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北上「我々は猫である」

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41 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/21(水) 03:29:09.18 ID:0wnyzqTy0
北上「手伝うよ大井っち」

大井「そんな悪いですよ」

北上「いーじゃんいーじゃん。素直に甘えたまえよ」

大井「じゃあここの棚の物を1回全部下ろして貰っていいですか」

北上「あいよ」

木曾「よし、俺も手伝うよ」

球磨「球磨も手伝うクマ!」

大井「球磨姉さんは多摩姉さんの机を磨いといてください」

球磨「なぁ!怒ってた、やっぱり怒ってたクマ!?」

大井「怒ってません」

球磨「怒ってるクマ!」

大井「怒ってません」
42 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/21(水) 03:30:03.44 ID:0wnyzqTy0
木曾「この雑誌とかはどうする?」

大井「そうねえ。後で捨てるものと分けるからそこに詰んでおいて」

木曾「あいよ。お、これいいな」

大井「手伝うなら読んでないで手を動かしなさい」

木曾「う、サーセン」

北上「わーこれ美味しそう」

大井「!それはですね!ハロウィンのお菓子特集のやつで!」

木曾「おい手を動かすんじゃないのかよ」

大井「北上さんはいいんです」

木曾「開き直りすぎだろ!」
43 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/21(水) 03:30:34.87 ID:0wnyzqTy0
球磨「キソー」

木曾「なんだい」

球磨「これなんだと思う?」

木曾「猫のー、猫の…猫の?置物?」

球磨「でもなんか触るとふにふにしてる」

木曾「多摩姉のか?」

球磨「そう。ホコリかぶってるけどなんか下手に触るのが怖い」

木曾「ライト、とかか」

北上「なになに?うわ…なに?」

球磨「それがわからんから苦労してる」
44 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/21(水) 03:31:25.63 ID:0wnyzqTy0
大井「ここだけ何か硬くないですか?」

球磨「ホントだ。スイッチみたい」

木曾「押しみるか」

北上「どうぞどうぞ」

球磨「爆発しそうでいやだ」

木曾「いや爆発はしないだろ…」

球磨「じゃあ木曾が押せ」

木曾「え……やだ」

球磨「やっぱり怖がってるじゃないか!」

北上「姉ちゃんここはクマを付けて愛らしく」

球磨「木曾に押して欲しいクマァ」
木曾「やだ」
球磨「キサマぁ!」

大井「えい」ポチ


置物「ニャア(低音」

「「「「……」」」」
45 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/21(水) 03:33:50.27 ID:0wnyzqTy0
球磨「多摩はよくわからん物ばかり持ってるクマ」

木曾「あんなもの一体どこから手に入れたんだか。あ球磨姉、引き出しの一番下には手をつけるなよ」

球磨「わかってるクマ」

北上「…一番下?」

球磨「そう、ここだけは開けるなと念を推していた。多摩らしくもない真剣な顔で」

北上「へえ」

ダメだと言ってはいたのか。罪悪感と背徳感が今になって押し寄せてきた…

木曾「日記が入ってるだけだったけどな」

北上「え」

球磨「恥ずかしがり屋な妹クマ」

北上「え」

大井「あ、日記なら私もつけてますよ。北上さん見ます?」

北上「え゛」
46 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/21(水) 03:35:55.65 ID:0wnyzqTy0
まだ 最終海域が 終わって いない

ロリ金剛と同士でっかいのはタシュケられたので…
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 04:46:54.60 ID:sS3k1pEj0
時間無いし甲が無理なら一気に下げて丁にせいw
甲で行ったが菅野隊がそこまで重要かというとそうでも無い気がする
菅野隊いらないなら丁で十分


48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 20:48:37.28 ID:ENZqrCPz0
更新お疲れ様です
丁なら一気に駆けら抜けられるけど明日までかぁ
イベ終わったら更新くるのかしら?
49 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/27(火) 03:58:50.84 ID:rENztWyr0
球磨「見るなとか言われて見ない方がおかしいクマ」

北上「それはおかしいでしょ」

木曾「別にじっくりは見てないさ。流石にそこまでするのは悪いからな」

北上「いや悪いでしょ既に」

大井「ポエムでも書いてるのかと思いましたけどただの日記なら特に言うこともないですね」

当然のようにみんな見ていた…まあここで私がいくら言っても盗人猛々しいというだけの話なのだが。

球磨「せっかくだし北上も見ておくクマ?」

北上「遠慮しとくよ…逆に見る気がなくなった」
50 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/27(火) 04:00:36.05 ID:rENztWyr0
木曾「衣替えと掃除はこんくらいかな」

皆日記を見ていながら何も反応がないということは最初の方は見ていないのか。

大井「あら、衣替えなのに衣を変えてなかったわね」

パッと見て日記だと分かったらその時点で読むのを止めた、という感じか。

球磨「衣?服の事かクマ」

まあ下手に目撃者が多いよりはいいか。騒ぎにしたくはないし。

木曾「でも俺達服なんてほとんどないぞ」

球磨「北上なんて特にそうクマ」

北上「へ、私?何が」

大井「服ですよ服」
51 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/27(火) 04:01:24.06 ID:rENztWyr0
北上「あぁね。水着も結局借りちゃったものね」

木曾「上姉はその制服と下着だけだもんな」

球磨「球磨達も水着と夏用冬用の服とで、多分10着もないクマね」

大井「私はかなり多いですけど、それでもやはり女性としては少ないほうですね」

北上「大井っちはともかく他は服とか着る機会あるの?」

木曾「ぶっちゃけないな」

球磨「皆で出かけた時に買っただけクマ」

北上「みんな?」

木曾「一度球磨型4人で外に買い物に出かけたことがあってさ」

大井「そうですよ!せっかく5人全員揃ったんですしまた行きましょうよ」

外に遊びに、か。そりゃ悪くない。
52 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/27(火) 04:02:05.31 ID:rENztWyr0
球磨「予定が合うか、だ」

木曾「そこだよなあ。提督にはおい姉が頼めばなんとかなるだろうけど」

大井「吹雪が許してくれるといいのだけれど」

北上「あーそこかあ」

割と暇な時間の多い艦娘だが1日暇かと言われるとそうでもない。

まだまだ練度上げ中の私や大井っちは演習やらがあるし、貴重な雷巡の木曾も出番は多い。

練度の高い多摩姉も遠征や出撃などの引率役として意外と忙しい。

木曾「そこへいくと1番暇なのは球磨姉さんだよな」

球磨「クマッ!?」

大井「微妙に出番がないですものね」

球磨「クマァッ!?」
53 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/27(火) 04:02:41.13 ID:VD3c9z730
球磨「意外と傷つきやすい球磨ちゃんってよく言われるクマ…」グスン

多摩「ただいまに…どういう状況だにゃ」

木曾「また球磨型皆で外に遊びに行かないかって話してたんだ」

多摩「とてもそうは見えないにゃ」

大井「球磨姉さんはそっとしておいてあげてください」

多摩「お、おうにゃ」

北上「おーよしよし、いいこいいこ」ナデナデ

球磨「クマァ」
54 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/27(火) 04:03:31.34 ID:VD3c9z730
川内「球磨型のしょくーん」

