【ミリマス】白石紬「名探偵ナンナン……?」

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1 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:12:25.51 ID:UEoqUTXm0
自宅

P「今日は久々の休みだ。紬もオフだけど、あいつ休みってどうしてるんだろ? 甘味処めぐりでもしてるのかな」

携帯<ルーリーイローキンギョガミアゲールノハ♪

P「ん? 噂をすれば紬からだ。どうしたんだろ……もしもし」

紬『お休み中失礼します。白石紬です』

P「おう、どうした? 今日はオフのはずだったろ?」

紬『そうですが用事があったので電話致しました。……もしやあなたは私となるべく話をしたくないのですか?』

P「そんなこと一言も言ってないだろ。で、用事って?」

紬『以前、メールでお伝えした件についてです。手伝って欲しいことがあると』

P「メール……?」

紬『……もしや、とは思いますがプロデューサー、忘れてしまったのですか?』

P「…………」

紬『…………』

P「……てへぺろ(・ω<)」

紬『金沢に帰らせていただきます』

P「あーっ! あーっ! 覚えてる覚えてる! 冗談だって! 今すぐ行くからシアターで待ってろ!」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1516360345
2 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:14:23.41 ID:UEoqUTXm0
メールの内容
From:白石紬
唐突ですが、
駅前にある和菓子屋さんをご存じですか?

あのお店の和菓子は、どれも芸術的です。
季節ごとの練切なども大変美しく、見事です。

これまで、何度かお土産にしようと
買っていったのですが……
奇妙なことに、劇場の冷蔵庫に入れておくと、
消えてしまうのです。

先日は物陰から見張っていたところ、
双海さんに話しかけられ、
その一瞬の隙になくなっていました。
何者の仕業でしょうか……。

プロデューサー、
この問題の解決に力を貸してください。
上手くいったら、お菓子をひとつ差し上げます。

それでは、失礼します。

白石紬
3 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:15:39.59 ID:UEoqUTXm0
P(こ、これか……やっと思い出した……)

P(こんなの絶対亜美と真美の仕業じゃねぇかって思って放置してたんだった)

P(亜美か真美のどちらかが声をかけてもう片方がその隙にお菓子を奪った……双子のやりそうなことだ)

P(紬は本当にこんなことにも気づいてないのか……?)

P(……いや、さすがに気づいてるよな。俺をからかってるだけだ)

P(というか紬居るよな? 帰ってないよな? そっちのほうが心配だ……)
4 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:16:59.88 ID:UEoqUTXm0
765プロライブシアター エントランス

ガチャ

紬「おはようございます。プロデューサー」

P「おお紬。よかった、居てくれたか。ほっとしたよ」

紬「金輪際あのような冗談はやめてください。次は本当に帰ってしまいますよ」

P「わ、わかった。肝に銘じておくよ。で、その荷物は?」

紬「これはメールにも書いた和菓子屋さんの和菓子です。もう一度張り込み捜査をと思い買って来ました」

P「へぇ。これが紬が絶賛してたやつなのか……って、張り込み捜査? 一度やったんじゃなかった?」

紬「はい。前回は失敗しましたが双海亜美さんから――」

亜美『こういうのは根気っしょ! 何回もやって犯人がボロを出すまでチャンスを待つんだよ! だからまたお菓子持ってきて♪』

紬「――というアドバイスを頂きました。なので諦めずもう一度やってみようかと」

P「うん、マジで気づいてないとは俺も思ってなかった。Pチャンびっくり」

5 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:19:29.45 ID:UEoqUTXm0
紬「私は素人です。張り込みのやり方など知っているわけがないでしょう。それを責めるなんて……失礼な人ですね」

