平沢進「東京のヒラサワです」翠星石「まきますか?まきませんか?」平沢進「違います」

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102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/12(月) 11:38:38.78 ID:0T9KeWqC0
あと、平沢さんの笑いのツボは別に海よりも深くなければ山よりも高くないです
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 12:43:15.32 ID:I1x19HJto
乙乙
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:09:18.96 ID:v6iC4f6d0
ーあろるの舘(早朝)ー
蒼星石「……」チラッ

蒼星石「まだ誰も起きてないよね。よいしょ…っと」パタン

平沢進「おはようございます」

蒼星石「うわぁっ!?」ドテッ

平沢進「おい、私は早起きする時にだけ現れる妖怪「三文の得じじい」じゃないぞ。妖怪と冠されたものとバンドを組んでたことはあるけど」

蒼星石「ひ…ヒラサワさん?び、ビックリさせないでください…」
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:10:49.57 ID:v6iC4f6d0
平沢進「別に人形を驚かせるために早起きするほどひねくれてはないので。ただ起きてただけ」

蒼星石「そ、そうなんですか。早起きなんですね。…おはようございます」

平沢進「そちらもイヤに早起きですね。まるでこっそりあろるの館から飛び出そうとしていたよう」

蒼星石「い、いや、そんなこと…」

平沢進「だが卓上にこんなものが」ピラッ
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:11:38.18 ID:v6iC4f6d0
『ヒラサワさんと翠星石へ
昨日は夕食ありがとうございました
お話もとっても楽しかったです
窓ガラスについては今日の内に直します
翠星石も 美味しいスコーンをありがとう
蒼星石より』

蒼星石「あ……」

平沢進「なんというか…」チラッ
107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:12:44.98 ID:v6iC4f6d0
蒼星石「!…ご、ごめんなさ…」

平沢進「…欧州生まれの割に漢字に親しみがあることに驚愕。島国生まれのくせしてタイ語に親しみを感じているどこぞのステルスもいるというのに」

蒼星石「え…ああ、それは…昔、練習したんです。日本に来たばかりの時に。マスターと円滑に意思疎通を図るには、その土地の文字が書けた方がいいと思って」

平沢進「へえ。またまた驚いた。人形とは朝から晩まで古い洗濯機のごとくガタガタうるさく喚いて、取ってつけたような敬語を用いて、勉強などは蚊帳の数キロ外に置くものなのかと」

蒼星石「ぷっ。…それ、翠星石のことですよね?」
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:13:19.56 ID:v6iC4f6d0
平沢進「さあ。他にも人形がいるかもしれないし。鳥の一種とか」

蒼星石「金糸雀ですか?あはは、確かに彼女も結構賑やかかもしれませんね。翠星石といい勝負かも」

平沢進「寒気がしてきた。ヒラサワの器官は75db以上の騒音に耐えるようには造られていない。生まれる時の予算をやかましいモノへの対処に振り分けなかったので」

蒼星石「それじゃ、あの二人を前にしたら大変ですね」

平沢進「防音室に篭城するような真似は私は御免だ。何としても金か翠には蒼っぽくなって貰わなくてはならない」
109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:14:05.70 ID:v6iC4f6d0
蒼星石「あはは…とても無理ですよ。僕と翠星石は、何もかも真反対だから。性格も、考え方も…」

平沢進「そう?」

蒼星石「はい。見てて思いませんでしたか?」

平沢進「ヒラサワの目は本質を見極める第三の目という訳でもないので。似てるとか似てないとかは顔認証システムに聞いて」

蒼星石「そ、それは勿論顔は似てますけど…」

平沢進「色も、名からくる色相だけで見れば大いに似ている。何せ…おっと」
110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:15:19.57 ID:v6iC4f6d0
「あでっ!なんかつまづいたですぅ…」

平沢進「そんなこんなで早起きした古い洗濯機がお出迎えです」

翠星石「ふぁ〜あ…おはようですぅ…そうせいせき…」

蒼星石「す、翠星石!?起きてたの?珍しいね…」

翠星石「いま、かおあらってきたとこです…それに…はやくおきるのは……あたりまえ……ですぅ…いもうとよりぃ…はやくおきるのが…あねのつとめ…なんです…から」カクン

蒼星石「え、いやいや。僕より早く起きたことなんて今まであったっけ。それに大丈夫なの?なんだかふらふらしてるけど…」

翠星石「やかましー…ですぅ。ふぁ……むにゃ…すいせいせきは……いつものように、げんきはつらつ、ですぅ…」ゴシゴシ
111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:15:54.52 ID:v6iC4f6d0
平沢進「目の上に漬物石が置かれたかのごとく瞼が落ちまくっている。はいこれ、眠気覚し」

翠星石「あ、ありがと…ですぅ…ごくっ……ってつべたっ!?」

平沢進「だって昨日作ったやつだし」

翠星石「なんでそれを翠星石に飲ませるですか!手頃な紅茶処理機にすんじゃねーです!」

平沢進「くるみ割り人形ならぬ紅茶飲み人形。少なくともバレエの題目にはなりそうもない」

翠星石「ビミョーなイヤミ言うんじゃねーです!翠星石が主演になったらアカデミー賞だかグラミー賞だか間違いなしですぅ!…まあ、とりあえず目は覚めたのでいいですけど!」
112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:16:39.81 ID:v6iC4f6d0
蒼星石「…ふふっ」

翠星石「あ!わ、笑うんじゃねーです!翠星石は真面目も真面目、大真面目なんですよ!さっきまでの眠そうなのは…そう、ヒラサワの催眠術ですぅ!呪術師ヒラサワの魔法で、クラッと来ちまってただけなんですぅ!」

平沢進「魔法なのか催眠術なのか呪術なのか。どれも普通免許を取った覚えはないが」

翠星石「仮免だろーと大型免許だろーとどうでもいいです!とにかく!眠そうだったのは翠星石のせいじゃねーんです!」

平沢進「あ、そう」

蒼星石「ぷっ…くくく」

翠星石「あぁーー!!また笑ったですぅ!!なんで笑うですか、翠星石はこんなに真面目に頑張ってるのに!」ブンブン
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:17:20.35 ID:v6iC4f6d0
蒼星石「い…いや…ふふっ、本当に息があってるなぁと思って」

