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北上「我々は猫である」

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387 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 03:53:49.12 ID:E8jj18gf0
北上「お、てーとく〜見て見てー」

提督「なんかいいのあったか?」

北上「じゃん!」

提督「紫外線照射装置…クソTシャツってやつか。なんでよりによってそれ…」

北上「どうせ使うのは部屋着くらいなんだしこういうネタ的なのがいいっしょ」

提督「まあそりゃそうかもだが。いやそうなのか?」

北上「てーとくはこれね」

提督「なになに、クソT?なんてクソTにクソTって書いてあるんだよ…」

北上「まさにクソTシャツだね」
388 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 03:54:18.74 ID:E8jj18gf0
提督「それになんでこれが、あ!そういうことか、曙かよ」

北上「提督的にはクソ提督呼びってどうなの?」

提督「例えばクソ親父とかクソババアってどこか愛情を感じさせるところあるじゃん」

北上「ふむ、なるほどね」

提督「1番キツいのはおいとかお前とかでしか呼ばれなくなった時。時点でロリコン呼び」

北上「なんか生々しい意見だけど実体験?」

提督「北上に似合いそうなのはっと」

無視しやがった。
389 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 03:54:48.70 ID:E8jj18gf0
提督「これとかどうよ」

北上「台風?風関係は駆逐艦の特権じゃない?」

提督「そういや台風って艦はいないな」

北上「物騒だからね」

提督「そりゃそうか」

北上「で、台風の意味は?」

提督「ニュースでよくやってるだろ?台風北上とか」

北上「うん、うん?」

提督「漢字だよ漢字」

北上「あー北上か。あー、確かにそうだね。考えた事無かった」

提督「あれ見るたびに北上が浮かぶんだよな」

北上「自分の事って案外気づかないもんだねぇ」
390 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 03:55:20.53 ID:E8jj18gf0
提督「文字入りのTシャツは川内型がよく着てたな」

北上「夜戦って文字のを着てるのは知ってるけど、那珂とか神通もなの?」

提督「元々那珂ちゃんがサイン入りの服を作る!って服に試し書きしたのが発端らしくてな。それを川内が真似した」

北上「神通は?」

提督「2人に合わせて」

北上「あーうんそんな感じだろうね」

提督「でも楽しそうだったな」

北上「2人のこと大好きだもんね」
391 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 03:55:50.77 ID:E8jj18gf0
提督「後は金剛達とかか」

北上「提督LOVEって?」

提督「その通り」

北上「わかりやすい…で比叡さんがお姉様LOVEでしょ」

提督「榛名と霧島はなんだと思う?」

北上「榛名さんもお姉様LOVE、いや、と見せかけて提督LOVEとか?」

提督「なんで分かるんだよなんか怖ぇよ」

北上「あってるんだ…霧島さんは、霧島さんは?なんだろう」

提督「カタカナでヨタロウって書いてあった」

北上「何故に?」

提督「さぁ…?」
392 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 03:56:32.07 ID:E8jj18gf0
北上「お、これは阿武隈にでもあげようかな」

提督「熊注意か。クマってだけで阿武隈なのは安直じゃないか?」

北上「ほらほら、ここにdangerってあるでしょ」

提督「デンジャーは、危険ってことか」

北上「そ、熊危ないって事」

提督「あ、危熊か」

北上「Yes」

提督「言われなきゃ気づかないぞこれ」

北上「今んとこ3着か。神風はあの服気に入ってるから着てくれないだろうなあ」

提督「っておいさっきの2着も買う気かよ」

北上「せっかくだしいーじゃんか」

提督「結局こーゆーのになるわけね」

北上「身の丈にあったものを身につけるべきだと思うのだよ」

提督「大井とかには買わないのか?」

北上「球磨姉ちゃんも多摩姉ちゃんも制服派だし大井っちは自分でお洒落してたりするし、木曾は運動着とかだしね」
393 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:01:22.07 ID:E8jj18gf0
北上「提督は何か買わないの?」

提督「自分のセンスが羅針盤以上に信用出来ない」

北上「それはまたなかなかに…」

提督「んーさっきのワンピースとか?」

北上「え、提督着るの?」

提督「なんでだよ!北上へのプレゼントって事だよ」

北上「あー、ビックリした」

提督「普通そうなる流れだろ…」

北上「ちなみにどっちが似合うと思う?さっきは聞きそびれたけど」

提督「黒はなぁ。やっぱ白で」

北上「ほほーう。あでも私着るつもりないからいいよ」

提督「おい」

それに私は黒猫だしね。
394 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:02:05.30 ID:E8jj18gf0
・・・
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提督「化粧品とかってどう?」

北上「絶ッ対に嫌」

提督「すげぇ拒否」

北上「まず口紅とか。唇に何か塗るってのがもうムリ」

提督「そんなに?」

北上「リップクリームとか好き?」

提督「嫌い」

北上「そういう事」

提督「なるほど」
395 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:02:44.15 ID:E8jj18gf0
北上「何が嬉しくって顔とか目とかになにか付けたり塗ったりするのかねぇ」

提督「何かが嬉しいからなんだろうな。でもそんなに嫌がるってことはやった事はあるのか」

北上「大井っちと、あと駆逐艦にやられた」

提督「どうだった?」

北上「顔を白っぽくして口紅塗ると呪いの日本人形になると分かった」

提督「日本人形…ブフッ」

北上「あ!笑った!笑ったな!」

提督「いや違う違う!いてて引っ張んなって」

北上「だぁーまだニヤついてるー」

提督「はは、お前日本人らしいっていうか、元がいいからな。変に着飾らなくていいってことだろ」

北上「…」

提督「…北上?」

北上「誤魔化せると思わないでよね」ジトー

提督「サーセン」
396 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:03:15.00 ID:E8jj18gf0
北上「化粧してる艦娘は結構いるんだって。程度に差はあるけど」

提督「そうだな。それこそ口紅とか俺でもわかるくらいのをしてる奴は多いと思う」

北上「服は何かあったら破けるけど化粧は緊急時でも邪魔になることはないからだって」

提督「改めて大変な仕事だな」

北上「提督がそれ言う?」

提督「俺だから言うのさ」

北上「さいで」

提督「ちなみに香水とかは?」

北上「臭いからいや」

提督「えぇ…」

北上「どうせ潮の香りの方が強いしね」
397 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:03:54.42 ID:E8jj18gf0
提督「じゃ化粧品はやめて他のとこに、北上?」

北上「…あの子」

提督「あの子?」

そこそこの人混みの中1人の幼い少女が立ちすくんでいた。

北上「さっきアイス食べた時にいた子だ。喧嘩してた」

提督「あーそういや声が響いてたな。そんなに気になるか?」

北上「だってほら、周りに誰もいないよ」

提督「え」

そう。周りに弟やあの母親らしき人物は見当たらない。

道の真ん中にいるあたり例えば店で買い物をする誰かを待っているとも考えにくい。

それにきっとあの肩の震えは先程の喧嘩が原因ではないだろう。
398 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:04:20.64 ID:E8jj18gf0
提督「行くか。北上はどうする?此処で待ってるか?」

