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霊能少女「本当の戦いはこれからってやつかな」
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243 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 00:05:18.14 ID:4PN/sstL0
遅いな今日も無しか?
244 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 00:27:33.83 ID:HMKw7qbr0
>>242
こいつ何様のつもりなんだろう?
たぶん
>>36
,
>>58
,
>>60
,
>>81
,
>>96
,
>>125
,
>>157
,
>>165
,
>>180
,
>>203
,
>>215
,
>>236
辺りも同一人物だと思うけどなんかところどころ上から目線でうぜぇな
245 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 00:30:56.57 ID:MlrVfMjvo
その人よりやたらまだかまだかって催促する人の方が問題だろう
確かに慇懃無礼な感じはするが感想自体は作者のモチベにも繋がるし
246 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 00:59:45.19 ID:dUjdO81mO
感想はいいがどっちが主人公って重要かな?
W主人公でええやんって思ってしまった
247 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:27:18.77 ID:b7Qa7IKPo
▢▢▢▢ 十二日目 ▢▢▢▢
女「…よし、出来た」カチャカチャ
女(家の中に置いてあった監視カメラは全部先生が持って帰っちゃったけど…こうやって、庭の植木鉢のところに見えないようにカメラを置いて、録画ボタンを押せば…簡易監視カメラの完成)
女(これで、犯人の顔が分かるはず。まあ…人間だったらの話だけど)
女(あとは…もう一度、買い物に行こう。今度はアレを買わないと)
女(防犯グッズ…これなら非力な私でも、攻撃手段になるはず)
248 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:28:24.53 ID:b7Qa7IKPo
女(何がいいのかな…このスプレー型のは扱いやすそうだしいいかも。あとは…)
女(あ、スタンガンだ。値段はちょっと高いけど…一発当てるだけで相手を行動不能にさせる、か。うーん…)
女(一応買ってみるかな)
女(よし、これで装備は万全。あとは夜が来るのを待つのみ)
女(…そうだ。先生からの返事は来たかな)スッ
女(…変わらず、か)
女(ここまで来たら、一人でやるしかない。私だけで…捕まえてやる)
249 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:29:44.05 ID:b7Qa7IKPo
…………………………………………………………
………………………………………………
『1:10』
女(…来た。昨日の同じ時刻。もし今日も来るなら、大体この前後のはず)
女(昨日は寝ちゃったけど…今日は大丈夫。朝まで起きていられる)
女(準備も万端、玄関先には昨日より多く塩を盛ったし、屋内にもいくつか設置してある)
女(何も恐れるものはない。私ならやれる、自信を持て)
ガタッ
女「」ビクッ
女(も、物音がした?外じゃない、家のどこからか)
女(来たの…?でもそんな気配は感じなかった。いつも嫌な感じがするのに)
250 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:30:34.40 ID:b7Qa7IKPo
ガタッ
女「!!!!」
女(き、聞こえた。今度は庭から、昨日と同じ位置からだ)
女(いる、確実に、今この瞬間に、数メートル以内に)
女(行こう!こっちには武器もあるし、塩も持っている。戦況的にはかなり有利のはず!ここを逃すわけにはいかない!)ダッ
ピクッ
女(…ッ!?)
女(なっ…ま、また金縛りッ!?う、動けなっ……)
ズズズズズッ
251 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:31:36.18 ID:b7Qa7IKPo
女(!!!!!)
女(き、昨日と同じパターン!いや、違う。昨日より…力が強い!!!指一本すらも動かせない!)
女(こ、これ…かなりまずい展開なんじゃ……)
影『』ズズズズズッ
女(か、影が現れた…!動けっ…!動け!!)
女(ダ、ダメだ……これ、もう……)
影『』ズズズズズッ
女(だ、誰かっ……助けっ……)
252 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:32:50.13 ID:b7Qa7IKPo
「…...」
「……」ニヤッ
「ようやく尻尾を見せたか。やっぱり…こういうことだったか」スタスタ
「「!?」」クルッ
霊能少女「警告したはず、呪いを解除しないと呪詛返しをするって」
霊能少女「じゃあ…これ、約束の呪詛返し」スッ
ズズズズズッ
「……アッ!」ビクッ
「あ、ああああああ…」ダッ
霊能少女「…さて」クルッ
253 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:34:03.81 ID:b7Qa7IKPo
影『』ズズズズズッ
影『』シュンッ
女「!?」ピクッ
女「あ、あれ…消えた?それに、動けるようになった」
女「な、何がどうなって…もうダメかと思ったのに」
ガチャ
女「」ビクッ
女(だ、誰か家に入ってきた。どうしよう…まさか、直接私を殺しに来たの?)
女(…!こ、これはチャンスだ。一対一なら、私でもまだ勝てる可能性がある)
254 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:35:01.36 ID:b7Qa7IKPo
スタスタ
女(…来る。姿が見えた瞬間に…スタンガンを喰らわせてやる)
スッ
女「今だあああああああああ!!!!!!!」ダッ
霊能少女「ん?」
女「死ねえええええええええええええええ!!!!!!」スッ
ビリビリビリビリビリィィィィィィ!!!!!!!
