先輩「飲みに行くぞー!」後輩「はいはい……」

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35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/01(木) 12:01:56.94 ID:M66eS9ayO
なんか良い雰囲気
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:23:19.14 ID:J7/UUKls0

先輩「っていうか」

後輩「はい」

先輩「飽きた」

後輩「あんたが卓球やりたいって言い出したんでしょうが……」

先輩「だぁーって、弱すぎるんだもーん、後輩ちゃーん」

後輩「うっさいです」

先輩「こっちの方、右の方。全然狙ってこないんだもんなぁ? どうちてかなぁ?」

後輩「……」

先輩「ンクク、優ちいんでしゅね、後輩ちゃんはぁぁ〜?」

後輩「…………ふっ」

先輩「……お?」

後輩「ふふ……、ふっふっふ……」

先輩「後輩?」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:24:16.04 ID:J7/UUKls0
後輩「そこまで煽られたら仕方ないです……」ユラリ

先輩「お」

後輩「見せてあげますよ……、私の秘奥義、大仏サーブをね!」キッ

先輩「お、おぉ、後輩がやる気になった!」

後輩「サービスください」

先輩「あーげる」

後輩「どーうも」

先輩「……」

後輩「……」ググ

先輩「……」

後輩「……っ」グググッ

先輩「……」

後輩「そいやっ!」カコン

先輩「……」パコンッ

後輩「あう……っ」スカッ

先輩「何なんだお前は……」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:25:18.50 ID:J7/UUKls0
後輩「あれぇ……、おっかしいなぁ……」ブツブツ

先輩「もういいからさぁ。そろそろ飲み行こうぜー」

後輩「さすがにまだ、早すぎるんじゃないですかね? どこも開いてなくないです?」

先輩「『亜理愛』行こうぜ。たしか、月末は5時からやってる」

後輩「えぇ……、マジですか」

先輩「いいだろ。あそこボトル入れてるし」

後輩「私のなんですけど、あれ。……むむ」ググッ

先輩「固いこと言うなってぇ」

後輩「……むむむ」グググッ

先輩「…………」

後輩「……そいやっ」カコン

先輩「えっ、……うぉ!?」スカッ!

後輩「めっちゃ曲がった!」

先輩「めっちゃ曲がった!」

39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:25:45.82 ID:J7/UUKls0





40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:26:41.06 ID:J7/UUKls0





〜スナック〜


バイト「……お代わりいりますぅ?」

後輩「あー……、うん」

バイト「はぁい♪」カラン カラ

後輩「……」

バイト「……〜♪」



先輩「サーングラスぅー! はーずしたらぁー! 吹き出しちゃうほどォー!」

ママ「ハイハイハイ♪」



後輩「……」



先輩「あーどけないーっ 目をしてるぅーっ!」

ママ「フッフー♪」



後輩「……」

後輩(アホだ……)

後輩(アホの人だ……)

41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:27:42.76 ID:J7/UUKls0
バイト「はい、どうぞぉ♪」

後輩「ありがと……」

バイト「アホみたいに上手ですねぇ、先輩さん」

後輩「アホだからね」



先輩「おーっ、後輩ぃー! デュエットー! お前安室ちゃんなー!」



後輩「……」

バイト「呼んでますよぉ?」

後輩「……いいのいいの」

バイト「いいんですか」

後輩「付き合ってたら、アホがうつるから」

バイト「うふふ、怒られますよぉ?」

後輩「いいんだって。事実なんだから」グビグビ
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:28:26.95 ID:J7/UUKls0
バイト「ふふふ、そうやって、あんまり冷たくしてるとぉ♪」

後輩「……」グビ

バイト「いつかその内、フラれちゃいますよぉ?」

後輩「えっ……?」

バイト「え?」

後輩「あっ、いやあの……、私、付き合ってるわけじゃないからね、あの人と」

バイト「えっ! そうなんですかぁ!?」

後輩「えぇ……」

バイト「えぇ〜……、でもでも、いっつも一緒じゃないですか、おふたりってぇ」

後輩「それは……、まぁ、なんだろ? 習慣で……」

バイト「カップルなんだと思ってたぁ」

後輩「うん、違う」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:29:37.40 ID:J7/UUKls0
バイト「え……じゃあ、後輩さんが女の人好きっていうのも……」

後輩「あ、それは本当」

バイト「あぁ、へぇ……」

後輩「……」グビグビ

バイト「そうなんだぁ」

後輩「……」グビ

バイト「じゃあ、じゃあじゃあ、私とかでも、結構そういう目で、見ちゃうんですかぁ?」

後輩「そういう目って」

バイト「グッときたりとかぁ」

後輩「いや、まぁ……、可愛いは、可愛いし……」

バイト「ああぁ〜……♪」

後輩「あっ、やっ、さすがにね! そういう趣味ない子に、手は出さないからね! ケダモノじゃないのよ、私これでも!」グビグビ
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:31:26.43 ID:J7/UUKls0
バイト「えぇ〜……でもぉ」

後輩「……」グビ

バイト「後輩さんだったら、私ぃ」

後輩「……」

バイト「ちょっと興味あるかも? なんてぇ……?」

後輩「……」

バイト「なんて、んふふ♪」

後輩「……、……そんなこと言ってると」

バイト「はい?」

後輩「……連絡先、聞いちゃうよ?」

バイト「えぇ〜? じゃあこれラインで……」

後輩「ラインは営業用のやつでしょ? 他にやってない? プライベートでもいいんだけど。ハングアウトやってる? 分かんない? ケータイAndroid? iphone? 分かんない? うんじゃあちょっとケータイ貸して――……

先輩「口説くな」ゴスッ

後輩「ぎゃふんっ」

先輩「ったく……」



ママ「バイトちゃ〜ん、こっちお願〜い♪」

バイト「はぁ〜い♪」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:32:08.45 ID:J7/UUKls0
後輩「いたい……」サスサス

