【ラブライブ】海未「罪と罰」【仮面ライダーW】

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69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/22(木) 10:33:42.70 ID:hzBKIEeGO
おつ
人間体でドーパントとかマジシャンの子を思い出す
70 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 20:32:54.73 ID:EfcPpl1w0
本日少し更新します。
71 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 21:07:22.66 ID:EfcPpl1w0
ーーーーーー
72 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 21:19:55.63 ID:EfcPpl1w0
ーーーーーー



雪穂「えっと、じゃあ、失礼します」


凛「ココアありがとう、雪穂ちゃん!」

花陽「わざわざありがとう、雪穂ちゃん」

雪穂「いえ……お姉ちゃんをよろしくお願いします」

穂乃果「ちょ、雪穂! 穂乃果、後輩に面倒みてもらうほどじゃーー」

凛「りょーかいにゃー!」

穂乃果「凛ちゃん!?」



雪穂「えぇと……それじゃあ」



凛の答えを聞いてから、雪穂ちゃんは部屋の扉を閉めた。
これで穂乃果ちゃんの部屋には、凛とかよちん、穂乃果ちゃんの3人だけ。



凛「……よし! これで話せるね!」

穂乃果「…………穂乃果としては違う話をしたいけど……」

凛「?」

花陽「あはは……」



なぜか穂乃果ちゃんが変な目で凛を見てくる。

なんだろう?
凛の顔になにかついてる?



花陽「えっと、穂乃果ちゃん、それじゃあお願いできるかな?」

穂乃果「あ、うん」



姿見で自分の顔を確認する凛を放って、かよちんが話を切り出した。
って、凛も参加するよ?



穂乃果「ちょっと待ってね」



そう言うと、穂乃果ちゃんは携帯を触り出す。

すたっぐふぉん……だっけ?
確か穂乃果ちゃんの協力者から貰ったっていうやつ。

あっ、繋がったみたい。




『…………やぁ、久しぶりだね。高坂穂乃果』



73 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 21:30:12.49 ID:EfcPpl1w0


穂乃果「どうも。お久しぶりです」



携帯から聞こえてくる声。
若い男の人の声だ。
この人、たしか真姫ちゃん家の事件の時に、にこちゃんの携帯から電話してきた人。



『そこには君だけかい?』

穂乃果「いえ」



穂乃果ちゃんがこちらを見る。

えっと……。



凛「星空凛です」

花陽「小泉花陽……です……」



スピーカーになっている携帯を前にして自己紹介。
それに対して、



『星空凛と小泉花陽……君たちのことも検索済みさ』

凛「……えっ」

花陽「け、検索……?」



検索ってなんだろう……?
そういえば、この間もなんか真姫ちゃんとそんな話をしてたような……?



穂乃果「……詳しいことは後で……ううん、知らなくていいかも……」

りんぱな「「?」」



穂乃果ちゃんには珍しく苦笑いしてる。
えっと、凛はまぁ、いいけど……。
かよちんの方をチラリと見ると、かよちんもうなずいてた。
74 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 21:41:08.44 ID:EfcPpl1w0


穂乃果「早速ですけど……」

『あぁ。メールの内容のことだろう』

穂乃果「はい」



メールの内容。

それは昨日の亜里沙ちゃんの件のことだ。
亜里沙ちゃんがドーパントに襲われて、凛が助けに入ってーー




穂乃果「海未ちゃんが出てきたみたいです」




ーー海未ちゃんがドーパントを倒した話。

昨日のうちに、凛はかよちんやにこちゃん、勿論、穂乃果ちゃんにも話をした。
そのことを穂乃果ちゃんが協力者に教えたらしい。

今日はその状況が知りたいからって、凛が呼ばれたってわけ。
かよちんは凛の付き添い……というか、心配して離してくれなかったにゃ。

ともかく、今日はその話をしてほしいってことみたい。



『星空凛』

凛「あ、う……はい」

『無理して敬語を使わないでもいいよ。君はそういうのは苦手、なのだろう?』

凛「……うん。じゃあ、普通に話すにゃ」



凛のことも検索?してるらしく、そう言う協力者。

とりあえず、凛は昨日の話をした。

それまでの成り行き。
ドーパントの様子。
戦闘の状況。
そして、乱入してきた海未ちゃんのこと。

電話の向こうの人は、相槌を軽く入れながら、凛の話を最後まで聞いた。
そして、こう言った。




『ゾクゾクするねぇ』



75 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 21:54:44.82 ID:EfcPpl1w0

凛「え?」



ゾクゾク……?
なに?



『……っと、すまない。これは流石に不謹慎だった』

穂乃果「…………」

『ともかく、彼女の話、それから知り合いから聞いた情報を合わせると、事件の概要は大体分かったよ』



『絢瀬亜里沙を襲ったドーパントは『ソード』ドーパント』

『腕や背中……あらゆる部位から剣を精製、また分離し投擲する能力を持つドーパントだ』

『近接戦闘能力に優れていて、今の状態の矢澤にこや星空凛、君たちでは太刀打ちするのは難しい相手のようだね』



『ソード』
なるほどにゃ、それで剣を使ってたんだ。
……でも、そんな強いドーパントだったの?

確かに凛の蹴りはほとんど効かなかったけど、正直、そこまで強かったとは思えないよ。
すぐに海未ちゃんにやられちゃったし。

そう言うと、その人は否定する。



『それは違う』

『『ソード』ドーパントは、本来『ジョーカー』や『サイクロン』単体での戦闘では倒せないはずさ』

『今回の使用者がメモリとの適合率が低かったとしても、ね』



それほどまでにスペックに差がある、らしい。
じゃあ、あんなにあっさりやられたのって……?



『あぁ』

『『ソード』ドーパントが弱かったんじゃない』




『『アームズ』…………いや、園田海未が強かったという話だろう』



76 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 22:00:18.87 ID:EfcPpl1w0

『彼女の元々の身体能力』

『メモリとの適合率』

『そして、彼女の感情の高まり』

『それらすべてが彼女の力を高めているようだね』



……さっきから言ってる適合率って?



『簡単に言えば、メモリとの相性、どれだけそのメモリの力を引き出せるのかといったところかな』

『恐らく適合率が高い……』

『つまり、園田海未は『アームズ』のメモリを最大限に引き出してしまっているのさ』



その人が出した答え。
難しいことはよくわかんない、けど……。



穂乃果「…………」



穂乃果ちゃんの表情をみれば、それがよくないことなのは、凛でも分かった。
77 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 23:04:17.06 ID:mRQ4fDKR0



『ここまでで質問は?』



穂乃果「…………」

凛「…………」

花陽「……あ、あの……」



答えたのは、かよちん。

ひとつ深呼吸をして、



花陽「海未ちゃんは……大丈夫なんですか……」



そう聞いた。
しっかりとした眼差しで。

かよちん……。
優しいかよちんだからこそ、穂乃果ちゃんがそれを聞くより前にそう言ってくれたんだ。

かよちんの質問に、彼は少し間を置いてから口を開いた。



『………………なるほど』

花陽「え?」

『君が高坂穂乃果や園田海未を抑えて部長という立場にいたのか納得した』

花陽「…………え、え?」

『気にしないでくれたまえ。ただの独り言さ』

花陽「は、はい」



話がずれたね。
本題だ。

そう前置きをして、協力者は続けた。
78 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 23:13:01.02 ID:mRQ4fDKR0