霊能少女「ッッッ!?!?!?」ビリビリ
バタッ
女「はぁっ…はぁっ…や、やった。倒した」
女「…ん?」
霊能少女「」ピクピクッ
女「…………えっ、先生?」
255 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:35:51.03 ID:b7Qa7IKPo
……………………………………………………………
………………………………………………
女「ほ、本当にっっっっっっ!!!!!!ごめんなさいっっっっ!!!!!!」
霊能少女「…いや、もういい。紛らわしいことをしたワタシも悪かった」
女「いや!!!!全面的に私が悪いです!!!!!本当に、本当に、本当にごめんなさい!!!!!!」
霊能少女「…いい加減に頭を上げてほしい。これじゃあまともに話も出来ない」
霊能少女「アナタに作戦を伝えずに、囮のように使ったワタシにも非がある。だから、もう謝るのはやめて」
女「申し訳なっ……え?作戦?囮?」
256 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:37:08.53 ID:b7Qa7IKPo
霊能少女「そう、別の仕事に行くというのは嘘。一度帰ったのは本当だけど、またすぐ戻ってきた」
霊能少女「奴等が…ワタシが居なくなった頃合いを見て、アナタの家に来るのは目に見えていたから、一網打尽にしたかった」
女「そ、そうだったんですか…でも、それならメールの返事くらいくれても…」
霊能少女「…メール?」スッ
霊能少女「…あっ、ごめん。素で忘れていた。忙しくて、普段あまり触らないから」
女「何のための携帯なんですか…連絡よこせって言っていたのに」
女「…あの、それで…さっきから私の家を呪っていたやつの正体が分かっていたような口振りですけど…結局誰なんですか?」
257 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:37:45.75 ID:b7Qa7IKPo
霊能少女「それはこれを見た方が早いと思う。アナタが庭に置いていたカメラ。ここに姿がバッチリ映っている」
女「えっ、よく見つけましたね。それ…ちゃんと見つからないように隠していたのに」
霊能少女「…隠していた?庭に置いてあるだけのように見えたけど」
女「…もういいです」
霊能少女「そう、ならさっそく再生する。時間は…この辺りか」ピッ
ジー……
258 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:39:00.99 ID:b7Qa7IKPo
男『』ユラッ
女「…!こ、こいつが…黒幕?」
霊能少女「…違う、もっとよく見て」
男『…』
爺『…』ユラッ
女「!?」ビクッ
女「えっ…ふ、二人っ!?ど、どういうことですか?これ!!」
259 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:40:17.38 ID:b7Qa7IKPo
霊能少女「…二人だけじゃない。もっといる」
ゾロゾロゾロ……ゾロゾロゾロ……
女「う、うそ…十人近くいる……こ、これって本当に私の家の前…?」
霊能少女「そう、ほんの十分前のアナタの家の光景。こいつらは幽霊でも何でもない、実体が存在する人間」
『『『……!……!』』』ユラユラ
女「な、なにこれ…手招きしている。これってちょうど、影が現れた時間…」
女「あ、先生が出てきた…ん?この持っている箱って…」
霊能少女「呪いの爆弾。あいつらに呪詛返しする約束だったから」スッ
260 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:41:48.96 ID:b7Qa7IKPo
女「うわっ!?そ、そんな気持ち悪いのここで出さないでくださいよ!!」
女「あ、あれ。でも呪詛返しって…返された人は死ぬんじゃ…」
霊能少女「あれだけの数なら、一人にかかる負担は少ない。だから死ぬことはない。多分ね」
ダッ
女「あっ!に、逃げた……ここで先生が家に入って……あの流れになったんですね」
女「ど、どういうことですか。私はてっきり…個人の仕業だと思っていました。あのお婆さんと同じように、でも、これは…」
女「どう見ても異常です。十人近い人が、私の家に集まって呪いをかけていたなんて……真犯人は、黒幕は…誰なんですか?」
261 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:43:14.46 ID:b7Qa7IKPo
霊能少女「ざっくり言うと、この一連の事件を操っていたのはあの老婆ではなかった、ということ。さっき集まっていた奴等の一員だろうね」
霊能少女「本当の黒幕は……『カルト』だった」
女「カ、カルト…?」
262 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:44:47.95 ID:b7Qa7IKPo
霊能少女「名前くらいは聞いたことがあるはず。邪悪な神を信仰してたり、社会に敵対するような行為をしている宗教団体ってやつ。ようは頭のイカれた危ないやつら」
霊能少女「…これ、あの老婆の家から見つけた紙切れ。そのカルトが老婆に宛てて書いた指令書のようなものだった」
霊能少女「呪いを行う手順と日程が事細かく、説明書付きで記載されている」
女「あのお婆さんが宗教にハマっていた、という話は聞きましたけど…その宗教団体が黒幕だった、ってことですか……まさか、そんな……」
霊能少女「まあこれで倒すべき敵がはっきりした。この地域周辺を調べたら、すぐそれらしき組織の名前が出てきた」
霊能少女「『天国の扉』こいつらをぶっ潰せば、それで全てが解決する」
女「天国の…扉?」
263 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/22(木) 01:45:46.96 ID:b7Qa7IKPo
今日はここまで
264 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 01:49:07.41 ID:4PN/sstL0
乙、ようやく黒幕のなまえが出てきましたね
265 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage ]:2018/03/22(木) 02:06:44.44 ID:O8GbvT6r0
霊能少女が今回初めて敗北しましたね、しかもその相手が幽霊でも怨霊でもない依頼者の女性だったとは
もしかして霊能少女の天敵てこの女性なのでは、餌付けもされてますし(笑) 乙
266 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 08:43:05.60 ID:9nDj5j/R0
>>245
乙
267 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 08:45:54.63 ID:9nDj5j/R0
ごめん変なところに安価つけちゃった
あと催促してる奴と変に偉そうなガイジは同一人物だと思うよ
構わないことだ
268 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/22(木) 12:32:38.77 ID:/Kc3RANYO
乙
269 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 02:49:02.98 ID:9pIq5aoIo
▢▢▢▢ 十三日目 ▢▢▢▢
女「おはようございます……ごめんなさい、寝過ぎました」
霊能少女「…ん、大丈夫」カチャカチャ
女「あれ?何してるんですか?部屋いっぱいに変な道具広げてますけど」
霊能少女「仕事道具の手入れ、これを持ってくる為に家に帰っていた」
女「道具って…今まで使ってた水とか塩みたいなやつですか?」
霊能少女「あれは持ち運びが容易で、手軽に使えるもの。普通ならあれで十分だけど、今回のケースは別」
霊能少女「ワタシも…本気を出す。これが完全装備の道具。過去に使ったのは一回だけしかない。用意するのにも時間がかかるし、並みの『狂』相手でも、ここまでする必要はない程の業物だから」
