霊能少女「本当の戦いはこれからってやつかな」

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2 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:00:21.92 ID:YTkI/AaLo
女「あの…お茶です。良かったらどうぞ」スッ


和尚「これはご丁寧に、どうも」

和尚「…」チラチラ


女「…や、やっぱり何か感じたりします?」


和尚「…そうですね。これは何か憑いていると見て、間違いないと思います」


女「そ、そうなんですか…やっぱり」


和尚「では、いつ頃から…怪奇現象が起き始めたか、お話してもらえますか?原因究明の糸口があるかもしれませんので」
3 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:01:25.40 ID:YTkI/AaLo
女「は、はい…最初に変だなって思ったのはちょうど一か月くらい前だったと思います」

女「急に真夜中に…人の声みたいなのが聞こえて。聞き間違えかと思ったんですけど、母も同じような声を聞いたらしくて」

女「それから…お皿が急に割れたり、変な叩く音みたいなのが聞こえたり…私も体調をちょっと崩したりして、気味が悪い出来事が続いていたんですよね...」

女「一週間前には母が仕事中に倒れて入院したんです。病院は過労で疲れが溜まっていたんじゃないかって言っていたんですけど、私にはどうも信じられなくて」

女「…そして、母が入院したその日の夜…就寝中に金縛りに遭いました」

女「体が動かなくなって…本当に怖くて、辺りを見回してみたら…部屋の隅に人の影のようなものが見えて…」ブルブル

女「…その後のことはよく覚えていません。目が覚めたら朝で、金縛りも解けていました」


女「…で、これはもうダメだと思って、霊能者の方に頼ることにしたんです」
4 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:02:21.08 ID:YTkI/AaLo
和尚「…大変な思いをしましたね。お母様の方は大丈夫ですか?」

女「はい。あと数日もしたら退院できるみたいです」


和尚「そうですか…それは良かった」

和尚「話を聞く限り、風水的な理由があるのかもしれません」


女「風水…ですか?」


和尚「はい、時々あるんですよ。悪い気の流れの進行が変わって、その影響を人が受けるんです」

和尚「少し、試してみましょうか。コップと水とタオルを用意してもらえますか?」


女「わ、分かりました。取ってきます」スッ
5 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:03:32.35 ID:YTkI/AaLo
女「はいっ、これで大丈夫ですか?」


和尚「ありがとうございます。ではそれをテーブルの中心に置いてもらえますか」


ゴトッ


和尚「悪い気というのは水に反応します。水場は霊が集まりやすいとよく言われているでしょう?あれは正確に言えば間違いで、悪い気に影響された水に、霊が寄ってきているんです」

和尚「このコップの上に手をかざすと…」スッ



コトッ…

ガタッ!!!



女「コ、コップが倒れた!?」
6 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:04:46.61 ID:YTkI/AaLo
和尚「えぇ、私の気に反発して、コップが動きました」フキフキ

和尚「…これは相当、気が集まっていますね。ここまで動いたのは初めて見ました」


女「あ、あの…これって私がやってみても何か起こったりするんですか?」


和尚「いえ、力がないと反応しません。お試しになってみますか?」


女「いえ!だ、大丈夫です!だって私、ここで毎日ご飯食べても何も起こっていないので」




和尚「今日のところは盛り塩をして、気の流れを逆に追い返すように処置しましょう。普通ならこれで解決するはずです」

女「そ、そうですか…良かった、安心しました」

和尚「あと、影を見たという部屋を一応確認させてもらってもよろしいですか?」

女「はい、寝室はこっちです」スクッ
7 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:05:54.50 ID:YTkI/AaLo
スタスタ スタスタ


女「ここです」


和尚「…」


女「あの…どうですか?」



和尚「…」



女「…?あの…」

弟子「すみません。先生は今、この部屋で何かを感じているようです。少し見守っていてください」

女「そ、そうなんですか?」
8 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:07:11.03 ID:YTkI/AaLo
和尚「…」

和尚「…ふう」


女「ど…どうでしたか?」


和尚「…この部屋にカメラを置かせてもらっても大丈夫ですか。機材は全てこちらで手配しますので」


女「カ、カメラですか?」


和尚「えぇ、申し訳ないのですが…まだ直接的な原因は分かっていません。しかし、その片鱗はこの部屋から感じることが出来ました」

和尚「ここの部屋が一番、瘴気が強いようです。カメラというのは人の目に写らないモノを捉えることがあります。上手く行けば手掛かりが掴める可能性がある」


女「わ、分かりました…お願いします」
9 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:09:19.55 ID:YTkI/AaLo
和尚「それと、今日はこの部屋で寝てもらっても大丈夫ですか」


女「えっ!?で、でもっ…」


和尚「はい…先程申したようにここで過ごすと貴女に危害が及ぶ可能性もあります。ですが安心してください。私達がお祓いをしておきますので、今晩だけは直接何かが起こるようなことはないです」


女「…ぜ、絶対安全ですよね?」


和尚「はい、少なくとも命に関わるようなことは万に一つもありません」


女「…」

女「わ、分かりました」
10 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:10:25.59 ID:YTkI/AaLo
▢▢▢▢ 二日目 ▢▢▢▢



ピンポーン


ガチャ



女「…」ブルブル



和尚「…連絡がありましたので、様子を伺いに来たのですが…」

弟子「…」



女「あうっ…カ、カメラに……」ブルブル

女「わ、私…何が映ってるか確認したんです…そ、そうしたら…うつっ…」ブルブル
11 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:11:41.61 ID:YTkI/AaLo
和尚「…映っていたんですね。貴女の家に憑りついているナニかが」

和尚「一人でさぞ恐ろしかったと思います…今回は私のやり方が強引過ぎました。もっと慎重に、貴女の心境も配慮するべきでした」

和尚「…では、昨日、何が映っていたのか見せてもらえませんか。大丈夫です、今日中に決着がつきます」


女「は、はい…」ブルブル




カチッ

ザッ…ザザザッ…ザァ-




女「き、昨日は11時に寝たので、そこから始まってます」

和尚(…既にカメラにノイズがある。もう干渉しているのか?)
12 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:13:21.89 ID:YTkI/AaLo
女「で…最初の数時間は何もなかったんです。で、でも…夜中の3時頃から…」ブルブル