平沢進「昨日は聞き流しましたがそれは侮辱ですかね」

翠星石「何言ってるですか!最大限の称賛ですよ!!」

平沢進「称賛という皮肉とはまた高級な手を」

翠星石「皮肉でもねーです!翠星石と並び立つなんて、並ぶもののない栄誉なんですよ!」

平沢進「うそつけ」

翠星石「ホントです!」

蒼星石「ぷっ…くくっ…あははは!!」
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:18:20.66 ID:v6iC4f6d0
翠星石「あ!ま、またまた笑ったです!な、何でですか!翠星石にはさっぱり分からねーですぅ!」

平沢進「オマエの顔が面白いからでしょ」

翠星石「むきーっ!!翠星石は面白い顔してねーです!どっちかといえば超絶美少女の顔をしてるですぅ!…って」

翠星石「こほん。それは置いといて」

翠星石「…ちょいと蒼星石。話があるですぅ」パラッ

蒼星石「げほっけほっ!あは、あはははっ!!」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:18:49.04 ID:v6iC4f6d0
翠星石「わ、笑ってる場合じゃねーですよ!大切な話なんです!って、むせてるじゃーねですか。はいこれ紅茶ですぅ」

蒼星石「ごほっ、こほん。ありがと…ってつめたっ!?…もう……えっと、何の話?」

翠星石「えーとですね…」ピラッ…

翠星石「…ちょっと待つですよ。えーと…」ジィー

蒼星石「…手紙?なんだかしわくちゃだけど…」

翠星石「行くですよ。すぅー…」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:21:00.32 ID:v6iC4f6d0
そうせいせき へ
すいせいせきはしんぱいです
それは そうせいせきがずっと
なにかになやんでいるのがわかるからです
そうせいせきは いい いもうとです
だから ほとんどのことはそうせいせきだけで
かいけつできるものだとおもっています
それでも そうせいせきがずっとなやんでいるのは
ひとりじゃかいけつできない なにかを
かかえているからだとおもいます
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:22:25.77 ID:v6iC4f6d0
そうせいせきはまじめさんなので
ひとりでかいけつすべきだとおもっているかもです
でもそんなことないんです
まよったりこまったりしたら
たよってもいいんです
……えーと、えーと」

翠星石「えーと…えーと…なにせ、その…す」

翠星石「翠星石は蒼星石のお姉さんなんですから!いつでもこの翠星石の胸にドカンとぶつかってこいってんですこんちくしょー!ですぅ!」
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:23:00.77 ID:v6iC4f6d0
平沢進「…」

蒼星石「…」

翠星石「…い、以上ですぅ!な、なんですか!文句あるなら言ってみるです!」

蒼星石「………」

翠星石「えっ!あ、あわわっ!な、何泣いてるですか!泣かせるために書いたわけじゃねーんですよ!ただ、口で喋ってるとごちゃごちゃしてくるから、それで…」

蒼星石「ごめん……翠星石…」

翠星石「な、何謝ってるですか!謝ってほしくて書いたわけでもねーんですぅ。ただ、ちゃんと翠星石の気持ちを伝えたくて…」

蒼星石「うん…ごめん、分かってるよ、翠星石…」
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:24:00.15 ID:v6iC4f6d0
翠星石「ほ、ほら。ハンカチですぅ!これでシャキッとするですぅ!」

平沢進「それはティシューなるものだが。最近ハンカチという名のブランドティシューが販売されたなら別だけど」

翠星石「え、あっ!!…まあティッシュでも事足りるですぅ。ほ、ほらほら、蒼星石…」

蒼星石「あ、ありがとう…」

翠星石「よしよし…ですぅ。まったく、蒼星石も甘えんぼさんですね。…別に、いつも、こんな風に甘えたっていいんですよ」

蒼星石「………」

蒼星石「……いや」バッ

翠星石「あっ…」
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:25:35.41 ID:v6iC4f6d0
蒼星石「ごめん、翠星石……手紙、ありがとう。それじゃ」

翠星石「えっ、ま、待つです!蒼星石!えっと、えっと」

平沢進「手紙だけでも良かったらどうぞ」パシッ

蒼星石「あ…」

翠星石「そ、そうです!手紙だけでも持ってくです!そこに、翠星石の気持ちがしっかり書いてあるですから!!迷ったら読み返したりしてみるですよ!…翠星石はいつでも蒼星石の味方ですから!」

蒼星石「………」ギュッ
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:27:00.68 ID:v6iC4f6d0
翠星石「……またですよーー!!蒼星石!!」

蒼星石「うん…」フワー ヒューン…

翠星石「………蒼星石…」

平沢進「……人形にも涙腺があるとは」

翠星石「ルイセン?…まあ、嬉しかったり悲しかったりすれば泣くこともありますよ。ローゼンメイデンは魂のある人形なんですから」

平沢進「へえ」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:27:48.57 ID:v6iC4f6d0
翠星石「はぁ、それにしても……やっぱり、文章にしてもあんまり上手くいかねぇですぅ。頑張って考えたんですけど…」

平沢進「そう?」

翠星石「ですぅ。翠星石にも、何かはっきりくっきり心の中を伝える手段があったらいいのに…」

平沢進「……」

翠星石「…ま、気を取り直すですぅ。あとは蒼星石を信じるのみです。なんてったって、この翠星石の妹なんですからね!」

平沢進「ふーん、そう」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:29:01.00 ID:v6iC4f6d0
翠星石「ご協力ありがとでした、ヒラサワ。じゃあ翠星石は…翠星……せき……は…」

平沢進「ん?」

翠星石「……にどね…する……で…すぅ……」パタッ

平沢進「えー」

翠星石「すぅ……すぅ…」

平沢進「……」ガシッ

平沢進「人形の鞄詰め一丁。英国ではこれが静かな休日をぶち壊すアイテムとして大人気。んなわけない」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:29:44.35 ID:v6iC4f6d0
…………
蒼星石「………」ヒューン

蒼星石「翠星石……」

蒼星石「…だって、言えるわけないよ…」

蒼星石「…君と…そのマスターを……」

蒼星石「………」

蒼星石「[ピーーー]かどうかで……悩んでるなんて」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:32:01.32 ID:v6iC4f6d0
は?(半ギレ)
こういう規制ってどうすりゃええのかしら…初めてなんで分からぬ
まあ言ってることはわかると思うんだけどさ…

