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男「だから俺は、彼女の為にギターを始める」
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52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:44:04.46 ID:FkZbUO0z0
女『1年の島崎透華です。前の学校では、ギターやってました』
友『おーいいねー! それで軽音入るって事はバンド、やるんだろ?』
女『は、はい……』
友『なら、なんか一曲弾いてもらおうぜ。な、信吾?」
男『え。まあ……いいけど』
女『なんですか藪から棒に……』
友『いいじゃん、聞かせてよ』
女『……』
女『分かりました』
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:44:59.20 ID:FkZbUO0z0
>>51
友「……トーカちゃん?」→後輩 「……トーカちゃん?」
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:45:44.60 ID:FkZbUO0z0
男「その時、思い知ったよ。本物の上手さってやつを」
男「俺、ギターはヘタクソだったけど、それなりに曲は聞いてたから分かるんだ」
男「ミスなんて当然しない正確な演奏で、なのにたまに音をわざと外してさ」
男「曲を自分なりにアレンジしてるんだ。……聞いてるこっちが鳥肌立つぐらいにすごい演奏で」
男「そんなの聞かされたらさ、もう諦めるしか無いだろ」
後輩「……」
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:46:15.46 ID:FkZbUO0z0
友『……』
男『……』
女『……ど、どうでしたか? 自分なりにアレンジしてみたんですけど……』
友『島崎、めっちゃ上手いな! それもプロ級に……!』
男『……』
友『……信吾? どうしたんだよ……。あまりに上手くて感動したのか?』
男『……入れようよ』
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:46:58.08 ID:FkZbUO0z0
友『……は?』
女『……え?』
男『彼女、バンドに入れようよ』
友『信吾、なんで……』
男『島崎さんみたいに、上手い人が龍臣のバンドに必要だ』
友『でもギターは信吾が』
男『別にギターが2人いても不思議じゃないよね、島崎さん』
女『は、はい……』
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:47:26.52 ID:FkZbUO0z0
男『じゃあ、いいじゃん。な、龍臣?』
友『……別にいいけど、島崎は?』
女『私は……』
女『……いいですけど』
友『じゃあ、決まりだな』
男『よろしく。俺は宇佐美』
女『……よろしくおねがいします、宇佐美先輩。お互いギターということで頑張りましょう』
男『……ああ』
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:48:01.77 ID:FkZbUO0z0
男「その時にはもう、彼女にギターの席を渡すつもりだった」
男「龍臣のバンドが、上に行くには俺じゃなくて彼女が必要だって思ったから」
後輩「……」
男「龍臣の夢を俺のわがままで邪魔したくないんだ。だから、勉強を言い訳にしてバンドを辞めた」
男「龍臣のバンド辞めたら、ギターやる意味無いしだからギターも辞めた」
男「……つまんない話だったろ。だからやっぱり俺はギターをやるつもりは――」
後輩「……」ウルウル
男「お、おい後輩……」
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:48:40.70 ID:FkZbUO0z0
後輩「……っ」
男「なんで泣いてんだよ、こんなくだらない話で……」
後輩「くだらなくなんかないですよっ……」
男「くだらないよ……。何やっても中途半端で、これならできると思ってたのに……」
後輩「先輩が報われないじゃないですか……! そんなに臣先輩の事を想って、先輩自身の夢を諦めるって……」
後輩「そんなのって、無いですよっ……!」
男「でも、それはお前だって分かるだろ」
男「上の世界目指すなら、ある程度の技術ないとダメだって。努力だけじゃ、どうにもならないって」
後輩「……っ」
男「だから俺は――」
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:49:06.46 ID:FkZbUO0z0
後輩「私が先輩の夢になります」
男「……何を言ってるんだお前は」
後輩「私が、先輩がギターを続ける理由になります」
男「だから意味がわからないって……」
後輩「明日の放課後、第二音楽室で待ってますから、先輩はギター、持ってきてください」
男「は……? だから俺はギターをやめるって……」
後輩「……待ってますから」ニコ
