バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」

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1 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/02/01(木) 23:24:09.17 ID:dv7Fg3X90
前スレ

バットマン「グランド……オーダー?」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511494020/

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1517495048
2 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:28:35.85 ID:dv7Fg3X90


バチバチバチバチ……ギュォォォォォォォォォォッ

カッ‼


???「……」シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……

???「んーっ、呼ばれたから来てみたけど……へえ〜、ここがカルデアなんだ……
あ、ブルース! マシュ! 久しぶり!」


マシュ「……ブーディカ、さん……」

ブルース「……召喚は成功したな。私は行く」スタスタ

ブーディカ「……?」


3 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:29:07.58 ID:dv7Fg3X90


ブーディカ「……ちょっとちょっと、どうしたっての? ブルースってあんな悲痛な感じの面構えだったっけ?」

マシュ「……ごめんなさい」クルッ、スタスタ

ブーディカ「あ、ちょ、ちょっとアンタまで……」

ドクター「ご、ごめんよ。皆に代わって僕が謝るから……ちょっと大変な時期でさ」

ブーディカ「大変な……時期?」


4 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:29:42.97 ID:dv7Fg3X90

………………


ブーディカ「……ははあ、成程ね……」

ドクター「うん……ちょっとね」


ブーディカ(……う〜ん、マシュの落ち込みっぷりにはアタシも一枚噛んでそうだな〜……安易に自己犠牲を選んだのは不味かったかぁ……)ポリポリ


ドクター「……とと、ごめんよ。カルデアの施設について説明して回るから、来てくれるかな?」

ブーディカ「はいな」

5 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:30:12.53 ID:dv7Fg3X90

職員B「あ、ドクター……に、英霊の方ですよね。連絡は受けてます」

ブーディカ「そそ、アタシはブーディカっての。よろしくね」

職員B「はい。私はここの職員で……え、英雄に対して名乗るほどの名前は無いのですが、働いています。案内しますので、どうぞこちらへ」

ブーディカ「何〜? 別にかしこまる事ないのに」ウリウリ

職員B「そ、そんな事……いきますよ、もう!」


ドクター(ああ、このカルデアのムードが明るくなる感じ……何週間ぶりだろう……)ホロリ


6 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:30:41.44 ID:dv7Fg3X90

ドクター(最近のマシュとブルースくん、互いに目が合えば一瞬で視線逸らすし……挨拶すら死にそうな声だし)

ドクター(所長も所長で、ブルースくんが帰って来てからはなんかピリピリしてるし)

ドクター(……レオナルドは、『秘密』を打ち明けちゃったから……ちょっと、今まで通りに接する事ができるか、分からないし)

ドクター(……わりと辛いんだよなぁ、カルデア内の空気……)


ドクター「はあ〜……」

レオナルド「溜め息を吐くと幸せが逃げるぞっ!」バンッ

ドクター「うっひゃああああああああ!?」ビクッ

7 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:31:23.14 ID:dv7Fg3X90

レオナルド「……どうしたのさ、辛気臭い顔して」

ドクター「な、なんだレオナルドかぁ……いや……その、さ」

レオナルド「何だよ、言ってみろよ?」

ドクター「……ほら、あの二人がさ。カルデアの雰囲気を支えてた、みたいなところ、あったし……最近、元気ないなって思ってね」

レオナルド「……マシュとブルースか。だなー、あと所長も何だかんだムードメーカーではあったしね」

ドクター「……なんとかしたいなぁ……」

レオナルド「……それには全く同意するよ」

8 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:31:54.54 ID:dv7Fg3X90

レオナルド「……ただ、ロマニ。キミも抱え込みすぎるきらいがあるんだ、私には分かってるんだぜ?」

ドクター「ギクッ……」

レオナルド「……だからまあ、手分けしていこうじゃないか。私はマシュ、キミはブルース」

ドクター「そうなるよなぁ……オッケー、了解。……駄目でも悲観しないようにしないと」

レオナルド「よし。頼むぜ」


9 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:32:22.01 ID:dv7Fg3X90

………………

マシュ「……」カチャカチャ……

レオナルド「や、マシュ。おはよう、隣良いかい?」

マシュ「あ……ダヴィンチちゃん。おはようございます。どうぞ」

レオナルド「ありがとう。豆のスープか、私もそれにしよっと」


10 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:32:48.96 ID:dv7Fg3X90

マシュ「……」モグモグ

レオナルド「……それにしても、ブルースが帰って来て良かった」

マシュ「……」ピタッ

マシュ「……失礼します」ガタッ

レオナルド「お、おいちょっと?」

マシュ「……ごめんなさい」スタスタ


11 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:33:15.50 ID:dv7Fg3X90

レオナルド(ええぇぇぇ……これ重症すぎるだろ……)