『僕にも分からない』

『そもそも人間態のままメモリの力を引き出せているのがおかしい』

花陽「それって……あの怪物の姿になるから、ですか」

『あぁ。本来ならば、怪人態になってから、メモリの能力が発動する。『アームズ』ならばあらゆる武器の精製という能力だ』



僕達も一度戦っているから、『アームズ』自体に特殊能力があることは考えにくい。

そんな言葉に少し引っかかる。

一度戦っている?
んん?
それってーー



穂乃果「……じゃあ」

『ん? なにか言ったーー』




穂乃果「なんで海未ちゃんはそのままでメモリの能力を使ってるの!!」




りんぱな「「っ」」



凛の思考を。
協力者の冷静な声を。
途切れさせるみたいな大きな声。
話を聞いていたから気づかなかった。

さっきまで静かに話を聞いてた穂乃果ちゃんの目には涙が浮かんでいた。
79 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 23:27:43.78 ID:mRQ4fDKR0

穂乃果「海未ちゃんだって、穂乃果たちと同じなんだよっ!」

穂乃果「突然巻き込まれて混乱してて、でも、ことりちゃんが……っ!」

穂乃果「だから、海未ちゃんは必死でそれを助けようとしてるんだよっ!!」

穂乃果「なのにっ、なのに!」

穂乃果「海未ちゃんまで……メモリ使って……っ」



花陽「ほのか、ちゃん……」

凛「ほのかちゃん……」

『……………………』



穂乃果ちゃんは歯をくいしばる。
涙をこぼさないように、必死に我慢してるのが凛にも分かった。

長い沈黙。
その後に、電話の向こうから聞こえてきた声は、静かな口調でこう言った。



『高坂穂乃果』

『…………残念ながら、君の気持ちを理解することは僕には出来ない』

『僕には君達のように幼馴染みというものがいないからね』

穂乃果「っ、ならーー」



『けれど!』



穂乃果ちゃんの言葉を遮るように強く、声は言う。




『けれど、これだけは約束する』

『園田海未を助ける方法は僕が必ず見つけ出す』

『勿論、南ことりもだ』




『それが僕達への依頼だろう』




80 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 23:32:55.47 ID:mRQ4fDKR0
僕達への依頼。

それがきっと穂乃果ちゃんとこの人を結びつけるものなんだ。
その言葉を聞いて、穂乃果ちゃんは静かに頷いた。
それを感じ取ったみたいで、声は話を続ける。



『僕達は街を離れるわけにはいかない。だから……』

凛「……うん。分かってるにゃ」

『礼を言うよ。勿論、そのための協力は惜しまないさ』

凛「…………海未ちゃんとことりちゃんのこと……おねがいします」

『任せたまえ』
81 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 23:42:19.58 ID:mRQ4fDKR0

『…………落ち着いたかい?』

穂乃果「……はい、ごめんなさい」

『いや、僕の方こそ配慮が足りなかった。やはりこういうことは僕よりも『彼』の方が向いているのだけれど……』

凛「?」



『彼』
それが誰のことを言ってるのかは少し気になったけど。



『さて、早速だけど、実は君達の友人に調べてほしい人物がいるんだ』



話が進むみたい。
それは後で穂乃果ちゃんから聞いてみよう。



花陽「友人?」

『西木野真姫さ』

凛「真姫ちゃん?」

『あぁ』



なんで真姫ちゃん?
その質問に返ってきたのは、



『そういえば、例の事件の時には、君もいたんだったね』

凛「え?」

『ほら、『ブラッド』メモリの事件だよ』



そんな答えが返ってきた。

たしかに、凛もあの場にいたけど……。
もしかして、紅花先生のことかな?

そんな凛の予想は裏切られることになる。
なぜなら、この声はまったく予想外の人物の名前を口にしたから。




『彼女に調べてほしい人物』

『それはーー』




『『亜坂真白』という人物さ』




ーーーーーー
82 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/24(土) 23:58:54.18 ID:mRQ4fDKR0
ーーーーーー
83 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/25(日) 00:05:41.61 ID:jJPYE0QQ0
ーーーーーー




やはり動きましたね。
彼女からの相談を受けて正解でした。


『アレ』は恐らく『ガイアメモリ』に関する何かなのでしょう。


最初に見せてもらった時からそう感じていて。
詳しくは分かりませんが、直観がそれを告げていました。

…………案の定、でしたね。
彼女を手に入れるためか、それとも別の目的があるのかは知りません。



ただ、これで…………繋がった。

あとは…………。




海未「待っていてください、ことり」




私が貴女を助け出しますから。
どんな手段を使ってでも…………。




ーーーーーー
84 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/25(日) 00:06:09.75 ID:jJPYE0QQ0
ーーーーーー
85 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/25(日) 00:06:36.18 ID:jJPYE0QQ0
本日はここまで。
86 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/25(日) 23:20:47.37 ID:1islHshXO
おつ
87 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/25(日) 23:44:20.86 ID:G1DdpiQm0
F9って身バレしてなお荒らしてるらしいぜ
ドトールコピペ誹謗中傷してた奴と同一人物らしい
唐澤やチンフェ、しばき隊なんかの左翼とも繋がってる
https://www65.atwiki.jp/sajest/pages/96.html
https://www65.atwiki.jp/sajest/pages/95.html
https://www65.atwiki.jp/sajest/pages/74.html
https://www65.atwiki.jp/sajest/pages/39.html
https://www65.atwiki.jp/sajest/pages/47.html
88 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/27(火) 23:13:33.06 ID:Wy/SVAMV0
ーーーーーー




亜里沙「また明日です、海未さん!」

海未「えぇ、また明日」



海未「………………」



海未「なにか用ですか……凛」

凛「…………海未ちゃん」



海未ちゃんにそう言われ、姿を見せる。
もう海未ちゃんには尾行は意味ないみたいだった。

穂乃果ちゃんの協力者と話をして、凛は考えたんだ。
もしかしたら海未ちゃんは亜里沙ちゃんから相談を受けてたのかもって。
だから、迎えに来てまで毎日亜里沙ちゃんと一緒に帰ってた。

それは亜里沙ちゃんを助けるため。
守るためだと思う。

だって、後輩思いの優しい海未ちゃんのことだもん。

…………。

亜里沙ちゃんに殺気を向けてたように感じたのは、たぶん気のせいだよ。
……うん。



凛「海未ちゃん」

海未「…………」




凛「ガイアメモリを渡して!」




89 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/27(火) 23:22:29.64 ID:Wy/SVAMV0
昨日の穂乃果ちゃんの姿を見て思った。
このままじゃ二人とも悲しい思いをするって。

穂乃果ちゃんも。
海未ちゃんも。

凛はメモリに飲まれた人を知ってる。

そのせいで、大好きなものを壊そうとしたり。
他の人を犠牲にしてお金だけに執着したり。
自分の理想を台無しにしてしまいかけたり。



凛は、そんなのやだ。
凛は海未ちゃんにそんな思いをしてほしくないんだよ。

だから、凛は言ったんだ。
メモリを渡してって。



海未「……………………メモリを渡せ、ですか」

凛「うん」



亜里沙ちゃんのことなら大丈夫だよ。
凛がちゃんと守るから。

海未ちゃんがそれを渡してくれるように、それも付け足す。
まぁ、この間は海未ちゃんに助けられちゃったけど。
でも、凛だって戦えるにゃ!