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:49:33.32 ID:FkZbUO0z0
男(懐かしい夢を見た)
男(2年の文化祭の数日後、いつもの様に居残りで練習していた時の事だ)
男『……?』
『……ふふん』
男『……誰?』
男(妙にでかいサングラスにマスク姿。フードを被っているおそらく女子であろう不審者的な存在が俺の目の前にいた)
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:50:03.97 ID:FkZbUO0z0
『私は……ギター仮面だ』
男『……は?』
『君があんまりにもヘタクソだから、私が君に指導してやろうと思ったわけだ』
男『いえ、結構です』
『……まあまあ、そんな事言わずにー。ギター借りるよ』
男『えっ、ちょっ、お前……』
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:50:32.78 ID:FkZbUO0z0
男(俺の手からギターを無理矢理奪い、彼女はある曲を演奏し始めた。)
男(それは俺達のバンドが文化祭で演奏した曲で、何度も何度も練習した曲。)
男(なのに、そいつの演奏は俺のやつより遥かに上手くて、悔しくなった。)
男(でも、それ以上に目の前の彼女の演奏が凄くて、圧倒されてしまった。)
『……どうよ』
男『……すごい』
『……でしょ?』
男(そしたら、自然とそいつからギターを教えて貰うことになって……)
男(気づいたら、警備員が見回りに来るほどの時間まで、練習していた。)
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:51:22.85 ID:FkZbUO0z0
『わわ……もうこんな時間だ』
男『そろそろ帰らなきゃな……。もしかして、先輩とかだったり?』
『そ、それは……秘密』
男『だよなあ。そんなに顔隠すぐらいだから教えてくれないかー』
男『……できれば、また教えてくれ。凄く分かりやすかったし、一緒に演奏してて楽しかった』
『……っ』
『……ではまた会おう、悩める少年!』
男(そいつはその日以降二度と姿を現さなかったけど、その時の経験は俺のその後のギターの演奏において多くの事をもたらしてくれた。)
男(正体を探るのも野暮だと思ったから、探さなかったけど……きっとめちゃくちゃお節介なヤツであることには違いない。)
男(何で今その夢を見たんだろうか……。)
男(……多分、あいつみたいなお節介なやつにまた出会ったから、だろうな。)
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:51:54.56 ID:FkZbUO0z0
男「……」
男「……っ」
ガラ……
後輩「……せんぱい」
男「……よう」
後輩「来てくれたんですね! ……それに」
男「……」
後輩「ギターも、持ってきてくれた」
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:52:29.52 ID:FkZbUO0z0
男「……言われたから、仕方なくな」
後輩「じゃあ、ギター貸してください。私がチューニングするんで」
男「チューニングってなんでそんな事する必要ないだろ」
後輩「ありますよ……だって先輩、1ヶ月以上演奏してないでしょ。感覚とか絶対忘れてるって」
男「そういう事じゃなくて、ギターは辞めたからもう弾かないって……」
後輩「まだ、辞めてないです。……はい、先輩」
男「え……」
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:53:43.23 ID:FkZbUO0z0
後輩「セッションしましょうよ」
後輩「私が歌いながら弾くんで、先輩もそれに合わせて」
男「だからもう弾けないって……」
後輩「2年の文化祭で弾いてた曲」
男「……っ!」
後輩「あれだけ練習してたんですから、体が覚えてますよ」
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:54:09.34 ID:FkZbUO0z0
男「……でもそれ、お前が知らないだろ」
後輩「大丈夫です。練習する機会がありましたから」
男「……お前」
後輩「やりましょう、先輩」
後輩「私と一緒に演奏した上で、決めてください。ギター続けるかどうか」
男「……」
後輩「……絶対に、またギター弾きたくなるようにしてやるんだからっ」ニコッ
男「――」
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:55:19.98 ID:FkZbUO0z0
男(その時、三浦の笑顔を見た時に俺の心は決まった)
後輩「すぅー……はぁー……。すぅー……っ」
男(だって、卑怯だろ)
後輩「ワン、ツー、スリー、フォー」
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:56:41.90 ID:FkZbUO0z0
男(俺の為に、こんなに一生懸命頑張ってくれる彼女を)
