先輩「飲みに行くぞー!」後輩「はいはい……」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:47:37.04 ID:hZvn7G3G0
百合です

謎とき要素はありません

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1519739256
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:48:46.07 ID:hZvn7G3G0


後輩「……」


後輩「……」トポトポトポ

後輩「……」トプ

後輩「……う」

後輩「ぅぅ……」

後輩「……」グイ

後輩「…………」グビ

後輩「……プハ」

後輩「……」

後輩「……うぅぅ」

後輩「……」トプトプ


3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:49:16.53 ID:hZvn7G3G0


ピンポーン


後輩「……ぅ」トプ

後輩「……」

後輩「……」グビグビ


ピンポーン

ピンポ ピンポーン

ピンポーン


後輩「ぅー……?」

後輩「……?」

後輩「……」トプトプ

後輩「……」グイ

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:50:12.61 ID:hZvn7G3G0


ピンポーン




後輩「……」クピクピ

後輩「……」

後輩「……フゥ」


後輩「……」トプトプ





先輩「出ろやぁー!!」バンッ ダンッ

後輩「ビクッ!」





先輩「出ろやボケ――……うおっ、開いてた」バタンッ

後輩「……」ドキドキ

先輩「おーう、後輩ー。後輩いるんだろー!?」ズカズカ

後輩「……」

先輩「おー、ほら、やっぱりいるじゃん」

後輩「せんぱ……」

先輩「いるなら出ろよぉー。居留守とか傷つくじゃーん、後輩ちゃぁん」

後輩「はぁ……」

先輩「あと鍵な、かけろな、お前な、さすがに。お前も女子よ、一応」

後輩「は、はい……、すみません」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:51:01.57 ID:hZvn7G3G0
先輩「お。やってんじゃん。何飲んでんの?」

後輩「あの……、手取川の……」

先輩「……は? 何いい酒飲んでんの一人で……――ちょうだい」

後輩「やだぁ」

先輩「いやお前、そんないい酒一人ぼっちでボソボソ飲んでるなよ、もったいない」

後輩「ほっといてくださいよう」

先輩「どうせ肴も、大したもの用意してねぇだろ? ツマミは?」

後輩「……、……柿ピー」

先輩「……なんていうか、性根が安っぽいのよ、お前は」

後輩「うっさいです」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:51:31.85 ID:hZvn7G3G0
先輩「『柳』行って飲もうぜ。これ持ってさぁ。なんか食べさせてもらって――……」

後輩「やですよ……、あそこいっつも混むもん……。高いし……」

先輩「じゃあ『はせ川』」

後輩「……」

先輩「いいじゃん、アソコ、大将にちょっと飲ませれば、ポテサラくらいタダで食べさせてもらえるってぇ」

後輩「えぇー……」




7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:52:04.95 ID:hZvn7G3G0





〜居酒屋〜


いらっしゃーい!


奥の席どうぞ―!







先輩「うぇっへっへっへ」

後輩「はぁ……」





8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:53:06.47 ID:hZvn7G3G0





大将「ふたりは、お猪口じゃなくてグラスでいいだろ?」

先輩「あっはは!ありがと、大将」

後輩「す、すみません、ほんとに……」

大将「まあまあ、いいから」

先輩「ほらぁ、大将もグラス用意してぇ」

大将「おっ、悪ぃね!」

先輩「ほれ、美人のお酌だぞ。嬉しいっしょ」

大将「なーにが美人のお酌だ! 手酌させてくれってんだ、手酌」

後輩「わ、私やりますから……。ど、どうぞ……」スッ

大将「わっはっは、ありがとうねぇ、後輩ちゃん」ニッコリ

先輩「おい、ちょっと。おい」

後輩「あはは……」





9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:54:18.20 ID:hZvn7G3G0





後輩「……」ムグムグ

先輩「……」グビグビ

後輩「……これ、酢味噌ですかね? イカのやつ」ムグ

先輩「酢味噌じゃねーかな」

後輩「酢味噌、酢味噌」

先輩「酢味噌ニアン」

後輩「あはは」グビグビ

先輩「……そういえば、後輩さぁ」

後輩「はい?」グビ

先輩「お前行った? 銀髪さんの葬式」

後輩「え? あー……、いえ。いいえ」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:54:59.17 ID:hZvn7G3G0
先輩「来いよ」

後輩「いや、……っていうか」

先輩「ん?」

後輩「……銀髪さん、お葬式あったんですか? 初めて聞いたんですけど」

先輩「葬式ってか、お別れ会? だけど。お前連絡行ってない?」

後輩「……、……ええ」

先輩「んー、まぁ、そっか」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩、行きました?」

先輩「おう」

後輩「……そっか」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:55:35.43 ID:hZvn7G3G0
先輩「でも、金髪さん言ってたぞ? 後輩来ないのか? って」

後輩「えぇ……」

先輩「マジマジ」

後輩「なんで金髪さんが……」

先輩「いや、知らんけど」

後輩「……」

先輩「会いたいみてーだよ、あの人、お前に」

後輩「……うぅぅ」グビグビグビ

先輩「私にもちょうだい」トプトプ

後輩「……ウップ」

先輩「……」グビグビ

後輩「……」トプトプ

先輩「……っはぁー! うまっ」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:56:48.35 ID:hZvn7G3G0
後輩「……」グビグビ

先輩「……」トプトプ

後輩「……先輩も」

先輩「あ?」

後輩「知ってるでしょ?」

先輩「なにを」

後輩「……私と、銀髪さん……、ほら……、なんていうか……」

先輩「いや、関係ないでしょ。銀髪さん死んじゃったんだし」

後輩「そんな、身も蓋もない」

先輩「金髪さんだって気にしてないって」

後輩「……うぅーん」

先輩「手ぇくらい、合わせに行ってやれよ」

後輩「……先輩、付き合ってくれます? 週末」

先輩「土曜なら」

後輩「……じゃあ、土曜なら」

先輩「おし、土曜なー」トプトプトプトプ

後輩「……私のお酒……」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:57:49.80 ID:hZvn7G3G0



先輩「っていうかさ、銀髪さんが自殺した日ってお前――……



常連「へぇ、いい鯵だねぇ、大将! こっからでもピカピカ光って見えるよ!」

大将「へっへへ、でしょう? やっぱり今が旬だからねぇ!」



先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」



常連「鰺だと、塩焼き? あとはなめろう?」

大将「いやいや! やっぱり刺身! こればっかりは刺身が一番!」



先輩「……」

後輩「……」



14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/27(火) 22:58:47.34 ID:hZvn7G3G0

先輩「……」

後輩「……」



大将「活きもいいし味もいいし、これがまた、日本酒に合うんだ!」



先輩「あじ……」

後輩「……」ジュルリ

先輩「……こ、後輩ちゃん」

後輩「……はい」

先輩「ちょっと、あの、後輩ちゃん、どれくらい持ち合わせある?」

後輩「ええ、えっと、これくらい……。あと先輩、先輩もちょっと出せます?」

先輩「……」ジャラ

後輩「……」

先輩「……足りる?」チャリン

後輩「……は、半分こしましょう? 一皿頼んで……」



15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/27(火) 22:59:31.08 ID:hZvn7G3G0
今日はここまでです

続きます
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/27(火) 23:38:16.33 ID:PqGoVFaJ0
あと22分で今日が終わるな
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/28(水) 01:16:48.44 ID:v7GHT77yo
飲んだくれの後輩と手繋ぐと心読める先輩の人かな
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/28(水) 12:22:46.19 ID:xLCK7g7Oo
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:01:22.41 ID:YpMIaMks0





〜土曜日〜


後輩「……」

後輩「……」

後輩「…………」チラッ

後輩(9時、20分……)

後輩「……」

後輩「……」




20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:02:03.02 ID:YpMIaMks0





後輩「……」

後輩「……」

後輩「…………」チラッ

後輩(9時、45分……)

後輩「……」

後輩「…………うぅ」

後輩(既読スルー……)

後輩(先輩……)

後輩(バックレやがった、あの人)

後輩「……うぅぅ」

後輩「……」

後輩「……」

後輩「……行くか」

後輩「…………」トボトボ





21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:02:48.89 ID:YpMIaMks0





〜金髪さんのアパート〜


ピンポーン


後輩「……」

後輩「……」


ガチャ


金髪「はいはい〜、……あっ」

後輩「……ど、どうも」ペコリ

金髪「あぁ〜。おはよう、後輩ちゃん。いらっしゃい〜」

後輩「遅くなってすみませんでした……」

金髪「いいのいいの。ひとり?」

後輩「はい、先輩が――……ええと、ちょっと、来れなくなりまして」

金髪「バックレた?」

後輩「バックレました……」

金髪「うふ、うっふふ」

後輩「すみません、どうも……」

金髪「まあまあ、あがってあがって、どうぞどうぞ〜」グイ

後輩「お邪魔、します……」





22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:03:31.86 ID:YpMIaMks0





チーン


後輩「……ナムナム」

後輩「……」

金髪「位牌も何もなくてごめんねぇ、せっかく手、合わせてもらってるのに」

後輩「あ、いえ……」

金髪「銀髪の体とか遺品とかは、全部あの子の、田舎の実家に持っていかれちゃって」

後輩「そうなんですか」

金髪「本家だったらしいのよね〜」

後輩「へぇ……」

金髪「仕方ないから、せめて写真だけ飾って」

後輩「……」

金髪「あと銀髪が隠してた暗黒ポエムノートも飾って」

後輩「鬼ですか」

金髪「読む?」

後輩「え、遠慮しときます……」

金髪「うふふ……。今、お茶いれるわね」

後輩「お、おかまいなく……」





23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:04:04.66 ID:YpMIaMks0





金髪「……」トポトポ

後輩「……」

金髪「ごめんなさいねぇ、お茶請け、これしかなくて」

後輩「はぁ……。なんです、これ?」

金髪「カロリーメイト」

後輩「……」

金髪「ポテト味」

後輩「……」

金髪「うっふふ、あの子の好物でね〜……。ポテト味ばっかり、いっぱいあるのよね、ウチ」

後輩「……」

後輩(……これは)

後輩(何か、試されているのか? 私は……)
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:04:41.42 ID:YpMIaMks0
後輩「……」

金髪「……」

後輩「……い、いただきます」

金髪「どうぞ〜」

後輩「……」ムグムグ

金髪「……」

後輩「……」ムグ

金髪「……」

後輩「……あの」

金髪「なぁに?」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:05:37.49 ID:YpMIaMks0
後輩「ご、ごめんなさい」

金髪「どうして?」

後輩「私と銀髪さん……、その……、何ていうか……」

金髪「あぁ、うっふっふ」

後輩「知ってましたよね?」

金髪「もちろん〜。でも、ふふ、いいの。いいのいいの」

後輩「……」

金髪「銀髪と私は、パートナーだったけど、お互いのことには口出ししない、って決めてたから」

後輩「……」

金髪「特に『自由恋愛』に関してはね」

後輩「……」

金髪「変わってる、って思われるかもしれないけど。でも、いい関係だったのよ、私とあの子」

後輩「ええ、はい……」

金髪「本当に……、本当に、いいパートナーだったの……」

後輩「……」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:06:25.87 ID:YpMIaMks0
金髪「……ねぇ」

後輩「は、はい」

金髪「あの日……、銀髪が自殺した日……」

後輩「……」

金髪「……あなたのところにいたんでしょ? あの子」

後輩「……」

金髪「……」

後輩「……ええ」

金髪「……そう」

後輩「……すみません」

金髪「謝らなくていいったら〜。……――それで、その時なんだけど」

後輩「……」

金髪「何か、あった?」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:07:35.17 ID:YpMIaMks0
後輩「何か?」

金髪「何でもいいの。普段と違ったり、気になるようなこと」

後輩「それは――……」

金髪「……」

後輩「……うーん」

金髪「……」

後輩「……何も」

金髪「……」

後輩「特に何も」

金髪「……そっかぁ」

後輩「……」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:08:48.54 ID:YpMIaMks0
金髪「……銀髪は」

後輩「……」

金髪「あなたの家を出てからね」

後輩「……」

金髪「ちょっと離れたビルまで行って、屋上まで登って」

後輩「……」

金髪「……そこから……」

後輩「……」

金髪「ねぇ、後輩さん」

後輩「……はい」

金髪「私ね……、全然思い当たらないの。あの子が死ななきゃいけない理由。本当に、全然」

後輩「……」

金髪「どうしてなのかしらねぇ……」

後輩「……金髪さん」

金髪「……それにね」

後輩「……」

金髪「あの子、高いところ苦手なのよねぇ」

後輩「…………」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:09:41.42 ID:YpMIaMks0
金髪「……ねぇ」

後輩「……」

金髪「……本当に、何もなかった?」

後輩「……それは……」

金髪「……」

後輩「……あ、あはは。いやですよ、金髪さん」

金髪「……」

後輩「それだと、私がなにか、関わってるみたいじゃないですか。銀髪さんの自殺に」

金髪「そうなの?」

後輩「……」

金髪「……」

後輩「……」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:10:15.03 ID:YpMIaMks0



31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:10:53.27 ID:YpMIaMks0





〜ゲームセンター〜


カコン

パコン

カコン


先輩「えっ、マジで『ナイトフード』やめちゃうの!?」

後輩「ええ。金髪さん、言ってましたよ」カコン

先輩「うわ〜、マジかぁ〜……」パコン

後輩「料理、全部銀髪さんがやってましたし……、仕方ないと思いますよ」カコン

先輩「あそこのぬか漬け最高だったのになぁ〜」パコン

後輩「あれも、銀髪さんが漬けてたらしいですし」パコ

先輩「行きつけだったのにな……っと!」スコンッ

後輩「うわっ……!」スカッ

先輩「うぇっへっへ、5−1な」

後輩「むぅ……」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:11:31.38 ID:YpMIaMks0
先輩「他には?」パコ

後輩「ん〜……」カコン

先輩「……」パコン

後輩「……あっ、先輩に会ったら、伝えてほしいって」パコン

先輩「おう」パコン

後輩「『今年もラウパ行こうね(はぁと』って……」カコ

先輩「ラインで言えやーっ!」スパーン!

後輩「あいたっ!」ベチン

先輩「よしっ、10−1」

後輩「何勝手に点入れてるんですか!」

先輩「ヘッドショットボーナス」

後輩「ピンポンにそんなルールねえですから」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/28(水) 23:12:15.45 ID:YpMIaMks0
先輩「んー……そんで」

後輩「はい」

先輩「他には?」

後輩「……」

先輩「……」パコン

後輩「……えっと、いや……、その……、特には」カコン

先輩「あ、そ」パコン

後輩「……」カコン

先輩「……」パコ

後輩「な、何でですか?」カコン

先輩「聞いてほしそうにしてたから」パコン

後輩「そんな、別に私は……」カコ

先輩「せいやっ」スコン!

後輩「ふわっ!?」スカッ

先輩「うぇっへっへ」

後輩「むぅ……」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/02/28(水) 23:13:18.88 ID:YpMIaMks0
今日はここまでです

>>17
そうです
お読みいただいて、ありがとうございます
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/01(木) 12:01:56.94 ID:M66eS9ayO
なんか良い雰囲気
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:23:19.14 ID:J7/UUKls0

先輩「っていうか」

後輩「はい」

先輩「飽きた」

後輩「あんたが卓球やりたいって言い出したんでしょうが……」

先輩「だぁーって、弱すぎるんだもーん、後輩ちゃーん」

後輩「うっさいです」

先輩「こっちの方、右の方。全然狙ってこないんだもんなぁ? どうちてかなぁ?」

後輩「……」

先輩「ンクク、優ちいんでしゅね、後輩ちゃんはぁぁ〜?」

後輩「…………ふっ」

先輩「……お?」

後輩「ふふ……、ふっふっふ……」

先輩「後輩?」
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:24:16.04 ID:J7/UUKls0
後輩「そこまで煽られたら仕方ないです……」ユラリ

先輩「お」

後輩「見せてあげますよ……、私の秘奥義、大仏サーブをね!」キッ

先輩「お、おぉ、後輩がやる気になった!」

後輩「サービスください」

先輩「あーげる」

後輩「どーうも」

先輩「……」

後輩「……」ググ

先輩「……」

後輩「……っ」グググッ

先輩「……」

後輩「そいやっ!」カコン

先輩「……」パコンッ

後輩「あう……っ」スカッ

先輩「何なんだお前は……」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:25:18.50 ID:J7/UUKls0
後輩「あれぇ……、おっかしいなぁ……」ブツブツ

先輩「もういいからさぁ。そろそろ飲み行こうぜー」

後輩「さすがにまだ、早すぎるんじゃないですかね? どこも開いてなくないです?」

先輩「『亜理愛』行こうぜ。たしか、月末は5時からやってる」

後輩「えぇ……、マジですか」

先輩「いいだろ。あそこボトル入れてるし」

後輩「私のなんですけど、あれ。……むむ」ググッ

先輩「固いこと言うなってぇ」

後輩「……むむむ」グググッ

先輩「…………」

後輩「……そいやっ」カコン

先輩「えっ、……うぉ!?」スカッ!

