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機獣幻想記
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23 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 22:57:31.50 ID:pxB52Zg60
>>22
あーゾイドがありましたか。紛らわしタイトルになり申し訳ないです。
ゆっくりですが投下します。
24 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:06:19.73 ID:pxB52Zg60
キャンプ地
男「俺にもあんな技が使えるようになるんですかね?」
兵士長「どうだろうなぁ。こればっかりは個人の才能と努力がモノを言うからな」
兵士「教会で名前を教えてもらえれば、一緒にスキルも確認できるので、自分のスキルに合った道に進むのが一番いいですよ」
キャンプ地にいる兵士達とはある程度話が出来るようになった。
この世界の人達は自分が異世界人だからと差別するような事もなく、むしろ珍しいと興味を持って話しかけてくれる。
更に、自分が日本人という事で、この世界の英雄の国出身という縁起がいいものとして扱ってくれているようだ。
正直居心地がいい。
25 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:07:38.49 ID:pxB52Zg60
兵士長「そういえばお前は元の世界に帰りたいとか言わないんだな。大抵はそう言うそうだし、いきなり別の世界に来たんだから無理もないが」
男「あぁー……俺もよくわからなくて……」
元の世界に帰りたくないという事は無い。
しかし、今すぐ帰りたいというわけでも無いのだ。
原因は自分が高校3年生。進路について悩む時期だからだろう。
これといってなりたいものがあるわけではない。
しかし、時間は待ってくれない。
俺らの世界は夏休み。卒業までもう半年ほどしか残ってないのだ。
男「今自分がどんな仕事に就くのかっていうのを決める時期なんですけど、自分が将来何になりたいっていうモノが無くて……ちょっと現実逃避したい気分なんですよね」
現実逃避に異世界。凄まじいスケールだ。
26 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:08:44.85 ID:pxB52Zg60
兵士長「あー、俺もそんな若い頃があったな」ハハハ
男「兵士長さんはどうしてこの仕事に?」
兵士長「俺か?俺は色々悩んだが、昔から腕っぷしは強かったからなぁ。何だかんだでギルドに所属する冒険者か兵士になるんだろうなと思ってたよ」
男「どうやって決めたんですか?」
兵士長「そりゃあまぁ……コレだよコレ」
兵士長がニヤケながら小指を立てて見せる。
女か。
いや、女なのか?こちらの世界でもそのジェスチャーは通用するのか?
兵士長「結婚しようって思った女がいてな。あ、それが今の嫁さんなんだが」
あ、女か。
兵士長「冒険者は一山当てりゃあデカイが安定しねぇし危険も多いからな。それなら兵士として安定した給金を得ようと思ったんだ」
公務員ですねわかります。
27 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:10:17.61 ID:pxB52Zg60
兵士長「将来に悩むなら年長者に聞くのも手だ。親父さんとかには相談したのか?」
男「父親は……自分が一歳くらいの頃に仕事中に死んだそうです。こちらでいう兵士みたいなもので。家族は母親と妹だけです」
兵士長「そうか……悪いな」
男「いえ、顔も覚えてないので」
父親は自衛官だったそうだ。
大きな災害の時に、人々を助け、最後には巻き込まれたと。
生活はその時の保険金で不自由なく暮らしていけている。
世間的には立派な父親なのだろう。
しかし会った記憶もないからその実感がない。
自分の名前も父親がつけてくれたらしいが、今はその名前も忘れている。父親との繋がりが切れている状態だ。
28 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:11:28.19 ID:pxB52Zg60
兵士長「まぁよ、どんな父親だったか知らんが兵士としての仕事を全うして死んだんだ。お前はそいつの子供なんだろ?胸張っていいんじゃないか?」
男「兵士の仕事って……何ですか?」
兵士長「そりゃあお前、人々を守るってのが俺達の仕事だよ。悪人やモンスター、それに魔物からな」
男「守る……か……」
自分の命さえ守れないのに。他人を助けても自分が死んだら意味がないじゃないか。
兵士長「お前も嫁さんや子供を持てばわかるさ。兵士だけじゃない。男ってのは守るもんがあった方がいいってな」
男「兵士長さんにはお子さんが?」
兵士長「いるぞ。いや、まだ会ってないがもうすぐ生まれる。いや、もう産まれたのかな?