先輩「本当、まったく、お前さぁ……」

後輩「なんですか」

先輩「見境なしか」

後輩「あ、あれは……、違うんですよ。なんか、こう、雰囲気? 流れ? みたいなので……」

先輩「ばーか」

後輩「むぅ……」グビ

先輩「はぁ」グビグビ
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:32:59.43 ID:J7/UUKls0
先輩「マジで、後輩」

後輩「はい?」

先輩「銀髪さん、あんなことになったのに、それですーぐ次の子って……、良くないと思うわけよ、先輩として」

後輩「いや……」

先輩「道ナラヌ仲とはいえ、恋人だったわけじゃん。それを――……」

後輩「あ、いえ、あの」

先輩「あ?」

後輩「銀髪さんとは、別にその、恋人というわけではなくて……」

先輩「え」

後輩「……」

先輩「え? そうなん?」

後輩「はい」

先輩「……」

後輩「……なんか、すみません……」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:33:28.20 ID:J7/UUKls0


先輩「でも銀髪さん、しょっちゅうお前の家、いってたじゃん」

後輩「ええ」

先輩「じゃあアレなに? どういう関係よソレ?」

後輩「肉体関係」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……あ、いや、でもほら、向こうはパートナーいるし、遊びだったかもしれないけど」

後輩「はい」

先輩「お前の方はさぁ、ちょっとは、恋愛感情とかあったわけじゃん? いいなぁ、みたいな? そういうのがさぁ」

後輩「……そ、そういうの、全然で……」

先輩「……」

後輩「本当に、お互い後腐れない、付き合いで……」

先輩「…………」

後輩「…………スミマセン」


48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:35:47.41 ID:J7/UUKls0


先輩「で、でもさぁでもさぁ、出会った時とかはさ、それなりに、トキメキ? インスピレーション? みたいなものが――……」

後輩「さっきみたいな流れでした」

先輩「……」

後輩「……ちょうどあんな感じ」

先輩「はぁ……」

後輩「溜息やめてくださいよぅ」

先輩「それじゃあお前、誰もかれも、ああやって引っ掛けてるわけだな」

後輩「人聞き悪いこと言わないでください」

先輩「はぁ……」

後輩「やっ、ほんっと、違……っ! たまたま! タイミングで……っ!」

先輩「タイミングねぇ」

後輩「そ、そ、そう、タイミング、タイミングが良くてそうなっただけで」

先輩「ふぅん」

後輩「……」


49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:38:05.59 ID:J7/UUKls0
後輩「……」

先輩「でもさぁ」

後輩「はい?」

先輩「後輩、私には、言わないよな。そういうこと」

後輩「……え」

先輩「全然」

後輩「あ、え、いや……いやぁ……」

先輩「……」

後輩「ほら……その、ち、違うじゃないですか。なんていうか、せ、せ、先輩は、あの……」

先輩「……」

後輩「そ、そ、そういうのじゃないっていうか、あっ、いやっ! じゃなくて……! その、あ、あの……」

先輩「……」

後輩「別に先輩のことっ、きらいじゃな――……ああいや、だからって――……、そうじゃなくて、つまり……」

先輩「……」

後輩「あ……す、ストレートじゃないですか、先輩はっ」

先輩「うん」

後輩「……っ!」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:39:45.92 ID:J7/UUKls0
先輩「だから?」

後輩「だっ、だ、だからですって。私、そんな、ほら、先輩のことなんて――……」

先輩「そっか」

後輩「あっ――……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」グビ

先輩「……そっかぁ」

後輩「……」

先輩「…………ボトル入れる?」

後輩「……」

先輩「すんませーん!」

後輩「……」






51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/01(木) 23:40:39.11 ID:J7/UUKls0
今日はここまでです
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/02(金) 08:37:43.76 ID:HGnPgCN6o

ええな
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:43:38.78 ID:ScAqVVeT0






スパン!!

パン!!



後輩『はぁ……、はぁ……っ』

先輩『そうそう、そんな感じ』

後輩『……はい』

先輩『あとは手首をもっと柔らかく。……こんな風に』ブンッ

後輩『はい……!』ハァハァ

先輩『……ま、今日はここまでだな』

後輩『いえ、もう一本、見ててください!』

先輩『……校門閉まる時間だから』

後輩『ぅ……』

先輩『それにアンタも。……そろそろ限界だろ』

後輩『いえっ、私はまだ……!』

先輩『駄目、今日はおしまいだ』

後輩『むぅ……』

先輩『……』
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:44:12.71 ID:ScAqVVeT0
先輩『そんな頑張ったって、今度の大会、出れるわけじゃないぞ』

後輩『……』

先輩『ウチのテニス部、年功序列だから』

後輩『……』

先輩『一年生のうちは、出番ねーよ』

後輩『大会なんて……』

先輩『ん』

後輩『私はただ、上手くなりたいだけです。先輩みたいに……!』

先輩『……』

後輩『いえ、先輩よりもっ!』

先輩『……ふ』
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:44:59.70 ID:ScAqVVeT0
後輩『……』

先輩『アンタ程度に、負けることなんてねーよ』

後輩『……』

先輩『……今はな』

後輩『……っ、やっぱり、もう一本――……』

先輩『駄目。ほら、片付けて帰るぞ』

後輩『むぅ……』

先輩『……』

後輩『……』シュン

先輩『……、帰りにたこ焼き屋、寄ってくか?』

後輩『……』

先輩『半分こしようぜ』

後輩『……、……』グゥゥ

先輩『どうする?』

後輩『……行き、ます……』

先輩『あっはは、よしよし』

後輩『……笑わないでくださいよぅ』

先輩『はいはい』ケラケラ





56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:45:45.21 ID:ScAqVVeT0





先輩「……――なんて」

後輩「……」

先輩「昔は素直で可愛かったのになぁ、後輩も」

後輩「うっさいです」

先輩「今じゃ、こんなやさぐれちゃってなぁ」

後輩「……先輩に、言われたくありません……」

先輩「うぇへへ、まぁな」カラン

後輩「……」

先輩「なんかさぁ」

後輩「……」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:46:27.06 ID:ScAqVVeT0
先輩「変わっちゃったよなー、お互い」

