琴葉「私なりに、ワガママを」【ミリマスSS】

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1 : ◆UEry/CPoDk [sage saga]:2018/02/08(木) 21:02:03.88 ID:ElyN2LaX0
(劇場事務所)

琴葉「美咲さん、お疲れさまです。何ですか、私に用って?」

美咲「お疲れさまです、社長さんからのお知らせですよ。」

琴葉「社長から?」

美咲「はい。なんとぉ…」

美咲「じゃーん!最近頑張っている琴葉ちゃんに、スペシャルボーナスをプレゼント、だそうです!」

琴葉「えっ?」

美咲「えへへ。正確には先日のソロツアー成功のお祝いに、ご褒美を差し上げたいんだそうです。それで何か欲しいものがないか聞いておいてくれ、と言われまして。」

恵美「おおっ、珍しく社長が太っ腹だね〜。良かったじゃん琴葉。」

琴葉「急に言われても。ライブで成功するのはアイドルとして当然の事だし。」

恵美「いいじゃん、遠慮なく貰っておけばいいんだよ。」

美咲「そうですよ、せっかくの社長さんからのお申し出なんですから。」

琴葉「うーん。でもあのツアーが成功したのは手伝ってくれた恵美やエレナ、それにプロデューサーや美咲さん、スタッフ皆さんのおかげですし。私だけがご褒美を貰えるというのはちょっと…」

恵美「気にしない気にしない。琴葉が貰えるんならさ、アタシ達にもいつかくれるかもしれないんでしょ?」

美咲「そうですね、恵美ちゃんの頑張り次第ではそういう事もあると思いますよ。」




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2 : ◆UEry/CPoDk [sage saga]:2018/02/08(木) 21:06:22.71 ID:ElyN2LaX0

