先輩「飲みに行くぞー!」後輩「はいはい……」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:18:34.15 ID:FfyBE4yg0
後輩「ちょっと、気になっちゃって」

先輩「……」

後輩「何て言ったんだろうなぁ、って……」

先輩「それで? ここに来れば、思い出すかも、って?」

後輩「いえ、ただ……」

先輩「……」

後輩「銀髪さんが、何考えてたのか。ちょっとは、分かるかと思って……」

先輩「……分かった?」

後輩「いえ、全然」

先輩「だろうな」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:19:02.65 ID:FfyBE4yg0

後輩「先輩は」

先輩「……ん?」

後輩「分かりますか? 銀髪さんが――……」

先輩「知らん」

後輩「……そっか」

先輩「……」

後輩「暗……」

先輩「……」

後輩「おっかないなぁ……」

先輩「……」グビ

後輩「……」

先輩「……お前さ」

後輩「はい?」

先輩「……。……、……やっぱ何でもない」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:19:31.47 ID:FfyBE4yg0

後輩「言ってよ」

先輩「ん〜……」

後輩「……」

先輩「……何か」

後輩「……」

先輩「引きずられてるねぇ、後輩ちゃんよう」

後輩「何に」

先輩「過去に」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……引きずってる、でしょう?」

先輩「引きずってるヤツっていうのは、それでも進んでるヤツだよ」

後輩「……」

先輩「……背負いこんで、ヨチヨチしか歩けなくてもな」

後輩「……クサい台詞」

先輩「そう?」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:20:14.14 ID:FfyBE4yg0

後輩「……」

先輩「もっと、気楽に生きろよ」

後輩「……それは」

先輩「……」

後輩「……だけど、どうしたらいいか」

先輩「……」

後輩「色んなこと、忘れようとしても」

先輩「……」

後輩「……忘れられなくて……」

先輩「……」

後輩「酔っ払っても……、フラフラになるまで飲んでも、私は……」

先輩「……」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:22:33.20 ID:FfyBE4yg0
後輩「ねぇ、先輩……」

先輩「おう……」

後輩「私のせいだって、考えてしまうのって……、おかしいでしょうか?」

先輩「……」

後輩「もし、あの人の最後の言葉を……、私が聞いてあげられていたなら、って……」

先輩「……」

後輩「私のせいで……、銀髪さんも……」

先輩「後輩」

後輩「分かってるんです……、それもきっと、思い過ごしで」

先輩「……」

後輩「私なんかが……、あの人の何かを左右できるって、思うこと自体が傲慢で……」

先輩「後輩ちゃん」

後輩「はい……?」

先輩「……こっち来て」

後輩「……? あの……」

先輩「……」ガシ
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:24:10.14 ID:FfyBE4yg0
後輩「あっ……」

先輩「……」ギュウ

後輩「先輩……」

先輩「言ったろ」

後輩「……」

先輩「私が、お前の隣にいてやるって」ギュッ

後輩「……」

先輩「……後輩」ナデナデ

後輩「……」

先輩「……あのさ」

後輩「……」

先輩「私は……」

後輩「……」スッ…

先輩「……あ」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:24:55.47 ID:FfyBE4yg0
後輩「……」

先輩「……こうは――……」

後輩「私は……」

先輩「……」

後輩「……十分、ですから……」

先輩「……」

後輩「今のまま……、先輩が……、一緒にいて」

先輩「……」

後輩「……一緒にいてくれて、遊んでくれて……、それだけで……十分……」

先輩「……」

後輩「だから……」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:25:49.37 ID:FfyBE4yg0
先輩「だったら」

後輩「……」

先輩「だったらさぁ……」

後輩「……」

先輩「そんな顔、すんなよ……」

後輩「……」

先輩「そんなさぁ……」

後輩「……ごめんなさい」

先輩「また謝る」

後輩「……」

先輩「フゥ……」

後輩「……」

先輩「行くか、そろそろ」

後輩「はい……」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:27:32.58 ID:FfyBE4yg0

先輩「死人の臭いで辛気臭くなっちゃったじゃん」

後輩「クソ失礼ですね」

先輩「さっさと酔っ払って、スカッとしようぜー」

後輩「はいはい……」

先輩「『はせ川』行くかー」

後輩「転ばないでくださいよ。脚、ガックガクじゃないですか」

先輩「おーんぶ」

後輩「やーです」

先輩「……あの、肩くらい貸してね? 先輩、マジで転び死にしちゃう……」

後輩「はぁ……」ガッシリ

先輩「うぇっへっへ、ありがとー……」

後輩「気を付けてくださいね」

先輩「おう。……あ、そうだ」

後輩「……はい」

194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:28:12.30 ID:FfyBE4yg0

先輩「お前さ、土日どっか、暇作れない?」

後輩「え?」

先輩「旅行、しようぜ」

後輩「旅行……」

先輩「いいだろ? 一泊くらいしてさ。女二人ぶらり温泉旅」

後輩「温泉……」ゴクリ

先輩「なっ?」

後輩「……べ、別に……、いいですけど」

先輩「よし、決まり決まり!」

後輩「……でも旅行って、どこ行くつもりなんです?」

先輩「新潟」





195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:28:58.30 ID:FfyBE4yg0





〜駅〜


先輩「……」

先輩「……ん〜」ボケー


先輩(早く着きすぎたなぁ)