後輩「めっちゃ曲がった!」

先輩「めっちゃ曲がった!」

39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:25:45.82 ID:J7/UUKls0





40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:26:41.06 ID:J7/UUKls0





〜スナック〜


バイト「……お代わりいりますぅ?」

後輩「あー……、うん」

バイト「はぁい♪」カラン カラ

後輩「……」

バイト「……〜♪」



先輩「サーングラスぅー! はーずしたらぁー! 吹き出しちゃうほどォー!」

ママ「ハイハイハイ♪」



後輩「……」



先輩「あーどけないーっ 目をしてるぅーっ!」

ママ「フッフー♪」



後輩「……」

後輩(アホだ……)

後輩(アホの人だ……)

41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:27:42.76 ID:J7/UUKls0
バイト「はい、どうぞぉ♪」

後輩「ありがと……」

バイト「アホみたいに上手ですねぇ、先輩さん」

後輩「アホだからね」



先輩「おーっ、後輩ぃー! デュエットー! お前安室ちゃんなー!」



後輩「……」

バイト「呼んでますよぉ?」

後輩「……いいのいいの」

バイト「いいんですか」

後輩「付き合ってたら、アホがうつるから」

バイト「うふふ、怒られますよぉ?」

後輩「いいんだって。事実なんだから」グビグビ
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:28:26.95 ID:J7/UUKls0
バイト「ふふふ、そうやって、あんまり冷たくしてるとぉ♪」

後輩「……」グビ

バイト「いつかその内、フラれちゃいますよぉ?」

後輩「えっ……?」

バイト「え?」

後輩「あっ、いやあの……、私、付き合ってるわけじゃないからね、あの人と」

バイト「えっ! そうなんですかぁ!?」

後輩「えぇ……」

バイト「えぇ〜……、でもでも、いっつも一緒じゃないですか、おふたりってぇ」

後輩「それは……、まぁ、なんだろ? 習慣で……」

バイト「カップルなんだと思ってたぁ」

後輩「うん、違う」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:29:37.40 ID:J7/UUKls0
バイト「え……じゃあ、後輩さんが女の人好きっていうのも……」

後輩「あ、それは本当」

バイト「あぁ、へぇ……」

後輩「……」グビグビ

バイト「そうなんだぁ」

後輩「……」グビ

バイト「じゃあ、じゃあじゃあ、私とかでも、結構そういう目で、見ちゃうんですかぁ?」

後輩「そういう目って」

バイト「グッときたりとかぁ」

後輩「いや、まぁ……、可愛いは、可愛いし……」

バイト「ああぁ〜……♪」

後輩「あっ、やっ、さすがにね! そういう趣味ない子に、手は出さないからね! ケダモノじゃないのよ、私これでも!」グビグビ
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:31:26.43 ID:J7/UUKls0
バイト「えぇ〜……でもぉ」

後輩「……」グビ

バイト「後輩さんだったら、私ぃ」

後輩「……」

バイト「ちょっと興味あるかも? なんてぇ……?」

後輩「……」

バイト「なんて、んふふ♪」

後輩「……、……そんなこと言ってると」

バイト「はい?」

後輩「……連絡先、聞いちゃうよ?」

バイト「えぇ〜? じゃあこれラインで……」

後輩「ラインは営業用のやつでしょ? 他にやってない? プライベートでもいいんだけど。ハングアウトやってる? 分かんない? ケータイAndroid? iphone? 分かんない? うんじゃあちょっとケータイ貸して――……

先輩「口説くな」ゴスッ

後輩「ぎゃふんっ」

先輩「ったく……」



ママ「バイトちゃ〜ん、こっちお願〜い♪」

バイト「はぁ〜い♪」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:32:08.45 ID:J7/UUKls0
後輩「いたい……」サスサス

先輩「本当、まったく、お前さぁ……」

後輩「なんですか」

先輩「見境なしか」

後輩「あ、あれは……、違うんですよ。なんか、こう、雰囲気? 流れ? みたいなので……」

先輩「ばーか」

後輩「むぅ……」グビ

先輩「はぁ」グビグビ
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:32:59.43 ID:J7/UUKls0
先輩「マジで、後輩」

後輩「はい?」

先輩「銀髪さん、あんなことになったのに、それですーぐ次の子って……、良くないと思うわけよ、先輩として」

後輩「いや……」

先輩「道ナラヌ仲とはいえ、恋人だったわけじゃん。それを――……」

後輩「あ、いえ、あの」

先輩「あ?」

後輩「銀髪さんとは、別にその、恋人というわけではなくて……」

先輩「え」

後輩「……」

先輩「え? そうなん?」

後輩「はい」

先輩「……」

後輩「……なんか、すみません……」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:33:28.20 ID:J7/UUKls0


先輩「でも銀髪さん、しょっちゅうお前の家、いってたじゃん」

後輩「ええ」

先輩「じゃあアレなに? どういう関係よソレ?」

後輩「肉体関係」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……あ、いや、でもほら、向こうはパートナーいるし、遊びだったかもしれないけど」

後輩「はい」

先輩「お前の方はさぁ、ちょっとは、恋愛感情とかあったわけじゃん? いいなぁ、みたいな? そういうのがさぁ」

後輩「……そ、そういうの、全然で……」

先輩「……」

後輩「本当に、お互い後腐れない、付き合いで……」

先輩「…………」

後輩「…………スミマセン」


48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:35:47.41 ID:J7/UUKls0


先輩「で、でもさぁでもさぁ、出会った時とかはさ、それなりに、トキメキ? インスピレーション? みたいなものが――……」

後輩「さっきみたいな流れでした」

先輩「……」

後輩「……ちょうどあんな感じ」

先輩「はぁ……」

後輩「溜息やめてくださいよぅ」

先輩「それじゃあお前、誰もかれも、ああやって引っ掛けてるわけだな」

後輩「人聞き悪いこと言わないでください」

先輩「はぁ……」

後輩「やっ、ほんっと、違……っ! たまたま! タイミングで……っ!」

先輩「タイミングねぇ」

後輩「そ、そ、そう、タイミング、タイミングが良くてそうなっただけで」

先輩「ふぅん」

後輩「……」


49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:38:05.59 ID:J7/UUKls0
後輩「……」

先輩「でもさぁ」

後輩「はい?」

先輩「後輩、私には、言わないよな。そういうこと」

後輩「……え」

先輩「全然」

後輩「あ、え、いや……いやぁ……」

先輩「……」

後輩「ほら……その、ち、違うじゃないですか。なんていうか、せ、せ、先輩は、あの……」

先輩「……」

後輩「そ、そ、そういうのじゃないっていうか、あっ、いやっ! じゃなくて……! その、あ、あの……」

先輩「……」

後輩「別に先輩のことっ、きらいじゃな――……ああいや、だからって――……、そうじゃなくて、つまり……」

先輩「……」

後輩「あ……す、ストレートじゃないですか、先輩はっ」

先輩「うん」

後輩「……っ!」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/01(木) 23:39:45.92 ID:J7/UUKls0
先輩「だから?」

後輩「だっ、だ、だからですって。私、そんな、ほら、先輩のことなんて――……」

先輩「そっか」

後輩「あっ――……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」グビ

先輩「……そっかぁ」

後輩「……」

先輩「…………ボトル入れる?」

後輩「……」

先輩「すんませーん!」

後輩「……」






51 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/01(木) 23:40:39.11 ID:J7/UUKls0
今日はここまでです
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/02(金) 08:37:43.76 ID:HGnPgCN6o

ええな
53 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:43:38.78 ID:ScAqVVeT0






スパン!!

パン!!



後輩『はぁ……、はぁ……っ』

先輩『そうそう、そんな感じ』

後輩『……はい』

先輩『あとは手首をもっと柔らかく。……こんな風に』ブンッ

後輩『はい……!』ハァハァ

先輩『……ま、今日はここまでだな』

後輩『いえ、もう一本、見ててください!』

先輩『……校門閉まる時間だから』

後輩『ぅ……』

先輩『それにアンタも。……そろそろ限界だろ』

後輩『いえっ、私はまだ……!』

先輩『駄目、今日はおしまいだ』

後輩『むぅ……』

先輩『……』
54 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:44:12.71 ID:ScAqVVeT0
先輩『そんな頑張ったって、今度の大会、出れるわけじゃないぞ』

後輩『……』

先輩『ウチのテニス部、年功序列だから』

後輩『……』

先輩『一年生のうちは、出番ねーよ』

後輩『大会なんて……』

先輩『ん』

後輩『私はただ、上手くなりたいだけです。先輩みたいに……!』

先輩『……』

後輩『いえ、先輩よりもっ!』

先輩『……ふ』
55 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:44:59.70 ID:ScAqVVeT0
後輩『……』

先輩『アンタ程度に、負けることなんてねーよ』

後輩『……』

先輩『……今はな』

後輩『……っ、やっぱり、もう一本――……』

先輩『駄目。ほら、片付けて帰るぞ』

後輩『むぅ……』

先輩『……』

後輩『……』シュン

先輩『……、帰りにたこ焼き屋、寄ってくか?』

後輩『……』

先輩『半分こしようぜ』

後輩『……、……』グゥゥ

先輩『どうする?』

後輩『……行き、ます……』

先輩『あっはは、よしよし』

後輩『……笑わないでくださいよぅ』

先輩『はいはい』ケラケラ





56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:45:45.21 ID:ScAqVVeT0





先輩「……――なんて」

後輩「……」

先輩「昔は素直で可愛かったのになぁ、後輩も」

後輩「うっさいです」

先輩「今じゃ、こんなやさぐれちゃってなぁ」

後輩「……先輩に、言われたくありません……」

先輩「うぇへへ、まぁな」カラン

後輩「……」

先輩「なんかさぁ」

後輩「……」
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:46:27.06 ID:ScAqVVeT0
先輩「変わっちゃったよなー、お互い」

後輩「……」

先輩「歳取ったなぁ、私も、お前もさぁ」

後輩「……、私は……」

先輩「ん?」

後輩「……」

先輩「何だよ」

後輩「別に……」

ママ「なに生意気言ってんのよぉ♪ 私から見たら二人とも、子供世代より下なのよぉ♪」

後輩「……ママ、水割りおかわり」

ママ「はいはい♪」カラン カラン
58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:47:04.77 ID:ScAqVVeT0
先輩「そうそう、聞いてよママ。高校の頃のコイツさぁ――……」

後輩「うっさいです。ホントうっさい」

ママ「あらあら♪」

先輩「うぇへへ、不機嫌だねぇ、後輩ちゃんよう」

後輩「……」

先輩「何だよー、ナンパ邪魔されたからって、拗ねてんのかぁ?」

後輩「……そんなんじゃないです」グビグビ

先輩「ペース早くない?」

後輩「別にっ!」グビ

先輩「潰れんなよ?」

後輩「……」グビグビ




59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:48:02.54 ID:ScAqVVeT0






ママ「へぇ〜……、じゃあ金髪さんのところ」

先輩「うん。銀髪さんの親が来て――……」

後輩「……」フラ

先輩「お」

後輩「……」クテン

先輩「ありゃ」

後輩「……ぅー」

先輩「言わんこっちゃない」

後輩「……」

ママ「あららぁ♪ ……大丈夫?」

先輩「うぅん……。後輩、おい、後輩?」ユサ

後輩「……先輩」

先輩「……おう」

後輩「私ぃ……」

先輩「何だよ」

後輩「……」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:48:46.48 ID:ScAqVVeT0
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……起きてる?」

後輩「……」コクン

先輩「立てるか?」

後輩「……」コクン

先輩「よしよし……」ナデナデ

後輩「もっと撫でて……」

先輩「ばーか」ナデナデ

後輩「……」

先輩「ママ、ごめんね。お会計」

ママ「今度来た時でいいわよぉ♪」

先輩「いや、いいって。ツケなんて――……」

ママ「はいこれ、領収証」

先輩「あ。……お゛っ、げ……」

ママ「ひとりで払う?」

先輩「あ゛ー……、あの、すみませんね、本当に……」

ママ「ふふ♪ いいわよぉ♪」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:49:28.62 ID:ScAqVVeT0
後輩「……」

先輩「ほら、帰るぞ」グイッ

後輩「いま、なんじぃ……」フラフラ

先輩「まだ九時」

後輩「……『はせ川』行く……」

先輩「無理だろばか。救急車乗ってオムツ履きてーか?」

後輩「……むぅ」

ママ「タクシー呼ぶ?」

先輩「や、大丈夫。……歩けるか、後輩」

後輩「あゆけなすよお」

先輩「何言ってっか分かんねーから。肩、はい。掴まれ。ちゃんと」

後輩「……」コクン
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:50:08.83 ID:ScAqVVeT0

先輩「そーそー、いい子いい子」

後輩「……」

先輩「じゃ、ママ。ここでいいから。また来るね」

ママ「気を付けてねぇ」

先輩「お邪魔しましたー」

後輩「はひゅぁい」ヨタヨタ

先輩「はい、あんよがじょーず、あんよがじょーず」

後輩「……」フラフラ

ママ「ばいばーい♪」




バイト「……」

ママ「……」

バイト「……、……本当に付き合ってないんですかぁ? あのふたり……」

ママ「さぁ♪」





63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:50:35.30 ID:ScAqVVeT0





先輩「……」ヨロヨロ

後輩「……」フラフラ

先輩「……」ヨロヨロ

後輩「……」フラフラ

先輩「……はぁ」

後輩「……」

先輩「あの頃は……、かぁ……」

後輩「……」

先輩「どうして……」

後輩「……」

先輩「こんな風になっちゃったんだろうなぁ、お前……」

後輩「……」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:51:02.80 ID:ScAqVVeT0
先輩「って、私もか」

後輩「……」

先輩「はは……」

後輩「……」

先輩「……ま」

後輩「……」

先輩「私のせいか」

後輩「……」

先輩「……そうだよな」

後輩「……」

先輩「……心配すんな」

後輩「……」

先輩「大丈夫――……、どんな風になっても」

後輩「……」

先輩「一緒にいてやるからさ」

後輩「……」

先輩「うぇへへ……」ヨロヨロ

後輩「……」フラフラ




65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:51:29.03 ID:ScAqVVeT0



66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:51:55.36 ID:ScAqVVeT0





――アンタのせいだ!


後輩『……っ!』


――アンタのせいで先輩ちゃんはっ!


後輩『ち、違います……、私は……』

後輩『私は……、知らなかったんです……っ』

後輩『先輩が――』


――知らなかったわけないじゃん!


後輩『違う……、ほ、本当に……、本当に……、私は……』


――知らなかったとしても……

――気付かなかったわけ、ないじゃん……


後輩『それは――……』


――気付いてたんでしょ?


