果の陽炎型

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1 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:27:49.06 ID:1+N5b36So

陽炎から秋雲まで。

陽炎型姉妹実装17人分。



スレタイの 果 とは、果物(くだもの) の意味です。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1519576068
2 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:29:43.24 ID:1+N5b36So


【 陽炎 】


『 メロンは野菜で、果物じゃない 』

メロンパンを頬張る雪風に、この真実は告げてもいいような気がする。


『 スイカは野菜で、果物じゃない 』

スイカバーをかじる時津風に、もう教えてしまっても大丈夫な気がする。



慎重なお姉ちゃんも、覚悟を決めた。
陽炎はいよいよ伝えます。
3 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:30:35.70 ID:1+N5b36So





陽炎「メロンはね、果物じゃないの」

雪風「えー?」

陽炎「スイカもそう。野菜なの」

時津風「嘘だー」

陽炎「本当よ」

雪風「嘘だよ。だって、野菜炒めにメロンなんか入ってないもん」

磯風「えっ」

時津風「スイカだって野菜カレーに入ってないよ」

磯風「えっ」
4 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:31:36.75 ID:1+N5b36So

陽炎「野菜炒めと言っても、何でも入っている訳じゃないわ」

陽炎「イチゴも野菜だけど入ってないでしょ」

磯風「えっ」

雪風「イチゴも野菜なの!?」

時津風「あんなに甘いのに!?」

陽炎「そうよ、れっきとした野菜よ」

陽炎「でも、野菜炒めにイチゴなんて入らないわよね」

雪風「う、うん」

時津風「入らない」

磯風「えっ」

陽炎「カレーにだってキュウリやレタスは入ってないわ」

雪風「うん」

時津風「入ってない」

磯風「えっ」
5 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:32:21.11 ID:1+N5b36So

雪風「そっかぁ、甘くてもメロンは野菜なんだね」

陽炎「そうよ雪風。偉いわね」

時津風「時津風も分かったよー」

陽炎「うんうん、時津風もいい子ね」

陽炎「ご褒美にキャラメルをあげるわ」

雪風「わーい」

時津風「やったー」

陽炎「それじゃあ、外で遊んでらっしゃい」

雪風「うんっ」

時津風「みんなにも教えてくるねー」タタターッ



陽炎「磯風はちょっと後で話があるから」

磯風「えっ」

6 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:34:07.78 ID:1+N5b36So


【 不知火 】


不知火「今日のおやつは すもも です」

司令「ほう、すももとは珍しいね」

不知火「初物らしいですよ」

司令「いやぁ、久しぶりに食べるな」

不知火「不知火は初めてです」

司令「そうなのか」

不知火「はい。名前を聞いた事はあるのですが」

司令「まあ、あまり馴染みのある果物ではないかな」

不知火「美味しいです」モキュモキュ

司令「あ、皮は剥かなくても大丈夫だよ」

不知火「そうなのですか」

司令「舌触りが苦手な人は剥くけどね」

不知火「ふむ……皮ごとだと少し酸っぱいですね」

司令「苦手かな」

不知火「いえ。好きな味です」
7 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:35:08.23 ID:1+N5b36So





司令「すももと言えば」

不知火「はい」

司令「すももの早口言葉って知っているかな」

不知火「早口言葉ですか」

司令「うん。すももも桃も桃のうち、桃もすももも桃のうちってヤツ」

不知火「あー、何か聞いた覚えが」

司令「さて、上手く言えるかな〜」

不知火「不知火に隙はありません」キリッ

司令「お、自信だねぇ」

不知火「では……」コホン

不知火「すもみょもももみょも――」

司令「」

不知火「…… ///」プルプル

司令(可愛い)

不知火「」ガタンッ! タタターッ!

司令「あっ、不知火?」


司令「うーん、どこかに行ってしまった」
8 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:36:14.58 ID:1+N5b36So


 〜 数十分後 〜


司令「どこまで行ったんだろう」

司令「しかし可愛いかったな不知火。耳まで真っ赤にして」

不知火「司令、失礼します」

司令(あ、帰ってきた)

不知火「お茶をお持ちしました」

司令「ああ、うん。ありがとう」

不知火「焙じ茶です。どうぞ」

司令「冷たいものを食べて身体が冷えていた所だったから嬉しいよ」

不知火「今日もいい天気ですね」

司令(ごまかした、ごまかしたよこの子!)

不知火「洗濯物もよく乾きそうです」

司令(何も無かった事にしてるよ!)

不知火「後で一緒に散歩にでも行きましょう」ニッコリ

9 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:37:39.50 ID:1+N5b36So


【 黒潮 】


陽炎「アンタ明日から毎朝ジョギングね」

黒潮「はぁ?何やのいきなり」

陽炎「決定だから。これ、命令だから」

黒潮「そんなの横暴や、何でそんな事言うん」

陽炎「アンタが痩せないからでしょ」

黒潮「いや、そもそもウチそんな太ってないし」

陽炎「ほら体重計」

黒潮「いやいや陽炎」
10 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:38:26.37 ID:1+N5b36So





翌朝。


黒潮「うぅ〜、まさかホンマに叩き起こされるとは」

黒潮「あー眠い。まだ外、薄暗いやん」

黒潮「まあ、しゃあない」

黒潮「せっかく起きたしちょっと走ろか」

黒潮「別に運動は苦手やないしなー」
11 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:39:35.30 ID:1+N5b36So





黒潮「あ〜疲れたー」フラフラ

黒潮「アカン、ちょっと張り切り過ぎたわ」

黒潮「けどまあ、ジョギングもエエもんやな」

黒潮「いい汗かいたし、だいぶ痩せた気がするわ」

親潮「お疲れさまです!」

黒潮「何や親潮、待っててくれたんか」

親潮「はい!黒潮さんが頑張っていると聞いて」

黒潮「はー、親潮ホンマええ子やなぁ」

親潮「これ、作ってきました!どうぞ」

親潮「レモンのハチミツ漬けです」

黒潮「うわー、メッチャ嬉しい」

親潮「疲労回復には甘いものが効果的です」

黒潮「甘酸っぱくて美味しい」モシャモシャ

黒潮「何やの親潮、メッチャ女子力高いやん」

親潮「いえ、そんな」テレ

親潮「黒潮さん、明日も走るんですよね」

黒潮「まあな、走らんと陽炎怒るしな」

親潮「毎日作ってきますから」

黒潮「えー、そんな悪いやん」

親潮「全然平気です。一緒に頑張りましょう」

黒潮「親潮優しいなー」ホロリ
12 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:40:22.09 ID:1+N5b36So