ブーディカ「ふんふんふ〜ん……♪ あ、噂の天才女史だ。おはよう」

レオナルド「……ブーディカ! 前の特異点で世話になったって話のブーディカじゃないか! ここへ座りたまえよ!!」

ブーディカ「? う、うん……じゃあ失礼するよ」

12 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:33:44.06 ID:dv7Fg3X90

………………

ブーディカ「あ〜………やっぱりマシュ、塞ぎ込んでるんだ……」


ブーディカ(でもブルースまで塞ぎ込むなんてちょっと意外かも……)


レオナルド「そうなんだよ。それで、前の特異点を共に制覇したキミなら何か……知っている事とか、無いかと思ってね」

ブーディカ「うーん……無い事は無いんだけどなぁ……」

レオナルド「何でもいい、聞かせてくれ。状況打破の手掛かりにはなるさ」

13 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:34:16.30 ID:dv7Fg3X90

ブーディカ「ほら、あの子……マシュはさ、アタシ達の自己犠牲を間近で見てきちゃったんだ」

レオナルド「ふむ……」

ブーディカ「あの子、特に純粋でね。多分、アタシ達『サーヴァント』が死ぬのも、嫌でたまらないんだと思う」

レオナルド「……それは確かに、本人も言ってたな……」

ブーディカ「……悪い事したかな……」

レオナルド「……どうだろうね。命の価値の話なら、私には少し判じかねる」

ブーディカ「……アタシも……」


14 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:34:47.00 ID:dv7Fg3X90

レオナルド「……ただ、今を生きる人間を、少しでも長く見ていたいというのは分かるけどね」

ブーディカ「……それって、結局価値観の押し付けなのかなぁ」

レオナルド「……陳腐な答えだけど、人によるとしか言えないね」

ブーディカ「……」

レオナルド「……」

ブーディカ「……ごめんね、暗くして! ご飯食べよっと」

レオナルド「いいや、暗くしたのはこっちだ。豆のスープが美味しいよ、試してみるといい」


15 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:35:21.98 ID:dv7Fg3X90


………………

ブルース「…………」カタカタ、カタカタ……

コンピュータ『ハッキング進捗率:58%』


ブルース(……カルデアのデータ最深部へアクセスできれば、職員達の弱点は知れるだろう。情報は集めておいて損はない……)カタカタ……


(((私達は仲間じゃなかったの……? なんでこんな武器が必要なの!?)))

(((嘘はいけませんわ、旦那様)))

(((私を怪物にしないでくれ)))

(((怪物は、自分以上の怪物には勝てん。お前はいつか敗れ去る)))


ブルース(……)カタカタ……

ガチャリ

所長「こんなところに居たの。ブルース」

ブルース「……オルガマリー所長か」ピッピッ、シュゥゥゥゥン……


16 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:35:56.62 ID:dv7Fg3X90

所長「何、してたの」

ブルース「……本を読んでいた」

所長「……そう」

ブルース「……ああ」


所長「……」

ブルース「……」

所長「……なんで」

ブルース「……」

所長「なんで、嘘を吐くの?」

ブルース「……」

17 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:36:32.14 ID:dv7Fg3X90

所長「必要だから?」

ブルース「……慎重な考えと、計算は必要だ。集団のリーダーなら分かるだろう」

所長「じゃあ、私を助けたのも計算? 必要無ければ、見殺しにしてたの?」

ブルース「そうは言ってない……」

所長「言ってるわよ、分からないの? アンタの慎重は『心を許さない事』だし、計算は『命の利用』。前の特異点でだって、そうだったじゃないの」

ブルース「……それは、致し方ない行動だった。世界の存続と個人の命を秤にかけた時、どちらに傾くかなど分かり切っている」

所長「だから死ぬの? そんな……機械みたいな理由で」

ブルース「……」

所長「……そう」


18 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:36:59.02 ID:dv7Fg3X90

所長「けどね、ブルース。これだけは言わせて頂戴。
どれだけ、計算が得意なつもりでも……アンタは人間よ。絶対に」

ブルース「……」

所長「そして、私達も人間なのよ。その人間が……急に、仲間を失ったら、どんな気持ちになるか。考えてほしいわ」

ブルース「…………」

所長「……アンタのやり方、嫌いよ。大嫌い。……それだけ」スタスタ

ブルース「……」


19 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:37:28.86 ID:dv7Fg3X90

………………


ブルース「……」スタスタ

レオナルド「あ、ブルース。やあ、今回のスーツの改造なんだけど、次のレイシフト先に合わせて……ブルース?」

ブルース「……ああ」

レオナルド「おーい、ちょっと。聞いてるー? ここの遮熱機能を……」

ブルース「ああ……スーツは、カラーリングを変えないように頼む」

レオナルド「いや、それは分かってるんだけど……」

ブルース「……すまない」スタスタ

レオナルド「ちょ、ちょっと? ちょっとーーーー???」


20 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:37:58.54 ID:dv7Fg3X90

レオナルド「……なんだよっ、皆して殻に閉じこもっちゃってさ! 全く、私が天才だからって寄っかかり過ぎだ!」プンプン

レオナルド「……なんだよ、もう……」

レオナルド「……」


レオナルド(……分かってる。そりゃ、分かってるけどさ……)


