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バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」
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569 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:14:25.56 ID:IA8vUwsQ0
バットマン「……余裕……」
モードレッド「……」
(コイツが裏切って私達全員を皆殺しにする可能性もある)
バットマン「……いや、そうだな……すまない。少し……思考が偏っていた」
モードレッド「……フン、めんどくせえ奴」
マシュ「すみません、マスターはその……顔見知りというか……」
モードレッド「良いぜ、そっちが妙な動きをしたら叩っ斬ればいいだけだ。ついて来いよ」
バットマン「何処へ」
モードレッド「俺達の家へだ」
570 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:14:56.89 ID:IA8vUwsQ0
………………
ドクター『らしくなかったじゃないか、ブルースくん』
バットマン「……そうか? いや、そうだな……少し、過敏になっていた」スタスタ
バットマン(らしくないと言えば、ダビデに対するドクターの対応もおかしかったように思うが……)
バットマン「……常に最悪を想定してしまう。人の考えなど、ひと呼吸で変わってしまうものだから」スタスタ
マシュ「……」スタスタ
ドクター『……ひと呼吸で、か。確かにそうかもしれないね……』
571 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:15:23.48 ID:IA8vUwsQ0
ドクター『ところで、毒の影響はどんな感じだい?』
バットマン「理性的な恐怖とそうでない恐怖を見分けるようにしている。この霧が少しでも薄くなればまだマシだろうが……それこそ、呼吸の度に毒を吸入している状況だ。この対処法がいつまで持つか……」
ドクター『うーん……こっちで解毒剤を研究してみるよ。完成したら成分を表示する。そちらでも精製できるよう、出来るだけ容易に手に入る成分を選択してみる……』
バットマン「……そうか」フッ
ドクター『なんだい?』
バットマン「初めてドクターらしい言葉を聞いた気がしてな」
ドクター『そう!? ……えへへ、そうかなあ。プロっぽかった?』
バットマン「ああ。……ありがとうドクター、よろしく頼む」
ドクター『うんうん、任せてくれ!』
ダビデ「へえ、頼もしいな。優秀なドクターなんだ」
ドクター『うるさいぞ!』
ダビデ「ちょっと!? 対応が違い過ぎるだろう!?」
572 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:16:34.82 ID:IA8vUwsQ0
ダビデ「だいたいなんだってキミはそんなに僕に辛く当たるんだ!」
ドクター『自分の胸に手を当てて訊いてみたらいいと思うな! 無自覚たらしネグレクト王! 女の敵! モテない男の敵! 人類の8割を敵に回してるのを自覚しろよ!』
ダビデ「ちょっと待った!! なんだか不名誉な称号ばっかりだが、ちゃんとした功績だって残してるんだからな! 味方だってそれなりに多いさ!」
ドクター『昔の王様だったらどんなに少なくても何かしらの功績は残してる! それなりって言ってもどうせ味方は羊ばっかりだろう!?』
ダビデ「羊を馬鹿にしたな!?」
ギャーギャー‼ ワーワー‼
モードレッド「なんだアイツら」
マシュ「あ、あはは……け、喧嘩するほど仲がいいとも言いますし」
モードレッド「……どうでも良いけどうるせえんだけど……」
マシュ「それは……っ、構えて下さい。前方から何か来ます」
573 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:17:04.02 ID:IA8vUwsQ0
ガシャン、ガシャン、ガシャン……
自動人形A「……」ガシャン、ガシャン
自動人形B「……」ガシャン、ガシャン
自動人形達「「「……」」」ガシャン、ガシャン、ガシャン
マシュ「あれは……機械の人形でしょうか。マスター、指示を」
バットマン「……」
バットマン(……関節部分から噴き出す蒸気。これも蒸気機関か……)
モードレッド「オラァ!」ブンッ、ガッシャァァァァァァァァ‼
マシュ「も、モードレッドさん!? まだ敵と決まったわけじゃ……」
モードレッド「チンタラしてんのが悪りいんだろうが! 敵か味方か分からなきゃ、取り敢えずぶっ壊せばいいんだよ!」
バットマン「……」
574 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:17:32.90 ID:IA8vUwsQ0
マシュ「マスター、どうしましょう」
バットマン「……あの人形は敵だ。殲滅するぞ」
マシュ「了解しました!」ガシャリ
モードレッド「そぉらっ!」ブンッ、ゴッシャァァァァァァァ‼
ダビデ「せいっ!」ヒュンッ
石「」ヒュォォォォォンッ
人形D「ギギギギーーー!!!」ガッシャァァァァァァァァン‼
マシュ「……たああああっ!」タッタッ、ブォンッ‼
575 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:18:00.65 ID:IA8vUwsQ0
………………
???「……アリス、アリスは何処だ……これだけ広い図書館なら、本くらいあるハズだろう……」ガサゴソ
???2「全く、これだけの本の海の中から特定のものを探し出すだと! 本を元の棚に戻すマナーの良い連中ばかりではなかっただろうに、よくもまあ!」ガサガサ
???3「あら、おじさま達。そこで何をしていらっしゃるの?」
???「キミは……あぁ、キミも物語の一部か。手伝ってくれ、不思議の国のアリスが……時代脚色の極めて少ないモノがここにはあるハズなんだ」
???2「マッドハッター! 誰彼構わず声を掛けるのはやめろと……む、そこに居るのは……また、面倒な奴だな」
576 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:18:44.39 ID:IA8vUwsQ0
???3「めんどうなやつ……私の事かしら、小さな紳士さん」
???2「俺は小さな紳士などという間抜けな名前ではない。全く……」
???3「ごめんなさい、小さな紳士さん。でも、名前が無ければ、どう呼べば良いのか分からないの」
???2「……呼ぶならせめてアンデルセンと呼べ。お前はそこで何をしている」
???3「わたし? 私はありす(わたし)よ、アンデルセンさん」
アンデルセン「……はあ!?」
マッドハッター「なんと! キミがアリスだったか……!」バタバタ
577 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:19:25.13 ID:IA8vUwsQ0
アンデルセン「まっっっっっったくなんて事だ! この狂人に適当に付き合ってやっているつもりが、まさか本物のアリスに出会ってしまうとは……」
マッドハッター「はやくお茶の準備をするんだ、アンデルセン! アリス、ああアリス。キミと会いたかったよ、ずっと夢見てた!」
???3「……おじさま。これがあなたの夢だったのね。でもごめんなさい、私はありすだけどありすではないの」
マッドハッター「なんと……だが良い、アリス。僕はそんな事を気にしない。キミが誰かの為の物語であるならば……こうして共に紅茶を飲む事に、意味はあるのだ」
アンデルセン「……『誰かの為の物語』(ナーサリー・ライム)か。何故狂人はいつも詩的なんだ、世の中の皮肉を感じざるをえん」
???3「ナーサリー・ライム……すてき。私も、そうなれるかしら」
アンデルセン「……全く、さっきまで正体不明だった少女に名前まで付けたか。マッドハッター、お前さては相当頭が切れるんじゃないのか」
マッドハッター「はやく! 紅茶を用意してくれ、アンデルセン!」
アンデルセン「……そんなワケがなかったな」コポポポポ……
マッドハッター「さあ、聞かせてくれ。キミが知るアリスの全てを!」
578 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:20:13.83 ID:IA8vUwsQ0
………………
ベイン「……」ドシ、ドシ……ピタッ
ベイン(……)
ベイン「……」スッ
……、…………タンッ
???「っ」ギュォッ
ベイン「フン」ガシッ、ドシャァッ
???「いたっ……!」ドサリ
579 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:20:40.77 ID:IA8vUwsQ0
ベイン「霧を使って上手く立ち回ったつもりか? 足音をあれほど派手に立てているようじゃ……フフフ、甘いな」グググググ……
???「はなせ!」ジタバタ
ベイン「そちら次第だ。……さあ、名前を言え。その名に価値があれば、上手く使ってやる」ググッ
???「くぅっ……わたしは、ジャック……ジャック・ザ・リッパー」
ベイン「……ほう、切り裂きジャックか。史上稀に見る犯罪者……その正体がここまで幼い少女だったとはな」パッ
ジャック「っ」ババッ
ベイン「良いだろう。お前の事は見逃してやる。何処へなりと行くがいい」
580 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:21:18.41 ID:IA8vUwsQ0
ジャック「……どういうつもり」
ベイン「利用するまでもないという事だ。お前の恐怖は皆を巻き込む」
ジャック「……」
ベイン「フフフ、その目。そして後世に伝わるほどの犯罪。お前が何かにとりつかれたように人を殺して回った理由、それは執着心だ」
ジャック「……なにをしってるの」
ベイン「……」ジッ
581 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:22:58.94 ID:IA8vUwsQ0
ベイン「頬にはねた血液。血の指紋。つい先ほど殺人を犯したが、かなり抵抗を受けたようだな。初撃からこれほどに抵抗するのにはそれなりの体格が必要になる……つまり大人だ。
漂う香水の匂い、また女性をやったようだな」
ジャック「……」
ベイン「英霊は全盛期の姿で召喚される。全盛期が『幼い子供』? ……想像力を生業とする者ならともかく、アサシンでそれは考えにくい。子供時代が幸福の絶頂だったとも考えられるが、その線で行くと『その姿』で大量殺人鬼のように歪み果てる理由もない」
ジャック「……」
ベイン「つまりお前は不幸な子供、殺人のターゲットは女性。子供時代に死亡したか……それとも、まともに成長すらできなかったか。いずれにせよ、大人の女性、自分の母親に強い恨みを……」
ジャック「……」シュン
ベイン(……)
ベイン「……違うな。お前は捨てられたのか、物心がつく前に」
582 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:24:04.88 ID:IA8vUwsQ0
ジャック「っ……なんでわかるの」
ベイン「……」
(((父さんは何処なの?)))
