと皆ももしかして工作艦にも役割があるのでは?とか考えて誰も止めないのよね」

北上「で結果死んだ目であー貴重な修復剤体験ーとか言うわけだね」
542 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:49:30.31 ID:wjB0yiku0
夕張「まあそんな感じね。他の娘にも聞いてみたりしたけど大体同じ感想よ」

北上「既に調査済みだったとは」

夕張「何かを考えるのにまずデータをとるのは基本よ」

北上「なんか急に頭良さそうなこと言い始めた」

夕張「それでよ、もし私が出撃したらどう思うとも聞いてみたのよ」

北上「なるほど」

夕張「なんて答えたと思う?」

北上「え、んー…わー珍しい工廠で変な発明品作る以外の事をしてるーとか」

夕張「なんで分かるの…」

北上「いやなんとなく、えっ、当たってるの?ウソ、マジで?」
543 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:50:02.73 ID:wjB0yiku0
夕張「しかもあの由良がよ?ラブリーマイエンジェル由良よ?しかも悪気なし。マジ無垢1000パーセント」

北上「身内に厳しいね」

夕張「流石の私も堪えたわ。半日くらい」

北上「由良が言っても半日で回復するのか」

夕張「ダメージでかかったわ」

北上「どれくらい?」

夕張「ゲームのプレイに支障が出た」

北上「ゲームかい」

夕張「荒れに荒れたわね。馬車とか民家強盗しまくったもん。極悪アーサーになったもん」

北上「何の話だ」
544 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:50:38.50 ID:wjB0yiku0
夕張「つまりね、本来出撃するべき軽巡なのに工廠に篭もってる天才美少女ってのが私のポジションのはずなのよ」

北上「細かいところはもう置いておくとして実際そうなってるじゃん」

夕張「そう!そうだけど!ここにいるってのが当たり前になっちゃってるのよ!ピンクは淫乱なのと同じくらいに!」

北上「私ゃたまに夕張と明石の仲が良いのか悪いのかからなくなるよ」

夕張「イメージの問題よようするに」

北上「引き篭りじゃなくて理由があって引き篭らざるをえないと思われたいと」

夕張「その言い方はなんか辛い」

北上「事実だよ割と」
545 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:51:10.75 ID:wjB0yiku0
夕張「故にこのイメージを払拭したい」

北上「現状、というか己を変えればいいのでは」

夕張「私ではなく周りを」

北上「発想が駄目人間のそれだ」

夕張「由良にも言われたもん。たまには一緒に出撃しようよって」

北上「一応聞くけど返答は」

夕張「敵が来い」

北上「うーんこの」

夕張「出撃するくらいなら工廠に作業中って札下げて自室で爆音上映会やる」

北上「いっそ清々しいね。見るなら何見るの」

夕張「ん〜らんまとか?」

北上「何故爆音でそのチョイス」
546 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:51:48.04 ID:wjB0yiku0
北上「せめて装備の試験運用くらい自分でやったら?そこの海でやればいいし」

夕張「いやぁ人材は腐る程いるんだし開発者がやらんでもいいっしょ」

北上「おい兵装実験軽巡」

夕張「あ、中で出来る実験はしてるよ?流石にね」

北上「流石にのハードルが低いあまりに低い」

夕張「砲の試験運用も可能な限り陸からやってるし」

北上「そんな事してるから波動砲爆発で工廠ダメにしたりするんでしょうに…ところで爆発した時工廠の中の自室は無事だったの?」

夕張「並のシェルターより硬いわよあそこ」

北上「技術の私物化が酷い」
547 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:52:23.09 ID:wjB0yiku0
北上「現状のイメージを何とかしたいって、夕張的にはどんなふうに思われたいの?」

夕張「戦えるけどあえて開発研究に没頭しいざって時にとびきりの最終兵器もってヒーローは遅れてやってくる的なそういうの艦娘に私はなりたい」

北上「拗らせてない方の厨二病だこれ」

夕張「いいじゃない天才美少女。これは人気出るわよ」

北上「現実は天才変態少女」

夕張「私は助手じゃない」

北上「ユウバリーナ?」

夕張「あ、なんか可愛い」
548 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:52:54.22 ID:wjB0yiku0
夕張「助手は北上で」

