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未来を置き去りにしてバイトをする
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136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/10(火) 23:57:54.73 ID:NAcE1XbF0
>>135
主な理由はそれです.彼は不自然なほどロボットについて知りません,それで知りたいと思って,家を出て,絶縁状態になりました.
質問をしなければ,彼はロボットについて道端の石程度の知識しかありません.質問をすることは今の彼にとって,恥ではないのです
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/13(金) 04:36:24.04 ID:vX9epH5+0
1
「まず聞きたいのは,名前だ」
「あんたが私の名前を知って.サジェクト汚染,ストーカー,吐き気のするあだ名をつける,一体どれをするつもり?却下」
「そんなことはしない.ただ,名前を知らないままなのはやりづらいんだ」
「あのね,実験対象に必要もないのに名前を教えて交流する研究者はいないわ.もしそれで下らない感情に振り回されることなんてあったらごめんだもの.そ
れに私も同意見.これまでも,これからもね」
その傲慢ともとれる態度はPAIに名前を付けなかった僕も,同じなのだろうか.
彼女に聞くときがくるとすれば,僕がPAIに名前を付けたときだろう.
じっと押し黙った僕を見て,名も知らぬ相手はねむそうにあくびを漏らした
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/13(金) 04:39:12.52 ID:vX9epH5+0
2
「犬井さんは,本当にロボットなのか」
「あのレベルの外見は見かけることはあるでしょうに,なにを気にしてるわけ?」
「なんというか,初めて会った時の犬井さんの笑顔が,本物に近いと言うか,久々に見た癒しだった」
この数か月,天使も凍りつく様な邪悪な笑みなら幾度となく見たが,それとはまるで別種だ.
「あんたの言うことも一理あるわ.笑顔は表情筋を始めとして様々な筋肉が複雑に作用して,作られてる.何度もシミュレートしても,不気味の谷に落ちてしまうことだって有るわ.笑顔が,一番作りにくい表情って,笑える話よね」
彼女は乾いた笑い声をあげた,そこから彼女の苦労がにじみ出ているようだ.すこし意外だった,
「君のことをすこし勘違いしてた.ただの性格の悪い科学者じゃないんだな」
「その糞みたいな同情をやめないと,殴るわよ.数百kgを支えながら動いてる背後のアームで」
「悪かった,本当に」
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/13(金) 04:40:17.62 ID:vX9epH5+0
3
「犬井さんが目指してる,独立したロボットってなんだ?」
「質問は一つまで,あんたが言ったことだわ,責任を持ちなさい」
「男仁さんが来るまでまだかかりそうなんだ,頼む」
「理論的じゃないわね.私は,そういうのが通らない相手だって気づいてるでしょう」
「確かに」
かなりの頑固者のようだ.
「それであんたが不満を持つのは,私でも分かる,次の実験がおわったら,答えてあげるから,絶対来なさい」
「は?」
「己惚れないで.あんたの価値は白紙で何も染まっていない,なにもないことなんだから.急に知識をあんまりつけると,ひどいことになるわよ」
ぶつっと音が切れた.
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/13(金) 04:43:59.27 ID:vX9epH5+0
気づけば4か月間を無為に過ごしました
おやすみなさい
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/13(金) 04:47:42.02 ID:Rt1oNBPVo
起きろ
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/13(金) 09:13:24.01 ID:5SfkUAnno
乙
地味にラーメン屋にいた科学者が重要な人物なんじゃないかという気がする
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/25(水) 16:23:56.34 ID:lLMyajg8O
忠告にせよ酷い言い種だった。
中身がないのが価値だと彼女は言う。
それが正しいというなら、僕は空のリュックサックにも等しく、軽いのだけが取り柄のようだ。
はっきりと気分が落ち込む。
自分よりも明らかに上の立場、あるいは優れた人物に貶されることほど、自尊心を傷つけられることはない。
劣等感が毒となり体内を駆け廻るのを男仁が来るまでただ耐えていた。
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/07/29(日) 09:37:27.28 ID:2Z/zGywUO
男仁さんが戻ってきたとき、一瞬僕はどういう顔をすればいいのか判らなかった。
僕が騙されたという形にはなったが、実害があったわけではなく、気分を悪いものにしたのは主にスピーカーの向こうの相手である。
それゆえにひどく罰の悪い顔で、出迎えたわけだが彼はそれを気にしている余裕は無さそうだった。
何かに気を取られている、いやとりつかれているとさえ言える表情で彼は戻ってきた。
交渉相手とよほどのことがあったのだろうかと勘繰ったが斎場の件を考慮すると、その可能性も薄い。
男仁さんは中身を運ぶ役目を終えて軽くなったスーツケースを二つ僕に手渡して、その場を後にした。
慌てて僕はその背中を追いかけた。
いつの間にか、鉛のような曇り空が僕たちの頭上を覆っていた。雨がそろそろ降りだしそうだ。
イベント
危険の予兆の察知 PAIがいないため自動失敗
自由安価直下
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/29(日) 09:39:05.95 ID:2Z/zGywUO
帰り道にできることでお願いします
考え事、耳をすませる、等
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/29(日) 10:52:32.95 ID:d9cwb9gZo
鈴音さんについて考える
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/08/01(水) 13:40:34.45 ID:2YJgKdt60
鈴音さんについて
今日、会った中で最も繊細な印象を受けた子だった。
それは彼女が盲目である故に纏う雰囲気、そして取り巻く環境がそう感じさせる。
彼女の世界はあの斎場で完結している。
斎場で働く所以は、家族関係入れて貰えたのかもしれないし、
障害者支援法によって枠があり雇われたのかもしれない。
どちらにせよ彼女は居場所を見つけたのだ。
一つに障害者が働くことを国は推奨する。
同様にIOTチップを取り付けた人が働くことを推奨する。
逆は支援を受けられない、ぼんやりと否定される。
彼女はようやく日向に当てられた側の人間で、僕は日陰者。
羨ましいなんて口が裂けても言えないが
ともすればこうやって考え込んでしまうくらいに彼女のことが気になっている。
理由は彼女と僕は対比であり、ある意味では似ている。
鏡にうつった正反対の彼女を、僕は見ているのだ。
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