北上「このご時世パツキンの男が幼女に話しかけたりしたら即事案だよ。私も行く」

提督「…それもそうだな。なんか悲しくなってきた」

北上「でどうすればいいの?」

提督「迷子センターとか連れてきゃいいんじゃないか?」

北上「ならそれで」
399 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:05:56.15 ID:E8jj18gf0
北上「やほーお嬢さん」

「!?誰?」

北上「普通の人間だよ。ただ君みたいなちっちゃなお嬢さんが1人でどうしたのかなって」

「…ママを探してるの」

提督「いや迷子なのは君n「そっかーママが迷子かーそうかそうかー」…」

「うん」

北上「じゃあさ、お店の人達にちょっと探すの手伝ってもらおうよ」

「お店の人に?」

北上「そそ、すぐ見つかるよきっと。だからほら、行こ?」

「…うん」

警戒されるだろうなぁと思いつつ出してみた手は思いのほかあっさりと小さな手に掴まれた。

提督「なんかお前が駆逐艦とかに好かれるのがわかった気がする」

北上「どーゆー意味それ」

「おじさんは誰?」

提督「おじさん!?」

北上「ぶっ!…だ、誰だと思う?」プルプル

「んー…お父さん?」

提督「oh…」

不思議そうな目で見てくる少女を前に私はしばらく腹を抱える羽目になった。
400 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:06:23.23 ID:E8jj18gf0
・・・
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北上「へー、フラワーガーデンかぁ」

「うん。みんなでお花を見に来たの」

迷子センターなるものは一階にあるらしく、少女の手を引きながら下へ向かっていく。

提督「ここの屋上ってそんなに広かったのか」

北上「後で行ってみる?」

提督「それはありだな」

「すーっごくキレイだよ!」

北上「そりゃいいや」

「うん!」
401 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:06:51.57 ID:E8jj18gf0
北上「ところでさ、さっき弟くんとケンカしてたのを見ちゃったんだけどね」

「え」

提督「お、おい北上」

北上「仲直りできた?」

「…向こうが謝ってこないんだもん」

北上「そりゃそうか。謝ってくれなきゃ許すって言えないもんね。でもじゃあ謝ったら許すんだ」

「…わかんない」

北上「わかんない?」

「まだムカついてるもん私」

北上「ムカついてたらしょうがないね」

「うん」
402 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:07:17.33 ID:E8jj18gf0
北上「ねぇ、もしこのまま仲直りできなかったらどうなる?」

「…遊べなくなる」

北上「他には?」

「一緒にお話出来なくなる」

北上「他には?」

「たっちゃんとかみーちゃんに変に思われる」

北上「他には?」

「つまんない」

北上「そっかあ」

「そうだよ」

提督「…」
403 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:09:05.63 ID:E8jj18gf0
「あ!ママだ!」ダッ

提督「え?」

北上「アレかな?」

一階の迷子センターの窓口に小さな男の子を連れた女性がいた。

提督「先に着いてたのか」

北上「めでたしめでたしだねぇ」

提督「お前、なんであんなこと聞いてたんだ?」

北上「ん?」

提督「いやさ、なんつーかあやし方というか、子供と扱い慣れてるなって」

北上「別にそんなんじゃないよ。ただ本当に純粋に聞いてみたかっただけ」

提督「ご感想は?」

北上「人も艦娘もそう変わんないなーって」

家族だからとか姉妹だからとか、同族だからとか。そういうのじゃなくて、一緒にいたいから一緒にいられるように努力してるんだ。
404 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:10:02.04 ID:E8jj18gf0
「おじ、お兄さんは結局誰だったの?」

北上「ん?んー、上司かなぁ」

「じょうし?」

北上「そそ」

「ヤクザのボス?」

北上「それは知ってるんだ…」

迷子センターで母親に泣きながら感謝されて若干たじろいでいる提督を眺めながら少女と最後の会話を楽しむ。

北上「さて、そろそろさよならかな」

「えー一緒に帰ろうよー」

北上「帰る場所が違うんだよ。仕方ないさ」
405 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:10:54.02 ID:E8jj18gf0
「お姉ちゃんは何処に帰るの?」

北上「普通の世界にだよ」

「でもお姉ちゃん普通じゃないよ」

北上「え?」

「なんかね、キラキラしてる」

北上「キラキラ、ねえ」

一瞬焦った。子供は妙に鋭いというがまさか艦娘だとバレちゃいまいな。

北上「さて、それじゃ」

「行っちゃうの?」

北上「うん」

「…またね!」

北上「うん。さよなら」

サヨナラを言うのは三度目、いや二度目かな?
406 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:11:50.43 ID:E8jj18gf0
提督「いやぁ参ったぜ。俺なんか何もしてねぇのにあんなに感謝されて。悪い気はしないけどさ」

北上「…」

提督「もし名前とかそういうの聞かれたらどうしようかと焦ったけど大事になってなくてよかった。北上?」

北上「またねって言われた」

提督「?あの子に?」

北上「凄く寂しそうな顔してさ、それで願うようにまたねって」

提督「よっぽど気に入られたんだな。良かったじゃん」

北上「そうじゃなくてさ。別れたら会えないんだなって」

鎮守府にいると忘れてしまう。誰かと出会う事と別れる事を。

一度別れるとどんなに再開しようとしても中々出来ない事もあると私はよく知っているはずなのに。
407 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:13:02.99 ID:E8jj18gf0
北上「またね、か」

提督「寂しくなったか?」

北上「思い出したって感じかな」

提督「なんだそりゃ」

北上「ねえねえ。屋上行ってみようよ」

提督「フラワーガーデンか。でももう日は沈んでるんじゃないか?」

北上「秋だもんねぇ。まあ暗かったら諦めよう」

提督「だな」

北上「さあ行くよおじさん」

提督「まてこら」
408 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/07/31(火) 04:16:24.56 ID:E8jj18gf0
所謂アニメ提督なのでアルペイベが羨ましい

そろそろ夏の一大イベントですが皆さん命を大切に
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 04:42:36.38 ID:wRQgMapA0
乙です
クソTでイオナの万年二位代理Tシャツを思い出していたらアルペジオネタが出てきた
ちなみに台風が名前の艦ならある意味野分が
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/07/31(火) 23:53:47.23 ID:i9bYQBct0
アルペジオイベが初イベだったんでイベはこんな感じだと誤解してたら次で打ちのめされたw
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/15(水) 17:40:08.55 ID:uDn/gBhlO
野分は台風って意味じゃよ
ついでにあらしは大昔、山風って書いてたんよ
412 : ◆rbbm4ODkU. [sage]:2018/08/16(木) 17:20:09.85 ID:wxx5Ae+e0
知らなかったそんなの
艦これを始めてからゲーム外の知識がやたらと増えていく
413 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:21:59.84 ID:wxx5Ae+e0
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・・・・・・
・・・・・・・・・

提督「ほお、こりゃすげぇ」

北上「わーお」

屋上。

空は確かに暗くなっていたがガーデンは様々な照明で昼よりも明るいのではないかというくらいにライトアップされていた。

提督「すっげぇ電気代食いそう」

北上「うわー経営者目線ー」

提督「だって、なあ」

北上「なあって言われてもよ。とりあえず色々見て回ろう」
414 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:22:44.85 ID:wxx5Ae+e0
提督「これなんて花だ?」