今にも産まれそうって時にこの討伐任務だからな。嫁さんの大事な時に側にいられねぇのは恥ずかしい」
男「え?大丈夫なんですかそれ」
兵士長「俺も辞退しようかと思ったんだがよ。嫁さんが言うんだわ。
『産むのはアタシなんだからアンタは食い扶持稼いでこい!!』ってな。思いきりケツ蹴っ飛ばされちまった」ハッハッハ
男「プッ!アッハッハッ!!!」
29 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:12:43.76 ID:pxB52Zg60
兵士長「まぁ、お陰で縁起物と言われる日本人の異世界人に出会ったんだ。子供の名前、男の子だったらお前の名前を貰おうかな」
男「いや、そんなんでいいんですか!?ていうか名前は神様からもらうんじゃ」
兵士長「アレはスキルに結びつく真名ってヤツだよ。熱心な信者はそのまま使ってるけど別に呼び名は親がつけていい」
男「そんなもんですか……ていうか俺自分の名前をまだ思い出してないんですよ?DQNネームとかだったらどうするんですか!?」
兵士長「DQN?まぁ大丈夫だろ。仕事を全うできる兵士が親なんだ。きっと立派な名前さ」
そんな感じで時間はあっという間に経っていき、日はあっという間に沈んでいく。
もうすぐ夜だ。
寝て起きたら、街に行って名前を思い出さなければ。
……あまり自分の名前に何かを思う事はなかったけど、無くしたら気になるもんだな。名前の由来とかも。
30 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:14:52.20 ID:pxB52Zg60
そして日暮れ時
ドォォォオオオオオン……
「雷か?雨が降りそうな空には見えないが」
見張りの兵士が北の空に稲光を見つける。同時に雷鳴が。
しかしもうすぐ日が落ちようとする空には雷雲のようなモノは見えない。
兵士長「どうした。今の音はなんだ?」
「はっ!北の空に稲光が見えた為、恐らく雷が落ちたモノと思われますが」
兵士長「雷?この空でか?」
兵士長が空を見上げる。
やはりとても雷が落ちるような空には見えない。
雷を操るモンスターや魔法は存在するが、ここまで雷鳴を轟かすほどの使い手はそういない。
兵士長「……何か嫌な予感がするな。総員、いつでもここから動けるように準備しておけ!」
「「「はっ!!!」」」
兵士長の頭に1つの存在が思い浮かぶ。
31 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:18:53.52 ID:pxB52Zg60
『魔物』
この世界には存在しないハズの機械の獣達。
空間の亀裂から現れる、文字通り別次元の存在。
数十年前から現れだした魔物達は、当時のこの世界の人間には未知の技術、『機械』によって作られた生命無き存在である。
魔物達が装備している『銃火器』は凄まじい殺傷能力を持っており、魔物達の斥候の役割を持つと言われている、この世界のモンスターであるウルフ種に形状が似た魔物『ヤマイヌ』によって当時の幾人もの戦士達や人々が犠牲になった。
その後も次々と新しい魔物が次元の向こう側から現れたが、その都度この世界の人々は打ち勝ってきた。
現在、魔物達の残骸から得られる機械や銃火器は、職人達やドワーフ族と呼ばれる高い製作技術を持った者達によって、世界の発展に活用されている。
街の防衛兵器にも、次々に機械による兵器が設置されている程だ。
魔物達は災害であると共に、貴重な資源でもある。
32 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:20:02.37 ID:pxB52Zg60
しかし、世界を脅かす災害である事には間違いない。
モンスター討伐を請け負うギルドの危険度ランク付けにて、FからSSSランクまで設定されているが、現在確認されている中で最も危険度の低い魔物である『ヤマイヌ』でさえCランク。
これは、洗練された兵士の一個小隊によって達成可能なレベルということ。
Sランクにもなれば大都市の防衛兵器も含めて、全兵士総がかりの戦争となるレベル。
最高位手前のSSランクは大国単位の戦争に匹敵。もしくはそれ以上の世界の危機である。
歴史上、SSランクはかつて異世界からきた英雄が倒したモンスターしか認定されていない。
万が一、それを超える最高位のSSSランクの魔物、あるいはモンスターが出現した場合、今度こそ世界は滅びるだろう。
33 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:22:02.83 ID:pxB52Zg60
兵士長「あの雷が魔物によるものだとすれば……」
モンスターは基本、テリトリーに入った人間や危害を加えない限り襲ってくる事はない。
あるいは食料の為。食物連鎖という言葉通り、生物の世界は循環している。
