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ジャパニーズアベンジャーズ 特撮クロスオーバースピリッツ
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1 :
魔界岸
:2018/03/08(木) 01:27:26.93 ID:hbRb7IpJO
どうもこんばんは
ハーメルンというサイトで魔界岸という名で活動しております
広く意見を貰おうと思いましてここにも作品を投稿させていたただきます
仮面ライダーspiritsの影響を強く受けた作品ですが、仮面ライダー意外にも等身大の特撮ヒーローを登場させていきます
よろしくお願いいたします
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1520440046
2 :
魔界岸
:2018/03/08(木) 01:35:21.28 ID:7Icj2emlO
ー教えてくれ、光太郎……何でお前なんだよ?……どうしてお前じゃなくて俺がこんなめに遇わなくちゃいけないんだよ?……ー
仮面ライダーBLACKとして闇の秘密結社ゴルゴムから地球を守り、異次元世界からの侵略者クライシス帝国には仮面ライダーBLACKからRXへと新たなる進化を遂げ、立ち向かった男がいた。
いかなる状況でも子供たちの夢を守ってきた歴戦の強者であるその男の名は南光太郎。
彼は最近、毎日のように見る悪夢に魘され、アメリカ・ニューヨーク外れの古いモーテルで目を覚ました。
「またこの夢か……冗談じゃないぜ……」
光太郎にとって忘れることのできない友が夢の中で血塗れになり、問いかけ、訴える。
ー教えてくれ、光太郎……何でお前なんだよ?……どうしてお前じゃなくて俺がこんなめに遇わなくちゃいけないんだよ?……ー
友は全身血塗れで膝をつき泣きながら光太郎の袖を掴む。
毎日、そこで光太郎の夢は覚めるのだ。
「信彦……」
秋月信彦……光太郎と同じ日にゴルゴムに連れさられ、改造手術を受けた幼馴染。
光太郎は運良く、洗脳手術の前に脱出できたが友である信彦は洗脳を受け、ゴルゴムの創世王候補シャドームーンなってしまったのだ。
その後、幾度となく戦い、遂に光太郎はシャドームーンを討ち果たすが、それは同時に人格は違えど、友を自分の手で殺めてしまったことを意味する。
その信彦が泣き、光太郎を憎みつつ必死に訴える姿……光太郎にとってこれ程、嫌な夢はなかった。
「何故、今になってこんな夢を……」
この夢は少なくとも二週間は続いている。
その影響も有り、光太郎は胸騒ぎが治まらず、不吉な予感に苛まれていた。
「いや、ただの夢だ 明るくいかないと!」
光太郎は無理に自分を奮いたたせる。
今日から一週間、叔母と叔父の子供たちがニューヨークにやってくるのだ。
無理にでも明るくしないと心配をかけてしまう。
光太郎はベッドから足を下ろし、リュックからペットボトルを取り出すと半分まで減っていたミネラルウォーターを飲み干すと心を落ち着かせる。
「まだ少し時間があるなぁ」
テーブルに置いてあったリモコンを取り、テレビの電源をつけるとニュース番組がやっており、日本人が映っていた。
どうやら衛生省からの中継のようで、日本ではゲーム病気が流行っていて発症した人達は消えてしまうと言う奇怪な病気だ。
しかし会見した若い医師は消えてしまった人達を治すことを諦めない。
感染した人達の名前を読み上げると「皆さんの笑顔を取り戻したいと思っています」と堂々と言い切ったのである。
若いのに立派なものだ……僅かでも可能性があれば、治ること、消えた人達が戻ってくれると親しい者であればあるほど信じる。
逆に無理と言ってしまえば、プレッシャーはなくなり楽になるが彼はそれをしなかったことに光太郎は驚き目を細めた。
あえて期待を一身に背負い、雲を掴むような道を彼は進んむことを決意した彼を心の中ではあるが称える。
「そろそろかな」
ニュースに夢中になっていたらいい時間になっていることに気づくと光太郎はテレビを消し、リュックを背負うとモーテルを後にする。
モーテル前に停めてあったバイクにまたがるとヘルメットを着用し、バイクを走らせ、ニューヨーク市内にある空港を目指す。
その道は一本の田舎道が続き、広大な畑も見られ、ここだけを見ると日本もアメリカも大した違いはないと感じ懐かしさをも感じる。
そして今日は天気も良く、心地よい風め吹いていて運転をしていてとても気持ちいい。