後輩「――――」
男「……っ」
男(一生懸命、俺の事を見ていてくれた彼女を)
後輩「――――」
男(手放したと思っていたモノ、全部取り戻してくれた彼女の願いを、破ることなんてできやしない)
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:57:35.88 ID:FkZbUO0z0
後輩「……」
男「……」
後輩「……ニッ」ニコ
男(……ほんっとに卑怯だよ、お前は)
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:58:17.31 ID:FkZbUO0z0
男「――だから、ごめん!」
友「……信吾」
女「宇佐美先輩……」
友「そりゃあ、その気持ちは嬉しいけどさ……! でも、やっぱり俺は信吾とやりてえよ……!」
女「……井上先輩。宇佐美先輩がせっかく話してくれたんですから」
友「でもぉ……!」
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:58:43.22 ID:FkZbUO0z0
男「こんな事で泣くなよ龍臣……。島崎さん」
女「……?」
男「龍臣の事、よろしく」
女「――」
女「……はいっ!」
男「それと、龍臣……」
友「……なんだよぉ」
男「俺、新しい夢が出来た」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:59:14.46 ID:FkZbUO0z0
男(……春だ。)
男(春といえば出会いと別れの季節だ。)
後輩「……先輩っ」
男「……三浦」
男「お前、今日練習は?」
後輩「部長……臣先輩がすごく落ち込んでて急に部活休みだって……先輩こそ勉強は?」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 05:59:44.41 ID:FkZbUO0z0
男「……先にやることできてな」
男「……ギター教えてくれよ、三浦」
後輩「――――」
後輩「せんぱいーっ!!」
男「ちょっ、お前、だから抱きつくなって……!」
後輩「嬉しいんですよっ! 先輩がギターを……それも私に……!」
男「ちょっ、暑苦しい……!」
男(……と言っても今年は例外で。)
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 06:00:25.93 ID:FkZbUO0z0
後輩「あー! あと、下の名前で読んでくださいよ、信吾先輩っ!」
男「何でだよ、別に関係無い……」
後輩「むー……。じゃあ、ギター教えてあげませんよー?」
男「うぐっ……。んんっ……」
後輩「……ゴクリ」
男「……え、えり」
後輩「……信吾せんぱいっ」
男「……えり?」
後輩「信吾先輩っ!」
男(新たな出会いと……そして別れがあった。)
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 06:00:52.11 ID:FkZbUO0z0
男「……そういえば”えり”ってどういう漢字使うんだ?」
後輩「英語の”英”に、梨の”梨”って書いて、英梨ですっ」
男「……なんか、お前にしては普通だな」
後輩「ですよねー? もうちょっと捻りがほしかったですよねー」
男「……かもな」フフフ
後輩「んー? 何笑ってるんですか信吾先輩」
男「……なんでもない」
後輩「あっ、信吾先輩照れてるー」
男「て、照れてねーし!」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 06:01:27.99 ID:FkZbUO0z0
男(春。)
男「……」
男「……俺、お前の事好きだ」
男(今まで大きな変化が無かった高校生活だけど……今年は、今までに無かったような大きな変化がありそうだ)
後輩「……私も好きです」ニコッ
男(俺の為に一生懸命頑張ってくれる人がいるから、俺のヘタクソなギターを好きでいてくれる人がいるから――)
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 06:02:33.16 ID:FkZbUO0z0
後輩「一生懸命頑張る先輩の事が、大好きですっ!」
男(――だから俺は、彼女の為にギターを始める)
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/11(日) 06:06:44.65 ID:FkZbUO0z0
健気な後輩系ヒロインが報われないことが多いのでむしゃくしゃして書いた、後悔は今、時間を見てしてる。
殴り書きなんで間違えてる所多いし、軽音楽やった事無いから間違った知識あるかもしれないけど愛嬌でゆるして
それじゃあ、おやすみなさい
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/12(月) 20:06:38.48 ID:Zww32ShSO
乙です。
青春っていいですね〜
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