あと今回で話をどうするか真面目に考えだしたので蒼星石が多少情緒不安定っぽくなってるけどゆるして
指摘や感想ありましたらいくらでもどうぞ
126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/14(水) 23:46:37.32 ID:FnyAbL8J0
ああ何かと思えば「殺す」が消えてるってことか
メールアドレス欄に「saga」って入れるんやで
127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/14(水) 23:48:59.69 ID:v6iC4f6d0
おおなるほど!ありがとうございます!
おためし 殺す
お試しでころすってこわい
128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/14(水) 23:50:24.30 ID:v6iC4f6d0
…………
蒼星石「………」ヒューン

蒼星石「翠星石……」

蒼星石「…だって、言えるわけないよ…」

蒼星石「…君と…そのマスターを……」

蒼星石「………」

蒼星石「殺すかどうかで……悩んでるなんて」
129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 23:51:30.01 ID:v6iC4f6d0
締まらないですがこれで補完お願いします
ではまた!
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 00:15:28.96 ID:t3f0gQU3o


アリスゲームって要はバトロワだもんな
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:23:12.04 ID:9aL6Kmub0
数時間後
ーあろるの館(庭)ー

「フッフッフッ…見ぃつけた!」

金糸雀「ついに見つけちゃったのかしら!翠星石のアジトを!」

金糸雀「よくやったのかしらピチカート♪ついに24回の失敗を乗り越えて、ようやく居場所を突き止めたわ〜」

金糸雀「ふー…。最近、なんだか分からないけどすごくイライラするのかしら!まるで、どこかの誰かに四六時中陰口を叩かれてるみたいに…だから!」

金糸雀「今日は翠星石を打ち倒して、スカッとして帰るのかしら!みっちゃんのためにも、お父様の悲願の為にも!」
132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:23:42.30 ID:9aL6Kmub0
金糸雀「じゃあさっそく呼び鈴を押しましょう。呼び鈴を押せば家主は出てくる!計算高いカナにはこのぐらいお茶の子さいさいなのかしら!さてっと!……あら?」

金糸雀「あらあら!窓が壊れてるのかしら!なんて不用心なの。こんな風になっていたら、空き巣とか、泥棒とか、強盗とか…」

金糸雀「…この薔薇乙女いちの頭脳派である金糸雀とかにも!カンタンに入れちゃったりしちゃうのかしら!ホ〜ホッホッホ!!」

金糸雀「さてさてっ!さっそく……あら?でもこの窓までどうやって登ればいいのかしら……?」
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:24:12.07 ID:9aL6Kmub0
♪♪♪……

金糸雀「うーん、難問ね…この天才軍師たるカナの知識を持ってしても……あら?何やら音楽が…この窓から?」

金糸雀「?…翠星石のマスターは歌手さんなのかしら?」

金糸雀「……」

金糸雀「音楽家としてちょっと気になるかも。窓に登る手段を考えながら、聴いててみようかしら…」

平沢進「………」カタカタ
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:29:04.49 ID:9aL6Kmub0
https://youtu.be/KbxO515VuUA
♪Big Brother 核P-MODEL(平沢進) 2004
路上 スタンガンの
電撃が撃つ群衆の影

ヤイヤイと人は行き
秘密裏に事は成る

聞けよ物陰で
「良き事の為」
と囁く

見えないブラザーが
暗示のようにキミを追う

列を成せ
汝従順のマシン
享受せよ
さあ 思慮は今罪と知るべし

夜景
遍く
憎悪の声は歓喜する

ヤイヤイと踏み鳴らし
逸脱の民を撃てと

聞けよ窓辺で
「良き事の為」
と連呼する

見えないブラザーが
保護者のように
キミを見る

踏み鳴らせ
汝 善良のマシン
連呼せよ
さあ 思慮は今罪と知るべし

ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを追う
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを見る
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを追う
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを見る
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを追う


無情
明日の日は
キミの為にはあらずと

隅々に地を覆い
逃亡の夢も砕く

聞けよ目の前で
「良き事の為」
と囁く
見えないブラザーが
暗示のように
キミを見る

列に立て
汝 従順の下僕

享受せよ
さあ 思慮は今罪と知るべし

ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを追う
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを見る
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを追う
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを見る
ヤイヤイと
人 人 人の目がキミを追う
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:29:55.90 ID:9aL6Kmub0
金糸雀「………」(゜д゜)ポカーン

金糸雀「す……!」

金糸雀「すごいのかしら…!!」

金糸雀「初めてこういう曲を聴いたのかしら!どういうジャンルなの?見たカンジだと、機械から音楽が流れてたみたいだけど…」ジーッ

金糸雀「歌詞の意味も…どういう事なのかしら?監視についての曲?そういえばみっちゃんが前、ゲンダイ社会っていうのは監視社会なんだって言ってたけど、それについてもよく分かってないのかしら…」

金糸雀「帰ったら調べてみようかしら。天才軍師たるもの、情報収集もしっかりするのが当然のこと!みっちゃんに頼んで、ケータイの力を駆使すればきっと…てっ!!?」

窓)平沢進<●><●>
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:30:23.81 ID:9aL6Kmub0
金糸雀「きゃあっ!?」ドテッ

金糸雀(ば、バレちゃった!!に、逃げなきゃなのかしら!取り敢えずその植木鉢の横に!|)彡 サッ

平沢進「……」

植木鉢|Δ`*)ジー

平沢進「…噂に違わぬ、鳥類の金糸雀も悲しむような人形だ。さて、どうしてくれようか。……ん?」サッ
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:31:07.79 ID:9aL6Kmub0
「ここなの?蒼星石」

金糸雀「う、うっひゃあ!?」ガサッ

蒼星石「そうだよ、真紅。わざわざ来てくれてありがとう」

金糸雀(真紅!?それに蒼星石!?なんで一番戦いたくない二人が来るのかしら!!な、なんとかやり過ごさないと!頭脳明晰の代名詞、カナなら絶対にこの危機も切り抜けられるはず!)