ベイン「見れば分かる。そうか、成程……フフフ、面白い。どうやら俺は勘違いをしていたようだ」
ジャック「どういう事」
ベイン「行け。お前と同じ目をした男を知っている」
ジャック「……?」
ベイン「殺せ。お前にとっての『親』を探して回れ。そうすればきっと、目的がお前を見つけるハズだ」
ジャック「……」
ベイン「それとも、ここで俺と無益な闘いを繰り広げでもするか? 俺は全く構わんが」ゴキゴキ
ジャック「……」ジリジリ
583 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:24:47.16 ID:IA8vUwsQ0
ジャック「……」ジリジリ……ズォォォォ……
ベイン「……行ったか。賢明な判断だ」
ベイン(尤も、少し残念でもあるが……主を持たないサーヴァントというのは、あの程度のものなのか)
ベイン「……まあ良い。行くとしよう……鼻が利くというのは、良い事だ」ドシ、ドシ
………………
ナーサリー「それでね、ありすったら……」
マッドハッター「ほうほう……?」
アンデルセン「……待て。何か来るぞ」ピクッ
584 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:25:37.35 ID:IA8vUwsQ0
マッドハッター「アンデルセン、今良いところじゃないか。席を立つにはまだ早い」
アンデルセン「嫌な予感がする……おい、図書館の扉はきちんと閉めただろうな」
マッドハッター「勿論だ。カギを閉めて、誰も入れないようにしたとも」
アンデルセン「……クソ、なんだこの寒気は……特大の不吉がやってくる前触れのような……」
ドゴッシャァァァァァァァァァァ‼
アンデルセン「……!! 今の音は、正面玄関の……!」
マッドハッター「なんだ、誰だ!?」
585 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:26:57.93 ID:IA8vUwsQ0
ベイン「……俺の嗅覚によれば、此処に誰か居るハズだが」ボキボキ
アンデルセン「誰かは知らんが、お前の来る場所ではないぞ筋肉ダルマ!」ギュギュギュォッ
光弾「」ギュォォォォォォォォッ
ベイン「ほう」ドドドッ……シュゥゥゥゥゥゥゥゥ……
アンデルセン「……クソ、付け焼き刃とはいえこうもあっさり弾かれるとは!」
ベイン「いや、効いた。なかなか良い攻撃だったぞ、小僧」ドシ、ドシ
マッドハッター「騒がしいな、誰が……!! べ、ベイン……!?」
ベイン「ジャービスか。お前もこっちに来ていたようだな」
ナーサリー「……お、おじさまがもう一人? 随分、その……いかつい見た目ね」
586 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:27:43.91 ID:IA8vUwsQ0
マッドハッター「お逃げ、アリスの分身さん! アイツは危険だ、悪いドラゴンだよ!」
ナーサリー「わ、悪いドラゴン……とても怖いのね」
ベイン「フフフ、まだ物語に没入するクセが治っていないようだな。骨を何本折られるまでそうやっていられるか、数えてやろう」
マッドハッター「……! アンデルセン、お前も逃げるんだ」
アンデルセン「……マッドハッター」
マッドハッター「アリスを頼んだよ! 必ず生き延びてくれ、彼女は私の全てなんだ!」
アンデルセン「……分かった。陳腐な言葉になるが……また会おう」
マッドハッター「……」
587 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:28:34.12 ID:IA8vUwsQ0
ナーサリー「アンデルセン、駄目よ! このままじゃマッドハッターさんが危ないわ!」
アンデルセン「馬鹿め! 奴は危険を承知で時間稼ぎを引き受けたんだ、さっさと奥に潜り込むぞ!」パシッ、ダダッ
ナーサリー「おじさま! 乱暴は駄目、絶対に駄目よ! 私、怒るんだからあああぁぁぁ……」ズルズルズルズル
ベイン「……お前程度で時間稼ぎになると思ったのか、ジャービス」
マッドハッター「……ならないかもしれないな。でも、こうして……」チリン……チリン……
ベイン「……っ……しまった、マインドコントロール波か……その立ち位置も、計算して……」ヨロ
マッドハッター「……さあ、精神の世界へ旅立つとしよう。そこでなら、私もキミと対等以上にわたり合えるかもしれない……」チリン……チリン……
ベイン「……ぐっ……」ドシン……
588 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:29:03.14 ID:IA8vUwsQ0
(((お前の名はベイン)))
(((意味は『破滅』)))
(((お前は父親の罪を償うために刑務所に居る。それを忘れるな)))
(((でも、父さんは何処なの?)))
(((……アイツは……)))
589 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:29:34.72 ID:IA8vUwsQ0
(((あ……が……)))
(((ナメるな。僕はお前の道具じゃない)))
(((やりやがった! たった8歳のガキがアイツを殺しやがったんだ!)))
(((悪魔め! こっちに来るな!)))
(((……孤独は恐ろしいか?)))
