他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
千歌 「狛犬ようりこ」
Check
Tweet
1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:36:17.07 ID:GRNo4kpW0
千歌 「はぁっ…はぁっ…!」タッタッ
千歌 「よしっ、もうすぐ…。この階段、毎日登っても慣れないや」
――すぅ
千歌 「おーい! 曜ちゃん、梨子ちゃん、遊びに来たよー!」
千歌 「…あっ、そっか。お札出さないと!」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1516365376
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:37:16.79 ID:GRNo4kpW0
千歌 (サブバッグの外ポケットから、2枚の御札を取り出して掲げる。…こうしないと、曜ちゃん達に会えないんだ)
千歌 「出てこいっ! 曜ちゃん、梨子ちゃん!」
ドロンッ!! ドロンッ!!
千歌 (本殿の横にいる2匹の狛犬が、私が呼ぶなり煙に包まれる。私の体全体を覆うほどの煙で、視界は完全に遮られる)
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:37:56.74 ID:GRNo4kpW0
千歌 「……あれっ? 誰も、いない?」
千歌 (煙が晴れると、狛犬はその姿を消していた。おかしいな、本当ならいつもここに…)
ようりこ 「「わっ!!!!」」
千歌 「うわぁぁぁっ!!??」バタンッ!
梨子 「あっ! 千歌ちゃん、大丈夫!?」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:38:51.34 ID:GRNo4kpW0
千歌 「大丈夫じゃないよ! びっくりするじゃん、いきなり後ろから出てきたら!」
曜 「えへへ、毎回正面に出るのも飽きてきたなぁと思って」
梨子 「だからやめよう、って言ったのに」
曜 「梨子ちゃんだってノリノリだったじゃん」
梨子 「それは……」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:39:25.63 ID:GRNo4kpW0
千歌 「もうっ! 次驚かせたら、二度と起こしてあげないからね!」
曜 「えぇっ!? そ、それだけはぁ…」
千歌 「ふふっ、冗談だよ。よしよーし」ナデナデ
曜 「えへへー」ブンブン
梨子 「あぁっ! 曜ちゃんばっかりずるいっ!」
千歌 「順番だよ、順番」
梨子 「むぅー…約束だからね?」ブンブン
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:40:15.79 ID:GRNo4kpW0
千歌 (頭を撫でると、2匹…いや、2人とも嬉しそうに“尻尾”を振る)
千歌 「……可愛い」
――私の友達は、ここ淡島神社の狛犬です
ーーーーーー
ーーーー
ーー
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:40:48.67 ID:GRNo4kpW0
第1話 『奇跡の原点』
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:45:42.23 ID:GRNo4kpW0
〜浦の星女学院〜
ザワザワ…ガヤガヤ…
千歌 「…? なんだろ、騒がしいなぁ」
千歌 「みんな、どうしたのー?」
むつ 「あっ、千歌。おはよー」
よしみ 「今朝の新聞だよ。見てないの?」
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:46:13.46 ID:GRNo4kpW0
千歌 「私、新聞とか読まないし…」
いつき 「あぁ、ぽいぽい」
千歌 「なにさ、ぽいって!」
むつ 「まぁまぁ…。ほら、これだよ。一番おっきく載ってるやつ」
千歌 「んー…? どれどれ?」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:46:52.56 ID:GRNo4kpW0
『ホテルAWASHIMA 建設決定』
『冬にも着工か』
千歌 「ホテル…あわしま?」
むつ 「そうそう。淡島にホテルが出来るんだって!」
いつき 「観光客、最近多いもんね。ホテルが出来たら、もっとこの街が活性化するんじゃないかって、みんなで話してたんだよ」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:47:25.09 ID:GRNo4kpW0
千歌 「ホテルかぁ…。でも千歌の家は旅館だし、あまり作られると商売あがったりだよ」
よしみ 「あっ、そっか…。千歌は反対だよね」
千歌 「ううん、この街が賑わうなら、私も嬉しいよ。ホテルにはみかんも置いてもらわなくっちゃ」
いつき 「千歌らしいね。…要望があるんだったら、3年生の教室に行きなよ」
千歌 「へ? なんで?」
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:48:10.09 ID:GRNo4kpW0
むつ 「ほら、このホテルを建設しようとしてるグループ。聞いたことない?」
千歌 「なになに…? リゾートホテルチェーン “オハラ”?」
いつき 「ほら、この間留学から帰ってくるなり、理事長に就任した生徒いたでしょ?」
千歌 「あぁ、確か名前が…」
「小原 鞠莉デースっ!!!」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:48:56.41 ID:GRNo4kpW0
千歌 「うわぁっ!?」バタンッ!