北上「彼岸花だって」

提督「あー聞いたことはある」

北上「花言葉なんだと思う?」

提督「サッパリだよ。女ってなんで花言葉とかよく知ってるんだろうな」

北上「さあね。ちなみに花言葉は私も知らない」

提督「知らんのかい」

北上「言葉は花に込めるより相手に伝えるものでしょ」

提督「それだと 花がない だろ?」

北上「おー、提督にしては上手いこと言うね」
415 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:23:28.31 ID:wxx5Ae+e0
北上「あ、ベンチある」

提督「休んでくか」

北上「さんせー」ヨイショ

提督「流石に疲れたな」

北上「肩こったー」

提督「なんで肩」

北上「普段からねー魚雷が重いんだよ魚雷が」

提督「艦娘でも肩はこるのか」

北上「多分?」

提督「本人が疑問持ってどうするよ」
416 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:23:55.49 ID:wxx5Ae+e0
提督「今度マッサージでもしてやろうか?」

北上「おーいいねぇ。マッサージは好き、どんどんやって」

提督「好きって事は、普段は大井がやってるな」

北上「分かってるじゃん提督。もしやるなら大井っちを超えないと満足はできませんよぉ」

提督「ハードルたっけぇなおい」

北上「目標は高く」

提督「身の丈にあったものをってさっき言ってたろ」

北上「時には無茶しなきゃ」

提督「無茶と言い切ったなコノヤロウ」

北上「てへ」
417 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:24:26.75 ID:wxx5Ae+e0
北上「…」

提督「…」

北上「明るいね」

提督「大きい街だからな」

北上「陸にはこんなに人がいるんだね」

提督「これだけの人を守るのが俺たちの仕事なんだよ」

北上「提督はさ、どうして提督になったの?」

提督「んだよ急に」

北上「言い方は変かもだけど、提督元は一般人だったわけでしょ?」

提督「まあな。一応」

北上「なのに提督なんて立派なものになるなんて何があったのかなって」

提督「立派ねえ。そうご立派なもんじゃねえよ俺は」

北上「?」
418 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:25:05.18 ID:wxx5Ae+e0
提督「昔は人手不足だったから問答無用で戦地へ送られたらしいけど、今は戦局も安定してるからな。提督を育てる学校なんてのもあるらしい」

北上「へ〜。それは知らなかった」

提督「お国を守る仕事だし、給料もいいってんで倍率は高いらしい。その分内容も難しいとか」

北上「人気なんだね」

提督「そして、入った奴の八割は辞めたり諦めたりだとさ」

北上「え、なんでさ」

提督「現実を知るからだよ」

北上「現実?」

提督「周りには初めて会う異性のみ。外界からは切り離されて缶詰。知り合いはおろか親兄弟にだって早々会えないし外部との連絡もおいそれと取れたりはしない」

北上「…改めて聞くと凄まじいね」
419 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:25:39.83 ID:wxx5Ae+e0
提督「金があったって使い道なんて限られるしな。ブラック企業のがなんぼかマシだ。人にもよるんだろうけど」

北上「それを良しとする少数が提督になってくわけか」

提督「そう。提督になる奴なんてどっか変なやつばっかだよ」

北上「提督もその選ばれた少数なの?」

提督「俺はコネで提督になった」

北上「うっわ、うっっわぁ」

提督「そこまで引くなよ」

北上「大暴落だよ。提督の株が急降下爆撃だよ」

提督「でもまあ、変なやつってのは同じだよ。俺もさ」

北上「提督が変なのは知ってる」

提督「さいで」
420 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:26:16.33 ID:wxx5Ae+e0
提督「お?これは、薔薇か」

北上「流石に薔薇の花言葉は分かる」

提督「愛だろ」

北上「そそ」

提督「…なあ、北上は好きな人っているか?」

北上「へ?なになにどうしたのさ急に」

提督「いやなんとなく」

北上「好きな人、ねえ」

飼い主、は少し違うかな。ご主人様だし。

大井っちや多摩姉ちゃん達は、やっぱり違うかな。

他にも神風や日向さん、吹雪に叢雲に…

北上「いまいちピンとくる人はいないなあ」
421 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:26:50.83 ID:wxx5Ae+e0
提督「そっか」

北上「提督はいるんでしょ」

提督「断定された」

北上「流れでわかるよ」

なんてのは嘘だけど。

提督「そりゃそうか」

北上「この景色を見て俺は人類を愛してるーだから守るんだーとかいう気なの?」

提督「そんな大層なやつに見えるか?」

北上「いや全然全くこれっぽっちも」

提督「デスヨネー」

北上「何が言いたいのさ」

提督「たださ、愛する者がいたとして、それが最優先にはなるかは別問題だと思うんだ」

北上「?まあそれはそうだと思うけど」

どういう意味だろうか。提督という立場上大井っちに現を抜かせないとかそういう話?

そんなわけないかこのずぼら人間が。
422 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:27:19.95 ID:wxx5Ae+e0
提督「帰るか」

北上「いいの?懐かしの人界をもっと楽しまなくて」

提督「長らく閉じこもってたせいですっかり人としての感覚を忘れちまってよ。さっさと愛しの鎮守府に戻りたいのさ」

北上「ただ引きこもりのくせに」

提督「警備員だからな。でも守るのは自宅じゃなくて海域だぜ」

北上「随分大幅にジョブチェンジしたね」

提督「ジョブチェンジってんなら北上だって」

北上「え」

提督「軽巡から雷巡って」

北上「あーそっちかあ」

提督「そっち以外にあるのか?」

北上「いやいや何でもない」

元々の職業は猫と言ったらどう反応するだろうか。
423 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:27:54.04 ID:wxx5Ae+e0
北上「あ」

提督「どした?」

北上「うーん、いやなんでもない」

どうして提督になったのか、というのをなんだか上手いことはぐらかされた気がする。

まあまた聞く機会もあるだろう。

興味本位でつっこんでいくところじゃないだろうし。
424 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:28:38.56 ID:wxx5Ae+e0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

北上「…ッハ、ゴメン意識飛びかけた」

提督「別に寝ててもいいぞ?」

帰りのバス。意外にも座り心地のいい座席と程よい揺れに思わず寝てしまいそうになる。

北上「ならお言葉に甘えて」コテン

提督「甘えてるのは言葉だけじゃないだろ」

北上「まぁねえ」

提督の肩に。いや正確には身長差があるため方の少ししたによりかかる。

あー、もうこのままね 眠り姫になってしまいたい。
425 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:30:06.31 ID:wxx5Ae+e0
提督「大井はさ」

北上「うぇ?」

提督「大井は何か吹っ切れたみたいだったよ。てっきり北上がきっかけだと思ってたけど」

北上「私?」

私何かしたかな?