レオナルド「……あーもー!」


21 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:38:30.31 ID:dv7Fg3X90

………………

ブルース「……フッ! ハッ! シッ!」ドッ、ドシュッ、シュドドッ

サンドバッグ「」グォン、グォン……

ブルース「……!」ドッドッドッドッドッドッ‼

サンドバッグ「」グォォォォン……


(((お前は怪物だ)))

(((私を怪物にしないでくれ)))

(((逃げろマーサ、ブルース)))

(((父さんと母さんは何処だ?)))

(((世界は狂っている)))

(((無限の命)))


ブルース「…………」ピタッ

サンドバッグ「」ユラ……


22 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:39:00.30 ID:dv7Fg3X90


(((異常者だ)))

(((あるいは、極めて正常か)))


ブルース(私は狂っているのか?)

ブルース(私は怪物なのか?)

ブルース(私は……本当に、世界を良い方向へ変えようとしているのか?)

ブルース(私には、信念があったハズだ)


(((死は恐ろしい。死は苦しい。死は認めたくない)))

(((命乞いして財布を渡していれば良かったのに、無駄死にだ)))


ブルース(……何処へ行った? 私の、信念は……)


23 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:39:49.72 ID:dv7Fg3X90


ガサッ……


ブルース「……」チラッ

ドクター「やあ、ブルースくん。休憩かな?」

ブルース「……ドクター」

ドクター「全く、このまま夕方までずっとサンドバッグと格闘してそうだったからね。いつ声を掛けようかと」

ブルース「……」


24 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:40:30.88 ID:dv7Fg3X90

ドクター「……ここ、座っていいかな?」

ブルース「……ああ」

ドクター「ん」

ブルース「……」


25 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:41:00.71 ID:dv7Fg3X90

ブルース「……」

ドクター「……最近、あんまりマシュと、話せてない?」

ブルース「……」

ドクター「……なんて、分かり切ってる質問だったよね。すまない」

ブルース「……」


26 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:41:28.48 ID:dv7Fg3X90

ブルース「……私は」

ドクター「……」

ブルース「私は、世界を良くしているつもりだった。マシュを助けたのも、その計算の内だった」

ドクター「……うん」

ブルース「……だが、世界は……」

ドクター「……うん」


(((アンタのやり方、嫌いよ。大嫌い)))


ブルース「……思ったように、ならないものだな」

ドクター「そりゃあ、ね。僕たちって、人間だし」

ブルース「……」


27 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:42:02.46 ID:dv7Fg3X90

ドクター「……そうだな。キミの行動も、理解できるんだ。確かに理屈は通ってるし、間違っていない。それどころか、取り得る最高の行動だったとさえ言える。まるで機械みたいな精確さだ」