和尚「…大丈夫です。落ち着いて、ここから先の操作は私がやります」ピッ



『3:09』



女「こ、ここです!ここで何か白くて丸いものが窓のところに!」


和尚「…」

和尚(玉響…ではないな。あれはもっと小さい。だが霊にしては姿がハッキリしていない)

和尚(ということは…呪詛の類いか。しかし見たことがない色だな)



女「……」

女「こ、ここから先は…」ブルブル
13 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:14:27.46 ID:YTkI/AaLo
和尚「無理はしないでください。貴女は別の部屋で休んでいた方がいい」

和尚「ここから先は私が一人で見ます。おい、彼女に付いていてやりなさい」


弟子「承知しました」

女「で、でも…」


和尚「…これを言うと取り乱すと思って言い出せなかったのですが、貴女には既にナニかが憑いているんです。恐らく、お母様に憑りついたのと同じモノが」

和尚「昨日と比べてその症状が酷くなっている、原因はこのビデオに映っているのを見たせいでしょう。このままだと取り込まれてしまいます」

和尚「これは警告です。どうか安静にしていてください。私が何とかしますから」
14 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:15:46.63 ID:YTkI/AaLo
女「…っ!?」

女「わっ、分かりました…終わったら、呼んでください」

弟子「さっ、こちらへ」



スタスタ スタスタ



和尚「…」



和尚(映像を見ただけで影響を及ぼす、か。どうやら一筋縄ではいかないらしいな)

和尚(ここから先はかなり危険な領域だろう。あの二人では耐えられない程の)ピッ
15 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:16:39.93 ID:YTkI/AaLo
ザザザッ……ザァー……



『3:15』




女『…』スゥ




ズズズズッ…




和尚「…!」

和尚(…部屋の隅から黒い人影が。なんだこいつは)

和尚(これも霊ではない…呪詛なのか?しかし人型の呪詛など…)
16 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:17:35.13 ID:YTkI/AaLo
ズズズズッ

ガパッ



女『…!んっ』モゾッ




和尚(彼女の口から何かを入れている…状態が悪化していたのはこの為か)

和尚(…生霊の線も出てきたな。明らかにこの影からは意思を感じる。誰かが操っているはずだ)

和尚(だが、昨日…この部屋は祓い、彼女には結界を張ったはずだ。それにまったく動じていないのはどういう…)



ズズズズッ…



女『んっ…』スゥ
17 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:19:40.25 ID:YTkI/AaLo
和尚(…終わったようだな。影が消えてゆく)




ズズズズッ……



和尚「…」

和尚「…!」




『カ………ミ………カ…………マ…………』ジロッ





和尚「!?」ゾワッ

和尚(こ、こいつっ…カメラに気付いて…)
18 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:20:44.78 ID:YTkI/AaLo
和尚「ふぅっー…ふぅっー…」ダラダラ

和尚「な、何年振りだ…冷や汗をかいたのは。あの感覚…これは早急に手を打たないと不味い」

和尚「いや…もう全て手遅れかもしれないな。その時は―――」









ガチャ



和尚「…」

女「ど、どうでした…?」

和尚「あの映像はどこまで見ましたか?」

女「えっ…あ、あれですか?黒い物が見えた辺りで気分が悪くなって…すぐに和尚さんのところに連絡したんですけど」
19 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:21:55.39 ID:YTkI/AaLo
和尚「そうですか、良かった」

和尚「今からすぐにお祓いをします。この家に住み着いている"モノ"を追い出すので、準備を」

弟子「はっ」


女「えっ、今すぐにですか?」


和尚「はい、事態は一刻の猶予を争います。日が昇っている今ならまだ…間に合うかもしれません」

和尚「任せてください。必ず貴女を守って見せます」


女「…わ、分か…りました。お願いします」
20 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:23:21.65 ID:YTkI/AaLo
チリーン チリーン



和尚「…」ブツブツ

弟子「…」ブツブツ



女(…念仏かお経のようなものを唱えているけど、これが本当のお祓い)

女(昨日は部屋に塩を盛って、少し唱えた程度で終わったけど、今回は仏壇や色々な道具が置いてあって…この場にいるだけで圧迫されそうになる)

女(こ、これなら…何とかなるかも。そんな安心感がどこか湧いてくる)



和尚「…!」ブツブツ

弟子「…!」ブツブツ



女(唱える速度が上がった…すごい迫力、さっきまでの優しそうな人とは思えない)

女(あれ?なんだろ、この感覚。何か、来るような)
21 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:24:15.99 ID:YTkI/AaLo
ドンッ!!!!



女「」ビクッ

女「ろ、蝋燭が落ちた!?」



和尚「落ち着いてください!決して取り乱さないように!!」

和尚「来るぞ!気を張れよッ!!」


弟子「ハイッ!」グッ




女「…っ!」グッ




ズズズズッ……




女「!?」

女(な、に……黒い影みたいなのが天井に…)

女(あれって……ビデオに映ってた…!)
22 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:25:05.31 ID:YTkI/AaLo
和尚「お出ましたか…!一気に畳みかけるぞッ!!!」

弟子「は、はいっ…!!」



ズズズズッ……

ズズッ……



弟子「うグッ…あぐッ……」フラッ

和尚「しっかりしろッ!取り込まれるぞ!」

弟子「は、イッ…」



女(か、影が…和尚さんのお付きの人のところに…)

女(これって…かなり危ない状況なんじゃ)
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 23:25:41.43 ID:IenOLcLSo
頑張れー
24 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:25:52.05 ID:YTkI/AaLo
弟子「」フラッ


バタッ


和尚「おいっ!しっかりせんか!おいっ!!」

和尚「く…駄目か。ならば」スッ

和尚「スー…」クイッ


和尚「セイッ!!!!!」クンッ




ズズズズッ…ズズズズッ…




女(…!影が怯んでいるように見える!効いてるのっ!?)
25 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:27:07.96 ID:YTkI/AaLo
和尚「スーッ…セイッ!!!!スーッ…セイッ!!!!」

和尚「セイッ!!!!セイッ!!!!!」



ズズズズッ……



女(か、影が消えかけて…!これなら!)



