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北上「我々は猫である」
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2 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:44:14.36 ID:4BxzDs7d0
54匹目:招き猫
験担ぎ。おまじない。儀式。神頼み。願掛け。
良い結果を出そうと、あるいは悪い結果を避けようと人々は様々な方法で何かにすがる。肖る。
例えば私達の艦娘に関わるものでも千人針とか幸運艦の一部を御守りにするとか、オスの三毛猫を乗せるとか。
効果の程はともかくそういった気持ちは分からなくもない。
猫といえば、招き猫なんかもそうだ。
3 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:45:33.74 ID:4BxzDs7d0
北上「えいっ」
招き猫は右手を挙げていると金を、左手を挙げていると客を呼ぶという。
この手、というか前足は己の獲物を捕らえるものであって別に金なんかを呼ぶものではないと声を大にして言いたいところである。
第一猫に小判などとバカにしておいて困った時は金を呼ぶと奉る辺人間は本当に都合がいい。
なんて心で悪態をつきながら差し出されたスマホの画面中央を右手人差し指で触れ、そのまま下に下げる。
するとボールが画面の上に飛んでいき代わりに金の卵が転がってきた。
阿武隈「…」ドキドキ
北上「お、なんか虹色だ」
阿武隈「ホントですか!?」パシッ
恐ろしく早い手際でスマホをひったくられた。阿武隈のだしいいんだけど。
4 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:47:05.70 ID:4BxzDs7d0
北上「どうだった?」
阿武隈「…被りました」orz
北上「あっそう」
阿武隈「うぅ…なんで来ないのぉぉ…」
北上「そんなもんでしょ」
宝くじで一等狙うよりはマシ程度のものだろう、多分。
阿武隈「北上さん!もっかい!もう1回お願い!」
北上「えー無理だって。というか無理だったじゃん」
阿武隈「星5は出たからきっといけます!いって!」
北上「んな無茶な」
阿武隈「今日の北上さんならいけます!」
北上「そういえば今日の占い2位だったっけ」
阿武隈「いけます!」
5 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:47:45.29 ID:4BxzDs7d0
ガチャ。
もちろんガチャガチャの事ではなくいわゆるソシャゲというやつである。
金だけが貯まっていきやすい艦娘にソシャゲが大人気であるというのは以前にも言った気がするけど、
その金がもっとも注ぎ込まれているのがガチャというやつだ。
北上「はぁ…」
その後足の指までつかって5回ほどガチャを引かされた。
結果阿武隈が灰になって部屋(しかも球磨型の部屋)で倒れたので放置してきた。
北上「出るわきゃない」
6 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:49:00.53 ID:4BxzDs7d0
ガチャにも旬がある。
基本的に四季とバレンタインやクリスマスなどのイベントに沿っているらしい。
今の時期だと秋の何かなのかな。
響「あ、いたよ。皆」
北上「ん?」
曲がり角から出てきた響が私を指して言った。
皆とは?
暁「ほんと!?」ヒョコ
雷「見つけた!」ヒョコ
電「なのです」ヒョコ
北上「うおっ!」
ろっくの ぐんだんが あらわれた 。
さんにんは ガチャをひいてほしそうに こちらをみている 。
きたかみは どうする
たたかう
>にげる
北上「南無三!」ダッ
雷「あっ!」
暁「逃げた!」
電「逃がすな!」
響「了解だよ」サッ
北上「げっ」
しかし まわりこまれた 。
7 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:49:45.83 ID:4BxzDs7d0
まあ別にはっきりと引きたくない理由があるわけでもないからいいのだけれどね。
それぞれのスマホで10連を数回引かされた。
ちなみに結果として暁が当たりを引いて電雷はダメだった。
響は既に自力で目当てのものは出したらしい。
電「その運よこすのです!」コチョコチョ
暁「アハハハダメェそこはダメアハハハ」
雷「ほらほら!これでもかー」コチョコチョ
北上「あれ大丈夫なの?」
響「死にはしないさ」
相変わらず怖いことを言う。
8 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:50:45.03 ID:4BxzDs7d0
やれやれだ。
このまま鎮守府を彷徨いていたら何回引かされるか分かったもんじゃない。
ここは提督室に避難しておこう。
北上「北上さまが入りますよー」ガチャ
提督「おー北上。丁度いいところに」
北上「…」
扉を開けかけたところで動きを止める。
北上「提督」
提督「ん」
北上「そのスマホは」
提督「ちょうど良かった。お前にこれ「リセット」おい!」
バタン
ここもか…
9 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:51:21.44 ID:4BxzDs7d0
北上「とまあ散々な目にあってね」
明石「散々って、別に気にすることでもないんじゃない?」ニコニコ
なんやかんやで1番安全な気がする、工廠。
北上「そう言われたらそうなんだけどさ。でもやっぱ引く度によく分からないけど一喜一憂されるのはなんかね」
明石「北上はソシャゲ、もといスマホに全く関心がないものね」ニヨニヨ
北上「…明石」
明石「ん?」ニヤニヤ
北上「引けたの?」
明石「ピックアップは私を見捨てなかった」ニンマリ
素敵なオリジナル笑顔だった。
10 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:52:57.48 ID:4BxzDs7d0
北上「よくもまあそこまで熱心になれるものだよねえ。あーいや別に否定するつもりはないんだ。それでもやっぱりお金のかかることだから率直に言うとドン引きというか、ね」
明石「それ課金してる人には基本的にクリティカルな発言だからね」
北上「払う金額と対価は人それぞれの価値観とはいえ数十分に数十万が消えるってどうなのよ」
明石「モノの価値は希少性であがるし、その点で言えば私は納得してるわよ。博打性があるのは否定しないけど」
北上「納得してるなら、まあそうか」
明石「真面目な理由をつけるなら、そうねー。私達が兵器だからとか?」
北上「というと?」
明石「練度や装備があるとはいえ生まれつき私達は性能に限界がある。どんなに努力してもね。だからこそこうして金を払って私ツエーみたいな事が出来るのは魅力的なの、かも?」
北上「もっともらしいね。もっともらしいだけだけど」
11 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:54:00.75 ID:4BxzDs7d0
北上「ところで夕張は?」
明石「さっき奥の倉庫に入ってったわよ」
北上「何故に」
明石「儀式だって」
北上「あー、あぁ…」
察した。
12 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:55:08.81 ID:4BxzDs7d0
北上「ところで夕張は?」