多摩「にゃ?」

球磨「川内、どうした?」

川内「相変わらずクマがつかないね。じゃなくて、てーとくが物置小屋に応援求むってさ」

球磨「何かあったのか、クマ?」

川内「予想以上に物置に物があったらしいよ。だから各部屋から1人ずつ人柱を立てるようにって」

木曾「人柱ってお前な…」

人柱は川や海を沈めるためにも用いられたという。私達には少し笑えない話とも言える。

川内「あーちなみに川内型の犠牲者は私ね」トホホ
55 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/27(火) 04:04:42.29 ID:rENztWyr0
川内「そいじゃね〜」


多摩「だってにゃ」

球磨「さてどうするクマ」

大井「それはもう決まってますよ」

木曾「だな」

北上「やっちゃいましょうかねえ」

多摩「ところで多摩はさっき負けているので今回h「出さなきゃ負けクマ」聞けに゛ゃあ゛!」

北上「5?」

木曾「3で」

球磨「3」

北上「よし」

多摩「よくないにゃ」
北上「出さなきゃまけよ」

「「「「三 式 弾!」」」」




ちなみに、数分の死闘の後普通に木曾が負けた。
56 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/27(火) 04:07:54.73 ID:rENztWyr0
駆け抜けた(乙)

甲にしてたらと思うと…
E1でフル改修にした卵焼きが得意な嫁が大暴れしてくれたので満足です
エンディングの存在は、後で知りました…
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/27(火) 12:10:13.73 ID:5gFIZzEv0
完走おめ
夜襲カットイン艦載機揃えとくと今後瑞鳳は聯合艦隊前衛で切り札の一枚になるはず
史実艦補正込みとはいえ中破ネオダイソン(甲壊)を一気に持って行った時は驚いた
潜水艦対策でも有能だったし
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/28(水) 03:03:36.87 ID:Yx4V15uNo
おつにゃあ
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 17:14:44.35 ID:YrvkCMiVO
おつ
素晴らしいスレだな
60 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:44:10.20 ID:rN2v+Mhe0
58匹目:寝る子



猫とは、ねるこ、が語源だとかそうじゃないとか。




北上「…にゃ」

徐々に意識が覚醒していく。

陽炎のように揺れながら思考の奥へと消えていく夢の世界を必死に追いかけようとするが、ある一言が私をいっぺんに現実世界に引っ張り出す。

大井「朝ですよ、北上さん」

北上「…はよ」

大井「はい。おはようございます」

観念して目を開ける。

私の枕元に座り優しくほほ笑みかける大井っちは、紛れもない現実だ。
61 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:45:03.45 ID:rN2v+Mhe0
大井っちは私を起こしてくれる。

無論頼んだわけではない。自主的にだ。

最も私もその優しさにガッツリ甘えているわけで、実際大井っちがいなかったら寝坊の北上と言う不名誉な称号を貰っていた事だろう。

北上「あーあ。出撃なんてなけりゃいいのにさ」

大井「今日は演習ですよ」

そう言いながら優しく私の髪にクシを通す。

北上「似たようなものでしょ」

大井「全然違いますよ」

北上「早起きならどっちも同じだよ。はぁやだやだ、大井っち一緒に二度寝しない?」

大井「着替えここに置いておきますね」

北上「ちぇー容赦ないや」
62 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:45:55.73 ID:rN2v+Mhe0
もっとも毎日起こしてくれるわけじゃない。

あくまで私が出撃やらなんやらで起きなくてはならない日だけだ。

それ以外の日は決して私の眠りを邪魔しない。

つまり

秋雲「お、北上サンおはー。おは?おはじゃないか」

北上「おそよう」

秋雲「あははそれそれ。遅ようだ」

部屋を出て右に真っ直ぐ行くと共有の洗面所がある。

このフロアだと使うのは主に駆逐艦と軽巡だ。

現在時刻は正午、を少し過ぎたあたり。

少し、随分と遅めではあるが私はまだ完全に覚めていない顔を洗っていたところだ。
63 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:47:06.91 ID:rN2v+Mhe0
秋雲「相変わらず遅いっすね〜」ジャー

北上「そういう秋雲こそ遅いじゃん」パシャパシャ

お互いまずは顔を洗う。

秋雲「いやぁ、原稿がねぇ…」パシャパシャ

北上「進捗どうですか」ジャー

秋雲「ダメです」キュッ

北上「ダメじゃん」キュッ

水を止め濡れて顔を拭く。顔を濡らすより濡れて顔を吹いた瞬間の方が私は気持ちいいと思う。
64 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:47:36.04 ID:rN2v+Mhe0
秋雲「気づいたらこの手は筆ではなくコントローラーを握っていた」プルプル

北上「自制心を鍛えよう」ホイ

タオルを見失ったらしい秋雲にタオルを渡す。

秋雲「お互い様」フキフキ

北上「私は夜更かししてるんじゃないもの。寝すぎてるだけ」

秋雲「それもそれでどうなんだろ」

北上「自由な時間のために睡眠を削るんじゃなくて自由な時間をいくらか睡眠に
当ててるだけだよ」

秋雲「お、なんかカッコイイ」

北上「だしょ」
65 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:49:09.55 ID:rN2v+Mhe0
秋雲とは夕張明石繋がりで割と話すようになった。

なんというか凄く空気が読める子だ。距離感がうまい、とでも言うのかな。

凄く親しいという訳でもないけれど会話に困らない程度のいい友人である。

秋雲「北上サン今日はお仕事あり?」

北上「ヒトゴーから演習」

今度はお互い髪を結ぶ。

演習もあるししっかり結んでおかないと。ちなみに無い時はポニテか結ばないでほおってる。
66 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:49:45.29 ID:rN2v+Mhe0
秋雲「後2時間半くらいかあ」グッ

北上「適当に腹ごしらえせにゃ。秋雲はお仕事あり?」スルスル

秋雲「今日はなし。明日はあり」シュッ

北上「秋雲先生はお仕事ありあり?」ギュ

秋雲「今日も明日もありありぃ…」

北上「気を落とすならやらにゃいいのに」

秋雲「気は落とせても原稿は落とせんのです…」

北上「だれうま」

三つ編みめんどくさい…やっぱ後で大井っちにやってもらおう。

秋雲「これをやめたら死ぬのよ秋雲は。書く事と心臓が動くことは同義」

秋雲はポニテ、でいいのかな。

長いけど量は少ないので楽そうだ。
67 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:50:15.95 ID:rN2v+Mhe0
秋雲「ほいじゃまったね〜」

北上「また〜」

秋雲「あそーだ。今度バリちゃん達とアニメ一挙視聴やるんだけど来る?」

北上「うーん内容による」

秋雲「オーキドーキ。決まったら連絡するね」ノシ

北上「あいあい」

たっぷり寝過ごした昼の洗面所。

意外な人と二人っきりになったりしてそれが少し楽しみになっているところがあるのは否めない。
68 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:50:49.25 ID:rN2v+Mhe0
別の日。

北上「おや」

叢雲「あら」

ばったりと。

そんな唐突な出会い。

北上「おはよー」

叢雲「おはよーって、もう昼…あぁおはよう」

どうやら私のボサボサの髪とクシャクシャの顔を見て察してくれたようだ。

しかしそれはともかくとして、

北上「叢雲もおはよう?」

叢雲「えぇ、おはようよ」

そう。叢雲も同じように起きたてほやほやと言った格好だった。
69 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:51:23.13 ID:rN2v+Mhe0
北上「珍しいじゃん」