後輩『……』


――アンタが

――アンタが先輩ちゃんを……


後輩『私は……』

後輩『私は…………っ!』





67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:52:46.22 ID:ScAqVVeT0





〜翌朝〜

〜後輩宅〜


後輩「……わた、ひ……はぁ……?」パチリ

後輩「……?」

後輩「……」ムクリ

後輩「……」

後輩「ぉ゛……!?」ガンガン

後輩「ぉ゛ぉ゛ぉ゛……」ガンガンガン



後輩(気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い……)

後輩(死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ……)


後輩「ぅぅぅぅ……」


後輩(たすけて……)

後輩(助けて神様ぁ……)

後輩(二度と深酒はしませんからぁぁぁぁ)


後輩「……ぅ゛ぐぅぅぅ」ドサッ
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:53:13.88 ID:ScAqVVeT0
後輩「……」


後輩(……っていうか)

後輩(どうやって帰ってきたんだっけ……)

後輩(……覚えてないや)


後輩「……ぅ」ムクリ

後輩「……」ヨタヨタ


後輩(時計――)


後輩「……」

後輩「……」

後輩「……会社……」

後輩「……会社に行かねば……」ヨタヨタ





69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:54:01.12 ID:ScAqVVeT0






〜オフィス〜


プルルル

ワイワイ

ガヤガヤ


後輩「……」カタ

後輩「……」カタカタ



後輩さーん、営業からデータの依頼がー



後輩「そこ置いといてくださーい」カタカタ



後輩さーん、この間の案件のー



後輩「そこ置いといてくださーい」カタカタ



後輩さーん、課長が依頼した資料まだかってー



後輩「そこ置いといてくださーい」カタカタ





70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:54:49.03 ID:ScAqVVeT0





新人「後輩さーん!」

後輩「そこ置いといてくださーい」カタカタ

新人「じゃなくて! 後輩さん! 後輩さんってば!」

後輩「……うん?」

新人「もう終業時間ですよ!」

後輩「あっ、ほんと……?」

新人「ええ」

後輩「あぁ……。ウゥー……ン」ノビー

新人「……」ニコニコ

後輩「……っはぁ」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:55:51.11 ID:ScAqVVeT0
後輩(……終業時間になると)

後輩(体力回復してるのって)

後輩(なんなんだろうなぁ……)


後輩「……」


後輩(飲み行こうかな……)

後輩(先輩……暇かなぁ)

後輩(後でラインしてみよう……)



後輩「……」

新人「後輩さん、後輩さん!」

後輩「え? あぁ……、ごめん、何?」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:56:40.76 ID:ScAqVVeT0
新人「今日、私たち新入社員で、集まるんですよ。これから」ニコニコ

後輩「……月曜日に?」

新人「食事メインですよ。お酒も、ちょっとは飲みますけど」

後輩「ふぅん……」

新人「それで」

後輩「うん」

新人「後輩さんも来ませんか?」ニコニコ

後輩「えぇ……」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:57:25.86 ID:ScAqVVeT0
新人「いいじゃないですかぁ、後輩さん、会社の飲み会とか全然顔出さないし」

後輩「苦手なの」

新人「若いのばっかりですから、ヘンに気を遣わなくても大丈夫ですし」ニコニコ

後輩「いや、他の子が気を遣うでしょ。年上行ったら」

新人「後輩さんと飲みたい、っていう新入社員も、ちょいちょいいるんですよ?」

後輩「えぇぇ……」

新人「ねっ! どうですかっ!?」

後輩「うぅん……」

新人「私も、後輩さんと一度、ちゃんと飲んでみたかったですし!」ニコニコ

後輩「……」

新人「いいですよねっ!」

後輩「うーん、パス」
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:58:02.82 ID:ScAqVVeT0
新人「えぇぇ〜……」ガックリ

後輩「今日、飲みに行くから」

新人「月曜日に?」

後輩「月曜日に」

新人「彼女ですかっ!?」

後輩「え、違うけど……」

新人「本当ですかぁ……? 怪しい……」

後輩「本当だって」

新人「そうですかっ」ニコッ

後輩(笑顔がまぶしいなぁ……)

後輩(っていうか、『彼女ですか』、って……)

新人「残念ですけど、また今度ですね」

後輩「あぁ、うん……。そうね……」

新人「あ、今週末って空いてますか!?」ニコォー

後輩「グイグイ来るねあなた」
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 21:58:41.00 ID:ScAqVVeT0





後輩「……」

後輩「……」

後輩(……既読つかないな)

後輩「……」

後輩「……」プルルル

後輩「……」プルルルル

後輩「……」

後輩(出ない……)

後輩「……」

後輩(忙しいのかな……)

後輩「……ふぅ」

後輩(ま、いいか)

後輩(家で飲もう)

後輩(ひとり寂しく)

後輩「……」

後輩「繁桝開けよう、繁桝」ウキウキ




76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/04(日) 22:00:53.70 ID:ScAqVVeT0
今日はここまでです
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/04(日) 23:29:32.74 ID:yB/UkHano
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:02:39.14 ID:H3uZVijb0





ほうれん草のおひたし……適量

ツナ……適量

海苔……適量

めんつゆ……適量





79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:03:10.82 ID:H3uZVijb0





後輩「……」ムフー

後輩「……」

後輩「さて……」

後輩「……」キュポ

後輩「……」トプトプ

後輩「……」

後輩「……」チビッ

後輩(おいしい……!)

後輩「……」グビ

後輩「……」

後輩「……」グビグビ




80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:03:41.97 ID:H3uZVijb0





後輩「……」フラフラ

後輩「……」

後輩「……」グビ

後輩「……っふ」グビーッ

後輩「プハ……」

後輩「……」フラフラ


後輩(……そういえば)


後輩(煙草のにおい、もうしなくなったな、この部屋)


後輩「……」


後輩(……銀髪さん)


後輩「……」グビグビ

後輩「ぅ……」フラフラ
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:04:11.55 ID:H3uZVijb0

後輩(……お酒は美味しいけど)


後輩(ひとりで飲んでると)


後輩「……ぅぅ」


後輩(気が滅入ることばっかり)

後輩(思い出すなぁ……)


後輩「……」グビ

後輩「……」

後輩「……」

後輩「……ぅ」ウト

後輩「……ぅー」ウトウト




82 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:04:43.03 ID:H3uZVijb0







――それで、君は

――どう思っているの、先輩ちゃんのことは?






83 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:05:12.25 ID:H3uZVijb0



後輩「……っ!?」ハッ



後輩「銀髪さ――……」

後輩「……!?」

後輩「……」キョロキョロ

後輩「……」


後輩(今、確かに……)

後輩(声が……)


後輩「……」

後輩「…………」


後輩(1.若干寝てた。浅い眠りで、変な夢を見た)

後輩(2.幻聴。ついに酒で脳がやられた)

後輩(3.死んだ者の浮かばれない魂が……、部屋に漂い、生者に語り掛けた……)


後輩「とでも…………」

後輩「言うのだろうか…………」

後輩「……」

後輩「……2と3はやだな……」ヨロヨロ
84 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:05:49.77 ID:H3uZVijb0
後輩「自殺……」

後輩「飛び降りかぁ……」

後輩「……」


カチャ

カラカラカラ


後輩「……」

後輩(結構涼しい……)


後輩「……ふぅ」

後輩「暗いな……」







――私ね……、全然思い当たらないの――

――あの子が死ななきゃいけない理由――

――本当に、全然――







後輩「……」

85 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:06:17.64 ID:H3uZVijb0

後輩「……」

後輩「……本当に」

後輩「何ででしょうねぇ」

後輩「……」


後輩(……辛かったんですか)

後輩(……楽になったんですか)

後輩(ビルから、地面に……)

後輩(真っ暗なアスファルトに――……)


後輩「……」

後輩「……ふぅ」

後輩「ま、ここ二階だしなぁ」フッ

後輩「……ここからじゃ、せいぜい怪我――


ピンポーン


後輩「っ」ビクッ

86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:06:48.82 ID:H3uZVijb0

後輩「……」


シーン…


後輩「……」

後輩「……」


ピンポーン


後輩「っ!」ビクゥ

後輩「……」

後輩「……」ドキドキ


後輩(……死んだ者の)

後輩(……浮かばれない魂が――)


後輩「……」ブルッ

87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:07:19.12 ID:H3uZVijb0





後輩「……」オソルオソル


後輩「……ど」


ピンポーン


後輩「どっ、どちらさまで……!?」


ギィ


後輩「っっ!?」


先輩「……お、開いてた」

後輩「せんぱ……」

先輩「うぇっへへ、よう」

後輩「先輩……」

先輩「お邪魔ー――……どうしたん?」

後輩「え……?」

先輩「幽霊でも見たみてーな顔して」

後輩「……いえ」
88 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:07:48.91 ID:H3uZVijb0

先輩「つーか、鍵かけなさいって」

後輩「すみません……」

先輩「ん」

後輩「何ですか?」

先輩「窓」

後輩「あ……」

先輩「開いてるけど」

後輩「これは……、その……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「暑かった、から……」

89 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:08:15.96 ID:H3uZVijb0
先輩「ふーん」

後輩「……」

先輩「虫はいるぞ」

後輩「……そうですね」カラカラ パタン

先輩「閉めるんだ」

後輩「涼しくなったから……」

先輩「そう」

後輩「……」

先輩「お、何飲んでんの?」

後輩「繁桝の……」

先輩「ちょっとちょーうだい」トプトプ

後輩「……」

先輩「んーっ! おいしい!」グビッ

後輩「……はぁ」
90 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:08:41.17 ID:H3uZVijb0
後輩「……」


後輩(なんか……、具合悪くなってきた……)


後輩「……」

先輩「疲れた顔してんねぇ」

後輩「まぁ、ちょっと……。飲み疲れで」

先輩「そりゃね。昨夜もあれだけ飲めばね」

後輩「覚えてないからセーフです」

先輩「クズじゃん」

後輩「あはは……」

先輩「ちょっと、横になりなさいよ」

後輩「はぁ……、すみません……」ヘタリ
91 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:09:15.96 ID:H3uZVijb0
先輩「大丈夫かよ」

後輩「まぁ……、ちょっと休めば」

先輩「じゃなくて」

後輩「え……?」

先輩「顔色、悪いぞ。最近ずっと」

後輩「……」

先輩「酒の量、増えただろ。ガッと」

後輩「……別に」

先輩「嘘つけ」

後輩「……」
92 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:09:41.86 ID:H3uZVijb0
先輩「あの人のことだろ。銀髪さんの」

後輩「違いますよ……」

先輩「嘘が下手だな、後輩ちゃんよう」

後輩「……」

先輩「なぁ」

後輩「……」

先輩「何かあったんだろ、ホントは」

後輩「……本当に」

先輩「……」

後輩「本当に、何もないです……」

先輩「あ、そ」

後輩「……銀髪さんとは」

先輩「……」
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:10:12.32 ID:H3uZVijb0
先輩「……」

後輩「……恋人だったわけじゃないですし」

先輩「……」

後輩「恋愛とか、好きとか、そういう感情もなかったですし」

先輩「……」

後輩「優しいし、年上だけど、大事な友人って感じでしたし……」

先輩「うん」

後輩「でも……」

先輩「……」

後輩「気付かなかったんですよねぇ、私……」
94 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:10:46.04 ID:H3uZVijb0
先輩「……」

後輩「あの人、死にたいくらい……」

先輩「……」

後輩「本当に死んじゃうくらいの、何かを抱えてたのに……」

先輩「ああ」

後輩「……何も、特に何も」

先輩「……」

後輩「本当に、特に何も、気付いてあげられなかったんです……」

先輩「うん」

後輩「そう思うと、何か」

先輩「……」

後輩「何か――……、何だかなぁ、って」

先輩「何だかって?」

後輩「私って、何なんだろうなぁ、って……」
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:11:15.02 ID:H3uZVijb0
先輩「誰だって、そんなもんだろ」

後輩「分かってます。分かってるけど、でも……」

先輩「……」

後輩「あの日、あの晩だって……。いつも通りダラダラして、普通にお話しして……」

先輩「……」

後輩「……なのに」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「銀髪さん、死んだ日さぁ」

後輩「え?」

先輩「お前、何話したの? あの人と」

後輩「え、それは……」

先輩「それが、あの人の最後の言葉だったりするわけじゃん? どんなこと言い遺したのかなって、銀髪さんが」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……後輩?」
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:11:54.37 ID:H3uZVijb0
後輩「……言えない、です」

先輩「ん?」

後輩「それは……、話せません……」

先輩「うぇっへっへ、そんなこと言わずにさぁ」

後輩「すみません」

先輩「んふ、冗談だよ。謝るなよ」

後輩「……」

先輩「眠い?」

後輩「眠くないです……」

先輩「口閉じたら、眠くなるよ」

後輩「うん……、はい……」
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:12:29.84 ID:H3uZVijb0
先輩「……ちょっと、休め、後輩」

後輩「うん……」

先輩「ベッドのとこ行けよ」

後輩「……先輩」

先輩「おう」

後輩「一緒に寝よう?」

先輩「いいけど」

後輩「……」

先輩「また、布団借りるぜー」

後輩「……どうぞ」

先輩「勝手に敷くぞー」

後輩「……」ウツラウツラ




98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/05(月) 22:12:55.96 ID:H3uZVijb0
今日はここまでです
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/05(月) 23:46:08.85 ID:WLRwNs57o
おつ
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 04:28:53.81 ID:xikM6dUdo
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:07:55.38 ID:10OKULB60





後輩『……いよいよ、ですね』

先輩『……そうだな』

後輩『先輩の、現役最後の試合……』

先輩『……』

後輩『先輩の、最後の試合の相手に、私がなれるなんて』

先輩『……』

後輩『……』

先輩『……』

後輩『いい試合にしましょう!』

先輩『……』

後輩『先輩……?』

102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:08:28.42 ID:10OKULB60
先輩『……うん?』

後輩『聞いてます?』

先輩『……ん、あぁ……、うん』

後輩『……どうか、したんですか?』

先輩『なんでもねー』

後輩『……?』

先輩『……』

後輩『……せんぱ』

先輩『試合が始まれば』

後輩『……』

先輩『敵同士だし……』

後輩『……』
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:08:57.19 ID:10OKULB60

先輩『今からベタベタするもんじゃねーだろ』

後輩『……あ、そ、そっか……。そう、ですよね……』

先輩『分かったら、ほら、向こう行ってろ』

後輩『は、はい』

先輩『……』

後輩『……あの』

先輩『何でもねーったら』

後輩『……』

先輩『……手、抜くなよ』

後輩『……っ!』

先輩『本気でやるから、私』

後輩『……も、もちろんですっ!』




104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:09:25.29 ID:10OKULB60





〜寝室〜


先輩「……」

後輩「……」

先輩「……後輩ー」

後輩「……」スゥスゥ

先輩「……寝た?」

後輩「……」スゥ

先輩「はぁ……」

後輩「……」


先輩(大切なことって言うのは)

先輩(大切にしすぎて……)

先輩(伝えられないものなんだよなぁ……)


先輩「……なんてな」

105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:09:54.27 ID:10OKULB60

先輩(大切だから、伝えなきゃいけないことなのに……)

先輩(……気が付いたら、タイミングを失っていて……)

先輩(きっと……、みんなそうで)

先輩(誰だってそうで……)


先輩「……」ムク

後輩「……」スゥスゥ

先輩「……後輩」

後輩「……」

先輩「……」ナデ

後輩「……ん、んぅ」モゾモゾ

先輩「……髪伸びたな、お前な」


先輩(だとしたら……)

先輩(反対に)

先輩(伝えられないことっていうのは、それだけ、大切なことだったりするんだろうか……)