だからーー



海未「………………なるのですか」

凛「……え?」



もう一度、お願いしようとして、止まる。
海未ちゃんがなにか呟いたから。
小さな声。

それを問い返そうとして、気づく。



海未「…………」



海未ちゃんは、凛を睨んでいた。
90 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/27(火) 23:27:27.58 ID:Wy/SVAMV0


凛「っ」



思わず体が震えてしまう。
これは、最初に凛とにこちゃんが感じたやつだ。
それが、今、凛に向けられてる。



海未「凛」

凛「っ、な、なに?」



海未ちゃんの声に返事を返して、そちらを向く。
その先には、




海未「…………」スッ




ーー ブンッ ーー




凛「え……?」




ーー ザクッ ーー



91 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/27(火) 23:33:33.91 ID:Wy/SVAMV0
凛の目の前の地面に刺さっているのは『剣』。

あと、一歩。
前に出ていたら、それは凛に刺さっていた。



凛「っ、海未ちゃん!?」



凛でも、分かる。
それは凛にメモリを渡さないって意思表示だ。

なんで!
凛が代わりに守るから!
だから、メモリを渡してよ!

そう伝える。
けど、海未ちゃんは凛を睨んだままで。



凛「海未ちゃーー」

海未「ーーーーーー」



名前を呼ぼうとして、遮られた。

今度は、聞こえた。
さっきは聞こえなかった言葉を、海未ちゃんは凛に向かって言った。
92 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/27(火) 23:34:34.40 ID:Wy/SVAMV0





「私がメモリを捨ててしまったら」

「ことりはどうなるのですか」




93 : ◆6cZRMaO/G6 [sage]:2018/02/27(火) 23:47:19.71 ID:Wy/SVAMV0
静かだけど、強い口調で。
海未ちゃんはそう言った。



海未「私はことりを取り戻すために力を得ました」

海未「得て、鍛え上げた」

海未「そうしなくては……あの人には勝てないのです」



あの人。
それって……。



凛「……『亜坂真白』って人のこと?」

海未「………………はい」



凛の言葉に頷く。

やっぱり海未ちゃんもその人にたどり着いてたんだ。
…………そして、穂乃果ちゃんの協力者の推理が正しければ。




海未「『亜坂真白』」

海未「ことりをドーパントにして連れ去った人物」



海未「私はどんなことをしてでも彼女に辿り着く」

海未「そして、ことりを取り戻します」




そう言った海未ちゃんの迫力は、ほんとに怖いくらいで。
だから、『どんなことをしてでも』って言葉が冗談じゃないことが分かってしまった。



凛「海未ちゃん……」

海未「………………」

凛「その人を見つけ出して…………」




凛「ーーーーつもりなの?」




海未「はい」



94 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/27(火) 23:55:31.54 ID:Wy/SVAMV0
肯定してほしくなかったその質問。
だけど、海未ちゃんは頷いてしまった。

ドーパントではメモリブレイクはできない。
ドーパントが他のドーパントを行動不能にするためには、それしかないだろう。

昨日聞いたそんな言葉が、よみがえってくる。



海未「だから、メモリを渡すことはできません」

凛「…………そっか」



海未ちゃん、本気なんだね。



海未「冗談でこんなこと言いません」

凛「……うん」



分かってる。
海未ちゃんだもんね。
そんなこと冗談でなくても絶対言わないはずだもん。

…………うん。
分かった。
分かったよ。




凛「…………」スッ




ーー ガチャッ ーー



95 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/27(火) 23:58:01.99 ID:Wy/SVAMV0
ドライバーが装着される音を聞く。
そして、それを取り出す。



海未「…………凛」

凛「…………凛はね、海未ちゃんのこと大好きなんだ」

海未「……そうですか」

凛「うん。だからねーー」




『サイクロン』




凛「絶対止める!!」

凛「変身!!」





『サイクロン!!』



96 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/28(水) 00:00:13.19 ID:KVDFPbNP0

海未「……残念です」

海未「ですが、邪魔をするというのならば、わ私はーー」




サイクロン『させないよ!』

サイクロン『全部……全部!』

サイクロン『守ってみせる!!』

97 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/02/28(水) 00:01:42.57 ID:KVDFPbNP0
短いですが今日はここまで。
98 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/03(土) 23:14:47.28 ID:STjT5S2G0
更新します。
99 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/03(土) 23:26:39.25 ID:STjT5S2G0


サイクロン『いくよ!』

海未「…………」



海未ちゃんは人の姿のままドーパントの力を使えるのは分かってる。
ただ、防御力までドーパントと同じなのかは分からない。
もしかしたら、凛が全力でぶつかったら傷つけちゃうかもしれない。

……なら!



サイクロン『やあっ!!』ブンッ

海未「!」



手を払う。
それに合わせて風が起きた。
穂乃果ちゃんの協力者から、海未ちゃんのメモリについては聞いてたから。

『アームズ』のメモリは、武器を作り出すメモリ。
剣も銃も自由自在に作れるんだって。
凛は基本近い距離でしか戦えない。
だから、まずはこの風で銃を無効化する!

そして、



サイクロン『っ、とった!』



風で視界が悪くなってるのを利用して、海未ちゃんの後ろに回り込む。
このまま、後ろから抑えればーー




海未「甘いッ!!」グッ



ーー バキッ ーー




サイクロン『っ!?』



お腹に痛み。
見ると、例の剣が凛の脇腹を捉えていて。



海未「はぁっ!」ブンッ

サイクロン『が、っ!?』



そのまま吹き飛ばされる。
100 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/03(土) 23:32:32.11 ID:STjT5S2G0

サイクロン『うっ……』

海未「刃はありません。ですが、相当の痛みがあるはずです」



たしかに、刺さってたりはしてない。
けど、



サイクロン『痛っ』



ズキズキを通り越して、ガンガンする。



海未「…………終わりですか」

サイクロン『っ、まだ、だよ!』



痛みをこらえて、どうにか立ち上がる。

海未ちゃんとの距離は近い。
さっきの攻撃は、さすがにできないよね。



サイクロン『ならーー』

海未「遅いッ!」ダッ



ーー ガシッ ーー



サイクロン『にゃ!?』



風を起こそうと振りかぶった手を、止められる。
そして、




海未「ハッ!!」



ーー ドゴッ ーー



サイクロン『かっーーハっ……!?』


101 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/03(土) 23:41:02.53 ID:STjT5S2G0
一瞬、呼吸ができなくなった。
遅れて、海未ちゃんが凛の胸に掌底を使ったからだってわかる。



サイクロン『は…………は…………』

海未「……………………」



強い。

倒れる凛とそれを見る海未ちゃん。
その間にはあまりにも大きな実力差があって……。



海未「…………守る、と」



だから、



海未「全部守ると言いましたね」

サイクロン『はぁ、はっ……』

海未「亜里沙も、ことりも……私のことも守ると、そういう意味ですか」

サイクロン『……そう、だ、よ……』




海未「その程度の力で、ですか」




海未ちゃんの言葉に、言い返せなかった。



サイクロン『っ』

海未「…………」



答えられない凛を見下ろしながら、海未ちゃんは続ける。
102 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/03(土) 23:55:16.65 ID:STjT5S2G0