ブルース「……」

ドクター「……だけど、考えて欲しいんだ。人理を救う者が、人じゃなくなった時……救う事に、どんな意味がある?」

ブルース「……」

ドクター「……」

28 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:42:58.56 ID:dv7Fg3X90

ブルース「……私には、理解ができない」

ドクター「うん。言ってる僕も、多分あまり理解できてない。ごめんよ。でも……でも、きっと大切な事だ」

ブルース「……そうか」

ドクター「うん」

ブルース「…………考えてみる」

ドクター「……うん。それと、言い忘れてたけど」

ブルース「ああ」

ドクター「おかえり、ブルースくん」

ブルース「……まだ少し、時間はかかる」

ドクター「待ってるさ。僕はドクターで、ロマンチストだからね」

ブルース「……すまないが、私はリアリストだ」

ドクター「あ、何だよ。今僕の事ちょっと馬鹿にした?」

ブルース「まさか。尊敬している」

29 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:43:33.98 ID:dv7Fg3X90


………………

ブルース「ブーディカ」

ブーディカ「あ、ブルース。こんばんは……どうしたの、戦いに赴く前の戦士みたいな顔つきだけど」

ブルース「昼間の礼を欠いた行為を詫びる。すまなかった」

ブーディカ「え……いや、良いよ良いよ。気にしてないって、色々大変だったんでしょ?」

ブルース「その『色々』で相談がある」

ブーディカ「え、ちょっと……どうしたの? 相談?」


30 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:44:00.98 ID:dv7Fg3X90

………………

ブーディカ「……はあはあ、成程ね……カルデアの面々に迷惑をかけた、と……」

ブルース「ああ。どうにかしたい」

ブーディカ「ふむ……どうしたいのさ?」

ブルース「分からない」

ブーディカ「えぇ〜……そこ即答なんだ……」


31 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:44:28.16 ID:dv7Fg3X90

ブルース「……分からない。どうすれば、人理修復へ最も有利に働くのか」

ブーディカ「……はあ?」

ブルース「……いや、すまない。失言だった」

ブーディカ「……う〜ん……」

ブルース「……」


32 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:44:55.63 ID:dv7Fg3X90

ブルース「……」

ブーディカ「……全部、計算を頭から取っ払ってみなよ。残ったものが、今やるべき事でしょ」

ブルース「……計算を……全て?」

ブーディカ「そう。忘れるんだ、全部。キミはどうしたい?」

ブルース「……」


33 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:45:25.52 ID:dv7Fg3X90


ブルース「……」


ブルース(世界の救済を全て忘れ、カルデアの安全を考えず、自己の保身を無視した時……最後に残るのは何だ?)

ブルース(……マシュ、ドクター、レオナルド、オルガマリー所長、職員達、フォウ……全員の行動パターンを頭から取り去り、後に残るものは何だ?)

ブルース(私には何が残る? 私は……どうしたらいい?)



ブーディカ(これそんなに悩むところ……?)


34 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:45:54.22 ID:dv7Fg3X90

ブルース「……」

ブーディカ「……あのさ、今にも人を殺しそうな顔になってるけど。もうちょっと気楽に構えなよ」

ブルース「キラク……」

ブーディカ「そうそう、気楽に。キミの決断で人類が滅ぶ、なんて局面でも無いんだしさ」

ブルース「だが、それは……その場面には、直結しうる」

ブーディカ「だったら、尚更だよ。最初から全部分かってる奴なんて居ないんだし、肩の力を抜いて……今の状況をジョークで笑い飛ばすとかさ」

ブルース「……四面楚歌だ」

ブーディカ「……それジョークじゃないし、笑い飛ばせてもないよね?」

ブルース「……」


35 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:46:37.61 ID:dv7Fg3X90

ブーディカ「ま、最初からうまくいくなんて思ってないけど……」

ブルース「……すまない。ジョークはあまり得意な方では無い。ふざけたプレイボーイを演じる時は、アルフレッドと共に台本を用意していたりした」

ブーディカ「よく分かんないけど、諦めちゃ駄目だって。ちょっとずつうまくなるもんだから」

ブルース「……努力はする」

ブーディカ「そうそう、それが大事。……で、どうしたいのさ?」

ブルース「……ジョークを飛ばせる空気を作る」


36 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:47:06.64 ID:dv7Fg3X90

………………

職員B「……うーん、つっかれた……」

職員C「気ィ抜くな、時代特定はまだ終わってないぞ」

職員B「うん……肩がこるな〜」

職員A「……照明を少し強くするぞ」パッ


電灯「」パッ

ブルース「……」パッ

職員達「「「!!?!??」」」ビックゥゥゥゥゥ


37 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:47:34.76 ID:dv7Fg3X90

職員B「ぶゅっ、ぶほっ、ブルースさん!? いつからそこに!?」

ブルース「……かなり前から居た」

職員C「かか、かなり前!? 全然気づかなかったんですが!?」

ブルース「部屋が暗かったからだ」

職員A「そっ、それにしては……アサシンみたいな気配の殺し方でしたけど……」

ブルース「……私の癖だ。謝る」


38 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:48:01.14 ID:dv7Fg3X90

ブルース「……謝らなければならないのは、それだけではない。前の特異点では、迷惑をかけた」

職員C「……! そんな事……無いっすよ! 全然、なあ!?」チラ

職員B「そ、そうです! サポートが私達の仕事ですし!」ブンブン

職員A「はい。気にする事はないですよ」コクリ

ブルース「……だが、少しでも君達に頼るべきだった。私は少し、結論を逸った」

職員C「そ……それは……」


39 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:49:06.54 ID:dv7Fg3X90

職員A「……まだ、そう思ってくれてるんだったら。次は俺達を頼って下さい、ブルースさん」

職員B「そ、そうです! 非力で、前線にも出て行けない私達ですけど……でも、私達はひとつです! ひとりで分からない事も、皆で考えたら解決できます!」

ブルース「……ありがとう。すまない」

職員C「謝らないで下さい! 次は俺達、ブルースさんにも切られないような強力な通信を用意します!」

ブルース「それは……」


(((肩の力を抜いて。ジョーク)))


ブルース「……耳が痛い話だ」


職員C「……は、はは」

職員B「う、うふふ……」

職員A「……ぷっ……」プルプル


ブルース(よし)


職員A(あの黒いスーツの耳って、何処なんだろうな……)プルプル


………………


ブーディカ(あ〜……ブルースのジョーク作戦上手く行ってるのかな……すっごい不安……)