和尚「スーッ」

和尚「セイイイイイイイイイイイッッッッッ!!!!!!!!」グンッ



ズズズズッ…

シュンッ



女「!!!!」

女(か、影が消えた!!!!)
26 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:28:03.58 ID:YTkI/AaLo
和尚「フーッ…フーッ...」

和尚「お、おい…意識を保て、私の声が聞こえるか?」

弟子「あっ…は、はい……」フラッ

和尚「そうか…これで…」


女「あ、あの!成功したんですか?」


和尚「はい、何とか…祓うことに成功しました。これで解決したはずです」


女「よ、良かった…終わったんですね。これで」
27 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:28:45.87 ID:YTkI/AaLo
和尚「えぇ、かなり手強い相手でした…一歩間違えば、こちらも…」

和尚「後は…仕上げに結界を張れば、いつも通りの生活に戻れると思います」


女「あの、今回は本当にありがとうございました!和尚さんがいなかったらと思うと!」


和尚「いえ…これが私達の仕事ですので。今日のところはお休みさせてもらっていいでしょうか。こちらもかなり力を使わされたので」

和尚「明日の昼に…結界を張りに伺います」


女「はい!本当にありがとうございました!!」
28 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:29:27.02 ID:YTkI/AaLo
▢▢▢▢ 三日目 ▢▢▢▢



チッ…チッ…チッ…



女「…」ソワソワ

女(…和尚さんたち遅いな。昼に来るって言っていたけど、もう夕方、何か急用でもあったのかな)

女(それにしても…昨日の夜は本当によく眠れた。あそこまで熟睡出来たのは久しぶりかも。またお礼言っておかないと)



ピンポーン



女「…来た!」ダッ
29 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:30:28.68 ID:YTkI/AaLo
女「はーい」ガチャ




霊能少女「…」




女「?」

女(あ、あれ?和尚さんじゃない?眼帯を付けた、中学生くらいの女の子)




霊能少女「…どうも、和尚の代わりに来た」




女「か、代わり?和尚さんに何かあったんですか?」
30 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:31:02.72 ID:YTkI/AaLo






霊能少女「和尚は死んだ。今朝にぽっくり」






女「………えっ」





31 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:32:01.11 ID:YTkI/AaLo
女「えっ…う、嘘だよね?和尚さんが、なんで…...」

女「だ、だって昨日は私の家でお祓いしてくれたのに……そのお祓いも成功して」



霊能少女「結果的に言うとお祓いは成功した。でもその元を絶つまでには届かなかったってこと」

霊能少女「和尚は…ここの家に憑いている何かに取り込まれて死んだ…お弟子さんも一緒にね」



女「お、お弟子さんって…あの人も一緒に…...」ブルッ

女「そ、そんなことって、だって昨日は何も起きなかったのに…!どうしてっ…!」
32 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:33:04.30 ID:YTkI/AaLo
霊能少女「簡単なこと。アナタがゆっくり寝ている間に、ソイツは和尚のところに行っていた」

霊能少女「…あの人をいとも簡単に憑き殺すなんて、かなり強力な力を持っている。和尚も計算外だったと思う、まさか自分のところにまで被害が出るなんて」



女「うあっ…ど、どうすれば……お、和尚さんたちも死んだってことは…つ、次は私か、お母さんの番」

女「あ、ああああああああっっっっっっ!!!!!!!」グッ







スッ…


女「」ピクッ

霊能少女「落ち着いて、アナタとその家族には手出しさせない。そのためにワタシが来た」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 23:33:47.46 ID:IenOLcLSo
やっぱそうなっちゃったか…
34 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:37:33.48 ID:YTkI/AaLo
霊能少女「和尚に跡を継ぐように託されたからね…あの人には何度かご飯をご馳走になったし、恩がある」

霊能少女「必ず、この件はワタシが解決する。そしてアナタたちを守る」


女「っ…!」

女(な、なんだろう…この子の瞳は…凄く綺麗)

女(…確かな意思と力が感じられる。言葉では説明できない、でもそこには…恐怖にすら近い安心感が湧いてくる)



霊能少女「とりあえず、家の中を案内して。色々見ておきたいものがある」
35 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/09(金) 23:38:52.01 ID:YTkI/AaLo
今日はここまで
恐らくスレタイとここまでの展開で分かる人は元ネタに気付くと思います
大体あんな感じで進みます
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 02:30:56.76 ID:frD3ICiJ0
面白いss発見を見つけました、霊能者が手も足も出ずに呪殺されるとか、ホラー映画の呪怨並みやばい家ですねこの家
続きを楽しみしてます 頑張ってください
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 08:26:26.31 ID:XmmwVePE0
消えろ花子
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/10(土) 11:10:56.45 ID:6fXBJx1SO
『カ………ニ………カ…………マ…………』ジロッ





和尚「!?」ゴクッ
39 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:38:26.69 ID:ONxvrWWwo
ガチャ


女「こ、こっちです」

霊能少女「…」

女「ここがお祓いをした部屋で…お祓いの最中に弟子の人が倒れて、もうダメかと思ったんですけど、最後は和尚さんが」

霊能少女「…」

女「な、何か感じたりします?」

霊能少女「別に」


女「…そうですか」
40 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:40:33.63 ID:ONxvrWWwo
女「ここが…和尚さんが一番力を感じた部屋だと言っていました。それでここの部屋でカメラを回して」