明石「さっき奥の倉庫に入ってったわよ」
北上「何故に」
明石「儀式だって」
北上「あー、あぁ…」
察した。
13 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:56:51.87 ID:4BxzDs7d0
夕張「マイマーリン…」チーン
北上「Oh…」
明石「わー綺麗」
ウィトルウィウス的人体図を知っているだろうか。
名前は知らなくてもダ・ヴィンチ関連の絵で見た事がある人は多いだろうと思う。
円の中に両手足が異なる位置で二人の男性が重ねられていてそれが円と四角に内接している、というものだ。
意味は私も知らないけれど。
まあ、なんというかそれが、倉庫の床に表現されていた。
夕張の体で。
北上「このもう一人分の腕と足なに?」
明石「マネキンよ。艤装とか試着させるやつの」
北上「あーね」
14 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:58:13.76 ID:4BxzDs7d0
夕張「もうダメぽ」グッタリ
明石「ほらほら起きて起きて」ツンツン
仰向けで目を閉じている夕張をスパナでつつく明石。
なにやらもう片方の手でスマホを弄っている。
夕張「どうして現実は辛く厳しいの…」
明石「目覚めよ。さすれば与えられん」
夕張「ハッ!」パチッ
明石「それ」
明石が夕張の目の前にスマホ画面を差し出す。
夕張「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」ゴロゴロゴロ
両手で顔を覆い物凄い勢いで転がり出した。
北上「何見せたの…」
明石「私にあって夕張に無いものよ」
北上「鬼か」
画面には白いローブと黒い杖を持った青年が写っていた。
明石の顔に愉悦って書いてある。
夕張はしばらく転がり続けた。
15 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 03:59:06.90 ID:4BxzDs7d0
夕張「皆にガチャを引いてって言われる?」
北上「うん。何故か私ばかり」
明石「別に運がいいってわけでもないのよね」
北上「特にそんなに出来事はないと思うけど」
明石「なんでかしらね」
夕張「そりゃあやっぱ特別だからでしょ」
北上「特別?」
夕張「何回引いても同じ結果しか出ないから何か特別な方法を試す事で違う結果を出したいと思うわけよ」
明石「凄い説得力」
北上「でも私が特別って?」
夕張「スマホを持っていないこと」
16 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:00:05.58 ID:4BxzDs7d0
夕張「北上は特に意識してないだろうけど、今どきスマホを持ち歩かないって結構異端よ異端。だからこそ物欲センサーをすり抜けるのでは!と思わずにはいられないのよ」
北上「なるほど。凄く納得させられた」
明石「それはそうと基本的には連絡用なんだから持ち歩きなさいよ」
北上「何かを身につけるって割とストレスなんだよね」
夕張「慣れよ慣れ。そのうちパンツと同じくらい身につけて当然になるわ」
北上「つまりたまに身につけないということか」
夕張「ノーパンの事は過去に置いてきてほしい」
明石「というか気づけば心臓と同じくらい身につけるのが必然になるわよ」
北上「無ければ死ぬというのか」
夕張「死ぬでしょ」
明石「死ぬわね」
北上「日本の戦線が崩壊寸前になっている…」
17 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:00:48.26 ID:4BxzDs7d0
夕張「それにほら、私達仕事でもガチャやってるし」
明石「開発建造改修。どれもリアルラック」
北上「アレってなんでランダムなの」
夕張「結局は妖精さん次第だから」
明石「妖精さん曰く、(・ヮ・)あいまいないめーじゆえ、だそうで」
北上「それ違う妖精さんだよね」
夕張「髪の色的に明石が私ちゃんか」
明石「私が妖精人間か〜。夕張は?」
夕張「んー、助手?」
明石「アロハシャツ買おっか」
北上「それはいいから」
18 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:01:26.36 ID:4BxzDs7d0
明石「まあそんなわけで改修や建造が上手くいかなくても私達のせいにしないで欲しい」
夕張「むしろどうにか成功率をあげようと日々努力しているのに一向に報われない私達を労って欲しい」
北上「ガチャも出ないしね」
明石「日頃の行いなんて結局運には関係ないのよね」
夕張「死にたい…」
北上「むしろ日頃の行いが悪いから?」
明石「それだと私が出てるのがおかしいじゃない?」
北上「そんな堂々と自分は日頃の行いが悪いと宣言されても」
夕張「死にたい」
19 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:02:12.04 ID:4BxzDs7d0
明石「不運と踊っちまったのね」
夕張「提督も改修や建造でこんなに顔になる時がある」
明石「FXで有り金全部溶かす人の顔」
北上「リアルだからねそっちは。余計に辛いでしょ」
明石「北上が来る前とかも中々悲しい顔してたわよね」
北上「私?なんで」
夕張「大井ちゃんと二人で来ねー来ねーって嘆いてた」
明石「球磨型も丁度揃うところだったしね」
夕張「今日こそは!って二人で変な儀式してダメだったらワーキャー喧嘩して」
明石「仲良いよねぇ」
北上「前からあんな感じなんだね」
夕張「そうそうそう」
20 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:03:45.61 ID:4BxzDs7d0
明石「ところで北上ってスマホ何処に置いてるの?」
北上「部屋、だと思うけどどうだろう。最後に見たのがいつかも覚えてないや」
夕張「連絡とかどうしてるの…それ」
北上「大体大井っち経由。もしくは直接呼び出し」
明石「携帯しよう携帯を」
北上「携帯ねぇ」
夕張「えーっと、あホントだ。部屋にあるぽ」
明石「てことは一応充電は生きてるのね」
夕張「ほぼ新品未使用のバッテリーだものね」
北上「ちょ、なんでわかんのさ」
夕明「「GPSで」」
そんなさも当たり前のように部屋単位で位置特定できることを暴露されても…
21 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:04:15.92 ID:4BxzDs7d0
夕張「というか図書室で使ってないの?」
明石「あ〜そういえば図書カードアプリ入れたんだっけ」
北上「管理者権限って事で適当に持ち出してる」
夕張「これは酷い」
明石「さんはい」
夕明「「これは酷い」」
北上「何も二回言わなくても」
夕張「大事な事なので」
22 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:04:52.42 ID:4BxzDs7d0
北上「まーほら、スマホがないってのも悪い事ばかりじゃないしさ」
夕張「ほほう」
明石「例えば?」
北上「例えば、例えば…社会問題ともなっているスマホ依存やSMSによる人間関係問題などに悩まされずにすむじゃないか」
夕張「私達社会とは無関係だし」
明石「問題とともに上司からの連絡まで絶ってどうするのよ」
北上「…スマホからは実は有害な電波が」
夕張「どんなに有害でも敵の砲撃よりはマシでしょ」
北上「くそうこれだから理系は」