後輩「……」

先輩「歳取ったなぁ、私も、お前もさぁ」

後輩「……、私は……」

先輩「ん?」

後輩「……」

先輩「何だよ」

後輩「別に……」

ママ「なに生意気言ってんのよぉ♪ 私から見たら二人とも、子供世代より下なのよぉ♪」

後輩「……ママ、水割りおかわり」

ママ「はいはい♪」カラン カラン
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:47:04.77 ID:ScAqVVeT0
先輩「そうそう、聞いてよママ。高校の頃のコイツさぁ――……」

後輩「うっさいです。ホントうっさい」

ママ「あらあら♪」

先輩「うぇへへ、不機嫌だねぇ、後輩ちゃんよう」

後輩「……」

先輩「何だよー、ナンパ邪魔されたからって、拗ねてんのかぁ?」

後輩「……そんなんじゃないです」グビグビ

先輩「ペース早くない?」

後輩「別にっ!」グビ

先輩「潰れんなよ?」

後輩「……」グビグビ




59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:48:02.54 ID:ScAqVVeT0






ママ「へぇ〜……、じゃあ金髪さんのところ」

先輩「うん。銀髪さんの親が来て――……」

後輩「……」フラ

先輩「お」

後輩「……」クテン

先輩「ありゃ」

後輩「……ぅー」

先輩「言わんこっちゃない」

後輩「……」

ママ「あららぁ♪ ……大丈夫?」

先輩「うぅん……。後輩、おい、後輩?」ユサ

後輩「……先輩」

先輩「……おう」

後輩「私ぃ……」

先輩「何だよ」

後輩「……」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:48:46.48 ID:ScAqVVeT0
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……起きてる?」

後輩「……」コクン

先輩「立てるか?」

後輩「……」コクン

先輩「よしよし……」ナデナデ

後輩「もっと撫でて……」

先輩「ばーか」ナデナデ

後輩「……」

先輩「ママ、ごめんね。お会計」

ママ「今度来た時でいいわよぉ♪」

先輩「いや、いいって。ツケなんて――……」

ママ「はいこれ、領収証」

先輩「あ。……お゛っ、げ……」

ママ「ひとりで払う?」

先輩「あ゛ー……、あの、すみませんね、本当に……」

ママ「ふふ♪ いいわよぉ♪」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:49:28.62 ID:ScAqVVeT0
後輩「……」

先輩「ほら、帰るぞ」グイッ

後輩「いま、なんじぃ……」フラフラ

先輩「まだ九時」

後輩「……『はせ川』行く……」

先輩「無理だろばか。救急車乗ってオムツ履きてーか?」

後輩「……むぅ」

ママ「タクシー呼ぶ?」

先輩「や、大丈夫。……歩けるか、後輩」

後輩「あゆけなすよお」

先輩「何言ってっか分かんねーから。肩、はい。掴まれ。ちゃんと」

後輩「……」コクン
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:50:08.83 ID:ScAqVVeT0

先輩「そーそー、いい子いい子」

後輩「……」

先輩「じゃ、ママ。ここでいいから。また来るね」

ママ「気を付けてねぇ」

先輩「お邪魔しましたー」

後輩「はひゅぁい」ヨタヨタ

先輩「はい、あんよがじょーず、あんよがじょーず」

後輩「……」フラフラ

ママ「ばいばーい♪」




バイト「……」

ママ「……」

バイト「……、……本当に付き合ってないんですかぁ? あのふたり……」

ママ「さぁ♪」





63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:50:35.30 ID:ScAqVVeT0





先輩「……」ヨロヨロ

後輩「……」フラフラ

先輩「……」ヨロヨロ

後輩「……」フラフラ

先輩「……はぁ」

後輩「……」

先輩「あの頃は……、かぁ……」

後輩「……」

先輩「どうして……」

後輩「……」

先輩「こんな風になっちゃったんだろうなぁ、お前……」

後輩「……」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:51:02.80 ID:ScAqVVeT0
先輩「って、私もか」

後輩「……」

先輩「はは……」

後輩「……」

先輩「……ま」

後輩「……」

先輩「私のせいか」

後輩「……」

先輩「……そうだよな」

後輩「……」

先輩「……心配すんな」

後輩「……」

先輩「大丈夫――……、どんな風になっても」

後輩「……」

先輩「一緒にいてやるからさ」

後輩「……」

先輩「うぇへへ……」ヨロヨロ

後輩「……」フラフラ




65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:51:29.03 ID:ScAqVVeT0



66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:51:55.36 ID:ScAqVVeT0





――アンタのせいだ!


後輩『……っ!』


――アンタのせいで先輩ちゃんはっ!


後輩『ち、違います……、私は……』

後輩『私は……、知らなかったんです……っ』

後輩『先輩が――』


――知らなかったわけないじゃん!


後輩『違う……、ほ、本当に……、本当に……、私は……』


――知らなかったとしても……

――気付かなかったわけ、ないじゃん……


後輩『それは――……』


――気付いてたんでしょ?


後輩『……』


――アンタが

――アンタが先輩ちゃんを……


後輩『私は……』

後輩『私は…………っ!』





67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:52:46.22 ID:ScAqVVeT0





〜翌朝〜

〜後輩宅〜


後輩「……わた、ひ……はぁ……?」パチリ

後輩「……?」

後輩「……」ムクリ

後輩「……」

後輩「ぉ゛……!?」ガンガン

後輩「ぉ゛ぉ゛ぉ゛……」ガンガンガン



後輩(気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い……)

後輩(死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ……)


後輩「ぅぅぅぅ……」


後輩(たすけて……)

後輩(助けて神様ぁ……)

後輩(二度と深酒はしませんからぁぁぁぁ)


後輩「……ぅ゛ぐぅぅぅ」ドサッ
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:53:13.88 ID:ScAqVVeT0
後輩「……」


後輩(……っていうか)

後輩(どうやって帰ってきたんだっけ……)

後輩(……覚えてないや)


後輩「……ぅ」ムクリ

後輩「……」ヨタヨタ


後輩(時計――)