叢雲とも話す機会はそれなりに多い。

提督といると吹雪がやってきてそこに叢雲もいて、みたいなことばかりだけど。

叢雲「たまにはね。夜遅くまで遊んでたから」

二人並んで髪をとかす。叢雲もかなり髪が長いほうだ、色々大変そうである。

北上「なんでまた?」

叢雲「吹雪が皆と遊びたいーっていうから相手してあげたのよ」

北上「吹雪が?」

叢雲「吹雪が」

そりゃまたさらに意外な。真面目、優等生、学級委員長の擬人化みたいなやつなのに。

北上「雪でも降るのかね」

叢雲「あの子も人の子よ。息抜きくらいしたくなるんでしょ」

北上「息抜きねえ」

そういえば休憩中に隠れてアルコールいれたりしてたっけ。
70 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:51:58.17 ID:rN2v+Mhe0
叢雲「まったく、付き合う身にもなって欲しいわ」

北上「でも付き合うんだ」

叢雲「仕方ないでしょ」

バレないように鏡を利用して隣で髪をといている叢雲を見る。

口元がにやけてることを指摘するとまたぞろどんな言い訳が飛び出すか分からないので黙っておく。

北上「皆って吹雪型の皆で?」

吹雪型というと吹雪叢雲に雪が3人と、あれ?後誰だっけ…

叢雲「いいえ。特型姉妹の皆、よ」

北上「特型」

めちゃくちゃ多かった気がするが。
71 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:53:10.49 ID:rN2v+Mhe0
叢雲「今日仕事の娘もいるし最後まで起きてたのは10人もいなかったけれど」

十分多い。さすが駆逐艦。

北上「姉妹が多いってのも大変だね。それで何やってたのさ」

叢雲「トランプとかワードウルフとか」

北上「どうだった?」

叢雲「初雪が妙に強かったわ…」

北上「なんかわかる」

叢雲「後雷も強かったわ」

北上「それは意外。で主催者はまだ寝てるの?」

叢雲「起きたらいなかったしどうにも普通に秘書艦やってるみたいよ」

北上「え、徹夜してるのに」

仕事人間すぎるのでは。

人の子ではなく艦娘だからこそ出来る芸当、なのかな。
72 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:53:44.94 ID:rN2v+Mhe0
叢雲「ちょっとは寝たと思うけれどそういう問題じゃないわ」

北上「だろうね」

叢雲「だから朝…昼ご飯を食べたらふん捕まえてはっ倒してでも寝かせるつもりよ」

パン、と両手で頬を叩き鏡を睨みつける叢雲。

コワイ。

叢雲「アナタはなんで夜更かしを?」

北上「私は寝すぎてるだけで夜更かしはしてないよ。10時には寝てるもん」

叢雲「その睡眠欲吹雪に分けてあげてほしいわ」

北上「吹雪は欲があっても寝ないでしょ」

叢雲「そうね。だから困るのよ」

北上「さもありなん」
73 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:54:16.71 ID:rN2v+Mhe0
叢雲「よかったら一緒に来ない?私一人じゃ捕まえるの苦労するし」

北上「遠慮しとくよ。なんかあとが怖いし」

叢雲「あら、秘書艦に日頃の鬱憤を晴らす貴重な機会よ?」

北上「別に鬱憤なんかないよ。晴らすとしたら、あー…」

叢雲「ん?なにかあるの?」

北上「いや、やっぱないや」

叢雲「え〜気になるじゃない」

北上「プライベートで〜す。黙秘権黙秘権」

晴らすなら、謎の期待を少しやめていただきたい。
74 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:54:48.39 ID:rN2v+Mhe0
叢雲「それじゃ」

北上「頑張れー」

叢雲「応援より増援が欲しいわ」

北上「嫌厭しとく」

叢雲「残念」

なんて特に残念そうな素振りもなく手をヒラヒラとさせながら提督室の方へと去っていく。

北上「ふむ」

しかしせっかくの機会だったというのにまた聞きそびれてしまった。

艤装をしていないのにも関わらず叢雲の頭上に当然のように浮いているあのファンネル(仮)。

北上「何なんだろう」
75 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/03/30(金) 02:58:16.10 ID:rN2v+Mhe0
なんなんだろう

特に物語に絡む要素ではないので明言していませんが例えば吹雪、叢雲と聞いて未改造、改造後のどちらが先に思い浮かぶかは人によりそうです。
私は前者は改造後、後者は未改造ですかね。
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/30(金) 12:01:53.96 ID:MfdfmKa1o
おつ
俺もおなじように浮かぶなぁ
何でだろ
77 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:02:19.86 ID:riXpa5a40
吹雪「それ何?って聞いたらこれ以上ここにはおれませんって飛び去っていきそうで聞けてないんですよね」

北上「鶴の恩返しじゃあるまいし」

叢雲と会った次の日のお昼。

今度は吹雪と出会った。

吹雪「何せ生まれた時からありますからね」

北上「でも海で泳いでた時は確かなかったよ」

吹雪「お風呂とかの時も消えますね。あと寝る時も」

北上「消える?消えるの?アレが?」

吹雪「消えますね。スッ…って。この前も疲れた〜って布団に倒れ込んだ瞬間に消えてました」

北上「なにそれこわい」

吹雪「消える時も現れる時も気づいたらそうなってるんですよね〜」

そりゃ聞きたくても聞けんわ。
78 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:03:40.03 ID:riXpa5a40
北上「で、今日はなんでこんな遅くにおはようなの?」

吹雪「またまた〜知ってるくせに」

北上「結構騒ぎになったものね」

叢雲の「はっ倒してでも寝かせる」はホントにはっ倒して寝かせる事だったようで、提督室で一悶着あったらしい。

吹雪「ビックリしましたよ。いきなり部屋に入ってきたと思ったらつかつかと私の前まで来てグーパンですよグーパン。右ストレート」シュッシュッ

北上「そんなにハードだったのアレ」

吹雪「めっちゃハードでした。面食らって思わず受け止めちゃいましたもの」

かわせずに受け止めた、という話なのだろうが咄嗟に防御できるあたり吹雪の練度の高さが伺える。

北上「そのまま殴り合い?」

吹雪「まさかー、そこまではやりませんよ」

やりそうだよ君らなら。

吹雪「叢雲がこう続け様に二三発打って防いでる隙に脚を払われてお終いでした」

北上「わーお」
79 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:04:25.31 ID:riXpa5a40
吹雪「カッコよかったですよー。倒れ込んだ私の上に馬乗りになって胸ぐらをグッと掴んでですね、この程度もあしらえないくらいフラフラの癖に仕事なんかしてんじゃないわよ!寝ろ!って」

迫真の演技。やられた張本人だけあって臨場感がすごい。

北上「それ提督の前でやったんでしょ…?」

昨日見た叢雲のコワイ表情を思い出す。

私ならチビるな。

吹雪「私も提督もあまりの事にフリーズしましたね。その後提督がまず話を聞かせろと言うので事の発端を話して、まあ最終的に私に休暇命令がでました」

北上「ちゃんと対応したんだ提督。てっきりビビって何も出来なかったのかと」

吹雪「そこはまあ仮にも提督ですからね、提督」

北上「仮ねえ」

それくらいの信頼はおいているのか。
80 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:05:07.28 ID:riXpa5a40
北上「そもそも吹雪が皆で遊びたいって言うからでしょ」