霊能少女「その映像ならワタシも見た…今までに見たことのない種類だったから、色々興味深いモノだった」

霊能少女「あの影は呪詛の一部で間違いない。でも呪いの類いにしては意思があった。ってことは…誰か黒幕が存在するはず。この家に呪詛を飛ばして、和尚も殺した黒幕がね」

女「く、黒幕って…!誰がそんなことを!」

霊能少女「…さあ、そこまではワタシも分からない。でも直に、そう遠くないうちに真相が分かると思う」


女「…」

女「あの、この部屋を見て何か感じませんか?和尚さんはしばらく立ち尽くしていたんですけど」


霊能少女「別に、フーンって感じ」


女「フーンって…」
41 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:41:46.93 ID:ONxvrWWwo
女「一通り部屋は見回りましたけど…何か感じたりしました?」


霊能少女「特に何も」


女「そ、そうですか…」

女(な、なんだろう。この子…初めて会った時は只者じゃない気がしたけど、よく見ると普通っていうか)

女(和尚さんは人とは違うオーラ…?っていうのかな。そんなのが感じられたけど、この子からはそんな感じがない)

女(っていうか、さっきから気になっていたけど…なんで眼帯してるんだろ、ものもらい?)
42 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:43:11.81 ID:ONxvrWWwo
霊能少女「何か?」


女「あ、あのっ…えっと…」ピクッ

女「な、なんで眼帯してるのかなぁ…って。目の病気か何かだったりするんですか?」


霊能少女「…あぁ、これ」スッ

霊能少女「別に、そこまで深い意味はない。ただこれを付けていると気付かれにくいってだけ」


女「…気付かれにくい?」



霊能少女「それより、手伝ってもらえると助かる。今からこれを設置するから」ドサッ

女「えっ…な、なんですかそれ」
43 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:44:43.29 ID:ONxvrWWwo
霊能少女「監視カメラ、とりあえずお風呂とトイレ以外の全て部屋に置かせてもらう」

霊能少女「敵はどこから来るか分からない。目はなるべく多い方がいい」


女「は、はぁ。分かりました」




カチャカチャ カチャカチャ




女(監視カメラ…か。和尚さんも使っていたけど、そんなに便利なのかなこれ)

女(確かにあの時はバッチリ撮れてた。でもカメラに幽霊みたいな超常的なモノが映るなら…もっと本物っぽい心霊動画とかあってもおかしくないと思うんだけど)

女(…あれ?全部の部屋に付けたけどカメラが余ってるな)
44 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:45:49.90 ID:ONxvrWWwo
女「すみませーん。カメラが余っているんですけど、まだ設置する場所とかあります?」


霊能少女「あぁ、それは玄関先のところにお願い」


女「玄関先って…外にも監視カメラを置くんですか?」


霊能少女「念のために、ね」



女(念のために、か。あの影みたいなのが正面の玄関からこんにちはでもしてくるのかな)

女(場所は…ここでいいかな?…ん?)ピクッ
45 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:46:27.61 ID:ONxvrWWwo
婆「…」ガサゴソ







女(…またあの人、家の前をウロウロしてる。不気味だなぁ)

女(まるで幽霊みたい…って、笑えないな。今の状況だと)







婆「…」ガサゴソ
46 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:47:47.60 ID:ONxvrWWwo
女「カメラ全部設置完了しましたー」

霊能少女「…ありがと。後はパソコンに繋いで」ッターン



パチッ



女「おぉ…すごい」

霊能少女「これでこの家を24時間監視できる。どんな隙も見逃さない」

女「な、何か結構ハイテクなんですね。霊能者の人ってもっとアナログ的な感じだと」

霊能少女「…あいつらも時代に合わせて変化している。今のご時世だとこのくらいは機械に頼らないとやっていけない」
47 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:48:56.83 ID:ONxvrWWwo
女「でも一つのモニターで全部の部屋を見るって大変じゃないですか?そこの下の方の部屋とか一瞬何かが映っても見逃しちゃいそうですし」


霊能少女「問題ない。例え玉響の一つでも、ワタシの目は見逃すことはない」


女「…たまゆら?」


霊能少女「俗に言うオーブ、ってやつ」


女「あー…あの埃みたいのですか」
48 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:49:47.55 ID:ONxvrWWwo
女「まだ監視カメラには何も映ってないですけど、オーブって普通の家にもいるものなんですか?」

霊能少女「視認出来るタイプは一般家庭にはあんまりいないけど、小さいやつならごまんといる。それこそ埃と同じくらいに」

女「えっ…そ、そんな身近に?」

霊能少女「悪影響はほぼないから気にすることはない。精々リモコンを隠すくらいの悪戯しか出来ないから」


女(…あれってオーブの仕業だったのか)




霊能少女「…さて、一段落済んだことだし、さっそく始めよう」


女「始める?何を?」
49 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:50:41.30 ID:ONxvrWWwo






霊能少女「除霊、アナタの中にいるモノを追い出す」






女「えっ」





50 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:51:53.52 ID:ONxvrWWwo
女「え、えっ…わ、私にまだ何か憑いているんですか!?」

霊能少女「和尚に言われなかった?ワタシにも具体的には分からないけど、アナタには変なモノが憑いている」

霊能少女「大丈夫、すぐ終わるから。服を脱いで」

女「え、ふ…服を脱ぐって、何をす―――」


ヌギィ


女「ひぃ!?」


霊能少女「っ!」グッ



ニュルッ
51 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:53:35.15 ID:ONxvrWWwo
女「えっ!?ちょっ…!は、入って…これ!?背中に腕がぁ!!!!」

女「どうなっているんですかぁ!!!!!!」


霊能少女「落ち着いて、別に変なことはしていない。すぐ戻る」グイッ


女「い、いやすぐ戻るって!!!めちゃくちゃ体内で動いてる感触がするんですけどぉ!!!」


霊能少女「…捕まえた」グイッ


ニュルッ

パッ


女「っ!?」ビクッ

女「あ、あれ…ほ、本当に何でもない。確かに腕が体の中に入ってた感覚があったのに」サワッ
52 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:54:41.38 ID:ONxvrWWwo
霊能少女「…こいつか」ポイッ