後輩「……」

後輩「……」

後輩「……会社……」

後輩「……会社に行かねば……」ヨタヨタ





69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:54:01.12 ID:ScAqVVeT0






〜オフィス〜


プルルル

ワイワイ

ガヤガヤ


後輩「……」カタ

後輩「……」カタカタ



後輩さーん、営業からデータの依頼がー



後輩「そこ置いといてくださーい」カタカタ



後輩さーん、この間の案件のー



後輩「そこ置いといてくださーい」カタカタ



後輩さーん、課長が依頼した資料まだかってー



後輩「そこ置いといてくださーい」カタカタ





70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:54:49.03 ID:ScAqVVeT0





新人「後輩さーん!」

後輩「そこ置いといてくださーい」カタカタ

新人「じゃなくて! 後輩さん! 後輩さんってば!」

後輩「……うん?」

新人「もう終業時間ですよ!」

後輩「あっ、ほんと……?」

新人「ええ」

後輩「あぁ……。ウゥー……ン」ノビー

新人「……」ニコニコ

後輩「……っはぁ」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:55:51.11 ID:ScAqVVeT0
後輩(……終業時間になると)

後輩(体力回復してるのって)

後輩(なんなんだろうなぁ……)


後輩「……」


後輩(飲み行こうかな……)

後輩(先輩……暇かなぁ)

後輩(後でラインしてみよう……)



後輩「……」

新人「後輩さん、後輩さん!」

後輩「え? あぁ……、ごめん、何?」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:56:40.76 ID:ScAqVVeT0
新人「今日、私たち新入社員で、集まるんですよ。これから」ニコニコ

後輩「……月曜日に?」

新人「食事メインですよ。お酒も、ちょっとは飲みますけど」

後輩「ふぅん……」

新人「それで」

後輩「うん」

新人「後輩さんも来ませんか?」ニコニコ

後輩「えぇ……」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:57:25.86 ID:ScAqVVeT0
新人「いいじゃないですかぁ、後輩さん、会社の飲み会とか全然顔出さないし」

後輩「苦手なの」

新人「若いのばっかりですから、ヘンに気を遣わなくても大丈夫ですし」ニコニコ

後輩「いや、他の子が気を遣うでしょ。年上行ったら」

新人「後輩さんと飲みたい、っていう新入社員も、ちょいちょいいるんですよ?」

後輩「えぇぇ……」

新人「ねっ! どうですかっ!?」

後輩「うぅん……」

新人「私も、後輩さんと一度、ちゃんと飲んでみたかったですし!」ニコニコ

後輩「……」

新人「いいですよねっ!」

後輩「うーん、パス」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:58:02.82 ID:ScAqVVeT0
新人「えぇぇ〜……」ガックリ

後輩「今日、飲みに行くから」

新人「月曜日に?」

後輩「月曜日に」

新人「彼女ですかっ!?」

後輩「え、違うけど……」

新人「本当ですかぁ……? 怪しい……」

後輩「本当だって」

新人「そうですかっ」ニコッ

後輩(笑顔がまぶしいなぁ……)

後輩(っていうか、『彼女ですか』、って……)

新人「残念ですけど、また今度ですね」

後輩「あぁ、うん……。そうね……」

新人「あ、今週末って空いてますか!?」ニコォー

後輩「グイグイ来るねあなた」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:58:41.00 ID:ScAqVVeT0





後輩「……」

後輩「……」

後輩(……既読つかないな)

後輩「……」

後輩「……」プルルル

後輩「……」プルルルル

後輩「……」

後輩(出ない……)

後輩「……」

後輩(忙しいのかな……)

後輩「……ふぅ」

後輩(ま、いいか)

後輩(家で飲もう)

後輩(ひとり寂しく)

後輩「……」

後輩「繁桝開けよう、繁桝」ウキウキ




76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 22:00:53.70 ID:ScAqVVeT0
今日はここまでです
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/04(日) 23:29:32.74 ID:yB/UkHano
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:02:39.14 ID:H3uZVijb0





ほうれん草のおひたし……適量

ツナ……適量

海苔……適量

めんつゆ……適量





79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:03:10.82 ID:H3uZVijb0





後輩「……」ムフー

後輩「……」

後輩「さて……」

後輩「……」キュポ

後輩「……」トプトプ

後輩「……」

後輩「……」チビッ

後輩(おいしい……!)

後輩「……」グビ

後輩「……」

後輩「……」グビグビ




80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:03:41.97 ID:H3uZVijb0





後輩「……」フラフラ

後輩「……」

後輩「……」グビ

後輩「……っふ」グビーッ

後輩「プハ……」

後輩「……」フラフラ


後輩(……そういえば)


後輩(煙草のにおい、もうしなくなったな、この部屋)


後輩「……」


後輩(……銀髪さん)


後輩「……」グビグビ

後輩「ぅ……」フラフラ
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:04:11.55 ID:H3uZVijb0

後輩(……お酒は美味しいけど)


後輩(ひとりで飲んでると)


後輩「……ぅぅ」


後輩(気が滅入ることばっかり)

後輩(思い出すなぁ……)


後輩「……」グビ

後輩「……」

後輩「……」

後輩「……ぅ」ウト

後輩「……ぅー」ウトウト




82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:04:43.03 ID:H3uZVijb0







――それで、君は

――どう思っているの、先輩ちゃんのことは?






