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【ミリマス】「依存と共存と約束の地」
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27 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 21:57:12.03 ID:BUL41AfFo
まずい、恵美の吸血を見られてしまった
なんとか誤魔化さないと
P「ち、千鶴さん、これはそのですね」
千鶴「恵美…貴女まさか、ヴァンパイアなのですか…?」
P「え?」
千鶴さんの口から思わぬ単語が飛び出す
千鶴さんは吸血鬼を知っているのか?
恵美「…え、千鶴?」
吸血を終えた恵美が、千鶴さんに気付く
千鶴「答えなさい恵美、貴女はヴァンパイアなのですか」
恵美「アタシは…うん、吸血鬼だよ」
千鶴「…そうですか、それなら…」
千鶴さんがハンドバッグに手を入れ、取り出したのは
千鶴「今ここで貴女を殺しますわ」
装飾の施されたナイフだった
28 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:00:27.99 ID:BUL41AfFo
P「ちょっ、千鶴さん!?」
刃渡り的に明らかに銃刀法違反のナイフを取り出した千鶴さんに驚く
恵美「千鶴、まさか…」
千鶴「そのまさかですわ、私はヴァンパイアハンターの末裔です」
P「ヴァンパイアハンター?」
恵美「アタシみたいな吸血鬼を狩ることを専門にした連中だよ」
千鶴「恵美、貴女がヴァンパイアである以上は貴女を生かしておく訳にはいかない」
千鶴「ヴァンパイアを狩り、人の世に平穏をもたらすのがハンターである私の仕事ですから」
恵美「アタシは人を殺した事なんて無い、それに吸血鬼だって言うだけで殺されるなんて間違ってる!」
千鶴「ヴァンパイアは人に仇成す存在、生きていること自体が罪!それを放っておくなど、到底許されることではありませんわ!」
29 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:04:20.72 ID:BUL41AfFo
恵美「生きていること自体が罪な存在なんていない!吸血鬼にだって幸せになる権利はある!」
千鶴「ふう…かつて私の先祖、アレクサンドラも貴女と同じように考えていましたわ…存在自体が罪な生き物などいない…と、けれど彼女は殺されてしまった、他でもないヴァンパイアに」
恵美「っ!」
千鶴「残されたアレクサンドラの妹、ノエルは姉の仇であるヴァンパイアへの復讐を誓い、ヴァンパイアハンターとなるためにベルモンド家へと嫁いでいった…」
千鶴「最も、ノエルもヴァンパイアに殺されてしまいましたが」
千鶴「だからこそ私は、ヴァンパイアに殺されてしまったアレクサンドラとノエルの血を継ぐものとして、ヴァンパイアを一人残らず狩らねばなりません」
恵美「っ…!」
千鶴「恵美、覚悟なさい!」
30 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:05:53.97 ID:BUL41AfFo
千鶴さんが刃を上向きに、ナイフを腰に構えて恵美に向かって走る
本気で殺す気だ!
恵美「!」
P「駄目だ!千鶴さん!」
俺は咄嗟に恵美と千鶴さんの間に飛び込む
もしかしたら止まるかもしれないと淡い期待を抱きながら
しかし現実はそんなに甘くは無く、当然人も急には止まれない
P「うぐっ…」
千鶴「なっ…!」
止まれなかった千鶴さんのナイフは、俺の腹を綺麗に貫いていた
31 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:07:21.43 ID:BUL41AfFo
P「ぐうう…!」
傷が焼けるように痛む
そして傷口から、俺の赤い命が止まることなく流れ出していく
千鶴「そ、そんな…」
恵美「プロデューサー!」
俺は尻餅をつき、仰向けに寝転がった
まずいな、目が霞むぞ
恵美「やだよプロデューサー!死んじゃやだ!」
霞んでいく視界に、泣きながら俺の名前を呼ぶ恵美が映る
P「ごめんな恵美…一緒に居てあげられなくて」
恵美「やだ!やだってば!ずっと一緒に居てよ!」
32 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:08:44.71 ID:BUL41AfFo
P「ああ…ずっと一緒に居るさ…俺は恵美のものだからな」
恵美「プロデューサーの全部はアタシのものって言ったじゃん!勝手に死んで勝手に無くすなんて許さないから!」
P「はは、どうやったら…許してくれる…?」
恵美「一緒に…一緒にいてよっ…!」
恵美が俺の手を握りながら嗚咽を漏らす
…なんだか、眠いな
少し、目を閉じるか…
33 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:10:07.14 ID:BUL41AfFo
P「…」
恵美「プロデューサー…?プロデューサー!」
プロデューサーから返事は帰ってこない
それどころか、握った手からどんどん体温が失われていくのを感じる