23 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:05:23.19 ID:4BxzDs7d0
提督「おーいたいた」
夕張「ありゃ提督?どーしたんですか」
提督「北上を探してたんだよ」
北上「私?なんでさ」
提督「お前が連絡手段を持ってないからだ」
明石「ほーらやっぱり持ってた方がいいじゃない」
北上「うー、ごめんなさい」
提督「別にいいさ。そう悪い事ばかりでもないしな」
夕張「例えば?」
24 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:06:13.15 ID:4BxzDs7d0
提督「た、例えば?例えばー、例えば君が傷ついて」
明石「挫けそうになった時は」
北上「必ず僕がそばいて」
夕張「その姿を撮ってSNSに上げていいねを稼ぐよ」
提督「これは酷い」
北上「やはりスマホは悪い文化だ」
明石「いやそれはおかしい」
提督「さて行くか」
北上「いずこへ〜」
提督「提督室。大井もいるぞ」
北上「お、じゃあ行くか」
提督「いなかったら来ない気だったのかおい」
25 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:07:04.11 ID:4BxzDs7d0
夕張「で、例えばなんなのよ提督」
提督「ほーら行くぞー北上ー」
北上「はいはーい」
夕張「あちょっと!無視しないでよぉ」
提督。これも華麗にスルー。
提督「そういや北上。さっきなんで急に部屋出てったんだ?」
北上「ガチャはもうお腹いっぱいだったから…」
提督「ガチャ?」
北上「ありゃ、違うの?」
提督「俺はただ北上用に腕時計型のスマホとかどうかなと聞こうとしててな」
北上「あー」
早とちりだったか。これは悪い事をした。
26 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:07:36.39 ID:4BxzDs7d0
北上「大きさじゃなくて常に持ち歩くってのがなんかねぇ」
提督「そこは正直我慢してほしいんだがな」
北上「善処します」
提督「しないやつだこれ」
北上「てへ」
提督「てへじゃねえ」
そう言って苦笑する提督は私の歩幅に合わせて少しゆっくりと横を歩く。
提督室までのそう長くない時間だが、まあ、スマホがないというのも、悪くない。
27 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:08:28.36 ID:4BxzDs7d0
北上「ところで大井っちはなんで部屋に?」
提督「北上と連絡が取れないんだけど何処にいるか知らね?って連絡したら部屋に来た」
北上「ほほう」
なるほどなるほどそれが例えばの内容だったわけか。
大井っちも私を理由に提督に会いに行くとは相変わらずだねえ。
提督「なにニヤニヤしてんだ?」
北上「いやぁ、今日の占いが良かっただけだよ。2位だよ2位」
提督「ん?北上もおひつじ座?」
北上「ありゃ、提督も?」
28 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:08:57.93 ID:4BxzDs7d0
提督「俺は先祖代々おひつじ座よ」
北上「なにそれ」
提督「いや代々は冗談だけどな。両親ともにおひつじ座だったんだ」
北上「わお。そりゃ大したカップルだ」
提督「だからどうって話だけどな」
北上「私はここに来たのが春だったからね。テキトーにおひつじ座って事にした」
提督「そんなもんか」
北上「そんなもんそんなもん」
29 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:09:36.13 ID:4BxzDs7d0
北上「やほー大井っち」ガチャ
大井「もう、どこ行ってたんですか」
提督「ただいま〜」
吹雪「おかえりなさ〜い」
提督「お邪魔しましたー」
吹雪「待てい」グワシッ
北上「今度はなにやったの?」
大井「装備の開発に資源注ぎ込んだらしいですよ」
北上「あー…」
さっき夕張達が言ってたのはそれが原因か。という事は結果は…
提督「いけると思ったんだよ!占いがそう言ってたんだよ!」
吹雪「なら消費した資源と実際にできたものを一言一句間違えずに読み上げてください」
提督「スミマセンデシタ」
30 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/17(土) 04:10:13.82 ID:4BxzDs7d0
大井「どう思います?」
北上「どうとは?」
大井「あそこでワーキャー言い合ってる二人ですよ」
北上「んーそだねぇ」
提督「確率は偏るんだ!こういう日もあるさ!」
吹雪「それでしばらく開発控えるならいいですけどどうせ日を置いたらまた大量に注ぎ込むじゃないですか」
提督「何を根拠に」
吹雪「過去の事実」
北上「ガチャは悪い文化」
大井「おあとがよろしいようで」
北上「よろしいのかなあ」
大井「あ、北上さんもお茶飲みます?」
北上「飲む〜」
用法用量を正しく守ろう。
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/17(土) 12:56:46.19 ID:yr7noBFy0
新スレ乙です
徹子の部屋で追い返されていたですか、E4攻略お疲れ様です
旧スレ、もし依頼を出されていないようでした出して落された方がいいかも…
次回更新も心待ちにしております
32 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:22:38.56 ID:0wnyzqTy0
ご指摘ありがとうございます。完全に失念してました。
徹子の部屋?
徹子の部屋…
徹子の部屋!(納得)
33 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:23:38.26 ID:0wnyzqTy0
56匹目:猫とサンマ
秋刀魚。
秋に捕れる美味しいお魚。
魚特有の初見殺し的読み方。
なんだよ秋の刀の魚って。
意味を聞けばなるほどと思わなくもないけど、それを並べてサンマとは読まんでしょと。
ところでこのサンマ、かどうかは定かではないけど、意外な所で使われていたりする。
34 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:24:21.73 ID:0wnyzqTy0
球磨「行くよ」
多摩「来いにゃ…」
球多「「三!式!弾!」」
掛け声とともに出されたのはチョキとグー。
球磨姉の勝ちだ。
カウントは球磨姉が3で多摩姉が2。つまり
球磨「勝ったぁぁぁあ!!!」
多摩「ニャ…にゃぁぁ」orz
木曾「はい球磨姉の勝ち」
大井「では多摩姉さんお願いします」
多摩「ニャァァ…」
北上「頑張って〜」
35 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:25:03.74 ID:0wnyzqTy0
サンマ。
及びごーま。
じゃんけんの一種である。
ジャンケンポンのリズムでさーんーま、ごーおーまと掛け声を出しながらじゃんけんをするものだ。
では一体何がじゃんけんと違うのかというとサンマは3点先取。ごーまは5点先取の勝負なのだ。
3マ、と5マ。雑だ。だけどわかりやすい。
どちらかが規定の回数勝つまでじゃんけんをする単純なルール。
1回きりのじゃんけんより心理戦の趣が強く読み合いのレベルが高いのが特徴。
基本的には流れを掴んだものが勝つ。
ちなみに地方によってルールや掛け声に差異がある。
発祥がどこなのかはさっぱり謎だ。