83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:05:12.25 ID:H3uZVijb0



後輩「……っ!?」ハッ



後輩「銀髪さ――……」

後輩「……!?」

後輩「……」キョロキョロ

後輩「……」


後輩(今、確かに……)

後輩(声が……)


後輩「……」

後輩「…………」


後輩(1.若干寝てた。浅い眠りで、変な夢を見た)

後輩(2.幻聴。ついに酒で脳がやられた)

後輩(3.死んだ者の浮かばれない魂が……、部屋に漂い、生者に語り掛けた……)


後輩「とでも…………」

後輩「言うのだろうか…………」

後輩「……」

後輩「……2と3はやだな……」ヨロヨロ
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:05:49.77 ID:H3uZVijb0
後輩「自殺……」

後輩「飛び降りかぁ……」

後輩「……」


カチャ

カラカラカラ


後輩「……」

後輩(結構涼しい……)


後輩「……ふぅ」

後輩「暗いな……」







――私ね……、全然思い当たらないの――

――あの子が死ななきゃいけない理由――

――本当に、全然――







後輩「……」

85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:06:17.64 ID:H3uZVijb0

後輩「……」

後輩「……本当に」

後輩「何ででしょうねぇ」

後輩「……」


後輩(……辛かったんですか)

後輩(……楽になったんですか)

後輩(ビルから、地面に……)

後輩(真っ暗なアスファルトに――……)


後輩「……」

後輩「……ふぅ」

後輩「ま、ここ二階だしなぁ」フッ

後輩「……ここからじゃ、せいぜい怪我――


ピンポーン


後輩「っ」ビクッ

86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:06:48.82 ID:H3uZVijb0

後輩「……」


シーン…


後輩「……」

後輩「……」


ピンポーン


後輩「っ!」ビクゥ

後輩「……」

後輩「……」ドキドキ


後輩(……死んだ者の)

後輩(……浮かばれない魂が――)


後輩「……」ブルッ

87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:07:19.12 ID:H3uZVijb0





後輩「……」オソルオソル


後輩「……ど」


ピンポーン


後輩「どっ、どちらさまで……!?」


ギィ


後輩「っっ!?」


先輩「……お、開いてた」

後輩「せんぱ……」

先輩「うぇっへへ、よう」

後輩「先輩……」

先輩「お邪魔ー――……どうしたん?」

後輩「え……?」

先輩「幽霊でも見たみてーな顔して」

後輩「……いえ」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:07:48.91 ID:H3uZVijb0

先輩「つーか、鍵かけなさいって」

後輩「すみません……」

先輩「ん」

後輩「何ですか?」

先輩「窓」

後輩「あ……」

先輩「開いてるけど」

後輩「これは……、その……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「暑かった、から……」

89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:08:15.96 ID:H3uZVijb0
先輩「ふーん」

後輩「……」

先輩「虫はいるぞ」

後輩「……そうですね」カラカラ パタン

先輩「閉めるんだ」

後輩「涼しくなったから……」

先輩「そう」

後輩「……」

先輩「お、何飲んでんの?」

後輩「繁桝の……」

先輩「ちょっとちょーうだい」トプトプ

後輩「……」

先輩「んーっ! おいしい!」グビッ

後輩「……はぁ」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:08:41.17 ID:H3uZVijb0
後輩「……」


後輩(なんか……、具合悪くなってきた……)


後輩「……」

先輩「疲れた顔してんねぇ」

後輩「まぁ、ちょっと……。飲み疲れで」

先輩「そりゃね。昨夜もあれだけ飲めばね」

後輩「覚えてないからセーフです」

先輩「クズじゃん」

後輩「あはは……」

先輩「ちょっと、横になりなさいよ」

後輩「はぁ……、すみません……」ヘタリ
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:09:15.96 ID:H3uZVijb0
先輩「大丈夫かよ」

後輩「まぁ……、ちょっと休めば」

先輩「じゃなくて」

後輩「え……?」

先輩「顔色、悪いぞ。最近ずっと」

後輩「……」

先輩「酒の量、増えただろ。ガッと」

後輩「……別に」

先輩「嘘つけ」

後輩「……」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:09:41.86 ID:H3uZVijb0
先輩「あの人のことだろ。銀髪さんの」

後輩「違いますよ……」

先輩「嘘が下手だな、後輩ちゃんよう」

後輩「……」

先輩「なぁ」

後輩「……」

先輩「何かあったんだろ、ホントは」

後輩「……本当に」

先輩「……」

後輩「本当に、何もないです……」

先輩「あ、そ」

後輩「……銀髪さんとは」

先輩「……」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:10:12.32 ID:H3uZVijb0
先輩「……」

後輩「……恋人だったわけじゃないですし」

先輩「……」

後輩「恋愛とか、好きとか、そういう感情もなかったですし」

先輩「……」

後輩「優しいし、年上だけど、大事な友人って感じでしたし……」

先輩「うん」

後輩「でも……」

先輩「……」

後輩「気付かなかったんですよねぇ、私……」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:10:46.04 ID:H3uZVijb0
先輩「……」

後輩「あの人、死にたいくらい……」

先輩「……」

後輩「本当に死んじゃうくらいの、何かを抱えてたのに……」

先輩「ああ」

後輩「……何も、特に何も」

先輩「……」

後輩「本当に、特に何も、気付いてあげられなかったんです……」

先輩「うん」

後輩「そう思うと、何か」

先輩「……」

後輩「何か――……、何だかなぁ、って」

先輩「何だかって?」

後輩「私って、何なんだろうなぁ、って……」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:11:15.02 ID:H3uZVijb0
先輩「誰だって、そんなもんだろ」

後輩「分かってます。分かってるけど、でも……」

先輩「……」

後輩「あの日、あの晩だって……。いつも通りダラダラして、普通にお話しして……」

先輩「……」

後輩「……なのに」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「銀髪さん、死んだ日さぁ」

後輩「え?」

先輩「お前、何話したの? あの人と」

後輩「え、それは……」

先輩「それが、あの人の最後の言葉だったりするわけじゃん? どんなこと言い遺したのかなって、銀髪さんが」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……後輩?」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:11:54.37 ID:H3uZVijb0
後輩「……言えない、です」

先輩「ん?」

後輩「それは……、話せません……」

先輩「うぇっへっへ、そんなこと言わずにさぁ」

後輩「すみません」

先輩「んふ、冗談だよ。謝るなよ」

後輩「……」

先輩「眠い?」

後輩「眠くないです……」

先輩「口閉じたら、眠くなるよ」

後輩「うん……、はい……」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:12:29.84 ID:H3uZVijb0
先輩「……ちょっと、休め、後輩」