106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:10:25.23 ID:10OKULB60

――言えない、です――

――それは……、話せません――



先輩「……」

先輩「……言わなくていいんだけどさ」

後輩「ムニャ……」ゴロン

先輩「……寝相わりー」

後輩「……」スヤ

先輩「風邪ひくぞ」ファサ

後輩「……」

先輩「……おやすみ」





107 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:10:57.13 ID:10OKULB60





銀髪『それで、君は』

後輩『え?』

銀髪『どう思ってるの、先輩ちゃんのことは?』

後輩『え、うぇ、えぇぇ!?』

銀髪『ふふ……』

後輩『ど、どういう、意味ですか……』

銀髪『そのままの意味さ』

後輩『……』

銀髪『君が、先輩ちゃんに”してしまったこと”は分かった』

後輩『……』

銀髪『けれど、そのことと今の君がどう思っているかは、別の話だろ?』

後輩『それは……』

銀髪『何のつもりもなく、いつも二人きりで四六時中、一緒にいるわけじゃないだろう』

後輩『……』

銀髪『特に君みたいな、不器用な子はさ』

後輩『私は……』
108 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:11:28.00 ID:10OKULB60

銀髪『……』

後輩『私は、先輩のことを……』

銀髪『……』

後輩『どう思ってるかなんて、言える立場じゃ、ないですから』

銀髪『……』

後輩『こんな、私が』

銀髪『……なるほどね』

後輩『……』

銀髪『そういう風に、先輩ちゃんを未来永劫、束縛し続けるわけか』

後輩『束縛って……』

銀髪『だって、そうだろう? どう思ってるかも、はっきりさせない。どうするつもりもない』

後輩『……』

109 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:12:21.18 ID:10OKULB60

銀髪『ただひたすらに、隣に置いておくだけ』

後輩『……』

銀髪『宙ぶらりんなまま、引き寄せもせず、突き放しもせずにね』

後輩『あなたに……』

銀髪『……』

後輩『何が分かるって言うんですか』

銀髪『……』

後輩『私と先輩の』

銀髪『ふふ。さぁ……ね?』

後輩『……』

銀髪『ただ、君もそろそろ、先輩離れしてみた方が良いんじゃないか? って、思っただけさ』

後輩『何ですか、それ』

銀髪『たとえば……、そう……私とかと』

110 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:12:55.48 ID:10OKULB60

後輩『何言ってるんですか』

銀髪『本気さ。君が望むのなら、君のものになってもいい』チュ

後輩『気障女』

銀髪『うっふふ……』

後輩『金髪さん、怒りますよ?』

銀髪『もし君が、その気なら――……』

後輩『……』

銀髪『彼女と別れたってかまわない』

後輩『……ふふ』

銀髪『何だい?』

後輩『誰にでも言ってるんですよね、それ』フフフ

銀髪『そ、そんなことないさ』

後輩『すぐ目が泳ぐ……』

銀髪『……』

後輩『呆れた人ですねぇ』

111 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:17:34.21 ID:10OKULB60

銀髪『ただね、今の君と先輩ちゃんとの関係は……』

後輩『……』

銀髪『良くないのは確かさ。お互いにとってね。彼女も君のことを――……』

後輩『……』ムクリ モゾ

銀髪『……』

後輩『……』モゾモゾ パサッ

銀髪『お、おいおい。もう服着ちゃうのかい』

後輩『今日はもうしません』

銀髪『……今日は、ね』

後輩『……』ジトッ

銀髪『怒った顔も可愛いよ』

後輩『馬鹿じゃないですか……』プイッ

銀髪『あらら』

112 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:18:30.79 ID:10OKULB60
後輩『銀髪さん……』

銀髪『うん?』

後輩『もし仮に――……仮に、私が先輩のこと、大好きで』

銀髪『……』

後輩『あ、あい、愛してる、としても……』

銀髪『……』

後輩『……私に、それを言う資格なんて、ないんですよ』

銀髪『そうかい? そういう自分に、酔っているだけじゃなくて?』

後輩『銀髪さん嫌い!』

銀髪『うふふ、傷つく』

後輩『帰りたくなったら、勝手に帰ってください。私ソファで寝てますから』

銀髪『うぅん……、本気で機嫌を損ねてしまったみたいだな』

後輩『……』

銀髪『やれやれ――……』




113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:18:59.11 ID:10OKULB60





〜オフィス〜


後輩「……」ボケー


後輩(『言い遺したこと』――……)

後輩(銀髪さんの、最後の言葉――……)


後輩「……」


後輩(『やれやれ』でよかったんですか、銀髪さん……)

後輩(ハルキか)


後輩「……」ボー

新人「後輩さんっ!」

後輩「あっ、はい! そこ置いといてください!」

新人「じゃなくて!」

後輩「え……」

新人「終業時間ですよ、もう」

後輩「あ……」

新人「……」ニコニコ

後輩「あぁ」

新人「ふふっ」ニコニコ
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:19:37.26 ID:10OKULB60
後輩「もうこんな時間か……」

新人「ね、後輩さん」

後輩「うん?」

新人「今日、金曜日ですよ」

後輩「あぁ……、うん。そうだね……」

新人「……」ニコニコ

後輩「……それで?」

新人「飲み行きましょう!」

後輩「あー…………パス」

新人「えぇぇぇ〜〜……」
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:20:06.30 ID:10OKULB60
新人「金曜に飲み行くって、約束したじゃないですかぁ〜……」

後輩「したっけ?」

新人「しましたぁ!」

後輩「……ごめん、覚えてない」

新人「ひどい!」

後輩「ごめんね。私今日、残業」

新人「Do残業デーですか」

後輩「Do残業デーって何だ……」

新人「残業終わってからでも……」

後輩「また今度ね」

新人「はぁ〜……、残念……」

後輩「ごめんて」
116 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:20:35.42 ID:10OKULB60

新人「っていうか、後輩さん」

後輩「はい?」

新人「大丈夫ですか?」

後輩「え……」

新人「何かここのところ、心ここにあらずっていうか」

後輩「……」

新人「タスク抱えすぎてません?」

後輩「……適度にサボってるよ」

117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:21:06.89 ID:10OKULB60
新人「さっきも」

後輩「……」

新人「ずっと、ボーっとしてましたし……」

後輩「……」

新人「何か、悩みごとですか?」

後輩「…………」

新人「後輩さん?」

後輩「別に、何でもないよ」

新人「……そうですか」

後輩「また今度、飲み行こう」

新人「楽しみにしてますからねっ、センパイ!」ニコニコ

後輩「あ、ごめんその呼び方やめてマジで。本気で。リアルで。ガチで」






118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/06(火) 22:21:43.37 ID:10OKULB60
今日はここまでです
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/06(火) 23:35:45.65 ID:sEJlu0dMo
120 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/07(水) 04:27:59.56 ID:G+ziA+3To
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 21:59:59.36 ID:fC3Bx6ne0





〜ビールバー〜


先輩「……」

後輩「……ぅ」

先輩「……はぁ」

後輩「……ぅぅぅ」

先輩「……こうはーい」

後輩「話しかけないでください」

先輩「……」

後輩「今真剣に悩んでるところなんですから……!」

先輩「あー、そう……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……ぅぅ」
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:00:41.14 ID:fC3Bx6ne0
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……早くしろよ!」

後輩「……ちょっ、ちょっと! ちょっと待ってくださいって!」

先輩「そんな悩むほどのことでもねぇだろ」

後輩「悩みます! 今月で一番悩んでますから!」

先輩「……」

後輩「こっちの、箕面のスタウトか……」

先輩「……」

後輩「それともこっちの志賀高原か……っ」

先輩「……」

後輩「……ぅぅぅぅっ!」

先輩「おーい」

マスター「ゆ、ゆっくり選んで、いいからね、ねっ?」
123 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:01:09.83 ID:fC3Bx6ne0
先輩「両方頼めよ」

後輩「……値段的に、ちょっと……」

マスター「ご、ごめんね……、お手頃価格で出せなくてごめんね……」

後輩「……ハーフグラスとか」

マスター「ごめんね……、ら、来週から始める予定なの、ごめん……」

先輩「……お前、マスターいじめんなよ」

後輩「やっ、ちが……っ、すみません……っ」

マスター「だ、大丈夫だから、ごめんね、気にしないでね……」

先輩「……」

後輩「……えぇ〜、うぅ〜ん……」

先輩「……半分こする?」

後輩「え……」

先輩「私、こっち頼むから。お前こっちにしろよ」

後輩「……い、いいんですか?」

先輩「私もこれ、飲んでみたい」

後輩「先輩……、スキ……」キュン

先輩「やっすい女だな、お前……」
124 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:01:38.59 ID:fC3Bx6ne0
マスター「イギリスから――……」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「遠路はるばるアフリカ大陸」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「そこから遥かなインド洋、大海原を越えてインドに至るわけです」

先輩「……はぁ」

後輩「……」

マスター「ですから」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「インドまで行くと、インディア・ペール・エール」

先輩「……」

後輩「……」

マスター「インドまではいかない、その途中くらい、っていう意味で、アフリカ・ペール・エール」

先輩「へぇ〜」

後輩「へぇ〜」
125 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:02:19.88 ID:fC3Bx6ne0
マスター「し、洒落がきいてますよね……ふふ、ふふふ……」

先輩「あっ、おいしい……」グビグビ

後輩「本当だ……。IPAより飲みやすくて――」

先輩「次こーっち」

後輩「どーうぞ」

先輩「……」グビ

後輩「……」グビグビ

先輩「……ぷはぁ」

後輩「……ぷはぁ」

先輩「あ〜……」

後輩「一軒目で、出来上がっちゃいそうですね」

マスター「こ、このあとも……、またどこか行くの……?」

先輩「うん、まぁ。金曜だし」

後輩「飲めるだけ飲みましょう」グビグビ

先輩「おい、自分ばっか飲むなよ!」

後輩「……あぁ〜、もう一杯頼んじゃおっかなぁ……」

マスター「ふ、ふふ……、ご、ごゆっくり……」





126 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:02:48.88 ID:fC3Bx6ne0





〜二軒目〜


先輩「あっはっは! あーっははははっ!」バンバン

後輩「あはははっ、最高、さいこ……あっははは!」

先輩「うっはは、ほーんと馬鹿! あははは! はっはっは!」グビグビ

後輩「あははははh……げほっ、ごほっ!」グビグビグビ





127 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:03:22.74 ID:fC3Bx6ne0





〜三軒目〜


後輩「……うぅっ」グスグス

先輩「うんうん……、分かる分かる。お前は頑張ってるよ」

後輩「……だげどぉ、わらひたちのころはぁ、もっとアレだったじゃないですがぁ……。年上への接し方っでぇ……」グスグス

先輩「そうだな、そうだな」

後輩「……年下が怖い……」

先輩「うんうん」

後輩「正確には自分より有能な年下が怖い……」エグエグ

先輩「分かるよ」グビグビ

後輩「……」グビグビ





128 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:03:53.68 ID:fC3Bx6ne0





〜四軒目〜


先輩「……」

後輩「……」


金髪「いらっしゃ〜い♪」


先輩「……」

後輩「……」

先輩「な、開いてたろ」

後輩「……えぇ」





129 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:04:27.33 ID:fC3Bx6ne0





金髪「はいっ、キンミヤハイボール二つ」

先輩「どうもー」

後輩「どうも……」

金髪「ごめんなさいねぇ、つまめるもの、チーズくらいしか残ってなくて……」

先輩「いいよ全然。な?」

後輩「え、えぇ……」

金髪「もう、冷蔵庫の中も空っぽ。うふふ……」

先輩「そっかぁ」

後輩「……」

金髪「お酒は、余ってるんだけどね〜」

先輩「じゃあ私らで片付けていくか」グビ

後輩「……」
130 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:05:22.74 ID:fC3Bx6ne0
先輩「今日で最後かぁ、『ナイトフード』も」

金髪「そうなの〜。それで、貴方たちが多分、最後のお客さん」

先輩「寂しくなるねぇ」

後輩「……」

金髪「って言っても、引っ越すわけでもないし。この辺り、よく飲みに来るから、すぐ会えるわ〜」

先輩「へぇ、どの辺で飲むの?」

金髪「『信楽』とか『そば好』とか……」

先輩「『そば好』、昼だけじゃなかったっけ? また夜もやるようになったの?」

金髪「去年の冬くらいからかしらねぇ」

後輩「……」

先輩「知らんかったなぁー」グビグビ

後輩「……」グビグビ

金髪「……後輩ちゃん」

後輩「ふぇ!? えっ、はい!?」

金髪「この間は、ごめんね」

後輩「い、いえ……。そんな……」
131 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:06:36.60 ID:fC3Bx6ne0
先輩「えー、なになに? この間って何?」

金髪「うっふふ、内緒〜」

先輩「えぇ〜……、おい、後輩〜」

後輩「……何でもありません」グビ

先輩「何だよぉ、隠すなよう」ワシャワシャ

後輩「……か、髪触らないでください。鬱陶しい……」ベシッ

先輩「……なーに大人しくなっちゃってんだよ。借りてきた猫かよ」

後輩「猫じゃありません……」

金髪「後輩にゃん♪」

後輩「猫違います!」

金髪「あら? あらあら、猫じゃないの? 意外……」

後輩「あ、え、いや、猫は猫ですけど……」

金髪「ふぅん、猫なんだぁ〜」

後輩「……」グビグビグビグビ

先輩「えぇ、何それ。禅問答?」





132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:07:21.84 ID:fC3Bx6ne0





先輩「結構飲んだなー」

後輩「……」ベロンベロン

先輩「な、後輩ー」

後輩「……」

先輩「……後輩」

後輩「……」クテン

先輩「あ……」

後輩「……スゥスゥ」パタン

先輩「あーあー」

後輩「……ムニャ」

先輩「駄目ねぇ後輩ちゃん、最近さぁ」

後輩「……」スヤ

金髪「あら、寝ちゃった?」

先輩「うん、まぁ」

金髪「大丈夫かしら……」

先輩「寝てるうちは、たぶん大丈夫」

後輩「……」スヤスヤ
133 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:08:00.38 ID:fC3Bx6ne0
金髪「先輩ちゃんも、おかわりはよしておく……?」

先輩「んー……、いや、もう一杯だけ」

金髪「はいは〜い」

先輩「金髪さん」

金髪「うん?」

先輩「大丈夫?」

金髪「……」

先輩「あんなことあった、ばっかりだしさ」

金髪「えぇ……」

先輩「辛かったら、あんまり無理しないで――……」

金髪「うふふふ……、優しいのね、先輩ちゃん」

先輩「いや、そんな、別に大層なアレじゃなくて」

金髪「ううん、ありがとう。……先輩ちゃんはとっても優しい子」
134 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:08:48.84 ID:fC3Bx6ne0
先輩「子って柄じゃなぁ……」

金髪「だけど、後輩ちゃんには、もっと、ずっと、優しいんでしょ?」

先輩「え……、何で後輩?」

金髪「いつも一緒にいてあげて、隣で飲んであげて……」

先輩「……」

金髪「眠っている間も、見守ってあげて……」

先輩「いやぁ、それはただ、こいつが馬鹿だから」

金髪「うっふふ、いいえ。それも先輩ちゃんの優しさよ」

先輩「うぅん……」

金髪「でも……」

先輩「?」

金髪「本当に、優しさだけ?」

先輩「え?」

金髪「優しいから、優しくしてる……。それだけなのかなぁ、って」

先輩「……」
135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:09:29.98 ID:fC3Bx6ne0
金髪「優しい先輩が、手のかかる後輩を気に掛ける……、それだけなのかしら」

先輩「言ってること、よく分かんねーですよ」

金髪「ふふ……」

先輩「私は……、別に、何も考えてないし…………」

金髪「後輩ちゃんは」

先輩「……」

金髪「そう思ってるわよぉ?」

先輩「……」

金髪「先輩ちゃんが一緒にいてくれるのは、先輩ちゃんが優しい人だからだ、って」

先輩「……」

金髪「後輩ちゃんが”負い目”を感じないように、気を遣っていてくれてるんだ、って」

先輩「いや、マジで……、何聞いたんですか、こいつから」

金髪「内緒〜」

先輩「口軽ぃんだよ、お前っ」ベシッ

後輩「フギャ…………ゥーン」ムニャムニャ
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:10:02.32 ID:fC3Bx6ne0
金髪「うふふ、今のは全部、私の想像」