北上「厨二病に振り回されている点ではその通りかもしれないね」

夕張「胸とかもね」

北上「おっと久々にキレちまったよ」

夕張「ギルティとブレイブルーどっちがいい?」

北上「テトリスで」

夕張「え」

北上「ぷよぷよは認めない」

夕張「明石キレるわよ」

北上「ぷよぷよ派なのか」
549 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:53:29.84 ID:wjB0yiku0
夕張「なんで!なんでそんなに強いの!!」カチカチカチカチ

北上「あーこれは天才美少女の座は私で決まりかなー」カチカチ

夕張「あ゛あ゛あ゛ずれたぁぁ!!」

北上「オセロにする?」

夕張「格ゲーよ!格ゲーで勝負よ!」

北上「天才美少女なのに?」

夕張「天才美少女だから格ゲーも嗜んでいるのよ」

北上「テトリスはダメなのに?」

夕張「パズルゲームなんて陰キャのやる事よ!」

北上「うわ色んな人に喧嘩売った」

夕張「くっ、私の頭脳派キャラとしてのイメージがぁぁ」

北上「少なくとも勤務時間にこんなことしてるうちはただのサボり魔だよ」
550 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:53:57.37 ID:wjB0yiku0
北上「出撃がいやならもっと皆が驚くようなもの作るとかは」

夕張「この前連装砲の自動餌やり器作ったわよ」

北上「エサ、え?エサ?あれエサ食べるの?何食べるの?」

夕張「飛んでもない速さで口に打ち出されて一人が大破して反乱起こさたけど」

北上「そりゃ怒るでしょーよ。しかも打ち出されるってどんな構造してたの」

夕張「バッター用のボール打ち出すあれを元に」

北上「発想元から何から狂ってやがる」
551 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:55:47.15 ID:wjB0yiku0
夕張「皆の役に立つものは結構作ってると思うんだけどなー」

北上「家電はなんでもいじれるしね。でもそれだとただの便利屋だよね」

夕張「ハッ!?」

北上「いや驚くとこじゃないでしょ。どう見てもそうだよ」

夕張「やはり艦娘としては出撃するしかないというの…」orz

北上「そういうの関係なく出撃はしなよ」

夕張「やだぁしろとか言われないししたくもないしぃ」

北上「確かに提督はともかく吹雪も言わないんだね。吹雪ならケツひっぱたいてでも出撃させそうなのに」

夕張「そこら辺は私も不思議なのよね。資材とか勝手に色々やってても見逃してくれること多いし」
552 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:56:14.96 ID:wjB0yiku0
明石「夕張ー!いるー!?」バタンッ

夕張「あ帰ってきた。何ー?」

明石「急患!港来て!」

夕張「なんで!?」

明石「例の脱出装置が爆発して叢雲が大破した!」

夕張「爆発!?ちょっと出力強すぎたかな」

北上「叢雲かぁ、吹雪怒りそうだなぁ」

夕張「こ、怖い事言わないでよ…」
553 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:56:49.68 ID:wjB0yiku0
夕張「んー安全な撤退方法だと思ったんだけどなあ」

明石「とりあえず装置の方をお願い。私は叢雲診るから」

夕張「はーい。それでその、吹雪はもう知ってるの?」

明石「さっき連絡が行った後に提督室から飛び降りてきたって聞いたわ」

夕張「急ぎ過ぎでしょ…」

北上「三階だよあそこ」

明石「とりあえず行きましょ」

夕張「遺書書かなきゃ」

北上「その時は見届けてあげるよ」
554 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 02:59:29.82 ID:wjB0yiku0
バタバタと二人が工廠から出ていく。

北上「天才ねえ」

夕張こそまさに努力型だと思うのだが。

方向性はちょっとあれだけど。

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

【後日】

夕張「納得がいかないわ!」カチャカチャ

北上「吹雪にこってり絞られたみたいだね」

夕張「私はただこの発明が役に立つと思って…」

北上「それが例の脱出装置?」

夕張「改良中」ガチャガチャ

北上「今度はどうすんの」

夕張「いっそ思いっきり爆発させてぶっ飛ばそうかなって」

…やっぱり変人だコイツ。
555 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/19(月) 03:03:15.49 ID:wjB0yiku0
インフレには勝てなかったよ…