親潮「お疲れさまです!はい、ハチミツレモンです」

黒潮「親潮ありがとう、嬉しいわー」モシャモシャ





親潮「今日のは少しブランデーを入れてみました」

黒潮「これも美味しいなー、染み渡るわー」モグモグ





親潮「今日はグレープフルーツをシロップに漬けてみました」

黒潮「親潮いつもありがとうな。ウチ、頑張る」ムシャムシャ

13 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:41:33.10 ID:1+N5b36So



〜 一ヶ月後 〜



陽炎「おっかしいわね〜」

陽炎「全然体重減ってないじゃない」

不知火「むしろ微増してますね」

陽炎「黒潮、アンタ本当に走ってる?」

黒潮「なんや陽炎、疑ってんの」

親潮「黒潮さんは毎日真面目に頑張っています」

不知火「毎朝出掛けているのは陽炎も知ってる筈です」

陽炎「う〜ん、そうよねえ……」

黒潮「せやでー、ウチ頑張ってる」

親潮「流石です、黒潮さん!」

陽炎「何で痩せないのかしらね」

不知火「不思議です」

親潮「不思議ですね」

黒潮「不思議やなー」

14 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:43:10.23 ID:1+N5b36So


【 親潮 】


親潮「黒潮さん、これ見てください」

黒潮「わっ、フルーチェやん、どないしたん」

親潮「コンビニで見かけたので。思わず買ってみました」

黒潮「あーこれな、昔よく食べてたわー」

親潮「牛乳も一緒に買って来ました。早速作りましょう」

黒潮「作ろ作ろ。わー、楽しみやなー」

親潮「種類も色々ありますよ」

黒潮「ウチ、オレンジが好きやったわ」

親潮「私はイチゴですね」

黒潮「イチゴもええよなー」

親潮「両方作っちゃいましょうか」

黒潮「ええなー、作ろ作ろ」
15 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:44:20.45 ID:1+N5b36So

黒潮「牛乳どんくらいやったかな?適当でえっか」

親潮「駄目ですよ、ちゃんと計りましょう」

黒潮「あー、これこれ、懐かしいなー。大好きやったわ」

親潮「大人になると食べなくなりますよね」

黒潮「うわ、もう固まった!すごいなー、不思議やなー」

親潮「本当に簡単ですね」

黒潮「うわ、美味し!メッチャいけるやん」

時津風「何か食べてるー」ヒョコ

黒潮「おっ、ええとこ来たなー」

親潮「フルーチェですよ」

雪風「フルーチェって何ですか」

黒潮「何や雪風、フルーチェ知らんの」

時津風「何それ美味しいの」

親潮「えっ、時津風もですか」

時津風「知らなーい」

黒潮「よっし、そんならもう一回作ろか」
16 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:45:36.92 ID:1+N5b36So

黒潮「袋を開けて……と」ガサゴソ

雪風「何これー?」

時津風「変なのー」

黒潮「まあまあ待ちや、まだ途中やて」

黒潮「今からな、牛乳混ぜるんや」

黒潮「よー見とき」トクトク…

黒潮「ほら!」プルンッ!

雪風「固まった!」

時津風「すごーい!魔法みたい!」

黒潮「どやどやー!」

雪風「どうやったの、どうやったの」

黒潮「魔法やで」

時津風「ホントに魔法なの!?」

黒潮「実はな、ウチ魔法使いやねん」

雪風「ほわっ!?魔法使い!?」

時津風「プリキュアなの?」

黒潮「キュアブラックやねん」

雪風「すごーい!」
17 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:46:20.77 ID:1+N5b36So

時津風「ホワイトは?ホワイトは誰」

黒潮「ホワイトは白雪や」

時津風「白雪なの!」

黒潮「悪い奴やっつけんねん」

雪風「すごーい!」

時津風「変身して!」

黒潮「ダメダメ。内緒やからな」

雪風「内緒なの」

黒潮「せや、みんなには秘密やで」

時津風「えー」
18 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:47:28.44 ID:1+N5b36So

黒潮「それよりほら、完成やで」

黒潮「これムッチャ美味しいから。みんなで食べよな」

雪風「わーい!」

時津風「美味しーい!甘ーい」

黒潮「せやろ。よーさんあるから、じゃんじゃん食べよな」ニコー

陽炎「黒潮」

不知火「黒潮」

黒潮「ちゃうねん」

不知火「また甘いものを食べていますね」

黒潮「これはな、ちゃうねんて」

陽炎「アンタさっきも雪見だいふく食べてたじゃない!」

黒潮「くっ……ここは一時撤退や!」ダッ!

不知火「あっ、逃げた!」

陽炎「こら!待ちなさーい!」
19 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:48:34.50 ID:1+N5b36So

時津風「フルーチェ食べたーい」

親潮「あら?もう食べたのですか」

時津風「黒潮はー?」

親潮「ええっと、どこかに行っちゃいましたね」

時津風「えー」

雪風「もっと食べたいです」

親潮「じゃあ特別に……」トクトク…

親潮「はい、どうぞ」プルルンッ!

時津風「!」

雪風「!」

時津風「親潮も作れるの!?」

雪風「親潮もプリキュアなの!?」

親潮「うふふ。みんなには内緒ですよ」ニコッ

20 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:50:50.38 ID:1+N5b36So


【 初風 】


野分「初風、クイズをしませんか」

初風「クイズ?」

野分「はい。さっき長門さんに教えてもらいました」

初風「へえ」

野分「頭の体操です」

初風「いいわよ、クイズは得意だもの」

野分「じゃあ、まずは簡単なのから」
21 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:52:21.83 ID:1+N5b36So

野分「第一問。お父さんが嫌いな果物は何でしょう」

初風「はあ?簡単過ぎ、パパイヤでしょ」

野分「お、流石にやりますね」

初風「もっとガンガン来なさいよ」

野分「それでは、第二問」

野分「お母さんが笑顔になると出てくる果物は何でしょう」

初風「む」

野分「制限時間は10秒です」

初風「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ」

野分「ヒント要りますか」

初風「要らないわよ、そんなの。考えるからちょっと待ちなさい」

野分「はいはい」ニコニコ
22 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:53:39.97 ID:1+N5b36So

舞風「初風!初風!」ドアガチャバターン!

