戦士「うはwwwww勇者逃亡したwwwwww」

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332 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 06:02:27.93 ID:0TknjQHp0
土を掻き分けて出てきたのは、巨大な茎だった
俺の身長の二倍はあろうかというほど伸びた茎が、触手のように蠢いている
茎には葉もついておらず、その根本は土に隠れて見えない
茎の先端には、二枚貝に重なった葉がある。重なる二枚の葉の間には無数のトゲが走り、その間からまるで涎のように粘液が流れ続けている
それは植物型モンスター[フライトラップ(Lv2)]によく似ていた

故に俺は最初、それを突然変異した巨大なフライトラップだと勘違いした
突き刺した鉄の手斧は、奴の捕食器たる葉に突き刺さったままだ。そこからは紫色の体液が、絶えず垂れ落ちている
奴が勢いよく地面から表れ出た所為で、斧を手放してしまったのだ

俺は石の斧を構え、その茎を分断しようとする
フライトラップはけして強いモンスターではない。例え突然変異していても、この三人なら余裕を持って勝てる筈だ

しかしその時、背後で悲鳴が聞こえた
振り返ると、同じ茎が他に三つ、地面から現れて蠢いている
フライトラップの群生、と瞬時に考える。現れた三つの茎もまた、同じように涎を垂れ流している
僧侶は足元から現れたそいつに、思わず腰を抜かしてしまっているようだった

そして、そいつは現れる
四つの茎の対角線の交わる点、即ち中心点に、もう一つ土が隆起する
五体目のフライトラップか
その予想に反して現れたのは、巨大な球根だった
球根の頂点には、生々しく滑っている眼球がくっついている
そして、球根の側面には四つの茎があった。それぞれは、今しがた出現した茎に繋がっている

そこまで見て、俺はようやく真実に気づいた
この四つの捕食器は、個別に存在するモンスターではない
一体の大型モンスターの、手足なのだ

巨大な一つ目が、ぐるりと俺を見つめた
瞼も何もない赤い虹彩が、まるで獲物を見定めるかのように
333 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 06:10:34.08 ID:0TknjQHp0
なんだこのモンスターは!

それだけが頭を過る
見たことのないモンスターだ。魔物図鑑には乗っていなかった。レベルはいくつだ、技能は。戦うべきか。いやしかし武器が
頭の中で幾つもの考えが通り過ぎていく
その一瞬の間をついて、四つの捕食器が一斉に俺に襲いかかった
鉄の斧はない。俺は再び石の斧を取り出すと、襲いかかった捕食機の一つを切り落とそうとする
しかしその右手を、別の捕食器が絡め取る

ただの植物型モンスターではない
通常、植物型のモンスターは決まったルーチンでしか動かない
しかしこいつには明確な意志があった。生々しい眼球に映っているのは、自らを傷つけた俺への復讐心だった
別の捕食器が、俺の脇腹に向けて大きな"口"を割り開いた
茎に巻き付かれながらも、回避を図ろうとする
しかしその時、腕に絡まっている茎が、驚くほどの勢いで俺を引っ張った
筋力にはそれなりに自信のある俺が、全く太刀打ちできない程の力だ
それは丁度脇腹に"口"が当るように調整されている
回避の余地はなかった

しかし捕食器が当る寸前、炎の矢が俺を束縛する茎の根本に直撃する
束縛されていた腕が突然軽くなり、俺はバランスを崩した
突如姿勢を変えた俺に擦れるようにして、"口"が背後を通り過ぎていく
334 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 06:18:33.79 ID:0TknjQHp0
魔法使いを見る
詠唱短縮の簡易[炎の矢]を唱えた彼女は、再び次の呪文を唱え始める
視線だけで礼をしながら、ベルトホルダーにしまっていた剣を取ろうとして――

――気付く。剣がない
取られているのだ、剣が
いや、荷物そのものが
見れば先程俺の背中を通過した茎が、その"口"に鞄を咥えている
先程擦れ違ったほんの一瞬で、俺の背後から荷物をスリとったのだ
只の植物にできる芸当ではない

茎は荷物をそのまま地面に投げ捨てると、ゲレゲレゲレと耳障りな笑いを発した
それは他の二つの茎にも伝染し、笑いは三重になって空間に響く
嘲笑っている。このモンスターは明確な意志を持ち、俺を嘲笑っている

魔法使いが詠唱を始める。球根ごとこいつを焼き払うつもりだ
炎の矢が空間に現れ、球根を照準する、その時
不意に魔法使いが詠唱を止めた。いや、止めざるを得なかった
地面から現れた五本目の茎が、彼女の口元に巻き付き、詠唱を禁じていた
335 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 06:26:08.47 ID:0TknjQHp0
魔法使いを助けなければ
斧を握るが、しかし俺の周りの三つの茎もまた、再び俺を拘束せんと動き始めた
とても彼女の所までいけない。三つの"口"の猛攻を、避けるので精一杯なのだ

斧を空に舞わせ、近づいてきた茎を振り払う
茎は巧みに俺の攻撃を避けていた。直線的な動きを理解し、曲線的に動いていた
攻めきりたい所なのに、蠢く多数の触手のせいで攻撃すら困難な状況
それでも一瞬のスキをつき、茎の群れから抜け出して魔法使いの元へと向かおうとする、

その右脚がつんのめる

思わずそこを見る
右脚が拘束されている
どの茎だ。思わず見渡して、愕然とした
その茎は、地面から生えていた
六本目の茎

そして体制を崩した俺の右肩に、今度こそ、
涎を垂らす"口"がかぶりつく
336 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 06:26:36.36 ID:0TknjQHp0
最初に感じたのは、熱
337 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 06:34:08.10 ID:0TknjQHp0
次いで鋭い痛みが、俺の右肩を貫く
葉の内側にある棘が、皮膚を突き破っている
貫かれる痛み。だがそれすら、前座でしかなかった

皮膚の内側に潜り込んだ"牙"から、何かが"漏れて"いる
それに気づいた時には既に、狂おしいほどの熱さが、血液に乗って全身に流れていく
じんわりと熱さが広がり、まるで身体の内側が火傷になっているかのように、その熱を増していく
熱が、痛みに変わる
痛みの奔流が、全身を駆け巡っていく
そう、痛み!