清々しい風を浴びながらバイクを走らせ続けるとようやく人通りも多く、交通量も増えてくる。
ここまで来るとテレビで見ていた時のような超高層ビルが立ち並び、アメリカにいるのを実感できた。
そんなのも束の間、一時間半程バイクを走らせると空港が見えてくる。
約束の時間まで後少しだ……胸の高鳴りを抑えつつ
光太郎は腕時計で時間を確認すると近くの駐車場にバイクを停めて、ヘルメットを置き空港に急ぐ。
空港に到着すると人混みの中を掻き分け、茂とひとみを捜す。
会うのは約6年ぶり。
自分が知っている茂とひとみはまだ二人とも小学生だった頃だ。
今は茂が高校生、ひとみは中学生になっているはず……ちゃんと自分のことを覚えているだろうかと少し不安になったりもする。
「「光太郎兄ちゃん!!」」
しかしそれは杞憂だった。
二人はしっかりと光太郎の存在を覚えていたのだ。
胸を撫で下ろすと手を振る二人の方に足を進める。
「二人共、久しぶり!」
昔は少しぽっちゃりしていた茂だが身長が伸び、身体も引き締まっていて、ひとみはモデルのように手足が長くシュッとしていてヘアスタイルもロングヘアーに変わっていた。
「二人共、ホントに大きくなったね!」
「光太郎兄ちゃんは全然見た目変わってないのが凄いよな」
「うん、茂お兄ちゃんと違ってイケメンだしね!」
「おい、ひとみ! それは傷つくから言うな!」
そして三人で笑いあう……光太郎は二人の笑顔が何よりも嬉しかった。
どんなに大きくなっても光太郎にとってはかわいい従兄弟たちなのを改めて実感する。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/08(木) 01:37:25.26 ID:7Icj2emlO
「とりあえず荷物重いだろ? ホテルを予約してあるから行こうか」
「「うん!!」」
空港を出ると光太郎は適当にタクシーを捕まえ、二人を乗せるとお代とチップを渡し流暢な英語で行き先を指定。
そのタクシー後をバイクで追う。
その後、三十分〜四十分くらいだろうか……目的地であるホテルの前に到着する。
「Thank You」
二人が出てくると光太郎はここまで運んでくれたタクシードライバーに礼を言い、タクシーを見送るとホテルに入りチェックインする。
「さぁ着いたよ」
これから三泊四日このホテルでお世話になることになる。
部屋に着くと、トリプルベッドが用意されていた。
二人は荷物を置くと、ベッドにダイブする。
「スゲー!!」
「こんな豪華なホテル初めて!!」
大きくなったと言ってもまだまだ二人とも子供。
その無邪気な喜びぶりに光太郎はホッコリしつつ、ベッドに腰かける。
「おっ……フカフカだ」
ベッドが柔らかくて気持ちいい。
光太郎はクライシスを壊滅させた後、己を鍛える名目で自分探しの旅に出て以降、この6年は間異国を旅し、寝泊まりは安いモーテルばかり、それさえ見つからない時は野宿もした。
だからかホテルのベッドがフカフカでとても新鮮に感じる。
「そう言えば光太郎兄ちゃん、私お腹が減ってきちゃった……」
「俺もぉ……」
「じゃあ少し早いけど昼ご飯でも食べるか!」
そう言って光太郎は二人を連れ、ホテルを出ると徒歩10分くらいのステーキ屋に案内する。
せっかくアメリカに遥々来てくれたのだから何かそれらしいものを食べさせいと考えたが光太郎には「アメリカ=ステーキかハンバーガー」しか思いつかなかった。
ステーキとハンバーガーの二択ならステーキを食べさせてあげたいと思い連れてきたが口に合うだろうか……。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/08(木) 01:38:31.76 ID:7Icj2emlO
「俺、ポーターハウス!」
「私、サーロインステーキ!」
茂もひとみも日本では見たことも、食べたこてないであろう大きさのステーキが運ばれ驚嘆。
「デカ!? こんなの見たことねー!!」
「凄ーい!! アメリカ来て良かったぁ!!」
嬉々として肉を頬張る二人を見て、光太郎は結果的にはステーキで正解だったことにホッと胸を撫で下ろす。
ステーキを食べながら、三人は昔話しに花を咲かせたり日本の現状について話したりもした。
「それにしても光太郎兄ちゃんがRXって知った時はビックリしたなぁ! あの時の衝撃は忘れられないよ!」
「黙っててゴメンな でも茂君、一番ビックリしたのはひとみちゃんがガロニア姫として洗脳されて大人の姿になった時じゃない?」