海未「このメモリを手にして」

海未「私はあの人……『亜坂真白』と何度か戦いました」


海未「一度目は、メモリを手にしたその時」

海未「二度目は、1週間後。彼女の潜伏先を突き止めた時」

海未「三度目は、メモリを手にした半月後です。武器を同時に三本まで精製できるようになった後のことでした」

海未「四度目は、その半月後。メモリの力を人のまま使えるようになってからです」

海未「五度目は、その三日後でした。私と戦って少しでも消耗しているであろうことを見越して勝負に出ました」

海未「………………」




海未「全て負けました」




サイクロン『……え』

海未「私はことりを取り返すどころか、彼女と互角に戦うことすらできなかったんですよっ!!」



海未ちゃんは叫ぶ。
きつく握られた拳からは、血が滴り落ちていた。



海未「……………………」

海未「それから……3ヶ月間私は力をつけました。彼女を倒す……いえ、殺すための力を」

サイクロン『っ、海未、ちゃんっ』

海未「……凛、貴女では彼女は倒せない」



ハッキリと、海未ちゃんは言った。




海未「貴女は何も守れない」



103 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 00:00:53.72 ID:Td6PjIRJ0


サイクロン『そ、そんなのっ』

海未「やらなくても分かりますよ」



少なくとも私に負けている貴女では、彼女には敵わない。
そう言う海未ちゃんに、凛は、



サイクロン『それ、は……』



言い返せない。
だって、凛が海未ちゃんにやられてるのは事実だったから。



サイクロン『…………っ』

海未「…………」

サイクロン『凛、は……』



海未「…………凛」



凛の名前を呼ぶ海未ちゃん。
顔をあげると、目が合う。
海未ちゃんは凛の目を真っ直ぐ見て、こう言った。




海未「今すぐ戦いから手を引きなさい」

海未「貴女では無理です」

海未「ことりを救うことも、私を止めることも」




ーーーーーー
104 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 00:01:35.27 ID:Td6PjIRJ0
ーーーーーー
105 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 00:11:02.82 ID:Td6PjIRJ0
ーーーーーー




にこ「で、あんたは何も言わずにやられたわけね」

凛「うっ」



凛は病室のベッドの上。
お見舞いにきたはずのにこちゃんに言われた言葉が、心に突き刺さる。



花陽「にこちゃんっ」

真姫「その言い方はないんじゃない?」



それを聞いて声をあげるかよちんと真姫ちゃん。
気持ちはうれしい、けど……。



凛「……にこちゃんの言う通りだよ」

花陽「り、凛ちゃん! そんなことないよ」

真姫「そうよ。そんな強くなってる海未が相手だったんでしょ。ならーー」



凛「でも、負けちゃったんだよ」



そう。
何もできずに、あっという間にやられちゃったんだ。
だから、にこちゃんの言う通り、凛は海未ちゃんに何も言い返せなかった。

……ううん。
言い返せないだけならよかったんだ。
あの時、海未ちゃんから言われて、凛は、




凛「凛には無理だよ」




そう、思ってしまった。
106 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 00:15:52.78 ID:Td6PjIRJ0
ことりちゃんを助けるのも。
海未ちゃんを止めるのも。

きっと凛には、無理だ。
あんなに、ボロボロに負けて何もできなかったんだもん。



凛「海未ちゃんの……言ったとおりにゃ」

花陽「凛ちゃん……」

真姫「……凛」



にこ「………………」



沈黙。
にこちゃんは、なにを考えてるんだろう。
なにを考えて凛を見てるんだろう。
わからない。

にこちゃんと目を合わせるのが……今はなんかやだ。
107 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 00:21:27.85 ID:Td6PjIRJ0





にこ「…………凛」




しばらくして、にこちゃんが凛の名前を呼んだ。
思わず体が跳ねる。
叱られる、かな。
そう思って、目をつぶってた。

でも、凛にかけられたのは、



にこ「…………メモリ、渡しなさい」



そんな言葉だった。



凛「え?」

にこ「メモリよ。あんたが持ってる『サイクロン』のメモリ」

凛「なん、で……?」



これは凛が使うーー




にこ「あんたには必要ないでしょ」

にこ「戦わないっていう今の凛には」




凛「っ」



にこちゃんの言葉は、凛の心にまた突き刺さった。
108 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 00:28:06.06 ID:Td6PjIRJ0

真姫「ちょっと! にこちゃんっ!!」

にこ「……なによ」

真姫「ちょっとは凛の気持ち考えなさいよっ!!」

にこ「ふんっ、事実を言ってるだけじゃない!」

真姫「っ! このっ!」




凛「やめてっ、真姫ちゃんっ」

真姫「り、凛……」



真姫ちゃんを止める。

ごめんね。
凛のために怒ってくれて。
ごめん、ありがと。



花陽「凛ちゃん……」



かよちんもごめんね。
いっぱい心配かけちゃったよね。

でも、もういいんだ。
にこちゃんの言う通り、だから。
だから、




凛「…………にこちゃん、これ」スッ




それを取り出す。
『サイクロン』のメモリ。



真姫「凛っ!」

凛「いいんだ。凛は……」

花陽「凛ちゃん……」




にこ「………………ん」




にこちゃんは。
凛の手からそれを受け取って、そのまま背中を向けた。
109 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 00:31:37.10 ID:Td6PjIRJ0
失望、させちゃったかにゃ……?

当然だよね。
こんな凛じゃ…………。




にこ「…………凛」




病室の扉に手をかけたところで。
にこちゃんが名前を呼ぶ。
凛は顔を伏せたまま、返事もしないで聞く。

にこちゃんは、一言だけ。
ポツリと、こう呟いて、




にこ「あんたは正しいわよ」



凛「え…………?」




ーー バタンッ ーー




病室を後にした。




ーーーーーー
110 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 00:32:09.88 ID:Td6PjIRJ0
ーーーーーー
111 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 00:35:52.89 ID:Td6PjIRJ0
ーーーーーー




穂乃果「優しいね、にこちゃん」




病室を出ると、穂乃果にそう言われた。

優しい?
どこがよ?



穂乃果「凛ちゃんにこれ以上戦わせたくなかったんでしょ?」

にこ「……そんなんじゃないわよ」



凛はこれ以上戦えないと思ったから。
だから、メモリを回収しただけ。



穂乃果「それも凛ちゃんを巻き込まないため…………違う?」



そう言って、穂乃果はにこの顔を覗きこんでくる。
112 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 00:48:00.78 ID:Td6PjIRJ0

にこ「………………違うわ」

穂乃果「違うの?」

にこ「ちがう」

穂乃果「ほんとに?」

にこ「……………………はぁ」



…………はぁ。
ほんと、こいつは……。



にこ「海未の言うことが本当なら、海未が追ってる奴は相当ヤバイ奴だわ」

穂乃果「…………うん」

にこ「…………」

穂乃果「ケガ……してほしくないよね」

にこ「えぇ」



今までも危ない時はあった。
けど、たぶん。
危険さはこれまでの比じゃない。
もちろん、ケガじゃすまないことも……。

これ以上傷ついてほしくない。

傷ついた凛の姿を見てたら、そう思っちゃったのよね。



にこ「まぁ、あんたが使えるのは、にこしかいなくなったのは残念でしょうけどね」

穂乃果「むぅ! そんな言い方しなくてもいいじゃん! 穂乃果は……」



にこちゃんにも傷ついてほしくないよ。
ポツリと言ったその言葉は、わざと聞こえなかったフリをした。



にこ「いくわよ」

穂乃果「………………うん」



凛のことは大丈夫。

花陽。
真姫ちゃん。
凛のこと、任せたわよ



ーーーーーー
113 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 00:50:02.23 ID:Td6PjIRJ0
ビルド見なくてはいけないので、今夜はここまで。
気長にお付き合いいただけると幸いです。
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/04(日) 10:27:24.74 ID:R1k7cb3CO
おつ
海未ちゃんやっぱり暴走してるのか
これはにことの一騎討ちかな
115 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 13:26:49.51 ID:PQmdsRNi0
少し更新します。
116 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 13:33:48.87 ID:PQmdsRNi0
ーーーーーー