余りの熱量に、痛みに、芯から身体が燃えていく
まるで熱暴走を起こしたみたいに、全身が熱くて、痛い
最早耐えきれなかった
苦痛を身体の中に抑えきれず、俺は大声で吠えた
痛みに咽び泣いた
叫んだ

そうしてすら、この痛みは増していくばかりだ
338 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 06:44:41.97 ID:0TknjQHp0
目に見えているものが何かがわからなくなっていく
全身を巡る熱が、俺の脳を溶かしているみたいだ
だが唯一つの本能に従って、この拘束から抜け出そうと身体を揺らす
抜けない。解けない
何故か。それを考える余裕すらなく、ただ我武者羅に身体を動かす
その分だけ全身が熱く滾り、身体に溜まる何かが広がっていく
それが苦痛で、更に身体を動かす
その悪循環すら、意識することはできない

不意に、少し遠くで何かを千切る音がした
小さな女の子が、手に持った鋭い何かで、綺麗な誰かの口元にある何かを切っている
何か? 誰か?
それが何かすら判別できない

視界の橋で、赤い線が奔る
俺の右肩に、何か強烈な熱を感じた
うめき声のようなものが聞こえ、身体を縛り付けていたものが楽になる
景色が回転する。違う? もしかしたら自分が回転している
強い衝撃にぶつかるより先に、柔らかな何かが俺を抱きかかえている
俺を呼ぶ声が聞こえる。ふたつ。どちらも逼迫した声。なんとなく、珍しいなと思った
少し遠くで、何かが蠢いている。綺麗な誰かが、赤い線を奔らせてそれを遠ざける
もうひとりの女の子が、俺の右肩に触れている。暖かな光が右肩を包み込んでいく

それでも、俺の身体の芯は氷のように冷え固まっていた
どうしようもなく寒くて、微睡みはいよいよ限界に達していた
俺を覗き込むふたつの影が、ぼやける
そしてそこに、俺はみっつめの影を見た
遠い昔に死んだ、俺の妹を見た

そこで一旦、俺の意識は闇に沈む
339 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 06:45:31.72 ID:0TknjQHp0
と、そろそろ見張りが交代なのでここまで
続きは起きてから話す
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 08:06:38.76 ID:MEHNVrqco


たまたま炎と相性のいい植物だから凌げたんだろうか
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 10:39:52.06 ID:6+A6VWugO
こいつはまた、とんでもなく濃密な一日だったんだな……よりにもよってユニークモンスターに出くわすとは
ただ、不意打ちを潰して先制攻撃出来たのは【感知】と【かばう】の技能があったからと考えていいのかなコレは

不意打ちへの対処とか戦闘時における戦士の役割とかを総合して考えると技能取得の現時点での優先度は個人的に
自然回復1>(自然回復2>)剣技4>感知2>かばう2>対魔力1かなぁ
自然回復4で戦闘中でも目に見えて傷が治ってくって話から少ない補給で深層を目指す上では欠かせないと思うし

あと二層では魔法使いの魔法がモンスターに有利取れそうな感じだし、先を考えるとこの階層でレベルを幾つか上げておきたいところ
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 13:09:27.53 ID:bSZqjIYHO
ああっと!! を思い出す

レベリング出来る状況ではないと思う
あと自然回復4の習得可能レベルわからんのがつらいな
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 13:12:16.10 ID:MEHNVrqco
剣技スキルって剣持ってなくても有効なんだっけ?有効ならとっとと身につけて強化すべきだし、
剣がないと役に立たないなら早く自然治癒つけた方がいい。何も持ってない時間が勿体無い
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 13:34:24.00 ID:oKsmhOzDO
勿体なくはないだろ
後々の成長予測を立てて欲しい物を一気に伸ばせばいいんだから
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 14:07:14.39 ID:MEHNVrqco
レベリングする余裕があるならそれでいいと思うが
ここの敵の強さを考えたら少しでも強化しておかないと下手したら次で死ぬぞ
346 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 15:14:32.44 ID:0TknjQHp0
やあおはよう
朝の続きを話していこう
ようやく今日の朝まで追いつくぞ
347 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 15:27:15.80 ID:0TknjQHp0
目を覚ますと、右肩に鈍い痛みを感じた
思わず右腕を身動ぎさせようと思って気付く。右腕が動かない
まるで全ての神経が焼き切れてしまったが如く、何も感じない
強烈な痛みの中で誰かが俺の右手を握っていることだけが、遠い感覚の果てに認識できる
その感覚が恋しくて、微睡みのまま右手の温もりに意識を合わせる
やがて暫くの後、右手がゆっくりと離れる。それを恋しく思う
意識が覚醒していく


ゆっくりと目を開く
ぼやける視界の中に、僧侶が映った
いつも持ち歩いている器の中で、何かの草を煎じているようだ

身体を起こそうとして、右肩に鈍い痛みを感じる
それが不快で思わず息を漏らすと、僧侶が俺に気づいて、起きなくて良いと気遣ってくれた
身体を寝かせたまま、首だけを動かして周囲を見る。[迷宮区]のどこかだろうか。見覚えのない場所だ
おそらく[2F-血溜まりの花畑]の迷宮区にある小部屋のひとつなんだろう
寝心地が良いと思ったら、地面には若い草が生い茂っている
348 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 15:55:53.15 ID:0TknjQHp0
気を失う寸前の事をぼんやりと思い出して、右肩を見る
左肩と比べて大きく膨れ上がり紫に変色したそこには、応急用の包帯が巻かれている
包帯からは薬品の臭いとともに、[毒消草]の花の香りがする

僧侶が鈴の音のような声で、静かに現状を聞かせてくれる
どうやらあの戦闘の後、彼女たちは俺とその荷物を持ってモンスターから逃げ出せたらしい
ここは[2F-血溜まりの花畑]の[迷宮区]の一角。入り口が草で見えなくなっている、隠された部屋だ
魔法使いが敵に見つからずに安全に俺を手当できるこの場所を、必死に探してくれたのだという

俺の右肩に打ち込まれたのは、Lv11相当の[消耗毒]と、Lv4相当の[麻痺毒]
どちらかの毒を保持していることすら驚異的だが、あの変異モンスターはそんな危険な毒を二種類も保有していたらしい
今は[毒消草]を少量ずつ服用しながら、毒を中和しているらしい
[薬師]技能を取っておいてよかったと、僧侶が薄く笑う

まだ霞のかかった頭でそれを聞く
僧侶が次いで教えてくれる。毒の中和自体は早い処置が功を奏して問題なく行われたが、それでも俺の身体は限界だった
即ち全身に奔る人間の許容量を遥かに超える痛みが、俺の脳を破壊し始めていたのだという
既に何らかの記憶を喪失している可能性がある。彼女はそう言っていた
記憶を手繰る。自分のこと。家族のこと。これまでの経歴。全てをはっきりと思い出せる
大丈夫だ、何の欠落もない

それを自覚しながら、会話に耳を戻す
治療するにも何をするにも、まずは俺が感じている痛みを止めないといけない
そのために、彼女たちは俺に[赤彼岸]を服用させた
349 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 16:04:42.20 ID:0TknjQHp0
既に前述した通り、[赤彼岸]の花には薬効成分が含まれている
しかしそれは花を適切な手段で煎じて、薄めてから飲むことで発揮されるものだ
逆に花を乾燥させ、強い香りを発散させるようにすると、[赤彼岸]の花は麻薬になる
今の俺はそれを服用することで、痛みなどのあらゆる感覚が鈍い状態にあるのだという
おそらくこの考えが纏まっていない霞がかった頭も、[赤彼岸]によるものだろう

僧侶は言った。俺の右肩に燻る毒は、最低でも一週間は継続される
半日程度経てば[麻痺毒]が中和され動くことは出来るはずだが、[消耗毒]の深度が非常に高いために、[赤彼岸]は継続して服用し続ける必要がある
それでも構わない。そもそも、死んでいてもおかしくは無かったのだ
生きているだけで僥倖だ。加えて、半日経てば動くことは出来るのだから
350 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 16:15:01.41 ID:0TknjQHp0
魔法使いが戻ってくる
両手には[赤彼岸]を抱きかかえていた
俺のために採ってきてくれたらしい。本当にありがたいことだ

