【ミリマス】コトハジメ

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27 : ◆Xz5sQ/W/66 [saga]:2018/02/08(木) 23:53:58.14 ID:eKF+OPoOo

「君、どうしてこっちの会場に?」

「……事務所に行って尋ねたら、アナタはこちらにいると言われたので」

「音無さんじゃダメだったかい」

「ダメです。直接アナタに渡さないと……私の夢がかかってるコトですから」

強い意志と決意を秘めて俺に向けられる切れ長の目は、まるでかつての千早を見るようで。

……最上静香。鋭い刃物のような少女は今、馴れ合いなど御免だと
言わんばかりのヒリヒリとした雰囲気を学生服の上から纏って座っていた。

とはいえ、そんな少女の発する空気も恵美には関係ないらしい。
彼女はにゃははと柔らかい笑いを浮かべると。

「可奈は千早に用があって、静香はプロデューサーに用事だって」

「矢吹さんは私に?」

説明された千早が小さくその首を傾げて俺を見る。
こっちの用事は見当がつくが、矢吹さんが千早に? なんだろうな。

「あっ、あの! 如月千早ちゃ……さん!」

なんてことを思ってる間に、矢吹さんはイスから立ち上がるとおずおずと千早の前へと移動した。

その顔はのぼせたように赤く染まり、緊張の度合いも面接時と同じかそれ以上。

「わ、わわわ私! 矢吹可奈、ですっ!」

「え、ええ。知ってるわ……。今日のオーディションでも会ったわよね」

「はひ! そ、そうです、そうです、そうなんです。……それで、その、私、実はぁ……」

「……もしかして、私のファン……だったり?」

千早に優しく尋ねられた矢吹さんは次の瞬間、建物を震わせるほどの大きな声で
「そうです! ファンです!! 凄くファンですっ!!!」と興奮しながら返事をした。

あまりに大きなその声に、俺たちは呆気に取られてしまったほど。
……声量だけならトップレベルのアーティストとだって勝負ができそうな勢いだ。
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