絵里「ちょっと付き合って!」

希「……えー」



休日にえりちの家に呼ばれたかと思ったらこれ。
いつぞやのことを思い出すなぁ。



希「……付き合うって……なにに?」

絵里「決まってるでしょ? 亜里沙のことを調べるの!」

希「あー」



やっぱりいつぞやと同じやん……。

結局あの件はえりちの勘違いだったって話で、決着がついたんじゃなかった?
そう聞くと、



絵里「えぇ。確かに、にこからはそう言われたわ。事実、亜里沙のため息はなくなっているものね」

希「なら、いいんじゃないん……?」

絵里「……そう。確かにため息はなくなった」

絵里「けど!」



絵里「今度は誰かとコソコソ出掛けているのよ!」



希「…………」



あぁ、妹大好きモードやね。
こうなったえりちはめんどく……ううん、ガンコやからなぁ……。
117 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 13:37:36.86 ID:PQmdsRNi0
放っておいてあげたらいいのに。
そう思うけど、それを言うとたぶんもっと面倒なことになりそう。
だから、



希「調べるって、どうするつもり?」

絵里「! えぇ、それはねーー」



とりあえず適当に同意してみる。

まぁ、きっと。
友達と出掛けてるとかだろうし。

そう思いながら、うちはえりちの案に頷くのでした。



ーーーーーー
118 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 13:43:26.47 ID:PQmdsRNi0
ーーーーーー



亜里沙ちゃん絡みの時のえりちの行動は早い。
実行に移したのは翌日。

うちとえりちは、朝から出掛けるという亜里沙ちゃんの後をつけることにした。
にこっちも誘ったんだけど、なんだか忙しいらしく、断られてしまった。



絵里「…………」

希「…………」



というわけで、えりちと二人。
ランナウェイした時に、にこっちともお揃いで買ったサングラスを着け、ファミレスで亜里沙ちゃんを監視する。
ほんと不審者やね……。

ただ、




亜里沙「…………」ソワソワ




今回のえりちの勘は当たっているかもしれない。

なぜなら、亜里沙ちゃんの様子が変だから。
端から見ても分かるくらいソワソワして、髪型とか服とかを 気にしている。

…………ふむ。
これは……?
119 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:07:49.65 ID:fXDTkW1P0



希「恋人、とか?」

絵里「いやぁぁーー」




ちょっ!?
慌ててえりちの口を抑える。

…………よし。
若干不審がられたけど……。



亜里沙「…………」モジモジ



バレてないようやね。
ホッと息を吐く。



絵里「〜〜〜〜っ」

希「静かにね、えりち」

絵里「…………」



えりちが頷いたのを確認してから、口を塞いでた手を離す。



絵里「亜里沙に……こ、ここここいびと? フッ、ありえないわね」

希「…………声、震えとるよ?」

絵里「うぐっ」

希「……おっ」



と、えりちをからかうのはこの辺で止めといた方が良さそうやね。
亜里沙ちゃんが動いた。
どうやら相手が来たみたい。

どれ?
亜里沙ちゃんが選んだ相手、うちとこの心配性なお姉ちゃんで確認しよか!

そう思って、亜里沙ちゃんの視線を追う。
そこにいたのは、





海未「……お待たせしました、亜里沙」




うちらもよく知ってる人物でした。
……うん。
120 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:17:38.50 ID:fXDTkW1P0

亜里沙「いえ! 待ってないです! アリサも今来たところで……」

海未「そう言っていただけるとありがたいです」

亜里沙「い、いえ! この間助けてもらっちゃったし」

海未「………………」

亜里沙「ここはアリサが奢ります!」

海未「……いえ。ここは私が払いますよ。待たせてしまいましたし、それに、後輩に奢ってもらうのは……」

亜里沙「?」

海未「とにかく、私が出しますから」



絵里「…………」

希「…………」



ふむ。
どうやら深読みしすぎたようで。
単に、憧れの海未ちゃんに会うからソワソワしてたってことやね。
ふふっ、ほほえましいなぁ……。



希「さ、えりち。相手は海未ちゃんやし、もうーー」

絵里「まだよ」

希「……え?」




絵里「怪しいわ」



えぇ……。
お姉ちゃん的にはまだ何か引っかかるみたいで、えりちは亜里沙ちゃんと談笑する海未ちゃんを鋭い目つきで見ていた。

…………いや、うん。
むしろ怪しいのはサングラスして他の席のお客さんを睨み付けるうちらだと思うんやけど……。

その言葉はどうにか飲み込んで。



絵里「続行よ!」

希「……はぁ」



気合の入ったえりちとは対照的なため息を吐いた。



ーーーーーー
121 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:18:49.12 ID:fXDTkW1P0
ーーーーーー



「………………」

「……………………」



ーーーーーー
122 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:28:48.80 ID:fXDTkW1P0
ーーーーーー
123 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:41:44.66 ID:fXDTkW1P0
ーーーーーー



一日亜里沙ちゃんと海未ちゃんの後をつけて分かったこと。
それは、



希「なにもなかったようやな」

絵里「……そうね」



普通にご飯を食べて。
普通にお店を見て回って。
普通におしゃべりをして。
二人が過ごしたのはそんな一日。

少し、時間は遅くなったけどね。



希「それじゃ、帰る?」

絵里「えぇ」



夕暮れの公園。
ベンチで並んで座る二人を見ながら、えりちに確認。
えりちもそれに同意してくれた。
気がすんだ、みたいね。



絵里「考えすぎ、か」

希「そうやね。ほら、亜里沙ちゃんも安心して海未ちゃんに寄りかかってる」

絵里「うん…………ん?」



ベンチに座る亜里沙ちゃんが海未ちゃんに寄りかかってウトウトしてるのが見える。
んだけどーー




希「…………え?」

絵里「……あ、あれ?」




ーーちょ、ちょっと待って。
海未ちゃん、何してーー

124 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:48:04.05 ID:fXDTkW1P0


海未「…………ごめんなさい」



海未ちゃんの手には、夕日に反射して輝くそれ。
それがなにか分からなかった。
ただ、それが危険なものだというのは、理解できた。




海未「許してくださいとは言いません」

海未「…………私は貴女を……っ」

海未「………………こうしなくては、ことりはーー」







海未「どんな罪も、罰も受け入れます」

海未「だからーー」グッ





絵里「なっ!?」

希「ダメっ!!」




駆ける。
海未ちゃんのそれを止めるために。

でもーー
125 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:49:09.89 ID:fXDTkW1P0



「っ、海未ちゃん!」



「海未ッ!!」



126 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:50:13.28 ID:fXDTkW1P0
ーーーーーー
127 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 18:55:15.13 ID:fXDTkW1P0
ーーーーーー



希「っ」

絵里「……っ」



海未「…………っ、なぜ……なぜーー」




海未「ーー邪魔をするのですかっ!!」

海未「穂乃果!! にこ!!」




穂乃果「海未ちゃんっ!」グッ

にこ「海未っ、あんたーー」




にこ「何してんのよッ!!」




亜里沙ちゃんにその刃を向けた手を払い、吼える。
128 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 19:00:33.53 ID:fXDTkW1P0