昔「4スロの軽巡!?化け物じゃん!」と思ってよく出撃させていました。
556 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/19(月) 08:20:06.89 ID:GkJqsYxio
おつ
557 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/19(月) 22:21:48.45 ID:+Eck9xu60
サンマと対潜位しか出番ないしなあ
特徴あるだけマシだけどw
558 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:41:11.62 ID:a4+QFzlN0
66匹目:Cool cat



カッコイイ猫

という意味では勿論ない。

カッコイイ人という意味の表現で基本的に男性に対して使われるものだ。

スラリとした出で立ち。飄々とした立ち居振る舞い。

日本猫のようなフワッと丸っとしている猫とは違う、例えばロシアンブルーみたいなそういうカッコよさを指す。

これを聞いて私が一番に思い浮かべたのは
559 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:42:57.79 ID:a4+QFzlN0
北上「大井っ…ち?」ガチャ

昨日話していた秋刀魚漁に球磨型のみんなで行こうという計画を提督に伝えるためにと部屋を出た大井っち。

折角だしついてって提督室にお邪魔しちゃおうかなと私も部屋を出て大井っちの背中に声をかけようとした時だった。


木曾「」コソコソ


何かいた。

私今尾行中ですという空気を醸し出しながらもの陰に隠れて頭を覗かせるマントがいた。

というか木曾がいた。
560 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:43:39.76 ID:a4+QFzlN0
大井っちが廊下の角を曲がり階段へ向かう。

木曾「ヨシ」

小声でわざわざ掛け声を出しながらもの陰から出て廊下を追う木曾、と私。

このまま尾行の尾行というのも面白そうだがさてどうしよう。

北上「そぉい!」バサア
木曾「ひゃあっ!?」

後ろからスカートとマントを思いっきりバサッとやってみる。

木曾「な、なんだぁ!?って上姉か…一体何の用だ、大事な時に」

相変わらず男勝りな口調と内股気味にスカートを抑えるギャップに加虐心が擽られる。
561 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:44:52.26 ID:a4+QFzlN0
木曾は制服姿だった。つまり眼帯付き。

当然だが風呂や寝る時は外す。

初めて外すのを見た時は私も驚いたものだ。

考えてみりゃ当たり前なのだけれど、ねえ?

ちなみにあの目は光る。

今みたいに脅かしたりくすぐってやったりすると光る。何故か。

本人も意味はよくわかってないらしい。

自分の体の一部がよく分からないけど光るってめちゃくちゃ怖い気もするけど特に気にはしていないようだ。
562 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:45:36.00 ID:a4+QFzlN0
北上「大事って、大井っちの尾行が?」

木曾「上姉も気になるだろ?提督とおい姉の仲が」

北上「あーそれで尾行か」

木曾「最近おい姉の態度も少し変だし」

北上「あ、やっぱ分かる?」

木曾「色々と推測しててもしょうがない。この目で確かめなきゃな」

北上「別に私はいいかなあって」

木曾「え?この前まで気にしてたじゃないか」

北上「気にはなるけど、そっとしとくのがいいんじゃないかな。馬に蹴られたくないし」

木曾「馬?」

通じない慣用句って虚しい。
563 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:46:07.01 ID:a4+QFzlN0
木曾「どうしたんだ急に。おい姉とケンカでもしたか?」

北上「まさか」

木曾「ならどうして」

北上「どうしてと言われるとなんでだろ」

木曾「なんでだろと言われてもな」

北上「だよねえ」

木曾「だな」

神通「お二人共、廊下の真ん中で何をしているんですか?」

北上「あー神tくさっ!魚くさっ!?」

木曾「そっちこそどうしたんだ!?」

神通「色々ありまして…」

死んだ魚の目をしてらっしゃる。
564 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:46:35.04 ID:a4+QFzlN0
北上「かわうちのやつ?」

神通「えぇ…」

木曾「いやでも何やったらこうなるんだよ…」

神通「大丈夫です。川内姉さんにはこれからカタを付けに行くので」

北上「あ、うん」

と思ったら水面下の獲物を狙う海鳥のように鋭い目付きで恐ろしい事を言う。

神通「では」

木曾「お、おう」
565 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:47:08.75 ID:a4+QFzlN0
北上「凄い、オーラだよオーラ。殺気がみえるよ」