初風「!?」ビクッ!

舞風「お父さんが嫌いな果物ってなーんだ?」

初風「な、何よいきなり」

舞風「なぞなぞだよ、えっへっへ〜♪難しいでしょー」

舞風「舞風は分かったよ!」

舞風「ヒントはね〜、お父さんは外国人なんだよ〜」

初風「あー、うん。ちょっと待ちなさい」

時津風「初風ー!初風ー!」ドアガチャバターン!

時津風「えっとね、えっとね、パパイヤはパパが嫌いなんだよ、何ででしょー」

初風「知らないわよ」

時津風「えっ?嘘?パパイヤ知らないの」

初風「知ってるわよ」

時津風「もぉーっ!どっちなのさぁ!」

初風「いいから少し落ち着きなさい」

雪風「初風!初風!初風ぇー!」ドアガチャバターン!

雪風「大変です初風!パパイヤはお父さんです!」

初風「それは大変ね」

雪風「鈴木さんです!」

初風「誰なのよ、それ」

雪風「どうして嫌いなのですか!」

初風「知らないわよ」

雪風「じゃあ第二問です!」

初風「アンタちょっと自由過ぎない!?」

23 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:55:03.05 ID:1+N5b36So


【 雪風 】


雪風「しれぇ!りんごです!」

司令「リンゴだね」

雪風「シャリシャリです!」

司令「シャリシャリだね」

雪風「りんごおいしいです!」

司令「美味しいね」





雪風「しれぇ!おすしです!」

司令「お寿司だね」

雪風「シャリです!」

司令「おっ、よく知ってるね」

雪風「えへへ」

雪風「玉子おいしいです!」

司令「美味しいね」





雪風「しれぇ!おすしです!」

司令「二つ持ってきたね」

雪風「シャリシャリです!」

司令「シャリシャリだね」

雪風「にてます!」

司令「似てるね」

雪風「おんなじです!」

司令「同じかなぁ」

雪風「玉子おいしいです!」

司令「玉子以外も食べたいなぁ」

24 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:56:38.68 ID:1+N5b36So


【 天津風 】


今日のおやつはさくらんぼ。 甘くて美味しい仲良し果実。



天津風「さくらんぼなんて珍しいわね」

雪風「甘酸っぱくて美味しいです」

時津風「さくらんぼ大好き」

足柄「さくらんぼと言えば」

足柄「アンタ達、これ出来る?」

天津風「?」

足柄「こうやって……」モゴモゴ

足柄「ほら」ペ

天津風「!」

時津風「すごーい!」

足柄「手を使わずに茎を結ぶの」

時津風「そんなの簡単だよー」

雪風「やってみますー」モゴモゴ
25 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 01:58:43.84 ID:1+N5b36So

天津風「……」モゴモゴ

天津風「……!」モゴモゴ

天津風「〜〜!?」モゴゴ

天津風(出来ない……!)

雪風「難しいです」アウー

時津風「うう〜、こんなの無理だよ」

足柄「やっぱりお子ちゃまには難しいかしら」

天津風「む」

天津風「何よこんなの、いきなり出来る訳ないじゃない」

不知火「……」モゴモゴ

不知火「出来ました」ペ

天津風「えっ」

春雨「出来ちゃいました」ペ

天津風「は?」

漣「デキタコレ!」ペ

天津風「えええぇ〜?」

足柄「あら、すごいじゃない」

天津風「何よそれ、どうして出来るのよ」

不知火「どうしてと言われても…」

春雨「身体が勝手に」

漣「自然に出来る感じ?」

天津風「はああぁぁ?」
26 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:00:05.32 ID:1+N5b36So

足柄「う〜ん、才能というか素質かしらね」

漣「やはり天才?」キリッ

天津風「むうぅ〜」

不知火「さて……と」ガタッ

天津風「どこ行くの」

不知火「司令の所へ。報告に」

天津風「報告って」

不知火「不知火はデキる女です、と」キラーン

天津風「ちょっと待ちなさいよ」

天津風「こんなの出来たって何も意味ないわよ」

不知火「そうなのですか」

足柄「いや多分、男の人はすっごく喜ぶわよ」

天津風「はあっ?何でよ」

足柄「何でですかね〜」ニヨニヨ
27 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:01:07.94 ID:1+N5b36So

天津風「こ、こんなの練習すればすぐなんだから」モゴモゴモg

足柄「あーダメダメ、そんな強くやっちゃ」

足柄「こうやって優しくね」ンッンッ

足柄「ほら、ちょうちょ結び」ペ

天津風「ッ!?」

天津風「な、何なのよそれ!」

足柄「これくらいで驚いてちゃダメよ」

足柄「隼鷹なんてもっとすごいわよ」

天津風「何でこんなのが出来るのよ!」

足柄「何でかしらね〜」

巻雲「出来ましたぁー!」ペ

天津風「巻雲までー!?」

28 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:02:42.42 ID:1+N5b36So


【 時津風 】


今日のおやつは真っ赤なリンゴ。
硬くて美味しい人気の果実。


雪風「りんご?」

時津風「リンゴだー!」

卯月「やったぴょーん!」


大淀「あらあら」

司令「随分喜んでるな」

時津風「陸奥さんアレやって!」

陸奥「はいはい、アレね」シャリシャリ

陸奥「はい、ウサギさん」

卯月「すごーい!うさぴょん、うさぴょん!」

陸奥「文月ちゃんはお花ね、はい」

文月「ふ、フミィ…… ///」

司令「飾り切りか」

大淀「さすが陸奥さんですね」
29 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:04:17.93 ID:1+N5b36So

時津風「長門さんアレやって!」

長門「む、アレか」

時津風「早く早く!」

長門「まあ待て、慌てるな」

司令「お?長門も出来るのか」

長門「フン!」バキグシャッ!

司令「」

長門「次はお前がこうなる番だ」(決め台詞)

雪風「キャー!」

時津風「カッコいい!」

文月「ふえぇ〜」

司令「何だよこれ……」

大淀「片手で握り潰しましたね」

卯月「もう一回!もう一回!」

長門「む、仕方ないな……よし、今度はダブルでいくぞ」

長門「ヌンッ!」ゴキバキグシャリ!