よしみ 「あっ! 千歌、大丈夫!?」
千歌 「いてて…。だ、だいじょぶだいじょぶ」
鞠莉 「ごめんね? 驚かせちゃった?」
千歌 「あなた確か、理事長さん…」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:49:54.46 ID:GRNo4kpW0
鞠莉 「ノンノン、理事長さんじゃなくて、マリーだよっ」
千歌 「えっ…で、でも…」
鞠莉 「いいからほらっ! Say!」
千歌 「えっと…鞠莉、さん…?」
鞠莉 「うんうん! Very goodだよ! えっと…」
千歌 「あっ、千歌です。高海 千歌」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:50:28.00 ID:GRNo4kpW0
鞠莉 「千歌っちね。OK、覚えとくよ!」
千歌 (テンション高い人だなぁ…。そういえば理事長挨拶もこんな感じだったかも)
いつき 「あのっ! 鞠莉さん、このホテルのことなんですけど…」
鞠莉 「んー…? Oh、うちが建てるホテルだね」
千歌 「“うち”…?」
鞠莉 「あれっ、もしかして千歌っち知らないの? そう…何を隠そう!」
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:51:07.74 ID:GRNo4kpW0
鞠莉 「私こそホテルチェーン オハラの経営者の一人娘! 小原鞠莉よ」
千歌 「えぇっ!? す、すごい…社長令嬢だ…」
鞠莉 「それで、そのホテルがどうかしたの? もしかして、何かrequestがあるとか?」
千歌 「あ、いや…リクエストってほどじゃ」
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:51:49.78 ID:GRNo4kpW0
むつ 「せっかくここにホテルを建てるなら、ホテルの中でもっとこの街のことをアピールして欲しいんです」
よしみ 「そうそう、みかんを置くとか!」
鞠莉 「みかん…? うーん、見た目のいいみかんを用意して、それを維持するのって難しいんだよね」
いつき 「あぁー確かに」
千歌 「それもみかんのいいところなんだよっ!」
むつ 「みかん愛がすごい…」
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:52:25.99 ID:GRNo4kpW0
鞠莉 「ま、みかんの話はさておき」
千歌 「さておかれた」
鞠莉 「なにか要望があったら言ってね。このホテルは地域活性化の目的もあるから、できる限り地域の人達の意見は採用したいから」
鞠莉 「Ciao〜」
千歌 「地域活性化か…。あっ、そういえば」
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:52:57.58 ID:GRNo4kpW0
千歌 「このホテル、淡島のどのへんに出来るの?」
いつき 「地図載ってるよー。ここだって」
千歌 「…へぇ、山の上に出来るんだね」
むつ 「眺めもいいしね。楽しみだなぁ」
千歌 「……あれっ、ここって…」
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:53:44.00 ID:GRNo4kpW0
よしみ 「この場所が、どうかしたの?」
千歌 「ここって、淡島神社がある場所だよね? ホテルなんか建てられるの?」
むつ 「あぁ…流石に取り壊すんじゃない?」
千歌 「えっ!?」ガタッ!!