千鶴は床に座り込んで呆然としている
何か、何か出来る事
プロデューサーを生かすために、出来る事は…
恵美「…あっ」
ある
たった一つだけ
34 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:11:39.43 ID:BUL41AfFo
でもこれは賭けだ
お婆ちゃんも、確実じゃないからやってはいけないって
だけど
だけどアタシは
プロデューサーを助けたい
アタシは引き出しからカッターを取り出して、自分の指を切った
痛みと共に血が滲み出す
だけどそれがなんだ、アタシにとってはこんな痛みよりも、プロデューサーを失う方がよっぽど痛いし苦しい
35 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:12:42.72 ID:BUL41AfFo
アタシはプロデューサーからナイフを引き抜くと自分の血を口に含み、プロデューサーに飲ませた
恵美「ん…」
吸血鬼の血を人間に飲ませる…吸血以外で人を吸血鬼に変えるもう一つの手段だ
例え吸血鬼にしてでも、アタシはプロデューサーを助ける
助けないと
恵美「お願い…!」
やれることはやった、後は…
36 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:14:19.99 ID:BUL41AfFo
P「…ん?」
背中に感じる冷たさに、目を覚ます
あれ、俺なんで床で寝てるんだ?
状況を把握しようとして頭を振る
そして思い出した
何があったのか
俺は確かさっき恵美を庇って千鶴さんに刺されて…
P「そ、そうだ、恵美!?」
恵美は、恵美は無事なのか!?
37 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:15:01.12 ID:BUL41AfFo
恵美「プロ…デューサー…?」
P「恵美!怪我は…無いみたいだな」
恵美の無事を確認し、安堵した次の瞬間
恵美「プロデューサー…プロデューサー!」
恵美が俺に抱き着いてきた
P「め、恵美?」
恵美「良かった…本当に良かった…!」
P「…ごめんな、怖がらせて」
恵美「ううん…!プロデューサーが無事なら、
アタシはそれだけで…!」
恵美の背中を撫でてあやす
恵美は俺を抱き締めたまま、泣き出した
38 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:16:03.90 ID:BUL41AfFo
千鶴「…プロデューサー」
P「千鶴さん…」
千鶴さんが、憔悴しきった表情で俺に話し掛けてきた
千鶴「護るべき人を護るどころか殺しかけてしまい、本当に申し訳ありません…」
千鶴「あの時、プロデューサーが恵美を守るのは分かりきっていたのに…私は仇討ちを優先してしまった」
千鶴「私は…」
P「千鶴さん」
何度も頭を下げる千鶴さんに、俺は声をかける
39 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:18:42.35 ID:BUL41AfFo
P「俺は、千鶴さんが間違っているとは思いません」
P「先祖が吸血鬼の手に掛かって殺された…憎むのも当然です」
P「だけど、すべての吸血鬼がそんな悪の存在というわけじゃない」
P「恵美みたいに、危害を加えずに、ひっそりと生きてる人達もいます」
P「だから俺は、最初から決め付けることはしたくない」
P「千鶴さんから見て、恵美は悪い吸血鬼でしたか?」
千鶴「いえ、恵美は…私にとって…」
千鶴「私にとって、大切な…劇場の仲間です」
千鶴「殺そうとしておきながら虫が良いかもしれませんが…」
40 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:19:56.49 ID:BUL41AfFo
P「それで良いんです」
千鶴「プロデューサー…」
P「俺達は仲間なんです、だから間違えても、何度だって助け合えば良い」
P「そうでしょう?」
千鶴「…ですわね」
P「これからも頼りにしてますよ、千鶴さん」
千鶴「…ふふ、頼られましたわ、プロデューサー」
千鶴さんがいつものセレブらしい気高さを感じる表情に戻る
41 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:22:01.83 ID:BUL41AfFo
千鶴「恵美」
恵美「…何?」
千鶴「プロデューサーと、幸せになってくださいまし」
恵美「!うん!」
千鶴「ふふ、良い返事ですわ!」
そう言うと千鶴さんは去って行った
千鶴さんが去った後、ナイフの刺さっていた箇所を確認する
今は傷一つ無い
P「いやーしかし何で生きてるんだ俺」
P「前に事故って腕がもげた時はスパドリがあったから再生したけど、今は切らしてたはずだし」
恵美「アタシの血を飲ませて、吸血鬼化させたからだと思う」
42 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:23:28.02 ID:BUL41AfFo
P「恵美の血を?」
恵美「うん、前も言ったけど吸血鬼は大抵の怪我とかはすぐ治るから」