270 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 02:49:57.84 ID:9pIq5aoIo
女「…」ゴクリ
女(ほ、本気の道具って……一体、どれほどの……)
プルルルルルルル……プルルルルルルル……
女「あ、電話…」スタスタ
女「もしもし?はい、はい…えぇ、そうですけど」
女「えぇっ!?ほ。本当ですか!?」ビクッ
霊能少女「…」
女「わ、分かりました!す、すぐに行きます!」ガチャ
霊能少女「…何かあったの?」
271 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 02:51:19.99 ID:9pIq5aoIo
女「そ、それが…!お母さんの容態が悪くなってみたいで…!意識がないそうなんです!」
女「だ、だから…!すぐ病院に来るようにって!!」
霊能少女(…そうか、本来のリミットは十日、もう今日で九日目…時間は残っていないということか)
霊能少女「…すぐに病院に行ってあげて」
女「はい!!!!」ダッ
バタン
霊能少女「…モタモタしている暇はないか。こちらから仕掛けるしかない」
霊能少女「向こうも…それを待っているはず。いいよ、全面戦争といこうか」ピッ
プルルルルルルル…プルルルルルルル…
ガチャ
霊能少女「…もしもし?そちら『天国の扉』?」
272 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 02:52:34.17 ID:9pIq5aoIo
…………………………………………………
……………………………………
ガチャ
女「……ただいま、戻りました」
霊能少女「どうだった?母親の様子は」
女「…よくないそうです。昨日までは普通だったのに、急に意識を失って…昏睡状態に」
女「原因もまったく分からないみたいで……もしかしたら今夜が山かもしれないって……」ポロッ
女「ど、どうしたらっ、どうしたらいいんですか…先生…」ポロポロ
霊能少女「…ワタシがアナタの母親の命が残り十日だって言ったの、まだ覚えてる?」
霊能少女「今日が…その日からちょうど九日目。あの老婆が死んで、アナタの母の呪いは自然に取れたと思っていたけど…呪いをかけていたのはカルトの方だったみたい」
霊能少女「現代医学ではどうすることも出来ない。残りあと一日で…どうにかしないといけない」
273 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 02:53:23.34 ID:9pIq5aoIo
女「そ、そんな…!あと一日だなんて…!」
霊能少女「…安心して。言ったはずナタたちは必ず守ると」
霊能少女「病院に行っている間に、そのカルトの連中と連絡が取れた。明日、奴等の施設に行くことになった」
霊能少女「そこで…全てを終わらせる。これならギリギリ間に合うはず」
女「えっ…ほ、本当ですか!?」
霊能少女「でも…奴等はひとつだけ、条件を出してきた」
霊能少女「…アナタが同行するなら、話をしていいと」
女「…!わ、私も一緒に…ですか?」
274 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 02:54:43.96 ID:9pIq5aoIo
霊能少女「…正直、かなり危険だと思う。ワタシ一人だけなら、襲われても対処出来るけど、集団で来られたら他人を守る余裕はないかもしれない」
霊能少女「ワタシは行くべきではないと―――」
女「行きます。先生と一緒に」
霊能少女「……え?」
女「こんな目に遭わされて…お母さんのことを苦しめている連中が、自ら会いたいと言ってきているんです」
女「なら…一発、いえ二発ぶん殴ってやります。そうしないと…私の腹の虫が治まりませんから」
霊能少女「……」
霊能少女「分かった。その目を見たら、来るなとは言えない。明日、一緒に行こう」
女「はいっ!」
275 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 02:56:01.72 ID:9pIq5aoIo
……………………………………………………………
……………………………………………
女「……」
女「…眠れない」スッ
女(う、うっ…せ、先生の前では大口を叩いて、威勢のいいことを言ってしまったけど…やっぱり不安だ。明日…カルトのところに行くなんて)
女(私を指名してきたってことは…何か意味があるはず。もしかして、今度こそ殺されるんじゃ……)
女「…水飲も」スッ
スタスタ
霊能少女「……」カチャカチャ
女「あれ?先生まだ起きているんですか?」
霊能少女「最終確認。それに、今日に奴等が攻めてこないとも限らないし」
霊能少女「アナタは十分に睡眠を取った方がいい。恐らく明日は…一番長い日になるだろうから」
276 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 02:56:52.86 ID:9pIq5aoIo
女「……」
女「…先生、ちょっと話しませんか?」スッ
霊能少女「話?」
女「はい、先生にちょっと聞きたいことがありまして」
女「先生の…家族って今は何をしているんですか?」
霊能少女「…」
女「私のお母さんのことになると…何だか、先生がいつもより優しく見えるような気がして。何か思い出があるのかなって」
女「あっ…言いたくないなら大丈夫ですよ。すぐ部屋に戻りますから」
霊能少女「…両親は、もう既に亡くなっている。残っているのは妹が一人だけ」
277 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 02:58:06.72 ID:9pIq5aoIo
女「……」
女「そう、だったんですか。ごめんなさい、無神経なこと聞いちゃって」
霊能少女「…いや、そこまで気にしていない。両親が亡くなったのは15年も前のこと、その頃のワタシはまだ幼かったから、親の記憶はひとつもない」
女「…やっぱり、先生と同じ仕事をしていたんですか?ご両親は…」
霊能少女「そう聞いている。夫婦二人揃ってやり手で結構有名だったらしい」
霊能少女「まあ…最後は仕事に失敗して死んだんだけど」
女「失敗って…殺されたってことですか?」
霊能少女「…恐らくそう。でも、誰に殺られたのかは分からない」
霊能少女「依頼された仕事は無事に成功したらしい。けど、そこに何らかの介入があった。そいつに…父と母は殺された」
霊能少女「仲間の人たちも、必死になって二人を殺したヤツを探したけど…結局は見つからなかったと聞いている」
278 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 02:59:07.24 ID:9pIq5aoIo
女「…もしかして、先生がこの仕事を続けているのって、仇討ちのためだったりします?」
霊能少女「それは…どうだろう。正直、あまり親という存在を知らないから、直接の関係はないと思う」
霊能少女「ただ、受け継がれているのかもしれない。父や母の…想いが、私の中で。この仕事を続けて行けば、いつか会えるような気が……」
霊能少女「…いや、何でもない。忘れて」
女「い、妹さんの方はどうなんですか?もしかして、先生と同じ仕事をしてたり…」
霊能少女「…妹も広い意味で言えばワタシと同じ仕事をしている。ただ…それは海の向こうでだけど」
女「海の向こうって、海外に住んでいるんですか?」
霊能少女「そう、12の時に家を飛び出して、そのまま向こうで生活している」
279 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 03:00:17.26 ID:9pIq5aoIo
女「どうして海外に?」
霊能少女「…多分、ワタシと比べられるのが嫌だったんだと思う。あまり仲は良くなかったし、嫌われていた」
霊能少女「電話をしても、数秒で切られるし、ワタシの顔も見たくないんだと思う」
女「…そんなことないと思いますよ。私は一人っ子で、姉妹という関係はあんまり分からないですけど」
女「私の家も…父親が小さい頃に病気で亡くなって、今いる家族は母親一人だけなんです。そりゃたまには喧嘩しますけど…血の繋がった家族というものは早々断ち切れないですよ」