先輩「え、後輩叩かれ損」

金髪「叩いたのは先輩ちゃんだもん〜」

先輩「えぇ〜……」

金髪「……でも、そんなに外れてないと、思うわぁ」

先輩「……」

金髪「うすうす、そんな気はしてるでしょ、先輩ちゃんも〜?」

先輩「それは……」

金髪「先輩が、相手をしてくれるのは、優しいから……”それだけ”」

先輩「……」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:10:55.17 ID:fC3Bx6ne0
金髪「だから」

先輩「……」

金髪「そう思っているから、後輩ちゃんは先輩ちゃんに、優しさ以上を求めようとはしない」

先輩「……」

金髪「だから、今のままを望んで。……けど」

先輩「……」

金髪「それでいいのかしらね〜」

先輩「……」

金髪「先輩ちゃんも、後輩ちゃんも……」

先輩「……あの」

金髪「ん?」
138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:11:57.66 ID:fC3Bx6ne0
先輩「何の話?」

金髪「んっふっふ……、さぁ?」

先輩「……」

金髪「ただ、そういえば、そんな話したなぁ、って」

先輩「え」

金髪「銀髪と」

先輩「……」

金髪「あの子……、貴方たちのこと、大好きだったから」

先輩「貴方”たち”……」

金髪「本当よ?」

先輩「……」

金髪「……」

先輩「そっかぁ……」

金髪「私はそうでもないけど」

先輩「……」

金髪「冗談よ?」

先輩「う、うっす……」

金髪「うふふ、うっふっふ……」

先輩「……」
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:12:24.97 ID:fC3Bx6ne0
金髪「それで……」

先輩「……」

金髪「どうするの?」

先輩「どうって……」

金髪「……」

先輩「……どうしよっかなぁ」

金髪「困った子ねぇ」

先輩「あ゛〜……」

金髪「……」

後輩「ンヘヘェ……」スヤァ

先輩「幸せそうに寝てんじゃねーよ、馬鹿!」ベシッ

後輩「フギュ」

金髪「あらあら」





140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:13:08.92 ID:fC3Bx6ne0





〜翌日〜


〜後輩宅〜


後輩「……うーん」

後輩「胃が痙攣しているぞ」ヨロヨロ



ピンポーン



後輩「……」



ピンポーン



後輩(先輩め……)

後輩(昨日の今日で、飲みに行くつもりですか……)



ピンポーン


後輩「……今日は帰らせよう」スタスタ

後輩「血が丸ごと酒になってるんだ、こっちは」スタスタ
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/08(木) 22:14:07.47 ID:fC3Bx6ne0


ピンポーン


後輩「しつこい……」ハァ

後輩「鍵かけて追い払ってやる……」

後輩「……」スタスタ


ガチャ


後輩「チェンジ!」



「は?」



後輩「え?」



「……」



後輩「えっ、あっ、いや……! しし失礼、しましたぁ!」


「……いえ」


後輩「あの、ええと……」

女刑事「……警察のものです」

後輩「は」

女刑事「銀髪さんのことで、少し」

後輩「…………」
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/08(木) 22:14:35.05 ID:fC3Bx6ne0
今日はここまでです
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/08(木) 22:29:59.14 ID:BIHRdiKJo
チェンジワロタ

144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/09(金) 04:58:08.68 ID:9C2BPO4ro
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:30:09.57 ID:5qE2k+020





後輩「今、お茶いれますんで……」トタタ

女刑事「お構いなく」

146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:31:03.24 ID:5qE2k+020





ガチョ


後輩「……」

後輩「………………」


後輩(1.発泡酒)

後輩(2.日本酒)

後輩(3.スポドリ)


後輩「……」


後輩(……思ったより、終わってるなぁ)


後輩「……」


後輩(1くらいだったら、ジョークで済ませてもらえるかも……)


後輩「……」

後輩「……」





147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:31:47.28 ID:5qE2k+020





後輩「すみません、お茶、切らしちゃってて……。今買ってきますんで――……」

女刑事「……本当に、結構ですから。どうぞお構いなく」

後輩「は、はぁ……。でしたら……」

女刑事「……」

後輩「ええと……、銀髪さんの件、でしたっけ……?」

女刑事「ええ」

後輩「ど、どういったお話で?」

女刑事「二、三、お尋ねしたい点がありまして」

後輩「……その、じ……自殺、だったんですよね」

女刑事「あ、ご心配なさらず」

後輩「……」

女刑事「これは捜査というわけではありませんから」

後輩「はぁ……」

148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:32:45.19 ID:5qE2k+020
女刑事「報告書の作成に必要な点を、確認させていただきたいだけです。いわゆる、事後処理のようなものでして」

後輩「そうなんですか……」


後輩(なるほど……)

後輩(それで、刑事さんひとりだけなのか)

後輩(聞き込みだと、二人組でやってるもんなぁ)

後輩(ドラマで見ただけだけど……)


女刑事「ご協力、いただけますか」

後輩「え、えぇ、まぁ……」



後輩(しかし、まぁ……)

後輩(なんか、圧を感じる人だ)

後輩(怖ぇ……)
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:33:18.69 ID:5qE2k+020

女刑事「……――それで、当日のことなのですが」

後輩「はい……」

女刑事「少し、お聞かせ願えますか」

後輩「少し……」

女刑事「銀髪さんが、何時にこちらに来て、何時に帰った、とか」

後輩「……ええと」

女刑事「……」

後輩「来たのは、確か5時――いや、4時でした。それで4時……あ、朝の4時に帰って」

女刑事「その後、連絡は?」

後輩「取っていません……」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:34:05.54 ID:5qE2k+020

女刑事「何故、明け方のそんな時間に帰られたんですか。電車もまだ、動いていないでしょう」

後輩「ギリギリ、歩いて帰れる距離でしたし。朝は色々、立て込んでるらしくて……、いつもそのくらいの時間でした」

女刑事「……こちらには、良く来られていたんですか」

後輩「えぇ、まぁ……」

女刑事「そうですか……」

後輩「……」

女刑事「……」



後輩(間が怖ぇ……)

後輩(『私何も知りません』って言いてぇ……)



女刑事「それで、彼女はどういった用事で、こちらに?」

後輩「え」

女刑事「……夕方にやってきて、明け方に帰っていく必要がある用件というと、今一つ思い当たりませんが」

後輩「そ、それは……」

151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:34:42.59 ID:5qE2k+020

女刑事「少し不自然――……、失礼、言い方が悪いですね」

後輩「……」

女刑事「違和感があります」

後輩「……」

女刑事「銀髪さんは、貴方の家まで、何をしに来られていたのですか?」

後輩「そ、それは……」

女刑事「当日、銀髪さんは何の用事で?」

後輩「あ、ぇ、いや、えと――……」

女刑事「……」

152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:35:23.69 ID:5qE2k+020

女刑事「何か、言えない事情があるんですか?」

後輩「そそそういうわけではなくぅ……」

女刑事「でしたら」

後輩「…………した……」ボソボソ

女刑事「はい?」

後輩「……ッ――……て、……た……」ボソボソ

女刑事「何とおっしゃったんですか?」イラ

後輩「……」

女刑事「あのですねぇ……、ちゃんと聞かせてもらわないと……」イライラ

後輩「せ……セックスしてましたぁぁぁっ!!」

女刑事「せ――……はっ、へぁ!? へぇぇぇっ!?」

153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:36:17.19 ID:5qE2k+020

後輩「うっ、うぅぅぅ……っ」カァァ

女刑事「なっ、……女どっ――……、あっ、あぁ。って、えっ? えぇ……?」ワタワタ

後輩「……」カァァ

女刑事「えっ、あ……、んっ、コホンっ」

後輩「……」

女刑事「ま、まぁ、そ、そういうのは、お、お話しされなくて、だ、大丈夫、ですから」

後輩「……」

女刑事「コホ……、お聞きしたいのはセ――……それ以外で……」

後輩「ずっとセックスしてましたぁ……」

女刑事「ずずずずずっと!?」

後輩「うぅぅぅっ」カァァァッ

女刑事「4時から4時まで!?」

後輩「あ……いえ、途中で寝たので……」

女刑事「そ、そっか……。そりゃまぁ……」

後輩「1時くらいまででした」

女刑事「4時から1時!?!?」ワタワタ
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:36:53.58 ID:5qE2k+020

女刑事「4時から……」

後輩「う、うぅぅ……」カァァ

女刑事「……9時間?」マジマジ


後輩(めっちゃ見られてる……)


後輩「……」

女刑事「はぁぁ……」マジマジ

後輩「……あ、あのぉ」

女刑事「……!」ハッ

後輩「……」

女刑事「……コホッ、コホン!」

後輩「……」

女刑事「失礼、取り乱しました」

後輩「……いえ」

女刑事「それで……」

155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:37:35.01 ID:5qE2k+020

後輩「……」

女刑事「1時には、眠られたんですね」

後輩「え、えぇ。大体それくらい……」

女刑事「それで、4時に起きて、銀髪さんを見送られたんですか?」

後輩「いえ……、まだ私、ソファにいて……。起きる前に、銀髪さん出て行って」

女刑事「……何故ですか?」

後輩「え?」

女刑事「何故、銀髪さんが帰った時刻が、4時だと断言できたのですか? 寝ていたのに」

後輩「あ……、そういえば」

女刑事「……」

後輩「確かに……」

156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:38:03.18 ID:5qE2k+020

後輩(……何でだっけ?)

後輩(ええと……)


後輩「……、……あぁ」


後輩(そうだ)

後輩(あの時……確か、銀髪さんが帰ろうとしていて――……)

後輩(それで、行く前に私の所に……)





157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:38:32.82 ID:5qE2k+020





後輩『……んぅ』ウトウト


トタ トタ

トタ


後輩(……銀髪さんの、足音……)

後輩(……帰るのかな……?)

後輩(時計――……)


後輩『……』チラ


後輩(まだ4時じゃん……)


後輩『……ん、ん』ウトウト

後輩『……』スヤ


ト トッ トッ

158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:39:15.37 ID:5qE2k+020

後輩(近づいてきてる……)

後輩(でも夢かも……)


銀髪『……後輩ちゃん』


後輩『……』


後輩(……銀髪さん?)


銀髪『――、――――』


後輩『……』

後輩(銀髪さん……)

後輩(何か言い……ました……か――……?)

後輩(銀髪、さ……)


後輩『……ムニャ』スヤスヤ

159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:40:06.05 ID:5qE2k+020

後輩「……一瞬、起きて……」

女刑事「……」

後輩「時計を見て……」

女刑事「なるほど」



後輩(あの時……)



後輩(あの時、銀髪さんは何を……)


後輩「……」

女刑事「……」

後輩「……」

女刑事「……?」

後輩「……」

女刑事「どうかされましt――……?」


ガチャガチャ!!

バターン!!


先輩「おぉぉーーっす!!」


後輩「!?」ビクーッ

女刑事「!?」ビクーッ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:40:47.66 ID:5qE2k+020

先輩「おぉーい後輩ー! いるかーっ! すげぇぞ、下の駐車場!」

後輩「せ……」

先輩「すっげぇヤクザ停めしてるレガシーいた! 超バカみてーなの! 見てみれ!」

後輩「せんぱ……」

先輩「写真撮ったからインスタで晒そ――……、あ……」

後輩「……」

女刑事「……」

先輩「あ、お取込み中?」

女刑事「……、……私の車ですね」

先輩「う、うぇ?」

女刑事「失礼、停め直してきます」

後輩「……先輩、この人、警察の方で……」

先輩「うぇぇぇぇぇ!?」




161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:41:21.35 ID:5qE2k+020





先輩「だーかーらー! ねぇって言ってんじゃん!」

女刑事「身分証明できるものですよ? 本当に何も?」

先輩「あぁん? 何度も言わなきゃ分かりませんかねぇ〜!?」

女刑事「……では、ご職業は?」

先輩「自営」

女刑事「具体的に」

先輩「詩人」

女刑事「…………はぁ」

先輩「あぁぁ!? 何だその『はぁ』は!? 職業差別か公務員がこの野郎ォ〜〜〜ッ!?」

後輩「先輩、ほんと……本当、やめましょうって、ねっ」

女刑事「……」

後輩「すみません……、この人こんなですけど、嘘はついてないんで……」

女刑事「そう……」

先輩「……」ガルル
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:42:04.02 ID:5qE2k+020






先輩「発泡酒もらうぞ〜」ガタガタガチャ



後輩「どうも、すみませんでした……」

女刑事「いえ、お気になさらず」

後輩「……」

女刑事「……では、私はこれで。ご協力、感謝します」

後輩「……あ、あの」

女刑事「はい?」

後輩「実はその……、銀髪さんが、ええと……亡くなったビルの場所、教えてほしいんですけど」

女刑事「……」

後輩「あ、これ聞いたら駄目なやつでしたか? シュヒ義務? 的な……」

女刑事「いえ、構いませんが」

後輩「ありがとうございます……」
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:42:36.17 ID:5qE2k+020

女刑事「口頭でいいですか?」

後輩「えーと……、できたらメモを」

女刑事「お待ちを」ゴソ

後輩「すみません……」

女刑事「……」カキカキ

後輩「……」

女刑事「……変わったご友人を、お持ちですね」

後輩「いえ……。お恥ずかしい限りです……」

女刑事「貴方自身も」

後輩「へ?」

女刑事「少し、変わっていますしね」フフッ

後輩「あ……」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/09(金) 22:43:06.44 ID:5qE2k+020

女刑事「失礼。……どうぞ」スッ

後輩「あ、ど、どうも」

女刑事「それでは」


ガチャ キィ

バタン


後輩「……」


後輩(笑うと……)

後輩(雰囲気変わるなぁ……)


先輩「後輩ー、『獺祭』見つけたんだけど開けていいー? 後輩ちゃーん?」





165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/03/09(金) 22:45:55.91 ID:5qE2k+020
今日はここまでです
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/10(土) 06:12:26.84 ID:G74LAk4Xo

先輩の後輩宅にいつも飲みにこれる職業って
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:04:44.61 ID:FfyBE4yg0






〜夕方〜


〜郊外・ビル街〜



後輩「んーと……」キョロキョロ

先輩「……」

後輩「おっかしいな……」キョロキョロ

先輩「なー」

後輩「何ですー? ……あ、こっちか」

先輩「もういいじゃんー。飲みに行こうぜー」

後輩「先輩についてきて、なんて言ってないじゃないですか」

先輩「冷てぇの」プシュッ

後輩「うーん、間違いなくこの辺りのはずなんだけど……」

先輩「……」ゴクゴク

後輩「うぅん……、刑事さん、この住所あってるんですか……」

先輩「……ぷはぁ」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:05:27.66 ID:FfyBE4yg0
後輩「……美味しそうなの、飲んでますね」

先輩「美味いよ」グビリ

後輩「はぁ……」

先輩「こうはーい」

後輩「何ですか……」

先輩「そっちじゃない」

後輩「え?」

先輩「こっち」スタスタ

後輩「え……ちょ、先輩……?」

先輩「〜〜♪」スタスタ

後輩「ちょっと……、せんぱ……っ、先輩!」




169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:06:26.21 ID:FfyBE4yg0





後輩「……」

先輩「ここだろ?」

後輩「……xxxxビル……、合ってる……」

先輩「……」カシュッ

後輩「先輩……、この場所、知ってたんですか……」

先輩「プハ……、人から聞いてな。あの界隈の連中なら、みんな知ってる」

後輩「……」

先輩「お前以外はなー」ケラケラ

後輩「……」ガチャ

先輩「鍵かかってる?」

後輩「えぇ……まぁ、当たり前ですけど」

先輩「ふぅん……」スタスタ

後輩「あ……っ、また……」

先輩「おっ」

後輩「何です?」

先輩「うぇっへっへ、非常階段〜」
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:06:56.30 ID:FfyBE4yg0
後輩「……キケン、立ち入り禁止、って」