(((……ヴェノム注入計画を……)))
(((バットマン。ゴッサムを恐怖で支配する鉄の男)))
ベイン「……!!」カッ
590 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:30:09.61 ID:IA8vUwsQ0
ベイン「……」ガシッ
マッドハッター「な……!? ば、馬鹿な……悪夢から、これほど早く目覚めるだと……」
ベイン「悪夢か……フフフ、ジャービス。俺は慣れている」グググググ……
マッドハッター「……あ……あが……」ジタ……
ベイン「……この世に現実以上の悪夢など、存在しない」ゴキリ
マッドハッター「…………」
ベイン「……」ポイッ
マッドハッター「……」ドシャッ
591 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:30:38.76 ID:IA8vUwsQ0
ベイン「……」ムクリ
ベイン(広大な図書館の奥まで逃げ込んだか……)
ベイン「フン」
ベイン(そこまで生に執着するならば、好きにするがいい……追って潰す価値もない小物共だ)
ベイン「……」ドシ、ドシ
ティーカップ「」カチャ……
592 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:31:12.61 ID:IA8vUwsQ0
………………
モードレッド「おーい、帰ったぜ」トントン
ドア「」ガチャ……
???「やあ、お帰り……うん? お客さんが多いようだね」
バットマン「……」
マシュ「こ、こんにちは」ペコリ
ダビデ「やあ、どうも」ニコッ
???「……信用できる人達なのか?」
モードレッド「良いから入れろって、何かあってもぶった切れば良い話だし」スタスタ
???「あっ、おい。……はあ、仕方ないな。どうぞ」
バットマン「……失礼する」スタスタ
593 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:31:48.63 ID:IA8vUwsQ0
………………
???「ソファが空いてるから、座って。お茶はお出しできないけど……」
マシュ「いえ、お構いなく。大丈夫です」
バットマン「……話は聞いている。モードレッドと二人、霧に覆われたこのロンドンで、未だに抵抗活動を続けているとか……確か、名はジキルと」
ジキル「ああ。抵抗活動と言っても、霧の原因の調査に出かけたり、目に入った機械軍団を破壊したり……そんな事ばっかりだけど。名乗り遅れた、僕はヘンリー・ジキル」
マシュ「マシュ・キリエライトです」
ダビデ「ダビデだよ。ほら、イケメン美声超強肩で有名な……」
バットマン「私はブルース・ウェインだ。調査で何か分かった事はあるか?」
ダビデ「遮らないでくれるかな!? ホラ今名乗ってる途中だから!」
594 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:33:34.39 ID:IA8vUwsQ0
ジキル「分かってきた事は多い。まず敵はひとつの団体だけじゃなくて、野良サーヴァントにも居るらしく……爆弾で人を殺す者、鋭利な刃物で人を解体する者、帽子で人を操る者が居るようだ」
バットマン「帽子で……人を?」
ジキル「ああ、失礼。帽子のサーヴァントは『居た』と言うべきか……最後の情報では、図書館に入っていったっきり姿を現さないらしい」
バットマン(帽子……マッドハッターか。図書館に入っていった……という事は、またアリスでも探しているのか)
バットマン「すまない。話を切ってしまった。それにしても、何処からそんな情報を仕入れるんだ?」
ジキル「僕は一応、この時代に生きる人間でね。霊薬調合の心得があって、科学者として身を立てているんだ。ツテもそれなりにあるよ」
バットマン「ツテが……」
バットマン(おかしい……ヘンリー・ジキルはもう少し前の時代、物語によって創作された人間だと思っていたが……同姓同名の別人か?)
595 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:34:28.48 ID:IA8vUwsQ0
ジキル「だから、この霧がロンドンを覆った時も、いちはやく研究に乗り出せた。この霧……僕たちは『魔霧』と呼んでいるんだが、これは膨大な魔力と、人を恐怖に陥れる毒を含んでいるらしい」
バットマン「……」
ジキル「最初期はロンドンのあちこちで暴動が起きた。恐怖で我を忘れた人々が、互いに殺し合っていた。だが、それも沈静化しつつある……いや、暴動が起きるほどの人数がロンドンに居ないんだ」
バットマン「死んだのか」
ジキル「僕の試算でも、数十万単位の人間が死んでいる。恐怖毒だけでなく、濃厚な魔力も、耐性の無い人間を蝕んでいるんだ。このままではロンドンがもぬけの殻になるのも時間の問題だろう」
バットマン「……それを止めるために、私達が来た」
ジキル「そうだね。それじゃあ、そろそろそちらの話を聞かせてもらえるかな?」
バットマン「私達は……」
596 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:35:09.95 ID:IA8vUwsQ0
………………
モードレッド「へえ、特異点ね。他に七つもこんな場所があんのか?」
マシュ「はい。三つは既に私達で解決しましたので、残りはこのロンドンを含めて四つです」
ジキル「世界に打ち込まれた七つのボルトのひとつ。それがこのロンドンか……」
バットマン「私達は、この特異点の原因である聖杯を探している。……協力を要請したい」
ジキル「もちろん、願ったり叶ったりだよ。こちらとしても、この魔霧は取り除きたいものだしね」
モードレッド「……フン」
バットマン「何か異論があるなら聞くが」
モードレッド「ああ? ねえよ、ほっとけ」
バットマン「……」
モードレッド「……」
ダビデ「ほ、ほーら! 同盟締結! イェー! 仲良くしよう、な!?」
モードレッド「……チッ」
バットマン「……」
597 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:36:15.57 ID:IA8vUwsQ0
ジキル「魔霧の発生源だが……突き止めようにも、そう派手には動けない。だが、モードレッドから聞いた話によると……どうやら首謀者は『B・P・M・S』と、イニシャルで呼び合っているらしい」
バットマン「本当か」
モードレッド「嘘なんか吐くかよ。あのスケアクロウってヤツが笑いながら言ってたんだ。多分本当だろ、間抜け面だったし」
バットマン「……」
バットマン(B・P・M・S……Sはスケアクロウか。では残りは……)
バットマン「思い当たる人物は居るか」
ジキル「残念だけど、知り合いに当てはまりそうな人は居ない。
……魔霧発生から三日、掴んだ手掛かりはこれだけだ。スコットランドヤードに連絡しようにも、彼らも霧のせいで碌に動けない。政府からの支援も、魔霧が阻んでいる状況だ。動けるのは実質、今ここに居る人員だけだと思ってくれ」
598 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:36:56.98 ID:IA8vUwsQ0
フォウ「フォウ……」
ジキル「……そして、さっそくだけど頼みたい事がある。良いかな、ブルース」
バットマン「聞こう」
ジキル「さきほど、ツテから連絡を貰っていると言ったが……できれば、その人物の保護を頼みたい」
バットマン「……保護か。誰だ、それは」
ジキル「彼の名はヴィクター。ヴィクター・フランケンシュタイン」
599 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:37:35.69 ID:IA8vUwsQ0
………………
ベイン「……ここがお前達のアジトか。随分こじんまりとしたものだな」
P「……地下へ行けばもっと大きな空間があります。それよりようこそ、ミスター・ベイン。歓迎しますよ」
M「生憎『B』と『S』は席を外しているが……よく来てくれた。これで我らの計画はより盤石なものとなるだろう」
ベイン「御託は良い。仕事だ。今、最も計画の邪魔になっているのはどいつだ?」
M「……成程、聞いていた通りの男だな。では本題といこう」
600 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/03/25(日) 21:38:01.23 ID:IA8vUwsQ0
M「我々の動きを監視し、その情報を反抗勢力へ流している者が居る。そいつの始末を頼みたい」
ベイン「誰だ。そいつの名を言え」
M「スイス人の科学者。死体を繋ぎ合わせ、至高の魂を作り上げようとした哀れな男」
ベイン「……」
M「ヴィクター・フランケンシュタインだ」
601 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/03/25(日) 21:38:34.85 ID:IA8vUwsQ0
今回の更新はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました
602 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/03/25(日) 21:40:01.65 ID:IA8vUwsQ0
https://www20.atwiki.jp/nijiame/
マッドハッターもキャラクターBiosに説明が収納されていると思いますので、興味があれば是非ご覧ください
603 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/03/25(日) 21:43:38.88 ID:IA8vUwsQ0
いえ……ごめんなさい、マッドハッターはやはりアーカムシリーズをプレイして頂くのが分かりやすいと思います。
面倒な方は調べなくても、マッドハッターはここからの話に一切かかわらないので大丈夫です