恵美「だよね。なら、やっぱり琴葉がちゃんとしたもの貰っとかなきゃ。そうしないと後からアタシ達が貰いにくくなっちゃうでしょ。」

琴葉「そっか。でも何があるかなあ、うーん。」

美咲「今すぐじゃなくても大丈夫ですけど、なるべく早めに決めてくれとの事です。今週中くらいにはお返事して下さいね?」

琴葉「はい、分かりました。」


(控え室)
琴葉「とは言ったけど。ほんとに思いつかないわ。どうしよう、恵美?」

恵美「マジメさんだねー。そうだね、アタシならアクセとかかな?こないだいいの見つけちゃったんだよね。」

琴葉「あんまり高額なものにするわけにはいかないわよ、お給料だってきちんといただいてるわけだし。」

恵美「お堅いねー。まあ社長も琴葉ならそう言うだろうと思ってこんな事言ったんだろうけど。」

海美「じゃあさ、お休みを貰ったらいいんじゃない?それで皆で遊びに行くとかはどう?」

恵美「やっぱそのあたりが無難かな。」

海美「めぐみー達とはこの前映画観に行ったんでしょ?今度は私とも遊びに行こうよ。」

美也「いいですね〜、私も是非お願いしたいですー。」

環「たまきも!たまきもことはとあそびに行きたいぞ!」

海美「よーしけってーい!琴葉、どこがいい?このメンバーなら遊園地とかアスレチックとかかな。」

環「たまき、アスレチックがいい!思いっきりあそびたいぞ。」

美也「お弁当を持ってピクニックなんてどうでしょうか〜。」

琴葉「ち、ちょっと待ってよ。急に言われても、皆の都合がつく日を考えなきゃいけないし…」


3 : ◆UEry/CPoDk [sage saga]:2018/02/08(木) 21:09:46.17 ID:ElyN2LaX0

恵美「ニャハハ、琴葉はモテモテさんだねー。みんな、まだ決めたわけじゃないんだから。琴葉にもう少し考えさせたげて?」

美也「あ、そうでした。すみませ〜ん。」

海美「いけないいけない。ごめんね琴葉、でも皆で遊ぶってのは是非候補に入れておいて欲しいな。」

琴葉「ありがとう。うん、考えておくわね。」

海美「おっと、そろそろ時間だ。二人とも、レッスン行こうか。」

美也「はい、頑張りましょう〜。琴葉さん、よろしくお願いします。」

環「行ってくるぞ。ことは、たまきもお願いするね?」

琴葉「うん、行ってらっしゃい…さてどうしよう恵美、やっぱりお休みを貰うというのが1番いいのかしら。」

恵美「妥当だとは思うよ。けどめったにない機会なんだし、もう少し何かないか考えてみたら?」

琴葉「そうね。うーん、でもなぁ。」

美咲「琴葉ちゃん、何にするか決まりましたか?」

恵美「まだお悩み中みたいだよ。」

琴葉「すみません、貰う立場なのに悩んでしまって。」

美咲「いいんですよ、ゆっくり考えて下さいね?」

恵美「でも、実際急に言われると思いつかないもんだよね。美咲だったら何がいい?」
4 : ◆UEry/CPoDk [sage saga]:2018/02/08(木) 21:13:53.71 ID:ElyN2LaX0
美咲「わ、私ですかぁ?うーん、そうですねぇ。もし、ワガママを言わせてもらえるんでしたら…」


美咲 「やっぱり、お休みが欲しいですかねえ。あ、別にお仕事がイヤとかふだん休めてないとかじゃないですよ?」

恵美「分かってるって。美咲、毎日すごく楽しそうにお仕事してるもんね。」

琴葉「いつも助かってます、本当に。」

美咲「ありがとうございます!えへへ、私も皆さんと一緒にいられてすごく楽しいですよ。」

恵美「どこか行きたい所でもあるの?海外旅行したい、みたいな。」

美咲「行きたいというより、帰省したいですね。就職してからまだ一度も実家に帰ってませんし。」

恵美「あ、美咲の実家は遠いとこだったっけ。」

美咲「はい。種子島と言って、九州にある島です、宇宙センターが有名なんですよ。」

琴葉「鹿児島でしたっけ。響ちゃんとかもそうだけど、実家が遠いと簡単に帰省は出来ませんよね。」

美咲「東京も楽しいですけど、たまには帰りたいですね。次のお盆が大丈夫だといいんですけど。それじゃ琴葉ちゃん、決まったら教えてくださいね?」



恵美「お仕事だから仕方ないけどさ、美咲も大変だよね。」

琴葉「そうね。独り暮らしって楽しそうだけど、やっぱり寂しい時もあるんだろうな。」

恵美「もし遊びに行くんならさ、美咲も誘ってあげるってのはどう?」

琴葉「あ、いいわね。じゃあやっぱりお休みで決定かな。」

恵美「琴葉がいいならそうしなよ。」

5 : ◆UEry/CPoDk [sage saga]:2018/02/08(木) 21:16:57.89 ID:ElyN2LaX0
琴葉「そうね…いや、でも皆とスケジュールが合うようにってお願いするのはちょっとワガママすぎないかしら?」

恵美「いいんじゃない?そう言い出す事ぐらい、社長も想定してるんじゃないの。」

琴葉「うーん…。」



昴「おっす、お疲れ琴葉。聞いたよ、なんか好きな物貰えるんだってな。何貰うんだ?」

琴葉「お疲れさま昴ちゃん。今考えてる所よ。」

昴「そっか。でもいいよなあ、羨ましいよ。オレもライブ成功したらなんか貰えたりすんのかな?」

恵美「昴、何か欲しい物があるの?」

昴「オレ?そうだなぁ、物よか野球関係の仕事をやってみたいな。始球式とか、キャンプ地めぐりみたいなヤツ。」

恵美「昴らしいね。」

昴「プロデューサーにずうっと頼んでるのに、いっつもそのうちにとか考えとくみたいな感じでごまかされちゃうんだもんな。あーあ、プロのブルペンで投げ込みとかしてみたいよ、腕がなまってしょうがないぜ…よっと。」

恵美「お、かっこいい。さすが、ちょっとした動作でもキマってるね〜。」

琴葉「…昴ちゃん。あなたもしかして、私がツアーに出てた時、貼り紙に書いてた事を守ってなかったんじゃないわよね?」

昴「え?や、やだな。そんな事してないって。」

6 : ◆UEry/CPoDk [sage saga]:2018/02/08(木) 21:21:40.29 ID:ElyN2LaX0
琴葉「へーそう。じゃ、あそこの壁に穴があいてるのはどうして?」