ピチピチッ ピチピチッ



女「!?」ビクッ

女「え、な、なにこれ…これが私の中に?」



シュゥッ…



女「き、消えた…」

女「さっきの黒いピチピチしてたミミズみたいなのが私の中に入ってたんですか!?一体何なんですかあれ!!」
53 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:56:06.04 ID:ONxvrWWwo
霊能少女「さあ、ワタシにもアレが何なのか分からない。あれも今まで見たことがないタイプだった」

霊能少女「…面白い、これを仕掛けたやつがどんなヤツか知らないけど、いい度胸してる」


女「面白い?」ピクッ


霊能少女「…」

霊能少女「ごめん、今の言葉は不謹慎だった。訂正する」



女「…っ!」ハッ

女「ちょ、ちょっと待ってください!私にもあの変なのが憑いていたってことは…病院にいるお母さんは大丈夫なんですか!?」
54 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:57:24.67 ID:ONxvrWWwo
霊能少女「…恐らく、アナタよりも影響を受けている可能性が高い。和尚もあの呪詛にやられたと見て間違いないと思う」

女「そ、そんな…は、早く病院に行かないと」ダッ

霊能少女「待って、もう病院の面会時間は過ぎているはず。今から行っても間に合わない」


女「で、でも…!」フラッ

女「!?」バタッ


女(な、なに…立ちくらみが。それに何だか身体がすごく重い)
55 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 18:58:48.29 ID:ONxvrWWwo
霊能少女「強制的に追い出したから、アナタの身体にも負担がかかっている。今日はすぐに休んだ方がいい」

霊能少女「…明日にはすぐ病院に向かうから、今は自分を休めることを先決にしてほしい」


女「…っ!わ、分かりました」






霊能少女「そうだ、ひとつ言い忘れていた」

霊能少女「これから事象が解決するまで、この家に住み込みさせてもらうけど…構わない?」


女「えっ…?ここに泊まるんですか?」
56 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 19:00:59.44 ID:ONxvrWWwo
霊能少女「そう、何か問題はある?」

女「いえ…こちらとしては一人だと不安だったので、むしろ嬉しいんですけど」




霊能少女「それなら良かった。じゃあこれから短い間だけどよろしく」

女「は、はい…よろしくお願いします」










女(…私はまだ気付いていなかった)

女(今まで起きた現象すらも序章に過ぎない…想像を遥かに超えた、狂気と絶望が、この先に待っていたということに…)
57 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 19:01:40.53 ID:ONxvrWWwo
今日はここまで
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 19:21:45.03 ID:frD3ICiJ0
面白かったです、後質問ですけど更新は1日1回のペースと考えて良いのでしょうか?
59 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/10(土) 19:51:37.65 ID:ONxvrWWwo
>>58
書き溜めが終わるまでは大体そんな感じになると思います
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 19:53:37.73 ID:frD3ICiJ0
回答感謝します、明日も楽しみしてるので頑張ってください
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 21:47:47.12 ID:/CVO0A37o
王道に面白い
続きが待ち遠しいね
62 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 18:51:07.37 ID:rINUyyQHo
▢▢▢▢ 四日目 ▢▢▢▢



女「あの、すみません。面会に来たんですけど」

霊能少女「…」



女(あの後、自分でも驚くほどに、まるで死んだようにすぐ眠りについた)

女(その間に怪奇現象等は起きていなかったらしい。新しく結界を張ったらしいから、向こうも様子見していると)

女(…このまま何事もなく、解決してほしいんだけどな)


女「お母さん?入るよ」コンコン
63 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 18:52:28.12 ID:rINUyyQHo
母「」スースー



女「寝てる…起こした方がいいですか?」



霊能少女「いや、むしろ眠っていてくれた方が都合がいい。あまり人に見せるものでもないし」スッ

霊能少女「…っ」ピクッ


女「…あの、どうかしました?ジッと固まって」


霊能少女「…これは、かなりマズい状況かもしれない」


女「えっ…ど、どういうことですか!」
64 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 18:54:55.10 ID:rINUyyQHo
霊能少女「呪詛が魂を喰らってる。このまま引き剥がすと、この人の魂まで傷付いてしまう」

霊能少女「…それに、アナタ以上に状態が酷い。このままだと…あと十日で命を落とす」


女「!?」

女「と…10日って!!!!母は過労で入院してて、明後日には退院予定ですよ!?」


霊能少女「…アナタも薄々気付いているはず。自分の母の命が危ないことに」

霊能少女「これは紛れもない事実、どうにかして呪詛を飛ばしてきた犯人を特定して、拘束しないと…最悪の結果は避けられない」


女「そ、そんな…」
65 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 18:56:21.26 ID:rINUyyQHo
霊能少女「でも、その結末はあり得ない。なぜなら…ここにワタシがいるから」

霊能少女「昨日も言ったけど、アナタたちは必ず守る。この命に代えても…だから安心してほしい」


女「…ほ、本当ですか?」

女「本当に……は、母は助かるんですか」


霊能少女「それだけは断言できる。今はとりあえず、この水を毎食後に飲ませてほしい」ガサゴソ


女「み、水?」


霊能少女「この水は私の力で清められている。本来ならこれを飲むだけで呪詛が消えるはずだけど…多分、今回は通じないと思う」

霊能少女「それでも…症状を和らげるくらいには使えると思うから、使ってほしい」
66 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 18:57:48.83 ID:rINUyyQHo
女「あ、ありがとうございます…あの…無料、ですよね?」


霊能少女「もしかして、疑っている?」


女「い、いえ!全然水とかちょっと詐欺っぽいなとか思ってないです!ありがたく使わせていただきます!」


霊能少女「…じゃあ、ワタシは先に家に帰らせてもらう。録画してあるカメラの映像も確認しておかないといけない」

霊能少女「アナタはもう少し、母親に付いていてあげてほしい。本人も少なからず異変には気付いているはず…不安だと思うから、一緒に居てあげて」



女「わ、分かりました!ありがとうございます!」

女(な、なんだろ…ドライな性格かと思ったら、結構優しいような…)