長門「死にたい奴から前に出ろ」キリリッ


 キャーッ キャーッ ワー ワー ステキー ゴリラー


司令「この女子力の差」

大淀「でも、長門さんの方が人気ありますよ」

司令「そうなの?」

大淀「気は優しくて力持ち。昔からみんなの憧れです」

司令「いや、それ力士の誉め言葉だからね」

30 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:07:43.57 ID:1+N5b36So


【 浦風 】


香る紅茶に美味しいお菓子。
金剛主催のお茶会は、いつでも誰でもウェルカム。



浦風「今日は姉を連れてきたんよ」

黒潮「黒潮や、よろしゅうな」

親潮「親潮です。お招き頂きありがとうございます」

金剛「ようこそデース」

霧島「さあさあ、こちらにどうぞ」

比叡「楽しんでいってくださいね!」

黒潮「ウチ、お茶会なんて初めて」

親潮「私もです。緊張しますね」

榛名「ふふ、リラックスして下さいね」

霧島「今日はアールグレイにしてみました」

親潮「いい香り」

黒潮「こらまた上品やわ」

浦風「霧島姉さんの紅茶は最高なんじゃけぇ」
31 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:08:45.80 ID:1+N5b36So

親潮「器もとても素敵ですね」

黒潮「高そうなカップやなー」

金剛「これは提督に買ってもらいマシタ」

浦風「提督に?」

金剛「改二のお祝いデース!」

黒潮「何や司令はん、ええとこあるやん」

比叡「比叡はカレー皿と銀のスプーンでした」

親潮「わあ、これも素敵ですね」

黒潮「へえ、それぞれ違う物なんや」

浦風「提督って意外にセンスええんじゃねぇ」

金剛「提督とても優しいデース ///」
32 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:10:10.04 ID:1+N5b36So

浦風「でも、ええの?」

金剛「ハイ?」

浦風「こんな高価なの使って」

金剛「ティーカップは使うものデース」

金剛「棚に飾っていても意味がありまセン」

親潮「けれど、うっかり割ってしまったら……」

金剛「物には神様が宿りマス」

黒潮「神様?」

金剛「ハイ。神様デス」

金剛「長く使ったり大切に扱った物には、神様が宿りマス」

金剛「ツクモガーミ、デース」

浦風「つくもがみ?」

黒潮「……突く最上!?」

霧島「それは違う妖怪です」

親潮「神様……付喪神ですね」
33 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:11:58.83 ID:1+N5b36So

金剛「美味しい紅茶を淹れて貰えれば、きっとポットも嬉しいデース」

金剛「みんなに喜んで貰えたなら、カップだって幸せデース」

金剛「箱に閉じ込めて仕舞っていれば、神様も悲しみマス」

金剛「耳を傾けてみてくだサイ」


ポット 『シアワセ シアワセ』

カップ  『ウレシイ ウレシイ』


浦風「……聞こえた」

金剛「さあさあ、もっと飲んでくだサイ」

金剛「ポットにもカップにも、もっと働いてもらいまショウ!」

黒潮「ええ話やわー」

浦風「ん?」

浦風「あっちのお皿も何か呟いとるね」

親潮「比叡さんのカレー皿ですね。聞いてみましょう」


皿 『ツライデス ツライデス』

スプーン 『フコウダワ…』


浦風「」

黒潮「」

親潮「」


浦風「……えーっと」

黒潮「ウチ、よぉ聞こえへん」

親潮「奇遇ですね、私もです」
34 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:13:15.52 ID:1+N5b36So

霧島「浦風はこういうの持ってないの」

浦風「うーん、ウチらまだ改二になってないし」

金剛「何でもいいんデスよ、高価じゃなくても」

比叡「長く使ってたり、思い入れのある道具とかでも」

黒潮「あっ、それならウチ持ってる」

黒潮「一家に一台、たこ焼き器」

浦風「あー、アレかぁ」

黒潮「着任した時からずっと使ってるんや」

親潮「年季入ってますよね」

榛名「たこ焼き器なら私も持ってますよ」

黒潮「へ?榛名さんも」

榛名「デザートに使います」

黒潮「デザートに?」

榛名「今日も作ってみたんですよ」

榛名「黒潮さん達がいらっしゃると聞いていたので」

榛名「少し変わった物をと思いまして」
35 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:14:11.70 ID:1+N5b36So

榛名「はいどうぞ、フルーツたこ焼きです」

黒潮「うわー、メッチャおしゃれやわ」

榛名「タコの代わりに果物が入ってます」

榛名「ソースもフルーツでジャムを色々」

親潮「素敵ですね、宝石みたいです」

黒潮「うわ、これ美味しい」

浦風「こんな使い方があるんじゃねぇ」

黒潮「ウチも帰って作ってみよ」

親潮「雪風達も喜びそうですね」

霧島「さあ、紅茶のおかわりをどうぞ」

比叡「紅茶もお菓子も沢山ありますよ!」

金剛「パーティーはまだまだこれからデース!」

36 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:15:36.37 ID:1+N5b36So



◇◇◇



黒潮「雪風ー、時津風ー、おいでー」

雪風「何々、おやつ?」ヒョコ

黒潮「今日はすごいで、フルーツたこ焼きやで」

時津風「フルーツたこ焼き!?」

雪風「果物なの」

黒潮「せやでー、榛名さんに教えてもらったんや」

時津風「すごーい!」

雪風「美味しいー!甘ーい!」

黒潮「ようさんあるからな、みんなで沢山食べよな」ニッコリ

陽炎「黒潮」

不知火「黒潮」

黒潮「ちゃうねん」

陽炎「アンタいい加減にしなさいよ!」

不知火「甘いものは控える約束です」

黒潮「これはちゃうんや、神様やねん」

陽炎「はあ?神様」

黒潮「そうや、付喪神やねん」

不知火「突く最上!?」

陽炎「つ、突くってアンタ、何言ってんのよ ///」

不知火「最上さんを突くのですか、それともやはり最上さんの方が……!」

浦風「付喪神じゃけえね」

37 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:19:32.60 ID:1+N5b36So


【 磯風 】


大きめのグラスに氷を詰めて、冷えたウオッカをなみなみ注ぐ。
日本の夏は辛いけど、これさえあれば乗り切れる。


響「ハラショー」

阿武隈「こら!ダメでしょ!」

響「ん、阿武隈かい」

阿武隈「子供なのにお酒なんて飲んじゃダメ」

響「ロシアでは水代わりさ」

阿武隈「ここは日本!」

響「不死鳥の名は伊達ではないよ」

阿武隈「とにかくダメダメ!」

響「むうぅ〜」プクー

38 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:20:41.13 ID:1+N5b36So





響「やれやれ、阿武隈にも参ったものだよ」

響「何かいい方法はないかな……」

響「ん……?」



浦風「ウチはレモン味!」

谷風「谷風さんはイチゴな!」

秋雲「秋雲さんは氷あずきで!」

浜風「磯風は何味のシロップにしますか」

磯風「む、そうだな……」

磯風「私は何もかけなくていい」

浜風「えっ」

谷風「甘くないじゃん」

磯風「バルジが気になるしな」

浜風「少しくらい いいじゃないですか」

磯風「暑いしあんまり甘ったるいのは欲しくないんだ」

秋雲「え〜」

谷風「それじゃあ、ただの氷じゃん」
39 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:21:42.55 ID:1+N5b36So