P「いや、うん。びっくりしたのはそこじゃなくてね?」

紬「別にいいです。承知の上ですから。というわけで、プロデューサーには私の張り込みを手伝っていただこうかと」

P「まあ待て、紬。ひとまず俺の話を聞け」

紬「? なんでしょうか?」

P「この事件の犯人について俺は心当たりがある」

紬「なんっ、本当ですか!? いったいそれは誰なのです!」

P「紬に張り込みのアドバイスをしてくれたまさにその人だ」

紬「…………」

P「えっ、なにその目。可哀想なものを見る目するのやめてくれない? 泣きたくなる」

紬「心配してアドバイスまでしてくださった方を疑ってしまうようになってしまったあなたの哀れな人生を憂いているだけです」

P「うわ思ったよりキツイやつがきた」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/19(金) 20:21:03.07 ID:727Dn1VpO
唐突ですがが唐翌揚ですがに見えて勝手に笑ってた
7 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:21:37.90 ID:UEoqUTXm0
紬「だいたい、双海さんにどうやって冷蔵庫の中のものを取れたと言うんですか。私が目を逸らしていた時、双海さんは私と話をしていたのですよ? その間、双海さんが冷蔵庫に手を伸ばす隙は一切ありませんでした」

P「いやだからそれがあいつらの手なんだって」

紬「あいつら? 複数形なのはなぜですか?」

P「ほんとにわかってないの? からかってるわけじゃないよね?」

紬「仰る意味がよく……」

P「だから、紬に話しかけた亜美は陽動なのさ。紬が視線を逸らしている隙にもう一人が冷蔵庫からお菓子を取り出すって寸法だ」

紬「……なるほど。確かに理にかなった作戦ですね」

P「だろ?」

紬「して、もう一人の犯人は? もう目星がついているのですか?」

P「そりゃお前、亜美の相棒と言ったら一人しかいないだろ。いつも一緒にイタズラやってる双子の真美さ」

紬「……もしかして、あなたは……バカなのですか?」

P「おっと予想外のところで来たね決め台詞」

紬「勝手に決め台詞にしないでください」
8 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:23:01.43 ID:UEoqUTXm0
紬「まったく。ちゃんとした推理かと思えばただの妄想とは。そんなものに騙されるほど私は抜けていません。そこまで見くびられていたなんて……」

P「いやいやいや、ちょっと待って。俺の話のどこにそうなる要素があった? 完璧な推理だろ」

紬「完璧な推理などと、なんておこがましい。あなたのそれは私をからかうための作り話でしょう」

P「違うって! お前はまだ事務所に来て日が浅いから知らないかもしれないけど、亜美と真美は765プロ随一のイタズラコンビなんだ。だからこれは間違いないって!」

紬「まだそんなことを……何度言っても私は騙されません。だいたい、双海さんが双子だなんて誰が信じると言うのですか」

P「は? お前、今、なんて言った?」

紬「ですから、そんな戯言には私は騙されませんから」

P「いや違う。その後」

紬「え? 双海さんが双子だなんて誰が信じるか、です」

P「ウッソだろお前」
9 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:25:04.88 ID:UEoqUTXm0
P「待って待って待って、さすがに頭の整理が追いつかない」

紬「さっきから何を言っているのですかあなたは」

P「紬は真美のことを知らないのか?」

紬「双海亜美さんの双子という方のことですね? そんな私をからかうためにあなたがでっち上げた人物のことなど知りません。妄想は脳内にとどめておいてください」

P(あ、これ本気で知らないやつだ)

P(なんでそんなことになったんだ? そりゃうちのアイドルは52人で数は多いけど真美だけ認識すらしていないって、ありえるのか? 亜美には会ってるのに……)

P(……もしかして、これも亜美と真美の遊びなのか? 紬の前には亜美一人だけしか現れないルールの遊び……たまに亜美と真美が入れ替わったりして反応を楽しむとか……)

P(……ありうる。というかもう絶対それだろ。入れ替わりなんて昔よくやってたことだし)

P(それよりも、だ。これどうやって誤解を解けばいいんだ。俺がなにいっても紬は絶対受け入れてくれないぞ……)