先輩「……」

先輩「……フワァ」



後輩「せんぱ〜〜〜い!」


先輩「……お、こうh」

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:29:37.62 ID:FfyBE4yg0

後輩「おっまたっせしましたぁ〜♪」キラキラ

先輩「……」

後輩「わっ、すごぉ〜い! 先輩がちゃんと時間通りに来てるっ!」

先輩「……」

後輩「うふふっ、これは雨が降っちゃうかもしれませんねぇ〜?」

先輩「……」

後輩「なぁんてっ! 向こうもバッチリ晴れみたいですよっ!」キラキラ

先輩「……」

後輩「楽しみですねぇ〜! さっ! 行きましょ! 早く早くぅ!」キラッ

先輩「だ……」

後輩「だ?」

先輩「誰だお前!?」

後輩「あははっ、先輩ってばヒドぉい」キラキラ

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:30:31.26 ID:FfyBE4yg0
先輩「ど、どど、どうしたの、後輩ちゃん……」

後輩「うふ。新潟と言えば」

先輩「新潟と言えば?」

後輩「美味しい魚と」

先輩「うん」

後輩「美味しい日本酒!」

先輩「……」

後輩「うふふ……、だからね、先輩」

先輩「……は、はい」

198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:31:20.60 ID:FfyBE4yg0

後輩「私……、今日、この旅行のために……」

先輩「……」

後輩「……最高の状態で、お酒を飲むために……」

先輩「……」

後輩「ふふ……二週間ほど、禁酒をしまして……」

先輩「……」

後輩「……うふふ、ピークなんですよぉ、今まさにぃ……、ふふ……」

先輩「……」

後輩「……ふ、うふ……うふふ……」

先輩「……」

先輩(こんなにアホだったかなぁ、この子)

後輩「さっ! 行きましょう、先輩っ!」キラキラッ

先輩「……う、うん、そうね」

後輩「あ〜っ、楽しみだなぁ〜!」

199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/11(日) 21:36:01.05 ID:FfyBE4yg0
今日はここまでです

立ち入り禁止の建物に入るのはやめましょう
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 00:45:45.20 ID:y42qhCMZo

後輩ちゃんが読めんな
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 06:33:13.61 ID:JE405DMno
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 07:16:26.90 ID:/k/CGl9xo
これがキラ付けってやつか…
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:51:41.43 ID:YjXNxsDe0





〜新幹線〜


先輩「……スカー」

後輩「……」スヤスヤ

先輩「……スピー」

後輩「……」ムニャムニャ




204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:52:16.16 ID:YjXNxsDe0





〜新潟駅〜


先輩「着いたぁーっ!」

後輩「よく寝た……」

先輩「ガッツリ寝てたな、お前」

後輩「先輩こそ」

先輩「さぁて……」キョロキョロ

後輩「それで、どこ行くんですか?」

先輩「ん、それはな……。えーっと……」キョロキョロ

後輩「?」

先輩「あ、あれだ」

後輩「えぇ?」

先輩「おぉ〜い! こっちこっち〜!」



「あっ、どうも……!」



後輩「なっ……!?」ギクッ


205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:52:57.41 ID:YjXNxsDe0


先輩「うぇっへっへ、どうもね」

後輩「ぎ……っ」



「遠いところから、わざわざ」



後輩「銀髪……さん……?」



「えっ?」



先輩「後輩、こちら銀髪妹さん」

後輩「……」

銀髪妹「えっと……、はじめまして、後輩さん」

後輩「……」

銀髪妹「先輩さんも……、はじめまして」

先輩「ありがとね、急に連絡したのに」

銀髪妹「いえ……、よくいらっしゃって……」

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:53:33.06 ID:YjXNxsDe0

後輩「い、妹、さん……?」

銀髪妹「はい」

先輩「話は聞いてたけど、マジでそっくりだね」

後輩「いや、似すぎでしょ……」

銀髪妹「あはっ……、よく言われます……」

後輩「……」


後輩(銀髪さん……、妹いたんだ……)


後輩「……」ジー

銀髪妹「……?」ニコッ


後輩(銀髪さん、清楚Ver……)


銀髪妹「立ち話も何ですから……。車、用意してますので……」

先輩「悪いね」

後輩「ど、どうも……」

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:54:22.72 ID:YjXNxsDe0
先輩「びっくりした?」

後輩「はぁ……、心臓止まるかと思いました……」

銀髪妹「どうぞ」

先輩「うぉっ」

後輩「……アウディですよ、先輩さん」ヒソヒソ

先輩「A4ですよ、後輩さん」ヒソヒソ

銀髪妹「ち、中古車ですから……」

先輩「お嬢様だ、お嬢様」ヒソヒソ

後輩「とんだイイトコのお嬢様ですよ……」ヒソヒソ

銀髪妹「あ、あははは……」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:55:02.22 ID:YjXNxsDe0