親潮「氷本来の味が味わえるから、年配の方は時々されますね」

陽炎「食通っぽいわね」

磯風「そんな立派なものじゃないさ」

黒潮「あ、でも甲子園やと割と見かけるな」

浜風「味のない氷をですか?」

黒潮「かち割り言うてな、結構売れてるみたい」

浜風「そうなんですか」

黒潮「あ、間宮さん、ウチのは練乳たっぷりで!」

陽炎「アンタはちょっと自重しなさい」



響「……これだ!」ピコーン!
40 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:23:00.58 ID:1+N5b36So





雷「私、イチゴー!」

暁「暁はブルーハワイよ!」

電「はわわ、おしゃれなのです」

暁「レディなんだから」フフン

電「響ちゃんは何にするのですか」

響「私は氷だけで」

雷「はあ?何よそれ」

暁「そんなの甘くないじゃない」

響「甘くないのもいいものだよ」

暁「えー?」

響「この冷たい水をかけて食べるんだ」トクトク

響「うん、さっぱりして美味しい」

雷「何だか大人ね」

電「大人なのです」

暁「むううっ〜」





雷「あ、隼鷹さんとポーラさんだわ」

電「お酒に釣られて寄ってきたのです」

暁「でも変ね、ここにお酒なんて無いわよ」

雷「不思議ね」

響「不思議だね」

電「不思議なのです」

41 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:24:16.83 ID:1+N5b36So


【 浜風 】


浜風「渋柿ですか」

鳳翔「はい、今年もたくさん頂きました」

浜風「干すんですよね?手伝います」

鳳翔「ありがとうございます」

雪風「渋柿って何ですか」

浜風「名の通り、渋い柿です」

時津風「渋いって?」

浜風「あー…食べてみますか」

雪風「食べていいの?」

時津風「食べる食べるー!」
42 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:25:29.83 ID:1+N5b36So


雪風「うぇ!何これ!」

時津風「変な味!美味しくない」

浜風「これが渋味です」

雪風「あうあう〜」

時津風「こんなの食べられないよ〜」

浜風「はい、このままでは無理です」

浜風「そこで魔法をかけます」

雪風「魔法?」

浜風「皮を剥いて吊して干します」

時津風「それだけ?」

雪風「干すだけでいいの?」

浜風「はい」

時津風「えぇ〜?」
43 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:26:15.52 ID:1+N5b36So


  〜 数週間後 〜 


雪風「しわしわ〜」

時津風「変な色〜」

浜風「完成です」

雪風「えぇ〜、こんなの美味しくないよ」

時津風「絶対マズいよ」

浜風「大丈夫ですよ、はい」

雪風「!」

時津風「!」

雪風「甘ーい!」

時津風「何で?美味しい!」

浜風「魔法です」

雪風「すごーい!魔法ー!」
44 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:27:29.02 ID:1+N5b36So







ローマ「……何これ」

リットリオ「軒下にピーマンが吊してありますね」

アクィラ「こっちにはセロリがたくさん〜」

ローマ「何なの、嫌がらせ?」

リットリオ「虫除けとかじゃないかしら?」

リベッチオ「あ、それ雪風のだよ」

リベッチオ「触ったらダメだよー」

ローマ「何なのよこれは」

リベッチオ「う〜ん、リベもよく知らないんだけど」

ザラ「魔法とか言ってたわね」

ローマ「魔法?」

リットリオ「何かの儀式かしら」

ローマ「こんなの絶対に黒魔術よ」

アクィラ「日本には不思議がたくさんですね〜」

45 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:30:13.01 ID:1+N5b36So


【 谷風 】


出掛ける支度をしていると、めざとく谷風がやって来た。
清霜から話を聞き付けて、慌ててここに来たようだ


谷風「パスタ屋に行くんだって?谷風も連れてっておくれよぅ」


生粋の江戸っ子である谷風にとって、パスタは欠かせぬソウルフードなのだと言う。


那智(お前のソウルフードは、パスタではなくてお菓子だろう)

那智は心の中でそう思ったが、口に出すのは止めておいた。


那智「別に構わんが、退屈だぞ」

谷風「がってんだー!」パアアァ!


”生粋の江戸っ子”という言葉の意味を、那智は百回くらい教えたが。
大阪生まれ広島育ちの谷風は、大きく「うん!」と答えるだけで、最後まで理解を示さなかった。


武蔵「フッ、随分待たせたようだな」


果たして約束の時間になると、のそり、と武蔵がやって来た。
足元にはいつものように、清霜が纏わりついて離れない。


那智「いや、時間通りだ」

清霜「それじゃあ、しゅっぱーつ!」
46 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:31:20.66 ID:1+N5b36So





武蔵「ふむ、イタリア料理とは珍しいな」

那智「いい雰囲気だろう。重巡の集まりで時々使うんだ」

武蔵「ほう」

那智「味も本格的でな、ザラやポーラのお墨付きだ」

武蔵「それは楽しみだな」

那智「種類も豊富だぞ。パスタだけでも何十種類もある」

谷風「うおー!」

清霜「すごーい!」
47 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:32:38.43 ID:1+N5b36So

那智「お前達はパスタとか分からないだろう。店のオススメでも頼んでみるか」

谷風「てやんでぇ、べらんめぇ!谷風さんは自分で決めるぜ」

谷風「こう見えてパスタにはうるさいんだ。通に任しておくれよ」

那智「ほう」

清霜「わたしも自分で選びたいです!」

清霜「毎日リベと遊んでいるからイタリアには詳しいです!清霜は国際派です」

武蔵「ふむ」

那智「よし、それなら各々好きなのを注文しろ」

清霜「やったー!わたしナポリターン!」

谷風「よっしゃーっ!谷風さんもナポリターン!」

那智(通だなぁ……)