吹雪「へ?私そんな事言ってませんけれど」

北上「え」

吹雪「ん?あー」

北上「何その分かってしまったみたいな反応」

吹雪「誰から聞きました?」

北上「誰って、叢雲だけど」

吹雪「はーん。はは〜ん。へへぇ〜」ニヨニヨ

段々と顔が緩んでいく吹雪。

北上「まさかそのまま1人だけ納得して終わりってんじゃないよね」

吹雪「いいでしょう。可愛い妹の可愛い所を教えてあげましょう」フフン
81 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:05:53.75 ID:riXpa5a40
吹雪「一週間くらい前かな。叢雲に何の気なしにポロッと愚痴ったんですよ。そういえば最近妹達と遊べてないなーって」

北上「ちなみに最後に遊んだのはいつ?」

吹雪「春頃に鎮守府で花見した時ですかね。そこからはあまり」

北上「そりゃまた随分時間が空いてるね」

吹雪「そうなんですよ。それで思わず寂しくなっちゃって、という程じゃないですけど」

北上「口から漏れちゃったと」

吹雪「ええ。次の日には言った事も忘れてましたけどね」

北上「叢雲はしっかり覚えてたってわけか」

吹雪「まさかあんなサプライズをくれるなんて、愛がヒシヒシと伝わってきますね〜」

北上「案外叢雲の方も寂しかったんじゃない?」

吹雪「ん…それは、考えてなかったですね。毎日アレだけ可愛がってあげてるのに寂しいとは生意気な」プンスカ

北上「可愛がるねぇ…」

主にからかってばかりじゃん。可愛いがるのニュアンスが少し違うのでは。
82 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:06:40.36 ID:riXpa5a40
北上「でもさ、そのサプライズは叢雲が企画したものなんでしょ?気が付かなかったの?」

吹雪「仕事中に白雪ちゃんから今日みんなで遊ぶんだって事を聞いただけだしたから。事の始まりも暁姉妹と漣がきっかけみたいでしたし」

北上「じゃ叢雲は隠してたのかな」

吹雪「多分そうなんでしょうね」

北上「ふーん。となると昨日私に漏らしちゃったのはそれだけ気が立ってた、ってことなのかな」

チラと吹雪の顔色を伺ってみる。

吹雪「そういうこと、なんですかねえ」

流石に困った表情を浮かべる。
83 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:07:15.08 ID:riXpa5a40
吹雪「叢雲も叢雲で、恥ずかしがらずにハッキリと言ってくれればいいんですけど」

北上「確かに。なんでそんなに恥ずかしがってんだろ」

吹雪「思春期かな」

北上「青春の秋か〜」

吹雪「反抗期とか」

北上「成長の秋だね」

吹雪「デレ期が来た」

北上「恋愛の秋?」
84 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:08:38.30 ID:riXpa5a40
吹雪「さて、私はもう一眠りしてきちゃおっかな」

北上「まだ寝るの」

吹雪「休めと言われた以上はとことん休まなきゃ。仕事の方はどうやら叢雲がしっかりやってくれてるみたいですし」

北上「秘書艦代理?」

吹雪「ええ。あと提督の世話も」

北上「世話って…」

吹雪「ちゃーんと宿題やってるか監視しなきゃですし」

北上「おかーちゃんかっての」

吹雪「でも叢雲ってお母さんっぽさありますよね、性格は」

北上「言われてみれば。厳しそうなカーチャンだね。最近じゃそういうのバブみっていうとか」

吹雪「バブ?」

北上「ソースは夕張達なんだけどね」

吹雪「わ〜テレビとかでやってる流行語大賞並に信用出来ない」
85 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:09:13.09 ID:riXpa5a40
吹雪「それではおやすみなさい」

北上「いい夢を、眠り姫」

吹雪「キスで起こしに来るように叢雲に言っといてください」

北上「それじゃシンデレラだよ」

吹雪「え、白雪姫じゃ」

北上「あれ」

吹雪「まあどれも似たようなものでしょ」

姉妹愛か。それはとても、羨ましいものだ。
86 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:09:47.66 ID:riXpa5a40
北上「おや」

洗面所から水の音がする。

さて今日は誰がいるのだろうか。

ひょいと中を覗いてみると白というよりは銀に近い色の髪を邪魔になるからか後ろで軽く結わえ顔を洗っているちびっ子がいた。

北上「ハラショー」

とりあえず声をかけてみる。

響「それは挨拶じゃない」

水を止め顔を拭いた後所々に黒い跡が残る顔でそう言った。

北上「ってうわ、何その顔」

響「マジックの後だよ。幸いにも油性じゃないみたいだ」

ハラショー、と私の挨拶に返してくれた。
87 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:10:16.99 ID:riXpa5a40
響「電にやられてね」

北上「なんでまた」

響「プリンを食べたのがバレた」

北上「…なんでまた」

響「美味しそうだったから」

北上「情状酌量の余地なしな犯行理由だね」

響「いけると思ったんだけどね」

北上「確信犯か」

大人びているようで、むしろだからこそ根は随分と子供っぽいやつだ。
88 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:10:47.97 ID:riXpa5a40
響「…」ジャー

北上「…」

響「…」ゴシゴシ

北上「…」パシャパシャ

響「…取れない」

北上「手伝おうか?」

響「いや、問題ない」

北上「でもまだ黒ずんでるよ?」

響「流石にこれは、恥ずかしいな」ゴシゴシ

北上「油性じゃなくてよかったじゃん」

響「流石にそこまではしない、と、思うよ」

北上「不安になってるじゃん」

響「悪いのは私だし甘んじて受け止めるさ」
89 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:11:21.66 ID:riXpa5a40
響「…」

北上「…」

無言の空間。

多少意味合いが違うがお互い顔を洗いに来ただけだし特に喋ることもないといえば無いのだが。

響「取れた」

北上「…ホントだ」

響。

普段は4姉妹で行動していて私を見つけ次第寄ってくるウザったい奴らなのだが、

こうして個別で会ってみると対応に困る。

響「どうかな」

北上「キレイだよ」

響「何だか恋人同士の会話みたいだね今の」

北上「その発想はなかった」
90 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:12:02.14 ID:riXpa5a40
北上「そういえばこの前夜通し吹雪を労る会やってたんだってね」

響「ん、知ってたんだ。吹雪の事」

北上「あーうん。叢雲と、吹雪から直接聞いちゃってね。叢雲の方は口を滑らしたって感じだけど」

響「そうか、そうかい…」

北上「どしたの?」

響「当日、叢雲に夜みんなで遊ぼうと提案されてね。勿論内緒にするように言われて」

北上「案の定だね」

響「色々と察しはついたから行動力のある暁達と影響力のある漣を最初に巻き込んで、後は流れる様に皆で集まったよ」

流石に叢雲が任せるだけあって行動が的確だ。
91 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:12:45.22 ID:riXpa5a40
北上「いいねぇ、侘び寂びだねぇ。家族愛ってのはいいものだよ」