女「妹さんも…思春期とかで接し方が分からないだけだと思います。心の中では先生と同じように、家族のことを心配していますよ」
霊能少女「……そう、なのかな」
霊能少女「……ありがと」
280 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 03:02:06.51 ID:9pIq5aoIo
女「…やっぱり、話してよかったです」
女「正直に言うと、私…心のどこかで、まだ先生のことを恐れていたのかもしれません」
女「先生の…その力が。味方だけど怖かったんです」
霊能少女「……」
女「…でも、今は違います」
女「先生も言っていたじゃないですか。人間は理解出来ないものを恐れるって。ちょっとだけですけど…先生の心を理解出来た気がします。これでもう、心残りはありません」
女「…明日、決着をつけに行きましょう。先生」
霊能少女「……うん」
281 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/23(金) 03:02:49.48 ID:9pIq5aoIo
今日はここまで
あと二回の更新で終わると思います
282 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/23(金) 03:13:56.13 ID:3JEDWpyn0
あと2回なる程最終回もまじか何ですね、今日も楽しく読ませて貰いました
残り2回も楽しみに待っています
283 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/23(金) 03:23:55.53 ID:DPiod9J0O
乙
284 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/23(金) 08:34:40.26 ID:suV2nOwKo
乙
両親を殺したのはゾンビ男とヴァンパイア編で言ってた謎の存在なのかな
主にモンスター狩りしてるらしいから巻き添え喰らったとか
285 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/23(金) 16:30:05.41 ID:2tyuWKwB0
面白い、続き楽しみ
286 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/24(土) 00:21:26.73 ID:WRk4joTEo
すみませんちょっと長くなったので今日中に更新は無理そうです
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/24(土) 00:49:01.28 ID:qmHnHY/gO
気長に待ってるぞ
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/24(土) 00:56:17.01 ID:dU8dhC8i0
了解無理しないでね
289 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:22:11.53 ID:ELSLV8Bao
▢▢▢▢ 十四日目 ▢▢▢▢
ブゥゥン
霊能少女「ここで止めて」
女「…」
キキーッ
バタンッ
ブゥゥン
女「こんな山の中に…施設があるんですか?とてもじゃないですけど、信じられませんね」
霊能少女「教祖が山奥の廃校になった小学校を買い取って、そこを改築して暮らしているらしい」
霊能少女「タクシーで来られるのはここまで、ここから先は歩いて行こう」
女「え?でも道路は続いてますよ?」
霊能少女「…何が起こるか分からない。無関係の人を巻き込むわけにはいかないから」
女「…」ゴクリ
290 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:23:33.64 ID:ELSLV8Bao
スタスタ スタスタ
女「その…天国の扉って、どういう団体なんですか?何を信仰しているだとか」
霊能少女「ホームページがあったので、覗いてみたけど、あまり具体的なことは分からなかった。やれこの世界は腐敗しているだの、天国には救いがあるだの、眠たくなるようなことばかり書いてあった」
女「全く未知ってことですか…不気味ですね」
霊能少女「小学校では100人前後が一緒に集団生活をしているらしい。中には子供もいる」
霊能少女「…向こうに着いたら、警戒は怠らないで。周り全てが敵だと思っていい」
女「ひゃ、ひゃくにんって…そんなに規模が大きいんですか」
霊能少女「…ワタシも驚いた。今のご時世、新興宗教というものは所詮金稼ぎの道具にしているところが大半。いや、全てと言っていい」
霊能少女「だから、わざわざ学校を買い取って、直接一緒に暮らすなんて行動はあまりにも不自然。金を貢がせる為にしては面倒過ぎるやり方」
霊能少女「…それに、奴等は呪いという異形の力にも手を出している。金ではない何かの目的…いや信念があるんだと思う」
女「……」
女「い、一体…何をしようとしているんでしょうか」
霊能少女「…それを今から確かめに行く」
291 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:24:21.90 ID:ELSLV8Bao
…………………………………………………………………
…………………………………………………
スタスタ スタスタ
霊能少女「…見えてきた。あそこが…天国の扉」
女「うわぁ…本当に小学校に住んでいるんですね」
女(廃校になったにしては外装が結構整理されているように見える。改築したおかげなのかな)
女(学校の前には車やバイクがいくつも止まっている…信者の人たちの物なんだろうか)
女「…あれ?入口に誰か人がいますよ」
信者「…」ニコニコ
292 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:25:21.47 ID:ELSLV8Bao
信者「ようこそおいで下さいました。さぁ、司祭様がお待ちかねです。どうぞ、中に」
霊能少女「…」
女「…」
スタスタ スタスタ
信者「ここは穢れがない神聖な場所なのです。俗世間の空気は私達には毒なので、我が兄弟の司祭様が特別に用意してくれました」
霊能少女「…アナタは、その司祭様の娘なの?」
信者「いえ、血縁関係はありません。ですが、魂は繋がっています」
霊能少女「…」
女「…」
293 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:26:40.59 ID:ELSLV8Bao
女「…ん?」チラッ
子供『『『 』』』
女「あれって…」
信者「あぁ、あれは学びの時間です。ここには十数人の子供がいるので、その子たちの教育をしているんです」
信者「ちょうど、ここは小学校でしたので、教室はいっぱいありますしね」
女「…普通の学校には行っていないんですか?」
信者「えぇ、それがどうかしましたか?」
女「…いえ、何もありません」
294 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:27:38.22 ID:ELSLV8Bao
信者「ここが司祭様の部屋です。では、私はこれで」スタスタ
女「…先生、どう思いますか?」
霊能少女「…どうって、何が?」
女「だって…子供を学校にも行かせないで、こんなところに閉じ込めているんですよ?そんなこと許されて…」
霊能少女「確かに。傍から見たら異常な光景。でも、今はそれを気にしている時間はない」
霊能少女「…この部屋に、アナタたちを苦しめ、呪いで何人も殺した黒幕がいる。気を付けて、何をしてくるか分からないから」
女「…!わ、分かりました」
霊能少女「…開けるよ」スッ
ガチャ
295 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:28:26.53 ID:ELSLV8Bao
司祭「おぉ、ようこそ来てくださいました。さぁ、お座りください」
霊能少女(こいつが…)
女(すべての元凶…!)