604 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/03/25(日) 22:02:43.13 ID:5Xq7gceGo
乙
流石はベイン強すぎる
頭脳プレーも行けすぎるし現状並の鯖じゃ太刀打ちも出来ないのでは…
605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/25(日) 22:19:47.01 ID:+il2mQ6Ho
マッドハッターは録に映像化されてないからなぁ
アーカムシリーズをプレイするのが一番どういう奴なのかわかり易い
まぁプレイしなくても描写した範囲の事が判れば問題無いけど
606 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/25(日) 22:48:54.84 ID:Pzq4qcC4o
乙
マッドハッター、邦訳ではどれに出てたかな
あとやっぱ理性あるベインは半端ないな
アーカムオリジンズとか
607 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/27(火) 20:11:40.47 ID:xG9iBxvbo
最近ネットフリックスに来たドラマゴッサムの第三シーズンとか
608 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/03/28(水) 02:10:26.67 ID:6fQTsRS20
誤りを見つけたので訂正させて下さい。
513
所長「見なさい! パイプなんて蒸気が噴き出しっぱなしじゃないの! これもう!?」
↓
所長「見なさい! パイプなんて蒸気が噴き出しっぱなしじゃないの! これもうまともに機能してないわよ!?」
609 :
◆GmHi5G5d.E
[saga sage]:2018/03/28(水) 19:46:51.74 ID:bo4yILo00
すみません、またキャラ会話のミスです……
576
???2「……呼ぶならせめてアンデルセンと呼べ。お前はそこで何をしている」
↓
???2「……呼ぶならせめてアンデルセンと呼べ。お前は何だ」
に脳内補完をお願いします
610 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/03/29(木) 14:30:33.98 ID:WIB5KtK8O
わざわざ乙
611 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:24:41.94 ID:XAEQl6mw0
………………
バットマン「……」スタスタ
モードレッド「……」スタスタ
バットマン「……」スタスタ
モードレッド「……チッ」スタスタ
マシュ「あ、あのー……」
モードレッド「あ? んだよ」
マシュ「いえ、その……道はこちらで合っているのでしょうか」
モードレッド「ん、おぉ。そうだな、こっちで合ってる。……ジキル、花屋の看板が見える方だったよな?」
通信機『ああ、そうだね。そこから少し行った場所にヴィクターの家があるハズだ』
612 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:25:12.30 ID:XAEQl6mw0
ジキル『ブルース、簡易の恐怖ガス緩和剤の効果はどう?』
バットマン「……かなりマシだ。だが……時折、発作じみて幻覚が現れる。しばらく外に居れば、すぐ効果切れになるだろう」
ジキル『そうか……やはり本格的な解毒剤が必要なようだ。こちらでも研究を進めてみる』
バットマン「頼んだ。帰ったらまた血液のサンプルを提出する」
ジキル『ああ、よろしく頼むよ』
613 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:25:46.24 ID:XAEQl6mw0
バットマン(……?)
バットマン「……なんだ、この匂いは」
マシュ「……うっ、何かが焦げる匂い……?」
モードレッド「……言われてみりゃ、なんだこれ。気持ちワリい匂いだな」
ダビデ「……肉が焦げる匂いだ、これは……」
614 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:26:15.78 ID:XAEQl6mw0
プスプス……ガラガラッ
ダビデ「……おい、ブルース。見ろあれ」
バットマン「……」
ダビデ「まるで爆弾で吹っ飛ばされたみたいな家屋だ、こんなの普通じゃないぞ」
バットマン「……あぁ、普通じゃない。ジキル、聞こえるか」
ジキル『ああ、聞こえているよ。なんだ?』
バットマン「確か、爆弾を使って人を殺害するサーヴァントが居ると言っていたな」
ジキル『……そうだな、そういうサーヴァントも召喚されているみたいだ』
バットマン「……この惨状はそいつの仕業に違いない」
マシュ「酷い……」グググッ
バットマン「……深呼吸しろ、マシュ。好ましくない緊張は取り除け……被害を少しでも抑える方法を考えよう」
615 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:26:42.24 ID:XAEQl6mw0
モードレッド「どうするよ? 爆弾魔は放っておくか、それとも……」
バットマン「……ここはやはり、」
マシュ「追いましょう。放っておけません。絶対に」グググ……
バットマン「……?」
マシュ「あ……いえ、ごめんなさい。判断は、マスターに委ねます」
バットマン「いや……止めるべきだろう。私もそれに賛同する……ジキル、少し保護に遅れが生じるが、構わないな」
ジキル『分かった。ヴィクターも心配だが、爆弾魔の手掛かりを掴んだなら是非そっちを解決してくれ』
バットマン「良し……犯人の追跡を開始する」
616 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:27:19.25 ID:XAEQl6mw0
モードレッド「けどよ、追跡っつったってどうやって……」
バットマン「……方法はある」スタスタ
モードレッド「あ、おい。……んだよ、一人行動大好きかよ」
バットマン「お前達は立ち入るな。現場の保存状態が良いままで観察したい」
バットマン(破壊の痕跡に触れれば、犯人の足取りも分かる……)スタスタ
残骸「」パラパラ……
バットマン「……」ガシッ、ズズズ……
父親の死体「」
母親の死体「」
子供の死体「」
バットマン「……」スッ、カチャカチャ
バットマン(……惨いものだ。父親と母親は子供を庇おうとしたのだろうが……爆弾の威力が大きすぎた。衝撃で子供も死亡、両親は爆発の直撃を受けて遺体の大部分が欠損……)
(逃げろマーサ、ブルース)
バットマン(……)
617 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:27:50.87 ID:XAEQl6mw0
(ブルース、これ以上私達のような悲劇を繰り返させないで)
(ブルース、頼む。私達は苦しんだ。お前も苦しんだじゃないか。これ以上何故戦う必要がある?)
バットマン「……」
マシュ「……マスター? 大丈夫ですか?」
バットマン「ああ、大丈夫だ。こちらには来るな。手掛かりを掴んだ」
ダビデ「本当かい、やるな」
バットマン「あぁ……」
618 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:28:38.96 ID:XAEQl6mw0
バットマン「まず、爆弾は東南東の方角で爆発した。爆破の衝撃がリビングを突き抜け、机の上にあったと思われる新聞紙、帽子、人形が吹き飛んでいる。
だがこの家から見た東南東の建物は無事なものばかりだ。これほど無差別な破壊を繰り返すならば、通り道にあったものは全て爆破するだろう。という事は犯人は正反対の方向から来たんだ」
マシュ「……」
バットマン「……恐らくあの位置に窓があった。窓から……西北西から対角へ爆弾を放り込み、この家を爆破」
バットマン(通り魔的、何の準備も許さないほど唐突な犯行だったのは両親の身体の向きから分かる。咄嗟に子供を抱きかかえたは良いが、爆発の衝撃が来た方向をカバーしきれていない)
バットマン「……そして破壊の痕跡はこの家から西へ、西へと続いている。つまり、西へ行けば犯人を追える」
モードレッド「いちいち回りくどい野郎だな。最初から西に行けって言えよ」
バットマン「行くぞ」
モードレッド「……待てよ? それじゃあヴィクターの家にも近付くじゃねえか。一石二鳥ってヤツか」
バットマン「……」
バットマン(……あまりにも出来過ぎた偶然だ。何か……何か、重大な事を見落としている気がする……)
(((ベイン。お前をロンドンへ飛ばす)))
バットマン「……」
バットマン(嫌な予感がする)
619 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:29:33.49 ID:XAEQl6mw0
バットマン「……全員、警戒してくれ。何か、出来過ぎている……」
モードレッド「出来過ぎている、だあ? ったくテメェは、自分の幸運も素直に受け入れられねえのか」
バットマン「……世界に運は無い。だが策略は存在する。誰かが私達を誘導しているとは考えられないのか」
モードレッド「考えすぎだろ。見た目が陰険だと考え方まで陰険になんのかよ」
バットマン「陰険で結構だ。だが危険なのは、影と執念、カリスマを併せ持った男だ。今回の敵にそれが居る可能性は高い」
モードレッド「だから何だ、剣で吹き飛ばせばいいだろが」
バットマン「謀略で絡まった剣にどれほどの力がある」
モードレッド「教えてやろうか」チャキ
マシュ「お、お二人とも、落ち着いて下さい!」
バットマン「……」
(消せ。不穏分子だ。ここで消せ。マシュ、ダビデが居れば十分な戦力だ。いつ裏切りを受けるか分かったものではない)
(マシュが死ぬぞ。ダビデが死ぬぞ。それは何故だ)
(モードレッドが裏切るからか? それとも、私達が永遠の命を持っていないからか?)