いつき 「人も全然いないみたいだしね。いっそホテルにした方が…」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:54:18.63 ID:GRNo4kpW0
むつ 「私たちが小学生の時とかは、初詣とかで賑わってたんだけどね」
よしみ 「そうそう。この間ランニングついでに寄ってみたら、すっごい廃れててびっくりしちゃった」
千歌 「そんなこと…」
いつき 「千歌、まだあの神社行ってるの?」
千歌 「う、うん。たまに…」
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:55:06.51 ID:GRNo4kpW0
むつ 「やめときなって。管理してた人もいなくなったらしいし、危ないよ」
よしみ 「やっぱり。どうりで掃除されてないなと思ったんだよね」
いつき 「まぁ誰にも使われてないなら、ホテル建てた方がよっぽど有意義だよね」
千歌 「ダメだよッ!!」
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 21:55:37.30 ID:GRNo4kpW0
むつ 「ち、千歌…? どうしたの急に。そんな大声出して」
千歌 「ダメだよ…だってあそこは大事な…私の…!」
千歌 「……ッ!!」ダッ!!
よしみ 「あっ、千歌!? どこ行くのー!?」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:08:13.91 ID:GRNo4kpW0
〜淡島神社 本殿〜
ようりこ 「「神社が潰れる!?」」
千歌 「…ここにホテルが建つんだって。もう着工も決定してるって」
曜 「もう、どうすることも出来ないってこと?」
千歌 「諦めちゃダメだよ! まだ中止にさせる方法はあるはずだよ!」
梨子 「……でも、現状を見るとね」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:09:12.60 ID:GRNo4kpW0
曜 「…人はこないし、賽銭も、絵馬も全然」
梨子 「ここに来る人なんて、それこそ千歌ちゃんくらいだもん」
千歌 「そんな…」
曜 「そもそも、神社の取り壊しに反対する声が千歌ちゃんくらいしかなかったんでしょ?」
梨子 「…その程度のものなのかな。この神社って」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:09:55.94 ID:GRNo4kpW0
千歌 「そんなことないよ…」
曜 「…数年前まで適度に掃除してくれてた人、どこに行ったんだろうね」
千歌 「…!」
梨子 「……あのね、そもそも私たちが千歌ちゃんに呼ばれないとこの姿になれないのだって、神力が足りないからなんだよ」
曜 「神力の源は人々の信仰心。もう、この神社を好きでいてくれる人なんて…」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:10:31.71 ID:GRNo4kpW0
千歌 「…ここの神様はもう、戻ってこないの?」
梨子 「前も話したでしょ。神様は残された僅かな神力を私たちに恵んで、もう…」
曜 「形だけ残ったこの神社を、どうか護って欲しい…って」
千歌 「なら護らなきゃ!! 神様から託されたんでしょ!?」
曜 「…………てよ」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:11:11.94 ID:GRNo4kpW0
千歌 「えっ…?」
曜 「じゃあ教えてよ…。どうすればいいのさ、人もいない、人望もないこの神社を、どう護ればいいのっ…?」
梨子 「曜ちゃん…」
曜 「私たちだってこの場所がなくなるのは嫌だよ。…だって、千歌ちゃんとも会えなくなるんだよ!?」
千歌 「…っ!」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:11:38.67 ID:GRNo4kpW0
曜 「でも力が出ないんだよ。…この場所から出るどころか、千歌ちゃんに呼び出されて、やっと1時間動けるくらいなのに」
曜 「こんな体で、どうしろっていうのさ…」
千歌 (自分の耳を力強く押さえつける曜ちゃんの姿は、とても印象的だった。『せめて私が人間だったら』、そう言っている気がして…)
梨子 「……曜ちゃん、そろそろ時間。今日は寝よ?」
曜 「……うん」
千歌 「ごめん…二人とも」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:12:18.31 ID:GRNo4kpW0
梨子 「ううん。いいの」
千歌 「でも…っ」
梨子 「今年の冬…だったよね。着工」
千歌 「えっ、うん…」
梨子 「じゃあそれまで、いっぱい遊ぼうね」
千歌 「そんな…!」
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:12:48.43 ID:GRNo4kpW0
梨子 「私、嬉しいよ。たった一人…でもとても大切な人。千歌ちゃん、あなたがここまで必死になってくれたんだもん」