後輩「うん……」

先輩「ベッドのとこ行けよ」

後輩「……先輩」

先輩「おう」

後輩「一緒に寝よう?」

先輩「いいけど」

後輩「……」

先輩「また、布団借りるぜー」

後輩「……どうぞ」

先輩「勝手に敷くぞー」

後輩「……」ウツラウツラ




98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:12:55.96 ID:H3uZVijb0
今日はここまでです
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 23:46:08.85 ID:WLRwNs57o
おつ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 04:28:53.81 ID:xikM6dUdo
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:07:55.38 ID:10OKULB60





後輩『……いよいよ、ですね』

先輩『……そうだな』

後輩『先輩の、現役最後の試合……』

先輩『……』

後輩『先輩の、最後の試合の相手に、私がなれるなんて』

先輩『……』

後輩『……』

先輩『……』

後輩『いい試合にしましょう!』

先輩『……』

後輩『先輩……?』

102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:08:28.42 ID:10OKULB60
先輩『……うん?』

後輩『聞いてます?』

先輩『……ん、あぁ……、うん』

後輩『……どうか、したんですか?』

先輩『なんでもねー』

後輩『……?』

先輩『……』

後輩『……せんぱ』

先輩『試合が始まれば』

後輩『……』

先輩『敵同士だし……』

後輩『……』
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:08:57.19 ID:10OKULB60

先輩『今からベタベタするもんじゃねーだろ』

後輩『……あ、そ、そっか……。そう、ですよね……』

先輩『分かったら、ほら、向こう行ってろ』

後輩『は、はい』

先輩『……』

後輩『……あの』

先輩『何でもねーったら』

後輩『……』

先輩『……手、抜くなよ』

後輩『……っ!』

先輩『本気でやるから、私』

後輩『……も、もちろんですっ!』




104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:09:25.29 ID:10OKULB60





〜寝室〜


先輩「……」

後輩「……」

先輩「……後輩ー」

後輩「……」スゥスゥ

先輩「……寝た?」

後輩「……」スゥ

先輩「はぁ……」

後輩「……」


先輩(大切なことって言うのは)

先輩(大切にしすぎて……)

先輩(伝えられないものなんだよなぁ……)


先輩「……なんてな」

105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:09:54.27 ID:10OKULB60

先輩(大切だから、伝えなきゃいけないことなのに……)

先輩(……気が付いたら、タイミングを失っていて……)

先輩(きっと……、みんなそうで)

先輩(誰だってそうで……)


先輩「……」ムク

後輩「……」スゥスゥ

先輩「……後輩」

後輩「……」

先輩「……」ナデ

後輩「……ん、んぅ」モゾモゾ

先輩「……髪伸びたな、お前な」


先輩(だとしたら……)

先輩(反対に)

先輩(伝えられないことっていうのは、それだけ、大切なことだったりするんだろうか……)

106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:10:25.23 ID:10OKULB60

――言えない、です――

――それは……、話せません――



先輩「……」

先輩「……言わなくていいんだけどさ」

後輩「ムニャ……」ゴロン

先輩「……寝相わりー」

後輩「……」スヤ

先輩「風邪ひくぞ」ファサ

後輩「……」

先輩「……おやすみ」





107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:10:57.13 ID:10OKULB60





銀髪『それで、君は』

後輩『え?』

銀髪『どう思ってるの、先輩ちゃんのことは?』

後輩『え、うぇ、えぇぇ!?』

銀髪『ふふ……』

後輩『ど、どういう、意味ですか……』

銀髪『そのままの意味さ』

後輩『……』

銀髪『君が、先輩ちゃんに”してしまったこと”は分かった』

後輩『……』

銀髪『けれど、そのことと今の君がどう思っているかは、別の話だろ?』

後輩『それは……』

銀髪『何のつもりもなく、いつも二人きりで四六時中、一緒にいるわけじゃないだろう』

後輩『……』

銀髪『特に君みたいな、不器用な子はさ』

後輩『私は……』
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:11:28.00 ID:10OKULB60

銀髪『……』

後輩『私は、先輩のことを……』

銀髪『……』

後輩『どう思ってるかなんて、言える立場じゃ、ないですから』

銀髪『……』

後輩『こんな、私が』

銀髪『……なるほどね』

後輩『……』

銀髪『そういう風に、先輩ちゃんを未来永劫、束縛し続けるわけか』

後輩『束縛って……』

銀髪『だって、そうだろう? どう思ってるかも、はっきりさせない。どうするつもりもない』

後輩『……』

109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:12:21.18 ID:10OKULB60

銀髪『ただひたすらに、隣に置いておくだけ』

後輩『……』

銀髪『宙ぶらりんなまま、引き寄せもせず、突き放しもせずにね』

後輩『あなたに……』

銀髪『……』

後輩『何が分かるって言うんですか』

銀髪『……』

後輩『私と先輩の』

銀髪『ふふ。さぁ……ね?』

後輩『……』

銀髪『ただ、君もそろそろ、先輩離れしてみた方が良いんじゃないか? って、思っただけさ』

後輩『何ですか、それ』

銀髪『たとえば……、そう……私とかと』

110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:12:55.48 ID:10OKULB60

後輩『何言ってるんですか』

銀髪『本気さ。君が望むのなら、君のものになってもいい』チュ

後輩『気障女』

銀髪『うっふふ……』

後輩『金髪さん、怒りますよ?』

銀髪『もし君が、その気なら――……』

後輩『……』

銀髪『彼女と別れたってかまわない』

後輩『……ふふ』

銀髪『何だい?』

後輩『誰にでも言ってるんですよね、それ』フフフ

銀髪『そ、そんなことないさ』

後輩『すぐ目が泳ぐ……』

銀髪『……』

後輩『呆れた人ですねぇ』

111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:17:34.21 ID:10OKULB60

銀髪『ただね、今の君と先輩ちゃんとの関係は……』

後輩『……』

銀髪『良くないのは確かさ。お互いにとってね。彼女も君のことを――……』

後輩『……』ムクリ モゾ

銀髪『……』

後輩『……』モゾモゾ パサッ

銀髪『お、おいおい。もう服着ちゃうのかい』

後輩『今日はもうしません』

銀髪『……今日は、ね』

後輩『……』ジトッ

銀髪『怒った顔も可愛いよ』

後輩『馬鹿じゃないですか……』プイッ

銀髪『あらら』

112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:18:30.79 ID:10OKULB60
後輩『銀髪さん……』