そう言えばあの夜の大井っちは確かに覚悟というか、吹っ切れた感じはあったような。

ダメだ意識が持たない。
426 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:30:36.60 ID:wxx5Ae+e0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

【鎮守府正面】

北上「あー着いたー」

提督「改めて鎮守府周りって暗いな」

北上「これから風呂も入らなきゃ」

提督「夜飯もくってねえや」

北上「明かりだいぶ消えてるねー」

提督「就寝時間だからな」

北上「明日も仕事だしねえ」

提督「大変だよなぁ」

北上「いや提督もだよ」

提督「大変だよなぁ…」

北上「頑張りなよそこは」
427 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:31:21.63 ID:wxx5Ae+e0
北上「あー私の部屋も明かり消えてる」

提督「あの部屋は、空母か。また飛龍達だな」

北上「常習犯なの?」

提督「瑞鶴と飛龍はしょっちゅうな」

北上「ふ〜ん」

提督「そうだ、夜飯作ってやろうか?」

北上「え、提督作れるの?」

提督「意外と自炊できる系男子なんだぜ。出来るってのはあくまで食えるものが作れるって意味だから過度な期待はNGな」

北上「ほほう、モテ要素ですなあ」

提督「よせやい照れるぜ」

北上「秋刀魚食べたい」

提督「流石にさばくのは勘弁してくれ」
428 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:31:52.79 ID:wxx5Ae+e0
北上「ならメニューはシェフに任せるよ」

提督「あいよ。作ってる間に風呂入っとくか?」

北上「そーしますかね〜。あり?提督っていつもいつお風呂入ってるの?」

提督「皆が入り終わったら」

北上「女世帯って大変だね」

提督「ホントにな」

北上「そうだ!」

提督「どした?」

北上「一緒に入ろう」

提督「あー」

北上「時間短縮になるしさ。お互い疲れたっしょ」

提督「せやなー」



提督「ちょっと待って」
429 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:32:41.53 ID:wxx5Ae+e0
・・・
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意外な事に私は服というものを着る行為にあまり違和感を感じなかった。猫なんて年がら年中素っ裸なのに。

やはり人としての意識が合わさったからなのか、それとも体毛の代わりとなっているからなのか、ともかく服を身に付けることに何か感じたことはなかった。

だけど逆に服を脱ぐことにも何も感じなかった。

つまり素っ裸に抵抗がないのである。

北上「これは利点なのだろうか」

提督「何が?」

北上「別にー」

背後から提督の声がする。
430 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:34:38.86 ID:wxx5Ae+e0
お風呂と呼ばれるここだが一般的には銭湯と言うべきだろう。

何せこの人数が暮らすのだ。家庭にあるような小さなお風呂では断じてない。

更衣室はあるしシャワーは沢山あるしお風呂もでかい。残念ながら露天風呂とか卓球台、マッサージ椅子はないが。

ちなみに牛乳とかを売る自動販売機はある。

その更衣室で私と提督は服を脱いでいた。

北上「ちなみに提督の右側の棚がさっき話したゴキ事件の場所ね」

提督「できれば今言わないで欲しかった」

北上「もう流石にいないでしょ」

提督「いや精神的にな」
431 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:35:22.08 ID:wxx5Ae+e0
お互い背中を向けての会話。まどろっこしいったらない。

北上「ふぅ」

絶対にタオルを巻くこと。それが提督からの条件だった。

別に私は気にしないと言ったのだけれど年頃の娘がそう易々と裸を見せるな云々と聞き入れてくれなかった。

親父か。

提督「準備できたか?」

北上「モチのロン。って別に準備ってほどの事じゃないでしょ」

提督「それはそうだけだあ゛あ゛っ!?」クルッ

こちらを向いた瞬間カエルを握りつぶしたような奇声を上げる提督。

北上「え、何その反応」

提督「何処がいいんだよ!!タオルを巻けタオルを!」

北上「巻いてるけど」

提督「腰じゃなくて!胸から!上も隠せ!」

北上「提督も腰じゃん」

提督「俺は男だろぉ!!」
432 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:36:28.87 ID:wxx5Ae+e0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

北上「ふぃ〜〜」

提督「ふぅ……」

そこそこの広さの湯船も二人きりだとやたら大きく感じる。そんな大海原で二人並んで停泊する。

北上「なんでお風呂に浸かってるのにため息なのさ」

提督「お前のせいだお前の」

北上「別に隠すほどのものじゃないけどなあ。ほら谷間だってないし」

提督「だから見せるなっての。しかしこうして誰かと風呂に入るのも久々だな」

北上「昔は入ってたの?」

提督「ここに来たばっかの時はな」

北上「ほほう。吹雪とかと?」

提督「ああ。親交を深めるには裸の付き合いだーって言ってよ。勿論タオルは巻かせたけどな」

北上「なんで今はやらないのさ」

提督「むしろなんでやると思ってんだよ…」

北上「別にいいんじゃない?家族みたいなもんでしょ」

提督「どうも北上はそこら辺の意識がズレてるよな。それに一緒に入ろうものなら確実に息の根を止めてきそうな奴らが何人か思い当たるし」

北上「案外入ってみたら大人しいかもよ」
433 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:37:10.09 ID:wxx5Ae+e0
北上「ホントはこうやって髪の毛を湯船に付けるのってルール違反らしいよね」

提督「別に家の風呂にルールもクソもないだろ」

北上「じゃマナー違反かな。それで言ったらこうしてタオル巻くのもダメらしいね」

提督「それは知らなかった」

北上「だから取っていいかな?」

提督「なんで頑なに脱ごうとするんだよ」

北上「濡れた布がずっと肌に張り付いてるのって結構キモチワルイ」

提督「我慢してくれ。お互い様だし」

北上「お互い様?」

提督「気にするな」
434 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:37:41.14 ID:wxx5Ae+e0
北上「提督って意外と鍛えてる?」

提督「ん、そうか?」

北上「ちゃんと腹筋あるし」

提督「これくらいの腹筋なら割と誰でもあるんじゃないか?」

北上「提督以外の人間の裸なんて見ないからなあ」

提督「見てたら大問題だわ」

北上「それもそうだ」

提督「俺は、そうだな。朝大鳳たちとランニングしたり木曾達と剣道したりとフツーのリーマンよりは運動してるかもな」

北上「仕事はしてないくせにね」

提督「決まり文句にしないで」
435 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:40:22.20 ID:wxx5Ae+e0
北上「さてと」バシャ

提督「ん?」

北上「やっぱキモチワルイ。肌に張り付く。ぴったり張り付くまとわりつく」

提督「濡れた服みたいなものか。俺は嫌いじゃないけど」

北上「私の話をしてるんだよぉ。これだからスパッツとかも嫌いなんだ」

提督「肌に張り付くから?」

北上「そそ。履いてる娘は皆動きやすいとか言うけどそんなことないと思うんだ。ねえ?」

提督「俺に同意を求められてもなぁ」
436 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:41:26.64 ID:wxx5Ae+e0
北上「ほら、いこ」

提督「行くってどこに」

北上「体洗いに」

提督「なんで俺も?」

北上「背中洗えないじゃん」

提督「え?」

北上「え?」
437 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:42:03.89 ID:wxx5Ae+e0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