36 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:26:01.53 ID:0wnyzqTy0
その鎮守府バージョン。
それが三式弾。
ちなみに5回ならごーや。
10回勝負の徹甲弾もあるがあまり好まれない。
多摩「トイレ掃除ってもしかしてやらなくてもいいんじゃないかにゃ」
木曾「残念ながら点検対象だ」
大井「多摩姉さんがサボった場合私達全員の責任なんですからね」
球磨「ふははははは!負けを認めてさっさと行くクマァ!」
ちなみに今回はトイレ掃除をかけた勝負だ。
秋に向けた、鎮守府衣替え兼大掃除の日である。
37 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:26:51.62 ID:0wnyzqTy0
北上「あれ?一個足りない」
カーテンを付け替えていたのだがあの引っ掛ける部分が1つ足りない。
木曾「一個ズレたんじゃないか?」
北上「ズレた…あーホントだ。うひー付け直しだよぉ」
木曾「テキトーにやるからだろ」
北上「キソー代わって〜」
木曾「断る」
北上「ちぇー」ガタッ
台にしている椅子を体の反動で右にスライドさせる。
なんだかサーフィンでもしている気分だ。
38 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:27:21.44 ID:0wnyzqTy0
大井「あ!北上さん危ないです!ちゃんと降りてください!」
北上「だいじょーぶだいじょーぶ」ガタ
大井「わかりましたともかく一度ストップです。私が支えるのでそれに合わせて移動してください」
北上「はいはい」
相変わらず過保護な。
木曾「おい姉ドアの掃除はいいのか?」
大井「もう終わったわ」
木曾「はやっ!」
39 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:28:00.73 ID:0wnyzqTy0
北上「よっし終わり」
木曾「いかにも秋って感じのカーテンだな」
北上「でもわざわざカーテンまで変えなくても」
木曾「一応外気を遮断するために分厚いものになってるしビジュアルだけが目的じゃないんだよ」
北上「あーなるほど」
大井「夏は海風が心地よいですけれど、冬は中々堪える寒さになりますからね」
北上「うひー…怖い怖い。しっかり閉じましりとこう」
大井「さてお次は机の掃除ですかね」
球磨「みんな〜濡れ雑巾持ってきたクマ〜」
北上「よーし机掃除開始〜」
「「「お〜」」」
40 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:28:36.43 ID:0wnyzqTy0
北上「と言ってもさほど掃除することもないなあ」
自分の机を濡れ雑巾で磨きながら思った事を口に出してみる。
木曾「上姉は所有物少ないもんな」
北上「お気に入りの本と筆記用具に少しの紙と、あ!スマホここに入れてたのか」
大井「携帯してくださいよ」ヤレヤレ
北上「たは〜善処しま〜す」
球磨「そういう木曾もそんなに物はないクマ」
木曾「まあこんなもんだろ。球磨姉だってそうだろ」
北上「というか大井っちが多い」
球磨「大井が多い…」ボソッ
大井「…球磨姉さん?」ニッコリ
球磨「なんでもない」キリッ
41 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:29:09.18 ID:0wnyzqTy0
北上「手伝うよ大井っち」
大井「そんな悪いですよ」
北上「いーじゃんいーじゃん。素直に甘えたまえよ」
大井「じゃあここの棚の物を1回全部下ろして貰っていいですか」
北上「あいよ」
木曾「よし、俺も手伝うよ」
球磨「球磨も手伝うクマ!」
大井「球磨姉さんは多摩姉さんの机を磨いといてください」
球磨「なぁ!怒ってた、やっぱり怒ってたクマ!?」
大井「怒ってません」
球磨「怒ってるクマ!」
大井「怒ってません」
42 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:30:03.44 ID:0wnyzqTy0
木曾「この雑誌とかはどうする?」
大井「そうねえ。後で捨てるものと分けるからそこに詰んでおいて」
木曾「あいよ。お、これいいな」
大井「手伝うなら読んでないで手を動かしなさい」
木曾「う、サーセン」
北上「わーこれ美味しそう」
大井「!それはですね!ハロウィンのお菓子特集のやつで!」
木曾「おい手を動かすんじゃないのかよ」
大井「北上さんはいいんです」
木曾「開き直りすぎだろ!」
43 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:30:34.87 ID:0wnyzqTy0
球磨「キソー」
木曾「なんだい」
球磨「これなんだと思う?」
木曾「猫のー、猫の…猫の?置物?」
球磨「でもなんか触るとふにふにしてる」
木曾「多摩姉のか?」
球磨「そう。ホコリかぶってるけどなんか下手に触るのが怖い」
木曾「ライト、とかか」
北上「なになに?うわ…なに?」
球磨「それがわからんから苦労してる」
44 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:31:25.63 ID:0wnyzqTy0
大井「ここだけ何か硬くないですか?」
球磨「ホントだ。スイッチみたい」
木曾「押しみるか」
北上「どうぞどうぞ」
球磨「爆発しそうでいやだ」
木曾「いや爆発はしないだろ…」
球磨「じゃあ木曾が押せ」
木曾「え……やだ」
球磨「やっぱり怖がってるじゃないか!」
北上「姉ちゃんここはクマを付けて愛らしく」
球磨「木曾に押して欲しいクマァ」
木曾「やだ」
球磨「キサマぁ!」
大井「えい」ポチ
置物「ニャア(低音」
「「「「……」」」」
45 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:33:50.27 ID:0wnyzqTy0
球磨「多摩はよくわからん物ばかり持ってるクマ」
木曾「あんなもの一体どこから手に入れたんだか。あ球磨姉、引き出しの一番下には手をつけるなよ」
球磨「わかってるクマ」
北上「…一番下?」
球磨「そう、ここだけは開けるなと念を推していた。多摩らしくもない真剣な顔で」
北上「へえ」
ダメだと言ってはいたのか。罪悪感と背徳感が今になって押し寄せてきた…
木曾「日記が入ってるだけだったけどな」
北上「え」
球磨「恥ずかしがり屋な妹クマ」
北上「え」
大井「あ、日記なら私もつけてますよ。北上さん見ます?」
北上「え゛」
46 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/21(水) 03:35:55.65 ID:0wnyzqTy0
まだ 最終海域が 終わって いない
ロリ金剛と同士でっかいのはタシュケられたので…
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/21(水) 04:46:54.60 ID:sS3k1pEj0
時間無いし甲が無理なら一気に下げて丁にせいw
甲で行ったが菅野隊がそこまで重要かというとそうでも無い気がする
菅野隊いらないなら丁で十分
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 20:48:37.28 ID:ENZqrCPz0
更新お疲れ様です
丁なら一気に駆けら抜けられるけど明日までかぁ
イベ終わったら更新くるのかしら?