昴「げ!なんだよプロデューサーのやつ、琴葉が戻ってくる前に業者呼ぶって言ってたくせに…あ。」

琴葉「昴ちゃん?」

昴「み、未来のせいなんだぞ!アイツがオレのスライダーを捕ってみたいなんて言ったくせに、全然反応出来なくて後ろに逸らすから…。」

琴葉「……」ゴゴゴゴゴ

昴「ご、ごめん!キャッチボールだから、野球じゃないから!」

琴葉「あ、こら待ちなさい!」




琴葉「『ここでボール遊びをしてはいけません』…と。恵美、画鋲あったっけ?」

恵美「はい。あんまり怒んないであげなよ?言い出しっぺは未来なんだしさ。」

琴葉「どっちが悪いとか以前の話でしょ、ここはそういう事やるスペースじゃないのに。」

恵美「まあまあ。それよりご褒美の件だけど。さっき昴が言ってたじゃない、何かやってみたいお仕事をさせてもらうってのはどう?」

琴葉「それも面白そうね。だけど、何がいいかしら。」

恵美「ツアーでたくさん歌ったんだし、琴葉お得意の演劇を劇場でやるとかは?それか、こないだみたいなミュージカルとか。
7 : ◆UEry/CPoDk [sage saga]:2018/02/08(木) 21:25:38.38 ID:ElyN2LaX0

琴葉「劇場での仕事に自分の希望を言うのはちょっと悪いかな。ここは皆と一緒に立つ舞台なんだし。」

恵美「少しくらいならいいと思うけどね。じゃ、テレビ番組のロケとかリポーターとかはどう?」

琴葉「そういうお仕事はやった事ないし、いいかもね。エレナと3人でどこか行ったりみたいなのなんてどうかしら。」

恵美「お。いいね、楽しそうじゃん。海美や美也達も一緒にしてもらうようお願いすれば、さっきの遊びに行くってのに近くなるし…」

律子「お疲れさま二人とも、プロデューサー見てない?」

琴葉「お疲れさまです。今日はまだ見てませんよ。」

恵美「プロデューサーになんか用事?」

律子「ええ、あなた達にもね。エレナも含めた三人に、カフェ巡りのリポーターのお仕事のオファーが来てるのよ。」

琴葉「え?」

律子「あら何よ、嬉しくないの?」

恵美「あちゃあ、タイミング悪。実はね。」




8 : ◆UEry/CPoDk [sage saga]:2018/02/08(木) 21:34:22.83 ID:ElyN2LaX0
律子「…なるほど。けど、仕事の方面で希望を叶えるっていうのは難しいわよ。そんな都合のいいオファーなんてなかなか無いし。」

琴葉「やっぱりそうですよね。すみません、変なワガママ言ってしまって。」

律子「まあ、今回のツアーがご褒美を貰っていいくらいの出来栄えだったのは確かだけどね。」

琴葉「そ、そうですか?」

律子「ええ。特に最終日のステージなんて、千早や伊織が危機感を覚えたぐらいだったんだから。ぼやぼやしてたらあなたに追い抜かされるって、気合いを入れ直してたわよ。もちろん私もね。」

琴葉「そ、そんな事。私なりに頑張ったのはたしかですけど。」

恵美「だよねー。志保や静香もすっごい感動してたし。」

律子「感動してたって言うなら一番はあなたでしょ、あの時泣き止ませるの大変だったわ。」

琴葉「ふふ、そうだったわね。」

恵美「も、もういいじゃんその事は!それより律子さんならどうよ、何か欲しい物とか無いの。」

律子「私?そうね、パソコンのパーツとかなら欲しいのは何個かあるけど、そういうのは自分で買いたいしね。それより。」

恵美「それより?」

律子「劇場でやってみたい演出があるのよ。琴葉のツアーを見てていくつか思いついたんだけどね。」

9 : ◆UEry/CPoDk [sage saga]:2018/02/08(木) 21:37:03.22 ID:ElyN2LaX0
恵美「相変わらず仕事の虫だね〜。疲れたりしないの?」

律子「楽しいから大丈夫よ。でも琴葉のツアー動向も終わったし、しばらくはアイドル業の方に専念しないとね。それじゃ琴葉、ご褒美もいいけど次のお仕事もよろしく頼むわよ?」