魔法使いが俺を心配そうに見つめている
僧侶が少しだけ笑みを浮かべて、それでもこれだけ動けるなら大丈夫だと言っていた
俺もそうだと思う。この程度なら問題ない
それから魔法使いを元気づけるように、僧侶が色々と魔法使いに声をかけてくれる
魔法使いはこう見えて繊細だからな。こういう風に、気を遣ってくれる娘はありがたい

魔法使いがついぞ耐えきれないと言ったように、一つの提案を口にした
つまり、本当に一度街に戻らないか、ということ
俺の怪我もしっかりと見てもらわないといけないし、消耗品もそろそろ限界だ
これ以上潜るのは無理がありすぎる

その提案に対して、僧侶が笑いながらも、どこか困ったようにそれを否定する
その瞳が俺に助けを求めている

なんでそんな眼をするんだろう
351 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 16:15:51.57 ID:0TknjQHp0
 


俺は、それも良いな、と口にした


 
352 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 16:16:46.44 ID:0TknjQHp0
僧侶の口元から、笑みが凍りつく
その瞳孔が、まるで絶望したかのように開いていく
なんでそんな顔をするんだろう
その理由を、俺は今も分かっていない
353 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 16:20:23.36 ID:0TknjQHp0
一昨日の話はここまで
昨日と今日については殆ど何も無かったから、少し休んでから改めて話してしまおう

そんな訳で、今朝段階での俺達のステータスを晒しておく


俺(戦士)
適性:戦士
年齢:21
性別:男
練度:LV6
技能:[剣技Lv3][かばうLv1][感知Lv1][自然治癒Lv1]
装備:[ゴブリンの石斧][鋼のつるぎ(壊)-1][古ぼけたツルハシ-1][鉄の鎧(壊)-1]
持物:[ヒーリングポーション]*2,[安物の砥石]*1,[松明]*2,[安物のナイフ]*2,[旧式カンテラ]
持物:[瑞々しい赤彼岸の葉(34日)]*10,[寝具],[調理油],[調味料],[食器と携帯鍋]

魔法使い
適性:魔法使い
年齢:17
性別:女
練度:LV6
技能:[炎魔法Lv4][詠唱Lv2]
装備:[樫の杖][魔女のマント][とんがり帽子]
魔法:[Lv1:灯る指先][Lv2:炎の矢][Lv3:夕焼けを熾す][Lv4:赤き刃]
持物:[魔法の触媒(火/下級)]*7,[ヒーリングポーション]*2,[ブランド物のナイフ],[創成のクリスタル(青)],[寝具]

僧侶
適性:僧侶
年齢:14
性別:女
練度:LV5
技能:[光魔法Lv3][薬師Lv1][罠師Lv1]
装備:[鋼の槌][修道服+1]
魔法:[Lv1:癒やしの滴][Lv2:明ける知識][Lv3:祓の水]
持物:[聖典(下級)],[ヒーリングポーション]*2,[瑞々しい毒消草(11日)]*8,[うさぎのぬいぐるみ],[ロープ(4m)-1],[寝具]
354 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 16:30:45.29 ID:0TknjQHp0
>>282-285 >>288-291
色々と考えてくれてありがとう
諸々を考えた上で、今回は[自然治癒]の技能を取得した。大きな怪我を受けたので、それを早く回復させたかったのもある
次のレベルアップの際に[剣技]技能を上げる予定だ。まあ、次のレベルアップで出現する新しい技能次第だがね

>>286
どうだろうな……盗賊ギルドは黒い噂が流れて絶えない
そもそも盗賊ギルドという存在自体が、ギルド名簿に登録されていないんだ
ただ"そういう集団がある"という情報が少しずつ知れ渡って、盗賊ギルドと呼ばれているに過ぎない
実際に何をしているのか、どれだけの人が居るのか、そういったものが全くの未知なんだよな

>>289
[かばう]技能はレベルが上がるほど、味方に行くはずの攻撃が自分に行くようになるらしい
敵の攻撃がそもそも自分に行くように調節する技能って感じかな
俺たち冒険者の専門用語では、このモンスターの敵意の向きをヘイト値、それを収束させる前衛をヘイト管理って呼んでる

>>292
そういえば記述し忘れていたが、鎧はゴーレムの動きを止めていた時に傷ついたんだ
まだ着用自体に問題はないが、両腕から肩にかけてを保護する手甲が、しっかりとはまらなくなってしまった
だからこそ今オレは鎧を胴にしかつけれてないんだよな
355 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 16:38:50.85 ID:0TknjQHp0
>>293
まあ一点特化で技能を取得すれば、格上相手でも攻撃は普通に通ったりするな
盾の技能はいずれ取得したいところだ。ただ、まだ全然技能選択に出てこないんだよなあ
俺の才能が無いんだろうか

>>306
[毒消草]はこのフロアで採取したぞ
[白彼岸]の部屋にいたあの変異モンスターと遭ったことは最悪の不幸だが、[毒消草]があるフロアで噛まれてまだ良かった
これが一層なんかで遭ったものなら、おそらくどうしようもなかったろうからな

>>318
ギルドは基本的に街にあるぞ。深層にギルドを持ってるのなんて、如何わしい事をしてる連中くらいだろうな
もし何か困ったことがあって避難や救援を要請するなら、街に行ったほうが手っ取り早いと思う

>>322
[泉の精のはなし]だったか。子供の頃に読んだなあ
たしかあれ、実際にあった現象を元にして作られた小話なんだよな
脚色は入ってるだろうけど
356 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 16:43:02.78 ID:0TknjQHp0
>>323
寧ろオークは人間ばっかり襲うぞ
基本的にモンスターと人の仔っていうのは、普通よりも強い子供になりやすいからな
あと、モンスターの美的感覚的にも、人間の女を美しく思うものらしい
特に人型のモンスターは、オークに限らず人間の女を襲ったりすることは多い
嫌な話だが

>>325
この周辺に残念ながら安全域は無さそうだ
俺は一度街に戻って、回復してからもう一度出直したほうが良いと思うんだが
ただ、どうも僧侶の様子がおかしいからな……

>>326
もしあそこが[1F-ジャイアントワームの大穴]なら、変に突っ込んで魔術師ギルドにイチャモンつけられるのも嫌だからな
それに実際、あそこをどうにかする手段がな
357 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/22(木) 16:46:06.23 ID:0TknjQHp0
んん、また僧侶が泣き出した
一昨日俺が目を覚ましてから、こいつは本当によく泣くようになった
あんまり感情を表に出さない娘だったんだがな

とりあえずもう一度事情を聞いてくる
この二日間、彼女に何を聞いても、はっきりとした回答を得られない
俺には話せない事なんだという
一緒にここまで冒険してきて、それなりに信頼を積み上げたつもりだったんだが、そんなに関わりを拒否されるのは少し悲しい