提督「鎮守府の常識と自分の常識がズレてて怖い」

北上「常識ってほどじゃ、あーでもどうだろ。みんなやってたりするのかな」

提督「確かに姉妹の繋がりが濃いというのはあるけどな」

北上「いつもは私と大井っちが背中洗いっこして、木曾と多摩姉ちゃんが洗いっこして、最後に球磨姉ちゃんの髪をみんなで洗うんだ」

提督「背中洗えよ」

北上「球磨姉ちゃん凄いんだよ。シャンプーしてるとメデューサとか作れるんだもん」

提督「完全に遊びなのな」

北上「まあね。でもさ、自分で洗うより洗ってもらった方が綺麗になるじゃん?」

提督「それはその通りだな」
438 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:43:12.76 ID:wxx5Ae+e0
北上「後ね、洗ってもらってると暇になるから色々話せるんだ」

提督「ん?それはわからんな」

北上「お互いに自分を洗ってると忙しくて話しにくいけど、片方に集中すれば話しやすくなるの」

提督「それさっさと洗って湯船で話した方がいいんじゃ」

北上「もー分かってないなあ提督は。顔を合わせずそれでいて近くにいるからこそ話せるものもあるのだよ」

提督「ほー。やっぱみんな女の子なんだな」

北上「どゆこと?」

提督「男はそんなに話さないからさ。背中洗わせようものなら絶対イタズラとかに発展する」

北上「それって、経験談?」

提督「俺だって、昔は普通の学生だよ」
439 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:43:54.77 ID:wxx5Ae+e0
北上「んじゃま、とりあえずよろしく」ハイ

提督「はい?」

北上「まずは提督が洗ってよ」

提督「え、なにをaまてまてまて取るなタオルを取るな!」

北上「えー背中ならいーじゃん。おっぱいは前についてるんだよー」

提督「…それもそうか」

北上「そうそう」

提督「そっかーってなるかボケェ!」

北上「いっそがしい人だねぇ」
440 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:45:06.15 ID:wxx5Ae+e0
提督「じゃ、じゃあ行くぞ」

北上「そんなに身構えなくても…」

まるで湿布でも貼るかのようにそっとスポンジが私の背中に押し当てられる。

そのまま背骨に沿って静かに下まで行き、まるで蝉の抜け殻でも取るかのようにそうっと背中から離れるとまた同じ位置にいき

北上「ストァーップ!!」

提督「ハ、ハイ!」

北上「提督」

提督「な、ナンデショウカ」

北上「優しすぎ」

提督「え」

北上「ゆっくり過ぎ」

提督「はい」

北上「弱すぎ」

提督「はい」
441 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:46:12.58 ID:wxx5Ae+e0
提督「スマンなんか緊張した」ゴシゴシ

北上「私の身体はガラス細工じゃないんだから。むしろ提督より頑丈だしね」

提督「だって、こんなふうに触るの初めてだし…」ゴシ

北上「気にしすぎでしょ」

いくら私の背中を流すのが初めてと言っても基本的に人間と同じなのだ。そんなに身構えなくてもいいのに。

北上「大井っちなんかは結構肉付きいいんだよ」

提督「なんでここであいつが出てくんだよ」

北上「べっつにー」

提督「変なの」

北上「まあね」

提督「…」

北上「…」

提督「…」

北上「…」
442 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:47:25.59 ID:wxx5Ae+e0
提督「あれ?話さねーの?」

北上「あ、ごめん。いっつも大井っちが話してばっかだったからつい」

提督「あいつはよく喋るからなあ」

北上「せっかくだし提督が話してよ」

提督「俺が?そーだなぁ。今日楽しかった?」

北上「遠足帰りの子供に感想求める親かよ」

提督「ブッ、確かにそれっぽいな」

北上「でも、うん楽しかった。貴重な経験だったよ」

提督「北上はもっとダラーっと生きてるイメージだったけど、今日のお前はやたら積極的だよな」

北上「鎮守府に今更目新しいものもないしね。やっぱ外は未知に満ち満ちてるよ」
443 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:49:13.24 ID:wxx5Ae+e0
提督「経験か」

北上「そ、経験」

提督「興味本位で?」

北上「そう。だけど、それだけじゃないかな。目標というか、目的が無いわけじゃないし」

人間の事を知りたいと思う。飼い主の事も含めて。

提督「それは秘密か」

北上「乙女は秘密が多いらしいよ」

提督「確かに男は少ないかもな」
444 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:49:43.99 ID:wxx5Ae+e0
提督「艦娘なら戦乙女か」

北上「ワルキューレだっけ。北欧神話の」

提督「そこまでは知らねえな。流石に物知りだぜ読書家は」

北上「ゲームのせいなんだけどね」

提督「そっちかぁ」

北上「みんなソシャゲとかやってるから自然と耳にしてさ。提督はやらないの?」

提督「スマホより普通のゲーム機の方が」

北上「仕事しなよ」

提督「今のはあんまし関係な!くはないか…」
445 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:50:20.63 ID:wxx5Ae+e0
北上「よっしこうたーい」

提督「こんなんでいいのか?」

北上「ぶっちゃけたいして汚れてるわけでもないしね」

提督「そりゃな」

北上「じゃスポンジ貸して」クルッ

提督「だからこっちを向くな!」
446 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:51:39.52 ID:wxx5Ae+e0
北上「…おっきい」

提督「なんか卑猥に聞こえる」

北上「何がさ」

提督「ナンデモナイデス」

北上「変なの」

目の前には提督の背中がある。身長差はあるがこうして互いに座ってしまえばそんなに気にならない。

と思ってた。

いやはや一応とはいえ鍛えている男性の背中というのはこれが中々ごつい。普段から華奢な女体ばかり見ているせいで余計にそう感じるのかもしれない。

北上「ゴツゴツしてる」ゴシゴシ

提督「そりゃみんなそうだろ。骨とかあるし」

北上「そうだけど、そうじゃなくて。大井っちとか、みんなは抱き心地良さそうな感じで提督のは乗り心地が良さそう」

提督「分かるような、分からないような」
447 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:55:24.35 ID:wxx5Ae+e0
北上「お加減いかがでしょ」ゴシゴシ

提督「丁度いいよ」

一応男性だしと少し強めに洗ってみるが提督はそれでちょうど良さそうだ。

しかしこれが男性の身体か。私はあの大きく太い毛むくじゃらの腕しか飼い主の身体を覚えていない。

抱っことかはあまりしなかったのかな?