木曾「かわうちのやつ何しやがったんだ」

北上「…神通って川内の事かわうちとは絶対言わないよね」

木曾「結局のところお互い姉妹には甘いんだろうな。あいつの場合尊敬、か?」

北上「見習っていきたいねキソー」

木曾「俺も神通の容赦のなさを見習うべきかもしれないな」

北上「やだなぁ冗談だよジョーダン。そういえば私もケンカとかした事ないなあ」

木曾「なんだ、やってみるか?」

北上「ジャンケンならいいよ」

木曾「上姉らしいな…とりあえず部屋入るか」

北上「尾行はいいの?」

木曾「今更だろ。まあ今日のところはな」
566 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:47:43.94 ID:a4+QFzlN0
北上「ケンカって言うならそれこそ大井っちと提督がそうじゃん。いっつも痴話喧嘩」

木曾「確かにな。でもあれもごく最近の話だぞ」

北上「そうなの?そういや昔の二人って私知らないな」

木曾「今と似たようなもんだよ。だから気づきにくいんだと思うけど」

北上「どゆことさ」

木曾「おっとこの先はタダとは行かないなあ」

北上「くぅ足元見やがって」

木曾「ギブアンドテイク、基本だろ?」

北上「夕食で秋刀魚一匹」

木曾「のった」
567 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:48:25.61 ID:a4+QFzlN0
木曾「昔と言ってもおい姉が来たのは約二年前だから最近と言えば最近だ」

北上「着任順だと多摩姉球磨姉木曾大井っちなんだっけ」

木曾「ああ。おい姉はほら、俺ら以外には正直結構当たりが強いだろ?提督にもそうだった。むしろ提督にこそそうだった」

北上「今でもじゃないの?」

木曾「そうだけど、なんというかなぁ。昔はもっと冷たいというか、無愛想?な感じだった。作戦に文句言ったり上姉はまだかぁって文句言ったり」

北上「大井っちらしいや」

木曾「ちなみに前者は完全に提督が悪い」

北上「提督らしいや…」
568 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:49:06.74 ID:a4+QFzlN0
木曾「それに比べて今のおい姉は熱を持って提督に当たってる感じだな。生き生きしてる、ってのは少し違うかな。でもそんな感じだと思う」

北上「流石木曾。よく見てるぅ」

木曾「姉妹だしな」

北上「そうなると大井っちは私が来てから提督とお熱になったという事になるのかな?」

木曾「時期的にはそうだと俺は思うな」

北上「何かきっかけとかあったのかな」

木曾「もしくはそれまで上姉の事ばかり考えていたけど改めて上姉が来たら提督の事を見る余裕が出来て、的な?」

北上「おーなんかロマンチック、なのかな?」

木曾「さあ」

北上「恋愛系の話はとんとわからんね」

木曾「俺らの中じゃそういうのはおい姉くらいしか興味無さそうだしな」
569 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:50:17.22 ID:a4+QFzlN0
北上「外に行った時とか男の人見てドキッとかしない?」

木曾「いや全然。というかあんまり人間を見たりしないなあ」

北上「興味なしか」

木曾「年に数度しか人間に会わないしな。魚とかの方がまだ興味が湧く」

そんなもんなのか。人と艦娘というのも。

これ程人に近いのに人に飼われていた猫の方がまだ人への興味があるとは不思議なもんだ。

木曾「上姉は結構人間に興味ありそうだよな」

北上「そ、そう?ほら、私本とかで人の話とか読んだりするからさ」

木曾「あーなるほどな」

北上「でも木曾も映画とか漫画とか、人に触れる機会が無いわけじゃないでしょ」

木曾「ああいうのはフィクションだし」

北上「そういう認識なのか」

木曾「大抵はそういう認識なんじゃないかな」
570 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:50:59.11 ID:a4+QFzlN0
北上「金剛さんとかは違うのかね」

木曾「あーどうだろうな。提督一筋って感じだし、別に人間に興味はないんじゃないかな」

北上「…あぁ、かもね」

凄く意外な事にしかし今更ながら気がついた。

そっか、皆にとって「人間」と「提督」は別物なんだ。

そういえば前に日向さんは提督を女王蜂と言ってたっけ。

でも唯一の人間だとも言ってたな。そこに違いはなんだろうか。

前任の提督を知っているから?つまり提督意外の人間を知っているから?