武蔵(国際派だなぁ……)
48 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:33:49.89 ID:1+N5b36So





店主「お待たせしました」コトッ

清霜「すごーい、何これー!」

谷風「真っ黒じゃねーか」

那智「イカスミのパスタだ」

清霜「こんなの食べたら、口が真っ黒になっちゃうよ」

武蔵「はっはっは」

那智「そう言うが、昔は歯が黒い方がモテてたんだぞ」

清霜「えー?」

那智「お歯黒と言ってな、わざわざ黒く塗っていたんだ」

那智「まあ、美人の代名詞だな」

谷風「へー」

清霜「そういえば羽黒さんって綺麗だよね」

谷風「うんうん、優しいしな」

那智(それは羽黒)

武蔵(お歯黒関係ない)
49 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:34:55.64 ID:1+N5b36So

谷風「でも那智の方が美人だけどな!」

那智「む」

清霜「いや、武蔵さんの方が美人だよ!」

武蔵「ん」

谷風「何言ってんだよ!那智の方がモテるに決まってるだろ」

清霜「違うよ!武蔵さんの方がモテモテなんだから!」

那智「おいおい、お前ら」

武蔵「こらこら、喧嘩するな」

谷風「あぁ?言っとくけどウチの鎮守府で那智が一番綺麗だからな!」

清霜「ちーがーいーまーすー!一番美人なのは絶対絶対武蔵さんだからね!」

那智「お前らケーキでも食うか」

武蔵「ジュースも飲んでいいぞ」

50 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:36:09.14 ID:1+N5b36So





武蔵「寝たか」

那智「ああ」

武蔵「しかし随分派手に汚したな」

那智「ナポリタンだからな、仕方ない」

武蔵「これはシミ抜きが大変だぞ」ヤレヤレ

那智「まあ、予想通りさ」


那智「さて、静かになったしもう少し飲もうか」

武蔵「赤にするか白にするか、ロゼというのもあるな」

那智「ローマに聞いたんだが、赤ワインは身体にいいらしい」

武蔵「ほう」

那智「ポリ……なんとかが効くそうだ。 美容にもいいそうだ」

武蔵「そんな事を聞いたら飲まなくてはならないじゃないか」

那智「うむ。仕方ないな」

武蔵「仕方ない、仕方ない」グビグビ

那智「あー、仕方ない」グビグビ

51 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:37:25.42 ID:1+N5b36So





那智「さて、最後はデザートだが……」

武蔵「こいつらは一度寝たら起きないぞ」

那智「むう、しかし来る前から楽しみにしていたからなぁ」

武蔵「そういえばジェラートがどうのと言ってたな」

那智「桃と洋梨がオススメらしい」

武蔵「お土産にしてはどうだ」

那智「テイクアウトか、だが持ち帰ると他の姉妹とで喧嘩にならないかな」

武蔵「全員分買ってやればいいじゃないか」

那智「全員分か、うーん……」

武蔵「何人いるんだ」

那智「二十人くらいいるな」

武蔵「」

那智「いや、もっとか」

武蔵「そんなにいるのか」

那智「どちらも大所帯だからな」

武蔵「それはつまり、駆逐艦寮ではこの二十倍騒がしいって事か」

那智「まあ、そうなるな」

武蔵「はー……」

那智「想像もつかんな」フフッ

52 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:39:16.10 ID:1+N5b36So


【 野分 】


野分「ぶどう感……ですか?」

那珂「うん、武道館。知ってるかな?」

野分「いや、ちょっとよく分からないですね」

那珂「そっかぁ、まだ知らないか」

野分「那珂ちゃんは知ってるんですね」

那珂「もちろんだよ!だって憧れだもん」

野分「憧れ、ですか」

那珂「そうだよー。感動したり興奮したり、言葉では言い表せないよ」

野分「そんなにすごい感覚なのですか」

那珂「心を……ううん、魂を揺さぶる感じだよ」

野分「それはつまり、快感や多幸感といった意味でしょうか」

那珂「うんうん、それに近いというか、全部合わせたような感じ。だって頂点だもん」

野分「頂点……絶頂……ですか」
53 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:40:42.33 ID:1+N5b36So

那珂「あ〜思い出すなぁ、初めて行った時の事」

野分「イッた!?初めて?」

那珂「あれは那珂ちゃんが今の のわっちぐらいの頃だったかなぁ」

野分「そ、そんなに早く?」

那珂「早くないよ、普通だよ」

那珂「ああ、でも那珂ちゃん都会っ子だったからね。田舎の子よりは早かったかも」

野分「やっぱりそういうものですか」

那珂「馬鹿にする訳じゃないけど、田舎だとやっぱり大変だよ」

野分「そ、それでどんな感じだったんですか」

那珂「ん?武道館」

野分「はい。その、初めてイッた時のぶどう感というのは」

那珂「そりゃもうすごかったよ!那珂ちゃん泣いちゃったもん」

野分「やっぱり痛かったんですか」

那珂「ううん、気持ちよくて」

野分「気持ちよくて泣くのですか!?」

那珂「感涙って言うのかなぁ……一生忘れられないなぁ」

野分「」
54 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:42:10.94 ID:1+N5b36So

野分「だ、誰と……」

那珂「え?」

野分「初めてイッた時のお相手は誰だったんですか」

那珂「川内ちゃんだよ」

野分「川内さんっっ!?」

那珂「あと神通ちゃんも」

野分「神通さんまでっっ!?」

野分「い、いきなり三人ですか!三人でイッたのですか」

那珂「そうだよ。みんな一緒だよ」

野分「し、姉妹ですよね?普通は男の人とじゃないんですか」

那珂「まあデートとかでね、男の人と一緒に行く人もいるよね」

野分「ですよね、普通はそうですよね」

那珂「でも那珂ちゃんは、川内ちゃんと神通ちゃんが良かったんだ」

那珂「最初は三人で行こうねって、決めてたんだ。だって……大好きだから」

野分「で、でもやっぱり普通は……」

那珂「実を言うとね、神通ちゃんは最初あまり乗り気じゃなかったんだよ」

野分「ですよね!そう思います!神通さんは絶対そうです」

那珂「でも照明が消えて本番が始まると変わったんだ」

野分「嘘ですよね」

那珂「髪を振り乱し大きな声をあげて大興奮だよ」

那珂「本番が終わった後は、もうみんな汗だくでグッタリだったよ」

野分「」
55 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:43:15.21 ID:1+N5b36So