先輩「大丈夫だろ」ヒョイ

後輩「ちょっと、先輩」

先輩「行かねぇの?」

後輩「……」

先輩「行くんだろ?」

後輩「……」ヒョイ

先輩「んふ、いけないんだー……」

後輩「もう……、アホ言ってないで」

先輩「はいはい」




171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:07:37.06 ID:FfyBE4yg0





後輩「……」カンカンカン

先輩「……」ゼェゼェ

後輩「……先輩」

先輩「……お゛ぅ」ゼェゼェ

後輩「大丈夫?」

先輩「おう……」

後輩「……」

先輩「やっぱ休憩……」ゼヒー

後輩「はい」

先輩「……うぁぁ」

後輩「……」

先輩「日頃の不摂生がなぁ」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:08:10.69 ID:FfyBE4yg0
後輩「先輩」

先輩「おう」

後輩「……脚、痛むの?」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「ちょっと」

後輩「……」

先輩「気圧が低いと、たまにな。今日とか」

後輩「……先輩」

先輩「謝んなよ」

後輩「……はい」

先輩「……よし、行くか」

後輩「はい……」

先輩「今何階?」

後輩「6階、多分」

先輩「うげぇ……」





173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:08:40.73 ID:FfyBE4yg0





後輩『……』

先輩『おーっす、後輩ー、いるかぁー』

後輩『せんぱ……っ?』

先輩『なんだ、起きてるんじゃねぇか』

後輩『どうして……』

先輩『お見舞い。ほれ、おみやげ』

後輩『……』

先輩『元気そうじゃん』

後輩『……』

先輩『いい加減、学校来いよなー。ずっと休んでるんだって?』

後輩『……』

先輩『アホだなー』

後輩『ほっといてください……』

先輩『うっへへ、強がっちゃってぇ』
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:09:21.05 ID:FfyBE4yg0

後輩『先輩……』

先輩『うん?』

後輩『どうして、そんな……、平気そうなんですか……』

先輩『どうしてって?』

後輩『最後のあの試合……、私のせいで……』

先輩『……』

後輩『私のせいで、脚……駄目になったのに』

先輩『……』

後輩『私のせいで、もうテニス出来なくなっちゃったのにっ!』

先輩『お前のせいじゃねぇよ』

後輩『……だけどっ!』

先輩『本当は、ずっと良くなかったんだ』

後輩『……』

先輩『最後くらい、耐えられると思ってた』

後輩『……』

175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:11:24.84 ID:FfyBE4yg0
先輩『平気だと思ってた私が、馬鹿だったんだよ』

後輩『そんな……』

先輩『それに、お前は知らなかったんだ』

後輩『……』

先輩『何も言わなかったもんなぁ、私さぁ』

後輩『……』

先輩『ごめんなぁ……』

後輩『違う……』

先輩『……』

後輩『私は……私はぁ……』グスッ

先輩『……』

後輩『気付いてたんだっ! 試合中……っ! 先輩がぁ……!』

先輩『……』

後輩『動きがっ、いつもと……っ、右のショートクロス、対応できないって……っ!』

先輩『……』

後輩『おかしいなってっ、ゥグ……ッ、分かってて……グスッ』ポロポロ

先輩『後輩……』
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:12:16.87 ID:FfyBE4yg0
後輩『なのにぃ……ヒッグ、うぅ、勝ちたくて! 先輩に勝ちたくてぇ……、わたし……わたしぃ……っ!』ポロポロ

先輩『泣くなよ、なぁ……』

後輩『……ヒック、みんなの……、みんなの言う通りなんですぅ……っ』

先輩『……みんな』

後輩『私がっ! 私が先輩を……っ!』グスグス

先輩『落ち着け、な?』

後輩『ヒック……ふ、ぐ、ぅぅぅ……ごめんなざい゛ぃ゛……』

先輩『お前は、本当に……』ナデナデ

後輩『う゛ぅ゛……』

先輩『気にしすぎなんだよ。死ぬわけじゃないし、歩けなくなるわけでも、ないんだから……』

後輩『だって……、先輩、もうテニス……』

先輩『だからさ、死にゃしないんだって。テニスなんて、できなくたって』

後輩『……』

先輩『本気だぞ』
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:12:46.66 ID:FfyBE4yg0
後輩『……だけど』

先輩『……』

後輩『先輩は……あんなに、がんばって……。あんなに練習して……』

先輩『……』

後輩『あんなにテニスが大好きで、あんなに……うぅぅっ』グスッ

先輩『また泣く』

後輩『……うっ、うぅ……』

先輩『はぁ……、しょうがないヤツだなー』

後輩『……』

先輩『心配すんなって』

後輩『……グス』

先輩『きっといつか、笑って話せるようになるさ』
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:13:22.96 ID:FfyBE4yg0
後輩『……』

先輩『逆に、あの時テニス、見切りつけられてラッキーだったなぁ、みたいにさぁ』

後輩『……』

先輩『酒なんか、飲みながら』

後輩『……』

先輩『お前と私でさ』

後輩『……酒飲みは』

先輩『……うん?』

後輩『嫌いです。臭いから……』

先輩『あっはっは、そっかそっか』

後輩『……』

先輩『……ま、何でもいいよ』
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:14:13.87 ID:FfyBE4yg0
後輩『……』

先輩『私は大丈夫だから』

後輩『……』

先輩『お前も大丈夫になれ』

後輩『……でも』

先輩『もし辛いんだったら』

後輩『……』

先輩『私が、いてやるから』

後輩『先輩……』

先輩『お前が大丈夫になるまで、お前の隣に』

後輩『……本当に?』

先輩『おう』

後輩『……大学行っても?』

先輩『もちろん』
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:15:02.16 ID:FfyBE4yg0
後輩『お、大人になっても? 先輩が――……』

先輩『だから、言ってんだろー』

後輩『……』

先輩『いつか一緒に、酒でも飲んで、笑うんだって』

後輩『……先輩』

先輩『な』

後輩『……酔っぱらい、嫌いです』

先輩『あっはは、そういうなって』

後輩『はぁ……。先輩って人は……、本当に……』

先輩『いいだろ! 大人になったら一緒に――……』

後輩『一緒に?』

先輩『飲みに行くぞー!』

後輩『はいはい……』





181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:15:44.88 ID:FfyBE4yg0





〜屋上〜



後輩「……」

先輩「……」

後輩「……落ち着きましたか、先輩?」

先輩「……」

後輩「先輩?」

先輩「……ん? ……あぁ。……もう大丈夫」

後輩「どうかしました?」

先輩「……んー、ちょっと。考え事」

後輩「……はぁ」

先輩「昔のこととか」

後輩「……」

先輩「……飲むか?」

後輩「ください」

先輩「ほら」
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:16:19.86 ID:FfyBE4yg0

後輩「……」カシュッ

先輩「10階って、結構高いな」

後輩「ですね……」ゴク

先輩「普通にフェンスあるんだけどなー……」

後輩「あ、ここ……」

先輩「ん」


ギシギシ

キィ


後輩「壊れてる」

先輩「銀髪さんが壊したんかな?」

後輩「どうですかね……」

先輩「……ふーん」キィ

後輩「飲みます?」

先輩「ちょうだい」

後輩「どうぞ」

先輩「……」グビ

183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:17:00.95 ID:FfyBE4yg0

後輩「……高」

先輩「……」

後輩「うわぁ……」

先輩「……」グビ

後輩「真っ暗だぁ……」

先輩「後輩ちゃんさー」

後輩「はい?」

先輩「どうしたん? 急に」

後輩「……」

先輩「銀髪さんがトんだ場所が見たい、なんて」

後輩「いえ、別に……」

先輩「……」

後輩「特に意味は、ないんですけど」

先輩「ふぅん」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:17:45.50 ID:FfyBE4yg0
後輩「ただ……、なんて言うか……」

先輩「……」

後輩「思い出したんですよ」

先輩「何を?」

後輩「……銀髪さんに、最後に……、私の家、出ていくときに、何か、言われて」

先輩「何言われたん」

後輩「や、何か言われたんですけど……」

先輩「うん」

後輩「何言われたか、思い出せなせないんですよね」

先輩「何だそりゃ」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:18:34.15 ID:FfyBE4yg0
後輩「ちょっと、気になっちゃって」

先輩「……」

後輩「何て言ったんだろうなぁ、って……」

先輩「それで? ここに来れば、思い出すかも、って?」

後輩「いえ、ただ……」

先輩「……」

後輩「銀髪さんが、何考えてたのか。ちょっとは、分かるかと思って……」

先輩「……分かった?」

後輩「いえ、全然」

先輩「だろうな」
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:19:02.65 ID:FfyBE4yg0

後輩「先輩は」

先輩「……ん?」

後輩「分かりますか? 銀髪さんが――……」

先輩「知らん」

後輩「……そっか」

先輩「……」

後輩「暗……」

先輩「……」

後輩「おっかないなぁ……」

先輩「……」グビ

後輩「……」

先輩「……お前さ」

後輩「はい?」

先輩「……。……、……やっぱ何でもない」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:19:31.47 ID:FfyBE4yg0

後輩「言ってよ」

先輩「ん〜……」

後輩「……」

先輩「……何か」

後輩「……」

先輩「引きずられてるねぇ、後輩ちゃんよう」

後輩「何に」

先輩「過去に」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……引きずってる、でしょう?」

先輩「引きずってるヤツっていうのは、それでも進んでるヤツだよ」

後輩「……」

先輩「……背負いこんで、ヨチヨチしか歩けなくてもな」

後輩「……クサい台詞」

先輩「そう?」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:20:14.14 ID:FfyBE4yg0

後輩「……」

先輩「もっと、気楽に生きろよ」

後輩「……それは」

先輩「……」

後輩「……だけど、どうしたらいいか」

先輩「……」

後輩「色んなこと、忘れようとしても」

先輩「……」

後輩「……忘れられなくて……」

先輩「……」

後輩「酔っ払っても……、フラフラになるまで飲んでも、私は……」

先輩「……」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:22:33.20 ID:FfyBE4yg0
後輩「ねぇ、先輩……」

先輩「おう……」

後輩「私のせいだって、考えてしまうのって……、おかしいでしょうか?」

先輩「……」

後輩「もし、あの人の最後の言葉を……、私が聞いてあげられていたなら、って……」

先輩「……」

後輩「私のせいで……、銀髪さんも……」

先輩「後輩」

後輩「分かってるんです……、それもきっと、思い過ごしで」

先輩「……」

後輩「私なんかが……、あの人の何かを左右できるって、思うこと自体が傲慢で……」

先輩「後輩ちゃん」

後輩「はい……?」

先輩「……こっち来て」

後輩「……? あの……」

先輩「……」ガシ
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:24:10.14 ID:FfyBE4yg0
後輩「あっ……」

先輩「……」ギュウ

後輩「先輩……」

先輩「言ったろ」

後輩「……」

先輩「私が、お前の隣にいてやるって」ギュッ

後輩「……」

先輩「……後輩」ナデナデ

後輩「……」

先輩「……あのさ」

後輩「……」

先輩「私は……」

後輩「……」スッ…

先輩「……あ」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:24:55.47 ID:FfyBE4yg0
後輩「……」

先輩「……こうは――……」

後輩「私は……」

先輩「……」

後輩「……十分、ですから……」

先輩「……」

後輩「今のまま……、先輩が……、一緒にいて」

先輩「……」

後輩「……一緒にいてくれて、遊んでくれて……、それだけで……十分……」

先輩「……」

後輩「だから……」
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:25:49.37 ID:FfyBE4yg0
先輩「だったら」

後輩「……」

先輩「だったらさぁ……」

後輩「……」

先輩「そんな顔、すんなよ……」

後輩「……」

先輩「そんなさぁ……」

後輩「……ごめんなさい」

先輩「また謝る」

後輩「……」

先輩「フゥ……」

後輩「……」

先輩「行くか、そろそろ」

後輩「はい……」
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:27:32.58 ID:FfyBE4yg0

先輩「死人の臭いで辛気臭くなっちゃったじゃん」

後輩「クソ失礼ですね」

先輩「さっさと酔っ払って、スカッとしようぜー」

後輩「はいはい……」

先輩「『はせ川』行くかー」

後輩「転ばないでくださいよ。脚、ガックガクじゃないですか」

先輩「おーんぶ」

後輩「やーです」

先輩「……あの、肩くらい貸してね? 先輩、マジで転び死にしちゃう……」

後輩「はぁ……」ガッシリ

先輩「うぇっへっへ、ありがとー……」

後輩「気を付けてくださいね」

先輩「おう。……あ、そうだ」

後輩「……はい」

194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:28:12.30 ID:FfyBE4yg0

先輩「お前さ、土日どっか、暇作れない?」

後輩「え?」

先輩「旅行、しようぜ」

後輩「旅行……」

先輩「いいだろ? 一泊くらいしてさ。女二人ぶらり温泉旅」

後輩「温泉……」ゴクリ

先輩「なっ?」

後輩「……べ、別に……、いいですけど」

先輩「よし、決まり決まり!」

後輩「……でも旅行って、どこ行くつもりなんです?」

先輩「新潟」





195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:28:58.30 ID:FfyBE4yg0





〜駅〜


先輩「……」

先輩「……ん〜」ボケー


先輩(早く着きすぎたなぁ)


先輩「……」

先輩「……フワァ」



後輩「せんぱ〜〜〜い!」


先輩「……お、こうh」

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:29:37.62 ID:FfyBE4yg0

後輩「おっまたっせしましたぁ〜♪」キラキラ

先輩「……」

後輩「わっ、すごぉ〜い! 先輩がちゃんと時間通りに来てるっ!」

先輩「……」

後輩「うふふっ、これは雨が降っちゃうかもしれませんねぇ〜?」

先輩「……」

後輩「なぁんてっ! 向こうもバッチリ晴れみたいですよっ!」キラキラ

先輩「……」

後輩「楽しみですねぇ〜! さっ! 行きましょ! 早く早くぅ!」キラッ

先輩「だ……」

後輩「だ?」

先輩「誰だお前!?」

後輩「あははっ、先輩ってばヒドぉい」キラキラ

197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:30:31.26 ID:FfyBE4yg0
先輩「ど、どど、どうしたの、後輩ちゃん……」

後輩「うふ。新潟と言えば」

先輩「新潟と言えば?」

後輩「美味しい魚と」

先輩「うん」

後輩「美味しい日本酒!」

先輩「……」

後輩「うふふ……、だからね、先輩」

先輩「……は、はい」

198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/11(日) 21:31:20.60 ID:FfyBE4yg0

後輩「私……、今日、この旅行のために……」

先輩「……」

後輩「……最高の状態で、お酒を飲むために……」

先輩「……」

後輩「ふふ……二週間ほど、禁酒をしまして……」

先輩「……」

後輩「……うふふ、ピークなんですよぉ、今まさにぃ……、ふふ……」

先輩「……」

後輩「……ふ、うふ……うふふ……」

先輩「……」

先輩(こんなにアホだったかなぁ、この子)

後輩「さっ! 行きましょう、先輩っ!」キラキラッ

先輩「……う、うん、そうね」

後輩「あ〜っ、楽しみだなぁ〜!」

199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/11(日) 21:36:01.05 ID:FfyBE4yg0
今日はここまでです

立ち入り禁止の建物に入るのはやめましょう
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 00:45:45.20 ID:y42qhCMZo

後輩ちゃんが読めんな
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 06:33:13.61 ID:JE405DMno
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 07:16:26.90 ID:/k/CGl9xo
これがキラ付けってやつか…
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:51:41.43 ID:YjXNxsDe0