絵里「…………にこ?」

希「穂乃果ちゃん……?」



呆然とする二人。
……そりゃ、そうよね。

海未が亜里沙を殺そうとする、なんて。



穂乃果「…………ごめんね、二人とも。説明は後でするから」

穂乃果「今は……」



にこに代わって、穂乃果が二人にそう告げる。
……そうね。



海未「…………」



今は、こいつよ。
129 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 19:11:02.98 ID:fXDTkW1P0

海未「……凛といい、貴女たちといい」

海未「邪魔をッ!」スッ




ーー ギンッ ーー




既に海未はそれを抜いていた。
戦う準備は、万端みたいね。



にこ「上等よ」

穂乃果「にこちゃん……」

にこ「心配しないでいいわ。二、三発ぶっ飛ばして、目、覚まさせてやるから」

穂乃果「…………うん」



ーー スッ ーー



ドライバーを取り出し、



ーー ガシャッ ーー



装着する。
そして、メモリを起動して、




『ジョーカー!!』




にこ「変身っ!!」




一瞬、視界が霞んで、変わる。
目の前には、にこを睨む海未の姿。

そいつに、にこは投げかける。
さぁーー




ジョーカー『さぁ、お前の罪を数えろ!』



130 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 19:59:32.15 ID:fXDTkW1P0
海未の強さは分かってる。
凛がやられたくらいだもの。
距離を詰められたら終わり。

だからこそ!



ジョーカー『フッ!!』

海未「!」



だからこそ、接近戦よ!
というか、こっちは元々それしかできないわけだし!
つまり、あれよ!



ジョーカー『あんたが武器を作れないくらいの速さで攻撃し続けるわ!』



手加減はしない。
本気で!
そうしなきゃーー



海未「そこです!」グッ



ーー ブンッ ーー



ジョーカー『っ、ぶなっ!?』



そうしなきゃやられるわ。



ジョーカー『はぁぁっ!!』

海未「っ」

ジョーカー『やっ!』

海未「!」



一撃。
二撃。
続けて叩き込む。

海未には届かない。
けど、防御に神経を回しているせいで、海未からの攻撃は数えるくらいしかこない。
131 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:05:40.29 ID:fXDTkW1P0

ジョーカー『らぁっ!』

海未「っ、鬱陶しい!!」グッ

ジョーカー『!?』



ヤバイ!?




海未「離れなさいっ!!」スッ




ーー ガガガガガガッ ーー




ジョーカー『〜〜〜っ、はっ!』



どうにか距離を離して、避けきる。

至近距離で銃って!?
バカじゃないの!?



ジョーカー『あんたねーー』

海未「………………」




ーー キリキリキリキリッ ーー




ジョーカー『なっ!?』



体勢を整え、向き直ったにこの目に入ってきたのは、弓を引く海未の姿でーー。



ジョーカー『そんなものまでっ!?』バッ




ーー シュッ ーー




反射的に跳ぶ。
同時に風を切る音がした。
132 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:12:08.98 ID:fXDTkW1P0
避けた!
次はこっちのーー




ーー ザクッ ーー




ジョーカー『がッ!?』



突然、左腕に走る痛み。
空中で体を捻って見ると、2本のナイフが刺さっていた。



ジョーカー『矢……打ってすぐにコレ投げたの……?』



矢を放ってから痛みを感じるまで、体感で2秒。
ってことは、



海未「すぐにそれを精製して投擲した」

海未「それだけです」



大したことない。
そう言いたげに、海未は告げる。

体勢を整え、もう一回、海未と向かい合う。



ジョーカー『ほんっと、あんた化物ね』

海未「えぇ、化物で構いませんよ」




海未「……それでことりを取り戻せるのであれば」




ジョーカー『…………』
133 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:19:47.72 ID:fXDTkW1P0


ジョーカー『……ひとついい?』

海未「…………なんですか」



海未との距離は詰めず、にこはそれを切り出した。



ジョーカー『あんた、なんで亜里沙ちゃんを……』



凛から、海未が亜里沙ちゃんを『ソード』ドーパントから守ったという話は聞いていた。
だから、今日はただの様子見のつもりだった。

けど、



ジョーカー『あんた、亜里沙ちゃんを守ろうとしてたんじゃないの!』

海未「……………………」

ジョーカー『っ、答えなさいよ!』



海未は、



海未「……………………」



答えない。



ジョーカー『……そう。じゃあーー』




ジョーカー『無理矢理でも聞き出してやるわ!!』




ーーーーーー
134 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:24:13.71 ID:fXDTkW1P0
ーーーーーー



穂乃果「…………ここなら大丈夫、かな」



にこちゃんが戦い始めるのを見て、穂乃果は亜里沙ちゃんたちを連れて公園の外に出ていた。
少し離れたし、もう大丈夫なはず。

と、ここで、




絵里「……穂乃果」




絵里ちゃんに呼ばれる。

…………うん。
そうだね。



穂乃果「説明するよ」

絵里「そうしてもらえると助かるわ」



無理矢理冷静になろうとしてるのが分かった。
手が震えてる。

恐怖?
それとも、怒り?
分からないけど、絵里ちゃんは穂乃果の話をちゃんと聞こうとしてくれてる。

…………ちゃんと話さなきゃ。



穂乃果「あのねーー」



135 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:29:44.96 ID:fXDTkW1P0
穂乃果は話した。

穂乃果たちが卒業した後のこと。
海未ちゃんとことりちゃんのこと。
穂乃果のこと。
そして、『あの日』のこと。

ことりちゃんがいなくなり。
海未ちゃんが復讐に囚われてしまった『あの日』のことを。



絵里「…………」

希「…………」



絵里ちゃんも、希ちゃんも静かに聞いてくれた。

そして、全部話し終わって、二人は、



絵里「…………穂乃果」

希「穂乃果ちゃん……」




ーー ギュッ ーー




穂乃果「…………え」




絵里「辛かった、わよね」



そう言って、抱きしめてくれた。
それを聞いた途端、穂乃果はーー。

136 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/04(日) 20:42:12.67 ID:fXDTkW1P0



穂乃果「……ごめんね、絵里ちゃん、希ちゃん」



少しだけ泣いて、それからどうにかそれを引っ込めた穂乃果。
二人にお礼を言う。



絵里「……大丈夫」ナデ

希「もっと、うちらを頼ってくれてもええんよ?」ナデ

穂乃果「っ…………うん、ありがと……」



頭を撫でられながら、またお礼。
うぅぅぅ……。
また泣きそうにーー

なって、ふと目に入った。




亜里沙「………………うぅ」

穂乃果「……亜里沙ちゃん?」




疲れて眠っているんだと思ってた。

けど、あれ?
なんか、様子が変……?