那珂「どう?少しは興味でたかな」

野分「の、野分にはまだ早いです……」

那珂「そんな事ないよ!さっきも言ったけど那珂ちゃんだって最初は のわっちぐらいの時だったよ」

野分「でも……野分はそういうの何も知らなくて」

那珂「大丈夫だよ!那珂ちゃんが全部教えてあげる!」

野分「ぶどう感の事も?」

那珂「武道館の事も!」

野分「どうやってイクかも?」

那珂「いろんな行き方を教えてあげる!」

野分「あ、あの……野分は、野分は……」モジモジ

那珂「優しくしてあげるから……ね?」ニコッ

野分「…… ///」コクッ

56 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:44:32.24 ID:1+N5b36So


【 嵐 】


むかしむかしあるところに、二人の女の子が住んでいました。


あらし「りんご大好き」

はぎぃ「ぶどう大好き」


二人は甘いものが大好きで、毎日くだものばかり食べていました。


磯風「さあ、ご飯だぞ二人とも」

あらし「……」

はぎぃ「……」


比叡「美味しいカレーが出来ましたよ!」

あらし「……」

はぎぃ「……」


二人はいつも好き嫌いばかり。

ご飯も食べずにくだものばかり食べていました。

57 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:45:36.47 ID:1+N5b36So


そんなある日……


あらし「うわあーん!」

はぎぃ「髪の毛がー!」


何という事でしょう。


りんごばかり食べていたあらしの髪は赤色に。

ぶどうばかり食べていたはぎぃの髪は紫色に。


好き嫌いばかりしていた二人は、くだもの星人になってしまったのです。


わがままを言っていたばっかりに……

好き嫌いをしていたばっかりに……


くだもの星人になった二人は、それから毎日泣いて暮らしましたとさ。



おしまい。

58 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:46:44.22 ID:1+N5b36So



陽炎「……というお話だったのよ」つ 絵本


雪風「……!?」ガクガク

時津風「……!?」ブルブル

雪風「か、髪の毛が……あ、赤色に?」

時津風「ふ、不良なの、チンピラなの」

陽炎「そうよ。好き嫌いばかりしてると、アンタ達もそうなるわよ」

雪風「ふ、ふえぇ……」

時津風「怖いよ怖いよ」

雪風「ど、どうすれば……」

陽炎「ちゃんと言う事を聞いて、いい子にしていれば大丈夫よ」

雪風「雪風いい子になります!」

時津風「時津風もなるよ!好き嫌いしないよ!」

陽炎「よしよし、偉いわね二人とも」 ニッコリ

59 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:47:27.33 ID:1+N5b36So





黒潮「いや〜、すごい効き目やわ」

不知火「どうしたんですか、この絵本」

陽炎「秋雲に頼んだの」

不知火「なるほど、さすが秋雲ですね」

陽炎「これで好き嫌いもなくなるわ」

黒潮「いい子にもなるし、万々歳やな」

陽炎「うんうん、万々歳よ」



嵐「陽炎」

萩風「陽炎」

陽炎「さっ、遠征行ってこなきゃ」イソイソ

嵐「陽炎」

萩風「陽炎」

陽炎「あー、忙しい忙しい」スタスタ

60 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:50:38.45 ID:1+N5b36So


【 萩風 】


コタツでぬくぬく寝て過ごし、喉が渇けばミカンを食べる。

焼いた餅も芋もある。温かいお茶もある。

雪降る真冬の桃源郷。ずっとこうして暮らしたい。



萩風「ただいまー」

嵐「あー、疲れたー」

野分「嵐、萩風、お帰りなさい」

萩風「わぁ、部屋は暖かいね」

野分「さ、コタツにどうぞ」

野分「すぐお茶を淹れますね」

嵐「あ、手伝うよ」

野分「大丈夫ですよ、ゆっくりして下さい」
61 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:51:23.84 ID:1+N5b36So





嵐「あぁ〜コタツ幸せー」

萩風「外、寒かったもんね」

野分「ミカンもありますよ」

嵐「おっ、ミカンいいねぇ」

萩風「あれ、舞風寝ちゃってるね」

野分「頑張って待っていたんですけどね」

野分「ついさっき、力尽きました」

嵐「おコタ気持ちいいもんな」

萩風「布団で寝ないと風邪ひくよ」

嵐「まあ少しくらい大丈夫さ」
62 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:52:10.85 ID:1+N5b36So





萩風「ミカン美味しいね」

嵐「すごく甘いな」

野分「暇だったんで、たくさん揉んどきました」

嵐「えっ、ミカンって揉むと甘くなるの」

野分「あれ?聞いた事ありませんか」

嵐「えー、初耳」

野分「食べ比べしてみますか」

嵐「するするー」

野分「こっちが普通のミカンで」

野分「こっちが揉んだやつです」

嵐「どれどれ……」

嵐「……あ!」

嵐「すごい!全然違う!」

野分「鳳翔さんが教えてくれました」

萩風「どういう仕組みなんだろうね」

野分「不思議ですね」
63 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:53:00.46 ID:1+N5b36So





嵐「のわっちって、結構几帳面だよな」

野分「え、そうですか」

嵐「ミカンの房の白いやつとかさ」

萩風「ああ、野分は全部剥く派だね」

野分「嵐は剥かないんですか」

嵐「俺は皮だけだなー、面倒だし」

萩風「この白い筋はすごく栄養があるんだよ」

野分「そうなのですか」

萩風「ビタミンとか食物繊維とか」

嵐「はぎぃは詳しいなぁ」
64 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:54:13.94 ID:1+N5b36So





萩風「筋を綺麗に取って」

萩風「つるつるになったミカンの房をね」

萩風「こうやってふたつ重ねるとさ、ほら 唇みたいでしょ」プニ

萩風「感触もね、本物そっくりなんだよ」プヨ

嵐「おー、ちょっと厚めの唇だね」

萩風「唇の厚い女の人はエッチなんだって」

嵐「えー、何それ ///」

嵐「じゃあ、のわっちとか厚々じゃん」

野分「な、何でですか!野分はエッチではありません!」

萩風「あはは」
65 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:55:18.62 ID:1+N5b36So