女「…...」


女(そりゃそうか。自分の身を挺してまで私たちを守ってくれる。そんな仕事をしてる人が…優しくないわけないもんね)
67 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 18:58:55.17 ID:rINUyyQHo
…………………………………………………………………
……………………………………………



女「すみませーん!遅くなりました!」ガチャ


霊能少女「…ん」ジー


女「母と話してたら、こんな時間になっちゃって…あの!まだご飯食べてないですよね?」


霊能少女「…まだ、だけど」


女「じゃあ私が作りますね!こう見えても料理だけは得意なんで!」


霊能少女「…ありがと」


女(こんなに私たちのことを思ってくれているんだ。私も少しは役に立たないと)
68 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 18:59:56.23 ID:rINUyyQHo
モグモグモグモグ モグモグモグモグ



霊能少女「…」モグモグ



女「…」

女「よ、よく食べますね…」



霊能少女「力を使うとエネルギーが不足する。食べて蓄えないと」モグモグ



女(…そんなに食べて太らないなんて羨ましい)

女「…あの、先生」



霊能少女「…先生?」ピクッ



女「あっ、すみません。なんて呼べばいいか分からなくて…先生じゃダメですか?」
69 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 19:01:42.22 ID:rINUyyQHo
霊能少女「…別にいいけど。アナタはワタシより歳が上、そんなに謙遜する必要はない」


女「い、いえ!お世話になっているんですから…先生で行かせてもらいます!」


霊能少女「そう、まあ好きにしたらいい」



女「…」


霊能少女「…」モグモグ



女「…ひとつ、質問してもいいですか?」


霊能少女「何?」


女「先生は…どうしてこの仕事を?まだ学生ですよね」

女「こんな…和尚さんみたいに、自分も犠牲になる可能性もあるのに…普通の人はやらないと思うんですけど」
70 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 19:02:40.27 ID:rINUyyQHo
霊能少女「…別に、人に語れるような大層なモノは持ち合わせてない」

霊能少女「ワタシが力を持っていたから、それを人の役に立てているだけ。それがこの仕事を続けている理由…あとは…」

霊能少女「…いや、何でもない。本当にただこれだけ」


女「…それでも立派だと思いますよ。現に私の命の恩人みたいなものですし


霊能少女「そう言われると…ちょっと照れる」

霊能少女「ん」ピクッ



霊能少女「…来たか」



女「…え?」
71 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 19:04:13.72 ID:rINUyyQHo
ドンッ!!!!!!!ドンッ!!!!!!!



女「!?」ビクッ

女(な、なに…壁を叩くような音が)

霊能少女「向こうが痺れを切らして出てきた。どうやら私も一緒に呪い殺す気らしい」

女「えっ!?」

霊能少女「ちょうどいい。こっちから誘う気だったけど、向こうから攻めてくるなら手間が省ける」

霊能少女「そこに座って。アナタを囮にして、呪詛を捕獲する」

女「ほ、ほかくっ!?それに囮って…だ、大丈夫なんですか!?」

霊能少女「問題ない、ワタシを信じて」



女「…」



女「わ、分かりました。失敗しないでくださいね」

霊能少女「任せて」キュッ
72 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 19:05:30.29 ID:rINUyyQHo
霊能少女「…」ブツブツ


女「…」ゴクリ


女(呪文みたいなのを唱えた瞬間に、壁を叩く音が止まった)

女(これで終わり…じゃないよね。絶対に)


霊能少女「…気を付けて、姿を現す。アナタを取り込もうとしてくるから、絶対に意識を渡さないで」ボソツ

女(意識を…渡す?)



ズズズズッ…



女「」ビクッ

女(あ、あの影だ…ビデオの…お祓いの時にも現れた…!)
73 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 19:07:06.30 ID:rINUyyQHo
女(うっ…こ、怖い。全身に鳥肌が立つ…警戒信号のようなものが頭の中で鳴り響いている)

霊能少女「今から目をつぶって、大丈夫、ワタシが付いているから。眠るように一点に意識を集中して」

女(集中…)グッ



スウッ……











ザワザワザワザワザワザワッッッッッッ!!!!!!!!!!!!


女「!?」

女「い、いやっ…こ、来ないで!やぁっ!!!!」バタバタ


女(か、影がこっちに…いやっ、怖い!!!!!)
74 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 19:08:29.69 ID:rINUyyQHo
霊能少女「目を逸らさないで、ちゃんとしっかり姿を捉えて」

霊能少女「今、ワタシはアナタの意識を通さないと呪詛を認識できない。狙われているアナタだからこそ、そいつと対面できる」

霊能少女「正面から見て、どんな姿をしているか教えてほしい。人間の形をしている?」


女「うぁっ…あっ…」

女(い、いやっ…あ、あれをまともに見るなんて…で、出来ないっ!!無理いっ!!!)ブンブン


霊能少女「…しっかりして、アナタがやらないと…母親が死ぬことになる。勇気を出すのは一瞬だけでいい。その一瞬が、アナタの一生になる」


女(…ッ!)

女(い、一瞬…一瞬だけ見れば…)チラッ
75 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 19:09:46.03 ID:rINUyyQHo
ギョロ!!!!!!!!





女「う、うわあああああああああああああ!!!!!!!」




『……ケテ………テ………』




霊能少女「落ち着いて、何が見えたの?」

女「お、女の人っ…か、髪が長くて…お腹が膨れていて!やっ…見返して来たっ!!こ、来ないでぇ!!!!!」

霊能少女「…お腹が膨れている…妊婦?」

霊能少女「…もうこれ以上は無理か。仕方ない、ちょっと強引だけど捕まえる」
76 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 19:11:01.58 ID:rINUyyQHo
霊能少女「」ブツブツブツブツ

霊能少女「…もう目を開けてもいい。今度はワタシの目をよく見て。瞳の奥まで」スッ


女「え…?」パチッ

女(…あれ、眼帯を外して―――っ!?)





ゾクッ!!!!!!