P(あいつら……まったく、こんなめんどくさいことをよくも……)

紬「何をさっきから考え込んでいるのですか? 早く行きますよ」

P「ああ、わかったわかった! 今行くから!」
10 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:27:11.17 ID:UEoqUTXm0
給湯室

バタン

紬「これでよし、です」

P「なぁ、ほんとにやるのか?」

紬「もちろんです。そのために買ってきたんですから。再び失敗しても良いようにいくつも買ってきました」

P「え、いくつもって、和菓子ってそんなに安くないだろ。いくらしたんだ? 俺が出すよ」

紬「……あなたはそうやっていつも人の懐事情を探っているのですか? 失礼ですからやめたほうがいいですよ」

P「なんでそうなるんだ……えーと、ここは俺の職場だ。職場で起こってる不可解な出来事を突き止めるのも俺の役目だ。そのために必要な費用を所属アイドルに出させるわけにはいかない。これでどうだ?」

紬「そういうことですか。それならそうと早く言ってください。どうぞ、これがレシートです」

P「はいはい、次からはそうするよ。おっ、やっぱり結構するなぁ」

紬「あのお店の品物は全てレベルが高いものばかりですから、それくらいは当然です。さぁ、こちらの物陰に隠れてくださいプロデューサー。張り込み開始です」
11 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:29:27.91 ID:UEoqUTXm0
P「よっと、紬、これでいいか?」

紬「はい。大丈夫だと思います」

P(これで亜美と真美を出し抜けるとはひとっつも思わないけどな。張り込みを続けることを提案したのは亜美なんだし)

P(待てよ、今あいつらは紬を手のひらの上で転がしていると思ってるわけだよな。実際そうだけど)

P(ということは今回も同じ手で紬を欺こうとするはず……そこを俺が捕まえれば一件落着なんじゃないか? 実際に二人を目の前に出せば紬の誤解も解けるだろうし……)

P(今日は確か二人とも律子と仕事があって事務所じゃなくてこっちに来てるはずだ。それまでまだ時間はあるから仕掛けてくるかも……)

P(……よし、いっちょ賭けてみるか)
12 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:31:26.20 ID:UEoqUTXm0
紬「そういえば、あなたは今日は休みだというのにスーツなのですね。いつもそうなのですか?」

P「ん? ああ、家とか休みで出かけるときは俺も普通に私服だよ。今日は仕事はしないけど職場には出ることになったってことで、やっぱスーツかなぁと」

紬「私服、とはやはり洋服ですか?」

P「うん。紬はやっぱり洋服より和服の方が好みか?」

紬「好みを聞かれれば、はい、と言いますが、普段着は利便性等を考えて洋服です」

P「そうだよなぁ。俺も和服に憧れはあるけど今の社会を生きる上でって考えると普段着は洋服になるよな」

紬「和服に憧れがあるのですか?」

P「そりゃああるさ。ピシッと決めるとかっこいいし、日本人であることを誇りに思いたいしな」

紬「そ、そうですか」

P「どうした?」

紬「いえ……“日本人であることを誇りに思いたい”と仰ったことに驚きました。いつもは恐ろしく無神経で不躾なように思えて仕方がなかったあなたがそんな考えを持っていたとは。少し、見直しました」

P「それ褒めてんだよな?」
13 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:33:43.20 ID:UEoqUTXm0
紬「……あ、あの、プロデューサー///」