曜 「……ありがとね、千歌ちゃん」
千歌 「曜ちゃん…」
曜 「……っ…おやすみ」
千歌 (台座に乗った二人は、徐々に狛犬の姿に戻る。目を赤く腫らしていた曜ちゃんも、その顔を勇ましい表情に変えていく)
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:13:15.70 ID:GRNo4kpW0
千歌 「…分かってる。私だってわかってるよ。どうしようにもないってこと」
千歌 「でも諦められるわけないじゃんか。…だって痛いほど伝わったもんっ! 曜ちゃんも梨子ちゃんも、この場所を失いたくないって気持ちが!」
千歌 「私にしか出来ないんだ…。足掻いてやる、精一杯足掻いてやる…ッ!」
千歌 「この神社は、私達のものだ…っ!!」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:14:14.37 ID:GRNo4kpW0
〜高海家〜
千歌 「……とは言ったものの、どうすれば…」
志満 「千歌ちゃーん、お料理、お客さんのとこに運んでくれるー?」
千歌 「うん、今行くー!」
千歌 (だめだめ…! 今は仕事に集中しなくちゃ)
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:14:46.93 ID:GRNo4kpW0
ガヤガヤ…
千歌 「失礼します…」
「そういや聞いたかい、例のホテル」
「あぁ、淡島に建つんだろ? 人が増えりゃ、こっちも繁盛するから大助かりよ」
千歌 (ホテル…。そうだよね、みんな嬉しいんだよね)
「でもあの…淡島神社、だったか」
「あぁ、潰しちまうらしいな」
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:15:20.14 ID:GRNo4kpW0
「懐かしいなぁ。俺が若いころ、受験前とかによく行ってたよ」
「今では人っ子一人いないらしいからな」
千歌 (……。)
「せめて何かご利益がある神社がだったらなぁ」
千歌 (…っ! ご利益…!?)
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:15:52.29 ID:GRNo4kpW0
「そうだなぁ。特にいい話聞かねぇもんな、あの神社」
「神様も愛想つかしてどっか行っちまったんじゃねぇか?」
曜 『神力の源は人々の信仰心。もう、この神社を好きでいてくれる人なんて…』
千歌 (そっか…信仰心さえ取り戻せば…!)
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:16:26.01 ID:GRNo4kpW0
千歌 (あの神社にはすごい力があって、信じる人にはすごいご利益がある…そんな話が広まれば、きっと…!!)
千歌 「それだぁっ!!!」
「「「!!?」」」
千歌 「あっ…失礼しましたぁ…」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:17:13.44 ID:GRNo4kpW0
〜淡島神社 本殿〜
梨子 「なるほど…ご利益ね」
曜 「ご利益があれば、神社の名声も上がる。…すごい、すごいよ千歌ちゃん!」
千歌 「えへへぇ、それほどでも…」
梨子 「神社の名声が上がれば、きっとホテルを建てる側だって簡単に潰せなくなるはず。…ほんと、よく考えたわね、千歌ちゃん」
曜 「…でも、どうやってご利益があるって噂を広めるの?」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:17:54.77 ID:GRNo4kpW0
梨子 「そうね…。そもそもここに神様はもういらっしゃらないし、ご利益はないもん」
千歌 「それも考えてあるよ!」
曜 「えっ、なになに!?」
千歌 「私たちが、神様になればいいんだよ!」
梨子 「…………えっ?」
40 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:18:23.72 ID:GRNo4kpW0
千歌 「つまり、ここにお願いごとをしに来た人の願いを、私たちがこっそり叶えてあげるんだよ」
曜 「それでお願いした人は、ご利益だって思い込むってこと?」
千歌 「そゆことっ!」
梨子 「なるほど…。大変だけど、いい考えかも」
千歌 「二人のためだもん。どんなに大変でも、私頑張れるよ」
曜 「千歌ちゃん…っ!」フリフリ
41 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:18:54.89 ID:GRNo4kpW0
梨子 「あれっ…でもちょっとまって?」
梨子 「そもそもこの神社、お願いごとをする“人”が来ないんだけど…」
ようちか 「「あっ」」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
42 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:20:07.58 ID:GRNo4kpW0
チンドンドン ♪ チンドン ドンチン♪