銀髪『うん?』

後輩『もし仮に――……仮に、私が先輩のこと、大好きで』

銀髪『……』

後輩『あ、あい、愛してる、としても……』

銀髪『……』

後輩『……私に、それを言う資格なんて、ないんですよ』

銀髪『そうかい? そういう自分に、酔っているだけじゃなくて?』

後輩『銀髪さん嫌い!』

銀髪『うふふ、傷つく』

後輩『帰りたくなったら、勝手に帰ってください。私ソファで寝てますから』

銀髪『うぅん……、本気で機嫌を損ねてしまったみたいだな』

後輩『……』

銀髪『やれやれ――……』




113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:18:59.11 ID:10OKULB60





〜オフィス〜


後輩「……」ボケー


後輩(『言い遺したこと』――……)

後輩(銀髪さんの、最後の言葉――……)


後輩「……」


後輩(『やれやれ』でよかったんですか、銀髪さん……)

後輩(ハルキか)


後輩「……」ボー

新人「後輩さんっ!」

後輩「あっ、はい! そこ置いといてください!」

新人「じゃなくて!」

後輩「え……」

新人「終業時間ですよ、もう」

後輩「あ……」

新人「……」ニコニコ

後輩「あぁ」

新人「ふふっ」ニコニコ
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:19:37.26 ID:10OKULB60
後輩「もうこんな時間か……」

新人「ね、後輩さん」

後輩「うん?」

新人「今日、金曜日ですよ」

後輩「あぁ……、うん。そうだね……」

新人「……」ニコニコ

後輩「……それで?」

新人「飲み行きましょう!」

後輩「あー…………パス」

新人「えぇぇぇ〜〜……」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:20:06.30 ID:10OKULB60
新人「金曜に飲み行くって、約束したじゃないですかぁ〜……」

後輩「したっけ?」

新人「しましたぁ!」

後輩「……ごめん、覚えてない」

新人「ひどい!」

後輩「ごめんね。私今日、残業」

新人「Do残業デーですか」

後輩「Do残業デーって何だ……」

新人「残業終わってからでも……」

後輩「また今度ね」

新人「はぁ〜……、残念……」

後輩「ごめんて」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:20:35.42 ID:10OKULB60

新人「っていうか、後輩さん」

後輩「はい?」

新人「大丈夫ですか?」

後輩「え……」

新人「何かここのところ、心ここにあらずっていうか」

後輩「……」

新人「タスク抱えすぎてません?」

後輩「……適度にサボってるよ」

117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:21:06.89 ID:10OKULB60
新人「さっきも」

後輩「……」

新人「ずっと、ボーっとしてましたし……」

後輩「……」

新人「何か、悩みごとですか?」

後輩「…………」

新人「後輩さん?」

後輩「別に、何でもないよ」

新人「……そうですか」

後輩「また今度、飲み行こう」

新人「楽しみにしてますからねっ、センパイ!」ニコニコ

後輩「あ、ごめんその呼び方やめてマジで。本気で。リアルで。ガチで」






118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:21:43.37 ID:10OKULB60
今日はここまでです
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 23:35:45.65 ID:sEJlu0dMo
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/07(水) 04:27:59.56 ID:G+ziA+3To
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 21:59:59.36 ID:fC3Bx6ne0





〜ビールバー〜


先輩「……」

後輩「……ぅ」

先輩「……はぁ」

後輩「……ぅぅぅ」

先輩「……こうはーい」

後輩「話しかけないでください」

先輩「……」

後輩「今真剣に悩んでるところなんですから……!」

先輩「あー、そう……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……ぅぅ」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:00:41.14 ID:fC3Bx6ne0
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……早くしろよ!」

後輩「……ちょっ、ちょっと! ちょっと待ってくださいって!」

先輩「そんな悩むほどのことでもねぇだろ」

後輩「悩みます! 今月で一番悩んでますから!」

先輩「……」

後輩「こっちの、箕面のスタウトか……」

先輩「……」

後輩「それともこっちの志賀高原か……っ」

先輩「……」

後輩「……ぅぅぅぅっ!」

先輩「おーい」

マスター「ゆ、ゆっくり選んで、いいからね、ねっ?」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:01:09.83 ID:fC3Bx6ne0
先輩「両方頼めよ」

後輩「……値段的に、ちょっと……」

マスター「ご、ごめんね……、お手頃価格で出せなくてごめんね……」

後輩「……ハーフグラスとか」

マスター「ごめんね……、ら、来週から始める予定なの、ごめん……」

先輩「……お前、マスターいじめんなよ」

後輩「やっ、ちが……っ、すみません……っ」

マスター「だ、大丈夫だから、ごめんね、気にしないでね……」

先輩「……」

後輩「……えぇ〜、うぅ〜ん……」

先輩「……半分こする?」

後輩「え……」

先輩「私、こっち頼むから。お前こっちにしろよ」

後輩「……い、いいんですか?」

先輩「私もこれ、飲んでみたい」

後輩「先輩……、スキ……」キュン

先輩「やっすい女だな、お前……」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:01:38.59 ID:fC3Bx6ne0
マスター「イギリスから――……」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「遠路はるばるアフリカ大陸」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「そこから遥かなインド洋、大海原を越えてインドに至るわけです」

先輩「……はぁ」

後輩「……」

マスター「ですから」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「インドまで行くと、インディア・ペール・エール」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「インドまではいかない、その途中くらい、っていう意味で、アフリカ・ペール・エール」

先輩「へぇ〜」

後輩「へぇ〜」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:02:19.88 ID:fC3Bx6ne0
マスター「し、洒落がきいてますよね……ふふ、ふふふ……」