〜新幹線〜


先輩「……スカー」

後輩「……」スヤスヤ

先輩「……スピー」

後輩「……」ムニャムニャ




204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:52:16.16 ID:YjXNxsDe0





〜新潟駅〜


先輩「着いたぁーっ!」

後輩「よく寝た……」

先輩「ガッツリ寝てたな、お前」

後輩「先輩こそ」

先輩「さぁて……」キョロキョロ

後輩「それで、どこ行くんですか?」

先輩「ん、それはな……。えーっと……」キョロキョロ

後輩「?」

先輩「あ、あれだ」

後輩「えぇ?」

先輩「おぉ〜い! こっちこっち〜!」



「あっ、どうも……!」



後輩「なっ……!?」ギクッ


205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:52:57.41 ID:YjXNxsDe0


先輩「うぇっへっへ、どうもね」

後輩「ぎ……っ」



「遠いところから、わざわざ」



後輩「銀髪……さん……?」



「えっ?」



先輩「後輩、こちら銀髪妹さん」

後輩「……」

銀髪妹「えっと……、はじめまして、後輩さん」

後輩「……」

銀髪妹「先輩さんも……、はじめまして」

先輩「ありがとね、急に連絡したのに」

銀髪妹「いえ……、よくいらっしゃって……」

206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:53:33.06 ID:YjXNxsDe0

後輩「い、妹、さん……?」

銀髪妹「はい」

先輩「話は聞いてたけど、マジでそっくりだね」

後輩「いや、似すぎでしょ……」

銀髪妹「あはっ……、よく言われます……」

後輩「……」


後輩(銀髪さん……、妹いたんだ……)


後輩「……」ジー

銀髪妹「……?」ニコッ


後輩(銀髪さん、清楚Ver……)


銀髪妹「立ち話も何ですから……。車、用意してますので……」

先輩「悪いね」

後輩「ど、どうも……」

207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:54:22.72 ID:YjXNxsDe0
先輩「びっくりした?」

後輩「はぁ……、心臓止まるかと思いました……」

銀髪妹「どうぞ」

先輩「うぉっ」

後輩「……アウディですよ、先輩さん」ヒソヒソ

先輩「A4ですよ、後輩さん」ヒソヒソ

銀髪妹「ち、中古車ですから……」

先輩「お嬢様だ、お嬢様」ヒソヒソ

後輩「とんだイイトコのお嬢様ですよ……」ヒソヒソ

銀髪妹「あ、あははは……」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:55:02.22 ID:YjXNxsDe0


〜車内〜



先輩「へぇ……、二卵性なんだ」

後輩「こんなに似るもんです? 二卵性って」

銀髪妹「ふふ、小さいころは、もっとそっくりで……」

後輩「はぁ〜……」

銀髪妹「みんなから、よく言われました。見た目だけは瓜二つだって」

後輩「……ほんと、瓜二つ」

先輩「見た目”だけは”、ねぇ……」

銀髪妹「そうなんですよ……、中身は昔から、正反対で」

先輩「ふぅん……」

銀髪妹「姉は昔から……、自由で気ままな人でしたし……」

後輩「昔から、ですか」

銀髪妹「えぇ……、一時は、結構荒れたこともあって……」

先輩「何か、想像つく」

後輩「先輩、ちょっと……」

銀髪「あはは、多分想像通りだと思います……」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:55:53.21 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「両親との折り合いも悪くて……」

後輩「……」

銀髪妹「しょっちゅう喧嘩ばっかり」

先輩「……」

銀髪妹「それでとうとう、勘当されて……、勘当ですよ? 今時……。父が、本気で勘当しちゃって」

先輩「あはは、本気の勘当かぁ」

銀髪妹「私は、そんな姉とは正反対で……」

後輩「……」

銀髪妹「親の言うこと、何でも素直に聞いてる『良い子ちゃん』……」

先輩「それ、銀髪さんが言ったの?」

銀髪妹「えぇ」

後輩「……」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:56:51.46 ID:YjXNxsDe0
先輩「仲、悪かったんだ」

後輩「先輩……」

銀髪妹「いえ……、その通りですから……」

後輩「……」

銀髪妹「あの人は、気に入らなかったと思います……、はいはい、って言ってるだけの私が、私ばっかり、親に構われて」

後輩「……」

銀髪妹「あの人は、やることなすこと、何でも否定されて……」

後輩「……」

銀髪妹「比べられて、冷たくされて」

後輩「じゃあ、喧嘩とか、したんですか……?」

銀髪妹「喧嘩……、いえ……」

後輩「……」

銀髪妹「話せばギスギスするの分かってたから、だからお互い、近寄らないようにしてて……」

後輩「……」

銀髪妹「結局、最後まで……、そのままでした……」

後輩「……」

銀髪妹「最後の、最後まで」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:58:01.94 ID:YjXNxsDe0
先輩「……まぁ」

銀髪妹「……」

先輩「そういうもんだよ。喧嘩のひとつもしてやろうって、思っても」

後輩「……」

先輩「思ったときには、相手はいない、とかさ……」

後輩「……」

先輩「なんだかなぁ、って感じだけど。そんなもん。……世の中さ、そんなもんだよ」

後輩「……」

銀髪妹「……かも、知れませんね」

先輩「……」

銀髪妹「……着きました、ここです」

後輩「着いた、って……?」




212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:58:41.01 ID:YjXNxsDe0




ガチャ

バタン



先輩「ん〜〜っ!」ノビー

後輩「……」

先輩「……っはぁ。……静かだねぇ」

後輩「……ここは?」

銀髪妹「姉の、お墓です」

後輩「……」

銀髪妹「……まぁ、正確には、我が家の一家の墓、ですけど」

後輩「……」

先輩「どの辺?」

銀髪妹「ご案内します……」




213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 22:59:08.39 ID:YjXNxsDe0






先輩「……」

後輩「……」

先輩「……ナムナム」

後輩「……ナムナム」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「お花でも、買ってくればよかったのに」

先輩「そういやそうだな」

銀髪妹「いえ……、こうやって、手を合わせていただけただけで」

先輩「……」

銀髪妹「……姉も、喜んでいると思います」

先輩「……本当に?」

銀髪妹「あ、あはは……、本当はモノかお金の方が、喜びそうですけど……」

先輩「分かる」

後輩(分かってしまう……)

214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:00:03.44 ID:YjXNxsDe0



後輩「……ナムナム」

後輩「……」



後輩(……静か、だなぁ)

後輩(銀髪さん……)

後輩(本当に、死んじゃったんだなぁ……)


後輩「……」

先輩「……」

銀髪妹「……」



後輩(銀髪さん……)

後輩(貴方は……)

後輩(最期に、私に……、なんて言ったんでしょうか……?)

後輩(大事な……、ことだったんでしょうか……?)


後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」


215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:00:38.99 ID:YjXNxsDe0
先輩「後輩」

後輩「……えぇ、もう……、終わりにしますから」

先輩「……」

後輩「……ふぅ」

銀髪妹「……」

後輩「……お待たせしました」

銀髪妹「いえ……、ありがとうございます……」

先輩「悪いね。結構、無理言っちゃったでしょ」

銀髪妹「いえいえ、まぁ……父にさえ見つからなければ」

後輩「……あ、そんな感じなんですね」

銀髪妹「すみません……、父は、なんて言うか……、姉の交友関係を、その……、快く思っていなくて」

後輩「あぁ」

先輩「ロクデナシばっかだもんなぁ、あの人の周り」

後輩「先輩もでしょ」

先輩「お前もだろ」

銀髪妹「すすすすみません! すみません!」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:01:20.81 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「そもそも、自分で勘当したのに……」

後輩「……」

銀髪妹「亡くなってから、無理矢理みたいに引き取って、こうして家の墓にいれるなんて」

後輩「……」

銀髪妹「勝手な話ですよね……。姉も、口がきけたらきっと、文句言ってたと思いませんか?」

先輩「それだけ銀髪さんのこと、思ってたってことなんじゃない? 本当は」

銀髪妹「……」

先輩「言えなかっただけで。手遅れになるまで」

後輩「……」

銀髪妹「えぇ……、そう……ですね。きっとそう……」

後輩「……」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:01:51.20 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「両親は、きっと……姉のことは、大切にしていて……」

後輩「……」

銀髪妹「私より……、……っ」ハッ

先輩「……」

後輩「……」

銀髪妹「す、すみません。勝手に色々と。い……行きましょうか」

先輩「うん。……後輩」

後輩「はい……」




218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:02:19.80 ID:YjXNxsDe0



219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:02:54.41 ID:YjXNxsDe0






銀髪妹「ホテル、すみません……私の名前で取らせてもらったので……」

先輩「悪ぃね」

後輩「あ、ありがとうございます」

銀髪妹「30分くらいで着きますので」

先輩「妹さんさ、一杯くらいご馳走させてよ。色々お世話になっちゃったし」

銀髪妹「い、いえ……そんな……、悪いですよ」

先輩「気にしなくていいってぇ。帰り、代行使ってさぁ。車代くらい、こっちで持つし」

銀髪妹「いえいえ……、本当に……。子供も待ってることですし……」

後輩「あ……、お子さん、いらっしゃるんですね」

銀髪妹「えぇ」

先輩「へぇ〜……、いくつくらい?」

銀髪妹「上の子が、今年10歳で」

先輩「10歳!?」

後輩「10歳!?」
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:04:08.57 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「あはは……」

後輩「いや、ちょ、銀髪さんと同い年だからぁ……」

先輩「どうしよ後輩ちゃん、わたしさんすうできない」

後輩「わたしもひきざん、ちょっとできない、これ、ちょっと……」

銀髪妹「……えっと、それで真ん中の子が――……」

先輩「真ん中!」

後輩「真ん中の子!」

先輩「上中下!!!」

後輩「上下でもなくて!!!」

銀髪妹「あ、いえ、その」

先輩「やることやってんじゃねーかこの野郎ー」

後輩「なーにが『良い子ちゃん』ですかこの野郎ー」

先輩「やっぱり妹だわあの人の」

後輩「血ですね、抗えない血。おっかねぇ」

銀髪妹「あ、あは、あははは…………」





221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:04:58.93 ID:YjXNxsDe0






銀髪妹「着きましたよ」

先輩「おー、これかぁ」

後輩「うわ、普通にいいとこだ……」

銀髪妹「明日、チェックアウトの時間になったら、迎えに来ますので」

後輩「そこまでしてもらわなくても……」

銀髪妹「いえ、お気になさらず……。私がしたくて、そうさせてもらってるんです……」

後輩「え……」

銀髪妹「……今日は、お二人にお会いできて、本当に良かった」

先輩「……」

後輩「……」

銀髪妹「姉は……」

後輩「……」
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:05:41.11 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「あの通りの性格で……、周りからは、いつも浮いていましたし……」

後輩「……」

銀髪妹「誰からも理解されなくて……、私だってそうで……。いつも、ひとりぼっちで……」

後輩「……」

銀髪妹「だから、自分で命を絶ったって、聞かされて……」

後輩「……」

銀髪妹「……思ったんです。あの人は……、最期まで、たったひとりきりだったんだ、って……」

後輩「妹さん……」
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:06:47.49 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「でも、お二人に会えて」

後輩「……」

銀髪妹「そうじゃなかったんだって、分かりました」

後輩「……」

銀髪妹「知らない人ばかりの、知らない土地に行ってしまったけど」

後輩「……」

銀髪妹「こうして、姉のことを……、いなくなってしまった後でも、考えてくれている人がいたんだって、知れて……」

後輩「……」

銀髪妹「私……、嬉しかったです……」

先輩「そんな、大層なもんじゃないけどね」

後輩「えぇ……」

銀髪妹「それでも……。それでもです……。ありがとうございました」

後輩「い、いえっ、こ……こちらこそ! 銀髪さんには優しくしていただいて……っ」

先輩「優しく、ねぇ」

後輩「ちょっと、黙って」

先輩「うぇっへっへ」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:07:41.18 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「何もない場所ですけど……、ぜひ、くつろいでいってください……」ニッコリ

後輩「ど、どうも……」

先輩「それじゃ、また」

銀髪妹「えぇ」

後輩「またです」

先輩「じゃ後輩、行くか」

後輩「はい」

銀髪妹「あの……、先輩さん……」

先輩「うん?」

銀髪妹「……」

先輩「どうかした?」

225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:08:13.36 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「先輩さんは、さっき……『そんなもんだ』って、言いましたよね」

先輩「んん?」

銀髪妹「喧嘩したいときには……、……言いたいときには、相手はいない。世の中そんなもんだ、って」

先輩「あぁ」

銀髪妹「……だけど……、きっと、そうじゃないんですよ……」

先輩「……」

銀髪妹「言えたんです、きっと……。私は、あの人に……」

先輩「……」

銀髪妹「貴方なんて嫌いだ、って」

先輩「……」

銀髪妹「だけど……、だけど本当に、辛かったら、帰ってきてほしい、って……」

先輩「……」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:09:08.47 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「父だって、本当は……、言えたはずなんです。……すまなかったと」

先輩「……」

銀髪妹「言えたのに、言わなかった」

先輩「……」

銀髪妹「本当は……、私は……」

先輩「……」

銀髪妹「私だって……、辛かったんだぞ、って……」

先輩「……」

銀髪妹「『良い子ちゃん』は『良い子ちゃん』なりに……、苦労があるんだぞって……」

先輩「……」

銀髪妹「言えたんです。言えた。言えたのに。言えたことを――……、言えば、言っていれば……」

先輩「……」

銀髪妹「……、だから、先輩さん……」

先輩「……」
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/12(月) 23:09:55.75 ID:YjXNxsDe0
銀髪妹「『そんなもん』なんかじゃない……、ただ私が、言わなかっただけ。伝えなかっただけ――……」

先輩「……」

銀髪妹「すべきことを、しなかっただけ」

先輩「……」

銀髪妹「それだけなんです……」

先輩「……そっか」

銀髪妹「……」

先輩「ごめんね」

銀髪妹「いいえ……、こちらこそ……」

先輩「……そっかぁ」


後輩「先輩ー? せんぱーい! チェックインしちゃいましょうよー」


先輩「おー、今行くー!」

銀髪妹「それでは、また」ニッコリ

先輩「うん。ありがとね」




228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/03/12(月) 23:11:43.89 ID:YjXNxsDe0
今日はここまでです

もう少しで終われると思います、終わりたい、終われたらいいなぁ(願望)

お読みくださっている方、ありがとうございます

よろしければ今しばらく、お付き合いのほどを
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/13(火) 04:55:16.11 ID:jLThi2wao

着地点がきになる
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/13(火) 08:38:22.70 ID:dnCT65W1O
先輩が八神コウで再生される
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:14:04.32 ID:HZjvN4010





〜ホテル客室〜


先輩「はあっ!?」

後輩「ふわ……っ!?」

先輩「……」

後輩「ひ、ひろ……」

先輩「……」

後輩「これ……、部屋取り間違えたんじゃないですか、妹さん……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……よし」

後輩「……はい」

先輩「考えないことにしよう」

後輩「はい」

先輩「オーシャンビュー!」

後輩「オーシャンビュー!」





232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:14:34.36 ID:HZjvN4010





〜卓球施設〜



後輩「大仏サーブ!」カコンッ

先輩「見ぃ切ったぁぁ!」スカッ





233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:15:05.64 ID:HZjvN4010





〜露天風呂〜


後輩「貸し切りだぁ……」

先輩「最高だな」

後輩「わぁぁ……」

先輩「はぁぁ……」

後輩「きれいな夕焼け――……」

先輩「西日がきついな」

後輩「……」

先輩「……何だよ」

後輩「それでも詩人ですか……」

先輩「ほっとけ」

234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:15:49.24 ID:HZjvN4010
先輩「うぁー……」ザプン

後輩「うぁー……」ザブン

先輩「先に出た方がコーヒー牛乳オゴリな」

後輩「中学生ですか」

先輩「……はぁ〜、あったまる〜」

後輩「……先輩」

先輩「ん?」

後輩「今日は……ありがとうございます、誘ってくれて」

先輩「あはは、何だよもう」

後輩「……私が、銀髪さんのこと、ずっと気にしたから」

先輩「……」

後輩「それで、連れてきてくれたんですよね? ここまで」

先輩「別に、それだけじゃねーって」

後輩「そうです?」

先輩「銀髪さんのお墓参りしたかったしな、私も」

後輩「……」

先輩「あと、温泉入りたかったのもマジだし」

後輩「あはは、なるほど」
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:16:27.74 ID:HZjvN4010
先輩「面白い人にも会えたしな」