北上「…」

提督「終わりか?」

北上「…」ピトッ
提督「ヒウッ!?」

なんだその情けない声は。
448 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:56:08.96 ID:wxx5Ae+e0
身体を提督の身体に宛てがう。

抱きつくというよりはまさに背負われるような形だ。

体を前に倒しているのもあってか提督との体格差で私の顔は丁度心臓の裏辺りになった。

北上「おー心臓動いてる動いてる」

提督「イ、イキテルカラナッ」

北上「私の鼓動って聞こえる?」

提督「いえ全然全く!」

おかしいな。胸が薄いと鼓動が伝わりやすいとかいう話を夕張から聞いたのだが。まあ夕張だし。

北上「あり?鼓動がすっごい早くなってきた」

提督「風呂だから!血圧とか上がってなんか心臓が早くなんだよ!体も熱くなんだよ!」

北上「へえ」

人間ってそこまで温度変化に弱いのか。
449 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:57:55.72 ID:wxx5Ae+e0
北上「じゃ次は髪洗うね〜」

提督「か、かみ?あー髪か。いや髪はいいよ。わざわざやってもらうほどじゃないし」

北上「なら私のをお願いしようかな」

提督「え」

北上「ほら交代交代」

提督「マジ?」

北上「マジマジ。卍」

提督「マジかぁ…」
450 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:58:48.74 ID:wxx5Ae+e0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・


提督「えーっと、ですね。まずどうやって洗いますのです?」

北上「ふつーに?」

提督「ふつーってなんだよ」

北上「逆に提督はいつもどうやってんの」

提督「てきとーにさーって」

北上「それで」

提督「いいの?それで」

北上「それ以外にあるの?」

提督「ないか」

北上「ないよ」
451 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 17:59:34.37 ID:wxx5Ae+e0
提督「おっしじゃあ行くぞー」

北上「おー。提督のお手並み拝イタタタ!ストップストップ!」

提督「あり?弱かった?」

北上「違う違う!強い!雑い!」

提督「そ、そうか?いつも通りさーっとやったんだが」

北上「え、なに?提督いつもこんなふうに髪の毛わしゃわしゃやってんの?」

提督「おう」

北上「わお」
452 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 18:00:20.58 ID:wxx5Ae+e0
提督「こんな感じ?」

北上「そうそう。髪の毛に指を通してすーっと」

提督「これ洗えてるのか?もっと髪の毛同士でゴシゴシした方が」

北上「それやると髪の毛痛むんだって。私達には関係ないかもだけどね」

提督「ほーなるほどね。ん?」

北上「あ」

どうやら髪に指が引っかかったらし
提督「えい」ブチッ
北上「ッタァア!」
提督「あ、ごめん」

北上「ゴメンじゃないでしょ!なんで今の力任せにぐいっと行ったの!」

提督「ひ、ひっかかってるから解こうかと」

北上「雑すぎる…」

いっつも大井っちにドヤされてるのはこういうところに原因があるのかもしれない。
453 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 18:01:20.15 ID:wxx5Ae+e0
提督「髪長いのってホントにめんどくさいのな」

北上「神風なんかもっと凄いよ」

提督「髪長すぎるやつ多いもんな」

北上「悲しい運命だね」

提督「北上も結構。腰まであるよなこれ」

私の髪の先に手を当てたのだろう、提督の手が腰に少し触れた。

提督「あ、すまん」

北上「いや別に謝らんでも」

そういえばどうも先程から提督は極力私の身体に触れないようにしているようだ。

この扱いというのはそれだけ私達艦娘を大切に思ってのことなのだろうか?
454 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 18:01:48.06 ID:wxx5Ae+e0
北上「私の背中ゴツゴツしてる?」

提督「してねーよ。髪であんまり見えないけど」

北上「真っ黒?」

提督「真っ黒。いい髪してるよ」

さっきの逆だと考えると提督からしたら私の背中はさぞ小さい事だろう。やたら繊細に扱ってしまうくらいに。

改めて考えると提督は今私の真後ろにいるんだよね。

提督が髪をすくたびになんだか自分が小さく、まるで人形のように感じられた。

大井っちの手と同じで、優しく、丁寧に私を撫でる提督の手に、なんだか嬉しくなって、妙にこそばゆくて、なんというのだろうかこういうのは。
455 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 18:02:50.60 ID:wxx5Ae+e0
提督「これってどれくらいやりゃいいんだ?」

北上「…」

提督「北上?」

北上「へ?あーなに?どしたの?」

提督「のぼせたか?なんか顔赤くないか?」

北上「そう?気のせいだよ気のせい。うん、もう大丈夫。流しちゃって」

提督「あいよー」ザバッ
北上「ブエッ!?」

桶に貯めていたらしいお湯が一気に頭上から降ってくる。

提督「よしオッケー」

北上「…」

オッケーじゃない。

多分今鏡を見たらずぶ濡れの幽霊みたいになってる事だろう。
456 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 18:04:00.70 ID:wxx5Ae+e0
提督「あとは身体洗ってさっさと上がるか」

北上「そだねー」

提督「あれ、スポンジどこいった」

北上「提督がザバッとやるからながれてったんでしょ」

提督「あホントだ」

北上「もぉー」

少し後ろに流されていたスポンジを取りに椅子から立ち上がる。

ずっと座ってたからかな、なんだかふらつく。

さっきからなんだか鼓動がうるさい。

少しだけ目眩がして

北上「あ」ツルッ
提督「え?」
457 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/16(木) 18:06:11.50 ID:wxx5Ae+e0
やっと時間が取れたと思ったらメンテだこれ

腹いせにセクハラシーンを盛り込む
458 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/16(木) 18:40:29.81 ID:Jc+eL2gg0
ウホッ!
459 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/17(金) 00:21:06.83 ID:R9Y5nBkeo
パンツ脱いで待ってます
460 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/17(金) 04:22:27.17 ID:/BzNN3qg0
まだ続いてたやったぜいちゃいちゃしやがって
ぶっきーの心のうちが気になる
461 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/08/17(金) 13:19:59.06 ID:axP83bX3o
あらー
462 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:33:28.34 ID:7Maab9li0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

北上「…」

目が覚めるとそこには見知らぬ天井が。

北上「ホントに体験できるとは」

提督「やっと起きたかドジっ子め」

横に目をやると回るタイプの椅子に逆向きに座る提督が見えた。

北上「提督?ここどこさ」

提督「俺の部屋」

北上「あー」

提督「うん」

北上「…なんで提督部屋?」

提督「はぁぁぁぁ……」

地獄の様に深いため息を吐かれた。
463 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:34:16.24 ID:7Maab9li0
提督「マジで死んだかと思ったわ」

北上「あーそういやツルッと転んだっけ」

提督「丁度こっちに倒れてきたからキャッチはできたんだけどさ。そのまま気ぃ失ってるし」

北上「面目ない…」

提督「まあのぼせたんだろ。ちょっと迷ったけどとりあえずこっそり俺の部屋に運んだ」

北上「のぼせるってこういう事なんだね。いい経験だったよ」

提督「お前なぁ」

北上「ごめんごめん冗談だって」

提督「でも風呂につかってた訳でもないのにな」

北上「やっぱ外行ったりして体調が変な感じになってたのかなあ」

提督「さあね。まあ無事でよかった」
464 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:35:15.99 ID:7Maab9li0
北上「ところでなんでこっそり提督の部屋に?」

提督「みんな大体寝てるからわざわざ起こすのもな。それに素っ裸のお前を抱えてる状況を誤解なく説明できる自信が無い」

北上「はは、確かに…あ、もしかしなくても私今」

上半身を起こす。どうやら提督のベットらしき物に寝ていた私の身体にはタオル一枚だけが巻かれていた。

提督「取るなよ…」

北上「取らない取らない」

提督「とりあえず北上も起きたし風呂場に置いてきた着替えとってくるよ」

北上「あー、私着替えないよ」

提督「は?着替えなしで風呂はいったのか?」

北上「タオル一枚巻いて部屋に戻りゃいいかなって」

提督「嘘だろおい…」

北上「今日来てたのも洗濯物んとこに放り込んじゃったし」

提督「あれか?船ってのは服を着るって意識が薄いのか?」

北上「それは案外冗談じゃないかもね」
465 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:36:03.42 ID:7Maab9li0
北上「妙案がある」