バットマン「……」
モードレッド「……」
620 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:30:35.67 ID:XAEQl6mw0
ポロン、ポロン……ポロロン……
〜〜〜♪ 〜〜〜〜〜〜〜♪
バットマン「……!」
モードレッド「……ああ?」
ダビデ「〜〜〜〜♪ 〜〜〜〜〜♪ ……っと。どうだい、落ち着いたかな?」
バットマン「……」
モードレッド「……チッ、なんだってんだよ」
マシュ「ダビデさん……」
ダビデ「二人とも、ちょ〜っと余裕が無さすぎるなぁ。ほら、深呼吸深呼吸。力んだ体をリラックスさせるんだ」
621 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:31:12.98 ID:XAEQl6mw0
バットマン(……)スー、ハー……
バットマン「……そうだな。悪かった」
モードレッド「……フン。どうせ行くしか無いんだろ、行くぞ」
マシュ「……マスター」
バットマン「迷惑をかけた。すまない……」
ダビデ「いいや、良いのさ。久しぶりに歌えて気持ち良かったし」ポロロロロン♪
バットマン「……行こう」
622 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:31:56.90 ID:XAEQl6mw0
マシュ「あ、あの。マスター」
バットマン「どうした、マシュ」
マシュ「今、マスターが苦しんでいるのは……私が、爆弾魔を追うように提案したから、ですか?」
バットマン「……苦しんでいる?」
マシュ「その……さっき、家の瓦礫を覗き込んだ時から、雰囲気が険しくなったというか……」
(((ブルース、これ以上私達のような悲劇を繰り返させないで)))
バットマン「……お前の責任ではない、マシュ」
マシュ「ですが……この霧もそうです。マスターの、負担なら……私の我儘で、傷付けているなら……」
623 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:32:24.46 ID:XAEQl6mw0
バットマン「……大丈夫だ。私はそうやわではない」
マシュ「……」
バットマン「マシュ、不安は分かる。人が死ぬ霧の中、出歩く危険性も理解している。いつ敵が濃霧の中から湧いて来るか、気が抜けない厳しさも」
マシュ「はい……」
バットマン「……だがお前は、訓練を積んできた。霧の中に足音が響けば聞こえる耳を持ち、敵が襲って来れば切り返すだけの技術を身に付けた」
マシュ「そう……ですよね」
バットマン「ああ、そうだ。……それに、何かあれば……ごほん、あぁ。たよ……たよr……力を合わせよう」
マシュ「……はい! そうですよね、力を合わせれば……!」
バットマン「……ああ。お前は優秀だ、マシュ」
マシュ(そうだ……私はもう、あの時とは違う。だから……だから、先輩のような事には、ならない)
624 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:32:54.98 ID:XAEQl6mw0
………………
ヴィクター「……ああ……私の、私の試みは……とうとう、失敗に終わったか」
???「……ぁ……ウゥ……」モゾモゾ
ヴィクター「ふ、くくく。私が、作りたかったのは……完璧な乙女だったと、いうのに……何処で間違ったのだろうな、私は」
???「……ウゥゥ……」シュン
ヴィクター「……そうだろう、涙も流せない乙女よ。望まれずして生まれた乙女よ。お前は、私の……人生をかけた失敗作だったのだ」
???「……」
625 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:33:25.12 ID:XAEQl6mw0
ドシリ、ドシリ
ドア「」ガチャ、キィィィィ……
ベイン「……」ドシ、ドシ
ヴィクター「……そうか、もう来たか。はやいのだな、破滅というものは」
ベイン「ヴィクター・フランケンシュタインだな。殺しに来たぞ」
???「……ウゥ……!!」バチバチバチバチッ
ベイン「……?」
???「ウゥゥアアアアアアアーーーー!!!」バチバチバチバチバチバチ、ギュアアアアアアアアア‼
ベイン「!!」
626 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:33:54.92 ID:XAEQl6mw0
………………
チリ……チリチリチリッ……
バットマン「……? 注意しろ、何か奇妙な音が……」
ドドドォォォォォォォォォン‼ ドッガァァァァァァァ‼
バットマン「!?」
ダビデ「なんだアレは……断続的な発光が見えるぞ」
マシュ「あれは……スパーク?」
ドクター『……! 注意してくれ、その先で感知できるほど魔力反応が急激に増大してる! 戦闘だ!』
627 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:34:22.82 ID:XAEQl6mw0
モードレッド「っしゃ、突っ込む……」
バットマン「待て! 迂闊に突撃するな、罠の可能性がある!」ガシッ
モードレッド「ああ!? 離せ腰抜け、指図すんじゃねえ!」バッ
バットマン「待てモードレッド! 戻れ!」
モードレッド「終わってから聞いてやる!」ダダッ
628 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:35:27.63 ID:XAEQl6mw0
マシュ「マスター、どうしますか!」
バットマン「……仕方ない、追うぞ。ダビデ、マシュ、位置を整えろ! モードレッドを……」
ドクター『待った、待った! 前方の戦闘とは別、高速で君達に近付く魔力反応がある!』
バットマン「……敵か」
ドクター『サーヴァント反応! これは……注意しろ、恐らく爆弾魔だ! 高濃度の魔力を両手に……!』
「ヒャハハハハハハハハハハ!」ババッ
マシュ「危ない!」ガガッ、ドッゴォォォォォォォォ‼
バットマン「っ」ゴォッ
ダビデ「うわっぷ……!」ゴォッ、ジリッ
629 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:36:06.51 ID:XAEQl6mw0
???「どぉーーーも!! そろそろ遊び疲れていますが、ここまで来て下さったことに感謝しますよォ!!」
バットマン「お前は誰だ、何故邪魔をする」
???「ひひひひひひっ、あの方の言った通り! 面白い目をした人に出会えましたよォ、感謝しなければねぇ? 破壊活動の結果死んでいった数百の命にも意味が生まれたというものですゥ!」
マシュ「……数百……!」グググッ
バットマン「あの方とは誰だ。そいつの命令に従って破壊を繰り返していたのか」
???「ウフフフフッ、さあどうでしょうね。ほら、ワタクシって気まぐれなところがございまして。命令のためなのか、自分の快楽のためなのかワカリません」
バットマン「……!」
630 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:36:39.74 ID:XAEQl6mw0
(おいバッツ、今誰を思い浮かべた? ウフフフ……俺をあんなユーモアの無いピエロと一緒にするなよ、笑えないぜ)
マシュ「……マスター、攻撃の許可を」
バットマン「待て、マシュ。迂闊に近付くな」
マシュ「でも!」
バットマン「深呼吸しろ。力んでいるぞ」
マシュ「っ……すみません……」
ドクター『……解析中。気を付けてくれ、目に見えない魔力塊がそこら中に仕掛けられている』
ダビデ「うへえ、良い趣味してるなアイツ……リアルマインスイーパーってところか」
???「ではではぁ、そろそろこのメフィストフェレス、戦闘を開始しますよォ!!」ババッ
631 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:37:06.70 ID:XAEQl6mw0
メフィストフェレス「ほぉれっ!!」パチンッ
虚空「」ドッガァァァァァァァ‼
マシュ「っきゃ……!」ズサッ
バットマン「注意しろ! 奴の爆弾は不可視だ、迂闊に動くと……!」
メフィストフェレス「動かなければ良いと言う話でもありませんよォ!」パチンパチンッ
石畳「」カッ
虚空「」カッ
バットマン「……!!」
ダビデ「させるかッ!!」ヒュンッ
石「」ヒュォォォォォンッ
ドガガァァァァァァァァ‼
632 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:37:57.87 ID:XAEQl6mw0
バットマン「っつ……」ゴロゴロッ
バットマン(ダビデの石に弾き飛ばされたか……!)