40 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:49:40.05 ID:dv7Fg3X90


………………

レオナルド「……」カチッ、キュィィィィィィィン

レオナルド「……ふむ、断熱的な観点から見たら悪くないな。けど、防御力は……」

レオナルド「……う〜ん、強化したブレーサーも壊されるくらい激しい戦いだしなぁ……いっそ魔法コーティングの素材で、重くとも断熱と防御に割り振って……」


ブルース「……多少の寒さなら我慢できるが」

レオナルド「ん……そうだね。キミはやせ我慢が大好きなようだから」

ブルース「それに対しては、反論のパターンがいくつかある」

レオナルド「客観的な事実さ。工房へようこそ、ブルース」


41 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:50:12.44 ID:dv7Fg3X90

ブルース「……昼間は、悪かった」

レオナルド「別に、いいさ。気にしていないからね」

ブルース「それでも」

レオナルド「……はあ、キミも思い込みの激しい……まあ良いか。頑固なのは知ってたし……良いよ、分かった。許すよ」

ブルース「……ありがとう」


42 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:50:46.62 ID:dv7Fg3X90

レオナルド「で、どうしたのさ? 急に来たけど」

ブルース「……」

レオナルド「……?」

ブルース「謝りたかった。前回の特異点での行動を」

レオナルド「……ああ、その事か。まあ、エンジニアとしては言う事はないさ。キミは無事で帰って来たし、スーツもボロボロだけど大方無事。さあ次の仕事にとりかかろう、ってなもんだ」

ブルース「……」

レオナルド「……エンジニアとしては、ね。私個人なら話は別だ」

43 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:51:15.19 ID:dv7Fg3X90

レオナルド「まったく、聖杯持ちサーヴァントの前に立ちはだかるわ、マシュを庇って崩壊に巻き込まれるわ、時流の中から帰って来たと思ったら死ぬほど落ち込んでるわ……」

ブルース「……」

レオナルド「……挙句の果てに、こちらには何の説明もないと来た。別に説明をしろとは言わないが、こちらの気持ちだって考えて欲しいものだ」

ブルース「……すまない」

レオナルド「……いいよ、責めてもどうにもならないからね。元々レイシフトは危険極まりないものだ。まかり間違えば死ぬ、それも理解してた」

ブルース「……」

レオナルド「……でもね、ブルース。犠牲の上に立つのだって、辛いものだよ」

ブルース「……肝に銘じておく」


44 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:51:42.84 ID:dv7Fg3X90

レオナルド「うん。……あーあ、そうは言ってもこれからも死線続きなんだろうなぁ」

ブルース「こちらもやわではない」

レオナルド「だから心配なんだって」

ブルース「……頼りにしているぞ、エンジニア」

レオナルド「私の胃痛が倍増するからやめてくれないかなー!」


45 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:52:13.63 ID:dv7Fg3X90


………………

所長「……」

ブルース「……」

所長「……」

ブルース「……」

所長「……」

ブルース「……」

所長「な に か ? 」

ブルース「……」


ブルース(……かなり怒っている)


46 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:52:52.95 ID:dv7Fg3X90

ブルース「……昼間は、悪かった」

所長「……」

ブルース「……前の特異点でも」

所長「……」

ブルース「……冬木でも。誰の気持ちも考えない行動をとっていた」

所長「……はぁ……」


47 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:53:20.06 ID:dv7Fg3X90

所長「……こっちこそ、悪かったわね。色々、空気を悪くして……私も、まだまだ甘かったわ」

ブルース「……」

所長「計算と慎重さ。確かにそれは重要ね、ブルース。アンタに言われた事、ずっと考えて……それで、割り切ろうとしてた」

ブルース「……」

所長「……でもね、ブルース。やっぱり無理。私が所長の器じゃないっていうのもあるだろうけど、アンタが……アンタ達が死ぬの、耐えられないわ」

ブルース「……」


48 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:53:58.94 ID:dv7Fg3X90

ブルース「……必ず、皆を生きたまま連れて帰る。約束する」

所長「……アンタはそう言ったら、絶対にするものね。でも……アンタも、生きて帰って来ないと駄目なのよ?」

ブルース「……ああ、勿論だ。誓う」

所長「…………そう。なら、良いわ」

ブルース「……」

所長「……ブルース」

ブルース「……」

所長「……ごめんなさい」


49 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:54:34.40 ID:dv7Fg3X90

………………


ブルース「マシュ」

マシュ「……すみません、今忙しくて……」タッタッ

ブルース「……」


【キッチン】

ブルース「マシュ」

マシュ「すみません、後で……今忙しくて」タッタッ

ブルース「……」


ブルース(なら、マシュの分の仕事を事前に全て終える)ピッピッ

プルルル、プルルル


ブーディカ『はーい、もしもし?』

ブルース「手伝いが欲しい」



50 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:55:25.19 ID:dv7Fg3X90

ブルース「……」ズダダダダダダダダダダ……

ブーディカ「うーん……文面が難しいなぁ」サッサッサッ


ブルース(この書類はこちらの棚。このハンコはここへ。あれの関連書類はE-0121の引き出しの赤いフォルダーに挟まっていたハズ。あの事象の参考文献はこの棚)ズダダダダダダダダダダ……