女「うぷッ!?うっ…うっ……」グッ

女「お、おえええええええええええ!!!!!!」ビチャッ


霊能少女「よし、成功」スッ

霊能少女「こいつが憑いていた呪詛か」グイッ
77 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 19:12:53.70 ID:rINUyyQHo
女「はぁっ…はぁっ…な、何が……」

女「わ、私…吐いて……」ハァハァ


霊能少女「そう、憑いていた呪詛を吐き出した。これがアナタの中にいたやつ」グイッ



『』ピチピチ



女「!?」


霊能少女「捕獲は成功、こいつはこの瓶の中に入れておけば逃げ出せない。後で調べて、呪いを実行した人物の居場所を特定する」キュッ

霊能少女「アナタも休んだ方がいい。何と言っても二日連続で体内から異物を取り除いたから…かなり負担になっているはず。無理をさせて申し訳ない」


女「そ、そうですか…成功したんですね。良かった…」

女「…あの、また一つ聞いてもいいですか」
78 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 19:14:17.15 ID:rINUyyQHo
霊能少女「何か?」


女「その眼帯って…力を抑えておくものだったりするんですか?」

女「さっき眼帯を外した方の目を間近で見た時に…何ていうか、今までに体験したことがない物凄い圧迫感を感じたような気がして」


霊能少女「あぁ、これ。昨日も言ったけど、そこまで深い意味はない」スッ

霊能少女「ただ、ワタシ達のような仕事をしていると、目には不思議な力が宿るようになる」

霊能少女「霊的な存在はそれを見るだけで警戒してくるから、油断させる為のカモフラージュみたいなもの」
79 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 19:15:23.85 ID:rINUyyQHo
女「へ、へぇ…じゃあ目を隠すものなら何でもいいんですか?眼鏡とか、サングラスとか…」


霊能少女「それでも構わない。直接見られなければいいだけだから」

霊能少女「それが何か?」


女「いや…眼帯って結構目立つから変えた方がいいんじゃないかなーとか思ったり。本当にどうでもいいことなんですけど」


霊能少女「…そんなに目立つ?」


女「えぇ、かなり…」


霊能少女「…検討する」
80 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/11(日) 19:16:20.15 ID:rINUyyQHo
今日はここまで
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 19:23:08.54 ID:DWFvP55v0
今日も面白かったです、明日も楽にしてます
82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/11(日) 19:23:34.11 ID:5/qvJqwBo
霊能少女でもしかして…って思ったらやっぱり幼女幽霊の人か

83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 05:34:53.06 ID:LAIFOKRgO

期待
84 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/12(月) 22:04:47.02 ID:90y3uA2Ao
▢▢▢▢ 五日目 ▢▢▢▢



女「Zzz…Zzz…...」

女「Zzz……ん」パチッ


女「ふわぁ……あー…よく寝た…今何時だろ……」チラッ


『13:00』


女「!?」



ダダダダダダダダダッ!!!!!



女「す、すみません!!!!寝過ぎましたっ!!!!」


霊能少女「…ん、気にする必要はない。ここ二日はずっと忙しかったし、半日以上寝込んでても不思議じゃない」
85 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/12(月) 22:06:17.20 ID:90y3uA2Ao
女「あの…先生は今日どれぐらい休んだんですか?」

霊能少女「…3時間ぐらい?今は休んでいた時のビデオと、現在進行形のを同時でチェックしている」

女「ご、ごめんなさい…何か自分だけこんなに寝ちゃって…何か手伝えることはないですか?」

霊能少女「気にする必要はない。アナタは依頼者であり、被害者なんだから。私もお金を貰ってこの仕事をしているわけだし」

霊能少女「それより、今日も母親のお見舞いには行った方がいい。帰ってきたら話したいことがある」


女「え…今じゃダメなんですか?」


霊能少女「少し長くなるからいい。それに、少なからずアナタの心境に変化を与える可能性があるから」


女「…!」

女「わ、分かりました…いってきます」


霊能少女「…ん、いってらっしゃい」
86 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/12(月) 22:07:44.94 ID:90y3uA2Ao
……………………………………………………………………
………………………………………………



女「……」スタスタ


女(今日もお母さんは変わらずに元気そうだった。残りがあと9日しかなんて信じられないぐらいに)

女(先生はきっと、気を使ったんだと思う。私ってすぐ顔に出るタイプだし、不安な顔をしているところをお母さんに見せないために)

女(…話って何だろう。あの影に関することで何か分かったのかな)


女(……ん?)




婆「…」




女(…まただ。向かいのお婆さん。何の意味があるわけでもなく、家の周りをウロウロしたり、水を撒いたりしている)
87 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/12(月) 22:09:23.32 ID:90y3uA2Ao
女(…お母さんの話によると、昔は普通の人だったらしい。でもある時期から宗教にハマったみたいで、私が物心付いた頃にはもう変なおばさんという認識だった)

女(…目を合わせないように行こう)スタスタ




婆「…」ジー











ガチャ


女「今帰りましたー」


霊能少女「…ん、おかえり」
88 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/12(月) 22:10:13.11 ID:90y3uA2Ao
女「母の様子はいつもと変わりなかったです。体調も、特に変化はないそうで…一応水は飲ませておきました」

霊能少女「そう、それは良かった。とりあえず、病院にいる間は期限が来ない限りは安全ってことになるか」

女「…本当に母はあと9日で…死ぬんですか?とてもそんな風には…...」

霊能少女「それだけは間違いない。今は時限爆弾を付けているのと同じ状態だから、わざわざ手を下すまでもないって考えているんだと思う…どうにかしてその爆弾を外さないと」


女「…そうですか」

女「あ、作っておいたお昼は食べてくれました?」
89 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/12(月) 22:11:11.67 ID:90y3uA2Ao
霊能少女「…ん、結構美味しかった。ありがとう、ただちょっと量が足りなかった」チラッ


女(二人分は作ったのに…あれでも足りないのかぁ…)