296 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:29:37.84 ID:ELSLV8Bao
司祭「どうぞ、狭い部屋で申し訳ありませんね」
司祭「お茶はどうですか?この茶の葉は裏の農園で収穫したものなのですよ。きっと気に入るはずだ」スッ
霊能少女「…」
女「…」
司祭「ここでは出来るだけ全ての食事を自家栽培で作るようにしていてね、俗世間で売っているものと比べたら鮮度が違うのですよ」
司祭「農薬も、保存料などの添加物も入っていない。そのままの栄養を取ることが出来る。これ以上に幸福なことは中々ない」
司祭「そうだ、ランチも持ってこさせましょうか…」
霊能少女「いい加減にして、ワタシたちはそんなどうでもいいことを聞きに来たんじゃない」
霊能少女「さっさと本題に行こう。アナタはなぜここにいる彼女とその家族、そして…過去に何人も呪いで殺したの?」
女「…」
297 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:30:37.55 ID:ELSLV8Bao
司祭「…呪い、ですか。貴女達では儀式のことをそう言うのですね」
司祭「少し、不服です。聖なる儀式を、呪いなどという穢れた言葉で表現されるのは…」
霊能少女「…は?あれが呪いじゃないって言うの?」
祭司「えぇ、そうです。私達が行っていたのは使者を送らせる儀式。天の国への使者をね」
司祭「選ばれた者ではないと、天の国へ行くことは出来ないのです。だから、私が裁定して、使者を送りました。彼らは今頃、天国で祝福されているはずです」
司祭「…お嬢さん、貴女も…選ばれた人間なのですよ?もっと誇りなさい。とても名誉のあることなのですから」
女「…っ」
霊能少女「…そう、その天国やら、使者やらの意味は理解出来ないし、したくもない」
霊能少女「でも、アナタは確実に人を呪い殺していた。この道具を使ってね」スッ
298 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:31:29.15 ID:ELSLV8Bao
箱『』
女(呪いの…爆弾!)
司祭「おぉ、それはあの方に渡していた祭具ではないですか。わざわざ届けてくれたのですか?ありがとうございます」スッ
霊能少女「近寄らないで。それ以上こちらに来たら、呪詛返しをさせてもらう。されたくはないでしょ」
司祭「…フフッ、呪詛…ですか。面白いことを言う人だ」
司祭「ならば、どうぞ。やってみてください。我々が本当に呪いなどということをしていたなら、出来るはずだ」
霊能少女「…」
女「せ、先生…」
霊能少女「…死んでも、知らないから」スッ
ズズズズズッ
299 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:32:38.64 ID:ELSLV8Bao
女(は、箱の中から影が!これが…呪詛返し)
司祭「」ニコニコ
ズズズズズッ…
シュンッ
霊能少女「!?」
霊能少女(じゅ、呪詛が消えた…なぜ?一昨日はちゃんと機能していたのに)
司祭「だから言ったでしょう。それは呪いの道具ではない。神から与えられた力の一つなのです」
霊能少女(こいつ…何をした?)
霊能少女(…この呪詛には不可解なことが多すぎる。見たことがない種類だったし、どこか遠くから意思が感じられた。何か仕掛けが…)
300 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:33:58.36 ID:ELSLV8Bao
司祭「間違いは誰にでもあります。気にすることはない。大事なのは己を恥じ、反省することです」
女「あ、あの!」
司祭「おや、どうかしましたか?」
女「わ、私の…私の母に憑いている呪いを今すぐ解除してください…!そうしないと、母は今日中に命が…!」
司祭「…ですから、呪いではないと言っているでしょう。分からない人達だ」
司祭「貴女の母君は天の国へと渡る使者の一人に選ばれたのですよ?天国というのは我々家族以外では、辿り着けない場所なのです。先程言ったように、とても名誉なことだ」
司祭「人には遅かれ早かれ、誰にでも死が訪れる。大事なのはそれから先のことだ。楽園で永遠の時を過ごすか、無になるのか…今一度、よく考えてみてください」
女「ッ!」
女「そ、それでも…母は死なせませんっ!もし、解除してくれないなら…!」
司祭「どうするというのです?」
女「そ、それは……」
301 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:34:50.89 ID:ELSLV8Bao
司祭「…野蛮な人だ。結局は暴力に頼ろうとする。これだから俗世間は好かないのだ」
司祭「そこまで拒否するのなら、いいでしょう。分かりました」パンッ
司祭「はい、これで使者の資格は失いました。これで満足ですか?」
女「…え?」
霊能少女「…本当に、解除したの?」
司祭「はい、私は嘘はつきません。残念です…このようなことになるとは」
女(こ、こんな簡単に、あっけなく…お母さんが助かった?)
司祭「…おや、もう時間がないようだ」
司祭「すみませんが、我々はこれから成すべきことがあるので、もうあまり時間が残ってないのです。用はこれだけですか?」
302 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:35:59.18 ID:ELSLV8Bao
霊能少女「…いや、聞きたいことはまだある」
霊能少女「『神彁混』ってなに?アナタは…これを使って、何をしようとしている」
司祭「……」
司祭「…どこで、その言葉を?」
霊能少女「自殺したここの信者の老婆の家にあった像に名前が彫ってあった」
霊能少女「それに、四年前にアナタの犠牲になった人も、この言葉を残している。偶然とは言わせない」
司祭「……ふぅ」
司祭「恐らく、言葉で伝えても理解出来ないでしょう。神彁混様は…我々の神なのですから」
霊能少女「…神?」
303 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:37:06.45 ID:ELSLV8Bao
司祭「えぇ、そうです。扉の向こう側、天の国にいる兄弟」
司祭「我々は…扉を開けたいのです。天の国への扉を、だから旅路を続けている」
霊能少女「旅路…」
司祭「えぇ、過去に多くの家族が扉を開けようとしましたが…成功したのは最初だけだった」
司祭「ですが、今度こそ扉は開きます。鍵を使うことによって、我々は次のレベルに上がることが出来た」
司祭「今日、この日に…扉は開きます。貴女方を呼んだのは、その為。見届け人が必要なのです」
霊能少女「…ちょっと待って。さっきから何を言って」
304 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:37:37.06 ID:ELSLV8Bao
キーンコーンカーンコーン
305 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:38:31.37 ID:ELSLV8Bao
女「」ビクッ
女「チャ、チャイム…?」
司祭「……時間だ」フラッ
霊能少女「ちょっと待って、まだ話は途中…」
司祭「静かに」スッ
ピッ
司祭「…聞こえるか。我が家族達よ。時が来た。天の国へと渡る時が」
女(な、なに…あのマイクで放送しているの?)