提督「聞こう」

北上「とりあえず服を貸して」

提督「ここは俺の服しかないぞ」

北上「それでいいから」

提督「…まあタオルよりはいいか。ここはお前の妙案に期待しておこう」

北上「うんうん」

提督「俺は、とりあえず飯でも持ってくるか。食えるか?」

北上「ペコペコ」

提督「オーケー、部屋に持ってくるよ。仮にも病人みたいなもんなんだしあんまり変な事するなよ」

北上「メニューは?」

提督「お粥」

北上「完全に病人扱いだ!」

提督「冗談。適当にありもので作ってくる」
466 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:36:48.55 ID:7Maab9li0
ガチャリと扉を閉めて部屋を出ていく。

まさか立ち入り禁止の提督の部屋にこんな理由で入る事になるとは、願ったり叶ったり。

北上「ん、でかいな」

提督から借りたシャツは私より二回りくらい大きかった。

しまった髪留めは更衣室に置きっぱなしだ。後でとってきてもらおうかな。

北上「まあそれはさておき」

部屋を見渡す。

立ち入り禁止と言うくらいだ。何か見られたらまずいものがあるに違いない。
467 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:37:41.28 ID:7Maab9li0
ここで夕張とかならエロ本なんかを探すんだろうが私にそんな余裕はない。

探すのは提督、もしくは提督の前任者なんかの記録がないかだ。

北上「ここは、おー機能的だ」

ベットの下はそのまま衣装ケースになっているようだ。

横にある机にはPCと、

北上「それだけか」

書類とかなんもない。絶対この机使われてないぞ。

横には少し大きめのテレビといくつかのゲーム機材が散乱している。子供部屋といった感じだな。

他にはタンスと、本棚。

北上「ここしかなさそうだね」

天井にまで伸びる大きな本棚には私の好む本とは全く別のものが並んでいた。
468 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:38:13.13 ID:7Maab9li0
北上「うへー読んでるだけで頭痛くなりそうだ」

航海術とか海や船に関する専門書。他にも歴史とか武器兵器とかとかとか。

ここだけはなんだか提督って感じの内容になっている。読まれているかは定かではないが。

北上「これも資料かな?」

タイトルのない太いファイルを取り出す。

そこには写真が並んでいた。つまりアルバムか。
469 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:38:55.40 ID:7Maab9li0
最初にあったのはどこか居心地の悪そうな提督とニッコニコの吹雪のツーショット。

しばらく飛龍さんや日向さん、多摩姉達の写真が並ぶ。提督が着任してすぐの頃だろう。

そして徐々に艦娘が増えていく。

叢雲はここか。結構早いところで着任したらしい。

1冊目のアルバムが終わる。無意識に2冊目を手に取った。

写真に映る艦娘はどんどん増え、活気が増していく。

私の知らない色々な事がここであったのだろう。

北上「お、大井っちじゃん」

ブスっとした顔で提督と並んでいる。その顔が最初の写真の提督とそっくりな顔で、それが妙におかしかった。
470 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:39:46.76 ID:7Maab9li0
3冊目。少し見覚えのある風景になっていく。どうやらここからは私の知っている鎮守府らしい。

しかしどうにも私の写真が少ない、

北上「というか大井っちのが多いな」

露骨すぎる。2冊目だとそうでもなかったのに。この時期から大井っちの事を気にしだしたのかな?

写真自体の数も増えてきて3冊目がすぐに終わってしまった。

さて4冊目。なんだか変わった形だなこれ。

北上「…?人間?なんだこれ」

1ページ目にあったのは沢山の人間の顔写真だった。男も女もいて、でも全員子供のようだ。思い出、というより記録といった感じの載せ方で、
471 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:41:55.16 ID:7Maab9li0
北上「!」

慌てて表紙を見る。

なるほど。

北上「卒業アルバムか」

さっき言ってたな。俺も昔は学生だったとかなんとか。当たり前っちゃ当たり前だけど。

さぁて若かりし頃の提督はどーれかなっと。並びはどうやら五十音順みたいだ。苗字はMからだから後ろの方のはず。

1組にはいなくて、2組には…いた!うわ普通に黒髪だ。こっちのがカッコイイのに…

せっかくだし提督のご両親も探してみよう。どっか写ってるんじゃないかな。
472 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:43:58.81 ID:7Maab9li0
遠足に運動会。これは、文化祭か。修学旅行も。凄い、本やアニメで見た通りだ。ホントにあるんだなぁこういうの。

こっちは合唱かな?提督はどこに
北上「!?」パタンッ


壁の向こうで扉の閉まる音がした。


つまり提督室に誰か入ってきたという事。そんなのもう提督に決まってる!

慌ててアルバムを元に戻してベットにダイブする。ちくしょうアルバムに気を取られて肝心なものを探せなかった!

ガチャリと再びドアが開く。

提督「ただいブホッ!?」

北上「え」

また変な声を上げてる…

腹ばいの姿勢から顔を後ろに向けてみる。

そこには入口でいくつかの料理を載せたお盆を持ったまま顔を背けて固まっている提督がいた。
473 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:44:34.54 ID:7Maab9li0
北上「何してるのさ」

提督「こっちのセリフだおい。服はどうした服は」

北上「だから借りたんじゃん」

提督「それは俺が貸したヤツだろお!」

北上「え、うん」

提督「何、それ着て取りに行くとかじゃなくてもうそれで過ごすつもりなのこの娘」

北上「上は隠したからいいじゃん?」

提督「下が丸見えだボケェ!」

北上「あー…」

ワンピース気分で着ていたが確かに今の姿勢だと提督から丸見えだ。

北上「エッチ」

提督「露出狂め」
474 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:45:17.12 ID:7Maab9li0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

北上「ごちそうさまー」

提督「おそまつさん」

北上「いやはやまさかホントにお粥にするとはね」

提督「何も風邪の時に食べるだけがお粥じゃねえのさ。白だしとか入れて卵で包めばオムライスっぽくなるわけよ」

北上「他にはどんなの作れるの?」

提督「どんなのって、それなりに色々作れるけど。あーでもパスタとかは作ったことねえな」

北上「すごいね。私ゃ包丁すら握った事ないよ」

提督「両親が結構料理好きでな。教わってたのさ」

北上「提督の親かぁ。今どこにいるの?」

提督「遠いとこ」

北上「海外?」

提督「内緒」

北上「ケチー」
475 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:46:05.95 ID:7Maab9li0
北上「それじゃ私はそろそろお暇しますかねー」