そんな訳でまたあとで
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 16:52:21.97 ID:LV/zQjJko
騎士さんもしかして街で見たことをお忘れではないか
君の端末でここを遡れるのならはじめの方を読んでくれ
なんの用意もなく街に戻ってはいけないし戻れるわけがない
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 16:56:34.43 ID:APYeYuao0
さっきこのスレ見つけて一気読みした俺が教えてやるとしよう
お前の街はゴブリンを始めとしたモンスター軍に襲われて壊滅状態だから!
直接見たのはお前だけでその時魔法使いは意識失ってたから
街がモンスターに襲われたことを知ってるのは直接見たお前とお前から話を聞いた僧侶だけ
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 17:00:21.70 ID:LV/zQjJko
>>358
ごめん戦士だよ間違えた失礼を詫びたい
すまなかった
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 17:39:31.03 ID:NCl9SnbhO
肝心な所の記憶を喪失してるのは辛いな
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 17:47:23.05 ID:L2e9ODnA0
>>318のレスした者っす。まず現状やけど戦士君たちの街はゴブリンたちに襲われたから、街から逃げて迷宮に潜っとるんよ。で、この質問の意味やけど、ギルドがある街が襲われたんなら、君らと同じように深層グループに救助を求めにいく人もいるんやないかなと。あと、ワームのところにも街の誰かが避難しに来る可能性があるんやないかなって意味でした
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 19:38:07.81 ID:oKsmhOzDO
ここで1度戻るのも手ではあるのよね
どういう状況なのか魔法使いに判らせるって意味でもあるし
何より2Fに知恵のあるモンスターがいる事からとっくに侵攻も終わって残骸しか残ってない気もするし


それよりも麻薬を手に入れたのはでかい
恐怖心も無くなるし痛みも薄れるから格上と戦闘をする上でこれ程便利なドーピング剤はない
思考がまとまらないのが問題だけど、その点は他の草と組み合わせるなりしてカバーしたいな
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 21:40:51.78 ID:5nU20U9i0
ねぇ 君たちネタ潰しって知ってる?
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/22(木) 21:48:36.55 ID:l/Zp0SGno
>>364
言ってやるなよ、傍から見てたら痛いやつでしかないけどそいつらなりに助けようと必死なんだろ
思考が物理で殴りたいだけの脳筋だからこんなやり方しか思いつかないだけで
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/22(木) 23:13:56.43 ID:oBjF4epD0
僧侶の精神状態が心配だな
精神的にぼっち状態な上に一番年下だもんな
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 07:37:46.52 ID:X0SiXwSZo
>>364
ねぇ 君頭悪いってよく言われない?
作者嘗め過ぎ
この形式を取った時点でこんな突っ込み入るの想定してない訳無いんだよなぁ
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 08:47:08.04 ID:49EnJH27O
とりあえず本気で剣技取れって思ってる奴は今までで1度でも剣技が役に立ったのかを考えてないのは良く分かる
あとレベリングとか悠長でマヌケな事言ってる雑魚はドラクエの世界で引きこもっておいて欲しい
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 08:48:22.13 ID:zHsZ4DtA0
>>367
まあまあ落ちつきなよ。皆は相談っていう形だから色々アイデアを言った。でもそれがネタ潰しになるんじゃないかって不安な人が出たから注意した。直後のレスに毒があったからちょい嫌な感じに捉えたかもしれんけど皆悪意はないんだし喧嘩腰になることもないでしょ
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 11:56:18.13 ID:49EnJH27O
>>369
ズレてるぞ、>>364>>358-359>>362の事だろ

相談とかアイデアとか関係ない
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 12:39:40.92 ID:jpFCp0eBO
昨日の最後の書き込みから僧侶も限界だったっぽいけど、今頃は街の現状について話して三人での状況の共有をできてると良いんだが
その上でこのスレを遡って見れば、僧侶の言ってる事が妄想じゃ無いんだと気付いてくれる……と願ってる
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 16:27:23.42 ID:IoWImwg7o
この形式とってる以上その突っ込みが入るのは折り込み済みだろう
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 16:46:10.42 ID:49EnJH27O
一部ものすごく臭いのが居るけどよくよく見返すと確かにネタ潰しって程でもないな

ただこういう感情移入型というか没入型の奴は時々現実に引き戻さないと「なんで俺達がちゃんと説明してるのに>>1は戦士さんに危ない事をさせるんだ!>>1は戦士さんが死んでもいいのか!!」とか言い始めるからなぁ
何度困らされた事か
374 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/23(金) 17:23:40.76 ID:vEy/jTWu0
僧侶が居なくなった
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 17:25:57.20 ID:jpFCp0eBO
昨日の書き込みから丸一日か……とても戦闘ができるような状態じゃなかったし無事もなければ良いんだが


って思ったそばから僧侶ちゃん失踪!?なして!?
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 17:28:59.32 ID:49EnJH27O
あー、まぁうん
やばい、回復薬が居なくなるとか進退極まる
377 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/23(金) 17:29:59.84 ID:vEy/jTWu0
事の顛末について話す必要があるだろう
俺たちは取り返しのない事をして、彼女にあまりにも酷いことを言ってしまったから
そして、この事態は俺が引き起こしてしまったことだからだ

昨日のあの後、俺たちは僧侶に何故泣くのかを聞いた
しかし彼女は答えない
俺に対してじゃなく、魔法使いに対しても、その心の裡を表そうとはしなかった
全てを知った今思えば当然だと思う
おそらく彼女は、全てを話した時俺たちが真実に絶えきれないと思ったんだろう
彼女は全てを自分の中で押し込めて解決しようとしていたのだろう
付き合いの少ない俺でも、それくらいはわかる
378 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/23(金) 17:42:07.75 ID:vEy/jTWu0
俺があの一言を発してから、パーティの雰囲気は格段に悪くなった
僧侶は塞ぎ込み、何を話そうともしない
魔法使いはその原因が俺にあると思い、僧侶を気遣いながら俺を糾弾している
俺はもう全てがわからない。彼女は何も話さないし、そして塞ぎ込む彼女にどう声をかけていいか、俺にはわからなかった
もし俺がもっと真っ当な人間であったなら、俺は彼女に適切な言葉を発することができたんだろうか
人付き合いの少なさを、心底後悔した

そして、これからの事を話す
俺たちは早く街に戻りたいと言った。勇者が居らず、リソースの少ない今、街に戻って一度立て直すべきだ
僧侶は断固としてそれを拒否した
戻ってはいけない。このまま進まなくてはいけない
何故、という問いを何度したかも判らない。ただ一度たりとも、彼女はその理由を話そうとはしなかった

その日の夜は、このパーティで最も冷たい夜になった
笑顔も、口数もなかった
ただ啜り泣く声だけが、微かに響いているだけだった
379 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/23(金) 17:42:39.03 ID:vEy/jTWu0
そしてその夜が、僧侶の声を聞いた最後の夜になった
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 18:03:31.59 ID:wEydZ1cj0
ここは何もコメントしないのが吉と見た
381 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/23(金) 18:05:41.29 ID:vEy/jTWu0
朝起きた時、俺たちの枕元には一枚の書き置きが残されていた
魔法使いには、これまで妹のように扱ってくれた事への感謝。家族のように振る舞ってくれたのが嬉しかったこと。魔法使いの悲しむ顔が見たくないこと。だからもうここで道を分とうということ
俺には、かつて俺を冷たくあしらったことへの謝罪。義兄に見捨てられる事が怖かったこと。本当はそれなりに好意を持ってくれていたこと。モンスターから命を賭して庇ってくれたのが嬉しかったこと
それから決意。余所者の自分を受け入れてくれた、街の人間が好きだったこと。初めて家族という温かみに触れたこと。それらを取り戻すために、自分は深層まで行くということ
誰かに助けを求めるのではなく、自分の幸せを奪った敵を討つ為に