嵐「あ、はぎぃそれ貸して」

萩風「え?ミカン」

嵐「そうそう、その重ねたやつ」

萩風「はい」

野分「?」

嵐「ほらほら舞風〜」チュッチュッ

嵐「エッチな野分ですよ〜」チュッ

萩風「ふふ、何やってるの」

嵐「いや眠り姫にさ、王子様のキッス」

舞風「う、う〜ん……野分?」

嵐「おっ、反応した」

嵐「朝ですよ〜、起きてくださ〜い」チュッチュッ

舞風「もう……さっきたくさんしたでしょ〜」ムニャムニャ

嵐「!?」

萩風「!?」

野分「!?」

舞風「続きはお風呂に入ってからね〜……」スヤァ…

嵐「!? ///」

萩風「!? ///」

野分「!? ///」
66 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:56:16.48 ID:1+N5b36So

嵐「え、えっと……野分さん?」

野分「違います」

萩風「これは一体、どういう」

野分「違います」

嵐「ちょっと詳しく聞かせてもらおうかな」

野分「これは違うのです」

萩風「うんうん、詳しくは署の方で聞くからね〜」

野分「野分には何のことやら」

67 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:57:46.53 ID:1+N5b36So


【 舞風 】


今日のおやつは黄色い果実。

クレープにもシェイクにも、チョコレートにもミルクにも。
何にでも合う人気者。



舞風「長門さん、長門さん」

長門「ん、舞風か。どうした」

舞風「これ、あげます」

長門「む?これは……バナナか」

舞風「たくさん食べてください」タタタッ

長門「あっ、おい、舞風」
68 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:58:33.32 ID:1+N5b36So





陸奥「どうしたの、それ」

長門「いや、駆逐艦の子達に貰ったんだが」

陸奥「えー、また?」

長門「う、うむ」

陸奥「え、何で?あの子達のおやつじゃないの」

長門「私にも分からないんだ」

陸奥「どうするの、こんなに沢山」

長門「食べるさ」

陸奥「これ全部?」

長門「う」

陸奥「相当あるわよ」

長門「まあ、何とかなるだろ」

長門「別にバナナは嫌いじゃないしな」
69 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 02:59:30.13 ID:1+N5b36So





長門「……」モシャモシャ



舞風「どお?」ソー

嵐「食べてる、食べてる」

野分「すごい量ですね」

萩風「あれ全部食べるのかな」

舞風「ほらね、言ったでしょ」

舞風「長門さんはバナナが一番好きなんだよ」

萩風「確かにそうかも」

嵐「あの食べっぷりだもんな」

舞風「みんなにも教えてくるね」タタタッ

野分「あっ、舞風、私も行きます」
70 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 03:00:32.54 ID:1+N5b36So





舞風「何それ」

不知火「菓子折りです。長門さんに、日頃のお礼をと」

舞風「あー、そんなのダメダメ」

舞風「長門さんにはバナナじゃないと」

不知火「えっ、バナナですか」

舞風「そう!バナナ!なるべくおっきな奴ね」

不知火「しかしバナナなんて……」

舞風「だーいじょうぶだって、バナナ大好きなんだから長門さん」

陽炎「ゴリラじゃないんだから、そんなにバナナばかり食べる訳ないでしょ」

舞風「じゃあ、見てみてよ」

舞風「ほら、あそこにいるよ」



長門「……」モグモグモグ



陽炎「……食べてるわね」

不知火「そういえば、こないだもモリモリ食べていましたね」

陽炎「え、何?本当にバナナが好きなの」

不知火「みたいですね」
71 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 03:01:34.00 ID:1+N5b36So





長門「確かに嫌いではないが……」

長門「こんなにあると流石に飽きるな」

陸奥「間宮さんのお店で使ってもらったら」

長門「いや、それは駄目だ」

長門「自分達のおやつを差し出してまで贈ってくれたんだ」

長門「やはり私が責任を持って食べ切るべきだろう」

陸奥「でも、この量よ」

長門「少々無理しても詰め込んで食べるさ」





長門「……!」モッシャモッシャ



不知火「すごい勢いで食べてますね」

陽炎「そんなに嬉しかったのかしら」
72 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 03:02:33.76 ID:1+N5b36So





長門「うっ!喉に詰まっ……!」ゴフッ

陸奥「ほらほら、慌て過ぎよ」

長門「うっ、うっ」ドンドン





陽炎「ドラミングしてるわね」

舞風「ドラミングって何?」

陽炎「胸をドンドン叩いてるでしょ、あれよ」

野分「どうして叩くんですか」

陽炎「興奮してるんじゃないかしら」

野分「そんなに喜んでくれているのですか」

陽炎「あと、威嚇してるのかも」

嵐「威嚇?何でさ」

陽炎「バナナを盗られると思ったんじゃないかしら」

萩風「あー、陸奥さんにね」

不知火「妹相手にも譲らないとは……本当にバナナが宝物なんですね」
73 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 03:03:29.99 ID:1+N5b36So

陽炎「はあ……仕方ないわね」

陽炎「長門さんへの贈り物はバナナにしましょう」

不知火「えっ、本当にバナナでいいんですか」

陽炎「あんなに好きならその方がいいわよ」

陽炎「みんなでお金を出しあって、バナナを沢山買いましょう」

舞風「やったーっ!」

萩風「どうせなら高級品にしてみる?」

嵐「あ、それいい!贈答用の奴とか」

不知火「喜んでくれるでしょうか」

舞風「絶対大喜びだよ!」

萩風「楽しみだね〜」

野分「楽しみですね」

74 : ◆36RVFTz/1g [saga]:2018/02/26(月) 03:04:41.63 ID:1+N5b36So


【 秋雲 】


真っ白な砂浜に打ち上げられ力尽きたイルカのように、姉達が黒コゲで死んでいた。
灼熱の地獄で繰り広げられた白熱のビーチバレーは想像以上の過酷さだったようだ。

クーラーボックスからキンキンに冷えたジュースをチラ見せしたら動き出した。
プリキュアの衣装のままデパートの屋上に行き、大興奮の幼女の群れに殺到された不知火の気持ちを、少しだけ理解する。


   オイテケー オイテケー ペリエオイテケー

   オイテケー ワタシネクター ズルイワタシモー


こんな状況でも、ペプシ あずき は人気がない。

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