北上「むむむ」

木曾「どうした急に」

北上「頭痛が痛い」

木曾「そんな船に乗船みたいな」
571 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:51:48.85 ID:a4+QFzlN0
北上「金剛さんと言えばさ、大井っちと提督の仲について他の皆はどう思ってるんだろ」

木曾「さっきも言ったけど、皆はおい姉の変化については多分それほど気づいてないと思うぞ。相変わらず馬が合わないなあ位の認識じゃないかな」

北上「おー、流石大井っち。ライバルに気付かれずにゴールインする気だな」

木曾「そう取れなくもないけど、おい姉もおい姉で無意識にやってるんだろうな」

北上「だろうね。提督の方は誰かに気があったりはしなかったの?金剛さんとかモーレツアタックしてるけど」

木曾「俺か知る限りはないな。だからこそおい姉とこんなに仲良くなってたのは意外だったよ」

北上「へぇ。提督とか抱きしめてキスのひとつでもすればOKしそうに見えるのに」

木曾「それは流石にひでぇな」

北上「そうかな」
572 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:52:23.20 ID:a4+QFzlN0
木曾「もう一つ気になるのは最近のおい姉だ」

北上「私もそこがわからない」

木曾「喧嘩ってのは、やっぱなさそうだよなあ。痴話喧嘩はしても喧嘩はしなさそうだし」

北上「別に提督と仲が悪くなった感じもないんだよねえ」

木曾「なんつーかおい姉が提督を避けてる、距離を置いてる感じがあるな」

北上「そう?」

木曾「俺はそう思った」

北上「じゃあそうかもね」

木曾「そんなあっさりと」

北上「木曾の目は信頼に値すると思ってるからね」

木曾「そりゃ、妹冥利に尽きるね」
573 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:52:52.88 ID:a4+QFzlN0
最初は提督に悪態つくだけで、

そうして接する内にいつの間にか距離が近づいて、

私が来てからいつも私と居るようで、提督ともそのまま一緒にいたりして、

でも最近提督を少し避けてる。

そして多分、私との距離も変わってる。

北上「改二になってからだよね」

木曾「前に上姉が言ってた通り服装か?」

北上「本気?」

木曾「まさか」

北上「だよねぇ」
574 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:53:41.58 ID:a4+QFzlN0
木曾「上姉は何か気づかなかったのか?一緒に工廠行ってたんだろ?」

北上「別に普通だったけどなあ。その後なんかため息ついたりしだして、段々とって感じで」

木曾「さっぱりだな」

北上「木曾は改装後なんかあったりした?」

木曾「俺は…いや別に何も無いな」

北上「あ、今チラッとマント見た。やっぱ気に入ってるな、マントカッコイイと思ってるな」

木曾「お、思ってねえ!そりゃカッコイイとは思うけど別にそこまで気にしてねえ!」

北上「天龍と一緒にマント作ったりしてるのに?」

木曾「なんで知ってんだよ!?」

北上「龍田が言ってた、って阿武隈が」

木曾「アイツは龍田にだけ口が軽すぎる…」

北上「姉妹だもんねぇ。いいなぁウチの妹も見習って欲しいなぁ」
575 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:54:13.64 ID:a4+QFzlN0
木曾「俺は、上姉にこそ見習って欲しいけどな」

北上「え?」

片方だけのクールな目が私をじっと見つめてくる。

鋭い観察眼は、私をどう見ているんだろう。

というかなんで眼帯なんだろうか。色が違ったりするけど普通に見える目のはずだが。

明石に頼んだら目くらいどうにでもなりそうだし。

北上「あ」

木曾「お?」

北上「そういえば改装した日大井っちがなんか明石のとこに行ったとか言ってたっけ」

木曾「ほぉ。なんさ手掛かりになるかもな」

北上「今度聞いてみるよ」
576 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:54:50.21 ID:a4+QFzlN0
上の方から騒がしい声が聞こえ始める。

北上「また始まったね」

木曾「いっそこの方が落ち着くよ」

北上「確かに」

木曾「さて、着替えるか」

北上「なんで制服だったの?」

木曾「言わせないでくれ」

北上「あーマントか」

木曾「言わないでくれ」
577 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:55:22.70 ID:a4+QFzlN0
北上「…」ジー