先輩「あっ、おいしい……」グビグビ

後輩「本当だ……。IPAより飲みやすくて――」

先輩「次こーっち」

後輩「どーうぞ」

先輩「……」グビ

後輩「……」グビグビ

先輩「……ぷはぁ」

後輩「……ぷはぁ」

先輩「あ〜……」

後輩「一軒目で、出来上がっちゃいそうですね」

マスター「こ、このあとも……、またどこか行くの……?」

先輩「うん、まぁ。金曜だし」

後輩「飲めるだけ飲みましょう」グビグビ

先輩「おい、自分ばっか飲むなよ!」

後輩「……あぁ〜、もう一杯頼んじゃおっかなぁ……」

マスター「ふ、ふふ……、ご、ごゆっくり……」





126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:02:48.88 ID:fC3Bx6ne0





〜二軒目〜


先輩「あっはっは! あーっははははっ!」バンバン

後輩「あはははっ、最高、さいこ……あっははは!」

先輩「うっはは、ほーんと馬鹿! あははは! はっはっは!」グビグビ

後輩「あははははh……げほっ、ごほっ!」グビグビグビ





127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:03:22.74 ID:fC3Bx6ne0





〜三軒目〜


後輩「……うぅっ」グスグス

先輩「うんうん……、分かる分かる。お前は頑張ってるよ」

後輩「……だげどぉ、わらひたちのころはぁ、もっとアレだったじゃないですがぁ……。年上への接し方っでぇ……」グスグス

先輩「そうだな、そうだな」

後輩「……年下が怖い……」

先輩「うんうん」

後輩「正確には自分より有能な年下が怖い……」エグエグ

先輩「分かるよ」グビグビ

後輩「……」グビグビ





128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:03:53.68 ID:fC3Bx6ne0





〜四軒目〜


先輩「……」

後輩「……」


金髪「いらっしゃ〜い♪」


先輩「……」

後輩「……」

先輩「な、開いてたろ」

後輩「……えぇ」





129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:04:27.33 ID:fC3Bx6ne0





金髪「はいっ、キンミヤハイボール二つ」

先輩「どうもー」

後輩「どうも……」

金髪「ごめんなさいねぇ、つまめるもの、チーズくらいしか残ってなくて……」

先輩「いいよ全然。な?」

後輩「え、えぇ……」

金髪「もう、冷蔵庫の中も空っぽ。うふふ……」

先輩「そっかぁ」

後輩「……」

金髪「お酒は、余ってるんだけどね〜」

先輩「じゃあ私らで片付けていくか」グビ

後輩「……」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:05:22.74 ID:fC3Bx6ne0
先輩「今日で最後かぁ、『ナイトフード』も」

金髪「そうなの〜。それで、貴方たちが多分、最後のお客さん」

先輩「寂しくなるねぇ」

後輩「……」

金髪「って言っても、引っ越すわけでもないし。この辺り、よく飲みに来るから、すぐ会えるわ〜」

先輩「へぇ、どの辺で飲むの?」

金髪「『信楽』とか『そば好』とか……」

先輩「『そば好』、昼だけじゃなかったっけ? また夜もやるようになったの?」

金髪「去年の冬くらいからかしらねぇ」

後輩「……」

先輩「知らんかったなぁー」グビグビ

後輩「……」グビグビ

金髪「……後輩ちゃん」

後輩「ふぇ!? えっ、はい!?」

金髪「この間は、ごめんね」

後輩「い、いえ……。そんな……」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:06:36.60 ID:fC3Bx6ne0
先輩「えー、なになに? この間って何?」

金髪「うっふふ、内緒〜」

先輩「えぇ〜……、おい、後輩〜」

後輩「……何でもありません」グビ

先輩「何だよぉ、隠すなよう」ワシャワシャ

後輩「……か、髪触らないでください。鬱陶しい……」ベシッ

先輩「……なーに大人しくなっちゃってんだよ。借りてきた猫かよ」

後輩「猫じゃありません……」

金髪「後輩にゃん♪」

後輩「猫違います!」

金髪「あら? あらあら、猫じゃないの? 意外……」

後輩「あ、え、いや、猫は猫ですけど……」

金髪「ふぅん、猫なんだぁ〜」

後輩「……」グビグビグビグビ

先輩「えぇ、何それ。禅問答?」





132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:07:21.84 ID:fC3Bx6ne0





先輩「結構飲んだなー」

後輩「……」ベロンベロン

先輩「な、後輩ー」

後輩「……」

先輩「……後輩」

後輩「……」クテン

先輩「あ……」

後輩「……スゥスゥ」パタン

先輩「あーあー」

後輩「……ムニャ」

先輩「駄目ねぇ後輩ちゃん、最近さぁ」

後輩「……」スヤ

金髪「あら、寝ちゃった?」

先輩「うん、まぁ」

金髪「大丈夫かしら……」

先輩「寝てるうちは、たぶん大丈夫」

後輩「……」スヤスヤ
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:08:00.38 ID:fC3Bx6ne0
金髪「先輩ちゃんも、おかわりはよしておく……?」

先輩「んー……、いや、もう一杯だけ」

金髪「はいは〜い」

先輩「金髪さん」

金髪「うん?」

先輩「大丈夫?」

金髪「……」

先輩「あんなことあった、ばっかりだしさ」

金髪「えぇ……」

先輩「辛かったら、あんまり無理しないで――……」

金髪「うふふふ……、優しいのね、先輩ちゃん」

先輩「いや、そんな、別に大層なアレじゃなくて」

金髪「ううん、ありがとう。……先輩ちゃんはとっても優しい子」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:08:48.84 ID:fC3Bx6ne0
先輩「子って柄じゃなぁ……」

金髪「だけど、後輩ちゃんには、もっと、ずっと、優しいんでしょ?」

先輩「え……、何で後輩?」

金髪「いつも一緒にいてあげて、隣で飲んであげて……」

先輩「……」

金髪「眠っている間も、見守ってあげて……」

先輩「いやぁ、それはただ、こいつが馬鹿だから」

金髪「うっふふ、いいえ。それも先輩ちゃんの優しさよ」

先輩「うぅん……」

金髪「でも……」

先輩「?」

金髪「本当に、優しさだけ?」

先輩「え?」

金髪「優しいから、優しくしてる……。それだけなのかなぁ、って」

先輩「……」
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