49 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/27(火) 03:58:50.84 ID:rENztWyr0
球磨「見るなとか言われて見ない方がおかしいクマ」
北上「それはおかしいでしょ」
木曾「別にじっくりは見てないさ。流石にそこまでするのは悪いからな」
北上「いや悪いでしょ既に」
大井「ポエムでも書いてるのかと思いましたけどただの日記なら特に言うこともないですね」
当然のようにみんな見ていた…まあここで私がいくら言っても盗人猛々しいというだけの話なのだが。
球磨「せっかくだし北上も見ておくクマ?」
北上「遠慮しとくよ…逆に見る気がなくなった」
50 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/27(火) 04:00:36.05 ID:rENztWyr0
木曾「衣替えと掃除はこんくらいかな」
皆日記を見ていながら何も反応がないということは最初の方は見ていないのか。
大井「あら、衣替えなのに衣を変えてなかったわね」
パッと見て日記だと分かったらその時点で読むのを止めた、という感じか。
球磨「衣?服の事かクマ」
まあ下手に目撃者が多いよりはいいか。騒ぎにしたくはないし。
木曾「でも俺達服なんてほとんどないぞ」
球磨「北上なんて特にそうクマ」
北上「へ、私?何が」
大井「服ですよ服」
51 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/27(火) 04:01:24.06 ID:rENztWyr0
北上「あぁね。水着も結局借りちゃったものね」
木曾「上姉はその制服と下着だけだもんな」
球磨「球磨達も水着と夏用冬用の服とで、多分10着もないクマね」
大井「私はかなり多いですけど、それでもやはり女性としては少ないほうですね」
北上「大井っちはともかく他は服とか着る機会あるの?」
木曾「ぶっちゃけないな」
球磨「皆で出かけた時に買っただけクマ」
北上「みんな?」
木曾「一度球磨型4人で外に買い物に出かけたことがあってさ」
大井「そうですよ!せっかく5人全員揃ったんですしまた行きましょうよ」
外に遊びに、か。そりゃ悪くない。
52 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/27(火) 04:02:05.31 ID:rENztWyr0
球磨「予定が合うか、だ」
木曾「そこだよなあ。提督にはおい姉が頼めばなんとかなるだろうけど」
大井「吹雪が許してくれるといいのだけれど」
北上「あーそこかあ」
割と暇な時間の多い艦娘だが1日暇かと言われるとそうでもない。
まだまだ練度上げ中の私や大井っちは演習やらがあるし、貴重な雷巡の木曾も出番は多い。
練度の高い多摩姉も遠征や出撃などの引率役として意外と忙しい。
木曾「そこへいくと1番暇なのは球磨姉さんだよな」
球磨「クマッ!?」
大井「微妙に出番がないですものね」
球磨「クマァッ!?」
53 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/27(火) 04:02:41.13 ID:VD3c9z730
球磨「意外と傷つきやすい球磨ちゃんってよく言われるクマ…」グスン
多摩「ただいまに…どういう状況だにゃ」
木曾「また球磨型皆で外に遊びに行かないかって話してたんだ」
多摩「とてもそうは見えないにゃ」
大井「球磨姉さんはそっとしておいてあげてください」
多摩「お、おうにゃ」
北上「おーよしよし、いいこいいこ」ナデナデ
球磨「クマァ」
54 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/27(火) 04:03:31.34 ID:VD3c9z730
川内「球磨型のしょくーん」
多摩「にゃ?」
球磨「川内、どうした?」
川内「相変わらずクマがつかないね。じゃなくて、てーとくが物置小屋に応援求むってさ」
球磨「何かあったのか、クマ?」
川内「予想以上に物置に物があったらしいよ。だから各部屋から1人ずつ人柱を立てるようにって」
木曾「人柱ってお前な…」
人柱は川や海を沈めるためにも用いられたという。私達には少し笑えない話とも言える。
川内「あーちなみに川内型の犠牲者は私ね」トホホ
55 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/27(火) 04:04:42.29 ID:rENztWyr0
川内「そいじゃね〜」
多摩「だってにゃ」
球磨「さてどうするクマ」
大井「それはもう決まってますよ」
木曾「だな」
北上「やっちゃいましょうかねえ」
多摩「ところで多摩はさっき負けているので今回h「出さなきゃ負けクマ」聞けに゛ゃあ゛!」
北上「5?」
木曾「3で」
球磨「3」
北上「よし」
多摩「よくないにゃ」
北上「出さなきゃまけよ」
「「「「三 式 弾!」」」」
ちなみに、数分の死闘の後普通に木曾が負けた。
56 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/27(火) 04:07:54.73 ID:rENztWyr0
駆け抜けた(乙)
甲にしてたらと思うと…
E1でフル改修にした卵焼きが得意な嫁が大暴れしてくれたので満足です
エンディングの存在は、後で知りました…
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/27(火) 12:10:13.73 ID:5gFIZzEv0
完走おめ
夜襲カットイン艦載機揃えとくと今後瑞鳳は聯合艦隊前衛で切り札の一枚になるはず
史実艦補正込みとはいえ中破ネオダイソン(甲壊)を一気に持って行った時は驚いた
潜水艦対策でも有能だったし
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/28(水) 03:03:36.87 ID:Yx4V15uNo
おつにゃあ
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/29(木) 17:14:44.35 ID:YrvkCMiVO
おつ
素晴らしいスレだな
60 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:44:10.20 ID:rN2v+Mhe0
58匹目:寝る子
猫とは、ねるこ、が語源だとかそうじゃないとか。
北上「…にゃ」
徐々に意識が覚醒していく。
陽炎のように揺れながら思考の奥へと消えていく夢の世界を必死に追いかけようとするが、ある一言が私をいっぺんに現実世界に引っ張り出す。
大井「朝ですよ、北上さん」
北上「…はよ」
大井「はい。おはようございます」
観念して目を開ける。
私の枕元に座り優しくほほ笑みかける大井っちは、紛れもない現実だ。
61 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:45:03.45 ID:rN2v+Mhe0
大井っちは私を起こしてくれる。
無論頼んだわけではない。自主的にだ。
最も私もその優しさにガッツリ甘えているわけで、実際大井っちがいなかったら寝坊の北上と言う不名誉な称号を貰っていた事だろう。
北上「あーあ。出撃なんてなけりゃいいのにさ」
大井「今日は演習ですよ」
そう言いながら優しく私の髪にクシを通す。
北上「似たようなものでしょ」
大井「全然違いますよ」
北上「早起きならどっちも同じだよ。はぁやだやだ、大井っち一緒に二度寝しない?」
大井「着替えここに置いておきますね」
北上「ちぇー容赦ないや」
62 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:45:55.73 ID:rN2v+Mhe0
もっとも毎日起こしてくれるわけじゃない。
あくまで私が出撃やらなんやらで起きなくてはならない日だけだ。
それ以外の日は決して私の眠りを邪魔しない。
つまり
秋雲「お、北上サンおはー。おは?おはじゃないか」
北上「おそよう」
秋雲「あははそれそれ。遅ようだ」
部屋を出て右に真っ直ぐ行くと共有の洗面所がある。
このフロアだと使うのは主に駆逐艦と軽巡だ。
現在時刻は正午、を少し過ぎたあたり。