木曾「な、なんだよ」

北上「なんで眼帯なんだろうね」

木曾「これか?なんでって言われると、なんだろうな」

北上「お風呂とか寝る時は普通にとるもんね」

木曾「邪魔だしな」

北上「なら外しちゃえば?」

木曾「こっちで慣れちまったからなあ。外すとかえってやりにくい」

北上「そうなの?」

木曾「上姉急に片目で暮らせって言われたらキツイだろ?」

北上「無理だね」

木曾「逆ではあるけどそれと同じことだよ」

北上「ふーん」
578 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:56:25.57 ID:a4+QFzlN0
北上「スキありっ!」バッ
木曾「どわぁっ!?」ドサッ

木曾の眼帯を取ろうと襲いかかる。

慌てて防ごうとしたようだけど叶わず適わず、押し倒される木曾。

木曾「痛え」

北上「畳だしだいじょーぶ」

木曾「コンクリよりマシってだけだ」

北上「おー黄色く?黄金かな。光ってるね」

木曾「夜だとちょっとした明かりになるぜ」

北上「それだと寝る時眩しくない?」

木曾「その時は消してる」

北上「消せるのか…」

無意識に消えてるわけじゃないらしい。
579 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:57:05.84 ID:a4+QFzlN0
北上「私が写ってるね」

木曾「レンズだからな。映ってなかったら一大事だ。ところでそろそろ上から降りてくれ」

北上「私の形してる」

木曾「どういう意味だよ」

北上「猫とか鳥の形だったら面白いなあって」

木曾「魔法の鏡じゃないんだぜ。まあもしかしたら、船の形とかはあるかもな」

北上「船かあ」

大井「北上さーん。提督に秋刀魚漁の話取り付けてきま…あ」ガチャ
木曾「あ」
北上「いやん」
580 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:58:14.76 ID:a4+QFzlN0
大井「そっち!?」

そっちってどっちだ。

大井「提督ぅぅぅぅぅ……」ダダダ

北上「行っちゃったよ…」

木曾「これめんどくさい事になるんじゃないのか」

北上「どーだろ」

木曾「しかしあれだな、こういう時は真っ先に提督のとこに行くんだな」

北上「なんだかんだでやっぱり提督なんだね」

木曾「ツンデレってやつだな」
581 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:58:43.30 ID:a4+QFzlN0
北上「木曾は提督の事どう思ってるの?」

木曾「俺か?改めて言われると、そうだな。相棒?」

北上「カッコイイね」

木曾「上姉こそどう思ってるんだ?なんやかんやと提督とはよく一緒に居るし、この前なんか部屋で寝てたじゃないか」

北上「提督かぁ。んー手掛かり?」

木曾「はい?」

北上「容疑者、いや目撃者的な」

木曾「推理小説の話はしてないぞ」

北上「事実は小説よりも奇なりなんだよワトソンくん」

木曾「勘弁してくれホームズ」

呆れて肩をすくめる妹をよそに、私はあの日神社で出会ったような、出会わなかったような、不思議な友人を思い出していた。
582 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 04:59:31.38 ID:a4+QFzlN0
木曾「お」

北上「あ」

上からまた騒がしい二人の声がする。

木曾「俺は知らないぞ」

木曾がまた肩を竦めて立ち上がる。

北上「クールだねぇ」

木曾「別にそんなことは無いさ」バサッ

そしてマントを翻しながらカッコよく取る。

木曾「うわっ」バフッ

あ引っかかった。

木曾「…」

北上「…」

木曾「れ、練習中だ…」カァァ

実に可愛い妹である。
583 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/11/27(火) 05:01:28.90 ID:a4+QFzlN0
しまった66じゃなく67匹目だ。内容に影響はないのでいいのだけれど。

木曾や加古などのあの目はなんなんでしょうね。連装砲ちゃんと同じくらい謎です。
584 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/27(火) 10:23:58.46 ID:tnkUXOnCo
おつだキソー
585 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/27(火) 11:23:17.46 ID:JUeAnmMbO
キソー
586 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/27(火) 18:49:03.81 ID:gm3fMJZ/O
>>1
乙なのよ

ちなみに気になったので

川内は「せんだい」と読むんだよ

587 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/27(火) 18:54:58.89 ID:p8zpc/oIO
>>586
いや、ネタにマジレス(ry
588 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 22:37:56.53 ID:UH5ZtRP9O
乙ー