絵里「亜里沙? ねぇ、亜里沙?」

亜里沙「うぅぅぅ……はっ」

希「! 穂乃果ちゃん、これって!」

穂乃果「っ、うんっ!」



海未ちゃんが動いた。
そのことばかりに目がいっていて、考えてなかった。
海未ちゃんが亜里沙ちゃんに近づいた理由。

殺すため?
……たぶん、そうだ。
じゃあ、なんで亜里沙ちゃんを殺そうとしたの?
その答えはーー



穂乃果「亜里沙ちゃんの服脱がせるよ!」

絵里「は……? え!?」

穂乃果「ごめんね!」グッ

絵里「ちょっ!? 穂乃ーー」




ーー バッ ーー





希「…………え、え?」

絵里「なによ……これ……?」

穂乃果「っ、これ、は……!?」
137 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:46:33.95 ID:fXDTkW1P0
亜里沙ちゃんの服の下。
お腹一面に広がっている模様。
それは中心の一ヵ所から広がっていた。

穂乃果はそれを知っていた。

……ううん。
教えてもらっていた。



それは、恐怖や絶望で成長する『モノ』
その力を何倍にも高めるために、受け皿であるそれが進化した姿。



彼がそう言っていた。
そう。
亜里沙ちゃんに刻まれているそれはーー





穂乃果「ガイアメモリの……コネクター……っ」




ーーーーーー
138 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/04(日) 20:47:18.73 ID:fXDTkW1P0
本日はここまで。
ビルド面白くて来週まで待ちきれない……。
139 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/10(土) 20:45:39.93 ID:VvAo5WzG0
本日更新します。
140 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:16:04.74 ID:EcD1qRVX0
少し更新。
141 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:17:02.42 ID:EcD1qRVX0
ーーーーーー
142 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:23:58.60 ID:EcD1qRVX0
〜〜〜〜〜〜



1ヶ月前のあの日。
私は亜里沙の家に呼ばれ、相談を受けました。



助けてください。

涙目で訴える亜里沙。
『あの人』を探していた私には、それを聞く余裕などありませんでした。
ただ、私を頼ってくれたその姿が、何故かことりとかぶってしまって……。

私はその相談を受けることにしたのです。



相談の内容は、変な女の人に付きまとわれている、というもの。



最初、それだけを聞いたときは、亜里沙の熱狂的なファンかなにかで、1度顔を合わせて注意をすればいいだろう。
その程度に思っていたのです。
143 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:33:29.61 ID:EcD1qRVX0


………………。


事が動いたのは、相談を受けた2日後のことです。
亜里沙を家まで送り届けた帰りに、私は『ドーパント』に襲われました。

ですが、口ほどにもない相手。
無論、返り討ちにしました。
『あの人』が私に5度の戦いのなかで伝えてきたように、コアを破壊して、メモリを壊して。



もしや『あの人物』が私を始末するために?

そんな疑問は、メモリを失い、人間に戻ったその人物が、うわ言のように亜里沙の名前を呟いていたことで否定されました。
144 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:39:02.13 ID:EcD1qRVX0

恐らく想像通り、熱狂的なファンがメモリを手にしてしまい、暴走してしまったのでしょう。

そう確信した私は、亜里沙に事件が終わったことを報告をしました。
勿論、『ドーパント』のことは伏せて。

けれど、彼女はまだ不安そうで。
だから、私は聞いたのです。



なにを恐れているのですか、と。



その質問に、亜里沙は自らの肌を私の前に晒して、それをーー『コネクター』を私に見せたのでした。
145 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:45:38.41 ID:EcD1qRVX0

その『コネクター』は私のものよりも、長く複雑な形をしていました。

話を詳しく聞けば、それは元々は大きくはなく、ただ毎日少しずつ大きくなっているようで。
まるで成長してるみたい。
そう、亜里沙は不安そうな表情で言いました。



…………そう、ですね。

私は何故かその時点で確信をしていました。
彼女のそれが誰につけられたものなのか。

亜里沙はそれを見知らぬ女性につけられたと話して。
その特徴を聞いて、また確信したのです。




『あの人』だ、と。



146 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 01:58:35.46 ID:EcD1qRVX0



助けなくては。



そのときは、私もそう思っていました。
けれど、そのメモリの正体をーー『あの人』が亜里沙に使おうとしているメモリの正体を知って、私の考えは変わったのですよ。



そのメモリの名前は『スキップ』。

早送りの記憶を宿したメモリです。
能力は、対象の時間を進める能力。

……そう、です。
つまり、『あの人』はそのメモリを使って、ことりの時間を進めようとしている。



……それは。
いつか『あの人』に見せられた最悪の結末のうちのひとつ。
ことりがドーパントとして『孵化』する未来に繋がることになる。




だから、私はーー




〜〜〜〜〜〜
147 : ◆OIuk3wBk3U :2018/03/11(日) 21:48:31.53 ID:W+6avPNl0
ーーーーーー
148 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/11(日) 21:59:13.37 ID:W+6avPNl0
ーーーーーー




海未「彼女を殺さなければいけないんですよっ!!」



ーー ブンッ ーー



ジョーカー『〜〜っ』



叫び声をあげながらの一閃。
海未が振り抜いた刀をなんとか避けて、距離をとる。



ジョーカー『ふっ、はっ……』



状況は……よくないわね。
こっちもメモリの力を使ってるとはいえ、元々の身体能力を考えたら、あっちの方が格段に上。

それに、近距離では刀や剣。
中距離なら弓。
遠距離なら銃。
それを同時に何個も作ってくるんだから質が悪い。
とにかく隙が無さすぎるわよ、あれ。

そして、なによりーー



海未「ことり……はぁ、はっ」

ジョーカー『!』



海未「絶対、助けます、から……」



これ、よ。

うわ言みたいに、海未はそれを口にしていた。

絶対助ける。
どんなことをしてでも。
どんな罰でも受け入れますから。
だから、



海未「かえってきて、ください……ことり……」



149 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:12:10.78 ID:W+6avPNl0



ジョーカー『きっついわね』



海未が苦しんでる。
きっと一人で抱え込んで、追い詰められて。
もうどうしようもなくなってる。
そんな海未を見てるのが、精神的にきつい。

声をかけようとしても、



ジョーカー『……海未、あんたーー』

海未「は、はっ…………っ!」グッ

ジョーカー『!?』



ーー シュッ ーー



返ってくるのは攻撃だけ。
こっちの話を聞く余裕はないみたい。

見れば、海未自身も息切れをしてる。
こっちからの攻撃は大してできてないから……たぶんメモリに飲まれないように必死に耐えながら戦ってるんだと思う。



ジョーカー『……目、覚ましてやるわって言ったのにね』



穂乃果に大口叩いといてこの様か。
まったく自分で自分が嫌になるわ。

…………正直、このままじゃ勝てる気も、止められる気もしない。
なら、




ジョーカー『……しかたない』



150 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:21:09.33 ID:W+6avPNl0
毎回毎回、こうなるのは、あれかしら?
にこが可愛すぎて神様から疎まれてるとか?

でも、



ジョーカー『…………絶対決めるわよ』



絶対決める。

もし、にこがあんたを止められなかったら、あんたは亜里沙ちゃんに手をかけるんでしょ?