後輩「似すぎですよね、妹さん……」

先輩「……本人だったりして」

後輩「え」

先輩「自殺の真相は、実は偽装工作だった! 本人は髪を黒に戻し、妹の名を借りて新潟へ――……」

後輩「あ、あはは、いやまさか……」

先輩「我々はハメられていたのだよ、ワトソン君……」

後輩「い、いや、いやいや! でもほら、お墓もちゃんとあったし、警察の人とかも――……」

先輩「冗談だっての」

後輩「……」

先輩「分かれよ」

後輩「わ、分かってましたよう……」ブクブク
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:17:33.69 ID:HZjvN4010
後輩「でも、なんか……」

先輩「ん?」

後輩「銀髪さんにも、人並みの過去があったんですね……」

先輩「当たり前だろ」

後輩「まぁ、当たり前ですけど」

先輩「……」

後輩「……当たり前、ですけど。親と仲悪かったり、こんなとこ出てってやるー、って思ったり……」

先輩「……」

後輩「あの人にも、そういう、当たり前の昔があったんだって……」

先輩「……」

後輩「私、全然知らなくて……」

先輩「私だって、知らなかったよ」

後輩「知らなくても、知らないままで……、一緒にいたんですよねぇ」

先輩「……みんな、誰だってそうだろ」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:18:15.08 ID:HZjvN4010
後輩「誰だって……」

先輩「そりゃそうだろ。私だって、昔は色々あったし」

後輩「……先輩も?」

先輩「おう。……お前だってさ」

後輩「そりゃまぁ……」

先輩「……過去なんて」

後輩「……」

先輩「何があっても、何があったか、知らなくても。知ってたって」

後輩「……」

先輩「それで、一緒にいたって、いいだろ? 別に」

後輩「……そう、かもしれませんね」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:18:44.65 ID:HZjvN4010
先輩「それで」

後輩「……はい?」

先輩「思い出せそう?」

後輩「え?」

先輩「銀髪さん、最期に言ったこと」

後輩「ふふ……、それが、さっぱり」

先輩「……そっか」

後輩「……でも、それでいいのかもしれませんね」

先輩「ん?」

後輩「……引きずってる、いえ……引きずられているより」

先輩「……」

後輩「『そんなもん』って割り切っちゃえば」

先輩「『そんなもん』……か」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:19:30.64 ID:HZjvN4010





――ただ私が、言わなかっただけ。伝えなかっただけ――


――すべきことを、しなかっただけ――




240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:20:05.27 ID:HZjvN4010





先輩「……」

後輩「そう思いません?」

先輩「……どうだろうな」

後輩「えぇー、何ですか、それ」

先輩「分かんね……」

後輩「……むぅ」

先輩「後輩ちゃん」

後輩「何です?」

先輩「背中流してあげよっか」

後輩「えっ!? い、いや、いいですよ、そんなのっ! 何でですか!」

先輩「うぇっへっへ……」




241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:20:33.34 ID:HZjvN4010






〜お部屋〜


後輩「はい……どうぞ」トプトプ

先輩「おっとっと」

後輩「んふふ」

先輩「ほい、そっちも」トプトプ

後輩「おっとっと」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「じゃ」

後輩「はい」

先輩「かんぱーい」

後輩「かんぱーい」
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:21:03.68 ID:HZjvN4010

先輩「……」グビグビ

後輩「……」グビグビ

先輩「……」

後輩「……」

先輩「うまぁぁい!」

後輩「……」

先輩「なんだこりゃ! すごい! うまい! すごい!」ゴクゴク

後輩「……」

先輩「はぁー……、これはいい酒だぁ――……、後輩ちゃん?」

後輩「オイシイ……オイシイ……」ポロポロ

先輩「泣くなよ……」

243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:21:30.50 ID:HZjvN4010
先輩「カニうまっ!」

後輩「カキうまっ!」

先輩「刺身うまっ!」

後輩「お米うまっ!」

先輩「……」ゴクゴク

後輩「……」ゴクゴク

先輩「酒うまっ!!」

後輩「酒うまっ!!」

先輩「うぇっへっへへへ、うぁー、最高だぁー……」グビグビ

後輩「あー、やばいよぅ、駄目になるぅ、アホになるぅ……」グビリ

先輩「なれなれ」

後輩「なりまーす。なりましたー」





244 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:21:56.49 ID:HZjvN4010


245 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:22:25.89 ID:HZjvN4010





先輩「はぁ〜……」

後輩「……」

先輩「美味しかったねー」

後輩「ですね」

先輩「……」

後輩「……ふぅ」

先輩「どうする? 後でもう一回、温泉いく?」

後輩「あー……、何時まででしたっけ?」

先輩「あ、分かんねえや」

後輩「後で見てきます」

先輩「おう」

後輩「……」

先輩「……」
246 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:22:57.83 ID:HZjvN4010
先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……あの」

先輩「ん?」

後輩「……ちょっと、散歩してきます」

先輩「どこ行くん?」

後輩「……海、近いから」

先輩「見えねーだろ、真っ暗だし」

後輩「まぁ……。でも、せっかくなんで」

先輩「ふーん」

後輩「……」

先輩「気をつけてな」

後輩「えぇ」




247 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:23:31.44 ID:HZjvN4010





〜海岸〜


ザザァ

ザァ


後輩「……」

後輩「……」


後輩(本当に真っ暗だ……)

後輩(波の音はするけど……)

後輩(何も見えなくて……)



後輩「……」

後輩「……」


後輩(……ちょっと)

後輩(怖いな……)


ザザァ

ザザーン


後輩「……」

後輩「……」
248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:24:11.01 ID:HZjvN4010

後輩「……」

後輩「……風強い」


ザザァ


先輩「後輩ー」

後輩「うわっ」ビクッ

先輩「何ビビッてんだよ」

後輩「せ、先輩……。どうしたんですか……」

先輩「へっへ、私も散歩」

後輩「そうですか……」


ザァ

ザザン



先輩「……」

後輩「……」

先輩「ん〜〜っ……」ノビー

後輩「……」

先輩「……っはぁ」

後輩「……」

先輩「真っ暗だなぁ」

後輩「……ですね」
249 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:24:44.26 ID:HZjvN4010
先輩「お前、あんま飲まなかったな」

後輩「えぇ……、何か今日は、酔いつぶれちゃうの、勿体ない気がして」

先輩「はは、分かる」

後輩「ね」

先輩「……」

後輩「……」


ザザーン

ザザァ



先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩」

先輩「……んー?」

後輩「私ね……」
250 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:25:21.21 ID:HZjvN4010

先輩「うん」

後輩「……銀髪さんと、最後に会った日」

先輩「……」

後輩「……あの日、話したのって……」

先輩「……」

後輩「先輩のことで……」

先輩「……」

後輩「銀髪さんに、言われたんです」

先輩「……」

後輩「私は、先輩のこと……、どう思ってるのか、って」

先輩「……うん」

後輩「それで……」




251 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:25:53.95 ID:HZjvN4010





銀髪『そういう風に、先輩ちゃんを未来永劫、束縛し続けるわけか』



銀髪『だって、そうだろう? どう思ってるかも、はっきりさせない。どうするつもりもない』



銀髪『ただひたすらに、隣に置いておくだけ』



銀髪『宙ぶらりんなまま、引き寄せもせず、突き放しもせずにね』





252 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:26:35.63 ID:HZjvN4010







後輩「私は……、私って……」

先輩「……」

後輩「先輩のこと、束縛しちゃってるのかなぁ……」

先輩「……」

後輩「そうなのかもなぁ……」

先輩「……」

後輩「そうだとしたら、ねぇ、先輩……」

先輩「……」

後輩「先輩、私って……」

先輩「……」

後輩「本当に、嫌なヤツですね」

先輩「……」

後輩「ほんとに……、自分でも嫌になるくらい……」
253 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:27:05.32 ID:HZjvN4010
先輩「……お前」

後輩「はい……?」

先輩「言いたくないって言ってたじゃん」

後輩「……そうなんですけど」

先輩「……」

後輩「でも、何か……」

先輩「……」

後輩「今日、ここに来たら。なんでしょう……、言わなきゃいけない、気がして……」

先輩「……」

後輩「銀髪さんに会ったからかなぁ……、墓前ですけど……」

先輩「……」
254 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:27:41.71 ID:HZjvN4010

後輩「言い残した、伝え忘れたことがあるって」

先輩「……」

後輩「……何か、もしかしたら……」

先輩「……」

後輩「すごく、悲しいのかなぁ、って」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」


ザザァ

ザァ


後輩「……」

先輩「……」
255 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:28:19.26 ID:HZjvN4010

後輩「先輩……」

先輩「……私は」

後輩「……」

先輩「思ったことねーよ、束縛されてるなんて」

後輩「……ですか」

先輩「もし、さ……、たとえ本当に、そうだとしても……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「そうだとして、も……?」

先輩「……」

後輩「先輩……?」
256 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:29:01.29 ID:HZjvN4010
後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

先輩「『そんなもん』なんかじゃない、かぁ……」

後輩「なんです?」

先輩「なぁ、後輩」

後輩「はい?」

先輩「……多分さ」
257 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:29:37.56 ID:HZjvN4010
後輩「……」

先輩「私、違ったんだよ」

後輩「え?」

先輩「一緒にいてやるって、……私がお前の、隣にいてやるって……」

後輩「え、あの……」

先輩「言ったよな」

後輩「……」







先輩『もし辛いんだったら』



先輩『私が、いてやるから』



先輩『お前が大丈夫になるまで、お前の隣に』





258 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:30:13.05 ID:HZjvN4010

後輩「はい……」

先輩「でもさ」

後輩「……」

先輩「違ったんだよ」

後輩「……え」

先輩「間違いなんだ」

後輩「な、何ですか……、それ……」

先輩「……」

後輩「私は、先輩と――……!」
259 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:31:18.52 ID:HZjvN4010
先輩「一緒にいて”やる”だなんてさ」

後輩「……っ」

先輩「そうじゃなかったんだ」




――言えた。言えたのに。言えたことを――……、言えば、言っていれば……――




後輩「せんぱ……っ」

先輩「私が、お前といたかったんだよ」

後輩「……」

先輩「一緒に」

後輩「私と……」

先輩「後輩と、一緒にいたくて、一緒にいてほしくて……」

後輩「……」
260 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:31:48.88 ID:HZjvN4010

後輩「……」

先輩「多分、最初からそうだったんだ」

後輩「……」

先輩「やっと分かったよ」

後輩「……」

先輩「やっと認められた」

後輩「……」

先輩「後輩」

後輩「……」

先輩「好きだよ」

後輩「……」





261 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:32:14.58 ID:HZjvN4010


262 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:32:40.19 ID:HZjvN4010





〜お布団〜


先輩「……」

後輩「……」

先輩「……手」

後輩「……」

先輩「繋いだまま寝るん?」

後輩「はい」

先輩「そっか」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」
263 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:33:18.09 ID:HZjvN4010

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩」

先輩「……」

後輩「私も、好きです……」

先輩「……」

後輩「多分、初めて会った時から、ずっと……」

先輩「……」

264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:33:45.20 ID:HZjvN4010

後輩「……ねぇ、先輩」

先輩「……」

後輩「……寝ちゃった?」

先輩「……起きてるよ」

後輩「わっ……」

先輩「……うぇっへっへっへぇ」

後輩「もう……」

265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:34:26.83 ID:HZjvN4010
先輩「後輩ちゃーん」

後輩「はいはい……」

先輩「も一回、言って」

後輩「えぇ〜……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩」

先輩「……」

後輩「……す、好きっ」

先輩「……っはは」

後輩「ふふ……っ」




266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:34:59.01 ID:HZjvN4010





先輩「……あのさ」

後輩「はい……?」

先輩「する?」

後輩「え」

先輩「……しないの?」

後輩「あの……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」
267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:35:50.10 ID:HZjvN4010
先輩「ねぇ」

後輩「……あ、あなた、ストレートだって……」

先輩「過去に囚われてちゃ」

後輩「……」

先輩「駄目なんだぜ、後輩ちゃん」

後輩「……何言ってんですか、もう……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……先輩」

先輩「……うん」

後輩「そっち、行っていい?」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「うん」

後輩「……」モゾモゾ
268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:38:04.99 ID:HZjvN4010
後輩「あの……」モゾ

先輩「ん?」

後輩「お恥ずかしいのですが……」

先輩「何だよ」

後輩「……ぶっちゃけ私、相当ご無沙汰ですからね?」

先輩「あっはは、生々しいなぁ」

後輩「ケダモノですからね?」

先輩「やだぁ、後輩ちゃん怖ぁい」

後輩「……覚悟しといてくださいよ」

先輩「うん」

後輩「……」

先輩「いいよ」

後輩「……」

先輩「来て」

後輩「……」
269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:38:31.55 ID:HZjvN4010

後輩「……先輩」

先輩「大好きだよ、後輩」

後輩「……私も」

先輩「……」

後輩「……大好きです、先輩」

270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:38:58.17 ID:HZjvN4010



271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/13(火) 22:39:31.73 ID:HZjvN4010



〜おわり〜



272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2018/03/13(火) 22:40:38.19 ID:HZjvN4010
これで、このお話はおしまいです

最後までお読みいただき、ありがとうございました

ばいばい
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 01:55:02.26 ID:VQSh2Vwlo
よかった
274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/14(水) 04:06:07.39 ID:AGlnXrzd0
最高だった…
275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 06:02:11.37 ID:Z6elkKqBo

エピローグはよ
276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/14(水) 18:10:22.77 ID:CMiXd2SUo
277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 23:27:11.50 ID:S4+m0qxK0
過去作です

〇百合〇
後輩「先輩より胸が大きくなってしまいました……」
先輩「本を読む後輩と」 後輩「かもめの先輩」
先輩「明日戦争がはじまる」
魔女「お眠りなさい、安らかに――」 女騎士「くっ、やめろ……!」
先輩「手を繋げば分かるだろ」後輩「ダメです」

〇男女〇
先輩「…生で」
先輩「一緒に子供育てようぜー」
男「魔女?」魔女「おう」

〇??〇
友「男、またおっきくなったね…」
主人「キミ、以前は男だったって本当?」 メイド「はぁ、まぁ」

〇二次創作〇
モバP「柑奈のカバンから謎の白い粉が出てきた」
モバP「夏樹とのセッションが決まったぞ!」 李衣菜「む、ムリ……」
棟方愛海「愛と!」 南条光「正義の!」
真澄「柚子……柚子……」クチュクチュ
ブーディカ「はい、あ〜ん」 マシュ「あぁ^〜」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 23:32:32.61 ID:S4+m0qxK0
他にもVipで書いたやつとかもあるんですけどね
覚えてないです

思えば2011年から今まで、時折こうしてSSを書いてたわけです

ここの皆さんには、とてもお世話になりました
279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 23:39:15.41 ID:S4+m0qxK0
頭の中だけで、妄想を何度も反芻していました
それをSSにすると、吐いた後みたいに、すごくスッキリしました

このSSなんかも、話の筋はゴチャゴチャで、物語としてはまとまってないですが、
今、頭の中にあった、楽しいフレーズとか、掛け合い、シチュエーションを、全部書き切れたので
これはこれで、とても愛おしい
280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/03/15(木) 23:44:34.00 ID:S4+m0qxK0
終わったスレでグチグチ書くのは趣味ではないのですが…

ごめんね……

ただ、私はこんなのを書いてたよ、と誰かに知ってほしかっただけです

お読みいただき、ありがとうございました
281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 23:48:20.85 ID:/UU453fYo
宣伝乙
いくつか読んでないのあったし読んでみる
282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/15(木) 23:54:46.28 ID:S4+m0qxK0
>>281
ありがとうございます。ウレシイ……ウレシイ……
283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/16(金) 21:15:03.00 ID:AApz3xOh0
とてもすきです
先後輩以外にも同輩や幼馴染百合とかも是非
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/16(金) 22:50:03.49 ID:pB2GKxR1o

あー、メイドのやつすごく好きだったわ
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