「あっ! そっか!」
一度、クライシス皇帝の愛娘であるガロニア姫の替え玉として、マリバロンに誘拐された後、奇跡の谷での儀式により成人の姿になった状態でガロニア姫として洗脳され、光太郎たちに対して攻撃をしかけたこともある。
「ちょ、ちょっと! 恥ずかしいから茂お兄ちゃんも光太郎さんもやめてよ! お兄ちゃんこそ、ガッツリ洗脳されてダッサイ服着てグレート・マスクNo.1とかやってたじゃないの!」
「あっ! ひとみ、それは禁句だぞ!」
ひとみがクスクスと笑いだし、続いて茂がゲラゲラと笑い出すと光太郎も我慢できなくなり三人で大笑いす。
それにしてもまだ小さかったのに二人共、意外と覚えているもので彼らもまた光太郎……すなわち仮面ライダーBLACK RXと共に時代を駆け抜け、クライシスと戦った盟友であるということの証だった。
「最近、日本の様子はどう? ゲーム病なんてのが流行ってるらしいけど……」
続いて光太郎は今の日本の現状について話しを聞くことにした。
光太郎がクライシス帝国を倒してもう何年も経つがあれ以来日本には帰っていない。
日本が恋しい時はある……だが光太郎は正直、戦うことに疲れはじめていた。
大体の先輩の仮面ライダーたちは海外で転戦している……しかしそれはいわば戦った組織の残党を狩っているだけで、日本にいる時程、激しい戦いではない。
特にこのアメリカに至ってはそう言った怪人などによる事案は少なくとも光太郎が来てからは起こっていないのだ。
それに比べ、何故か日本を拠点に侵略を企む悪の組織や未知の怪物たちが多い。
なら日本に帰って生活を始めれば嫌でも戦わなければならない時が出てくる。
正直、光太郎は自分の力に懐疑的になりはじめていたのだ。
自分の力のなさから戦いで大事な人たちを失ったり、悲しませたりするのではないか……だったら自分が戦いに加わらなければいい。
二年ほど前の話しだ……仮面ライダー一号こと本郷猛からの要請で援軍に向かった時のこと。
カナダにあるガラショッカーのアジトを見つけたが、思ったよりも敵の数が多いので手伝ってほしいと言った内容だった。
二人でアジトに乗り込み、ガラショッカーは壊滅、その時の一号の強さが光太郎には今も鮮明に焼き付いている。
パンチやキックのスピードも威力もRXは一号に負けていない……むしろ銃が使えて防御力の高いロボライダー、液状化したり敵の攻撃を無効果できるバイオライダーにだってフォームチェンジが可能できるため戦闘力では一号を凌駕しているはず。
しかし光太郎は一号と戦ったら自分はきっと簡単に負けてしまうだろうと思った。
それが経験の差だけなのかどうなのか……その時、光太郎は言葉では言い表せない圧倒的な差を感じたのだ。
一号の境地にまで到達すれば大事な人をきっと守れる……しかし今の自分にそんな力はない。
その戦いの後、光太郎は自信を失い、知らず知らずのうちに戦うことから逃げるようになっていってしまった。
だが日本では毎日のように侵略者が脅かしているはずで平和を望む光太郎には気にならないはずがない。
「ゲーム病は今はおさまったからいいけど……それより光太郎兄ちゃんがいなくなってからも色んな奴らが征服しようとしてるんだ……RXがいればこんな奴ら怖くないのにって思うことは何回もある……」
5 :
魔界岸
:2018/03/08(木) 01:41:11.29 ID:7Icj2emlO
「光太郎兄ちゃん、もう日本に帰って来ないつもりなの? 私、寂しいよ……」
「ゴメン……今は帰れないかな……でもいつか必ず帰るから」
そう絞り出すのが今の光太郎には精一杯の答えだった。
さっきまで大笑いしていたのがウソのようにしんみりしてしまい、会話が途切れ、重い空気が三人を包む……。
「なぁ二人共、遊園地に行かないか? 電車一本で行けちゃうところにあるんだけど」
「えっ? 遊園地? 俺は別にいいけどひとみは?」」
「私、行きたーい!」
「じゃあ決まりだね!」
遊園地に行く予定はなかったが、光太郎なりに二人を喜ばせよう、空気を変えようと考えてのことだった。
ジェットコースターやメリーゴーランドなどのアトラクションに乗り、三人は楽しい時間を過ごし、特に光太郎は遊園地で遊ぶことなんてかなり久しぶりで童心に戻ったかのような錯覚を受けた。
この平和な時間が永遠に続けばいいのに……しかし夢のような時間はあっという間に終わりを告げる。
もう夕暮れ……そろそろ帰らなくては……。