〜車内〜



先輩「へぇ……、二卵性なんだ」

後輩「こんなに似るもんです? 二卵性って」

銀髪妹「ふふ、小さいころは、もっとそっくりで……」

後輩「はぁ〜……」

銀髪妹「みんなから、よく言われました。見た目だけは瓜二つだって」

後輩「……ほんと、瓜二つ」

先輩「見た目”だけは”、ねぇ……」

銀髪妹「そうなんですよ……、中身は昔から、正反対で」

先輩「ふぅん……」

銀髪妹「姉は昔から……、自由で気ままな人でしたし……」

後輩「昔から、ですか」

銀髪妹「えぇ……、一時は、結構荒れたこともあって……」

先輩「何か、想像つく」

後輩「先輩、ちょっと……」

銀髪「あはは、多分想像通りだと思います……」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:55:53.21 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「両親との折り合いも悪くて……」

後輩「……」

銀髪妹「しょっちゅう喧嘩ばっかり」

先輩「……」

銀髪妹「それでとうとう、勘当されて……、勘当ですよ? 今時……。父が、本気で勘当しちゃって」

先輩「あはは、本気の勘当かぁ」

銀髪妹「私は、そんな姉とは正反対で……」

後輩「……」

銀髪妹「親の言うこと、何でも素直に聞いてる『良い子ちゃん』……」

先輩「それ、銀髪さんが言ったの?」

銀髪妹「えぇ」

後輩「……」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:56:51.46 ID:YjXNxsDe0
先輩「仲、悪かったんだ」

後輩「先輩……」

銀髪妹「いえ……、その通りですから……」

後輩「……」

銀髪妹「あの人は、気に入らなかったと思います……、はいはい、って言ってるだけの私が、私ばっかり、親に構われて」

後輩「……」

銀髪妹「あの人は、やることなすこと、何でも否定されて……」

後輩「……」

銀髪妹「比べられて、冷たくされて」

後輩「じゃあ、喧嘩とか、したんですか……?」

銀髪妹「喧嘩……、いえ……」

後輩「……」

銀髪妹「話せばギスギスするの分かってたから、だからお互い、近寄らないようにしてて……」

後輩「……」

銀髪妹「結局、最後まで……、そのままでした……」

後輩「……」

銀髪妹「最後の、最後まで」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:58:01.94 ID:YjXNxsDe0
先輩「……まぁ」

銀髪妹「……」

先輩「そういうもんだよ。喧嘩のひとつもしてやろうって、思っても」

後輩「……」

先輩「思ったときには、相手はいない、とかさ……」

後輩「……」

先輩「なんだかなぁ、って感じだけど。そんなもん。……世の中さ、そんなもんだよ」

後輩「……」

銀髪妹「……かも、知れませんね」

先輩「……」

銀髪妹「……着きました、ここです」

後輩「着いた、って……?」




212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:58:41.01 ID:YjXNxsDe0




ガチャ

バタン



先輩「ん〜〜っ!」ノビー

後輩「……」

先輩「……っはぁ。……静かだねぇ」

後輩「……ここは?」

銀髪妹「姉の、お墓です」

後輩「……」

銀髪妹「……まぁ、正確には、我が家の一家の墓、ですけど」

後輩「……」

先輩「どの辺?」

銀髪妹「ご案内します……」




213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:59:08.39 ID:YjXNxsDe0






先輩「……」

後輩「……」

先輩「……ナムナム」

後輩「……ナムナム」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「お花でも、買ってくればよかったのに」

先輩「そういやそうだな」

銀髪妹「いえ……、こうやって、手を合わせていただけただけで」

先輩「……」

銀髪妹「……姉も、喜んでいると思います」

先輩「……本当に?」

銀髪妹「あ、あはは……、本当はモノかお金の方が、喜びそうですけど……」

先輩「分かる」

後輩(分かってしまう……)

214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:00:03.44 ID:YjXNxsDe0



後輩「……ナムナム」

後輩「……」



後輩(……静か、だなぁ)

後輩(銀髪さん……)

後輩(本当に、死んじゃったんだなぁ……)


後輩「……」

先輩「……」

銀髪妹「……」



後輩(銀髪さん……)

後輩(貴方は……)

後輩(最期に、私に……、なんて言ったんでしょうか……?)

後輩(大事な……、ことだったんでしょうか……?)


後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」


215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:00:38.99 ID:YjXNxsDe0
先輩「後輩」

後輩「……えぇ、もう……、終わりにしますから」

先輩「……」

後輩「……ふぅ」

銀髪妹「……」

後輩「……お待たせしました」

銀髪妹「いえ……、ありがとうございます……」

先輩「悪いね。結構、無理言っちゃったでしょ」

銀髪妹「いえいえ、まぁ……父にさえ見つからなければ」

後輩「……あ、そんな感じなんですね」

銀髪妹「すみません……、父は、なんて言うか……、姉の交友関係を、その……、快く思っていなくて」

後輩「あぁ」

先輩「ロクデナシばっかだもんなぁ、あの人の周り」

後輩「先輩もでしょ」

先輩「お前もだろ」

銀髪妹「すすすすみません! すみません!」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:01:20.81 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「そもそも、自分で勘当したのに……」