提督「おう帰れ帰れ。というかまず着替えろ」

北上「分かってるって、っと!?」ペタン

提督「お!おいおい、まだのぼせてんのかよ」

北上「なんか立ちくらみが」

提督「んー、よし。今日はここで寝てけ」

北上「え、いいの?」

提督「嫌ならいいけどよ。なんか体調悪そうだしさっさと寝た方がいいんじゃないか」

北上「えー提督の枕臭そう」

提督「知ってるか。下の話と髪の話と匂いの話は男のハートを著しく傷つける凶器なんだぞ」

北上「わお顔がガチだ」
476 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:46:47.39 ID:7Maab9li0
北上「提督はどうするのさ」

提督「隣の部屋のソファーで寝るよ」

北上「あれ寝心地いいよね」

提督「昼寝とかならな。本格的に寝るとなるとどうだろうか」

北上「ちなみに提督の部屋で絶対に弄っちゃダメなとことかある?漁っとくから」

提督「あっても言うかそんなやつに。別にないしな」

北上「えー?いつもは立ち入り禁止だからエロ本でも隠してるのかと」

提督「どんな偏見だよ。どうせ夕張辺りの入れ知恵だろ」

北上「That's right」
477 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:47:20.19 ID:7Maab9li0
北上「ダメな理由はなんなのさ」

提督「そりゃー、ほら、空母共が勝手に飲み会開いたりするし」

北上「あーよく執務室は乗っ取られてるよね」

提督「駆逐艦達がかくれんぼに使ってたりするし」

北上「前に提督の机の下に隠れてたよね。速攻で見つかってたけど」

提督「仕事中なのに躊躇なく足元入ってくるからな。この部屋開けたら確実にくるぜ」

北上「他には」

提督「ポーラの酒の隠し場所にされたりとか」

北上「え、そんな事してるの」
478 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:47:55.99 ID:7Maab9li0
提督「前にあんまり使ってなかったダンボールの中に入れられててな。吹雪が見つけた」

北上「禁酒中の時か」

提督「ニッコニコで飲み干したと思ったら調理室から借りた酢を入れだしてビビったわ」

北上「想像にかたくない」

提督「さすがのポーラもアレで一週間は懲りてた」

北上「一週間かぁ。それで一週間かぁ…」

提督「まあうん、そんなわけだ」

北上「人気者は大変だね」

提督「笑って済ませらんねぇんだよ」
479 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:48:42.85 ID:7Maab9li0
提督「じゃおやすみ」

北上「おやすー」


パタンと再び扉が閉まる。

ふらつくフリは思った以上に効果的だった。これで今晩はこの部屋を漁り放題だ。

しかし流石に今すぐじゃバレる。もう少し、提督が寝静まった後だ。

それまでこうして、

ベットに横になって

静かに

音を立てずに

寝て
480 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:49:31.33 ID:7Maab9li0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・

「一緒にお風呂ですって!?」
「ちげえって!アイツから!アイツから誘ってきたの!!」
「犯罪者は大体そう言うんですよ」
「誰が犯罪者だゴルァ!」
「それで一体何をしたのよ!」
「し、してねぇ!何も!あいや、背中と髪を、洗った」
「洗った!?」
「それは別に悪くねぇだろ!アイツから言ってきたし!」
「それだけなの!?そこまでいってそれしか出来なかったのこのヘタレ!!」
「キレるのそこかよ!」
「いきなりお風呂プレイとは流石ですね司令官」
「プレイとか言うな!つかなんでお前ら仲良く俺を犯人扱いなんだよ!」
「共通の目的のために」
「共闘中です」
「は?」
481 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:50:07.19 ID:7Maab9li0
北上「…うわぁ……」

ベット横のカーテンから光が差し込む。ここが北極付近でもない限りこれは間違いなく朝が来たという事だろう。

つまり、私はあの後ごく普通に寝てしまったという事になる。

最悪の気分とは裏腹にタップリと睡眠をとった私の体は実に心地よく目を覚ました。

身体を起こす。隣の執務室からはまた言い争いが聞こえる。

大井っちに提督、吹雪の声だ。

さてどうしよう。ここでノコノコ出ていくと巻き込まれそうだし。

そうだ!
482 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:50:43.33 ID:7Maab9li0
北上「痛っ!?」バタン

ベットから転げ落ちる、フリをする。

すると案の定、

大井「北上さん!?北上さん大丈夫ですか!?」バタン

北上「あー大井っち〜。おはよー」

大井「よかった無事、じゃない!北上さん!?シャツ!?シャツオンリー!?」

北上「これねー提督に借りて「提督!?どういう事!!!」」
提督「勘弁してくれー…」
吹雪「音をあげるのは早いですよ犯罪者」
提督「北上ぃ〜助けてくれ〜」

北上「うーん」

流石に今回は私の責任が大きいし、ちょっとフォローしとくかな。
483 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:51:22.68 ID:7Maab9li0
球磨「北上ぃ!提督に襲われたって本当か!?」バタン
多摩「あの色欲魔はどこにゃあ!」

北上「うわぁ」

面倒くさい事になってるぞ。

大井「姉さんいい所に!」
球磨「ぬわあぁぁ北上があられもない姿に!」
多摩「避難にゃ!とりあえず避難するにゃ!」
提督「おいお前ら一体誰からそんな情報を!?」
球多「「大井(にゃ」」
提督「てめぇ!」

木曾「スマン、抑えられなかった」コソ

北上「いいよ、ありゃどうしようもない」

球磨「北上!早く着替えに帰るぞ!」
多摩「にゃ!」
北上「あーはいはい引っ張らない引っ張らない」

提督「ちょ、待って北上俺まだ」
北上「後は頑張ってね〜」
提督「ちょっとぉおぉ!?」

面倒なので逃げる事にした。
484 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:51:54.75 ID:7Maab9li0
北上「いやね、違うんだよホントは」

球磨「分かってるクマ。どうせ提督の優柔不断が原因クマ」

多摩「でもそこが提督の悪いところにゃ。少しは反省してもらうにゃ」

木曾「ありゃこってり絞られるだろうな」

北上「でも意外だね。吹雪と大井っちのコンビなんて」

球磨「確かに珍しい組み合わせクマ」

多摩「提督に対する厳しさ的に馬は会いそうにゃ」

北上「確かに」
485 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:52:29.35 ID:7Maab9li0
阿武隈「あ、おはようごさいうわ!なんですかその格好」

北上「おはよー」
多摩「にゃー」
球磨「クマー」
木曾「おはよう」

阿武隈「流さないでください!なんだか提督室が騒がしいのもそれですか?」

北上「阿武隈はこれから出撃?」
球磨「今日は忙しくなるクマよー」
多摩「待ちに待った決戦の時にゃ」
木曾「決戦って」

阿武隈「だーかーらー!!」
486 : ◆rbbm4ODkU. [saga]:2018/08/29(水) 03:52:56.67 ID:7Maab9li0
かん高い声でまくし立てる阿武隈をあしらいながらいつもの廊下を歩く。

騒がしいながらもまた、日常が始まる。

北上「いい夢見れたなー」

多摩「そんなに良く眠れたのかにゃ?」

北上「そうじゃないけど、まあそんな感じかな」

良い夢を見れた。

私にはやる事がある。行くところがきっとある。

でもこうして、ここにずっといたいと思えるような、そんな1日だった。
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