ひとみちゃんはまだ遊び足りないようで残念そうだったがまた連れてくると言うことで何とか納得してもらうとホテルへの帰路につく。
「茂お兄ちゃん、光太郎お兄ちゃん見て見て! うわぁ〜綺麗!……」
「ホントだ! マンハッタンってこんなに綺麗だったねか!」
「なんか俺たち別世界にいるみたいで不思議な気分」
バイクからだと思ったことはなかったのだが電車で見る夜のマンハッタンの街はとても綺麗で心が癒され、何故だか懐かしさまで感じる。
そしてホテル近くの最寄り駅に到着する頃には完全に夕日が沈み、太陽の光から建物から発する電気が街を照らすように変わっていた。
電車から降り、近くのハンバーガーショップでハンバーガーセットを三人分テイクアウトするとホテルに持ち込む。
ホテルに戻ると茂がハンバーガーを食べる前に改まって頭を下げる。
「光太郎兄ちゃん、明日のことでお願いが……」
「何だい茂君、行きたい場所でもあるのかい?」
「うん……コスモアカデミアのニューヨーク本部を見学したいんだ」
「コスモアカデミア?」
「そっか光太郎兄ちゃん知らないのか」
聞き慣れない単語に戸惑う光太郎に茂が説明する。
「さすがにビーファイターは知ってるよね? ジャマールと戦った戦士たち」
「あぁ名前だけは」
ビーファイター会ったことも見たこともないが、噂ではチラッと聞いたことがある。
昆虫の力を宿し、光太郎がRXとして戦う以前に現れジャマールと言う異次元組織に立ち向かったと……。
人知れず戦う仮面ライダーは都市伝説のように扱われるがビーファイターは公で堂々と戦っているため大衆も認知することとなっている。
「ビーファイターたちを生み出したのがコスモアカデミアって機関なんだけど、将来はそこに就職しようかなって考えてて、コスモアカデミアが設立した大学に進学」
意外だった……確か茂は宇宙飛行士を目指しているとばかり思っていたからだ。
「どうしてだい? 宇宙飛行士になりたかったはずじゃ?……」
「うん……そうなんだけど、コスモアカデミアは未知の敵の侵略に備えて色んな武器を開発したり地球環境についての研究もしてて俺は光太郎兄ちゃんみたいにRXには変身できない だから怪人とは戦えないけど戦うことを手助けすることはできる! 俺だって人を守りたいんだ!」
光太郎は茂がそこまで考えていたことに驚いた。
茂もまた仮面ライダーと同じ平和を戦う戦士なのだ。
変身できるかどうかじゃない……平和を願う茂の魂の叫びに光太郎は胸を打たれた。
「茂君……分かった! 明日コスモアカデミアに行こう! ひとみちゃんもそれでいいかい?」
ひとみからの返事はなかった。
どうやら長旅の疲れからかハンバーガーを食べおえたところで眠ってしまったようだ。
「もー……ひとみの奴、俺がせっかくいいこと言ったのに寝てるのかよ……」
茂はガックリと肩を落とし、テーブルの上に置いてあったリモコンを手にするとテレビの電源を入れた。
やっていたのは討論番組でやっていたのは最近ニューヨークで多発している怪事件についてだった。
目玉がくりぬかれ、体の上半身が骨が見えるくらい抉られていた。
傷口の大きさから動物の仕業だと推測する者、カルト集団の人の仕業だと言い張る者、そして出演した目撃者が言うに鬼が人を喰らっていたと言う。
他の出演者はバカにして笑っているが、人外と戦ってきた光太郎には引っかかる……。
出演者が見たという鬼がもし怪人だとしたらそれは新たな戦いが始まることを意味する……。
「全然何言ってるのか分かんねーや……光太郎兄ちゃん何言ってるのかわかる?」
「最近物騒な事件が起こってるからその話しだよ」
「へぇ〜てか光太郎兄ちゃん英語ペラペラだもんなぁ……スゲぇや」
「いる期間が長いからね……それより茂君も疲れたろ? 今日はもう寝よう」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[魔界岸]:2018/03/08(木) 01:42:27.00 ID:7Icj2emlO
嫌なニュースをこれ以上見たくない光太郎はテレビを強制的に消すと、部屋の電気消灯した。
今日だけはいつもの夢は見ませんように……そう願いながら光太郎は目を閉じる。
すぐさま意識はなくなり、暗闇が視界を覆い尽くす。
その暗闇の中から血塗れの信彦の顔が浮かび上がってくる。
ーお前が洗脳されれば良かったんだ……お前が[
ピーーー
]ば良かったんだー
ーやめてくれ信彦!……俺はお前を助けようとっ!……ー