正直その時の俺は、その文章を半分以上も理解できていなかった
単身で深層に向かおうとする決意の元、彼女の過去の事も。そして今現在、彼女が何に追い詰められているのかも
最終行にはこんな事が書かれていた
今から戦闘を避けて三層の[3F-竜の墓]に行けば、兄の知り合いの勇者が拠点を構えているはずだ
気の難しい人だが、自分の名前を出せば遠方の街まで送り届けてくれるはず。対価に求められるものは、事前に支払っておく

街に戻らずにそうしてくれれば、安全にここを脱出できる

その文章に、彼女自身の安否は含まれていなかった
無数の疑問が頭を過った。だが、一つだけ分かっていることがある
彼女は死ぬ気だ
382 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/23(金) 18:10:48.97 ID:vEy/jTWu0
俺たちはどうするべきなんだろうか
僧侶のことを追いかけるべきか?
それとも彼女を見捨てて、遠方の街まで逃げるべきなんだろうか
どちらが正しい選択なんだろう
383 : ◆ALICE6.PAk [sage!saga!red_res]:2018/03/23(金) 18:17:11.37 ID:vEy/jTWu0
 
ここが運命の選択だ

誰か 正しい答えを教えてくれ
 
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 18:21:03.83 ID:k3HCbRtPo
女の子を見捨てる選択肢なんてあるか!今すぐ追え!
対価を払うってことは兄の知り合いとやらにまず向かってるはず。そこに急げ
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 18:22:19.80 ID:kkMESvTqO
どう考えても追いかけるべき。ただまだ完調ではないんだよな?
行くにしても茨の道だが、どうすれば安全に行けるか?

一つ言えるのは、体力回復は待てないであろうこと。すぐに行けば捕まえられる、かもしれない。
だが、どうすればリスクを減らせるか?そこは考えさせてくれ。
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 18:22:48.91 ID:IoWImwg7o
たとえ最終的に間違ってたとしても僧侶を見捨てるなんて選択肢はない
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 18:23:57.57 ID:jdN0Y9i1o
>>383
正しいかは知らん。

追いかけろ。
二人で回復役なしでなにが出来る?
お前は幾度も助けてもらっただろ?
決死の女の子を見捨ててのうのうと生きていけるのか?
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 18:26:41.73 ID:49EnJH27O
知るかバカ、お前の童貞力に聞け、一番素直な反応してくれるわ
童貞を信じろ


まぁどういう選択するにしても3Fのパーティには会っておきたいな
というか3Fにパーティ居るなら先に言えよ僧侶・・・
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 18:30:59.02 ID:AmDyV1+dO
どっちが正しいかじゃなく、どっちが自分らしいかだろ
俺なら助けに行くね、それで結果的に死んでも後悔しながら生きるよりはマシだと思うし

そもそもここで仲間を見捨てるようならお前は逃げた勇者と一緒だよ
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 18:31:47.81 ID:FZxgQMN/0
追いかけるしかない
童貞は可愛いものに弱いからな
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 18:34:02.92 ID:jpFCp0eBO
そうか、街の被害を伝えた時から僧侶ちゃんの様子がおかしいとは言ってたけどそういう事だったんか
復讐心からの深層行き選択だったんなら、他の勇者パーティーの存在を打ち明けなかったのも色んな葛藤の末だったんだろうな

書き方からして少なくとも戦士の記憶は戻ったと考えて良いんだよな?魔法使いは現状を認識してるのかな?
認識してないなら、打ち明けて直ぐにでも追いかけるべきだと思う
聡い子だって言ってもまだ14歳の子どもなんだ、一人で孤独に死にに行くのを見過ごすなんて、あって良い筈がないよ
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 18:34:33.44 ID:YtHfALrzO
対価がR18だから言えなかったんだろ

聞いてる暇があったらさっさと追え
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 18:47:03.41 ID:AmDyV1+dO
とりあえず魔法使いとどうするか話し合え
戦士単体で追いかけても無駄死にするだけだ

しかし回復役が居ないと厳しいな、僧侶が居てくれると僧侶を追いかけるのが多少は楽になるのに
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 20:00:36.99 ID:wEydZ1cj0
命が懸かってるとは言え
パーティメンバーを見殺しにするかで悩むなんて、
それでもお前は仲間をかばう戦士だろ?
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 20:21:11.46 ID:AmDyV1+dO
戦士だって命は惜しいだろ
ラノベの主人公じゃあるまいし普通なら無敵スキルや幸運なんて望めるわけもない

まあ、ここの戦士はラノベモドキの主人公だけどな
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 21:15:56.09 ID:LqmsaOJdo
見るに堪えないなろう系よりはマシな方よ
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 22:09:11.40 ID:YIylz01+0
とりあえず竜の墓を目指すべきだな
もしかしたら僧侶に追いつけるかもしれんし
追いつけなくて僧侶を助けに行くつもりでもその勇者に助けてもらえるかもしれない
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 22:22:30.80 ID:Gyg4xWsno
僧侶を追いかけると言っても、どこに行ったのか分からんからなあ
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/24(土) 00:52:29.07 ID:TzuYqhixo
いや、分かるぞ
『対価に求められるものは、事前に支払っておく』
つまり僧侶も竜の墓に行ったんだろう
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/24(土) 02:25:23.42 ID:ePi6gkRXO
行くと言っても低レベル者が簡単に行けるならこんな死に物狂いで彷徨っていないだろ
ウィザードリィとかやれば分かるけど低レベルの僧侶一人で迷宮とか速攻死亡するぞ
多分僧侶もその辺で立ち往生してるだろうから助けに行ってやれ
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/24(土) 17:41:12.15 ID:4pj6Sb/CO
今ごろ戦士は僧侶ちゃんに追いつけただろうか、広い迷宮で行き違ったりしてないと良いんだけども……
戦士は絶不調だし、僧侶は感知技能なしで戦闘技能もなさそうだし、数は減ってるとしても二層はオークの巣窟だし
三層にいる勇者の知り合いとやらも他の人の意見聞く限りまともじゃ無さそうだし不安ばかりだな
402 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/24(土) 19:15:40.37 ID:c4WJatbp0
やあ、おはよう
今二層の[2F-豚の山岳]でハイディングしてるところだ
目的はただひとつ。僧侶に追いつくこと
ひとまずの目標は[3F-竜の墓]
そこは61代目の[勇者]適性持ち、通称"天秤"の勇者が居る
403 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/24(土) 19:38:35.84 ID:c4WJatbp0
まずは現時点の俺たちのステータスを整理しておこう

俺(戦士)
適性:戦士
年齢:21
性別:男
練度:LV7
技能:[剣技Lv3][かばうLv1][感知Lv1][自然治癒Lv1][+]/???
装備:[オークの鉄槍+1],[ゴブリンの石斧],[鋼の剣(壊)-1],[古ぼけたツルハシ-1],[鉄の鎧-1]
持物:[ヒーリングポーション]*2,[安物の砥石]*1,[松明]*2,[安物のナイフ]*2,[旧式カンテラ]
持物:[瑞々しい赤彼岸の葉(32日)]*8,[寝具],[調理油],[調味料],[食器と携帯鍋]