女「わ、分かりました!明日はもっといっぱい作ります!」


霊能少女「別に無理に作る必要はない。アナタも身を削る日々を過ごしている。食事くらいは自分で何とかできる」


女「いえ、私が作ります!私だって…何かお手伝いしたいですし」

女「それに、自分の手料理を人に食べてもらうのって結構楽しいもんですよ」


霊能少女「…そう」
90 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/12(月) 22:12:45.17 ID:90y3uA2Ao
女「あのそれで…話ってなんなんですか?帰ってきたら教えてくれるって言ってた…」

霊能少女「あぁ、その件。今から私も話そうと思っていた」

霊能少女「まずこれを見てほしい」スッ


女「…?それって…昨日、先生が私が吐いたやつを中に入れた瓶ですよね?」


霊能少女「そう、昨日の夜、アナタが休んだ後にこいつを調べようとしたら…」キュポン

霊能少女「…いなくなっていた。不覚だった、これはワタシのミス。申し訳ない」


女「えっ…なくなったんですか?」


霊能少女「この瓶は霊的な存在を封じ込める道具、一度閉じたら、外部から干渉することなんて出来ないはず」

霊能少女「…と、なると、消えた理由は二つにまで絞り込める」
91 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/12(月) 22:13:51.55 ID:90y3uA2Ao
霊能少女「消滅したか、自力で逃げたか…どちらにしても、アナタが見た妊婦のような姿をしている女が手引きしたに違いない。その女に心当たりはある?」


女「…すみません。まったくと言ってないです」

女「顔は…髪で隠れて見えませんでしたし、知り合いに妊婦の人もいませんし…」


霊能少女「…そう、まあこれで誰か分かれば苦労はしない。じゃあ次の話に行こう」


女「え?まだあるんですか?」


霊能少女「昨日、あの呪詛を捕獲した時刻と…その次の日の朝五時に、カメラに奇妙なものが映っていた」


女「!?」
92 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/12(月) 22:15:38.58 ID:90y3uA2Ao
霊能少女「これを見てほしい。まずは捕獲時の映像、外は暗いけど明度を弄って見えやすいようにしてある」カチカチ




『』ジー




女「あれ、これって…うちの庭…」





『』ユラッ





女「!?」ビクッ

女「あ、あれ!!!誰かが庭に入って…!私達を見ている!?」


霊能少女「どうやらそうみたい。私も気付かなかった。あの時、私達は誰かに外から見られていた」

霊能少女「そして朝の五時…もう一度、それらしき人物が庭に入ってきている」カチッ
93 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/12(月) 22:17:06.80 ID:90y3uA2Ao
『』ユラッ




女「ひっ…」

女「こ、この人が…!私達に呪いをかけた人物なんですか!?」


霊能少女「その可能性が高い。こちらも本人が直接やってくるとは思わなかった」

霊能少女「さて、もうちょっとここの映像の明度を上げてみる」カチッ

霊能少女「そうすると…ここのカメラの位置からだと、本人の顔は見えないけど…窓に反射している姿がハッキリ写るようになる」


カチッ


霊能少女「はい、この人物に心当たりは?」



女「…!!!!」

女「こ、この人って…!」
94 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/12(月) 22:18:02.87 ID:90y3uA2Ao






婆『…』






女「む、向かいに住んでる…お婆さん…!」





95 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/12(月) 22:18:29.74 ID:90y3uA2Ao
今日はここまで
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 22:23:07.22 ID:ORi6sn3i0
やっぱりとなりお婆さん事件に関わっていたか、今回も楽しませて貰いました明日も楽しみしてます
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 23:36:26.04 ID:1JzUcB7fO

面白い
98 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/13(火) 20:22:38.65 ID:9Oxe9hMgo
▢▢▢▢  六日目  ▢▢▢▢



女「……」

女「まさか…あのお婆さんが……」






……………………………
…………………………………………………




霊能少女『…向かいに住んでいる人?』

女『は、はい…近所でも有名なちょっとおかしい人で…』

女『でも全然怨まれるようなことはしてないです…本当に、ただ向かいに住んでいるってだけの認識で…』

霊能少女『そう、とりあえず犯人が特定できて良かった。これで後は本人に追及するだけ』

女『い、今から行くんですか?あの人の家に…』

霊能少女『…いや、少し様子を見ようと思う。次はその向かいの家を見張る』
99 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/13(火) 20:24:12.92 ID:9Oxe9hMgo
霊能少女『ここ数日の動きを見るに、必ず近いうちにまた動き出す。その現場を押さえて、言い逃れができないように追い詰める』

霊能少女『アナタにも少し手伝ってもらうことになるけど…構わない?』


女『……』

女『…分かりました。私は何をすればいいんですか?』






………………………………………………………
…………………………………………




女「…」ジー

女(…私の仕事は…あの家を見張ること。不審な動きをしているかどうかを…)

女(先生は外であの人についての情報がないか、聞き込みに行った。もし動きがあったら、すぐに連絡するように言われてある)
100 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/13(火) 20:25:34.47 ID:9Oxe9hMgo
女(…なんで私達に呪いなんか…何もしてないのに)

女(何か理由があるのか、それとも―――)





婆「…」ユラッ





女「…!」

女(そ、外に出てきた!先生に知らせないと!)ポチポチ


『お婆さんが出てきました。どうすればいいですか?』

『行動は全てカメラで撮っておいて。まだ日が昇ってるし大丈夫だとは思うけど、もしこちらに危害を加えるような動きが見られたらすぐ私に知らせて』


女「…」ゴクリ
101 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2018/03/13(火) 20:26:53.93 ID:9Oxe9hMgo
女(…そうだ。今、私は一人…先生がいないと無抵抗のまま何も出来ない…)

女(そう考えたら急に怖くなってきた…!お願い!何もしてこないで…!)ギュッ





婆「…」フラフラ

婆「…」パシャパシャ





女「…?」

女(あれは…自分の家の水を撒いている?まだそんな季節でもないのに)

女(そういえば…あの人、どの季節でもよく家の周りに水を撒いてたな。意識をしてなかったから気にも留めてなかったけど、よく考えるとおかしい)


女(一体、何を考えているんだろう…)
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