後輩「……」

銀髪妹「亡くなってから、無理矢理みたいに引き取って、こうして家の墓にいれるなんて」

後輩「……」

銀髪妹「勝手な話ですよね……。姉も、口がきけたらきっと、文句言ってたと思いませんか?」

先輩「それだけ銀髪さんのこと、思ってたってことなんじゃない? 本当は」

銀髪妹「……」

先輩「言えなかっただけで。手遅れになるまで」

後輩「……」

銀髪妹「えぇ……、そう……ですね。きっとそう……」

後輩「……」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:01:51.20 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「両親は、きっと……姉のことは、大切にしていて……」

後輩「……」

銀髪妹「私より……、……っ」ハッ

先輩「……」

後輩「……」

銀髪妹「す、すみません。勝手に色々と。い……行きましょうか」

先輩「うん。……後輩」

後輩「はい……」




218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:02:19.80 ID:YjXNxsDe0



219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:02:54.41 ID:YjXNxsDe0






銀髪妹「ホテル、すみません……私の名前で取らせてもらったので……」

先輩「悪ぃね」

後輩「あ、ありがとうございます」

銀髪妹「30分くらいで着きますので」

先輩「妹さんさ、一杯くらいご馳走させてよ。色々お世話になっちゃったし」

銀髪妹「い、いえ……そんな……、悪いですよ」

先輩「気にしなくていいってぇ。帰り、代行使ってさぁ。車代くらい、こっちで持つし」

銀髪妹「いえいえ……、本当に……。子供も待ってることですし……」

後輩「あ……、お子さん、いらっしゃるんですね」

銀髪妹「えぇ」

先輩「へぇ〜……、いくつくらい?」

銀髪妹「上の子が、今年10歳で」

先輩「10歳!?」

後輩「10歳!?」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:04:08.57 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「あはは……」

後輩「いや、ちょ、銀髪さんと同い年だからぁ……」

先輩「どうしよ後輩ちゃん、わたしさんすうできない」

後輩「わたしもひきざん、ちょっとできない、これ、ちょっと……」

銀髪妹「……えっと、それで真ん中の子が――……」

先輩「真ん中!」

後輩「真ん中の子!」

先輩「上中下!!!」

後輩「上下でもなくて!!!」

銀髪妹「あ、いえ、その」

先輩「やることやってんじゃねーかこの野郎ー」

後輩「なーにが『良い子ちゃん』ですかこの野郎ー」

先輩「やっぱり妹だわあの人の」

後輩「血ですね、抗えない血。おっかねぇ」

銀髪妹「あ、あは、あははは…………」





221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:04:58.93 ID:YjXNxsDe0






銀髪妹「着きましたよ」

先輩「おー、これかぁ」

後輩「うわ、普通にいいとこだ……」

銀髪妹「明日、チェックアウトの時間になったら、迎えに来ますので」

後輩「そこまでしてもらわなくても……」

銀髪妹「いえ、お気になさらず……。私がしたくて、そうさせてもらってるんです……」

後輩「え……」

銀髪妹「……今日は、お二人にお会いできて、本当に良かった」

先輩「……」

後輩「……」

銀髪妹「姉は……」

後輩「……」
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:05:41.11 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「あの通りの性格で……、周りからは、いつも浮いていましたし……」

後輩「……」

銀髪妹「誰からも理解されなくて……、私だってそうで……。いつも、ひとりぼっちで……」

後輩「……」

銀髪妹「だから、自分で命を絶ったって、聞かされて……」

後輩「……」

銀髪妹「……思ったんです。あの人は……、最期まで、たったひとりきりだったんだ、って……」

後輩「妹さん……」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:06:47.49 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「でも、お二人に会えて」

後輩「……」

銀髪妹「そうじゃなかったんだって、分かりました」

後輩「……」

銀髪妹「知らない人ばかりの、知らない土地に行ってしまったけど」

後輩「……」

銀髪妹「こうして、姉のことを……、いなくなってしまった後でも、考えてくれている人がいたんだって、知れて……」

後輩「……」

銀髪妹「私……、嬉しかったです……」

先輩「そんな、大層なもんじゃないけどね」

後輩「えぇ……」

銀髪妹「それでも……。それでもです……。ありがとうございました」

後輩「い、いえっ、こ……こちらこそ! 銀髪さんには優しくしていただいて……っ」

先輩「優しく、ねぇ」

後輩「ちょっと、黙って」

先輩「うぇっへっへ」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:07:41.18 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「何もない場所ですけど……、ぜひ、くつろいでいってください……」ニッコリ

後輩「ど、どうも……」

先輩「それじゃ、また」

銀髪妹「えぇ」

後輩「またです」

先輩「じゃ後輩、行くか」

後輩「はい」

銀髪妹「あの……、先輩さん……」

先輩「うん?」

銀髪妹「……」

先輩「どうかした?」

225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:08:13.36 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「先輩さんは、さっき……『そんなもんだ』って、言いましたよね」