響「…そうだね。その通りだと思うよ」

北上「なにさ。さっきから少し顔が怖いよ?」

響「吹雪はね、何も言わないんだよ」

北上「何も?あんなにいつもペラペラと喋ってるのに?」

響「そういう意味じゃない。何も、話してくれないんだ」

北上「何も…」

響「忙しくてそういう機会が少ないのは確かだ。それでも同じ艦隊の仲間で、一応姉妹艦だ。なのに私達を頼ったりしないんだ」

北上「1人で何でもやっちゃうタイプか」

響「そう。でもそうじゃない。頼ったり愚痴ったりする相手がいないわけじゃないんだ」
92 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:13:14.35 ID:riXpa5a40
頼ったり愚痴ったり。それはつまり

北上「叢雲か」

響「そして北上さんも」

北上「え?私?」

響「うん」

北上「いや私ゃ別に頼られたり…」

そういえば謎の期待をされてたっけ。

北上「愚痴られたり…」

色々と話してくれる事は多いかもしれない。

北上「されてるか」

響「ほら」

北上「いやでも、うーん、なんでだろ」

響「それは分からないかな」

北上「なに、嫉妬した?」

響「それも少し」

少しはしたのか。
93 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:13:49.06 ID:riXpa5a40
響「私達がその役でないのは少し悔しいけど、結果として頼ったり愚痴ったりする相手がいるのはいい事さ」

北上「私としてはあんまり頼られてもなあ」

響「私達がやりたくても出来ないことをやってるんだ。頑張ってみてよ」

北上「いじわる」

響「嫉妬してるのさ」

そう涼し気な顔でニヤリと笑う。

響「おねーちゃんをよろしくね」

北上「あっこら。行っちゃった…」

押し付けて行きやがった。

子供っぽくて大人びていてちぐはぐで、人ではなく船でもなく、だから艦娘なのかもしれない。

北上「あれでも艦娘としては私より年上なんだよなあ」

ややこしい。
94 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:14:29.74 ID:riXpa5a40
暁「う〜〜」バシャバシャ

北上「…」

暁「ん〜〜!」ゴシゴシ

北上「…どう?」

暁「全然取れない!」

北上「一応聞くけど誰にやられたの?」

暁「響よ!響に決まってるわ!」

北上「デスヨネー」

後日、響はしっかり仕返ししてた。

全然甘んじて受け止めてないじゃん。

暁「あーんこんなんじゃレディ失格よお!!」

北上「…ハラショー」
95 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/04(水) 02:19:50.04 ID:riXpa5a40
ダラダラと続いてゆく

書いていて好きになったタイプなので実は吹雪が鎮守府にいなかったり
そもそも特型駆逐艦が叢雲と暁姉妹以外誰もいなかったり
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 09:54:37.76 ID:hRmJHW7eO
おつ
この感じすごく好き
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/04(水) 18:27:35.81 ID:BKzvJPByO
あれ電にやられたのにやり返した相手は暁?
98 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/05(木) 01:44:23.56 ID:Cx/OEzt70
うおぉ…完全なるミス
こっそり電→暁に脳内変換してください

毎日ちょこちょこ書いてると話の中身がズレるのが怖い
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/05(木) 07:48:00.11 ID:/rZH14Vto
ハラショー
100 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:43:21.68 ID:BtX+at8I0
60匹目:猫車




猫車、と聞くと日本を代表するアニメ映画に登場する足が何本も生えた猫のバスを想像するかもしれないがコレとは一切関係ない。

猫車とは手押し車の事だ。

何故猫なのかは諸説あるがそれだけ猫という存在は人に近いところにあった事がわかる。

それとは全然話が違うのだが猫は車酔いとかあるのだろうか?

少なくとも艦娘になってからの私が車で酔わない事はこの日に判明した。
101 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:44:08.52 ID:BtX+at8I0
そう、その日は案外早く来た。

球磨「みんなー準備はいいクマァ?」

「「「「おー」」」」

球磨姉の前に四人並んで掛け声に答える。

球磨型の長女としての行動に満足したのか誇らしげな笑みを浮かべる球磨姉の後には、

車。

あののっぺりとした、軽自動車?とかじゃなく四角い感じの大きめのやつ。

なんというのだろう。船なので車はとんと分からない。

提督「朝からテンション高いな」ファ~

吹雪「眠いなら寝ててもいいんですよ。どうせ起きてても仕事量変わらないんですし」

提督「覚めるわ〜めっちゃ目ぇ覚めるわ〜」

多摩「朝から痴話喧嘩とは元気いいにゃ」

木曾「見送りに来た保護者みたいだな」

北上「実際立ち位置は保護者だよね」
102 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:44:45.39 ID:BtX+at8I0
北上「でもよかったの?こんなにあっさりと5人で外出なんて」

吹雪「あくまで買い出しって体でですからね。そこの所忘れないよーに」

提督「まあそういうこった。それにこれからは秋刀魚漁で忙しくなるしその前にな」

北上「サンマ?」

大井「北上さーん。もう出発しますよ〜」

北上「あいはーい」

振り返ると左後部座席の中から大井っちが手を振っている。

皆も既に乗り込んでいるようだ。
103 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:45:35.93 ID:BtX+at8I0
大井「これをこうして、ここにカチッと」

北上「おおーこれがシートベルトかぁ」

多摩「多摩達の身体なら大抵の事故には耐えられるけどにゃ」

球磨「交通ルールの問題クマ。か弱い人間に合わせるしかないクマ」

木曾「球磨姉言い方言い方」

球磨「気にするなクマ。とりあえず木曾はナビの準備頼むクマ」

そう言いながら球磨姉はミラーとかを調節してる。

座席の上から飛び出ているアホ毛がなんだか可愛い。

ちなみに席順は運転手が球磨姉。助手席に木曾。後部座席に右から多摩姉大井っち私だ。

木曾「ん?おい球磨姉、窓窓。助手席の」

球磨「窓?あー今開けるクマ」

見ると助手席の窓を提督が叩いている。
104 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:46:21.05 ID:BtX+at8I0
提督「最終確認だ。あくまで今日は買い出し。それを忘れない事」

球磨「はーい先生」

提督「誰が先生だ。買い物メモはさっきスマホで送った通り。追加があったらまた連絡する」

多摩「はーいお父さん」

提督「誰がお父さんだ。後いつでも連絡は取れるようにしとく事。特に北上」

北上「うっ、はーいパパ」

提督「誰がパパだ。ホントに大丈夫なのか大井?」

大井「電話の使い方は昨日みっちり教えたので大丈夫ですよ過保護」

提督「誰が過保護だつか呼び名ですらねえだろそれ。それに過保護はお前もだ」

大井「は?」

提督「あ?」

木曾「もう窓閉めてもいいかな…」

北上「いいんじゃない」
105 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:46:59.85 ID:BtX+at8I0
球磨「それでは!」

「「「「抜錨!」」」」


時刻はマルキュウマルマル。

季節は少しづつ色めき立つ木々とは裏腹に心地よい涼しさが戻ってくる秋。

艦娘などと名乗っておきながら1度も船に乗ったことのない私は今日、

初めてのドライブに出た。
106 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:47:44.44 ID:BtX+at8I0
木曾「こんな田舎道特に混むこともないし、1時間弱で着くだろう」

球磨「まだ少し暑いクマ?」

多摩「冷房はいいにゃ。窓開ければ事足りるにゃ。後今日はクマはいいにゃ」

球磨「おおそうだった」

北上「いらないの?」

木曾「処世術ってやつかな」

北上「処世術…」

ということは。

北上「2人のそのかっこうもそうなの?」

前に座る2人に向かって朝から抱いていた疑問を投げかける。
107 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:50:05.81 ID:BtX+at8I0
球磨「その通りだ」