琴葉「はい、お疲れさまです…律子さんってすごいわね、何だか憧れちゃうな。」

恵美「うん、かっこいいよね。まさにデキる女って感じ。でも、その律子さんに気合い入れさせる琴葉もすごいと思うよ?」

琴葉「そんな、私なんてまだまだよ。」

恵美「またまた〜。まあいいや、それよりどう、何にするか決まりそう?」

琴葉「何にも。お休みとかお仕事とか、色々聞いてたら何がいいのか段々分からなくなってきちゃったわ。」

恵美「あんまり考えすぎない方がいいんじゃない、ぱぱっと思いついた物を貰うって事にしたら?」

琴葉「それもいいかもね。ちょっと、家で考えてみるわ。そろそろ帰る時間だし。」

恵美「そっか。じゃお疲れ、また明日ね。」


(ロビー)
琴葉「さてと。どうしよう、いっその事高級アイスクリーム食べ放題なんてのは…あ。お疲れ様です。」

プロデューサー(以下P)「琴葉、お疲れ様。今帰りか?」

10 : ◆UEry/CPoDk [sage saga]:2018/02/08(木) 21:38:51.18 ID:ElyN2LaX0
琴葉「はい、お先に失礼します。プロデューサーはまだお仕事ですか?」

P「ああ、次の劇場公演の手配やら恵美の仕事送迎やら何やらな。そういえば社長からのご褒美、何にするか決めたのか?」

琴葉「いえ、まだなんです。とりあえず家で考えてこようかなって。」

P「そうか。社長も突拍子もない事言い出すな、何でも好きな物言ってみろだなんて。」

琴葉「ほんとですね、おかげで絶賛お悩み中です。」

P「ははは。まあめったにない機会だ、思い切り変わった事をお願いしてみるのもいいかもな。もしかしたら社長もそういうのを期待してるかもしれないし。」

琴葉「そうですか?」

P「ああ。琴葉は真面目で優等生タイプだろ?おかげですごく助かってるけど、たまにはそういう子に我儘言って、こっちを困らせて欲しいって気持ちもあるんだよ。」

琴葉「はあ。私だって悪い事しちゃう時もありますよ?家で宿題やるのサボって、こっそり学校でやったりだとか。」

P「…そうか。まあ、後悔しないように、なんて考えず、思いついた物を貰うって手もあるからな。」

琴葉「はい、じゃあ失礼します…あれ。」

P「どうした?」
11 : ◆UEry/CPoDk [sage saga]:2018/02/08(木) 21:42:14.49 ID:ElyN2LaX0
琴葉「プロデューサーそのシャツ。もしかして、昨日と同じじゃないですか?」

P「う、目ざといな。皆には内緒だぞ?昨日ちょっと家に帰れなくてな…。」

琴葉「またですか?たしか、先週もそんな事言って、劇場に何日も泊まり込んでましたよね。いや、その前の週も、それからその前も。」

P「ま、まあまあ。今は大事な時期なんだ、多少の無理は仕方ない。本当にヤバくなったらちゃんと休むよ、体調管理も仕事のうちだしな。」

琴葉「その大事な時期っていつ終わるんですか?同じ事何回も聞いた記憶がありますけど。」

P「う。いや、アイドルにそこまで心配してもらわなくても…。」

琴葉「だったら心配させるような事しないで下さい!最後にきちんとお休み取ったのっていつでしたっけ?」

P「え、えっと。たしか、年が明ける前…。」

琴葉「もう。いいですか、プロデューサーは皆にとって、かけがえのない大切な人なんです。あなたに万一の事があったら、私だって…。」

P「琴葉…すまん、アイドルにこんな心配させるだなんて。分かった、もう無理はしない。」

琴葉「本当に?」

P「ああ、約束する。今日はどうしても無理だけど、明日は必ず定時で帰って早く寝るから。」

12 : ◆UEry/CPoDk [sage saga]:2018/02/08(木) 21:45:07.94 ID:ElyN2LaX0
琴葉「…先月もそう言って、結局ずっと遅くまで仕事されてましたよね?」

P「そ、そうだったか?いやあ、さすがは琴葉。記憶力抜群だな、ははは…」

琴葉「……」

P「…ごめん。」

琴葉「どうしていつもそうなんです、私達の為に頑張ってくれるのは嬉しいですよ?だからって、無理ばかりしてるの見てたらこっちだって申し訳ないですし、心配になってしまうんですから。」

P「わ、悪かったよ。今度こそ、今度こそ無理しないから。約束する、俺を信じてくれ。」

琴葉「信用出来ません。」

P「ほ、本当だって…」

琴葉「いいえ。そう言って、結局またうやむやにしてしまいます。間違いありません。」

P「ソ、ソンナコトナイヨー。」

琴葉「どうするのがいいのかしら、いっそのこと強制的に休ませて…あ。」

P「どうした?」

琴葉「ありがとうございますプロデューサー。ご褒美の使い道、今決まりました。」

P「は?」
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