職員A「あの、TP現象についての書類を……」

ブルース「これだ」

職員B「機材の稼働に関しての許可書を……」

ブルース「これを」

職員C「シバのレンズ……」

ブルース「レンズの角度調整は既に終わっている。焦点の調整を」

職員C「あっ、はい」

ブーディカ「うーん……このハンコどこだっけ?」キョロキョロ

ブルース「これだ」

ズダダダダダダダダダダ……


ドクター「……ぶ、ブルースくん、今日はやけに気合が入ってるね?」

レオナルド「やる気があるのは良い事だ。よしよし、これで次のレイシフト先の特定も進みそうだね」

ブルース「……」ズダダダダダダダダダダ……


マシュ「おはようございます」ウィーン

ブルース「……」ズダダダダダダダダダダ……‼

AI『特異点の特定を完了。モニターに表示します』

マシュ「え……」

ドクター「うっそ、はやすぎない……?」

レオナルド「う〜ん、三日分の仕事だったはずだが……」

51 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:56:10.64 ID:dv7Fg3X90

所長「……お、終わったみたいね」

ブルース「……」シュゥゥゥゥゥゥ……

所長「ちょ、丁度良いからここでミーティングを開きましょう。全員、居るかしら?」


職員達「「「はい!!」」」

ブーディカ「はいはいっ」

ドクター「はい!」

レオナルド「はいな」

マシュ「……はい」


52 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:57:13.07 ID:dv7Fg3X90


ガガガガガガガガ……ピラッ


所長「……解析結果によると、今回のレイシフト先は16世紀後半。座標は……ヨーロッパ、大西洋辺りの海洋です」ペラッ

ブルース「……」

ブルース(……これで、マシュと少しは落ち着いて話が出来るか?)


マシュ「……」


53 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:58:05.75 ID:dv7Fg3X90

所長「観測結果によると、恐らく今回のレイシフトも過酷なものになります。ロマニ、レイシフト組の健康状態は?」

ドクター「両名ともに良好です。ただ、今回のレイシフト先は……海洋だという事で、湿気と潮風によるブルースくんへの健康状態への影響が懸念されます」

所長「……レオナルド、どうにかできる?」

レオナルド「対策済みだ。スーツの素材は断熱性と保温性に優れたものを採用し、乾燥機能もバッチリ。スーツの構造に圧縮した空気の層を作った事により、海水に浮く事も可能になった」

所長「流石ね。ではレイシフト組は解散とします。十分休んで頂戴」


マシュ「……」スクッ


ブルース(……)


ブルース「……」スクッ

ブーディカ「あっ、ちょっ」スクッ

54 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:58:31.89 ID:dv7Fg3X90


………………

マシュ「……」スタスタ

ブルース「……マシュ、待ってくれ。話がしたい」

マシュ「……」ピタッ……クルッ

マシュ「……はい、なんでしょう?」ニコリ


55 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:59:01.27 ID:dv7Fg3X90

ブルース「……前回の特異点での事を……」

マシュ「はい。大丈夫です」

ブルース「……いや、大丈夫ではなく……」


ブーディカ「やっと追いついた……あ、取込み中だった?」


マシュ「いいえ、話なら終わったところです。失礼しますね、『ブルースさん』」スタスタ


ブルース「……!」


56 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:59:27.86 ID:dv7Fg3X90


ブーディカ「……あちゃあ、アレは相当……」

ブルース「…………」

ブーディカ「……ごめんね、アタシのタイミングも悪かったよね」

ブルース「……いや……責任は、私にある」


57 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/01(木) 23:59:54.22 ID:dv7Fg3X90

ブルース(……私の安易な自己犠牲が、彼女を追い詰めたのか……)


(((貴方をお守りするべきだったのに、私は死んでいた。私はきっと地獄へ堕ちるでしょうな)))


ブルース(……私は、考えられてすらいなかったのか。誰かを守りたいと願う者の、気持ちさえ……)


ブーディカ「……あのさ。仕方ないとは、言えないけど……」


58 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:00:22.93 ID:HOl6uqCb0

ブーディカ「……アンタの気持ち、アタシは分かるよ。守ろうとして、事態が悪くなるってのも理解できる。でも」

ブルース「……」

ブーディカ「でもアンタも、分かるでしょ? 記憶っていうのは、人の心をえぐり続ける一番むごいシロモノなんだ。だから、やっぱりアタシ達、やり方を変えないと駄目なんだ。生きてる人間として……これから先、ずっとあの子の記憶に残る命として」