P「そっか…じゃあ恵美が助けてくれたんだな」
恵美「うん…」
P「しかしこれで俺も吸血鬼か…恵美に血をあげられなくなったのは残念だ」
恵美「あ、その事なんだけど」
P「うん?」
恵美「プロデューサー、なんか人間に戻ってるみたい」
P「えっ」
43 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:25:37.38 ID:BUL41AfFo
恵美「今もプロデューサーを見てると胸が高鳴ってさ…すごいどきどきしてるし」
恵美「…触って確かめてみる?」
P「………………………いや、良い」
恵美「すごく間があったけど、まあいいや」
恵美「とにかく、プロデューサーは人間のままってこと」
P「そっか…じゃあまた恵美の傍に居られるな」
恵美「うん…ずっとアタシの傍に居て」
二人で抱き締め合う
恵美「…ねえ、プロデューサー」
P「ん?」
恵美「アタシに、もっとプロデューサーを感じさせてよ」
P「…ああ」
二つ目の約束が、身体に刻まれた
44 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:27:49.16 ID:BUL41AfFo
それから数カ月後
P「新しい仕事だ」
恵美「何の仕事?」
P「劇場で演劇をやるんだ、舞台は中世ヨーロッパで、テーマは人間の男装少女とヴァンパイアの女装少年のボーイミーツガールだ」
朋花「ヴァンパイアのお話ですか〜、ふふ、面白そうですね〜」
千鶴「あら…この配役は」
莉緒「私は伯爵夫人で悪女!ふふふ、セクシーに演じてみせるわよ!」
恵美「ねえプロデューサー、これって…」
45 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:31:25.93 ID:BUL41AfFo
P「恵美からクリスとエドガーの話しを、千鶴さんからアレクサンドラとノエルの話しを聞いて思ったんだ」
P「現実のクリスとエドガーの人生は確かに良い結果にはならなかったかもしれない」
P「でもお話なら、ハッピーエンドでも良いだろ?クリスも、エドガーも、アレクサンドラもさ」
恵美「…そだね、やっぱりハッピーエンドが一番良いよ」
恵美「でもさプロデューサー、アタシ達もこのハッピーエンドに負けないくらい、この先も幸せで生きたい」
恵美「だからさ、アタシと一緒に歩いてくれる?」
P「もちろんだ、俺と恵美なら絶対ハッピーエンドに辿り着けるさ!」
恵美「にゃはは!期待してるからね、プロデューサー!」
恵美「クリスとエドガーが辿り着けなかった約束の地に、アタシを連れて行ってね」
P「ああ、行こう、一緒に」
いつか二人で、約束の地に…
46 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/01/23(火) 22:31:52.33 ID:BUL41AfFo
尾張名古屋
47 :
◆NdBxVzEDf6
[sage]:2018/01/23(火) 22:37:37.48 ID:LC/BvECd0
http://i.imgur.com/xWRMBYx.jpg
今のイベントが元か、いいつなげかただった
乙です
>>5
所恵美(16)Vi/Fa
http://i.imgur.com/wAujv7U.jpg
http://i.imgur.com/jU8fQ4I.jpg
>>26
二階堂千鶴(21)Vi/Fa
http://i.imgur.com/StuD9oF.jpg
http://i.imgur.com/j8Z8PSW.jpg
>>44
天空橋朋花(15)Vo/Fa
http://i.imgur.com/cM5XoLi.jpg
http://i.imgur.com/SGZRpab.jpg
百瀬莉緒(23)Da/Fa
http://i.imgur.com/Rw3h880.jpg
http://i.imgur.com/fEttMSy.jpg
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/23(火) 23:50:37.12 ID:Qbk8xrhaO
いい話だけどスパドリ怖い
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/24(水) 14:07:34.26 ID:bJkanvlqo
恵美のは〜んが聞きたい。
丁度いいし全員にきゅんパイア歌わせよう
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/29(月) 13:08:38.67 ID:PxZclsvaO
もしやスパドリって吸血鬼の何かなのでは…?
乙
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/13(火) 20:21:36.38 ID:Ehr4xca50
乙パイア
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クオリティの高いサービスを貴方に
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