少し、随分と遅めではあるが私はまだ完全に覚めていない顔を洗っていたところだ。
63 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:47:06.91 ID:rN2v+Mhe0
秋雲「相変わらず遅いっすね〜」ジャー
北上「そういう秋雲こそ遅いじゃん」パシャパシャ
お互いまずは顔を洗う。
秋雲「いやぁ、原稿がねぇ…」パシャパシャ
北上「進捗どうですか」ジャー
秋雲「ダメです」キュッ
北上「ダメじゃん」キュッ
水を止め濡れて顔を拭く。顔を濡らすより濡れて顔を吹いた瞬間の方が私は気持ちいいと思う。
64 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:47:36.04 ID:rN2v+Mhe0
秋雲「気づいたらこの手は筆ではなくコントローラーを握っていた」プルプル
北上「自制心を鍛えよう」ホイ
タオルを見失ったらしい秋雲にタオルを渡す。
秋雲「お互い様」フキフキ
北上「私は夜更かししてるんじゃないもの。寝すぎてるだけ」
秋雲「それもそれでどうなんだろ」
北上「自由な時間のために睡眠を削るんじゃなくて自由な時間をいくらか睡眠に
当ててるだけだよ」
秋雲「お、なんかカッコイイ」
北上「だしょ」
65 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:49:09.55 ID:rN2v+Mhe0
秋雲とは夕張明石繋がりで割と話すようになった。
なんというか凄く空気が読める子だ。距離感がうまい、とでも言うのかな。
凄く親しいという訳でもないけれど会話に困らない程度のいい友人である。
秋雲「北上サン今日はお仕事あり?」
北上「ヒトゴーから演習」
今度はお互い髪を結ぶ。
演習もあるししっかり結んでおかないと。ちなみに無い時はポニテか結ばないでほおってる。
66 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:49:45.29 ID:rN2v+Mhe0
秋雲「後2時間半くらいかあ」グッ
北上「適当に腹ごしらえせにゃ。秋雲はお仕事あり?」スルスル
秋雲「今日はなし。明日はあり」シュッ
北上「秋雲先生はお仕事ありあり?」ギュ
秋雲「今日も明日もありありぃ…」
北上「気を落とすならやらにゃいいのに」
秋雲「気は落とせても原稿は落とせんのです…」
北上「だれうま」
三つ編みめんどくさい…やっぱ後で大井っちにやってもらおう。
秋雲「これをやめたら死ぬのよ秋雲は。書く事と心臓が動くことは同義」
秋雲はポニテ、でいいのかな。
長いけど量は少ないので楽そうだ。
67 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:50:15.95 ID:rN2v+Mhe0
秋雲「ほいじゃまったね〜」
北上「また〜」
秋雲「あそーだ。今度バリちゃん達とアニメ一挙視聴やるんだけど来る?」
北上「うーん内容による」
秋雲「オーキドーキ。決まったら連絡するね」ノシ
北上「あいあい」
たっぷり寝過ごした昼の洗面所。
意外な人と二人っきりになったりしてそれが少し楽しみになっているところがあるのは否めない。
68 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:50:49.25 ID:rN2v+Mhe0
別の日。
北上「おや」
叢雲「あら」
ばったりと。
そんな唐突な出会い。
北上「おはよー」
叢雲「おはよーって、もう昼…あぁおはよう」
どうやら私のボサボサの髪とクシャクシャの顔を見て察してくれたようだ。
しかしそれはともかくとして、
北上「叢雲もおはよう?」
叢雲「えぇ、おはようよ」
そう。叢雲も同じように起きたてほやほやと言った格好だった。
69 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:51:23.13 ID:rN2v+Mhe0
北上「珍しいじゃん」
叢雲とも話す機会はそれなりに多い。
提督といると吹雪がやってきてそこに叢雲もいて、みたいなことばかりだけど。
叢雲「たまにはね。夜遅くまで遊んでたから」
二人並んで髪をとかす。叢雲もかなり髪が長いほうだ、色々大変そうである。
北上「なんでまた?」
叢雲「吹雪が皆と遊びたいーっていうから相手してあげたのよ」
北上「吹雪が?」
叢雲「吹雪が」
そりゃまたさらに意外な。真面目、優等生、学級委員長の擬人化みたいなやつなのに。
北上「雪でも降るのかね」
叢雲「あの子も人の子よ。息抜きくらいしたくなるんでしょ」
北上「息抜きねえ」
そういえば休憩中に隠れてアルコールいれたりしてたっけ。
70 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:51:58.17 ID:rN2v+Mhe0
叢雲「まったく、付き合う身にもなって欲しいわ」
北上「でも付き合うんだ」
叢雲「仕方ないでしょ」
バレないように鏡を利用して隣で髪をといている叢雲を見る。
口元がにやけてることを指摘するとまたぞろどんな言い訳が飛び出すか分からないので黙っておく。
北上「皆って吹雪型の皆で?」
吹雪型というと吹雪叢雲に雪が3人と、あれ?後誰だっけ…
叢雲「いいえ。特型姉妹の皆、よ」
北上「特型」
めちゃくちゃ多かった気がするが。
71 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:53:10.49 ID:rN2v+Mhe0
叢雲「今日仕事の娘もいるし最後まで起きてたのは10人もいなかったけれど」
十分多い。さすが駆逐艦。
北上「姉妹が多いってのも大変だね。それで何やってたのさ」
叢雲「トランプとかワードウルフとか」
北上「どうだった?」
叢雲「初雪が妙に強かったわ…」
北上「なんかわかる」
叢雲「後雷も強かったわ」
北上「それは意外。で主催者はまだ寝てるの?」
叢雲「起きたらいなかったしどうにも普通に秘書艦やってるみたいよ」
北上「え、徹夜してるのに」
仕事人間すぎるのでは。
人の子ではなく艦娘だからこそ出来る芸当、なのかな。
72 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:53:44.94 ID:rN2v+Mhe0
叢雲「ちょっとは寝たと思うけれどそういう問題じゃないわ」
北上「だろうね」
叢雲「だから朝…昼ご飯を食べたらふん捕まえてはっ倒してでも寝かせるつもりよ」
パン、と両手で頬を叩き鏡を睨みつける叢雲。
コワイ。
叢雲「アナタはなんで夜更かしを?」
北上「私は寝すぎてるだけで夜更かしはしてないよ。10時には寝てるもん」
叢雲「その睡眠欲吹雪に分けてあげてほしいわ」
北上「吹雪は欲があっても寝ないでしょ」
叢雲「そうね。だから困るのよ」
北上「さもありなん」
73 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:54:16.71 ID:rN2v+Mhe0
叢雲「よかったら一緒に来ない?私一人じゃ捕まえるの苦労するし」
北上「遠慮しとくよ。なんかあとが怖いし」
叢雲「あら、秘書艦に日頃の鬱憤を晴らす貴重な機会よ?」
北上「別に鬱憤なんかないよ。晴らすとしたら、あー…」
叢雲「ん?なにかあるの?」
北上「いや、やっぱないや」
叢雲「え〜気になるじゃない」
北上「プライベートで〜す。黙秘権黙秘権」
晴らすなら、謎の期待を少しやめていただきたい。
74 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:54:48.39 ID:rN2v+Mhe0
叢雲「それじゃ」
北上「頑張れー」
叢雲「応援より増援が欲しいわ」
北上「嫌厭しとく」
叢雲「残念」
なんて特に残念そうな素振りもなく手をヒラヒラとさせながら提督室の方へと去っていく。
北上「ふむ」
しかしせっかくの機会だったというのにまた聞きそびれてしまった。
艤装をしていないのにも関わらず叢雲の頭上に当然のように浮いているあのファンネル(仮)。
北上「何なんだろう」
75 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/03/30(金) 02:58:16.10 ID:rN2v+Mhe0
なんなんだろう