光太郎の必死の叫びも聞かずに信彦は光太郎にはいつもの無慈悲な言葉を続ける。
ーー教えてくれ、光太郎……何でお前なんだよ?……どうしてお前じゃなくて俺がこんなめに遇わなくちゃいけないんだよ?……ー
同じ夢だった……いつもと同じ悪夢。
その悪夢は今日も同じ場面で途切れ、光太郎は目を覚ます。
上半身だこ身体を起こし、時計を確認すると針は深夜二時を指していた。
光太郎は頭を抱え、再び上半身をベッドに沈める。
せめて茂とひとみがいる時くらいは見たくなかった……それとも信彦が俺に何かを伝えたがっているのだろうか……。
その時だった……部屋のドアが閉まる音が聞こえた。
誰か入ってきた音かそれとも出ていく音か。
だが不思議なことに茂もひとみもグッスリと寝ている……つまり彼らが一旦部屋を出て戻ったと言うことは有り得ないし泥棒や強盗などかと一瞬思ったがドアはオートロックで部屋が荒らされた様子もなくその線も考えにくい。
では今のドアが空く音は何だったのか……何か嫌な予感がする。
光太郎は気になり、部屋を空けた主を追う。
幸いにも何者かが部屋を出てから時間はまだ数秒だ。
今なら追いつける……そう思った光太郎は部屋を飛び出すようにして後を追った。
光太郎の部屋はつきあたりで部屋を出ると長い廊下がある。
どこに逃げるにしてもその廊下を通らなければならない。
改造人間で変身前から常人より優れた身体能力を持つ光太郎なら必ず追いつくには十分なはずだが……。
「何だと!?」
侵入者らしき者の姿が見えたのは後ろ姿のほんの一瞬。
しかも急いでいる様子もなくスッーとエレベーターのある方向の角を曲がる。
光太郎が滞在している部屋からつきあたりの角までは約七十メートルくらいあるのに普通に歩く程度のスピードでたどり着けるだろうか。
絶対におかしい……もう光太郎がエレベーターに入った頃には侵入者が乗ったであろうエレベーターは既に一階に降りていた。
エレベーターが一階に降りる時間がとても長く感じられ、何時間にも思えてしまう。
侵入者を見失ってしまうのではないかと焦りの心が生じる。
エレベーターから一階に降りると侵入者はホテルを出たところだった。
黒いジャケットにジーパンをはいた黒髪の男で痩せ型、身長は光太郎とそうは変わらない。
光太郎は侵入者の情報をインプットすると急ぎ、フロントに外出する旨を伝えると後を追いかける。
7 :
魔界岸
:2018/03/08(木) 01:43:35.41 ID:7Icj2emlO
「待てっ!!」
しかしどんなに走っても追いかけても距離は縮まらない。
むしろ一定の距離を保ち、これ以上離れないし縮まらないようになっているかのようだ。
本格的におかしい……まさかとは思うが怪人かもしれない。
クライシスの残党が命を狙いにきたのではないか……光太郎の中ではその可能性が高いと踏んだ。
誘導されている?と感じつつ光太郎はいつしかニューヨークの人気のない路地裏まで侵入者を追っていたが、一向に距離は縮まらない。
だが急に次の路地裏の角で侵入者はくるりとこちらを振り向く。
その振り向き街灯にさらされた素顔に光太郎は愕然とし、立ち止まり唖然とする……。
見覚えがあるとかそういうレベルの話しではない。
それは最近、夢に出てくる紛れもない親友、秋月信彦の姿だったのだ。
信彦は光太郎の姿を確認すると、角の死角にスッーと姿を消した。
「そんなバカな!?……信彦!? 待ってくれ信彦!!」
半信半疑の状態で信彦の後を追う。
信彦を追って曲がった角で見たのは男性の無惨な死体であった。
辺りを見渡すが、信彦の姿は見当たらない。
目玉はくりぬかれ、上半身は一部を除き、動物に噛みちぎられているかのようだ……。
ここで光太郎は夕方にやっていたニュース番組を思い出す。
まさか信彦がやったのか……その疑念が消えぬままその場に立ち尽くすしかない光太郎。
けたたましいパトカーのサイレン音が光太郎の周囲に響き渡る。
このサイレンと共に脅威が来襲し、新たな戦いが始まる……その確信を光太郎は強める。
だが今はこの場をすぐにでも立ち去らなければ、自分が疑われてしまい厄介なことになると思った光太郎は釈然としないながらもホテルへと急ぎ戻るのであった。
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/03/08(木) 01:53:55.33 ID:z3ig6PbF0
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