P「ん?」

紬「もし、よろしかったら、今度休みが重なったときに、私が和服を見立てて――」

亜美「やっほーつむつむ! なにしてんの?」

紬「ひゃんっ!? ふ、双海さん!? いつも背後から突然現れるのはやめてください!///」

亜美「んっふっふ〜。つむつむはいつも狙ったとおりに驚いてくれて亜美料理に尽きますなぁ〜」

P「それを言うなら亜美冥利だろ。つかなんだ亜美冥利って」

亜美「ゲゲッ! 兄ちゃん!? なんでここにいんの!? 休みじゃなかったっけ!?」

紬「この間双海さんにもお話した張り込みをアドバイスどおり再び行っているのです。プロデューサーはその助っ人です」

亜美「あ、あぁそんなこともあったね……す、助っ人……って兄ちゃん亜美のこと何ジロジロ見てんの? もしかしてやっと亜美の色気に気がついてクラッときた? うっふ〜ん」

紬「……プロデューサー、さすがにそれは私も受け入れ難い問題です。双海さんはまだ中学生ですよ? 何を考えているのですか?」

P「俺は将来紬が悪い人に騙されないか気が気じゃないよ」
14 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:35:37.24 ID:UEoqUTXm0
P「いやあ、亜美の髪がいつもより長い気がしてなぁ」

亜美「」ギクッ

紬「ああ、そのことですか。私も以前疑問に思っていたことですが、なんでも髪のセットの関係でそう見えてしまうだけで日によって変わるそうですよ」

亜美「そ、そうなんだよ兄ちゃん! もう、毎朝毎朝大変で参っちゃうYO!」

P「ふーん」ジロジロ

亜美「う……ち、近いよ兄ちゃん……」アセアセ

P「……真美だな?」ボソッ

亜美?「」ギクギクッ

P(ということは今頃亜美が……)

パタン

P(! 微かにした何かが閉まる音!)

サッ

P(一瞬見えた……テーブルの下に潜り込む黒い影が!)
15 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:37:34.67 ID:UEoqUTXm0
P「紬、亜美と手を繋いでおいてくれないか?」

紬「はい? 急にどうしたというのですか?」

P「いいから早く」

紬「もう、なんなん……? 双海さん、申し訳ございませんが手を繋がせていただけますか?」

亜美?「あ、あははー! 亜美、ちょっと用事を思いだし――」

ガッ

P「繋いでおいてくれるよな、亜美?」

亜美?「あ、あいあいさー……」

紬「プロデューサー、いったいなんだというのですか?」

P「今、俺たち冷蔵庫から目を離してたよな? 中身を確認する」

紬「は、はい」
16 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:39:30.04 ID:UEoqUTXm0
ガチャ

P「……ほらな、紬が入れたお菓子、なくなってるぞ」

紬「そんな! またですか!? なんなん!?」

P「まて紬、隣にいるやつを逃がすなよ。それと、さっきエントランスで俺が披露した推理を思い出してみてくれ」

紬「え? は、はい。確かに状況は似ていますが、まさかそんなことは、いくらなんでも……」

P「待ってろ。今俺がその証拠を捕まえてやる。テーブルの下に逃げ込んだ犯人を!」

ガッ

P「おら! 捕まえたぞ亜美!」

??「うあうあうあー! 真美逃げてー!」

P「紬! 逃がすな!」

紬「な、なんなん!? なんなん!?」

亜美?「離してよつむつむー!」

紬「それは、だちゃかん!」

P「とっくにネタは割れてんだよ! いい加減に観念しろ! 亜美! 真美!」
17 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:41:29.70 ID:UEoqUTXm0
亜美・真美「「ま、参りました〜……」」

P「ほれ、これでわかったろ? さっき紬が捕まえてたのが真美、テーブルの下に隠れてたのが亜美。れっきとした双子の姉妹だ」

紬「な……な……!」

P「真美が亜美って名乗ってたのは双子であることを利用して入れ替わり、それに気づかない相手の反応を見て楽しむっていうこいつらの常套手段だ。昔は俺もよく振り回されたもんだよ」