真紅「…まあ、事情が事情なのだし。蒼星石に全ての非がある訳でも無いみたいだし。それに、窓を直すなんて造作もないことなのだわ」

蒼星石「うん、ありがとう。じゃあ、御礼に…ほら、『くんくん探偵switch』持ってきたよ」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:31:36.55 ID:9aL6Kmub0
真紅「!!!………こほん。蒼星石、あなたは約束を守るいい薔薇乙女なのだわ。それに報いて、私も約束を守りましょう」パアァ…

金糸雀(!!あぁっ!窓が直っちゃったのかしら!これじゃ翠星石のアジトにも入れないし、こっそり曲を聴くことも出来ないのかしら…)

真紅「これでよし、と。…でもまさか、本当に『くんくん探偵switch』をくれるなんて思っていなかったのだわ。割に合っていないのではなくて?」

真紅「…あと、そこの植え込みから生えている黄色い物体はどうすればいいのかしら」

蒼星石「きっと隠れてるつもりなんだよ。放っておいてあげようよ」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:32:39.95 ID:9aL6Kmub0
真紅「ここに居るってことは、翠星石のマスターに害を成そうと……いや、まあ金糸雀にはそんなこと出来ないのだわ。放っておいても大丈夫でしょう」

蒼星石「それはそれで酷いね…。でも、彼女は彼女なりに、ローゼンメイデンとしての義務を果たそうとしてるんだよ。…それじゃ」フワー

真紅「……」

真紅「はぁ。金糸雀も蒼星石も…手間のかかる姉たちなのだわ」フワー

金糸雀(あ!か、帰っていくのかしら!さすがカナ!幸運も持ち合わせるのが天才軍師たる所以なのよ!ホ〜ホッホ!!じゃあ今のうちにスタコラサッサなのかしら!待ってなさい翠星石!またカナは帰ってくるわよ!)ピューン
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:33:24.48 ID:9aL6Kmub0
平沢進「…やっと行ったか。真剣にこのあろるの館を人形の館に改名すべきかと思った瞬間だった。だが、悩むだけで済んでなにより」

平沢進「特に黄色い鳥類。軒先にCDでもぶら下げておけば集まってこないだろうか。いや、ムリか」

平沢進「……」

平沢進「取り敢えずなにがしかの力で窓が治ったことに一周遅れの驚嘆の念を抱いて、昼の粗食を摂ることにする。鳥類人形対策は翠の娘に詳しかろう」
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/15(木) 19:34:00.37 ID:9aL6Kmub0
短いですがここまで
ホントに気軽に文句とか書いていいのよ…
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 19:35:11.82 ID:9KV6KXyrO
すき
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 22:11:41.25 ID:hKLfbRRa0
Big Brotherで入門か
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/16(金) 00:18:39.29 ID:vnnyrH4no
いや、面白いよ。平沢音楽の勉強にもなるし

ちなみに真紅の能力ってなんなんだ?
窓を直したから時間系?
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/16(金) 02:14:08.94 ID:uBy0BdAo0
物体の時間を巻き戻す能力を真紅に付いてる精霊?が持ってたような
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:47:37.65 ID:16HDOSna0
記憶が曖昧なんですが窓を直せることに具体的な理屈や説明は特についてなかった気がします
たぶん…
では再開します
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:48:15.27 ID:16HDOSna0
翠星石「う〜〜………んっ!!はーーー!よく寝たですぅ!!!」

平沢進「うわっ。驚いた。あんまり動かないもんだから鞄での早すぎた埋葬ごっこでもしてたのかと思った」

翠星石「は、はぁ?起きて早々やかましいです!鞄を棺桶にする気は毛頭ねーです!」

平沢進「いや、でも人形の棺桶にしてはかなり上等かと。副葬品も既に如雨露があるし。身一つ鞄一つがじいさんばあさんの最終目標とか言われてるし」

翠星石「なんで終活の話になってるですか!今の翠星石は元気いっぱいに起きたとこなんですよ?もうちょっと明るい話題をもってきやがれですぅ」
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:48:58.83 ID:16HDOSna0
平沢進「明るい話題…では黄色く光る人形について」

翠星石「ズコー!そっちの明るいですか!…こほん。まあいいです。で、金糸雀がどうかしたですか?」

平沢進「さっきあろるの館にその姿を現し、植木鉢と木々にマクロな被害を与えたあと、逃げ去った」

翠星石「あのヤローもうここを見つけたですか!まったく、悪運の強いヤツですぅ。翠星石が起きてたらコテンパンのコンコンチキにのしてやったのに。で、逃げたのは何でですか?ヒラサワがその拳で闘ったんですか?」

平沢進「んなわけない。蒼い娘に、紅いヒラヒラしたのがやって来たら勝手に蒸発した」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:49:44.07 ID:16HDOSna0
翠星石「えっ!?二人が来たですか?…ああ、だから窓が直ってるんですね。というか、そっちの方がずっと大事じゃねーですか!蒼星石……それに真紅まで来るなんて」

平沢進「そう?人形の色は平安朝のごとく階級でも示すのか」

翠星石「んなこたねーですけど。真紅は第五ドールで、翠星石の二番めの妹に当たるです。普段から冷静な上に機転も効く、なかなか侮れん奴ですぅ。まあでも、翠星石が戦ったら八分二分で翠星石の勝ちってところですかね!」

平沢進「ふーん。つまり三分七分で分が悪いと」

翠星石「なんで数字が変わってるですか!まあ今のところ敵対はしてねーですし、向こうもその気はないハズです。相手にしたら厄介ですが、放っといても問題無いですぅ」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:50:32.07 ID:16HDOSna0
平沢進「なるほど。別に真紅とは血の歴史を歩んだから通り名となったわけではないと」

翠星石「はぁ?当たり前ですぅ。んなわけねーで…(!)」

翠星石「……」

翠星石「うーん……違うとも言いきれねーです。これはあくまでウワサなんですけど?真紅は夜な夜なマスターが寝てるとこに近寄って、ムリヤリ力を奪うらしいんですぅ。おしとやかそーなお口をかっ!と開いたその内には鋼鉄の牙がズラリと並んでて、それで…」

平沢進「……」

翠星石「ゆっくりゆっくり、気づかれないようにマスターの首元に近づいて…きゃーーっ!頸動脈にがぶりと噛み付いて、ごくごくと血を啜るんだそうですぅ!!そのおかげで、真紅は翠星石の妹のくせに邪悪なほど強くて、マスターはポックリ早死する…っていう話ですぅ…」

平沢進「……」

翠星石「うう〜真紅恐るべし!コワイですぅ身が震えるですぅ!ヒラサワもコワイですよね!!ほら、よしよししてあげるですよ!」

平沢進「人形劇『エセ吸血鬼人形のヨタ話』はこれにて終幕」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:51:38.81 ID:16HDOSna0
翠星石「えっ!?ほ、ホントですよ!ウソじゃねーです!」