千歌 「淡島神社〜淡島神社〜」
千歌 「願えば必ずご利益がある淡島神社〜!」
果南 (……手前に取り付けた太鼓と鐘。背中には淡島神社って書かれた旗)
果南 「…一応聞くけど、何やってるの千歌」
千歌 「チンドン屋!」
43 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:20:42.31 ID:GRNo4kpW0
果南 「チンドン屋…。上野とかでよくやってる、広告屋さんだよね?」
千歌 「そうだよー! 中学の校外学習の時に見たの思い出して!」
果南 「そりゃ私も見たけど…。なんでチンドン屋? それになんで淡島神社?」
千歌 「果南ちゃん、もしかして知らないの? 淡島神社が潰れちゃうこと」
果南 「学校に行ってなくたって、流石に知ってるよ。…どうせ千歌は友達に言われるまで知らなかったんでしょ」
千歌 「ど、どうしてそれを…っ!」
44 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:21:14.00 ID:GRNo4kpW0
果南 「はぁ…。旅館やってて、ホテル建設に反対なのは分かるけどさ。こんな回りくどいやり方しなくても」
千歌 「ううん、ホテルが建つこと自体はいいことだと思うよ」
果南 「えっ…? じゃあなんで?」
千歌 「…護りたいんだ。淡島神社を」
果南 「千歌、あの場所に思い入れなんてあったっけ?」
45 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:21:42.34 ID:GRNo4kpW0
千歌 「……あるよ、沢山」
果南 「へぇ、どんな?」
千歌 「それは私たちだけの秘密」
果南 「えー…。いいじゃんか、別に」
千歌 「この思い出だけは、独り占めしていたいの。ダメ?」
果南 「…ううん。その気持ち、私にもよくわかるよ。私も独り占めしたい思い出、あるから」
46 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:22:13.97 ID:GRNo4kpW0
果南 「…それに、奇遇だね」
千歌 「奇遇って、何が?」
果南 「私の独り占めしたい思い出っていうのも、その淡島神社での思い出なんだよ」
千歌 「本当!? もしかして狛犬の…」
果南 「狛犬…?」
千歌 「あっ、いやぁ…なんでもない」
47 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:22:51.91 ID:GRNo4kpW0
果南 「淡島神社を護ろうっていうなら、私も協力するよ。あの場所を失いたくないのは、私も同じだから」
千歌 「本当!? じゃあチンドン屋手伝って!」
果南 「…それは嫌かな」
千歌 「えぇーっ!? なんでなんで!?」
果南 「そもそもその太鼓とか、どっから手に入れたのさ」
48 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:23:17.02 ID:GRNo4kpW0
千歌 「学校から盗……借りてきた!!」
果南 「怒られるよ…?」
千歌 「大丈夫大丈夫! …とにかく、果南ちゃんも淡島神社の告知しておいて! 利用者が増えれば、きっとなんとかなるから!」
果南 「うん、分かった。じゃあまたね」
千歌 「うんっ! ばいばーい!!」
49 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:23:46.94 ID:GRNo4kpW0
果南 「……淡島神社か」
果南 「懐かしいな。昔よく、3人で遊んだっけ」
果南 「…鞠莉はもう、覚えてないのかな。あそこで遊んだこととか」
果南 「…覚えてるわけ、ないか。じゃなきゃ、ここにホテルを建てることを許すわけないもんね」
果南 「…はぁ、カッコ悪いなぁ、私」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
50 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:25:39.09 ID:GRNo4kpW0
〜次の日 淡島神社 本殿〜
千歌 「先生にめちゃくちゃ怒られた…」
梨子 「当然でしょ。学校の備品を勝手に持ち出したりなんてしたら」
千歌 「でも、効果はあったじゃん! ほら!」
千歌 (2人の目の前に絵馬を差し出す。…今朝、淡島神社の絵馬所に一つだけ飾られていたものだ)
51 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:26:08.29 ID:GRNo4kpW0
梨子 「絵馬…。この神社でまた見ることが出来るなんて、思ってもみなかった」
千歌 「この願いを叶えてあげれば、きっとこの神社もまた、人がたくさん…!」
曜 「……。」
梨子 「…? 曜ちゃん?」
52 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:27:13.90 ID:GRNo4kpW0
千歌 「曜ちゃん、どうしたの? 絵馬だよ、ほらっ!」