亜美「やっぱりこの手はもう兄ちゃんには通用しなかったかぁ。兄ちゃんがつむつむと一緒に張り込みしてる時点で撤退するべきだったよ……」

P「紬に話を聞いたときからお前たちだってわかってたから、仮に亜美に逃げられたとしても真美を捕まえて吐かせてたけどな」

真美「うう……兄ちゃんはいつから体制派(律っちゃん)になってしまったんだい……真美たちがあんなに反体制派として育ててやったじゃないか……!」

P「お前たちに育ててもらった覚えはねーよ。それにどちらかといえば俺も昔から体制派だったろう」

紬「な、なんなん……」
18 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:43:03.64 ID:UEoqUTXm0
紬「まさか本当に双海さんが双子で、しかも度々入れ替わっていたなんて……」

P「だから最初っからそう言ってたろ?」

紬「プロデューサーの戯言だと……驚きました」

P「俺は今までお前が気づいてなかったことが驚きだよ。いくら二人のイタズラだからって言ったって、集合写真だって撮ったし名前だっていろんなところに載ってるし、こんなに長い間気づかないなんてそうそうないぞ」

紬「写真撮影のときは人が多くて気にしていられませんでしたし、名前などはプロデューサーのいつものつまらないミスだと……」

P「そろそろ怒っていい?」

亜美「まあまあ兄ちゃん、つむつむもデビューしたばっかりでいろいろわかんないことがあるんだよ」

真美「ここは一つ、真美たちに免じて許してやってよ」

P「元はといえばお前たちのせいだろ。調子のんな」
19 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:45:13.09 ID:UEoqUTXm0
紬「とはいえ、双海さんたちの入れ替わりに私が気づかなかったのは事実です。まんまと騙されました」

亜美「んっふっふ〜。そんなに褒められると照れますなぁ」

真美「もっと褒めてもいいんだよつむつむ!」

紬「いえ、褒めてはいません」

亜美・真美「え゛」

紬「プロデューサーは見抜いていたわけですから、私の真実を見極める力が足りなかっただけです。これからはもっと注意して物事を見るように精進しなければなりませんね」

P「ほ、ほどほどにしてくれな? これ以上紬に疑心暗鬼になられたらかなわんぞ……」

紬「まったく……本当にあなたは失礼な方ですね。これまで私が疑心暗鬼になったことなど一度でもありますか?」

P「どの口が言うかどの口が」
20 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:47:01.10 ID:UEoqUTXm0
紬「それはそうと、なぜ冷蔵庫のお菓子をくすねるような真似を?」

P「そうだ、二人ともどうしてこんなことをしたんだ?」

亜美「それがさぁ、聞いてよつむつむ兄ちゃん!」

紬「私は女性ですが……ま、まさか男だと思われていたのですか!?」

P「紬、一度決めたことをすぐに行動に移すところは尊敬したいところだが、まずは落ち着け。お前と俺を繋げて呼んだだけだ」

真美「もー! ちゃんと聞いてってば!」

P「あー悪い。ちゃんと聞くから。なにがあったんだ?」

亜美「亜美たちが買ってきていれておいたプリンが誰かに食べられちゃったんだYO!」

紬「プリンが誰かに食べられた?」
21 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:49:04.99 ID:UEoqUTXm0
真美「うん……こないだHPが限界まで持っていかれそうなメッチャハードなロケがあってさー、亜美も真美も帰ってきたらチョーへとへとになりそうな予感がしてたんだ」

亜美「だから二人で買い物に行って、前にいおりんが買ってきてくれたゴージャスセレブプリンを買おうとめーっちゃ早起きして、一つだけ買えたから二人でわけっこするつもりで冷蔵庫に入れて置いたんだけど……」

亜美・真美「「夕方に帰ってきたらなくなってたんだYO!」」

P「またかよ! 美希やあずささんに確認は?」

真美「したよ。ミキミキもあずさお姉ちゃんも食べてないって」

P「そうか……」

紬「? なんの話ですか?」

P「ああすまん。前にちょっといろいろあってな。気にしないでくれ」
22 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:51:39.06 ID:UEoqUTXm0
亜美「それで二人とももうだめだぁ〜ってゲームオーバーになりかけたところに見つけたお菓子を二人でわけっこしてピンチを凌いだってわけだよ」