魔法使い
適性:魔法使い
年齢:17
性別:女
練度:LV6
技能:[炎魔法Lv4][詠唱Lv2]
装備:[樫の杖],[魔女のマント],[とんがり帽子]
魔法:[Lv1:灯る指先][Lv2:炎の矢][Lv3:夕焼けを熾す][Lv4:赤き刃]
持物:[魔法の触媒(火/下級)]*6,[ヒーリングポーション]*2,[ブランド物のナイフ],[創成のクリスタル(青)],[寝具]

盗賊
適性:???
年齢:17
性別:女
練度:???
技能:???
装備:[投擲用の短剣]*2,[盗賊の軽装]
持物:[ヘアピン]*8,[毒粘液の瓶(残12)],[毒消草の粉末]*2
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/24(土) 19:47:47.48 ID:ILdDweI40
無事で安心したよ、でも……

何か増えてるぅー!?
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/24(土) 19:48:40.10 ID:feIRQ3OFo
誰やねん

こんな危険な場所に女一人とか変だな
地上から逃げてきたか仲間が全滅したのか?
406 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/24(土) 19:49:37.48 ID:c4WJatbp0
さて、昨日から今日にかけての話だ

昨日の夜、俺は魔法使いにこのスレのログを見せた
彼女はあった出来事に相当なショックを覚えているようだったが、以前のように取り乱したりはしなかった
その瞳には驚愕や憤怒、哀しみと焦りの感情が多分に含まれていたが、彼女はそれを意志力で抑え込んでいるようだった
僧侶のことがあったからこそ、ここで取り乱すわけにはいかなかったんだろう

俺が僧侶を追いかけようと言うと、彼女はまるでその言葉を待ち望んでいたかのように、しっかりと深く頷いていた
まあ同然だよな
僧侶が魔法使いに懐いていたように、魔法使いもまた僧侶を大事にしていた
まるで本当の姉妹のように
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/24(土) 19:53:52.98 ID:hGtDuiWZO
ステータスにHPやMP、怪我の状態や疲労度とか欲しいところ
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/24(土) 19:59:49.54 ID:1+sjLREEo
あれ、オークの持ってた武器って鉄槍だっけ
小型の斧じゃなかった?
409 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/24(土) 20:04:10.26 ID:c4WJatbp0
さて僧侶を追いかけることは確定したわけだが、問題はどうやって追いかけるかだな
とにかく早急に追いかける必要がある
いくら一人で潜伏しながらの移動がし易いとはいえ、僧侶はこのパーティでも一番戦闘力が無かった娘だ
敵に見つかれば、助かる確率は限りなく低い
正直な所三層の[3F-竜の墓]に辿り着くのかすら、かなりの幸運が必要になるだろう

可能な限り早く追いつく必要がある。それも出来ればこの層に居る内に
であれば重要なのは、何処から降りるかだ
既に皆ある程度把握しているだろうが、このダンジョンは上層にある幾つかの[迷宮区]が集合して下層の[中央区]に接続されている
もし僧侶が下層に降りるのなら、第三層の[中央区]で彼女を待っていれば良い
しかし問題は、二層から三層に続く接続部が、総じて敵の本拠地に存在していること
具体的には[2F-蛇の洞窟]と[2F-豚の山岳]だ
どちらも危険度の高いモンスターである[オーク(LV9)]と[キラースネーク(Lv8)]の拠点である
あとの一つである[2F-盗賊の根城]にも下層への入り口があるのは確定しているが、そもそも奴らの拠点が判らない上に管理しているのは悪名高い盗賊ギルドだ
まあ協力を望むのは非現実的だろう
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/24(土) 20:04:58.87 ID:ILdDweI40
たぶん別個体から奪ったんだろうね
戦士がどんどん蛮族になってる気がする……
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/24(土) 20:13:53.26 ID:4pj6Sb/CO
まさかの新メンバー、しかも盗賊とは……待ち望んでた人材だけど参入のきっかけが僧侶の失踪なのが辛い
新しく鉄槍入手してるって事はまたオークを仕留めたって事か……僧侶は敵と遭遇してないと良いんだが

盗賊のステータスが不明なのは戦士の取得可能技能が???なのと合わせて考えると僧侶不在でステータス確認ができてないからかな?

412 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/24(土) 20:29:55.92 ID:c4WJatbp0
ここから近いのは[2F-豚の山岳]だろう
[オーク]の所持技能は[繁殖Lv3][剣技Lv2][嗅覚Lv2][自然治癒Lv1][免疫Lv1]
[感知]やそれに準ずるスキルはないので、特別香りの強いものさえ身に着けていなければハイディングして進める
少なくとも[感知]技能に優れる[キラースネーク]の群れを進むよりかは、可能性がある筈
一人でダンジョンを進むなら尚更だ

勿論確証はない。だが、その場でじっとしていても始まらない
とにかく[2F-豚の山岳]に侵入を試みる。その路線で二人の意見は一致した
暗闇の中、足音と壁の感触、そして以前の記憶だけを頼りに道を戻っていく
[灯る指先]は使わない。傷の治癒が困難な今、敵と遭遇すれば消耗は避けられない
暗闇の中、土草を踏む音だけが響いている
会話は無い。お互いに、聞こえる音に集中している

その時、不意に遠くで声が聞こえた
女の子の鋭い叫び声
思わず魔法使いの方を振り向く。彼女もまた驚いた顔をしていた
僧侶の声かは判らない。彼女の落ち着いた声色とは、少し違った気もした
だが或いは
そう思って、早足で来た道を戻る
声の元は間違いなく[2F-豚の山岳]
オークの本拠地だ
413 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/24(土) 20:51:50.99 ID:c4WJatbp0
暗闇の中を探り進んでいくと、やがて灯りが見えてくる
鉄の扉。橙色の灯りと肥溜めのような異臭が漏れ出ている
以前来た時は三人だったか。思わずそんな事を考える
だが感傷に浸っている時間はない
扉に耳を近づける。喉の奥を鳴らしているような、独特の話し声
僅かに声色が違う。一匹、二匹、三匹……聞こえるのはそれだけか
眼を閉じて集中する。その奥の存在を感知する
おそらくオーク。やはり三匹居る

魔法使いの方を振り向いて、ジェスチャーで扉に誘導する
彼女が扉に向かって慎重に耳を近づける
彼女なら、聞き取れる筈

魔法使いの艷やかな唇から、声が漏れ出ている
奥に聞こえないように囁かに
聞こえてくる声を翻訳しているからか、それは断片的に発せられている
"侵入者"、"二匹"、"雌"、"片方は逃した"、"上玉"、"弄ぶ"、"お人形"、"リーダーが独占"、"ズルい"、"もう一匹も"...