普段の愛らしい言動から忘れがちなスラリと長い足にジーパンを履き、

毛皮のように広がる髪をこの時期にはまだ少し暑そうなフワフワのモッズコートで隠し、

何よりクリンとした瞳をグラサンみたいな色の伊達メガネで隠している。

木曾「変装みたいなものだけどな」

木曾も同じような服装だ。

グラサンに露出の少ない服。いかした帽子が木曾にピッタリだ。

北上「で、一体どんな意味が」

多摩「多摩が説明するにゃ」

球磨「えー」

大井「2人は運転に集中してください」

ちなみに私と大井っちと多摩姉はラフな格好だ。

(※Availファッション)
108 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:50:36.04 ID:BtX+at8I0
多摩「まず想像してみて欲しいにゃ」

北上「ほう」

多摩「いつもの格好の球磨が運転席に座っている姿を」

北上「いつもの」

ともすれば中学生にも見える我らがマスコット球磨姉が運転している姿。

多摩「それをお巡りさんが見たらどう思うにゃ」

北上「アウトだね」ウンウン

大井「そういうことです」

北上「なるほど」

球磨「実際大変だった」

北上「前例あるの!?」
109 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:51:20.89 ID:BtX+at8I0
球磨「免許取り立てで調子乗ってたんだ」

大井「前に話した4人で出かけた時です」

多摩「デパートの駐車場前で交通整理してたお巡りさんに見られたんだにゃ」

木曾「あの時の警官の表情はなんというか、正直面白かった」

球磨「でも笑い事じゃねー。こっちは職質されてんだ」

大井「お互いにすごく戸惑ってましたね」

北上「そりゃそうでしょうよ」

怪しいヤツならともかく高校生か中学生4人組が保護者なしでデパートに車で来てる図なんて想像しようにも出来るものではあるまい。

木曾「他にもナンパとか」

球磨「カード使う時もいちいち確認されて面倒だった」

北上「それでその、大人っぽいというか、イケイケな恰好なわけ」

木曾「そ。効果があるかはまだわからないんだけどさ」

球磨「今日は球磨達が保護者役だ」
110 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:52:39.63 ID:BtX+at8I0
多摩「クマを取れってのもそういうことだにゃ」

大井「基本的に外部の人間との会話は2人に任せることにしたんです」

北上「色々対策済なのね」

球磨「そういうことだ」

木曾「次の信号右な」

球磨「おう」

北上「免許、もってるの?皆も」

多摩「球磨型は多摩と球磨だけにゃ」

大井「持ってる人はそこそこいますね。最近だと夜戦バカが大型二輪取ったとか」

北上「えぇ…あいつが?」

いつ乗るんだ…

木曾「阿武隈とかも持ってるぞ。大型の」

北上「えぇ嘘ぉ!?」
111 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:53:16.11 ID:BtX+at8I0
北上「免許ってそもそも何処で取るのさ」

大井「年に一、二回くらい地方ごとに海軍で合宿があるんです。大きい鎮守府とかをしばらく借りて」

多摩「ここら辺だと、あれにゃ。最近勲章貰って話題になってた白ヒゲの提督のとこを借りるんだにゃ」

北上「へー。結構しっかりしてんだねえ」

木曾「だから見た目的にはアウトでも一応合法なんだよな」

多摩「だからこそ余計ややこしいんだにゃ」

北上「一応成人扱いなんだっけ」

球磨「球磨達は基本的に軍人だ。そして軍人は当然成人。逆説的ではあるけど成人って事になってる」

木曾「あ、次左だから車線へんこー」

球磨「おう」
112 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:53:45.64 ID:BtX+at8I0
大井「お酒も飲めますしね」

多摩「北上も持ってるにゃ。身分証明書」

北上「あぁこれね」

大井「それがあれば問題なしです」

木曾「確認したりするのは面倒なんだけどな」

球磨「あの時の警官も、えマジ?これが噂の艦娘?どないする?みたいな感じでえらく手間取ってた」

北上「ご愁傷様」

多摩「ちなみにこれが免許にゃ」

北上「おーなんか少しカッコイイ」

多摩「艦娘のは特別仕様なんだにゃ」ドヤァ
113 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:54:20.24 ID:BtX+at8I0
木曾「球磨姉、なんか曲かけるか?」

球磨「別になんでもいい。後ろのレディ達は何かリクエストある?」

北上「語尾だけじゃなくて話し方までその方向でいくの?」

多摩「海、その愛」

大井「相変わらず好きですねそれ」

木曾「CDここに入れてたんだっけ。あ、なんか飴がいっぱい入ってる」

大井「飴?」

木曾「この車って最後誰が乗ってたんだ?」

球磨「提督だと思う。ミラーとか座席が提督仕様になってた」

多摩「あー前にお偉いさんに会いに行く時に乗ってったんだにゃ」

木曾「じゃこれ吹雪のかな」

多摩「多分にゃ」

北上「吹雪の?」
114 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:54:46.11 ID:BtX+at8I0
球磨「吹雪のやつ乗り物ダメなんだ」

北上「船なのに?」

球磨「船なのに」

大井「むしろ船だからこそ地上の乗り物が合わないのかも知れませんね」

木曾「あ、酔い止めもあった。間違いなさそうだな」

大井「北上さんは乗り物大丈夫ですか?」

北上「うん。今のところ特になんにも」

多摩「吹雪は車移動の日だけはめちゃくちゃ機嫌悪くなるんだにゃ」

北上「そんなに嫌なんだ」

木曾「相当辛いらしい」

球磨「ありゃ。工事中だ」

木曾「げっ。っと、じゃあ2つ先の信号まで行って左折かな」

なんだろう。木曾と球磨姉のコンビって新鮮で面白いな。
115 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:55:18.38 ID:BtX+at8I0
木曾「後ろもなんかあるかもだぜ」

北上「こっちはしまうとこないよ」

他になにかありそうなところはー、ここか?

多摩「飴が欲しいにゃ」

木曾「何味?」

多摩「何があるにゃ?」

木曾「あー、オレンジレモンメロン、イチゴ」

多摩「レモンにゃ」

大井「私もレモンで」

木曾「あいよ」

北上「んー」ゴソゴソ

大井「北上さん何やってるんですか?」

北上「何か挟まってないかなーって」

大井「シートの隙間って結構汚いと思いますよ」
116 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:55:55.44 ID:BtX+at8I0
北上「うえ、じゃあ止めとー…あ」

既に割と奥まで突っ込んでいた手を引き抜こうとした時、何かに触った。

大井「あ?」

北上「なんかあった」

大井「何でしょう」

人差し指と薬指を交互に動かしてなんとかそれを引っ張りあげる。

北上「袋みたい。飴かなー。ほら」バッ

ようやくと釣り上げた獲物を大井っちにも見えるようにスっと持ち上げたところ、

コンドーム「やあ」

大井「…」

北上「…」

多摩「どうしたに…わお」

とんでもないものが出てきた。




木曾「どうした?なんか見つかっt「なんでもない!何でもないよ!」「そ、そうね!ただの飴の袋だったわ!」お、おう、そうか」
117 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 01:56:28.68 ID:BtX+at8I0
多摩「いやこれはどう見てもコムグッ!?」
大井「どうぞ私の飴も頂いちゃってください!」