真美「それでね、そのお菓子がめっちゃ美味しくて! また食べたいって亜美と話してたらまた冷蔵庫にあるのを見つけて、気づいたら食べちゃってたんだ」

P「なるほど、それで止まらなくなってエスカレートしてしまった、と」

亜美「ピンポンピンポーン! そういうことだよ兄ちゃん!」

真美「さっすが真美たちの兄ちゃんだね!」

P「まったく……お前ら、前回のプリン騒動から全然懲りてないらしいな」

紬「…………」

亜美「あれ? つむつむ、難しい顔してどうしたの?」

P「紬も呆れてるんだよ。そんな理由で大切なお菓子を食べられたなんて……って。でもほら紬、真相はわかったわけだから、二人の処遇は置いといてとりあえず一件落着ってことで……」

紬「いいえ、プロデューサー。何も終わってはいません」

P・亜美・真美「「「え?」」」
23 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:53:13.62 ID:UEoqUTXm0
紬「双海さんたちは『誰かにプリンを食べられてしまったので和菓子を食べてしまった』と仰いました。まだこのプリンを食べたものの正体が判明していません」

P「あ、そうか」

紬「また再び同じようなことが起こる可能性もあります。その人物を見つけない限りこの事件は解決しません」

P「うん。一理あるな。それで、どうするんだ?」

紬「決まっています。私たちでこの犯人を見つけるのです」

P「あぁ、まあそういうことになるだろうとは思ったよ」

真美「んっふっふ〜。犯人探し、やっと面白くなってきたね〜」

亜美「その話……亜美たちも一枚噛ませてもらうよ。探偵役は今回はつむつむに譲ったげる」
24 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:55:21.81 ID:UEoqUTXm0
真美「まずは名前を決めなきゃねぇ。探偵といえばホームズ、ポアロ、コロンボ、金田一……」

亜美「キャッチコピーはポアロとつむつむのソロ曲をかけて『瑠璃色の脳細胞』とかどう? それか『金魚一少女の事件簿』とか」

紬「な、名前やキャッチコピーが必要なのですか? それにやけに詳しい……」

亜美「なにいってんのつむつむ! 形から入るのはめっちゃ大事だよ!」

P「名前は某少年探偵漫画から取って名探偵ナンナンはどうだ? 紬ってよくなまってなんなんっていうし」

亜美・真美「「それだ!」」

紬「なんなん!? プロデューサーまで!?」
25 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:56:54.32 ID:UEoqUTXm0
真美「よーし! 名前も決まったことだし早速捜査開始と行きますかつむつ……じゃなかった、ナンナン!」

紬「本当にそう呼ばれるのですか? これからずっと?」

P「捜査するのはいいけど亜美と真美はだめだぞ」

亜美「な!? どういうことだワトソン君!」

P「誰がワトソン君だ誰が。お前たちはこれから律子と仕事だろ」

真美「ゲゲッ! なぜそれを知って……兄ちゃんいったい何者!?」

P「お前たちのプロデューサーさせてもらってるよ、ありがたいことにな」
26 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 20:58:36.63 ID:UEoqUTXm0
P「こっちは俺と紬で大丈夫だからお前たちはしっかり仕事してこい。あと、二人が紬をおちょくって遊んでたってことは律子に伝えておくからお説教もしっかり受けてくるように」

亜美「うあうあうあー! なんてことを!」

真美「よりによってあの鬼軍曹に! 兄ちゃん、よくも裏切ったなぁ〜!」

律子「だぁれが鬼軍曹ですってぇ……?」

亜美・真美「「で、でたー!!」」

律子「人をお化けかなにかみたいに言わないでよ。亜美も真美も、探してたのよ」

亜美「ご、ごめん律っちゃん! 真美と遊んでたら時間忘れちゃったよぉ! さ、早く行こう?」

律子「そうしたいところだけど我らがプロデューサー殿が私に話があるみたいだからちょーっと待ってなさい」
27 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 21:01:19.20 ID:UEoqUTXm0
律子「それで? 今度はいったい何やらかしたんですか?」