平沢進「終始のニヤケ面からホラーを繰り出されてもこちらとしては渋面を返すしかないので。これが劇場なら座布団か枕か匙を投げている」

翠星石「う〜!おかしいです、なんで騙されねぇですか?チビ苺なら絶対大声で泣いて怖がってたのにぃ!あ、チビ苺ってのは第六ドール、雛苺のことですぅ」

平沢進「へえ。苺が怖がるのは害虫ではないのか。ホラーに怯える苺となればそれは希少。ブランド力に目のない農協が放っておかないだろう」

翠星石「うーん、普通に虫もきらいですね。チビ苺は怖がりで臆病なのでそういうものは大抵苦手なんですぅ」

平沢進「ふーん」
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:52:27.90 ID:16HDOSna0
翠星石「多分ヒラサワの顔みたら泣くですよ。仏頂面のカガクシャみたいなコワモテ、チビ苺にはまだ早いですぅ」

平沢進「私の体内には意地悪い虫と腹の虫が棲んでいるため苺が怯えるのもやむ無し。しかし仏が苺にダメージを与えるとは初耳。苺はキリシタンなのか」

翠星石「むー…ホトケ様と仏頂面の違いをわかってて言ってるですね?ホトケ様がチビ苺を脅すとかいうシュールな絵面を見る気はねーです。ま、今のうちに顔の体操とかで柔和な顔の練習でもしておくですね」

平沢進「えー」

翠星石「えーじゃないです。チビ苺は泣いたらピーチクパーチクうるせーですよ。それでもいいんですか?」
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:53:07.42 ID:16HDOSna0
平沢進「御免こうむる。だが顔の体操とかいうにらめっこの亜種に時間を費やすほどの暇はない」

翠星石「ふ〜ん。…ホントは暇なくせに、ですぅ」

平沢進「私が暇ならオマエは大々暇娘だ。今のところ、濁流のごとく喋り続けること以外は量販店の人形と比べ働きには大差ない」

翠星石「な、何ですと!今ヒラサワはローゼンメイデン全てを敵に回す発言をしたですよ!!」

平沢進「敵に回したのは翠色のものだけなので。というか、実際我が家に居候してから窓割りの手伝い以外に何かしましたか」

翠星石「まったく、翠星石の多大なるお手伝いを忘れたですか?困ったヒラサワですね!えーと、翠星石はこの家に来てから……えーと…………」
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:54:14.91 ID:16HDOSna0
翠星石「……えーと……」

平沢進「ほらみたことか」

翠星石「……あっ、そうです!スコーンを作ったです!ほっぺたが床まで落ちるようなあまーいスコーンを作れる人形なんて家電量販店どころか超高級ドールショップを覗いてもどこにも並んでねぇですぅ!ふふーん!どうです?参ったですか!」

平沢進「でも私の取り分は翠の人形の溶鉱炉に溶かされましたが」

翠星石「えっ!?んなこたねーですぅ!翠星石は昨日一個しか食べてねーんですよ?翠星石が一個、ヒラサワが一個、蒼星石が一個。ちゃんとみんなでおいしく食べたはずですぅ!翠星石は算数も分かる才色兼備なので間違いねーですぅ!」
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:54:52.76 ID:16HDOSna0
平沢進「四則演算の法則が昨晩だけ捻じ曲がったか夜明けの内に定説を覆す新説が発表されたのなら正しいかもしれない」

翠星石「ええー?おかしいですぅ!翠星石は蒼星石とお話しながらスコーンを食べて、それでヒラサワの曲を聞いて、その後ヒラサワが灯りを消すから慌てて食べ忘れてたスコーンを……あ」

平沢進「3ひく2は1。そして1は蒼の娘の炉の中。ということは」

翠星石「………間違えてヒラサワのも食べちまってたですぅ!!あはははーですぅ!!」

平沢進「……」
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:55:36.88 ID:16HDOSna0
翠星石「でもでも、ここは翠星石の空前絶後の可愛さに免じて許してやって欲しいですぅ?」

平沢進「…………」

翠星石「…………」

平沢進「……………………」

翠星石「…………………い」

翠星石「今からちゃんとお掃除とお庭の手入れをしてくるです」

平沢進「長すぎた沈黙にそこそこ値する答えで安堵」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 22:57:55.30 ID:16HDOSna0
短いですがここまで
短い上に展開も進まない
書いてて困りましたが平沢さんと翠星石が喋るとやたら話が長くなるので勘弁してください
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/16(金) 23:01:35.66 ID:S8H1LItkO
エミュレーター何積んでるんです?
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/16(金) 23:06:50.67 ID:16HDOSna0
TAINACO-eですね(違)
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:01:27.26 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「すこやかに〜伸びやかに〜♪」パァアア

平沢進「因みに巨木を生み出すのは禁止で」ヌッ

翠星石「わっ!おどかすなですぅ!心配しなくても普通に水やってるだけですぅ」

平沢進「あ、そう。では私は向こうで仕事をするので静かに水をやるように」

翠星石「あいあーい、ですぅ」

平沢進「じゃ」サッ
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:02:13.20 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「まったく、神出鬼没なのは癖か何かなんですかね。びっくりするからやめて欲しいですぅ」

翠星石「…それにしても」

翠星石「この館、屋内なのに植物でいっぱいですぅ。それに、みんな手入れが行き届いてて元気ですぅ。このヤシの木みたいなのも、たくさんのサボテンとかも…」

翠星石「ま、翠星石の趣味とはちょっと違うですけど。でも、植物を大事にするヤツに悪いヤツはいねーですぅ。やっぱりヒラサワに電話したのは正解…とまではいかなくても間違いじゃなかったですね」

翠星石「さてっと。多肉植物は水をやり過ぎるのはダメですから土の様子を観て…。色んな容器で水栽培してる植物は、この『庭師の如雨露』の力をほんのちょっぴり分けてやるです。きっと、今まで以上に元気になってくれるはずですぅ!」
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:03:03.51 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「『庭師の鋏』がないから剪定とかはできねーですが…どうせヒラサワに無断で葉や枝を落とす訳にも行かないですし。今回は蒼星石に頼る必要もねーです!」