ブルース「……そうか。いや……そうだな」


ブルース「……命として……」


ブルース(……やはり、計算づくでは……うまく、いかないか)


59 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:02:15.43 ID:HOl6uqCb0


………………


(((まさか。尊敬している)))

(((頼りにしている、エンジニア)))

(((必ず、皆を生きて連れて帰る。約束する)))


ブルース「……」


ブルース(……全て、計算から発した言葉だ。何も反省など出来ていない。何も変われてはいない。人間を計算し尽くし、その結果から出て来た言葉たちだ)


(((お前は怪物だ)))


ブルース(マシュには、計算から出た言葉が通用しない。彼女は……恐らく、私を見抜いている。私の言葉の底を見通している)


(((これは、私が私になるための……必要な、時間だ)))


ブルース(……そして、どうなった? 結果がこれだ。マシュの心はズタズタになり、私の言葉は届かない……)

ブルース(……計算と、理屈から出て来た言葉など……)

ブルース(……怪物には、相応しい末路なのかもしれないな……)


60 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:03:04.08 ID:HOl6uqCb0

ピピピピ‼ ピピピピ‼


ブルース「……」ムクリ

時計『07:00』

ブルース「……」

モゾ。モゾモゾ

フォウ「フォウ」

ブルース「……おはよう」スクッ


ピーンポーンパーンポーン

所長『おはよう、朝の七時よ。これより30分後から、第三回レイシフト前、最後のミーティングを開始します。遅れないように。良いわね』


61 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:04:00.94 ID:HOl6uqCb0

ブルース「……」スタスタ

フォウ「……」テクテク


マシュ「……」スタスタ……ピタッ

ブルース「……おはよう、マシュ」

フォウ「フォウ、フォーウ!」ピコピコ

マシュ「……」スタスタ

ブルース「……」

フォウ「フォウ……」シュン


ブーディカ「おっはよう! ……ってあれ?」

ブルース「……おはよう、ブーディカ」スタスタ

ブーディカ「ちょっと、なんで朝からそんな険しい顔……ちょっと」


62 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:04:34.50 ID:HOl6uqCb0

………………

所長「……以上が、今回のレイシフトにおける概要となります! 何か質問は?」

ブルース「……」

マシュ「……」

ブーディカ「……」ダラダラ


ブーディカ(この二人の間に座るの、キツイなぁ……)ダラダラ

所長「……あの、ブーディカ、大丈夫? 顔色が酷いけど」

ブーディカ「あ、うん……ヘーキ……」


マシュ「……」

ブルース「……」


ドクター(……二人とも、いつもはあんな感じじゃないよね?)ボソボソ

レオナルド(やっぱりうまくいってないみたいだね、これ……)ボソボソ

ドクター(どうしよ……)

レオナルド(私達はどうにも出来ない……けど、せめて見守らなきゃ)


63 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:05:25.75 ID:HOl6uqCb0

所長「それでは、レイシフト要員は九時までに準備を終わらせ、コフィンにスタンバイする事! 良いわね、以上!」


マシュ「……」スクッ、スタスタ……ガチャッ

ブルース「……」ジッ

ブーディカ「さ、さーて! アタシも準備しなきゃなー!」スタスタ

ブルース「……」スクッ


ドクター「……ごほん」カタカタ……

レオナルド「……ふぅ……」カタカタ……


カタカタ、カタ。カタカタ……
64 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:05:55.65 ID:HOl6uqCb0

ブルース「……」ガチャッ、ガチッ。ガキリ

ブルース「……」シュルッ、シュッ。シュバッ


マスク「」

ブルース「……」スッ

バットマン「……」


65 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:06:37.88 ID:HOl6uqCb0

………………

ドクター「時刻、08:58。ブルース・ウェイン、マシュ・キリエライト、ブーディカの三名がコフィンにスタンバイ完了」

職員A「存在証明式始動! 観測は順調!」

職員B「電子機器類に異常は認められません! AIによるウィルス検査もクリア!」

職員C「シバによる時代特定、良好! 16世紀後半の特異点をロック!」


所長「では……海洋へのレイシフト、カウントダウン開始!」

職員達「「「了解、カウントダウン開始!」」」


ドクター「……ああ、不安だ……二人の仲が」

レオナルド「そこはそれさ。割り切る部分はきっちりしなよ、私達はあくまでサポートなんだからね」

ドクター「うん、分かってるけど……うん、そうだね……」

レオナルド「……へたれるなよ、きっとうまくいくさ」

ドクター「……うん。よし、やらなきゃな」


66 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:07:03.15 ID:HOl6uqCb0


(((記憶ってのは、人の心をえぐり続ける、一番むごいシロモノなんだ)))