それを聞いている内に、二つの足音が離れていく。どうやら話していた三匹の内、二匹がどこかに消えたらしい
残った一匹がぶつくさと魔物語で何かを喋りながら、扉へと近づいてくる
好機だ。魔法使いと目を合わせ、無言の意思疎通。扉から距離を取ってもらう
俺は扉の影で、斧を掲げて待機

鍵が開いた後、鉄の扉がゆっくりと音を立てて開いていく
オーク。ぶつくさと文句を言っている。仕草は鈍く、どうにもやる気が無さそうに見える
気の進まない事でも頼まれたのかもしれない
その動作に昔のこき使われていた自分を想起し、思わず名も知れぬオークに同情してしまう
すまないな
そう思いながら、思い切り斧を振りかぶり、その首を狙う

オークがゆっくりとこちらを振り向き、目を見開いた
口が開き始め、何かを叫ぶ予兆
ビ……
一音目だけが発されかけ、次の瞬間、オークの首が音を立てて吹き飛んだ
首のない身体が取り残され、一瞬の間を置いて、赤褐色の液体が飛び散る
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 08:06:59.15 ID:q2yg+ZwfO
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 17:37:53.96 ID:ehSqCcqFO
ここへの書き込みは迷宮内の探索の間の僅かな空き時間にって事だろうから仕方ないけど
便りがないのが元気の知らせ、とはいかないのが辛いところだな

しかし僧侶がいないと次に取れる技能の確認も覚束ないとは……
パーティーにおける職業僧侶の重要度が高いが故に未成年の僧侶ちゃんにお鉢が回って来たと考えると、中々に界隈の闇は深そうだな
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/25(日) 20:07:38.92 ID:V5vqZBi/O
ノーマル待機
417 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/25(日) 21:14:46.23 ID:XUF5iAMS0
済まない、ちょっと端末の魔力が切れていた
ここ最近どうにも端末の魔力の持ちが悪い気がする

まあゆっくりと話していこう
418 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/25(日) 21:31:51.08 ID:XUF5iAMS0
オークの首を切り落とした俺達は、死体を外に投げ捨て、速やかに室内に侵入した
扉を後手に閉じる

肥溜めの匂いが充満する室内は、しかし一方で意外なほど文化的に纏まっていた
壁や床には木の板が一面に貼り付けられ、一種のフロアリングになっている
部屋と部屋は扉で仕切られ、簡易的な装飾すら為されている
玄関口と思わしきここすら木で出来た簡素な家具が備え付けられている

とはいえ綺麗とは言い難い。床は所々剥がれかかっているし、家具や扉も雑に扱われて消耗が激しい
丁寧に作られた内装と、しかし一方で雑に扱われるそれら
アンバランスな調和
まるで内装を作った存在と、今ここに住んでいる彼らとが別の存在であるかのようだ

そう考えると、そもそもこの場所もおかしい
俺は[オーク]の本拠地という事でここを[2F-豚の山岳]だと想定した
だがそもそも[豚の山岳]は、その名の通り山岳地形に存在する区画だ
勿論、地下に山岳そのものが在るわけではない。山岳地形型の迷宮とは言うのはつまり、山岳に見える程大規模に開けた空間のことだ
だが、ここはどうだろう
狭い迷宮の中に存在する、密閉された個室
勿論、ここがあtだ山岳地名に建てられた施設の一角の可能性はある。だがしかし、それを踏まえても違和感はある
そもそも[オーク]はどこだろう
あれだけ繁殖力に長けたあのモンスターが、何故ここに来てこれほど少ないのだ?

何か見落としている気がする
大事なことを
そう頭の片隅で考えながら、次の部屋を覗き、進んでいく
歩く度に木の板が軋み、目立つ音が鳴る
だがその音を駆けつけて奴らが来る様子も無い
やはり、何かがおかしい
419 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/25(日) 23:44:25.51 ID:XUF5iAMS0
複雑に分岐するフロアリングの部屋を抜けていく
やはり所々に、家具が制作された意図と実際の使用法の乖離が見られる
例えばダイニング
椅子は放り散らかされ、机は傷だらけになり、純白だったろうクロスには垢や糞が擦り付けられ床に捨てられている
例えばキッチン
パン焼き窯にはゴミが詰め込まれ、エール樽は禄に発酵されないまま中身をぶちまけられている。大豆の独特な香りが、周囲に立ち込めている
例えばバスルーム
湧き出るべき水種は枯れ、水を湧かす"水蓮花"は毟り取られている。並々と溜まった水は粘ついた茶色に染まり、一層の汚臭を漂わせている

一つ一つの文化様相は、人間のそれに極めてよく似ている
或いはそれらが正常に働いていた頃ならば、そっくりとすら言えるかもしれない
だがいま現在、その影形はなくなってしまっている
壊れた文化の隙間に入り込んでいるのは、[オーク]の汚れた生活様式そのもの
420 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/26(月) 00:03:14.68 ID:3wjxxqtV0
不意に、ある扉が開いたままであることに気付く
肉質のある音が、断続的に聞こえている
奥からはオークの醜悪さを凝縮したかのような、粘つく汚臭が漂ってくる
微かにオークの話し声がする。楽しそうに、しかしどこか苦しげに息を荒げて
魔法使いに周囲を見晴らせたまま、扉の隙間から奥を覗く

奴らが居る。一匹ではなく、数匹。こちらに背を向けて、目の前のモノに何かをしている
目の前には彼らとは別のモノがある

それに気付いた時、思わず吐き気がした
魔法使いが俺の異変に気づき、近づいて俺を気遣う
何があったのかを聞きながら、奥の部屋を覗こうとする
ダメだ。彼女には見せてはいけない。まだ網膜に残る醜悪な光景を振り払いながら、彼女を止める
なんにもなかった
そう言うことしか出来ない

そうだ。当然ありえる光景だ
彼女たちは既に冒険家ではなかった。人間ですらなかった
オークを主人と認識し、与えられる悦びを享受するだけの、哀れな家畜でしか無かった
憤りを感じる。だが、俺達にはどうすることも出来ない
もし仮にこのオーク達を全て滅してすら、彼女たちを救うことはできないだろう
その瞳には既に、人間としての意志も、冒険者としての誇りも無かったから

むしろ俺たちは喜ぶべきなのだ
彼女たちの中に、見知った顔が居なかったことを
僧侶が居なかったことを
もしここまでのどこかで選択を誤っていれば、それはきっと容易に起こり得ることだったのだから

未だ不審がる彼女の手を取って、別の部屋へと進んでいく
吐き気を堪える
そうだ、どうしようもなかったんだ

決して俺が見捨てたわけじゃないんだ
421 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/26(月) 00:05:14.43 ID:3wjxxqtV0
俺は既に、ここが本当は何処なのかを判り始めていた
だがそれを認めたくはなかった
そこの呼び名。これまで見た光景。そして、そこから推測できること
もしそれらが全て正しければ、なんて救いようのないことだろう
そしてもう、どうしようもないことだ
422 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 00:19:45.86 ID:qDZwSOvD0
人間牧場かよ……
423 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/26(月) 00:30:56.83 ID:3wjxxqtV0
吐き気を堪えながら、汚臭の中を進む
魔法使いが何かを言っている。しかし、頭の片隅にしか残らない
早くここを出たい。その時の俺は、そればかりを考えていた