先輩「んん?」

銀髪妹「喧嘩したいときには……、……言いたいときには、相手はいない。世の中そんなもんだ、って」

先輩「あぁ」

銀髪妹「……だけど……、きっと、そうじゃないんですよ……」

先輩「……」

銀髪妹「言えたんです、きっと……。私は、あの人に……」

先輩「……」

銀髪妹「貴方なんて嫌いだ、って」

先輩「……」

銀髪妹「だけど……、だけど本当に、辛かったら、帰ってきてほしい、って……」

先輩「……」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:09:08.47 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「父だって、本当は……、言えたはずなんです。……すまなかったと」

先輩「……」

銀髪妹「言えたのに、言わなかった」

先輩「……」

銀髪妹「本当は……、私は……」

先輩「……」

銀髪妹「私だって……、辛かったんだぞ、って……」

先輩「……」

銀髪妹「『良い子ちゃん』は『良い子ちゃん』なりに……、苦労があるんだぞって……」

先輩「……」

銀髪妹「言えたんです。言えた。言えたのに。言えたことを――……、言えば、言っていれば……」

先輩「……」

銀髪妹「……、だから、先輩さん……」

先輩「……」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:09:55.75 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「『そんなもん』なんかじゃない……、ただ私が、言わなかっただけ。伝えなかっただけ――……」

先輩「……」

銀髪妹「すべきことを、しなかっただけ」

先輩「……」

銀髪妹「それだけなんです……」

先輩「……そっか」

銀髪妹「……」

先輩「ごめんね」

銀髪妹「いいえ……、こちらこそ……」

先輩「……そっかぁ」


後輩「先輩ー? せんぱーい! チェックインしちゃいましょうよー」


先輩「おー、今行くー!」

銀髪妹「それでは、また」ニッコリ

先輩「うん。ありがとね」




228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/03/12(月) 23:11:43.89 ID:YjXNxsDe0
今日はここまでです

もう少しで終われると思います、終わりたい、終われたらいいなぁ(願望)

お読みくださっている方、ありがとうございます

よろしければ今しばらく、お付き合いのほどを
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/13(火) 04:55:16.11 ID:jLThi2wao

着地点がきになる
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/13(火) 08:38:22.70 ID:dnCT65W1O
先輩が八神コウで再生される
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:14:04.32 ID:HZjvN4010





〜ホテル客室〜


先輩「はあっ!?」

後輩「ふわ……っ!?」

先輩「……」

後輩「ひ、ひろ……」

先輩「……」

後輩「これ……、部屋取り間違えたんじゃないですか、妹さん……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……よし」

後輩「……はい」

先輩「考えないことにしよう」

後輩「はい」

先輩「オーシャンビュー!」

後輩「オーシャンビュー!」





232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:14:34.36 ID:HZjvN4010





〜卓球施設〜



後輩「大仏サーブ!」カコンッ

先輩「見ぃ切ったぁぁ!」スカッ





233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:15:05.64 ID:HZjvN4010





〜露天風呂〜


後輩「貸し切りだぁ……」

先輩「最高だな」

後輩「わぁぁ……」

先輩「はぁぁ……」

後輩「きれいな夕焼け――……」

先輩「西日がきついな」

後輩「……」

先輩「……何だよ」

後輩「それでも詩人ですか……」

先輩「ほっとけ」

234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:15:49.24 ID:HZjvN4010
先輩「うぁー……」ザプン

後輩「うぁー……」ザブン

先輩「先に出た方がコーヒー牛乳オゴリな」

後輩「中学生ですか」

先輩「……はぁ〜、あったまる〜」

後輩「……先輩」

先輩「ん?」

後輩「今日は……ありがとうございます、誘ってくれて」

先輩「あはは、何だよもう」

後輩「……私が、銀髪さんのこと、ずっと気にしたから」

先輩「……」

後輩「それで、連れてきてくれたんですよね? ここまで」

先輩「別に、それだけじゃねーって」

後輩「そうです?」

先輩「銀髪さんのお墓参りしたかったしな、私も」

後輩「……」

先輩「あと、温泉入りたかったのもマジだし」

後輩「あはは、なるほど」
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:16:27.74 ID:HZjvN4010
先輩「面白い人にも会えたしな」

後輩「似すぎですよね、妹さん……」

先輩「……本人だったりして」

後輩「え」

先輩「自殺の真相は、実は偽装工作だった! 本人は髪を黒に戻し、妹の名を借りて新潟へ――……」

後輩「あ、あはは、いやまさか……」

先輩「我々はハメられていたのだよ、ワトソン君……」

後輩「い、いや、いやいや! でもほら、お墓もちゃんとあったし、警察の人とかも――……」

先輩「冗談だっての」

後輩「……」

先輩「分かれよ」

後輩「わ、分かってましたよう……」ブクブク
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:17:33.69 ID:HZjvN4010
後輩「でも、なんか……」