特に物語に絡む要素ではないので明言していませんが例えば吹雪、叢雲と聞いて未改造、改造後のどちらが先に思い浮かぶかは人によりそうです。
私は前者は改造後、後者は未改造ですかね。
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/30(金) 12:01:53.96 ID:MfdfmKa1o
おつ
俺もおなじように浮かぶなぁ
何でだろ
77 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:02:19.86 ID:riXpa5a40
吹雪「それ何?って聞いたらこれ以上ここにはおれませんって飛び去っていきそうで聞けてないんですよね」
北上「鶴の恩返しじゃあるまいし」
叢雲と会った次の日のお昼。
今度は吹雪と出会った。
吹雪「何せ生まれた時からありますからね」
北上「でも海で泳いでた時は確かなかったよ」
吹雪「お風呂とかの時も消えますね。あと寝る時も」
北上「消える?消えるの?アレが?」
吹雪「消えますね。スッ…って。この前も疲れた〜って布団に倒れ込んだ瞬間に消えてました」
北上「なにそれこわい」
吹雪「消える時も現れる時も気づいたらそうなってるんですよね〜」
そりゃ聞きたくても聞けんわ。
78 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:03:40.03 ID:riXpa5a40
北上「で、今日はなんでこんな遅くにおはようなの?」
吹雪「またまた〜知ってるくせに」
北上「結構騒ぎになったものね」
叢雲の「はっ倒してでも寝かせる」はホントにはっ倒して寝かせる事だったようで、提督室で一悶着あったらしい。
吹雪「ビックリしましたよ。いきなり部屋に入ってきたと思ったらつかつかと私の前まで来てグーパンですよグーパン。右ストレート」シュッシュッ
北上「そんなにハードだったのアレ」
吹雪「めっちゃハードでした。面食らって思わず受け止めちゃいましたもの」
かわせずに受け止めた、という話なのだろうが咄嗟に防御できるあたり吹雪の練度の高さが伺える。
北上「そのまま殴り合い?」
吹雪「まさかー、そこまではやりませんよ」
やりそうだよ君らなら。
吹雪「叢雲がこう続け様に二三発打って防いでる隙に脚を払われてお終いでした」
北上「わーお」
79 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:04:25.31 ID:riXpa5a40
吹雪「カッコよかったですよー。倒れ込んだ私の上に馬乗りになって胸ぐらをグッと掴んでですね、この程度もあしらえないくらいフラフラの癖に仕事なんかしてんじゃないわよ!寝ろ!って」
迫真の演技。やられた張本人だけあって臨場感がすごい。
北上「それ提督の前でやったんでしょ…?」
昨日見た叢雲のコワイ表情を思い出す。
私ならチビるな。
吹雪「私も提督もあまりの事にフリーズしましたね。その後提督がまず話を聞かせろと言うので事の発端を話して、まあ最終的に私に休暇命令がでました」
北上「ちゃんと対応したんだ提督。てっきりビビって何も出来なかったのかと」
吹雪「そこはまあ仮にも提督ですからね、提督」
北上「仮ねえ」
それくらいの信頼はおいているのか。
80 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:05:07.28 ID:riXpa5a40
北上「そもそも吹雪が皆で遊びたいって言うからでしょ」
吹雪「へ?私そんな事言ってませんけれど」
北上「え」
吹雪「ん?あー」
北上「何その分かってしまったみたいな反応」
吹雪「誰から聞きました?」
北上「誰って、叢雲だけど」
吹雪「はーん。はは〜ん。へへぇ〜」ニヨニヨ
段々と顔が緩んでいく吹雪。
北上「まさかそのまま1人だけ納得して終わりってんじゃないよね」
吹雪「いいでしょう。可愛い妹の可愛い所を教えてあげましょう」フフン
81 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:05:53.75 ID:riXpa5a40
吹雪「一週間くらい前かな。叢雲に何の気なしにポロッと愚痴ったんですよ。そういえば最近妹達と遊べてないなーって」
北上「ちなみに最後に遊んだのはいつ?」
吹雪「春頃に鎮守府で花見した時ですかね。そこからはあまり」
北上「そりゃまた随分時間が空いてるね」
吹雪「そうなんですよ。それで思わず寂しくなっちゃって、という程じゃないですけど」
北上「口から漏れちゃったと」
吹雪「ええ。次の日には言った事も忘れてましたけどね」
北上「叢雲はしっかり覚えてたってわけか」
吹雪「まさかあんなサプライズをくれるなんて、愛がヒシヒシと伝わってきますね〜」
北上「案外叢雲の方も寂しかったんじゃない?」
吹雪「ん…それは、考えてなかったですね。毎日アレだけ可愛がってあげてるのに寂しいとは生意気な」プンスカ
北上「可愛がるねぇ…」
主にからかってばかりじゃん。可愛いがるのニュアンスが少し違うのでは。
82 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:06:40.36 ID:riXpa5a40
北上「でもさ、そのサプライズは叢雲が企画したものなんでしょ?気が付かなかったの?」
吹雪「仕事中に白雪ちゃんから今日みんなで遊ぶんだって事を聞いただけだしたから。事の始まりも暁姉妹と漣がきっかけみたいでしたし」
北上「じゃ叢雲は隠してたのかな」
吹雪「多分そうなんでしょうね」
北上「ふーん。となると昨日私に漏らしちゃったのはそれだけ気が立ってた、ってことなのかな」
チラと吹雪の顔色を伺ってみる。
吹雪「そういうこと、なんですかねえ」
流石に困った表情を浮かべる。
83 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:07:15.08 ID:riXpa5a40
吹雪「叢雲も叢雲で、恥ずかしがらずにハッキリと言ってくれればいいんですけど」
北上「確かに。なんでそんなに恥ずかしがってんだろ」
吹雪「思春期かな」
北上「青春の秋か〜」
吹雪「反抗期とか」
北上「成長の秋だね」
吹雪「デレ期が来た」
北上「恋愛の秋?」
84 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:08:38.30 ID:riXpa5a40
吹雪「さて、私はもう一眠りしてきちゃおっかな」
北上「まだ寝るの」
吹雪「休めと言われた以上はとことん休まなきゃ。仕事の方はどうやら叢雲がしっかりやってくれてるみたいですし」
北上「秘書艦代理?」
吹雪「ええ。あと提督の世話も」
北上「世話って…」
吹雪「ちゃーんと宿題やってるか監視しなきゃですし」
北上「おかーちゃんかっての」
吹雪「でも叢雲ってお母さんっぽさありますよね、性格は」
北上「言われてみれば。厳しそうなカーチャンだね。最近じゃそういうのバブみっていうとか」
吹雪「バブ?」
北上「ソースは夕張達なんだけどね」
吹雪「わ〜テレビとかでやってる流行語大賞並に信用出来ない」
85 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:09:13.09 ID:riXpa5a40
吹雪「それではおやすみなさい」
北上「いい夢を、眠り姫」
吹雪「キスで起こしに来るように叢雲に言っといてください」
北上「それじゃシンデレラだよ」
吹雪「え、白雪姫じゃ」
北上「あれ」
吹雪「まあどれも似たようなものでしょ」
姉妹愛か。それはとても、羨ましいものだ。
86 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:09:47.66 ID:riXpa5a40
北上「おや」
洗面所から水の音がする。
さて今日は誰がいるのだろうか。
ひょいと中を覗いてみると白というよりは銀に近い色の髪を邪魔になるからか後ろで軽く結わえ顔を洗っているちびっ子がいた。
北上「ハラショー」
とりあえず声をかけてみる。
響「それは挨拶じゃない」
水を止め顔を拭いた後所々に黒い跡が残る顔でそう言った。
北上「ってうわ、何その顔」
響「マジックの後だよ。幸いにも油性じゃないみたいだ」
ハラショー、と私の挨拶に返してくれた。
