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理樹「病院からの脱出」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/02/21(水) 22:32:31.58 ID:pphjyO2g0
理樹(真っ暗で静かな病院だった。4人で一つの大部屋に患者が寝ている中、僕もそれに漏れず固いベッドに寝かしつけられていた。両腕は柵に手錠をかけられていて動かせないようになっている)
理樹「どう…?」
理樹(静かな声で聞くと、すぐ横に立っていた謙吾は手錠を触りながら小さく唸って答えた)
謙吾「ううむ…これは流石に破壊出来ないな……万一出来たとしても音が大き過ぎる」
理樹(謙吾がそう言うと今度は向かいに立っている真人が口を開いた)
真人「いや、方法なら一つある。ただ、こいつはちょっと理樹には難しいかもしれねえが……」
理樹「どういう意味さ?今の僕ならなんだって…」
恭介「シッ!見回りだっ」
理樹(確かに遠くから小さな足音が聞こえた。そこで僕は慌てて口を開け、寝たふりをした)
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1519219951
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/21(水) 23:03:02.08 ID:pphjyO2g0
半年前
鈴「ううーん……むうぅ………」
理樹(鈴はもう長い間、レストランのメニュー表とにらめっこをしていた)
笹瀬川「うう〜!いつまで迷ってらっしゃるんですの棗さん!?私はもうお腹がペコペコですのよ!」
理樹(隣の笹瀬川さんが吠えた。二人は高校卒業後、同じ大学に入っている)
鈴「ち、ちょっとだけ待ってくれ…これでも凄く絞った。もう残すはこのハンバーグオムライスかデミグラスオムライスかオムライスインハンバーグだけなんだ!」
笹瀬川「全部一緒ではなくて!?」
理樹「まあまあ。鈴もこんなお洒落な店は中々来ないんだろうし…」
笹瀬川「もう少しで二十歳だというのにこの子はもうっ」
理樹「ははは……」
理樹(あのバス事故の後、学校を卒業しても僕らはこうやって月に何度か3人で集まっている。まるで残った僕らだけでも散り散りにならないよう互いの手を繋いで固まるように)
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/02/21(水) 23:40:42.58 ID:pphjyO2g0
鈴「決めた!このデミグラスにする!じゃあお手洗いに行ってくるから先に頼んでおいてくれ!」
理樹(そう言うと鈴は落ち着きのない様子で立ち上がっていった)
笹瀬川「本当に落ち着きのない子ね…」
理樹「ところで笹瀬川さん、鈴は大学でも元気?」
笹瀬川「ええ、まあ。この間もご友人と食堂で楽しそうにしていらしたわ」
理樹「そう…それは良かった…」
笹瀬川「ふふっ、あなたはあなたで心配性ですわよ。会うたびに棗さんの事ばかり気にかけて」
理樹「えっ、そ、そうかな……」
笹瀬川「ええ。それに心配するのはあなたではなくて?」
理樹「どう言う意味?」
笹瀬川「ズバリ棗さんとの関係ですわっ!」
理樹「ギクーッ!」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/21(水) 23:49:32.75 ID:KXweCNHp0
期待
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/02/22(木) 00:05:15.05 ID:Ik7A5N6V0
理樹(そう。依然、鈴との関係は前に進んでいない。というより高校からむしろ後退している。「あちら」の世界での僕達は確か付き合っていたと思われるが、それはあくまでその時の話。現実に帰還してから今に至るまで状況が状況のため、鈴とそういった空気になる事がなかった。これでは恭介達も草葉の陰で泣いていることだろう)
理樹「……っていうかなんで笹瀬川さん僕の気持ち分かったの!?そんな素振りあったっけ!?」
笹瀬川「いや……なんというか、あなたの動き全てがそういう素振りですわ……」
理樹(笹瀬川さんは呆れた顔でため息をついた)
理樹「でもさ…まだあれから一年しか経ってないんだよ。まだまだこれからゆっくり関係を縮めていければ……」
笹瀬川「そんな悠長なことを言ってられて?」
理樹「えっ?」
笹瀬川「確かに急ぎ過ぎるのは色々と良くありません。ですがそれはあくまであなたと棗さんの問題。他の殿方はそんな事御構い無しですわよ」
理樹「そっ、それってどういう意味!?」
笹瀬川「実は、棗さんと最近仲のよい男性がいらっしゃいますの」
理樹(笹瀬川さんの口から出てきた言葉は未だかつてない程、僕の頭に重くのしかかった)
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/02/22(木) 00:27:59.06 ID:Ik7A5N6V0
理樹「そ、それはどういう……」
鈴「さっきは待たせて悪かったな!」
理樹「あっ、おっ、お帰り!」
笹瀬川「………」
理樹(そう言いながら笹瀬川さんの方を見ると彼女はおそらく「後で話す」といった目配せをした)
鈴「なに、まだ頼んでないのか?」
……………………………………
……………………
……
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/02/22(木) 00:40:31.20 ID:Ik7A5N6V0
鈴「今日もいっぱい遊んだな。もう財布がすっからかんだっ」
理樹「そうだねぇ」
理樹(あれから遊ぶ所の気分ではなかった)
鈴「じゃあ帰るか佐々美」
笹瀬川「ええ」
理樹「いやいやいや笹瀬川さん…っ!」
理樹(そのまま何も言わずに帰ってしまいそうなので思わず腕を掴んでしまった)
鈴「ど、どうした理樹?」
笹瀬川「あっ……」
理樹(笹瀬川さんはそこでようやく合点いったようで申し訳なさそうに鈴に見えないよう片手で謝るジェスチャーをした)
笹瀬川「オ、オホホホ……そういえばこれから直枝さんと少し用事がありましたわ。棗さんは先に帰ってくださいな」