翠星石「おおっ?向こうにもスゴいたくさん植物があるです!まるで小さな植物園みたいですぅ!あ、あそこのは花が咲いてるです!蕾のついてるのもあるですぅ!」

翠星石「ふんふんふふ〜ん♪…久々に植物と触れ合うのはやっぱりいいもんですね。ねぇ、スイドリーム!」チカチカ

翠星石「やっぱりスイドリームも嬉しいですか!ですよね、これぞ庭師の仕事…あれ?」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:03:55.71 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「なんかあそこに…ヘンなものがあるですぅ。植物じゃねーですね、えっと…」

翠星石「え……これは…?」

ストーン「……」

(※平沢さんのTwitterにて度々活動の報じられる外宇宙からの訪問者と疑われる正体不明の六本足の石)
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:04:43.32 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「スイドリーム!」バッ

翠星石「なんですか、コイツは?優雅にガラスの容器にひっかかって植物を見上げているですぅ。ただの、石の飾り……?」

翠星石「…いや…違うです!」

ストーン「……」

翠星石「コイツ…足が生えてるです…!それに、六本も…!」

翠星石「足が六本ってことは…む、虫の仲間ですか?でも、こんなヘンなの見たことねぇですぅ」
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:05:55.16 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「植物を襲う害虫にも、こんなヤツは覚えがねぇですし…どっちにしろ虫はイヤですぅ。近寄りたくねぇですぅ」

翠星石「……でも」

翠星石「本当に害虫なら…そこの植物を食べようとしてるのかもしれないですぅ。そんなことは、この館の庭師である翠星石の目が黒いうちに許すわけにはいかんですぅ!」

スイドリーム「?」チカチカ

翠星石「油断するな、ですか?分かってるですぅ。今はお仕事中。ヒラサワ家の植物の為にも、水やりは完璧に済ませる必要があるんですから!翠星石にはちゃんと作戦があるです…」
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:07:08.67 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「ふふん…。そっと後ろに回り込んで死角から如雨露で床に叩き落としてやるですぅ!ああいうカタチの虫なら横や後ろには目が向かないはず!ゆっくりゆっくり近づけば…」

翠星石「って……あっ!」

翠星石「コイツ…死角がない…ですぅ?…」

翠星石「この石みたいな虫、どっちを向いてるかが全然分からねーですぅ!め、目はどこですか?前脚はどっちです?目印になるものがどこにもねーです!」

ストーン「……」

翠星石「それに…この堂々とした態度!さっきからピクリとも動く様子がねーですぅ。まるで、この翠星石を相手にしているのに何にも感じてないみたいに…」
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:08:47.13 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「ごくり…こんな強敵、初めてですぅ。攻め手が分からねーことほど不気味なもんはねーですぅ…」

翠星石「……」

ストーン「……」

翠星石「…こうなったら、植物に当たらないように遠くから水を飛ばしてヤツを攻撃するほかないですぅ!大丈夫、翠星石は出来る子です。スイドリームと力を合わせれば…きっと…ねっ!スイドリーム!」

スイドリーム「!?…」ヒュンッ
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:09:19.04 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「スイドリーム…?お、囮になってくれたですか!ナイス誘導ですぅ!今ですっ!て〜いっ!!」バシャアアアア!

ストーン「……」パシッ カタン…

翠星石「!!うぎゃああああああ!!ついに動きやがったですぅ!!スイドリームっ!もっと水ですぅ!」バシャアアアアッ!!

ストーン「……」ザバァッ カタカタ…

翠星石「ひぎゃあああああああ!!!こ、こっちくんなです!!近寄んなですぅううううう!!吹き飛ばしてやるですぅ虫なんか怖くねぇですぅううううう!!!」ブンブン

バシャアアアアッ ビシャッ バシャア
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:09:55.15 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「ふー…ふー…」

ストーン「」

翠星石「ふ…ふう。ようやく止まったですか!ざまぁみろですぅ!虫の分際でこの翠星石に立ち向かったのが間違いだったですね!オーホッホッホ!館の平和は守られたですぅ!」

翠星石「…ありゃ?」

ストーン「……」

翠星石「これ…本当にただの置物…?」ヒョイ

翠星石「さっきのは、ただ水に当たって動いてるように見えてただけ…」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:10:47.70 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「…なぁ〜んだ!心配して損したですぅ。拍子抜けで………ってああっ、床がぜんぶビショビショですう!あわ、あわわ!ど、どうしましょうヒラサワに怒ら」

平沢進「静かに水やりをしろとゆっただろう」ヌッ

翠星石「あ…」

平沢進「あ」
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:11:46.77 ID:Y3tpTcyB0
…………
平沢進「今日がストーンの湯浴み日だったとは初耳」カタン

ストーン「……」

翠星石「………」

平沢進「ついでに我が家に雨季の密林のごとく水溜りが出現するとは。雨乞いの舞踏をした覚えはないが」

翠星石「あの…翠星石は水やりをしてて…それで…」

平沢進「我が家のフローリングは潤いも求めていないし水によって活性するタイプでもない。水やりの範疇が欧州と日本ではここまで異なるとは驚愕」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:12:48.84 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「ち、違うですぅ!翠星石は、水やりは真面目にやったですぅ!ただ、あの置物が虫だと思って…」

平沢進「ストーンはストーンであり炭素が含まれていたとしても虫の親類と言えるほど組成に似るわけではない。見た目にもそれが充分表れているかと」

翠星石「う…翠星石は…ヒラサワの為にただ頑張っただけで……」

翠星石「うぅ〜…」

翠星石「何でですぅ……なんでなんもかんも上手くいかねぇんですか……翠星石は、ヒラサワにマスターになってもらうために、一心不乱にやってるのに……」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:13:31.63 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「翠星石は……翠星石は……っ」ギュッ…

翠星石「う〜〜っ!!!」シュパッパタン

平沢進「あ、棺桶鞄に。…あのねぇ」

翠星石『す……』

翠星石『翠星石は悪くねーです!!あんな分かりにくいものを置くヒラサワが悪いんです!!翠星石は一生懸命頑張っただけなんですぅ!何も悪くねーんですぅ!』

平沢進「……」
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:14:07.16 ID:Y3tpTcyB0
翠星石『翠星石は絶対謝らないですよ!だって悪くねーんですから!い、いくらヒラサワが怒っても、翠星石はぜってー謝らねーんですから!!』