曜 「うん、分かってる。…分かってるんだけど」
梨子 「…いったいどうしたのよ?」
曜 「…なんか、いざとなると怖くなっちゃって」
千歌 「怖い?」
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:27:42.21 ID:GRNo4kpW0
曜 「なんか、もしダメだったら…って考えちゃって。計画が失敗してそのままお別れ…そんな風になるくらいなら、今まで通り楽しく過ごしていた方が、幸せなんじゃないかって…」
梨子 「何言ってるの? この場所がなくなってもいいの!? 千歌ちゃんとも会えなくなるのよ!?」
曜 「……そう、だよね。ごめん」
千歌 「…曜ちゃん」
54 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:28:16.59 ID:GRNo4kpW0
曜 「ごめんね千歌ちゃん。せっかくこんなに一生懸命になってくれてるのに、水差しちゃって」
千歌 「ううん、いいよ。それに、私もその気持ち、すごく分かるから」
千歌 「…でも私、もしダメだったとしても、それでいいと思う」
梨子 「千歌ちゃん…?」
55 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:28:46.92 ID:GRNo4kpW0
千歌 「もしダメだったら、きっとそれが運命なんだよ。そしたら、素直に受け入れる」
曜 「千歌ちゃん…」
千歌 「…私は、何もしないのが嫌なの。せめてなにか、出来ることはやりたい」
千歌 「結果がどうとか関係ない。だって、何もしないより絶対にいいもん。私たちが必死に足掻いたって事実は、絶対に残るから」
梨子 「…必死に足掻く。ふふっ、確かにそうかも」
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:29:22.09 ID:GRNo4kpW0
千歌 「今そこに少しでも輝きが見えてるなら、私はそれを掴むために必死に足掻く。無駄かもしれないけど、最後まで頑張りたい…!」
千歌 「成功する根拠なんてない。でも、絶対に後悔はしない、させないっ!!」
千歌 「……ついてきて、くれる?」
曜 「…っ!! 千歌ちゃん…」
57 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:29:50.03 ID:GRNo4kpW0
曜 「うん…そうだね! やろう、千歌ちゃん!!」
梨子 「千歌ちゃん、私たちならできる! 起こそう…奇跡を!」
千歌 「“奇跡”…。うんっ、やろう! 私たちで奇跡を起こすんだっ!!」
ようちかりこ 「「「おーーっ!!!」」」
58 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:30:20.31 ID:GRNo4kpW0
ーーーーーー
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
59 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2018/01/19(金) 22:30:47.39 ID:GRNo4kpW0
――私の配信が、もっと多くの人に
見てもらえますように。
yohane_tube
60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/01/19(金) 22:31:54.94 ID:GRNo4kpW0
第1話 『奇跡の原点』 ―完―
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/01/19(金) 22:32:39.10 ID:GRNo4kpW0
今回の更新はここまでとさせていただきます
第2話の更新は、来週中を予定しております
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/20(土) 08:48:31.18 ID:5Uog+hTHO
流行ってるねこれ
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/01/20(土) 10:03:22.95 ID:suzfDxoMO
いいぞ
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 15:41:59.35 ID:0IfiwPAdo
楽しみ
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/02/02(金) 10:20:34.59 ID:sIkxj+WaO
予定は未定ってか?
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/04(日) 00:14:46.69 ID:VJAvucJ1o
2月になっちゃったよ!
38.79 KB
Speed:0
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)