(((失礼しますね、『ブルースさん』)))


バットマン(……拒絶か)


ドクター『レイシフト10秒前! 9! 8! 7! 6! ……』

バットマン(……いや、諦めるわけにはいかない)

ドクター『3! 2! 1!』

バットマン「……」グッ

『0』


67 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:07:52.96 ID:HOl6uqCb0

………………

ザザァン……ザザァン……


???「ん〜、あのBBAめ何処へ行ったのやら……」キョロキョロ

???2「キミがあそこで邪魔しなければ仕留められたんだけど?」

???3「メアリー、無理ですわ。虫には言葉なんて通じませんの」

メアリー「……キミは優し過ぎるよ、アン。銃で撃つとかしても良いのに」

アン「嫌です。銃が汚れます」

???「仮にもキャプテンなのにこの言われよう……でももっと言ってくだちい」デレデレ

メアリー&アン「……」サササ

???「うーん見事なドン引き! むしろ好きですぞ!」


68 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:08:19.05 ID:HOl6uqCb0

???「っとと、風が出て来たな。帆を張れェ、野郎どもォー!!!」

海賊たち「「「ウッス!!!」」」ザッ、ザッ


???「うんうん、やっぱり海の上と海賊が一番! あ、でもチミ達も一番だからね、デュフフフ……」

アン「……見ちゃ駄目ですわよ、目が腐ります」

メアリー「そうだね。早く船の中に戻ろう」

???「ちぇー、つれねえでやんの。……おーい、そこのデカいのも、いつまでも寝てねえで起きろよぅ」


???2「……グルルルル……」


69 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:09:16.11 ID:HOl6uqCb0

???2「……匂い」スンスン

???「あ? 匂いがどうしたってんだよ」

???2「匂いだ。知ってる匂いが来た……あっちだ」

???「……あっち? ほんとにござるかぁ?」

???2「オレを……疑うのか!」ドォッ‼

???「あっいえ、この黒髭の名誉にかけて疑ったりしませんとも。野郎ども、あっちだあっち。あっちに舵を取れ」

???2「……グルルル……」

黒髭「……にしても、疑ってるワケじゃねーけどよぅ。匂いで分かるってホント?」

???2「……嗅ぎ慣れた匂いだ。下水の中にも、散々漂ってきた匂いだ……」


70 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:10:16.14 ID:HOl6uqCb0

黒髭「下水……いよいよ人間離れしてやがるぜ、その見た目も生活も……」

???2「……オレはもう一度、寝る……」ノッシノッシ

黒髭「あ、おい。胸元のペンダント、外して行かねえのか? 潰れっちまうかもよ?」

???2「これは離さない。絶対に離さない」

黒髭「あ、そう……好きにしてちょ。えーと、きら……きらー……キラークラッシュさん?」

キラークロック「……オレは、キラークロックだ」



71 : ◆GmHi5G5d.E [saga]:2018/02/02(金) 00:10:45.43 ID:HOl6uqCb0

第三章

封鎖終局四海 オケアノス
72 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/02/02(金) 00:12:39.37 ID:HOl6uqCb0
今回の更新はここまでです。
全然関係ないですけどローガン良かったです。涙腺爆発しました(クソ報告)
Way down we go好きな人もっと増えろ……
73 : ◆GmHi5G5d.E [saga sage]:2018/02/02(金) 00:17:50.40 ID:HOl6uqCb0
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%83%E3%82%AF

今回の悪役の参考資料です。

https://www20.atwiki.jp/nijiame/

以前どなたか紹介して下さったこちらのサイトもとても良い感じです。【DC】の【キャラクターBios】のカ行に紹介が収納されているかと思いますので、読んでいただけるともっと楽しめると思います。
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 00:53:34.85 ID:GHta5GONo
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 01:07:43.34 ID:3rh10afs0
おつだで
76 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 01:16:17.32 ID:XVplaI7fo
77 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/02(金) 07:39:59.94 ID:evXSxeU3O

マシュとの関係改善は骨が折れそうだな。
なあランスロット?(憐れみの視線
78 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 13:09:04.14 ID:zVP3AkCH0

キラークロックきたか!

どこまでバットマンの精神を忠実に再現しているところが素晴らしい
今後も期待してる

ジョーカー ヴェイン デスストロークあたりはでそうだが楽しみだ
79 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 22:28:21.58 ID:7ShlcTAoO
ハーレイクイン…
80 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/02(金) 22:41:45.13 ID:QgxzRyMfo
ポイズンアイビーとか7章に出そうではあるんだけどね

もう今から5章が楽しみで仕方ない
ほぼ絶対にあの対決が見れるし
81 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/03(土) 09:45:39.55 ID:QDETvzd2o
地味に事務処理で頼りにならないブーディカ
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