先輩「ん?」

後輩「銀髪さんにも、人並みの過去があったんですね……」

先輩「当たり前だろ」

後輩「まぁ、当たり前ですけど」

先輩「……」

後輩「……当たり前、ですけど。親と仲悪かったり、こんなとこ出てってやるー、って思ったり……」

先輩「……」

後輩「あの人にも、そういう、当たり前の昔があったんだって……」

先輩「……」

後輩「私、全然知らなくて……」

先輩「私だって、知らなかったよ」

後輩「知らなくても、知らないままで……、一緒にいたんですよねぇ」

先輩「……みんな、誰だってそうだろ」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:18:15.08 ID:HZjvN4010
後輩「誰だって……」

先輩「そりゃそうだろ。私だって、昔は色々あったし」

後輩「……先輩も?」

先輩「おう。……お前だってさ」

後輩「そりゃまぁ……」

先輩「……過去なんて」

後輩「……」

先輩「何があっても、何があったか、知らなくても。知ってたって」

後輩「……」

先輩「それで、一緒にいたって、いいだろ? 別に」

後輩「……そう、かもしれませんね」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:18:44.65 ID:HZjvN4010
先輩「それで」

後輩「……はい?」

先輩「思い出せそう?」

後輩「え?」

先輩「銀髪さん、最期に言ったこと」

後輩「ふふ……、それが、さっぱり」

先輩「……そっか」

後輩「……でも、それでいいのかもしれませんね」

先輩「ん?」

後輩「……引きずってる、いえ……引きずられているより」

先輩「……」

後輩「『そんなもん』って割り切っちゃえば」

先輩「『そんなもん』……か」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:19:30.64 ID:HZjvN4010





――ただ私が、言わなかっただけ。伝えなかっただけ――


――すべきことを、しなかっただけ――




240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:20:05.27 ID:HZjvN4010





先輩「……」

後輩「そう思いません?」

先輩「……どうだろうな」

後輩「えぇー、何ですか、それ」

先輩「分かんね……」

後輩「……むぅ」

先輩「後輩ちゃん」

後輩「何です?」

先輩「背中流してあげよっか」

後輩「えっ!? い、いや、いいですよ、そんなのっ! 何でですか!」

先輩「うぇっへっへ……」




241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:20:33.34 ID:HZjvN4010






〜お部屋〜


後輩「はい……どうぞ」トプトプ

先輩「おっとっと」

後輩「んふふ」

先輩「ほい、そっちも」トプトプ

後輩「おっとっと」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「じゃ」

後輩「はい」

先輩「かんぱーい」

後輩「かんぱーい」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:21:03.68 ID:HZjvN4010

先輩「……」グビグビ

後輩「……」グビグビ

先輩「……」

後輩「……」

先輩「うまぁぁい!」

後輩「……」

先輩「なんだこりゃ! すごい! うまい! すごい!」ゴクゴク

後輩「……」

先輩「はぁー……、これはいい酒だぁ――……、後輩ちゃん?」

後輩「オイシイ……オイシイ……」ポロポロ

先輩「泣くなよ……」

243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:21:30.50 ID:HZjvN4010
先輩「カニうまっ!」

後輩「カキうまっ!」

先輩「刺身うまっ!」

後輩「お米うまっ!」

先輩「……」ゴクゴク

後輩「……」ゴクゴク

先輩「酒うまっ!!」

後輩「酒うまっ!!」

先輩「うぇっへっへへへ、うぁー、最高だぁー……」グビグビ

後輩「あー、やばいよぅ、駄目になるぅ、アホになるぅ……」グビリ

先輩「なれなれ」

後輩「なりまーす。なりましたー」





244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:21:56.49 ID:HZjvN4010


245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:22:25.89 ID:HZjvN4010





先輩「はぁ〜……」

後輩「……」

先輩「美味しかったねー」

後輩「ですね」

先輩「……」

後輩「……ふぅ」

先輩「どうする? 後でもう一回、温泉いく?」

後輩「あー……、何時まででしたっけ?」

先輩「あ、分かんねえや」

後輩「後で見てきます」

先輩「おう」

後輩「……」

先輩「……」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:22:57.83 ID:HZjvN4010
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……あの」

先輩「ん?」

後輩「……ちょっと、散歩してきます」

先輩「どこ行くん?」

後輩「……海、近いから」

先輩「見えねーだろ、真っ暗だし」

後輩「まぁ……。でも、せっかくなんで」

先輩「ふーん」

後輩「……」

先輩「気をつけてな」

後輩「えぇ」




247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:23:31.44 ID:HZjvN4010





〜海岸〜


ザザァ

ザァ


後輩「……」

後輩「……」


後輩(本当に真っ暗だ……)

後輩(波の音はするけど……)

後輩(何も見えなくて……)



後輩「……」

後輩「……」


後輩(……ちょっと)

後輩(怖いな……)


ザザァ

ザザーン


後輩「……」

後輩「……」
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:24:11.01 ID:HZjvN4010

後輩「……」

後輩「……風強い」


ザザァ


先輩「後輩ー」

後輩「うわっ」ビクッ

先輩「何ビビッてんだよ」

後輩「せ、先輩……。どうしたんですか……」

先輩「へっへ、私も散歩」

後輩「そうですか……」


ザァ

ザザン



先輩「……」

後輩「……」

先輩「ん〜〜っ……」ノビー

後輩「……」

先輩「……っはぁ」

後輩「……」

先輩「真っ暗だなぁ」

後輩「……ですね」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:24:44.26 ID:HZjvN4010
先輩「お前、あんま飲まなかったな」