P「それがかくかくしかじかでな……」

真美「もはやこれまでか……ナンナン……あとは頼んだよ……」

亜美「亜美たちの分まで黒の組織と戦って、元の体を取り戻して……!」

紬「は、はぁ……」

真美「ってわけでー、名探偵ナンナン! このあとすぐ!」

亜美「ミュージックスタート!」
28 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 21:03:45.50 ID:UEoqUTXm0
(♪名探偵コナン メインテーマ)

私は高校生アイドル、白石紬

実家の呉服屋で店番をしていた私は加賀友禅の着物を返却に来た怪しげな男と出会った

プロデューサーと名乗る黒ずくめの男と話をしていた私は

いつの間にかその男の事務所、765プロのアイドルにスカウトされていた

私はその人に名刺を手渡され、気がついたら……

上京してしまっていた!

金沢から出てくるために転校や転居の手続きも済ませてきた私は

プロデューサーに言われるがままアイドルになるために765プロライブシアターに転がりこんだ

そこで起きたプリン消失事件を捜査することにした私は

咄嗟に名前を聞かれて名探偵ナンナンと名乗り

犯人の情報を掴むためにプロデューサーと行動を開始した

アイドルになっても頭脳は同じ! 迷宮なしの名探偵!

真実は……なんなん!?
29 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 21:05:50.46 ID:UEoqUTXm0
P「やっと連れていかれたな。好き放題していきやがって……」

紬「プロデューサーもプロデューサーです。名探偵ナンナンなどという名前をつけて……あなたは本当に、バカなのですか?」

P「え? そうかな……面白い名前だと思ったんだけど。俺、あの漫画好きだし」

紬「そんなことは聞いていません。まったく……もういいです。捜査を開始しますよ」

P「そうだな。まずなにから始める?」

紬「まずは今ある情報を整理してみましょう。私が冷蔵庫に入れた和菓子が最初になくなったことに気づいたのは、一週間前の水曜日の18時ごろのことです」

P「ということは亜美たちのプリンが消失したのもその日ってことだ。16時過ぎにロケが終わる予定って聞いてたから、二人が気づいたのは17時ごろだな」

紬「つまり犯行時刻は17時よりも前ということになりますね。その日、朝から17時までにシアターに誰が来たかわかりますか?」

P「うーん、アイドルなら予定表を見ればわかるけどそれ以外ってなると厳しいな。いろんな業者も入ったりするし。青羽さんに聞いてみよう」
30 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 21:07:30.96 ID:UEoqUTXm0
紬「それとゴージャスセレブプリンと言うのでしたか。それがどういうものか教えて欲しいのですが、わかりますか?」

P「そりゃもちろんわかるが……その情報必要か?」

紬「もちろんです。確認したいことがありますので」

P「確認したいこと? わ、わかった。えーっと、確かプリンの上に板チョコやイチゴ、メロンに生クリームとかが乗ってるやつだ」

紬「……もしや単にプリンというよりプリンアラモードのほうが近いでしょうか」

P「ああ、確かにそうだ。詳しいな紬」

紬「……やはり、私はそれを見ていますね」

P「本当か!?」

紬「はい。私が和菓子を冷蔵庫に入れたとき、水曜日の昼過ぎになりますが、確かにそのようなプリンが冷蔵庫に入れてあったと思います。存在感がとても強く覚えていました」

P「ってことは昼まではプリンは冷蔵庫の中にあったわけだ」

紬「そうなりますね。ありがとうございます。また時間が絞れました」

P「おう。じゃあ次は青羽さんのところに行ってみるか」
31 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 21:09:33.28 ID:UEoqUTXm0
事務室