北上「…」

コンドーム。

知識としては知っている。

知っているが、まさかこんな所にいらっしゃるとは…

多摩「なんで言わないにゃ?中々面白そうなものなのににゃ」ヒソヒソ

大井「こんなもの見せてビックリして事故でも起きたらどうするですか!」ヒソヒソ

北上「前の2人絶対凄いリアクションするよこれ。ハンドルもナビも機能しなくなること受合いだよ」ヒソヒソ

多摩「そんなコンドームくらいでそんなまさか…いやあの二人なら」ヒソヒソ

北上「でしょ?」ヒソヒソ
118 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 02:02:29.43 ID:BtX+at8I0
球磨「後ろがなんか静かに騒がしい」

木曾「球磨姉は前見ろ前」

球磨「じゃ木曾が実況しろ」

木曾「ナビはどうする気だよ。とりあえず今入ってるCD流すか」ポチ

球磨「おーこれは」

木曾「俺は知らないなこれ」

球磨「アクセルを全開にしたくなる」

木曾「よし止めるか」

球磨「冗談だ」

木曾「心臓に悪い」

球磨「はーいうぇ〜とぅーざーでんじゃぞ〜ん」
119 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 02:03:26.61 ID:BtX+at8I0
北上「まさか提督…」ヒソヒソ

大井「いくらなんでもそれは…例えそうだとしても吹雪が許さないですよ」ヒソヒソ

多摩「もしかして外に女がいるかもにゃ〜」ヒソヒソ

大井「…」

うわ、凍った。大井っちの表情が凍った。

北上「でもあのヘタレ提督だよ?」ヒソヒソ

大井「…それもそうね」ヒソヒソ

多摩「妙な信用があるにゃ」ヒソヒソ



球磨「木曾ー」

木曾「待てって、今ナビ見てるから」
120 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 02:04:00.72 ID:BtX+at8I0
北上「と、ところでさ、この車って他に誰が乗ってるの?」

木曾「提督以外だと阿武隈とか潜水艦組とか」

北上「意外なメンツしか出てこない」

多摩「阿武隈は遠征メンツで、潜水艦も似たようなもんにゃ」

大井「まとめて休暇が取りやすいグループですからね」

北上「なるほどね」

球磨「後はー夕張が使ってた」

北大「「それだ(それよ)!」」
球磨「うおう!?」

多摩「アイツなら納得にゃ」

木曾「さっきから何話してんだよ」

球磨「気になるー」

北上「着いたら話すよ」

大井「今は運転に集中を」
121 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 02:04:34.59 ID:BtX+at8I0
北上「夕張はなんで?」

球磨「夏と冬に東京に遠征に行ってるらしい」

北上「あー」

木曾「なんでも全国の夕張が一堂に会す日らしい」

北上「なにそれこわい」

下手な深海棲艦の艦隊よりも怖い集まりだ。

多摩「秋雲も一緒にゃ。たまに明石もにゃ」

球磨「多摩だけに」

多摩「うるせえ」

球磨「えっ」
122 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 02:05:07.27 ID:BtX+at8I0
多摩「そろそろデパートが見えてくるにゃ」

北上「アレでかいもんねえ」

球磨「多摩の方の窓から見えるんじゃないか?」

北上「どれどれ」

多摩「あ、アレだにゃ」

北上「大井っちちょっとごめんね」

見づらいので体を大井っちの前に倒して無理やり覗きこんでみる。

大井「危ないですよ北上さん」

北上「へーきへー…」

大井「もう。…北上さん?」

北上「あーいや、なんでもない」

球磨「どうした?」
木曾「おい球磨姉!赤赤!」
球磨「クマア゛!」キキィッ
123 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 02:05:39.71 ID:BtX+at8I0
球磨「すまん…」

多摩「気をつけるにゃ」

木曾「艦娘が事故なんて起こしたらまたぞろどっかの政治家が躍起になって叩いてくるぞ」

大井「これ以上不自由にされるのは勘弁ですね」

球磨「スマンクマ…」

北上「なんか面白いね」

球磨「北上はジェットコースターとか好きなタイプみたいだ」

木曾「球磨姉」

球磨「ハイ」

大井「あら、駐車場って裏から入った方が混んでなくて良かったんじゃなかったかしら」

木曾「そういやそうだったな」

多摩「あの時は迷った結果裏から行ったんだったにゃ」

球磨「じゃ次で左だ」

木曾「だな」
124 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 02:06:10.15 ID:BtX+at8I0
球磨「とうちゃーく!」

木曾「こっからが大変なんだけどな」

多摩「2人とも、半舷上陸するにゃ」

北上「私達?」

大井「駐車のお手伝いです」

木曾「球磨姉駐車ヘッタクソだからさ」

球磨「下手くそとはなんだ下手くそとは!運転する機会も限られてるし仕方ない!」

多摩「はーい降りるにゃー」ガチャ

大北「「はーい」」








球磨「完璧な駐車だった」

木曾「多摩姉の迫真の止まれえ゛!がなかったら擦ってたけどな」

球磨「結果オーライだ」

多摩「やっぱり多摩が運転した方がいいんじゃにゃいかにゃ…」

北上「ちなみに多摩姉の運転スキルはいかほど?」

大井「免許の試験は満点だったそうですよ」

北上「球磨姉は」

球磨「擦った」

北上「なんで受かってんのそれ…」

木曾「身内での試験なんて余程じゃなきゃテキトーに合格して終わりなんだと」

北上「海軍陸の事はテキトーなんだね」
125 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 02:06:52.00 ID:BtX+at8I0
球磨「さて。本題の買い出しだが、基本的にこのデパート内で揃うものだ。まずはそれらを先に買い車に積む。その後思いっきり遊ぼう!」

木曾「手分けするか?」

多摩「数があるし2組に分かれるのが良さそうにゃ」

大井「となると保護者役の2人をそれぞれリーダーにして私と北上さん、多摩姉さんで分かれる形ですね」

北上「当然のように私達は一組なんだね。いいけど」

多摩「なら多摩は球磨と行くにゃ」

球磨「必要数が多いものは運ぶのに人がいるし木曾達に任せる」

多摩「キーはこっちが持ってるし多摩達が先に戻るのが理想にゃ」

木曾「ならそこは随時連絡取り合って調整かな」

球磨「よぉーしそれでは、出発!」




球磨「反応が欲しいクマ」

北上「いや流石に1日に何回もやるのはね」
126 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/19(木) 02:09:24.60 ID:BtX+at8I0
まさか木曾が多摩を呼び捨てとは

この話は多分やたらと長くなると思う
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 08:57:51.06 ID:jfaifRPVO
いいぞどんどん長くしてくれ
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 12:26:51.64 ID:uJfldX/7O
長いの好きよ
しかし夕張がゴムの持ち主って・・・
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/20(金) 22:53:52.07 ID:WE99tTub0
夕張なら本来以外の使い方でも使ってそう
130 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/30(月) 02:19:31.84 ID:1eFlCC/L0
木曾「炭ってこれでいいのかな」