平沢進「あ、そう」

翠星石『っ………』

平沢進「では私は仕事をするので、静かに拗ねるように」

翠星石『………』
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:16:56.63 ID:Y3tpTcyB0
https://youtu.be/Y5mCd2VEqNA
♪水脈 平沢進 2006

あー夜の月ほど高く
あー大樹の上 鳥さえ聞く

あまねく人の道に湧き
知られぬ水の音

あー空の星ほど遠い
あー昔の歌にまだ隠れ

あまねく夜の機微に湧き
汲まれぬ水の音

道の上に立ち鳥の声を読みうなだれ
何度澄んだ水の音を逃し望まぬ日は来た
雲の形さえ描いて示したはずだと
何度過ぎたオアシスを知らず荒れ野に立つ

あー夜の月ほど高く
あー大樹の上 鳥さえ聞く

あまねく人の道に湧き
知られぬ水の音

道の上に立ち鳥の声を読みうなだれ
何度澄んだ水の音を逃し望まぬ日は来た
雲の形さえ描いて示したはずだと
何度過ぎたオアシスを知らず荒れ野に立つ
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:18:05.81 ID:Y3tpTcyB0
平沢進「……」カタカタ…

平沢進「……」カタン

平沢進「さて。頼んでもいない天の祝福を処理しに出向こう」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:18:34.48 ID:Y3tpTcyB0
平沢進「ん?」

平沢進「雨季に出現した水溜りが乾燥帯の砂に吸い込まれたかのごとく消えている。これはまさか、世間で絶賛値下げ中の奇跡や神といったものが我が家にも舞い降りたか」

翠星石「………」

平沢進「うわっ。神が遣わしたまじない人形?」

翠星石「ち、ちげーです!お父様が遣わした薔薇人形ですぅ!」

平沢進「ふーん、そう」

翠星石「こほん……えぇっと……ヒラサワ、その…」
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:19:44.75 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「………」

平沢進「………」

翠星石「…水溜りはこの翠星石がキレイにしてやったですぅ!あと残りの植物にも水をやっといたですぅ!あ、ありがたく思いやがれこんちくしょーですぅ!!」

平沢進「……」

翠星石「え…えと…」

翠星石「……お、おこってる…ですか?」

平沢進「地球が瀉血の度に噴き上げるマントルの血飛沫のごとく怒り心頭…とヒラサワが金切り声で叫んだら?」
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:20:51.44 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「え、えっと……」

平沢進「………」

翠星石「……」

翠星石「ご、ゴメンなさいですぅ!!翠星石は、間違えてヒラサワの置物と館の床をしっちゃかめっちゃかにしちまったですぅ!ぜんぶ翠星石の不覚ですぅ…」

スイドリーム「…!」チカチカ

翠星石「スイドリーム…お前は悪くねぇですぅ。さっきは置物だって教えてくれようとしてたですね。翠星石は、虫がコワイのと頑張らなきゃってキモチで、ロクに考えも聞いてなかったです…」

平沢進「…さっき絶対謝らないとか聞いた気がしたが」
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:21:37.95 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「あれは…その…ひ、ヒラサワお得意の比喩を真似ただけですぅ!」

平沢進「へえ、そう」

翠星石「う………」

平沢進「………」

翠星石「う〜…!ど、どうしたら許してくれるですか…?」

平沢進「………」

翠星石「翠星石に出来ることならなんでもするですぅ!だからだから…追い出したりとかは…」
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:22:47.48 ID:Y3tpTcyB0
平沢進「………」カタン

ストーン「………」

平沢進「ストーンは同居人である。ヤツはあろるの館を好きに放浪する。植物鑑賞も彼の主な趣味。たまに胆石になってたりもするけど」

翠星石「……?その足の生えた石のことです?それがどうしたですか?」

平沢進「ちょっと静かに。ストーンが極微細な活動電位で何かを伝えようと震えている。なに…」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:23:33.10 ID:Y3tpTcyB0
平沢進「…なるほど。彼は自らの尊厳を綺麗に洗い流した人形に対し、ひどい憤りを覚えている。提示する条件を受け入れなければ、地方裁判所に民事訴訟状を叩きつけることも辞さぬ構えと」

翠星石「!!…わ、分かったです。ちゃんと聞くです」

平沢進「彼の提示する条件を、同居人である私が読み上げよう」

平沢進「『本日は晴天麗しく…』」

翠星石「すまんですぅ。序の挨拶は端折っても大丈夫ですぅ」

平沢進「そう?じゃ」
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:24:30.28 ID:Y3tpTcyB0
平沢進「『望まぬ祝福を吾に与えし人形の娘には、我が七本目の脚としてあろるでの旅路に寄与する事を求める』」

翠星石「え?…ど、どういうことですぅ?」

平沢進「さあ。ストーンはあろるの館を徘徊する者だが、彼にとっては巡礼の旅か何かだったのかもしれない。それを手伝えというのは彼にしても一大決心の賜物だったに違いない」

翠星石「?…つまりこのストーンを…好きな時に、色んなところに飾ってあげればいいってことですか?」

平沢進「人形語に翻訳すると、そう」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:26:18.12 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「…それだけです?」

平沢進「それだけ」

翠星石「…えぇー…」

平沢進「えーじゃない」

翠星石「だってだって、ヒラサワ怒ってたんじゃないんですか?そんな、些細なインテリアの模様替えぐらいで…ホントに許してくれるんです?」

平沢進「怒ってないですが。ヒラサワは数年ほど前から怒りを覚えなくなったので。あとインテリアではなくストーン」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:27:42.27 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「は、はぁ!?じゃあさっきのマントルがどーのこーのは…!!」

平沢進「ヒラサワお得意の比喩です」

翠星石「むきーっ!翠星石の言葉をパクんなですぅ!もう…もう!謝って損したですぅ!」

平沢進「人形が頭を下げて表示価格が下がるなんてことは」

翠星石「損ってのも比喩ですぅ!」

平沢進「あ、そう」

翠星石「む〜…っ!」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:28:36.28 ID:Y3tpTcyB0
平沢進「まあこれで翠の人形の仕事も増え、中ウィンが大ウィンになったことだし。そんなに立腹しても腹が減るばかりで一害あって一利無し」