しかし、何故数多くの艦これ二次創作で神通が川内をカラテでケジメする役が多いのだろう?
589 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/11/28(水) 22:51:09.49 ID:DpGDJqA80
公式で川内は病気レベルで夜戦夜戦騒ぐ迷惑キャラ扱いだしな
身内の不始末をクソ真面目な神通が見過ごすとは思えない
590 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:27:59.25 ID:SNLbCxuM0
かわう、川内には後で活躍してもらう

このネタ何が元なんだろうと思ったら瑞鶴の時報だったんですね。
JAZZコンサートに行けるかドキドキなので少し書いていきます。
591 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:28:27.00 ID:SNLbCxuM0
69匹目:猫と船

三毛猫のオス。

その珍しさからどういう訳か一緒に船に乗ると沈まないなんて言い伝えがあるとか。

もし私が生前三毛猫のオスだったら不沈艦になれたのかな。

それはそれとして、私達は1日の内殆どを地上で過ごす。

出撃があるとはいえ長くても半日といったところか。遠征ともなると少し事情が違うけれど。

船にあるまじき生活だがそれでも私達にとって海というのは生きる上で大切なものだ。
592 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:30:10.40 ID:SNLbCxuM0
私達は陸に住んでいる。それは間違いない。

だが私達に陸という意識は恐らくほとんどない。

艦娘にとってこの世界にあるのは海と空と鎮守府、と陸だ。

鎮守府は鎮守府であり、決して陸ではない。

陸と海の間。

人と船の境界にいる私達には大切な場所。

故に陸への愛着がある者は少ない。陸で何かあっても他人事にしか思えない。

私達にとって日常を揺るがすような何かとは決まって海での事なのだ。
593 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:30:46.00 ID:SNLbCxuM0
北上「うーみーはー広いーなー大きーいーなー」

木曾「呑気に歌ってる場合かよ」

北上「だってさあ、こうして最速で現場に向かってるってのに見えるのは海海海。太平洋の広さが身にしみるってもんだよ」

大井「問題の場所はもう少しのはずなんですけれど」

多摩「最後に連絡があった時はまだ交戦していたらしいからにゃ。移動している可能性は大きいにゃ」

北上「もしくは、もう沈んで消えたか」

だだっ広い海のど真ん中で沈黙が走る。

状況から言って件の船がまだ生きている可能性は極めて低い事は皆も分かっている。
594 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:31:17.83 ID:SNLbCxuM0
球磨「煙クマ」

多摩「何っ!」

周囲を偵察していた球磨姉ちゃんが指を指す。

そこには空を彩る様々な雲とは明らかに違う黒い硝煙が上がっていた。

木曾「だいぶ位置がずれてるな」

大井「煙という事は沈んではいないようね」

球磨「でも敵影もなし。なんだか不気味だ」

多摩「警戒しつつ接近するにゃ。敵がいるようなら雷巡トリオですかさず魚雷。基本的にはそのまま即離脱にゃ」

「「「「了解」」」」

先行する球磨姉ちゃんと多摩姉ちゃんに続く。

やはり有事の際の2人はとても頼もしい。

大井「…」

ただ、大井っちが妙に険しい表情なのが気になった。
595 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:31:45.88 ID:SNLbCxuM0
事の発端は僅か1.2時間ほど前。

秋刀魚漁の護衛。つまり秋刀魚漁に来ていた時のことである。

普段よりも沖に出ての出撃。

大井っちによる提督の説得、内容はともかくその説得の結果私達球磨型五人による出撃が許可された。

もうそろそろ漁場に着くという頃、その連絡は入った。
596 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:32:25.98 ID:SNLbCxuM0
飛龍「ええ!?なになにどういうことよ?」

球磨「?」

多摩「どうしたにゃ」

引率役の旗艦、飛龍さんが急に慌て出す。

飛龍「えっと、提督から連絡が来てて、待って待って提督、皆に話した方が早いから」

直後、艦隊の全員に回線が繋がった。

提督『悪いがあまり時間が無い。手短に話すぞ。今から漁船は引き返す。護衛は飛龍だけだ。後はこれから送る座標に向かえ』

飛龍「私だけって、本気?」

提督『見張りとしてだから攻撃機積んでないだろ。船には全速力でそこを離脱してもらう。索敵だけなら飛龍だけでいい』

私達が囲んでいた漁船が徐々に速度を落とす。どうやら撤退の準備を始めたようだ。
597 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:34:48.52 ID:SNLbCxuM0
多摩「それで、何があったにゃ」