霊能少女(…まさか)
306 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:39:31.50 ID:ELSLV8Bao
司祭「不安、恐怖、苦悩、様々な想いがあると思うが…我々は一つだ。何も恐れる必要はない。共に旅立とう」
司祭「今、この時…扉は開かれる。慈悲深き父や母の元に…約束の地へ」
女「せ、先生…これって…」
霊能少女「…...」
司祭「さぁ、子供達よ。一杯ずつ取って、飲み干しなさい。穢れは全て浄化される」
司祭「姉妹、兄弟達よ。私達の時代が来た。先人達の骸を道しるべに…行こう」
司祭「別れの言葉と共に、この祈りを捧げる。アーメン」カチッ
司祭「……」スッ
霊能少女「今の放送はなに?アナタ、本当に何を企んで……」
307 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:40:37.63 ID:ELSLV8Bao
司祭「…別れの時だ。貴女方はこれを見届けなければならない。その目と心に刻み付けるのだ」
司祭「これが…我々の旅路なのだから」カチャ
霊能少女「拳銃ッ!?」
女「!!!!」
バンッ!!!!!!
司祭「」バタッ
308 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:41:55.73 ID:ELSLV8Bao
女「あっ…あっ…そ、そんな…ま、また……」
霊能少女「自殺、した…あの老婆の時と同じ」
霊能少女「旅路……まさか、こいつ……さっきの放送で……信者達に」
女「せ、先生……」
霊能少女「…嫌な予感がする。これまでに起きたことがない…狂気の渦を感じる」
霊能少女「…ここを出よう。今すぐに」
女「わ、分かり…ました」
霊能少女「…」チラッ
紙『』
拳銃『』
霊能少女「…」スッ
司祭「」
バタンッ
309 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:43:01.63 ID:ELSLV8Bao
霊能少女「早く、走って。急いでここを出る」ダ
女「せ、先生っ!あの放送って…!ま、まさか」
霊能少女「考えている時間はない。教祖のあいつが自殺した今、もうここにいる理由はなくなった。早く出よう」
女「…は、はいっ」
ピタッ
霊能少女「……」
女「先生?どうしたんですか?」
霊能少女「…死んでいる」
女「えっ?」
信者「」
310 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:44:06.90 ID:ELSLV8Bao
女「ひっ……」
女「こ、この人って…!案内してくれた…!」
霊能少女「…どうやら、最悪の状況みたい。何が…起こっている」
タッタッタ!!!!タッタッタ!!!!
信者「」
信者「」
女(み、みんな死んでいる…出会う人みんな…)
女(この人たちって…このカルトの信者の人なんだよね。それがみんな、あの老婆や司祭と呼ばれていた人と同じように、自殺している)
女(ここは天国なんかじゃない…地獄だ)
311 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:45:18.20 ID:ELSLV8Bao
女「」ピタッ
霊能少女「どうしたの?」
女「せ、先生…あれって……」
子供『『『 』』』
霊能少女「……」
女「っ!!!!」ダッ
霊能少女「待って!」
312 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:45:44.95 ID:ELSLV8Bao
女「ねぇ、起きて。ここは危ないよ。一緒に逃げよう」
子供「」
女「ね、ねぇ!!」
霊能少女「…やめて、もう死んでいる」
女「う、ううっ…な、なんでこんな子供までっ…!」ポロポロ
子供「」
霊能少女(…このコップ。自ら毒を飲んだのか…)
霊能少女(っ…今は前に進まないと)
霊能少女「立って、早く行こう」
女「うぅっ……」ポロポロ
313 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:46:56.33 ID:ELSLV8Bao
タッタッタ!!!!タッタッタ!!!!
霊能少女「ここの階段を降りれば、昇降口に出るはず」
女「……」
霊能少女「…大丈夫?」
女「…いえ、相当参ってます」
霊能少女「…今は思考するのをやめた方がいい。何も考えないで」
女「…はい」
霊能少女「っ…!これは…」
信者「「「 」」」
女「こ、こんなに沢山の人が……そんな……」
霊能少女「…ダメだ。全員死んでいる」
女「こ、この教団にいた人は…みんな自殺したってことですか。こんなのって…ただの集団自殺じゃないですか」
霊能少女「……」
314 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:49:20.64 ID:ELSLV8Bao
ゾクッッッッッッッッッッッ!!!!!!!
霊能少女「っ!?」クルッ
女「…?先生?」
霊能少女「…先に逃げて。私は後から追いかける」ダッ
女「えっ!?せ、先生!?どこへ!?」
タッタッタ!!!!
霊能少女「…!」
霊能少女(…昇降口は一階。今、私が降りているのは…地下へ進む階段)
霊能少女(普通、小学校に地下なんてものはない。これは改装した際に作ったものと考えるのが道理。何の為に?)
霊能少女(…さっき、とてつもなく邪悪な気配を感じた。ワタシでも…鳥肌と冷や汗を感じるほど)
霊能少女(このワタシにあんな感覚を味合わせるなんて…何がある。この地下に)
315 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:50:12.81 ID:ELSLV8Bao
霊能少女「…この部屋からだ」
女「せ、先生っ!!待ってください!!」
霊能少女「…先に行ってと言ったはずだけど」
女「そ、そんなこと出来るわけないじゃないですか!!どうしたんですか、急に走って」
女「こ、ここって…地下ですよね?この部屋に何かあるんですか?」
霊能少女「…恐らく、この部屋に全ての真実がある」
女(し、真実?あれ、私…ここ、見覚えがあるような)
316 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:51:33.01 ID:ELSLV8Bao
ガチャ
モゾモゾ モゾモゾ
霊能少女「……」
女(な、なにこの部屋…酷い臭い。まるで、あのお婆さんの家のような)
女(そ、それに…中央の台座に何かいる。布をかけられていて、姿が見えないけど…モゾモゾ蠢いている)
霊能少女「……」スタスタ
霊能少女「…!」バサッ
妊婦「あっ…あっ…」モゾモゾ
女「!?」
霊能少女「…!!!!」チャキッ
317 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:52:46.70 ID:ELSLV8Bao
バンバンッ!!!!!!!バンバンッ!!!!!!!
妊婦「アガッ!?」ビクッ
女「!?」
女「せ、先生!?その拳銃って…!いや、それよりなんで撃ったんですか!!!!」
霊能少女「ハァッ…ハァッ…なに……これ……!!」
霊能少女「中に……何がいる?」
女「な、中…?」
妊婦「アグゥ!!!!アアッッッ!!!!た、助けてエエエエエエエエエ!!!!!!」
妊婦「う、動いてッ……出てくるゥ!!!!!」
318 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:54:09.29 ID:ELSLV8Bao
ボゴォ
女「!?」
女「お、お腹が膨らんでっ…!?」
霊能少女「……逃げるよ」ダッ
女「えっ!?先生!?」
霊能少女「早くッッ!!!!!もう出てくる!!!!!」
妊婦「ヒィッ…ア、アアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」
ブチッ
女「!?」ビクッ
女(お、お腹の中から……手がっ!?)