87 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:10:16.99 ID:riXpa5a40
響「電にやられてね」
北上「なんでまた」
響「プリンを食べたのがバレた」
北上「…なんでまた」
響「美味しそうだったから」
北上「情状酌量の余地なしな犯行理由だね」
響「いけると思ったんだけどね」
北上「確信犯か」
大人びているようで、むしろだからこそ根は随分と子供っぽいやつだ。
88 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:10:47.97 ID:riXpa5a40
響「…」ジャー
北上「…」
響「…」ゴシゴシ
北上「…」パシャパシャ
響「…取れない」
北上「手伝おうか?」
響「いや、問題ない」
北上「でもまだ黒ずんでるよ?」
響「流石にこれは、恥ずかしいな」ゴシゴシ
北上「油性じゃなくてよかったじゃん」
響「流石にそこまではしない、と、思うよ」
北上「不安になってるじゃん」
響「悪いのは私だし甘んじて受け止めるさ」
89 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:11:21.66 ID:riXpa5a40
響「…」
北上「…」
無言の空間。
多少意味合いが違うがお互い顔を洗いに来ただけだし特に喋ることもないといえば無いのだが。
響「取れた」
北上「…ホントだ」
響。
普段は4姉妹で行動していて私を見つけ次第寄ってくるウザったい奴らなのだが、
こうして個別で会ってみると対応に困る。
響「どうかな」
北上「キレイだよ」
響「何だか恋人同士の会話みたいだね今の」
北上「その発想はなかった」
90 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:12:02.14 ID:riXpa5a40
北上「そういえばこの前夜通し吹雪を労る会やってたんだってね」
響「ん、知ってたんだ。吹雪の事」
北上「あーうん。叢雲と、吹雪から直接聞いちゃってね。叢雲の方は口を滑らしたって感じだけど」
響「そうか、そうかい…」
北上「どしたの?」
響「当日、叢雲に夜みんなで遊ぼうと提案されてね。勿論内緒にするように言われて」
北上「案の定だね」
響「色々と察しはついたから行動力のある暁達と影響力のある漣を最初に巻き込んで、後は流れる様に皆で集まったよ」
流石に叢雲が任せるだけあって行動が的確だ。
91 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:12:45.22 ID:riXpa5a40
北上「いいねぇ、侘び寂びだねぇ。家族愛ってのはいいものだよ」
響「…そうだね。その通りだと思うよ」
北上「なにさ。さっきから少し顔が怖いよ?」
響「吹雪はね、何も言わないんだよ」
北上「何も?あんなにいつもペラペラと喋ってるのに?」
響「そういう意味じゃない。何も、話してくれないんだ」
北上「何も…」
響「忙しくてそういう機会が少ないのは確かだ。それでも同じ艦隊の仲間で、一応姉妹艦だ。なのに私達を頼ったりしないんだ」
北上「1人で何でもやっちゃうタイプか」
響「そう。でもそうじゃない。頼ったり愚痴ったりする相手がいないわけじゃないんだ」
92 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:13:14.35 ID:riXpa5a40
頼ったり愚痴ったり。それはつまり
北上「叢雲か」
響「そして北上さんも」
北上「え?私?」
響「うん」
北上「いや私ゃ別に頼られたり…」
そういえば謎の期待をされてたっけ。
北上「愚痴られたり…」
色々と話してくれる事は多いかもしれない。
北上「されてるか」
響「ほら」
北上「いやでも、うーん、なんでだろ」
響「それは分からないかな」
北上「なに、嫉妬した?」
響「それも少し」
少しはしたのか。
93 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:13:49.06 ID:riXpa5a40
響「私達がその役でないのは少し悔しいけど、結果として頼ったり愚痴ったりする相手がいるのはいい事さ」
北上「私としてはあんまり頼られてもなあ」
響「私達がやりたくても出来ないことをやってるんだ。頑張ってみてよ」
北上「いじわる」
響「嫉妬してるのさ」
そう涼し気な顔でニヤリと笑う。
響「おねーちゃんをよろしくね」
北上「あっこら。行っちゃった…」
押し付けて行きやがった。
子供っぽくて大人びていてちぐはぐで、人ではなく船でもなく、だから艦娘なのかもしれない。
北上「あれでも艦娘としては私より年上なんだよなあ」
ややこしい。
94 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:14:29.74 ID:riXpa5a40
暁「う〜〜」バシャバシャ
北上「…」
暁「ん〜〜!」ゴシゴシ
北上「…どう?」
暁「全然取れない!」
北上「一応聞くけど誰にやられたの?」
暁「響よ!響に決まってるわ!」
北上「デスヨネー」
後日、響はしっかり仕返ししてた。
全然甘んじて受け止めてないじゃん。
暁「あーんこんなんじゃレディ失格よお!!」
北上「…ハラショー」
95 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/04(水) 02:19:50.04 ID:riXpa5a40
ダラダラと続いてゆく
書いていて好きになったタイプなので実は吹雪が鎮守府にいなかったり
そもそも特型駆逐艦が叢雲と暁姉妹以外誰もいなかったり
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/04(水) 09:54:37.76 ID:hRmJHW7eO
おつ
この感じすごく好き
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/04(水) 18:27:35.81 ID:BKzvJPByO
あれ電にやられたのにやり返した相手は暁?
98 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/05(木) 01:44:23.56 ID:Cx/OEzt70
うおぉ…完全なるミス
こっそり電→暁に脳内変換してください
毎日ちょこちょこ書いてると話の中身がズレるのが怖い
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/04/05(木) 07:48:00.11 ID:/rZH14Vto
ハラショー
100 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/19(木) 01:43:21.68 ID:BtX+at8I0
60匹目:猫車
猫車、と聞くと日本を代表するアニメ映画に登場する足が何本も生えた猫のバスを想像するかもしれないがコレとは一切関係ない。
猫車とは手押し車の事だ。
何故猫なのかは諸説あるがそれだけ猫という存在は人に近いところにあった事がわかる。
それとは全然話が違うのだが猫は車酔いとかあるのだろうか?
少なくとも艦娘になってからの私が車で酔わない事はこの日に判明した。
101 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2018/04/19(木) 01:44:08.52 ID:BtX+at8I0
そう、その日は案外早く来た。
球磨「みんなー準備はいいクマァ?」
「「「「おー」」」」
球磨姉の前に四人並んで掛け声に答える。
球磨型の長女としての行動に満足したのか誇らしげな笑みを浮かべる球磨姉の後には、
車。
あののっぺりとした、軽自動車?とかじゃなく四角い感じの大きめのやつ。
なんというのだろう。船なので車はとんと分からない。
提督「朝からテンション高いな」ファ~
吹雪「眠いなら寝ててもいいんですよ。どうせ起きてても仕事量変わらないんですし」
提督「覚めるわ〜めっちゃ目ぇ覚めるわ〜」
多摩「朝から痴話喧嘩とは元気いいにゃ」
木曾「見送りに来た保護者みたいだな」
北上「実際立ち位置は保護者だよね」
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