大井「えーっと、そうね。メモと同じやつみたい」

北上「網あったよ〜」

大井「メモの大きさと合ってましたか?」

北上「メモってどうやって開くんだっけ」

大井「すみません私が確認します」

木曾「…とりあえずここで買うものはこれで全部かな」

北上「そもそもさ、口実だってのは分かるけど買い出しって必要なの?」

木曾「それが意外と必要なんだよな」

北上「ほほう」
131 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/30(月) 02:20:19.57 ID:1eFlCC/L0
大井「数や量が大きいものは業者に頼んで鎮守府に運んできて貰いますけど、細かいものまで一々やるのは面倒なんですよ」

木曾「仮にも軍だしな。手続きとか色々ややこしいんだと」

北上「お役所だねえ」

大井「だから細かい買い物はこうして自分達でやった方が楽なんですよ」

木曾「サイズ合ってた?」

大井「バッチリ」

北上「後は箒だっけ」

木曾「確かこの上のフロアだったな」

大井「あら、追加注文が来たわね」

北上「なになに?」

大井「プリンターのインクですって」

木曾「インクはもっと上のフロアだったか」

大井「あ、そっちは多摩姉さん達が向かうみたい」
132 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/30(月) 02:21:01.08 ID:1eFlCC/L0
北上「おや、これは」

木曾「どしたー?」

北上「見て見て〜。単装砲!」

銀色のジョウロを持って片膝をつき構えをとる。

木曾「すげえ違和感がない」

北上「あんなんでも分厚い鉄板ぶち抜ける威力が出るんだから不思議だよねぇ」

大井「北上さん!私もできました!」

木曾「おい姉も!?」

北上「お、酸素魚雷かあ」

大井「連装ではないですけど」

ペットボトルを固定するバンドを太腿に巻き私と同じポーズを取る大井っち。

木曾「よし、なら俺はー…こ、これだ!」バッ

北上「…」

大井「…」

木曾「なんか言ってよ」

コースターを片目に当てながら言う。

剣でもマントでもなく眼帯をチョイスするあたり無意識に自分のトレードマークと認識しているようだ。
133 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/30(月) 02:21:44.67 ID:1eFlCC/L0
北上「しかもまさかお買い上げとは」

木曾「これも何かの縁さ…」

大井「何変なところで拗ねてるのよ」

木曾「拗ねてない。しかしアレだな、こうしてお金を払うという行為をするのは新鮮でいいな」

北上「鎮守府じゃ使わないものね」

大井「今じゃ精々ネットで買うくらいよね」

木曾「アレはなんだかお金を払うって感じじゃないよな」

北上「でもこれだって結局カード払いでしょ?」

木曾「店員を通してカードとはいえ直に取引をするってのはなんというかちょっとした感動すらあるぜ」

北上「私はアレだ、釣りはいらねぇよって言ってみたいな」

木曾「それって普通の店でやったら迷惑そうだよな」
134 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/30(月) 02:22:25.31 ID:1eFlCC/L0
大井「ここでいったん荷物をまとめちゃいましょうか」

木曾「そうだな。このままだと持ちにくいし」

大井「マイバッグとか持ってくればよかったわ」

木曾「マイバッグ持ってたのか」

北上「あ、あそこベンチあるよ」

木曾「少し休憩もしてくか」

大井「そうね」

北上「既に妙な疲れが」

木曾「慣れない人混みだからなあ」

大井「こればっかりはしょうがないわね」

北上「ふーどっこいしょ」

木曾「ババ臭い座り方だな」

北上「ババ臭いとはなんだ。これでも生まれは大正なんじゃよ」

大井「そう考えると皆ババアみたいなものなのかしらね」

木曾「そこは否定しておきたいところだが」
135 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/30(月) 02:27:42.13 ID:1eFlCC/L0
北上「そういえばこれどうしよう」

木曾「これ?」

北上「ほら」

近藤さん「やあ」

木曾「…なんだそれ」

北上「避妊具」
木曾「ブハッ!」

大井「よしよし、落ち着いて落ち着いて」ポンポン

木曾「いやっ、ゲホッ!…なんでんなもんを」

大井「車にあったのよ」

木曾「あぁ…それでさっき」

北上「どうせ夕張達か、秋雲辺りがくだらないことに使ってるんでしょうよ」

木曾「むしろそうでなかったら問題だろ…」

大井「こんなもの何に使う気なんでしょうか」

木曾「昔バイブ徹甲弾を作って工廠が半壊した事件があったよ」

北上「えぇ…これ大丈夫?爆発とかしない?」

大井「北上さん、見られてもアレなのでもう捨てちゃいましょう」

北上「そだね」
136 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/30(月) 02:28:17.58 ID:1eFlCC/L0
ベンチから離れゴミ箱へ向かう。

北上「やれやれ、ホントにすごい人だ」

デパート。

その大きさだけあって平日なのに随分と人が多い。

人。

いつ見ても慣れない。

人なんて見慣れているはずなのに、それをはっきりと自分達(艦娘)とは違うものだと認識してしまう。

行き交う人達は誰一人私が艦娘だなんて気づかないだろう。

なのに私は彼ら彼女らが自分と違うとはっきりと認識している。

大井「北上さん」

一体何がそう思わせているのやら。

大井「北上さん!」

北上「わっ、どしたの大井っち」

大井「どうしたじゃありませんよ。まとめ終わったから移動しますよ」

北上「へーい」
137 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/30(月) 02:28:44.42 ID:1eFlCC/L0
人とすれ違う。

人々と行き違う。

人間とは生き方が違う。

北上「あ」

大井「どうしました?」

設置されていた大きなモニターにニュースが流れていた。

そこには艦娘の2文字が確かにあった。

木曾「行くぞ、上姉」

大井「行きましょう北上さん」

北上「あ、うん」

2人の圧力に素直に従う。

口には出さなくとも確かにそういう意図があった。

関わるな、考えるな、見るな。

私達(球磨型)は、いや私達(艦娘)は世界からどう見られているのか。

こうして外には出られるが、なんというか籠の中の猫と言った感じだ。
138 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/30(月) 02:29:39.89 ID:1eFlCC/L0
北上「あ」

木曾「今度はなんだ?」

北上「いやあなんでもないよー」

木曾「?」

やっば、ゴム捨てるの忘れてた。

せっかくだし夕張にこれがなんなのか聞いてからにするか。

正直結構気になるし。

ものによっては大井っちにでもプレゼントしちゃおうか。
139 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/30(月) 02:30:21.42 ID:1eFlCC/L0
多摩「これで全部、だにゃ」

球磨「思ったより量あった」

はじめてのおつかい開始から約2時間。車のトランクがギュウギュウになるくらいには多かった。

木曾「というよりかさばるものが多かったな」

北上「これホントに必要なものなの?」

大井「勿論。多分」

このドクロのお面なんて絶対不要なものでしょ…やたらかさばるし。

球磨「流石にお腹減った」

木曾「だな。もう昼すぎてるし」

大井「逆に人が少なくなって丁度いいかもしれませんね」
140 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/04/30(月) 02:30:54.33 ID:1eFlCC/L0
多摩「北上、何か食べたいものあるかにゃ?」

北上「んーせっかくだし普段食べないものがいいよね」

木曾「イタリアンとか?」

北上「それいいね」

球磨「となればあそこ一択だ」

大井「どうせならもっとちゃんとしたところ行きません?」

多摩「質は問題じゃないにゃ。のんびり出来るのが1番にゃ」

大井「それは、まあそうですけど」

木曾「決まりだな」
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