霊能少女「何をボケっとしているの!!!死にたいの!?」ギュッ
女「あっ…」グイッ
319 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:54:35.54 ID:ELSLV8Bao
妊婦「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!!!!!!!!!」
ブチブチッ…グチャ
『…………』
320 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:56:00.46 ID:ELSLV8Bao
ダダダダダダダダッ!!!!!
女「せ、先生!!!今のって何なんですか!?中から…何かが!!」
霊能少女「……分からない。あれは……生者でも、死者でもない。ワタシにも、何が起きたか分からない」
霊能少女「あんな感覚、初めてだった。人間としての防衛本能が、全開で警鐘を鳴らしていた。あれはヤバい、今まで出会った幽霊も怪物も、比べ物にならいないほど異質…」
女「そ、そんな……」
霊能少女「…着いた。ここを開ければ、外に…!」
ガチッ
霊能少女「!?か、鍵が…」
女「う、うそ……」
321 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:56:59.16 ID:ELSLV8Bao
ドンドンッ ドンドンッ
霊能少女「ダメだ。開かない」
女「べ、別の出口を……」
ドスッ…ドスッ…
女「」ビクッ
女「こ、この音って…地下から」
霊能少女「…どうやらワタシたちを追って来たみたい。他の出口を探している時間はない」
女「…っ!な、ならその拳銃で壊して!」
霊能少女「…時間がない。これを飲んで」ガサゴソ
女「え、な、なんですか?これ」
322 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:57:55.15 ID:ELSLV8Bao
霊能少女「ワタシは…道がないと飛ぶことが出来ない。だから、この距離でも失敗するかもしれないけど、背に腹は代えられない。早く」
女「な、何がなんだか分からないですけど……これで、いいんですか?」ゴクンッ
霊能少女「よし、ワタシの手を握って」
女「は、はい」ギュッ
霊能少女「…行くよ」
シュンッ
323 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 12:59:00.16 ID:ELSLV8Bao
女「!?」バタッ
女「えっ…い、今何が起きて……ここって外?」キョロキョロ
女「うぷっ!?おえええええええええええええ!!!!!!!」ゲロゲロ
霊能少女「…瞬間移動ってやつ。慣れてないと吐く」
霊能少女「急いで。この車を使って、ここから離れる」ブンッ
パリンッ
カチッ
女「く、車って…先生、免許持ってるんですか?」
霊能少女「運転の仕方なら知っている。キーは…あった。ここか」カチッ
324 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 13:00:14.17 ID:ELSLV8Bao
ブロロン……
霊能少女「よし動いた、乗って」
女「いや乗ってって…だから免許……」
霊能少女「…命と免許、どっちが大事?」
女「わ、分かりましたよ。乗ります」スッ
グシャアアアアン!!!!!!!!
女「!?」クルッ
女「あ、あの音って…鍵が閉まっていた昇降口の扉が壊された…?」
霊能少女「出すよ。シートベルト閉めて」
ブゥゥゥン!!!!!
「…………」
325 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 13:01:15.77 ID:ELSLV8Bao
霊能少女「…これで、ひとまずは安全」
女「せ、先生…何が起こったんですか?あそこで…」
女「教祖が自殺して、信者の人までみんな……」
女「あのお婆さんも、最後は自殺しましたし…何か、理由があるんですか?」
霊能少女「…恐らく、集団自殺と呪いでの殺人は、儀式の一つ」
霊能少女「あの…妊婦の腹から出てきた化け物を呼び出すためのね」
女「儀式に化け物って……」
霊能少女「…ワタシにも、全容が分からない。酷く混乱している」
霊能少女「ただひとつ、理解るのは…あの化け物が『神彁混』と呼ばれる存在だということ」
女「あ、あれが…神彁混?」
326 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 13:02:27.15 ID:ELSLV8Bao
ドンッ!!!!!!!!!!!!!!
女「!?」
霊能少女「!?」
女「せ、先生!今…く、車の上に何かが!!!!」
霊能少女「…追ってきやがった。掴まって、振り落とす」
キィィィィィィ!!!!!!
キィィィィィィ!!!!!
女「…!…!」ギュッ
霊能少女「チッ……離れない」
女「ど、どうするんですか!?」
霊能少女「…これを使って」ポイッ
拳銃『』
327 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 13:04:09.52 ID:ELSLV8Bao
女「こ、これって…あの教祖が持っていた拳銃じゃないですか!!!!撃てませんよ!」
霊能少女「…撃ち方は簡単。安全装置を外して、引き金を引けばいい」
霊能少女「ワタシは今、運転で手が離せない。お願い」
女「…っ」
女「あ、安全装置ってどこに―――」
グイッ……
霊能少女「!?ま、まずい!!!!あいつ、上から車体を引っ張って…!片方の車輪が浮いている!!!!」
女「えっ!?それって不味くないですか!?」
霊能少女「ぐっ…!ダメだ!!あいつの力の方が強いッ!バランスが崩れてっ…掴まって!!!!横転する!!!!!」
女「う、うわあああああああああああああ!!!!!!」ギュッ
328 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 13:04:44.78 ID:ELSLV8Bao
グシャアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!!
329 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/26(月) 13:05:22.58 ID:ELSLV8Bao
今日はここまで
次で終わります
330 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/26(月) 13:17:58.54 ID:uHkAkUw50
今まで勇敢に戦ってきた霊能少女が逃げ出したくなる程の怪物とは恐ろしいですね、
今回も楽しく読ませて貰いました、最終回も楽しみに待っています
331 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/26(月) 14:18:30.75 ID:qmMJNQYUo
呪怨からサイレントヒルになったな
前のシリーズにも似たような教団あったが、こいつらのせいで世界滅んだのか?