後輩「えぇ……、何か今日は、酔いつぶれちゃうの、勿体ない気がして」

先輩「はは、分かる」

後輩「ね」

先輩「……」

後輩「……」


ザザーン

ザザァ



先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩」

先輩「……んー?」

後輩「私ね……」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:25:21.21 ID:HZjvN4010

先輩「うん」

後輩「……銀髪さんと、最後に会った日」

先輩「……」

後輩「……あの日、話したのって……」

先輩「……」

後輩「先輩のことで……」

先輩「……」

後輩「銀髪さんに、言われたんです」

先輩「……」

後輩「私は、先輩のこと……、どう思ってるのか、って」

先輩「……うん」

後輩「それで……」




251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:25:53.95 ID:HZjvN4010





銀髪『そういう風に、先輩ちゃんを未来永劫、束縛し続けるわけか』



銀髪『だって、そうだろう? どう思ってるかも、はっきりさせない。どうするつもりもない』



銀髪『ただひたすらに、隣に置いておくだけ』



銀髪『宙ぶらりんなまま、引き寄せもせず、突き放しもせずにね』





252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:26:35.63 ID:HZjvN4010







後輩「私は……、私って……」

先輩「……」

後輩「先輩のこと、束縛しちゃってるのかなぁ……」

先輩「……」

後輩「そうなのかもなぁ……」

先輩「……」

後輩「そうだとしたら、ねぇ、先輩……」

先輩「……」

後輩「先輩、私って……」

先輩「……」

後輩「本当に、嫌なヤツですね」

先輩「……」

後輩「ほんとに……、自分でも嫌になるくらい……」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:27:05.32 ID:HZjvN4010
先輩「……お前」

後輩「はい……?」

先輩「言いたくないって言ってたじゃん」

後輩「……そうなんですけど」

先輩「……」

後輩「でも、何か……」

先輩「……」

後輩「今日、ここに来たら。なんでしょう……、言わなきゃいけない、気がして……」

先輩「……」

後輩「銀髪さんに会ったからかなぁ……、墓前ですけど……」

先輩「……」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:27:41.71 ID:HZjvN4010

後輩「言い残した、伝え忘れたことがあるって」

先輩「……」

後輩「……何か、もしかしたら……」

先輩「……」

後輩「すごく、悲しいのかなぁ、って」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」


ザザァ

ザァ


後輩「……」

先輩「……」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:28:19.26 ID:HZjvN4010

後輩「先輩……」

先輩「……私は」

後輩「……」

先輩「思ったことねーよ、束縛されてるなんて」

後輩「……ですか」

先輩「もし、さ……、たとえ本当に、そうだとしても……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「そうだとして、も……?」

先輩「……」

後輩「先輩……?」
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:29:01.29 ID:HZjvN4010
後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

先輩「『そんなもん』なんかじゃない、かぁ……」

後輩「なんです?」

先輩「なぁ、後輩」

後輩「はい?」

先輩「……多分さ」
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:29:37.56 ID:HZjvN4010
後輩「……」

先輩「私、違ったんだよ」

後輩「え?」

先輩「一緒にいてやるって、……私がお前の、隣にいてやるって……」

後輩「え、あの……」

先輩「言ったよな」

後輩「……」







先輩『もし辛いんだったら』



先輩『私が、いてやるから』



先輩『お前が大丈夫になるまで、お前の隣に』





258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:30:13.05 ID:HZjvN4010

後輩「はい……」

先輩「でもさ」

後輩「……」

先輩「違ったんだよ」

後輩「……え」

先輩「間違いなんだ」

後輩「な、何ですか……、それ……」

先輩「……」

後輩「私は、先輩と――……!」
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:31:18.52 ID:HZjvN4010
先輩「一緒にいて”やる”だなんてさ」

後輩「……っ」

先輩「そうじゃなかったんだ」




――言えた。言えたのに。言えたことを――……、言えば、言っていれば……――




後輩「せんぱ……っ」

先輩「私が、お前といたかったんだよ」

後輩「……」

先輩「一緒に」

後輩「私と……」

先輩「後輩と、一緒にいたくて、一緒にいてほしくて……」

後輩「……」
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:31:48.88 ID:HZjvN4010

後輩「……」

先輩「多分、最初からそうだったんだ」

後輩「……」

先輩「やっと分かったよ」

後輩「……」

先輩「やっと認められた」

後輩「……」

先輩「後輩」

後輩「……」

先輩「好きだよ」

後輩「……」





261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:32:14.58 ID:HZjvN4010


262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:32:40.19 ID:HZjvN4010





〜お布団〜


先輩「……」

後輩「……」

先輩「……手」

後輩「……」

先輩「繋いだまま寝るん?」

後輩「はい」

先輩「そっか」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:33:18.09 ID:HZjvN4010