ダビデ「平気か、ブルース!?」
バットマン「大丈夫だ、礼を言う」
マシュ「くっ……」ムクリ
メフィストフェレス「ヒャハハハハハハハハハハ! 早くも満身創痍ですか、まだまだ爆弾は残ってますよお?」ユラユラ
バットマン「……」
633 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:38:26.51 ID:XAEQl6mw0
バットマン「……奴から一定の範囲内の無機物は、自由意志で爆発物に変えられるようだ。いや、魔力を仕込んで爆発させると言うべきか」
メフィストフェレス「ほう、慧眼ですね。くふふふ、やはり面白い」
バットマン「……マシュ、盾を置くんだ。メフィストフェレスに肉弾戦を仕掛けろ。ダビデ、中距離から攻撃だ」
マシュ「はい!」
ダビデ「オッケー、やってやろう……」
メフィストフェレス「ウフフフ、そう上手く事が運びますかねェ?」
バットマン「……」
634 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:38:57.30 ID:XAEQl6mw0
マシュ「はああっ!」タンッ、ドドォッ‼
メフィストフェレス「シャッハァ!」ガシッ、ブォンッ‼
マシュ「てやぁっ!」グルッ、ギュォンッ
メフィストフェレス「うッ」グォッ、ドッガァァァァァァァ‼
石畳「」バガァッ‼
マシュ「まだだ……!」
バットマン「マシュ! 深追いするな! ダビデ、投擲を!」
ダビデ「言われなくてもッ!」ギュンッ
石「」ヒュォォォォォンッ
ゴッシャァァァァァァァ‼
バットマン「……どうだ」
ダンッ‼
メフィストフェレス「ッはァァァァァー!! 後ろですよぅっ!!」ブァッ‼
バットマン「!?」ババッ
635 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:39:27.20 ID:XAEQl6mw0
ダビデ「しまった!」バッ、ガガッ
メフィストフェレス「ほぉら、チクタク、チクタク……」パチン
竪琴「」カッ
ダビデ「……!!」バッ
ドッガァァァァァァァ‼
ダビデ「ぐわああああああああああ!!」ゴロゴロッ
バットマン「ダビデ!」
マシュ「マスター! 下がってください! こいつは私が……!」ダッ
636 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:40:05.21 ID:XAEQl6mw0
メフィストフェレス「ハハハァー!! 命を持つ痛みすら叫ばず!!」パチンッ
虚空「」カッ
ドガァァァァァァァァ‼
マシュ「っ……」ズサァッ、ダンッ
メフィストフェレス「果てには死が待つと言うのに、私の破壊行動に怒りを燃やす! それがアナタ達の弱点だ!」パチンパチンッ
バットマン「……!!」
虚空「「「」」」カッ
ドドドドドドドガガガガガガァァァァァ‼‼
マシュ「……!!」ジリジリッ
バットマン「マシュ!」
メフィストフェレス「そしてェ!! ……挙句迷いがありますねぇ? そこの猫のコスプレさん……くふふ」
637 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:40:32.82 ID:XAEQl6mw0
バットマン「……何の話だ」
メフィストフェレス「目が語っていますよォ。貴方は納得できていない。恐怖の中で誰かが死ぬ想像ばかりしている」
バットマン「……」
メフィストフェレス「爆弾で死ねた人は幸せですよ、ウフフ……この魔霧の中、恐怖に目を見開き、親や子を手にかけて死んでいく者は少なくない。
貴方は恐怖を抑え込んでいる。ですが、それもいつまで持つでしょうねえ? この霧は見えていた幻を消し、見えなかった真実を暴き出す……」
バットマン「……」
メフィストフェレス「貴方も本当は気付いているんじゃないですかァ? 限りある命なんて、所詮……」
バットマン「……!」
マシュ「……マスター! 指示を!」
638 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:41:06.99 ID:XAEQl6mw0
バットマン「……マシュ」
マシュ「敵の策略です! 気をしっかり!」
バットマン「……」
ドクター『ブルース!』
バットマン「……ああ! 『令呪を以て命じる』! 魔力をマシュの膂力へ変換しろ!」
マシュ「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」ダダッ
メフィストフェレス「ヒャハハハハハアーーーー!! 真実から目を逸らしますか! それもまた、人間らしい……ですが、甘い」バッ
マシュ「何……」
メフィストフェレス「迂闊にこの範囲まで踏み入って来たのは愚策としか言えませんねえ。さて、問題です。ワタクシ、一度でも『人間』を爆弾に変えられないと言ったでしょーうか?」パチンッ
マシュの右手「」カッ
マシュ「……!」
639 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:41:39.70 ID:XAEQl6mw0
メフィストフェレス「さあ、ドッカーン……うぶっ」
マシュ「……因果応報です……!」ガシッ
メフィストフェレス「……へえ、良い目をするじゃないですか……!」ギチギチギチ……
バットマン「マシュ!」ダッ
マシュ「マスター、離れて……」
ドッガァァァァァァァァァァ‼
640 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:42:08.49 ID:XAEQl6mw0
バットマン「……っ」ゴゥッ
煙「」モクモク……
スタ、スタ。スタ、スタ
メフィストフェレスの死体「」スタ、スタ。スタ……ドシャッ
バットマン「……マシュ! マシュ、何処だ!」ダダッ
「ここです……」
バットマン「マシュ!」
641 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:42:44.71 ID:XAEQl6mw0
バットマン「……マシュ」
マシュ「無事です……くっ……」ドクドク……
バットマン(右手首から先が欠損……出血が激しい)
バットマン「動くな。『令呪を以て命じる』、回復しろ」ポゥッ
マシュ「……ごめんなさい、マスター」ジュウゥゥゥゥゥゥ……
バットマン「……私の事前準備が甘かった。余裕も殆どない状態だった」
マシュ「……いいえ、それは……私もです」ジュウゥゥゥゥゥゥ……
バットマン「……」
642 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:43:23.30 ID:XAEQl6mw0
バットマン「……マシュ。お前には、恐怖ガスは効いていないんだったな」
マシュ「……はい。効いていません」ジュゥゥゥゥ……
バットマン「勘違いなら言って欲しい。だが、お前は……お前も、普段より少し、焦って見えた。爆弾の事を聞いた瞬間に、表情が変わったように見えた。
……何か恐れているのか、マシュ」
マシュ「……それは……」ジュゥゥゥ……
バットマン「……」
マシュ「……」
バットマン「話せないなら無理強いはしない。ダビデを探すぞ。その後にモードレッドだ」
マシュ「……はい」
バットマン「右手は治ったか。動かせるか」
マシュ「はい。……すみません、マスター」
バットマン「……謝るな。誰しも言えない事の一つや二つはある」スクッ
643 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:43:49.18 ID:XAEQl6mw0
バットマン「……ダビデ! 何処だ!」スタスタ
バットマン(目視した限りでは致命傷は避けていたハズだ。……何処に行った……)
「こっ……だ、こっち……」
バットマン「……!! ダビデ、そこか!」タッタッ
644 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:44:29.85 ID:XAEQl6mw0
バットマン「……」タッタッ
バットマン「……」タッタッ……ピタッ
バットマン(おかしい)
バットマン(私はロンドンに居たハズだ)
バットマン(なのに何故、私は……)
バットマン(何故、雨が降る裏路地に立っている?)