鈴「よーじって?」
笹瀬川「ええと……その……野暮用ですわ!」
理樹(本当に野暮用なんて言う人は初めて見た)
鈴「そーか……?まあ、あんまり遅くならないようにな」
理樹(そう言って鈴はタタタッと駅の方に走っていった)
笹瀬川「申し訳ございませんわ。私としたことが自分からけしかけておいて……」
理樹「それより話の続きをっ!」
笹瀬川「え、ええ……あれは2日前のことですわ……」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/02/22(木) 01:22:12.29 ID:Ik7A5N6V0
二日前
笹瀬川(私が彼女らを見つけたのはサークルの練習終わりでしたわ)
鈴「〜〜〜」
男「〜〜〜」
笹瀬川「おや……あれは……」
笹瀬川(いつもなら一人でベンチに座って私の帰りを待っている棗さんが今日は男性と談笑をしていましたの。女性のご友人とならたまに見かけますが殿方は初めてでしたわ)
鈴「!」
笹瀬川(棗さんがこちらに気がつくと何度か話して殿方は去って行きました)
笹瀬川「棗さん。さっきの方は?」
鈴「んー?ああ、授業で同じだった奴だ」
笹瀬川「そうですか。ではさっきは授業のことを?」
鈴「ああ。今度一緒に昼飯食べる事になった。授業のコツを教えてくれるらしい」
笹瀬川「お、お食事を!?」
鈴「どうかしたのか?」
笹瀬川「あ、いえ……ゴホン!」
鈴「あっ、そうだ!ご飯といえば今日は秋刀魚が食べたい!」
笹瀬川「ダメです。昨日のカレーがまだ残っているでしょう?」
鈴「なにィ!?」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/02/22(木) 01:38:45.22 ID:Ik7A5N6V0
笹瀬川「……以上が私の知るところです」
理樹(笹瀬川さんの報告で一つ思い出したことがあった)
理樹「……そういえば昔、恭介がこんな事を言ってた気がする」
恭介『鈴はまだ恋というものを知らない。だから誰かが言い寄ってくるたびに俺が鈴の代わりに丁重に断っているんだ』
笹瀬川「なるほど。今や棗さんは大学生。それこそ狙ってくる人は多くなると」
理樹「…………」
笹瀬川「……私は棗さんの友達ではあっても姉妹ではありません。明らかに厄介と分かる火の粉は払えても真面目に考えてらっしゃる方たちにNOと言える大義名分はありませんわ。そりゃ、私も直枝さんがお似合いかと思いますが……」
理樹(そうだ。高校の頃はまだそれで良かったのかもしれない。でも鈴は今こうしていながら大人になりつつある。そんな時、何もしていない癖に彼等を止める事なんて出来ない。そんな事が出来るのは今のところ恭介ただ一人だ)
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/02/22(木) 02:27:52.22 ID:Ik7A5N6V0
理樹(家の時計の針が12時を指していた。大学は大いに遅刻だ)
理樹「……今頃、鈴は食事か」
理樹(あれからずっとあらゆる事を考えた。その男性とはどういう人なのか、鈴はその人とどこまでいくのか、今すぐ僕が付き合おうなんて言うのは不自然過ぎるのではないか……どれも最後は鈴に行き着く。僕は自分でも気づかないうちにあの事故から唯一共に生還した鈴のことを必要以上に依存しているのかもしれない。鈴にみんなの存在をまとめて重ねているのかもしれない)
理樹(馬鹿みたいだ。そんなことでは恭介に顔向けできない。だけどこうしている間にも鈴がまたその男の人と喋っていると思うと悔しくてたまらない。どう割り切ったって割り切れない)
…………………………
鈴「……で、佐々美は理樹となんか喋った後そのまま別れていったんだ!」
男「なるほどなぁ。鈴ちゃんはどう思う?」
鈴「全く分からないからお前に聴いてるんだろ!」
男「うーん……別にそのままどっか一緒に行ったとかじゃないなら怪しい事はないと思うけどな〜」
鈴「も、もしかしたら私が引き返して隠れて見てたのがバレて解散したのかもしれないだろ!」
男「本当にそうだったらスパイ地味た誤魔化し方だね……まあでも疑いだしたらきりがないし、気にしない事にしたら?割り切るのが大事だぜ」
鈴「どう割り切ったって割り切れないっ」
男「ええ…」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/02/22(木) 02:39:21.02 ID:Ik7A5N6V0
男「とにかく二人がどっかで君に隠れて会ってたりしない限り疑わなくてもいいでしょ。だいたい佐々美さん?も君の大事な友達なんだろ?君に疑われちゃ可哀想じゃない」
鈴「そ、そうだが……そうなんだけど……」
男「ん〜〜もうそこまで思い詰めるなら思い切って告ったら?今までの聞いてたら絶対イケるって」
鈴「こ、告……!そんなのまだ……」
男「大丈夫大丈夫。なんなら後ろからついて行ってあげるから」
鈴「う、うぅ〜〜〜」
鈴「………分かった。次3人で集まる時に言う」
男「よし!」
………………………
理樹(とりあえずこのままだとどうにかなりそうだった。この間、遊んだばかりだけどもう一度鈴の顔が見たい。そう思うと自然と腕が携帯に伸びた)
プルルルル
笹瀬川『もしもし?どうしましたの』
理樹「次の日曜、また3人で会わない?」
笹瀬川「………しょうがないですわね。今回は私が火をつけたようなものですから……」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/02/22(木) 03:06:35.69 ID:Ik7A5N6V0
続く
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/22(木) 22:26:57.75 ID:IvX077xaO
リトバス出てから10年経ったとか考えたくねぇな…
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クオリティの高いサービスを貴方に
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