再び、鋭い少女の悲鳴が聞こえる
今度はちゃんと方向までわかった。近い
魔法使いを振り向くこともなく、先を急ぐ
木の板が軋み、音を立てる
背面から呼び止める音
しかし止まらない
424 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 08:26:56.62 ID:ETqzCffsO
425 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/26(月) 21:05:55.29 ID:dmc9OJ3oO
人間牧場かな?元々は人間側の施設だったって感じだけども、それにしては文明の残滓がまだまだ残ってる風でもあるし
これがもし盗賊の根城(跡地)だったりしたら、救いがなさ過ぎるというかなんというか
426 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/27(火) 10:25:45.11 ID:Jxgjg4QXO
ゴブリンやオークからすれば人間なんて奴隷や家畜以下でしか無いんだから、侵略されたらヤバイのは当然
427 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/27(火) 20:27:30.40 ID:M5AgIgyY0
そこは施設の一角にあった
部屋を仕切る扉は、他の扉よりも装飾がされている
扉の表面にかけられているネームタグには、人類語で「備蓄室」と彫られている
更にその下に、インクを用いて雑な魔物語が書かれている。魔法使いに聞くと、どうやら「リーダー専用」と書かれているらしい

ゆっくりとドアノブを回し、ドアを押す。幸い、音はそこまでしなかった
開いた隙間から、こっそりと中を見る

そこはとても開けた空間だった。床、壁、天井ともに、他の部屋とは違い鉄の板が貼り付けられている
部屋の所々には木で出来た棚が置かれている。その殆どは横に向けて壊されたり倒されたりしており、棚としての機能を果たしていない
そしてそれらの棚に凭れ掛かったり、或いは床に寝たりしているのは女性だ
何人もの女性が、服も着ないままに放り投げられている。みな生気を失った顔をしており、ぐったりと倒れ込んだままだ。何人かは息すらしていない
よくよく床を見れば、引き千切られた布切れがいくつも転がっていた

それらの光景は、先ほどの部屋とも良く似ていた。違うのは年齢帯が幼い娘が多いということ、顔立ちが皆整っていること、そして全員が腹部の下に小さなタトゥーを彫っている事
タトゥーは薔薇を模していた。綺麗な薔薇とそれに纏わりつく茨が、精細に描かれている

そんな裸の娘の奥に、そいつは居た
普通のオークよりも一回り大きい身体。筋肉が膨らんだ上半身と、まるで赤熱しているかのように赤い皮膚
オークの上位種。何度か目撃証言もあった。予想されるスキルは[槍技Lv3][繁殖Lv3][感知Lv2][嗅覚Lv2][自然治癒Lv1][免疫Lv1]
Lv12相当、そのモンスターの名を[ブラッドオーク]という
428 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/27(火) 21:09:09.11 ID:9IW5/3tAo
感知2あったら、気付かれてるんちゃうんか?
429 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/27(火) 22:07:28.14 ID:bsIfQMOJO
うわぁ、このタイミングで上位種とかマジか
でも完全な臨戦態勢での遭遇じゃなかっただけマシとも言えるかね
430 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/29(木) 05:48:03.08 ID:0vAGdbpk0
赤いオークの向かい側には、一人の少女が居た
年齢は魔法使いと同じくらいだろうか。身長は低く、身体の起伏はなだらかだ
服は破られ、ショートパンツの奥の右太腿には黒い薔薇のタトゥーが見え隠れしている
両手首は背中の後ろで括られ、両足もまた紐で固定されている。そんな状態でありながら、幼さの残る双眸はまだ意志を宿し、目の前のモンスターを睨みつけていた

そんな様子を見て、赤いオークが喉の奥で笑う
鼻に詰まったような声で、オークが何かを呟いている。魔物語。瞬時に魔法使いが訳してくれる
"さあ、残りはオマエさんだけだぜ"
"哀れな「イモウト」さんよ"
その単語だけは、片言の人類語で嘲笑う。おそらく、他の人間が使っていた言葉を真似たのだろう
思わず、頭に血が駆け上る。その言葉で俺が想像する人物と、オークが口にした人物は全く異なるのだろうけれど
オークはぐるりと周囲を見渡して、それからまた言葉を続ける
"頭らしいあの男もどっかに行っちまったし"
"お前みたいなガキを残して、薄情な奴だぜ"
"それとも俺のためにわざわざ残していってくれたのかな"
そう言って、さも自分が言った冗談が面白いかのようにぐつぐつと笑う
目の前の少女も、言葉はわからずともニュアンスを理解したらしい
自分の兄を馬鹿にするなと、言葉を荒げる
そんな少女の様子にオークは笑いを沈め、それから大きな右手を少女の頭に置いた
"おいおいおい、自分の状況も理解できねえのかよ?"
"訳のわかんねえ言葉で喋るんじゃねえ、俺にそんな目を向けんじゃねえ"
ぐっと少女の髪を握りしめて、オークがそれを無理やり持ち上げる
少女の肢体が、いとも容易く地面から離れた
縛られた手足をなんとか動かして抵抗しようとする少女を、オークが壁に投げつける
鈍く、嫌な音
少女が肺に溜まった息を吐き出し、枯れた悲鳴を上げる。頭部を切ったのか、壁に紅い滴が垂れ落ちる。少女の軽い身体が、地面へと自然落下する
咳き込む少女にオークが近づき、その右脚で少女の顔を踏みつける
"お前らはそうやってただ黙って鳴いてりゃいい"
"泣いて鳴いて、あとは産んで膿むだけだ。簡単だろ"
"お前らは家畜なんだから"
再び、オークが笑う
431 : ◆ALICE6.PAk [saga]:2018/03/29(木) 06:22:51.49 ID:0vAGdbpk0
"さて、じゃあお楽しみを始めるかな"
"その憎たらしい面がどう歪むのか"
"期待してんぜ"
興奮に鼻を鳴らしながら、オークがその場にしゃがみ込む
太い右手が、少女の胸元に触れ、弄る
目の前の敵を睨みつけていた少女の目が、恐怖と絶望に歪み、次いで強く閉じられた
オークはまだ、興奮に何かを口にしている。いつの間にか、魔法使いはそれを訳するのを辞めていた

もう我慢の限界だ

斧を握りしめて、勢いよく扉を開く
魔法使いの静止の声が聞こえる。だが、止めるつもりはない
斧を振りかぶり、無防備な背中を見据える
一撃で切り落とす
今までの鬱憤を込めて、斧を振るう

その瞬間、オークがまるでそれを予見していたかのように振り向き、身体を大きく横にそらした
斧は僅かにオークの右腕に触れただけで、そのまま空を裂く
――避けられた!
渾身の一撃はすぐには止まらず、身体は大きく体制を崩す
不味いと思うと同時に、何故、とも思う
部屋に突入してから斧を振るうまで、反応したとしても、避けるほどの時間はなかった筈

だがそれ以上の思考を働かせるより先に、身体が動いた
無理な体制から無理やり身体を捻り、地面を転がる
その次の瞬間、先程まで俺が居た場所に、銀色の何かが突き抜けていく
それは鋭い音を立てて、そのまま転がる俺の肩先を掠めた
微かな痛み。だが擦り傷でしかない
転がる勢いを、利用して立ち上がる

目の前のオークは、右手に鋭い槍を持っていた
オークは突き出した槍をすぐに手元に戻すと、笑いながら俺を見る
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