翠星石「あっ、そうでした!…ってことは、これでうぃんうぃんのカンケーですね?やった!ついに翠星石も契約完遂ですぅ!これでヒラサワがマスターに…」

平沢進「いやまだ大ウィンだし。ウィンとは幾分かの距離があるかと」

翠星石「ズコー!な、なんでですか!この前、あと一歩で契約だって言ったじゃねぇですか!また騙しやがったですか!?」

平沢進「それはオマエが自分で言っただけのうえにただのお得意の比喩なので。それに人形の一歩はヒラサワの歩む一歩と必ずしも同距離とは限らない」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:29:02.93 ID:Y3tpTcyB0
翠星石「む、むぅ〜っ!屁理屈ばっかり!この…この屁理サワ!」

平沢進「なんとでも言うがいい」

翠星石「ちくしょーです!今に見てるですよ!ぜったい、この翠星石の力を全面的に認めさせてやるですから!覚えてやがれですぅ!!んじゃ夕メシ買ってくるですぅ!!」ヒューン

平沢進「はい。ただし窓は割らずに出立すべし」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 20:35:40.97 ID:Y3tpTcyB0
一旦ここまでです
今回は時間かかった割に結構上手くいかなかったので
好きに感想や批判をお願いします
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/19(月) 12:16:42.66 ID:UgvenFlzo
妄想代理人のOP見てそっからCD集めたなぁ。
P-MODELのCDが中々見つからなくてCD屋探しまくった良い思い出。
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/19(月) 17:07:39.73 ID:OSquR8r80
平沢語の再現力が高いのと掛け合いがうまいので今後も期待です
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/19(月) 19:56:49.50 ID:H3Z0aY0DO
signだかが出てくるのを心待にしている
もっというならあの謎言語がどう文に起こされるのか期待している
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 18:46:47.62 ID:c+s7tzCz0
初めてまともに聞いたの美術館だったな
今思うとよくハマったな
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/21(水) 18:49:57.33 ID:msYSz8Lfo
よくよく聞くと民族調で普通にいい曲が多いんだけど
妄想代理人とかパプリカの映像のインパクトが強すぎて曲までマジキチ扱いされてるという
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/23(金) 13:30:20.18 ID:PhSMjkdVO
話を考えるために
ローゼンメイデンを再読しながら百足らず様講釈を聴いていたら頭がおかしくなってしまったのでちょっと更新が遅れています
今日か明日には更新出来ると思うのでしばしお待ちください
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 13:35:51.22 ID:PhSMjkdVO
あっ、SAGAになってるじゃないか…
勘弁してください……
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 17:51:43.88 ID:JzrZxyOBO
百足らず様は頭おかしなるで
根詰めず程々に。
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:03:59.55 ID:oUN7OavX0
金糸雀「フーッフッフッフ……」

金糸雀「ふぅ…ようやく戻ってきたのかしら…翠星石のアジトに!!」

金糸雀「前は慌てて帰ったせいでつい道を忘れちゃったけど…ピチカートのおかげで、17回の失敗を経てなんとか再び辿り着けたのかしら!」

金糸雀「苦節三日と少し。何度山道で道を見失ったことか…イノシシに追いかけられた時は流石にこの知的で素敵な第二ドールのカナでさえ、生命の終わりを覚悟したのかしら…」

金糸雀「でも…そんな苦労も全て!今日この時に、翠星石を打ち破るためにあったのよ!オーッホッホッホ!」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:04:50.54 ID:oUN7OavX0
金糸雀「さてっと!では呼び鈴を押しましょう!これを押せば家主と翠星石が出てくるのかしら!そんなことは自明の理!今日こそアリスゲームの緒戦の勝利者となって、すっきりしゃっきりして帰るのよ!」

金糸雀「うーんしょっ!あれ、呼び鈴に届かな……あ、ピチカート、代わりに押してくれるの?流石はカナの人工精霊なのかしら!」

金糸雀「じゃあピチカートっ!戦いの始まりを告げる鐘、もとい呼び鈴を鳴らすのかし……」

金糸雀「………」

ピチカート「…?」

金糸雀「ちょっと待ってね、ピチカート。このまま呼び鈴を鳴らしたら…」
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:06:11.89 ID:oUN7OavX0
金糸雀「翠星石のマスターである歌手さんとも敵対することになるのかしら。そうしたら、こんな風に庭に来ることも出来なくなるかも」

金糸雀「みっちゃんに頑張って色々調べてもらって、前聴いた曲は有名な小説をモチーフにしてるって勉強したのに。それが現代でも終わっていない問題を取り扱ってるってことも…」

金糸雀「調べれば調べるほど、音楽家としてのカナの本能が囁くのかしら!もっとこの人の曲を聴いてみたいって!」

金糸雀「……でも」

金糸雀「その為にアリスゲームを放り出す訳には行かないのかしら。みっちゃんとお父様の悲願のために…」

金糸雀「うーん!どうすればいいのかしら…」

金糸雀「うーん…うーん……」

ブオッ
金糸雀「うわぁっ!?な、何かしら?突風…?」

ヒラ…

金糸雀「あら?この黒い羽根は…」
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:07:09.02 ID:oUN7OavX0
…………
平沢進「だから。それは私の粗食であってストーンの糧食でもなければ人形のままごと道具でも無い」

翠星石「うるせーです!こんな栄養にならなさそうなものばっか食べてねーで、こっちのスコーンを食べるです!」

平沢進「だから。私も腹の虫も夕食時に食べる気は無いと」

翠星石「腹の虫は黙ってろですぅ!甘いもの用の別腹の虫は食べたいって言ってるに決まってるです!」

平沢進「別腹の虫は無口なので。最近は私に話しかけたこともない。なのでスウィーツに対し積極的に食欲を動かすこともなく」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/24(土) 21:07:42.83 ID:oUN7OavX0
翠星石「えぇ〜ウソですぅ!甘いものが嫌いな人なんているわけねぇんですから!まして、この翠星石の作った絶品スコーンですよ?ほーら、ひとくちで良いから食べてみるです!」

平沢進「だから。そういう事以前にまず私の高品位粗食v2.0を返しなさいと」

翠星石「だからだからうるせーです!…返したらスコーン食べてくれるですか?」

平沢進「腹の虫よ応えたまえ。あ、ダメだ、粗食で非常に高い満足度を得る模様」

翠星石「じゃあ返せねぇですぅ。ヒラサワがスコーンを食べて、お互いにうぃんうぃんのカンケーになれるまで翠星石は譲らねぇですよ!」
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