P「青羽さん、お疲れ様です」

美咲「あ、プロデューサーさん! 紬ちゃんも。お疲れ様です♪」

紬「お疲れ様です」

美咲「今日は二人ともオフなのにどうしたんですか?」

P「少し聞きたいことがありまして。一週間前の水曜日にアイドル以外でシアターに来た人っていますか? 業者の方とか、レッスンの先生とか」

美咲「え? ええと、ちょっと待ってくださいね……水曜日、水曜日……その日は誰も来てませんねぇ。その代わり、アイドルの皆さんはみんな一度は来てますけど」

P「そうですか。ありがとうございます。……ちなみに、青羽さんはゴージャスセレブプリンって知ってますか?」

美咲「ゴージャスセレブプリン! 販売開始から50分で売り切れてしまうというあのスイーツ!」

紬「! 知っているのですか!?」

美咲「もちろんです! 私も朝から並んでチャレンジしてみたこともあるんですけど、ぜんぜん買えなくて……一度は食べてみたいですよねぇ」

紬「あ……そ、そうですね」

P(青羽さんはシロか……)
32 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 21:11:07.84 ID:UEoqUTXm0
美咲「それがどうかしたんですか?」

P「いやあそれがかくかくしかじかで……」

美咲「なんと!? これこれうまうまですか!?」

紬「なんなん……?」

美咲「そうですか……そんなことがあったんですね。全然心当たりがありません。役に立てなくてごめんなさい……」

P「いえいえ、いいんですよ。俺も紬から聞かされて初めて知りましたし」

美咲「私もアイドルの誰かに会ったら心当たりがないか聞いてみますね。少しでもお手伝いしたいので」

紬「恐れ入ります。青羽さんもお仕事がんばってください」

美咲「ありがとう紬ちゃん。うん、私がんばる! そうだ! これ、先週の水曜日の予定表です!」

P「ありがとうございます! これでアイドル皆がいつどこにいたのか、だいたいのことがわかりますね。それじゃ早速捜査再会だ」

紬「はい。では、行って参ります」

美咲「はい! 紬ちゃん、プロデューサーさん、いってらっしゃーい!」
33 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 21:13:19.92 ID:UEoqUTXm0
P「ふぅ。これで外部の線はなくなったな」

紬「外部の方が冷蔵庫の中のものを食べていったなんて、元々考えてはいませんでしたが」

P「うん、俺もそうなんだけど可能性を潰せたってのは大きいだろう」

紬「そうですね。これで犯人はアイドルの中にいるということがはっきりしました」

P「……うーん、やっぱりそうはっきり口にすると聞こえはよくないな」

紬「ですがそれが事実です。事件の性質を考えると繰り返し起こる可能性もあります。これ以上事が大きくなる前に私たちの手で止めなければ」

P「……そうだな。紬の言うとおりだ」

紬「さて、次の聞き込みはどういたしましょう?」

P「えーと、今シアターにいるのは……お、伊織がレッスンしてるな。先週の水曜日にもシアターに来てる」

紬「では、次は水瀬さんですね。参りましょう」
34 : ◆kqf8uA4c/7tH [saga]:2018/01/19(金) 21:15:42.29 ID:UEoqUTXm0
レッスン室

P「おーい、伊織」

伊織「あら♪ プロデューサーじゃない! それに紬も♪」

P「おう。レッスンお疲れ様」

紬「お疲れ様です。水瀬さん」

伊織「お疲れ様♪ 二人揃ってどうしたのかしら? 二人とも今日はオフじゃなかった?」

P「ちょっといろいろあってな。伊織に聞きたいことがあるんだが……」

伊織「何かしら?」

紬「先週の水曜日、冷蔵庫にゴージャスセレブプリンが入っていたのですが、心当たりありませんか?」
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