モンスターの襲撃には理由というものがあるのだ。
しかし、魔物は問答無用で目の前の生物を無差別に攻撃してくる。
いなくなれば場所を変え、更に攻撃する。
生きる為では無く、ただ殺戮を繰り返す。
まるでこの世界の生物を根こそぎ狩り尽くそうとするかのように。
兵士「報告!!討伐隊の兵士が1人戻りました!!パルド族のパンサーです!!」
兵士長「亜人の新兵か!?通せ!!」
パンサー「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」
息を切らした1人の兵士が入ってくる。
34 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:26:20.80 ID:pxB52Zg60
亜人。
人と獣が混じり合ったような姿をした者達。
遥か昔には亜人への差別などがあったらしいが、今はほぼそんな意識は無くなっている。
もっとも極一部の人間や地域には強く根付いているようだが。
パンサーという新兵は、パルド族と呼ばれる瞬発力に非常に優れた亜人だ。
その並外れた瞬発力で一瞬で獲物を仕留めると言われている。
代わりに体力にはあまり自信がないようだ。パンサーも息を酷く切らしている。
パルド族は本来まだら模様の毛並みなのだが、パンサーは全身が真っ黒である。これが理由で少年期は同族にからかわれたとか。
兵士長「他の奴等はどうした!?」
兵士「それが部隊長から伝言を預かっているようで。ほら、話せるか?」
パンサー「は……はい……部隊長は兵士長に今すぐ街に帰還し、ランクSの魔物の襲撃に備えろと……」ゼェッ……ゼェッ……
パンサーの言葉を聞いたその場の兵士達が凍り付く。
35 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:27:39.18 ID:pxB52Zg60
ランクS。
討伐するには大都市の防衛兵器と大量の人員を用いる必要があるとされるモンスター、魔物。
兵士長「……敵は……魔物の種類は何だ?」
パンサー「えっと……『ヤタガラス』と言っていたような……」
『ヤタガラス』
過去に2度出現が確認され、いずれも出現地域の街や村を多く壊滅させたとされる、雷を操る巨大な鳥の魔物。
兵士「バカな……そんなモノが我々の街にやってくればひとたまりもないぞ!!」
魔物は一度出現すれば、自身が破壊されるまで眼に映る全ての生き物を蹂躙する。
ここから一番近い、兵士達の住む街に向かってくるのも時間の問題だろう。
36 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:31:58.31 ID:pxB52Zg60
兵士長「だが今すぐ街に戻れば迎撃の準備は出来る。勝てる見込みは少ないが、それでも魔物の存在に気付かず急襲されるよりかは遥かに可能性がある」
パンサーを伝令に出した討伐部隊は全滅だろう。
先程の北に見えた雷は恐らくヤタガラスのもの。
部隊長の自身を犠牲にした判断は、街を救う希望を紡いだのだ。
奴らもまた、己の兵士としての役割を全うした。
兵士長「全員このキャンプ地を放棄!!直ちに街へと帰還し、ヤタガラスの襲撃に備える!!」
「「「はっ!!!」」」
今から全速力で街に戻っても到着は深夜になるだろう。
駿足を誇る兵士、パンサーでも長距離では体力的にそこまでのスピードがでない。
果たしてそれから準備に取り掛かって完全な迎撃態勢をとれるかどうか。
男「あれ?皆さんどうしたんですか?」
兵士長達の前に、異世界からやってきたニホンの少年が現れる。
こちらに来て早々に魔物の襲撃に出くわすかもしれないとは運の無い事だ。
……いや、この少年には確か……
兵士長「少年……もしかしたらお前が街を救う鍵となるかもしれん!!」
男「……え?」
この少年と共にやってきたあの機械の乗り物ならば間に合うかも知れない。
37 :
◆f4r6vzewVk
[saga]:2018/03/10(土) 23:35:11.83 ID:pxB52Zg60
投下終了です。
次回は水曜か木曜に投下予定です。
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/11(日) 00:10:28.54 ID:zmahjjJlo
乙
結構好きよ
昔ながらのvipで投下されてた小説作品みたいで
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/11(日) 01:28:46.06 ID:FqCB/EsA0
おつ!
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クオリティの高いサービスを貴方に
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