332 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/26(月) 21:32:31.45 ID:uQpck9JQO
面白くなってきたな
乙
333 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/29(木) 00:01:07.28 ID:l1XMJABj0
こういうキチガイ共が「満足な死に方」で勝ち逃げみたいに退場される展開は、舞台装置と分かっていてもムカムカするな
334 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/29(木) 11:46:18.28 ID:NeYATrVbo
…………………………………………………………
…………………………………………
女「うっ…」クラツ
女「あ、あれ…私は、確か……」
霊能少女「……」シー
女(あっ…先生…)
霊能少女「……」ポチポチ
霊能少女「……」スッ
『怪我はない?』
女(そ、そうだ…あの神彁混が…車の上に乗ってきて、そして…)
女「……」ポチポチ
『はい、ないです』
霊能少女「……」ポチポチ
『気を付けて、まだ上にいる』
335 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/29(木) 11:47:32.72 ID:NeYATrVbo
女「!?」ビクッ
女(う、うそ…まだいるの?だから声を出さずに…)
霊能少女「……」ポチポチ
『私が囮になって、アイツを引き付ける』
『アナタはその隙に逃げて』
女「…っ」
女(囮って…車を力ずくで倒すような化け物相手に無謀過ぎる…)
霊能少女「……」ポチポチ
『安心して、勝算はある』
『でも、もし私が一日を過ぎても帰らなかったら、この封筒を宛先の住所に送ってほしい』
霊能少女「……」スッ
336 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/29(木) 11:48:34.21 ID:NeYATrVbo
女「……」
女(先生は…死を覚悟している。それほどの相手なんだ。あの神彁混という化け物は…)
女(それでも、先生は戦おうとしている。私を守る為に……先生は……)
女(…無力な私には、先生を止める権利もあの神彁混をどうにかする力もない。ただ…無事を祈ることしか出来ない)
女「……」ポチポチ
『分かりました。必ず、帰ってきてください』
霊能少女「…」コクッ
『ワタシが外に出て、あいつが車から離れる音がしたら、その正反対の方向に逃げて』
『道なりを行けば、道路に出ると思う』
『それと、そこに落ちている拳銃はアナタが持って行って。もしかしたら、信者の残党がいるかもしれないから武器はあった方がいい。安全装置は右上にある』
337 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/29(木) 11:49:38.75 ID:NeYATrVbo
女(…右上、これかな?)
『じゃあ、行ってくる。町に出たら、急いで警察を呼んで。公衆電話を使って匿名で』
女「……」ポチポチ
『先生、御武運を祈っています』
霊能少女「……」コクッ
霊能少女「……ッッッ!!!!!!」ゴンッ
ダッ!!!!!
ドンッ
女(…!何かが飛び移る音がした。あれが…神彁混)
女(…先生、どうか―――生きて帰ってきてください)
338 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/29(木) 11:51:02.53 ID:NeYATrVbo
ダダダダダダダダッ!!!!!
霊能少女「……ッ!!」ダダッ
霊能少女(よし、引き付けは成功。あとは走るだけ)
霊能少女(…不幸中の幸いだった。昨日、下見に来ておいて正解だった…この近くにはアレがある。アレなら…アイツをどうにか出来るかもしれない)チラッ
霊能少女(……あれが『神彁混』か)
神彁混「……......」バサッバサッ
霊能少女(身長は三メートル近くあるか、かなりでかい。尻尾を含めると四メートルはある。そして…あの翼、あれを使って追跡してきたのか)
霊能少女(闇より深い極黒の体色、羊の骸骨を彷彿とさせる頭部、そして、禍々しく、吐き気を催すほどのオーラ……)
霊能少女(あれのどこが神なんだ。どう見たって悪魔そのもの……あいつら、本当に何を呼び出しやがった)
339 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/29(木) 11:52:18.73 ID:NeYATrVbo
霊能少女(この感覚、あいつは幽霊だとか、怪物だとかの類いではない。人外の魔物…ってところか。いや、魔物なんて生易しいモノならまだマシか)
霊能少女(ワタシなら、見ただけでその色から生きているか、死んでいるかを判別出来る。でも、あいつの色は…そのどちらでもない)
霊能少女(例えるなら、虚ろな色。こんなの初めて見た。生命のエネルギーを全く感じない。かと言って、死者特有の臭いがするわけでもない)
霊能少女(…恐らく、アイツを殺すことは出来ない。あれは災厄そのものと言っていい。個体ではなく事象に近い存在)
霊能少女(…なら、残る手はひとつ)
神彁混「…………」グンッ
霊能少女(ッ!来たか)サッ
340 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/29(木) 11:53:27.02 ID:NeYATrVbo
ブゥゥン!!!!!!!!!
ザンッ!!!!!!!!
神彁混「…………」
霊能少女(…自分から降りて来てくれたか。そっちの方がやりやすいから助かった)
霊能少女(…例の地点まではあと数百メートルはある。そこまでは戦いながら、この化け物をやり過ごすしかない)
霊能少女(面白い。ワタシの力がどこまで通じるか…確かめさせてもらう)スッ
神彁混「…………」
341 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/29(木) 11:55:38.39 ID:NeYATrVbo
……………………………………………………………………
…………………………………………………
ダダダダダダダダッ!!!!!
霊能少女「ハァッ……ハァッ……」ダダッ
神彁混「…………」
霊能少女(チッ…もう追ってきたか)
霊能少女(やっぱり、ワタシの道具だと殺せない。いや…正確に言うと、ダメージは与えられているけど…決定打にならない)
霊能少女(そこそこの効果はある。でも、すぐに動けるようになる。痛みは与えられるけど、ただそれだけ。致命傷にはならない)
霊能少女(戦って理解った。あの神彁混という化け物は…殺意の塊だ。ワタシたち人間が生から産まれ、生きるように…あいつは死の渦から産まれ、死を求めて彷徨う)
霊能少女(あんなやつを野放したら、何千、何万の命が犠牲になる。絶対にここで止めなくては……)
342 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2018/03/29(木) 11:56:39.77 ID:NeYATrVbo
ブンッッッッ!!!!!!!!
霊能少女「!?」サッ
神彁混「…………」
霊能少女(くっ…!やはりこの身体能力は驚異的だ。的確に急所を狙ってくる)
霊能少女(あーもう…こういう飛んだり跳ねたりするのはワタシの専門外なのに、つくづく相性が悪い)
霊能少女(残りあと50メートルくらいか。そろそろ見えてくるはず。準備をしておかないと)
神彁混「…………」グッ
霊能少女(…っ!攻撃が来る。爆弾を使って時間稼ぎを…)ガサゴソ
霊能少女(―――っ!?しまった、もうストックが切れたのか。他の道具もほとんど来る途中で使い捨ててしまった。これは不味い)
霊能少女(…仕方ない。鎖を使うか)スッ
霊能少女「ッッッ!!!!!」ブンッ
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