提督『海外からの船が日本に向かう途中深海棲艦に襲われ連絡が途絶えた。詳しい話は向かいながらだ。今はとりあえず動いてくれ』

飛龍「…りょーかい。旗艦は球磨ちゃんでいい?」

提督『構わん』

球磨「任された」

飛龍「それじゃ皆、気をつけてね」

そう言い残して踵を返す飛龍さん。

その真剣な表情に私も少し緊張する。
598 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:35:28.77 ID:SNLbCxuM0
木曾「で、何がどうなってるんだ」

大井「救援にしたって私達じゃ大した力にはならないわよ。空母も戦艦もなし。装備も秋刀魚漁用のものが多いし」

提督『そこが少し複雑でな。今日船が来る予定は正式にあったんだ。特定のポイントまで向こうの艦隊が護衛して後は日本の艦隊がそれを引き継ぐ予定になっていた』

多摩「予定、にゃ」

提督『ああ。その船が現れなかった。何事かと問いただしてみりゃ今から1時間ほど前に深海棲艦と接触したという連絡があったっきり音信不通だと』

球磨「1時間も前?」

提督『色々言ってはいたが要は俺らに借りを作りたくないって事だろ。結局どうにもならないと思って助けを求めた訳だが』

多摩「くだらねえにゃ」

提督『全くだ』

政治的な話、ということなのだろうか。

いまいちピンと来ないがくだらないというのは分かった。
599 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:36:07.23 ID:SNLbCxuM0
提督『そのくせご注文が多くてな。無事なら助けろ、無事じゃなくても船には触れるな、とさ』

大井「何か見られたくないものでもあるんでしょうか」

提督『多分な。出来れば回収したい、でも日本には渡したくない。そんなものがあるのかもな』

木曾「俺らに関すること、だろうな」

提督『艦娘生み出したのは日本だしな。おかげで日本と海外との力関係は妙な事になってる。皆ちっぽけな島国を出し抜こうと必死だし、日本も出し抜かれまいと必死だ』

多摩「で、多摩達は結局どうすればいいにゃ」

提督『船が無事なら助ける。だがそうでないなら即撤退だ。幸い秋刀魚漁用に偵察装備は多めに積んである。要索敵。敵が強力なようならすぐ逃げろ』

球磨「妙な作戦だ」

提督『変更も考えられる。何せ見られたくないものを詰んでるんだからな。こっちもそれをエサに交渉してる途中らしい』

木曾「日本としても是非手に入れておきたいところだよな」

提督『後はまあポーズだな。一応救援に向かったっていう。だから急いでは貰うが正直助けるとかは考えなくていい。そもそも最後の連絡が1時間前。移動を考えたら着くの頃には2時間経ってる。まず助からん』

連絡が途絶えたという時点で絶望的なのにさらに2時間も経つとなれば、当然そうなるか。
600 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:36:47.49 ID:SNLbCxuM0
提督『そこに向かったという事実があればいい。後は自分達の安全を最優先しろ。釣竿でやつらと戦うわけにゃいかんだろ』

北上「そりゃそうだ」

提督『じゃ頼んだぞ』

球磨「了解」

多摩「とんだ秋刀魚漁だにゃ」

木曾「釣りをしてんのは上の連中ってわけか」

大井「何が釣れるのやら」

北上「私達がエサじゃないといいけど」

それから1時間弱。私達は煙と、船を発見した。
601 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/12/01(土) 03:37:23.37 ID:SNLbCxuM0
木曾「こりゃ、酷いな」

大井「無事、と言っていいのかしら」

船は確かに浮いていた。あちこちに穴があき、ドス黒い煙を吐いていたが。

艦橋はまるで踏まれたかのようにひしゃげ、甲板は波のように捲り上がり、人影もなく、何より一切の生が感じられなかった。

多摩「敵影はなしにゃ」

球磨「こっちもだ。どうなってる?」

北上「船がこんなになってるって事は護衛の艦隊は、そういう事だよね」

多摩「なのに船がまだ無事なのがよく分からんにゃ」

球磨「無事とは言えない」

多摩「まるで人だけを殺すような痛め付け方にゃ…これは」

多摩姉の表情が強ばる。

なんというか、恐怖とかではなく嫌悪感とか、気持ち悪いものでも見るようなそんな表情に見えた。
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