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩」

先輩「……」

後輩「私も、好きです……」

先輩「……」

後輩「多分、初めて会った時から、ずっと……」

先輩「……」

264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:33:45.20 ID:HZjvN4010

後輩「……ねぇ、先輩」

先輩「……」

後輩「……寝ちゃった?」

先輩「……起きてるよ」

後輩「わっ……」

先輩「……うぇっへっへっへぇ」

後輩「もう……」

265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:34:26.83 ID:HZjvN4010
先輩「後輩ちゃーん」

後輩「はいはい……」

先輩「も一回、言って」

後輩「えぇ〜……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩」

先輩「……」

後輩「……す、好きっ」

先輩「……っはは」

後輩「ふふ……っ」




266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:34:59.01 ID:HZjvN4010





先輩「……あのさ」

後輩「はい……?」

先輩「する?」

後輩「え」

先輩「……しないの?」

後輩「あの……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:35:50.10 ID:HZjvN4010
先輩「ねぇ」

後輩「……あ、あなた、ストレートだって……」

先輩「過去に囚われてちゃ」

後輩「……」

先輩「駄目なんだぜ、後輩ちゃん」

後輩「……何言ってんですか、もう……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩」

先輩「……うん」

後輩「そっち、行っていい?」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「うん」

後輩「……」モゾモゾ
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:38:04.99 ID:HZjvN4010
後輩「あの……」モゾ

先輩「ん?」

後輩「お恥ずかしいのですが……」

先輩「何だよ」

後輩「……ぶっちゃけ私、相当ご無沙汰ですからね?」

先輩「あっはは、生々しいなぁ」

後輩「ケダモノですからね?」

先輩「やだぁ、後輩ちゃん怖ぁい」

後輩「……覚悟しといてくださいよ」

先輩「うん」

後輩「……」

先輩「いいよ」

後輩「……」

先輩「来て」

後輩「……」
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:38:31.55 ID:HZjvN4010

後輩「……先輩」

先輩「大好きだよ、後輩」

後輩「……私も」

先輩「……」

後輩「……大好きです、先輩」

270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:38:58.17 ID:HZjvN4010



271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:39:31.73 ID:HZjvN4010



〜おわり〜



272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/03/13(火) 22:40:38.19 ID:HZjvN4010
これで、このお話はおしまいです

最後までお読みいただき、ありがとうございました

ばいばい
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 01:55:02.26 ID:VQSh2Vwlo
よかった
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 04:06:07.39 ID:AGlnXrzd0
最高だった…
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 06:02:11.37 ID:Z6elkKqBo

エピローグはよ
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 18:10:22.77 ID:CMiXd2SUo
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 23:27:11.50 ID:S4+m0qxK0
過去作です

〇百合〇
後輩「先輩より胸が大きくなってしまいました……」
先輩「本を読む後輩と」 後輩「かもめの先輩」
先輩「明日戦争がはじまる」
魔女「お眠りなさい、安らかに――」 女騎士「くっ、やめろ……!」
先輩「手を繋げば分かるだろ」後輩「ダメです」

〇男女〇
先輩「…生で」
先輩「一緒に子供育てようぜー」
男「魔女?」魔女「おう」

〇??〇
友「男、またおっきくなったね…」
主人「キミ、以前は男だったって本当?」 メイド「はぁ、まぁ」

〇二次創作〇
モバP「柑奈のカバンから謎の白い粉が出てきた」
モバP「夏樹とのセッションが決まったぞ!」 李衣菜「む、ムリ……」
棟方愛海「愛と!」 南条光「正義の!」
真澄「柚子……柚子……」クチュクチュ
ブーディカ「はい、あ〜ん」 マシュ「あぁ^〜」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 23:32:32.61 ID:S4+m0qxK0
他にもVipで書いたやつとかもあるんですけどね
覚えてないです

思えば2011年から今まで、時折こうしてSSを書いてたわけです

ここの皆さんには、とてもお世話になりました
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 23:39:15.41 ID:S4+m0qxK0
頭の中だけで、妄想を何度も反芻していました
それをSSにすると、吐いた後みたいに、すごくスッキリしました

このSSなんかも、話の筋はゴチャゴチャで、物語としてはまとまってないですが、
今、頭の中にあった、楽しいフレーズとか、掛け合い、シチュエーションを、全部書き切れたので
これはこれで、とても愛おしい
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 23:44:34.00 ID:S4+m0qxK0
終わったスレでグチグチ書くのは趣味ではないのですが…

ごめんね……

ただ、私はこんなのを書いてたよ、と誰かに知ってほしかっただけです

お読みいただき、ありがとうございました
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 23:48:20.85 ID:/UU453fYo
宣伝乙
いくつか読んでないのあったし読んでみる
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 23:54:46.28 ID:S4+m0qxK0
>>281
ありがとうございます。ウレシイ……ウレシイ……
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/16(金) 21:15:03.00 ID:AApz3xOh0
とてもすきです
先後輩以外にも同輩や幼馴染百合とかも是非
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/16(金) 22:50:03.49 ID:pB2GKxR1o

あー、メイドのやつすごく好きだったわ
146.82 KB Speed:0.1   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 新着レスを表示
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)