メイドカフェへようこそ!

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 22:56:46.93 ID:TkjN/KL+0
失恋をした。

同じサークルの同級生で、彼女はよくモテた。そりゃーもう、高嶺の花ってやつだったさ。

彼女いない歴、イコール年齢の俺にとっては高い目標だったのかもしれない。

なぜ彼女を好きになったのか?

そこに彼女がいたからさ!

好みの子がいたら、好みじゃない子よりそちらを選ぶのが道理ってもんでしょうが!

二人で遊びに行きもしたし、一人で俺の家に遊びに来たりもしたさ。

『たっちゃんだと、気を遣わずに済むから一緒にいて楽だなー』

『私たち、ペース合うよね』

なんて言われたら、こちらは脈ありって思うでしょうが!

それで、意を決して告白してみたらよ。

『ごめん、友達としか思ってなくて……』

よくある話ってやーつ! なんて思えるかよ! 失恋したこっちの身にもなってくれっつーの! 思わせぶりなこと言ってんじゃねーよ! 何、そんなの童貞の勘違いだぁ? 童貞の何が悪いっていうんだよこの野郎!

……なんて、心の中で逆切れしても何の意味もないんだけど。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1518962206
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 23:12:09.99 ID:TkjN/KL+0
一気に、何だか疲れてしまったよ。

もう恋なんてしないなんて……言っちゃうよね! こちとら安直に傷心しちゃったもんでして!

俺に救いをくれるのは二次元しかないっ! ってことで、電気街のオタクストリートを歩きながら今日の目当てを考える。

ギャルゲと少女漫画でも買って、二次元にキュンキュンして心を清めよう。

俺には二次元しかない。俺には二次元がある。

我ながら、三次元の女に失恋したにしては悲しすぎる思考回路である。こういうの、防衛機制で言えば置き換えっていうのかな。おお、何か知的っぽいぞ俺。

道を行く女たちも、だんだんジャガイモみたいに思えてきた。そうだ、三次元とか知ったこっちゃない。ほらほら、俺には遠く離れた彼女たちがいて、俺の帰りを待ってるんだ!

オタクショップに入店すると、そこはハーレム。

おお、こんなゲーム出てたんだ! ギャルゲって最高だな。

いくつか物色して、メイドのエロゲのコンシューマ版を手にした。やっぱり、裏切ったりしない従順な女の子が一番だよ。……なんて思うあたり、やっぱり引きずっているよなぁ。

自分の思考で気落ちしながらも、続いて漫画コーナーに向かう。姉ちゃんの影響で、子供の頃から少女漫画を読んでキュンキュンする癖ができてしまっているから、こういう時はピュアな漫画でも読んで現実を叩いてやろう。

平積みになっている新刊はどれも「ドSな俺様」「意地悪な○○くん」みたいなタイトルで、どうにも俺の好みではない。どうして女ってやつは、そういう強気で失礼な男を好きになるってんだ。いや、そんなこと考える俺も失礼なのかもしれないけどさ!

そのまま出版社ごとに陳列されている棚に移ると、高校生の頃によく読んでいたレーベルが目に入った。

うわー、懐かしい。この人の漫画、好きだったなぁ。

聞き覚えのある作者の単行本に、手を伸ばした。

その時。

「あっ、すみません」

同じ作品に手を伸ばす、彼女と手が触れた。
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/02/18(日) 23:23:28.91 ID:TkjN/KL+0
「あっ、いえ、こちらこそ、す、すみません」

若干どもりながらも返事をする。

視線をその手から腕、腕から顔に移していくと、そりゃもう、可愛い女の子がそこにいた。

女の子の服とかよく知らんけど何かおしゃれ。黒髪のセミロングくらいで、髪の隙間から見えるちっちゃいピアスが清楚な顔立ちと髪型とのギャップを主張していて、それもまた良し。

ごめん、二次元。この店は三次元と二次元の天使たちを繋いでくれる天国だと思ってたけど、やっぱバリバリ三次元だわ。だって三次元の天使がここにいるんだもの。

お互いその一冊しか並んでない漫画に再び手を伸ばすのをためらっていて、どうしようどうしよう何か言わなきゃと思っていると、彼女が口を開いた。

「すみません、どうぞ。私、他にも読みたいのあるから、そっちにします」

「あ、あぁ、はい。すみません、ありがとうございます」

会釈をして、天使はそこを去っていった。

ありがとう失恋。ありがとう少女漫画。

正直買うかどうかなんて決めていなかったけど、君のおかげで天使ちゃん(仮)と会話ができたよ。お礼に君を買うことにしよう。

ギャルゲを持っていたことは忘れよう。どうせあの子と会うことも、これが最初で最後だろうし。俺が何を持っていても、きっと彼女は気にしていない。

そんじゃ、コーヒーでも飲みながら漫画読もうかな。
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/18(日) 23:24:09.78 ID:cbG5y72SO
日本ひきこもり協会感
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