それは絶対にダメ。
だって、それじゃあ、



海未「……はぁ、はぁ……」

ジョーカー『…………笑顔にさせてやれないから』



穂乃果と約束した。
全員笑顔にするって。

だからーー




ーー スッ ーー



ジョーカー『これで決まりよ!!』


151 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:22:19.98 ID:W+6avPNl0



海未「甘い!」スッ



ーー ベチャッ ーー


152 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:31:48.28 ID:W+6avPNl0



ジョーカー『!?』



ドライバーからメモリを抜こうとしたその瞬間、ドライバーに向けて何かを撃ち込んだ海未。
それは狙い通り命中して、



ジョーカー『っ、なによ、これ!? 固まってる!?』



ドライバーを覆うように、金属のようなものがくっついてしまっていた。
それから、同時に発射したもう2発もにこの足元にへばりつき、動かせなくなってる。
そこでやっと海未の撃ってきたのが、こっちの動きを封じるものだと理解した。



海未「……マキシマムは打たせません」

ジョーカー『くっ』



対策はしてあるってわけね。



海未「私は……メモリを失うわけにはいかないのですっ!」

海未「このメモリは、ことりを救うための力なんです! 私にはこれしかない!!」



だからーー。

ポツリと呟いた海未は、それをこちらへ向けた。

弓矢。
弦をキリキリと引っ張る。
海未が狙うのは、



ジョーカー『ドライバー?』

海未「……は、い」


153 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:38:09.10 ID:W+6avPNl0
確実に、ドライバーを壊すために力を溜めていく海未。
どうにか避けようと力を込めるけど、



ジョーカー『っ……っ!』

海未「無理、でしょう……それはそう簡単に剥がれるものではありませんから……」

ジョーカー『……みたいね』



残念なことに、海未の言う通り。

つまり、



ジョーカー『これで、終わり?』

海未「…………はい」

ジョーカー『そう……』




ーー ギリギリギリギリ ーー




音が変わる。
こんなの弓を引く音じゃないわよ……。



海未「にこ」

海未「これで終わりです」



力を溜め終わったようで、海未はそう告げた。
そして、にこの言葉を待たずにーー




海未「…………すみません、にこ」




ーーーー バシュンッ ーーーー




それは放たれた。
154 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:39:12.31 ID:W+6avPNl0




ーー にこの読み通りに ーー



155 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/11(日) 22:45:37.33 ID:W+6avPNl0





『サイクロンマキシマムドライブ』





海未「!? それ、は!?」



もう一本のメモリ。
凛から受け取ったそれの力が腕に集まるのが分かった。

それで、薙ぐ。
同時に、突風。

放たれた矢はその突風にあおられてーー




ーー シュッ ーー



ジョーカー『くっ』



左足をかすめるだけで済んだ。
ほんとは威力を完全に殺したかったけど、まぁいいわ!



ジョーカー『ハッ!』



そのまま地面に向けて風を起こす。
その風は地面を削って、地面と足にへばりついた金属は片方がなくなったことで意味をなくした。
156 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:47:51.50 ID:W+6avPNl0


ジョーカー『ハァァァッ!!』ダッ



蹴り出す。
一瞬で海未との距離が零になってーー。



ジョーカー『1発ーー




『サイクロンマキシマムドライブ』




ーーぶっ飛ばすッ!!』




ーーーーーー
157 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/11(日) 22:49:22.73 ID:W+6avPNl0
本日ここまで。
次回更新は少し時間が空くかもしれません。
申し訳ないです……。
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 20:53:39.68 ID:F6DohHuCO
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/12(月) 21:15:26.90 ID:3gKBmMeHo
来てた
おつ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/13(火) 23:30:05.92 ID:nOQVTys1O
おつ
あいかわらずのかっこよさよ
にこにーパイセンホントヒーロー
161 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 10:43:25.56 ID:MwpUyOD10
レス感謝です!
本日更新します。
162 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 21:42:14.95 ID:C/Za1RMU0
ーーーーーー




なにが起こったのか。
理解できていなかった。

完全に、隙をついたはずだったのに……。

でも、にこは



にこ「…………は、はっ……」



冷たい地面に倒れ込んでいた。
上を見上げる。
そこには、



海未「…………」



公園の街灯の光に照らされた海未の姿があって。
どんな表情をしてるかは、暗くて全然わからなかった。
ただ、笑顔じゃないってことだけは分かる。



海未「…………もう一本メモリを持っているとは思いませんでした。あれは……凛のものですか」

にこ「……そう、ね……」

海未「……正直危なかったです」



危なかった?
はんっ、よく言うわ。
そっちこそ隠し玉残してたじゃない。



海未「…………この盾のことですか」



海未は手にしたその盾を見ながら、呟く。

粗末なものです。
隠し玉では決してありませんよ。

海未はそう言ったけど、マキシマムを完全に防いだんだもの。
相当でしょうが!
163 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 21:52:00.73 ID:C/Za1RMU0



海未「完全に防いだ……いえ」コツン



ーー ガラッ ーー



海未「どうにか耐えた……という表現の方が正しいでしょう」



確かに。
海未の手にした盾は、海未が軽く叩いた衝撃で落ちてしまっていた。
……そう。
効いては、いたのね。



海未「…………本当に危ないところでした。ですが……」ガシャッ

にこ「っ」



海未が何かを落とす。
倒れるにこの手の中で、それが転がる。
さっきまでにこの姿を変えていたそれは、壊れ二つになってしまっている。
強く握っても、なにもない。

そう。
もう、にこはーー





海未「ーー『仮面ライダー』はもういません」





ーー変身できない。
164 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/18(日) 22:08:17.00 ID:C/Za1RMU0



海未「……これで、私を邪魔するものはいません」



ポツリと。
海未は小さな声で呟いた。

邪魔、ね。
それは、



にこ「亜里沙ちゃんを殺すことを?」

海未「……………………はい」

にこ「………………そう」



そう、なのね。
海未なら、もしかしたらメモリに勝てるかもしれない。
そう思ってたけど。
それは、間違いだった。



『ことりを救う』



海未はそのことに囚われ、感情が暴走して、メモリの毒素に呑まれている。
そのためなら手段は選ばない、か。

なら、




ーー ガシッ ーー




海未「っ!?」
165 : ◆6cZRMaO/G6 [saga]:2018/03/18(日) 22:16:10.81 ID:C/Za1RMU0



にこ「はぁ……はっ……」



海未の足を掴んで。
それから、立ち上がる。
息は切れる。
けど、



にこ「まだ……よ……」

海未「な、なぜ……?」



戸惑い混じりの声。

まぁ、そうよね。
こっちはメモリもドライバーも失ってマンシンソーイ。
対する海未はまだ余裕がある。
普通なら、ここで諦めるわ。

でも、それは無理よ。



海未「何故貴女は立ち上がるんですか……?」



海未がそう訊ねてくる。
そんなの、決まってるじゃない。



にこ「笑顔に、するって……決めたから……」

海未「っ、それは、亜里沙を、ですか!」



亜里沙ちゃんは守る。
笑顔にする。

後輩だし、友達の妹だもの。
当然よ。
166 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 22:20:58.15 ID:C/Za1RMU0



海未「っ、なら! ことりはっ!」

海未「ことりはどうなってもいいんですかっ!!」



どうなってもいい?
そんなわけないでしょ?

にこはね……。




にこ「全員、笑顔にするに決まってるじゃない」

にこ「だって、にこはーー」




にこ「ーーアイドルだから」




亜里沙ちゃんも。
ことりも。
もちろん、あんたもよ。

だからーー




にこ「海未」

にこ「あんたは、ここで止めるわっ」


167 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 22:27:43.90 ID:C/Za1RMU0


海未「っ」

海未「そんなの、理想論でしょう!?」

海未「綺麗事だけで! 想いだけで!」

海未「全部守れるのなら、私はっ! 私は……っ!」



ーー ガチャッ ーー



叫びながら、海未は左手をかざす。
その手には、銃。
黒く光るそれが目の前に突きつけられる。



分かってるわ。
にこの言ってることは綺麗事よ。
現に、にこにはもう戦う力はない。
心はあっても、体はない。

でも!



にこ「にこはっーー」




168 : ◆6cZRMaO/G6 :2018/03/18(日) 22:28:43.79 ID:C/Za1RMU0





「そこまでだよっ!!」




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