ザアザア……ザアザア……
645 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:45:01.86 ID:XAEQl6mw0
父親の死体「ブルース……」ズリ、ズリ
母親の死体「ブルース……お願い……私達を、これ以上苦しめないで……」ズリズリ
バットマン「……」ヨロ
父親の死体「永遠の命……それさえあれば、私達は……」ガシッ
母親の死体「お願い、繰り返させないで……私達を、助けて……」ガッ
バットマン「…………」ジリ、
646 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:45:59.65 ID:XAEQl6mw0
マシュの死体「マスター……私は、もっと生きていたかった……」
バットマン「……マシュ……」
マシュの死体「あなたが、悲劇を選んだから、私は……私達は……」
ドクターの死体「ブルースくん……」
所長の死体「ブルース……」
バットマン「……」
バットマン(恐怖ガス緩和剤の効果が切れた……そのせいで皆が死んだ? 違う、現実を正しく認識しろ……マシュは死んでいない……はずだ)
(だが、死ぬのも時間の問題だ)
647 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:46:48.12 ID:XAEQl6mw0
(マスター……きて……起きて下さい、モードレッドさんが……!)
(ブルース、頼む……なんだアイツ、強過ぎるぞ……!)
バットマン(……ダビデの声……マシュの声……永遠を拒否すれば、彼らは死ぬのか……)
バットマン(……違う。使命がある。忘れるな、起き上がれ……!)
母親の死体「ブルース……」
父親の死体「ブルース」
バットマン「……」スーッ、ハーッ……
バットマン(……精神を安定させろ。すべき事は何だ。ブルース・ウェインはまだ心を殺す術を忘れていない。バットマンになれ)
バットマン「……」ムクリ
648 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:47:26.67 ID:XAEQl6mw0
………………
バットマン「……っ、起きたぞ、状況を……!」ガバッ
モードレッド「っぐあ!?」ドッシャァシャシャシャシャ‼
バットマン「なに……」
マシュ「マスター、起きてくれましたか! 先程から謎のサーヴァントが出現、苦戦を強いられています!」
ダビデ「石が当たっても通じないぞ……!?」
モードレッド「チックショウ、あの大男……! ヴィクターをやったのもアイツか……!」ギリィ
ゴキリ、ゴキリ
ドシ、ドシ
「ハハハハハハハハハハ! 随分かゆい攻撃を繰り出すものだな!」ドシ、ドシ
649 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:48:11.19 ID:XAEQl6mw0
バットマン「……あの声は……!」
バットマン(間違いない。ヤツだ。今戦っても勝ち目が薄すぎる)
バットマン「っ、ダビデ、マシュ! 一旦退却するぞ!」ダッ
マシュ「ま、マスター!?」
バットマン「このままでは勝てない! 退いて対策を立て直す……」ピタッ
ガシャリ、ガシャリ。プシュー……
???「……逃亡は、無駄である」ガシャリ、ガシャリ
バットマン「……」
バットマン(退路を、断たれた……)
650 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:49:04.18 ID:XAEQl6mw0
「フハハハハハハハハハハハ! 怖いかバットマン……聞こえるぞ、悲鳴を飲み込む音が!」
バットマン「スケアクロウまで来たのか……」
???「貴様らに恨みはない。ただ、悪と悲劇ばかり産むこの世界に恨みがあるのだ」ガシャリ、ガシャリ
バットマン「……」ジリッ
???「我が名はチャールズ・バベッジ。蒸気王。我が夢の世界はすぐそこに。蒸気があまねく地上を覆い、悪が土を踏む事はない。貴様らの命は、その礎。尊い犠牲だ」
バットマン「……」
バットマン(チャールズ・バベッジ。共同計算機、コンピューターの始祖。彼の発明が寿命に間に合ってさえいれば、世界を変えたとも言われる人物だ……真の天才であり、数学者)
バベッジ「……」プシュー……
バットマン(……全身に機械の鎧を纏っている理由は不明だが、あれは容易には破れそうにない……)
651 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:49:33.28 ID:XAEQl6mw0
スケアクロウ「フハハハハハ! さあ、お前の破滅が歩み寄っているぞ……!」ズォォォォォォ……
マシュ「くっ……」ジリッ
バットマン「固まれ、ダビデ、マシュ、モードレッド」
モードレッド「ちっ……」チャキッ
ダビデ「ヤバそうだな、これは……」
ドシリ、ドシリ。ドシリ、ドシリ。
「手は出すな。俺一人で相手をする」ドシ、ドシ
652 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:50:31.14 ID:XAEQl6mw0
バットマン「……」
「フフフ、バットマン。俺を忘れたか? 俺はお前を忘れたことなど無い。召喚された時から、この瞬間を待ち望んでいた」ドシ、ドシ
バットマン「……」
「お前を殺せば、きっと世界は終わるのだろう。悲しむべき事だ。だが、それがどうした」
マシュ「……」ゴクリ
「俺にとっては、さして大事でもない。世界の破滅も良いだろう、見てやろう。所詮守るべくもない。何故なら……」
モードレッド「……」ジリッ
ズォォォォォォ……
ベイン「……俺は、ベインだ」
バットマン(ライダージャケットで覆われた異様な巨躯。マスクで隠した素顔。かつて私を打ち破り、ゴッサムシティを悪の淵へ叩き込んだ男、ベイン……)
653 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:51:16.77 ID:XAEQl6mw0
モードレッド「……御大層な名乗りは終わったかよ、デカブツ」
ベイン「待ってもらえて光栄だ。尤も、お前の実力では不意討ちでも俺には勝てんが」
モードレッド「ほざけ……!」ググググッ
バットマン「落ち着け! 奴の口車に乗るな、危険だ……!」
モードレッド「クソ……」
バットマン「マシュ……ヤツを相手に、決して盾は手放すな。得意な武器が無くなれば即、敗北だと思え」
マシュ「……はい」ガシャリ
マシュ(こんなに緊張しているマスターを見るのは、初めてです……)
バットマン「モードレッド、お前は少し様子見をするんだ」
モードレッド「……チッ……」
バットマン「……ダビデ、耳を貸せ」
ダビデ「オッケー、悪だくみは大好きだ」
654 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:51:53.69 ID:XAEQl6mw0
ベイン「秘密の小話は終わったか、バットマン」
バットマン「……」
ベイン「そのようだな。では……仕掛けさせてもらうとしよう」
マシュ「行かせません……!」バッ
ベイン「ほう、まずはお前か」
バットマン(マシュの盾と身体能力で時間を稼ぎつつ、モードレッドにヤツの格闘パターンを読ませる。……頼みの綱はダビデだが、働くか……)
ベイン「……」
ベイン(……)ニヤリ
655 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:52:31.80 ID:XAEQl6mw0
ベイン「……」ジリッ
マシュ「!」スッ
マシュ(打ち込んで来る……! 受け切ってみせる!)ガシャリ
バットマン「……!!」
ベイン「……」スーッ……
ダ ン ‼
マシュ「っ」
ベイン「フンッ!」ギュゴォッ‼
656 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:52:58.99 ID:XAEQl6mw0
盾「」ガッ、ビリビリビリビリビリッ
マシュ「あ……」ビリビリビリビリビリ
マシュ(ただの掌底、なのに……衝撃が全身を突き抜けて、動けない……!)ヨロ
ベイン「トドメだ」ス、スーッ……ドシン
モードレッド「させっかよ!」ブォンッ
ベイン「ふっ」ガシッ
657 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:53:29.92 ID:XAEQl6mw0
モードレッド「……クッソ、放せ、ちくしょうめ……!」グ、グイッ
ベイン「俺に飛び掛かりたい衝動を抑えていたのは流石だ、騎士よ。名前も知らんが……高名なのか、それとも血筋でも良かったか」
モードレッド「……! 黙れ、テメェに何が分かる……!」
ベイン「分かるとも。プライドの高さが災いして真の実力を出し切れていないところも、仲間を見捨てる事ができない騎士道精神も……まるで生前、誰かに認められていた自分を再現しようとしているようだ。涙ぐましい」
モードレッド「テメェ……! 殺す、殺してやる、ぶっ殺す!!」ジタバタ
ベイン「ハハハ……!」グイッ、ブォン
モードレッド「っぐが……!」ドッシャァァァァァァァ……
658 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:54:10.29 ID:XAEQl6mw0
ベイン「さて、次は……」
バットマン「フッ」シュポッガシッ
ベイン「待ちわびたぞ、バットマン」ガシッ、グイッ
バットマン「っく……」グォンッ
ベイン「……フン!!」ドッゴォ‼
バットマン「が……!?」ビュォッ、ゴッシャァァァァァァァ‼
バットマン(駄目だ、強化済みスーツ越しでも内臓が形を……あばらが外向きに……)グラリ、ドシャッ
バットマン「……く……ぐっ……」ピッピッ、ギュォォォォォッ
バットマン(スーツのアイソメトリック力を最大に……肉体の変形を防ぐ……)
ベイン「……今度は信念だ、バットマン。お前は肉体をいくら潰しても這い上がってくる。ならば、精神を先に潰す」ドシ、ドシ
バットマン「……」ヒューッ、カヒュッ……
バットマン(ダビデ、時間は稼いだぞ……今しかない!)
659 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:54:47.26 ID:XAEQl6mw0
マシュ「行かせません……!」バッ
ベイン「お前は俺に負けた。これ以上は無駄だ」
マシュ「行かせません!」
ベイン「……聞く耳がないようだな。ならば、お前の背骨から……」
石「」ヒュォォォォォォッ
ガッシャァァァァァァァァァァ‼
ベイン「!! 何!?」バッ
660 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:55:27.31 ID:XAEQl6mw0
ダビデ「よっし! どうだブルース、やってやったぞ! 僕にかかればこんなものだ!」
ベイン「き、貴様……俺の背中のタンクを……!?」ヨロ
バットマン「……よくやったぞ、ダビデ……!」
バットマン(ベインの超人的身体能力は、筋力増強剤『ヴェノム』に依存している。今、背部にあるそのタンクを破壊した……!)
バットマン「マシュ、モードレッド、チャンスだ! 仕掛けろ!」
マシュ「はい!」
モードレッド「……のヤロウ!!」ムクッ
661 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:55:54.61 ID:XAEQl6mw0
モードレッド「オラァ!」ヒュォンッ
マシュ「たああっ!!」ブンッ
ドガッシャァァァァァァァァァァァァァ‼
煙「」モクモク……
バットマン「……やったか」
662 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:56:39.23 ID:XAEQl6mw0
ドゴッ
マシュ「あぐっ……」ドドッ、ゴロゴロゴロ……
バットマン「何……!?」
663 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:57:28.39 ID:XAEQl6mw0
ギリ、ギリギリギリギリ、ギチギチギチ……
「成程、確かに弱点だ。俺の背中のタンクは常にヴェノムを供給し、俺を強くする。これが無くなれば、俺は弱くなる」グググググ……
モードレッド「……何だと……!?」ギリギリギリギリ
ベイン「だが、バットマン。言っていなかった事がある」バサッ
ライダージャケット「」バサァ……
ベイン「俺のタンクは特注品でな。一度稼働させて循環を始めさせない限りは、全く意味のないシロモノなんだ」
バットマン「……馬鹿な……」
空のタンク「」パリ……
ベイン「今回、俺はサーヴァントになってから、このヴェノムタンクを一度も使っていない。この意味が分かるか?」
バットマン「モードレッド! 逃げろ!」
ベイン「徒労だ。何もかもな」
664 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:58:20.95 ID:XAEQl6mw0
モードレッド「この野郎!!」ググッ
ベイン「フフフ……!」グイッ、ドッゴォ‼
モードレッド「ぐが……!」ドゴシャァァァァァァァ‼
バットマン「……ドクター、ドクター! 今回の特異点は攻略不可能だ、マシュだけでもそちらへ帰せ! ドクター! 聞こえないのか!!」
ベイン「馬鹿め。俺が通信妨害を怠らないと思ったのか、バットマン。リドラーが特定した周波数に対策を施してある。俺の周囲で通信機は使えん……」ピピー‼ピピー‼
影『……』ヴゥゥゥゥン……
ベイン「……今度は俺への通信か。せわしないな」
665 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:59:07.19 ID:XAEQl6mw0
影『お前に任せていたバビロニアの戦線が押されつつある。これはどういう事だ』
ベイン「……用を済ませればすぐに戻る」
影『さっさとしろ。貴様が大丈夫だと保証したんだぞ』
ベイン「焦るな。俺が戻れば元通りだ……」ピッ
影『……』シュゥゥゥゥン……
ベイン「……無粋な者も居たものだ。だが、これで水入らずか?」ドシ、ドシ
バットマン「……くっ……」
バットマン(マシュ、モードレッドは気絶……私はスーツで辛うじて意識を保っている状態……これでは……!)
ベイン「万策尽きたか。ならば死ね」
「まだだ!」バッ
666 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 19:59:34.10 ID:XAEQl6mw0
ダビデ「……僕がまだいるぞ、大男くん!」
ベイン「……興味が無いな。お前には」
ダビデ「そうかな? 僕はダビデ王だ。キミがおおよそ想像もしないような荒事を潜り抜けてきた! キミみたいな大男だって初めてじゃないさ!」
ベイン「それは面白い。では、その経験を使って俺を打ち倒せるか?」
ダビデ「……いや、この間合いでは難しいかな!」
ベイン「そうか。では、遠慮なく死ね」ドシ、ドシ
ダビデ「……!」
バチバチバチバチバチバチィッ‼
667 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 20:00:08.94 ID:XAEQl6mw0
ベイン「っ……」バチィ‼
ダビデ「おっ……! 救援!?」
???「ゥ、ウー……!」バチバチバチバチバチバチ……
ベイン「チッ……! フランケンシュタインの怪物か。仕留め損ねていたとは、俺もまだまだ……」ジリッ
???「ゥゥゥゥゥゥゥァアアアアアアアアアアアア!!!」バチバチバチバチィァ‼
ベイン「……!」バヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂィ‼
668 :
◆GmHi5G5d.E
[saga]:2018/04/02(月) 20:00:35.24 ID:XAEQl6mw0
ベイン「……やってくれるな、怪物め!」バチィ、ドゴォ‼
???「ぅ、ぁ……」ドシャッ
ダビデ「ええーい! やっぱり僕がやるしかないか、こういう役割は……!」バッ
バットマン「ダビデ……」
ダビデ「ブルース、皆を頼んだ! 僕はやっぱりこうなるらしい! 戦いの中で死ぬなんて、柄じゃないんだけどね!」
バットマン「……!」
ベイン「邪魔をするなら、へし折ってやる!」ガシッ、グイッ
ダビデ「ぐあああっ……」ブラァン……
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