【モバマス】白菊ほたる「あまざらしなPさん」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:44:01.79 ID:2X1um2xF0

※Pがamazarashiの歌詞しか喋らないというだけのSSです

 CGプロに独自設定があります

 アイドルの口調などに違和感があったらごめんなさい

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1516117441
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:44:35.62 ID:2X1um2xF0
――都内某所の公園――

――ザァァ……

白菊ほたる「……はぁ」

ほたる(所属していたプロダクションに『縁起が悪い』と追い出されてしまいました……)

ほたる(いくつかのプロダクションを渡り歩いて、そのどれもが倒産してしまったことを知った社長さんからのクビ宣告は、この雨よりも冷たく無情なものでした)

ほたる(元から経営が厳しくなってきていたらしく、同時に所属アイドル何人かも他のプロダクションへ飛ばされたみたいですが、私にはそういった話がまったくありません)

ほたる(正真正銘の解雇……でした)

ほたる「これからどうしよう……」

ほたる(あまざらしの公園で傘も持たず、行く当てなんてどこにもなくて、でもアイドルになる夢は捨てられない)

ほたる(不幸体質な私でも誰かを幸せにしたい、ただそれだけのことがものすごく難しい)

ほたる「……やっぱり不幸な私にアイドルなんて出来ないんだ、だからもう諦めて鳥取に帰れって……ことなのかな」

ほたる(夢を追って東京に出てきて、夢に破れて田舎へ帰る。ただそれだけのことなのに、自分のすべてを否定された気持ちになってしまいます)

ほたる(悲しくて泣いてしまいそうです……)
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:45:21.65 ID:2X1um2xF0
――ジャカジャーン……

ほたる(目頭がだんだんと熱くなってきた私の耳に、不意にギターの音が聞こえてきました)

ほたる(不思議に思って広い公園を見回すと、ベンチに座り、三つ脚のパラソルスタンドに大きな青色の傘を立てて、アコースティックギターを弾いてる男の人がいました)

「優しくされたら胸が震えた それだけの為に死んでもいいや」

「本気で思ってしまった 笑ってよ 笑ってくれよ」

ほたる(その人は、私以外人気のない公園で、誰に聞かせるでもなく弾き語りをしています)

「うな垂れて覗き込む水溜まり 映り込む泣き顔踏みつけたり」

「上手くいかねぇもんなんだな 今日も土砂降り」

ほたる「雨降ってるのに……」

ほたる(あまりにも酔狂なその姿に、私は目が離せなくなりました)

ほたる(私の頭上の木々に雨が弾ける音、時折吹き抜ける冷たい風の音、アコースティックギターの音色)

ほたる(それにかき消されそうな小さな歌声は不思議と私の鼓膜を強く打ちます。私はその歌から耳も離せなくなりました)
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:46:01.45 ID:2X1um2xF0
「悲観 楽観 交互に積み木崩し 振り返る度に痛む傷口 とうの昔に忘れたはずの笑い話」

「乗るか反るか? 行くか戻るか? 雨か晴れるか? やるか止めるか?」

「勝つか負けるか? 立ち上がれるか? やり直せるか? 生きるか死ぬか?」

ほたる「……っ」

「『やまない雨はない』」

ほたる(私は……)

「『明けない夜はない』」

ほたる(そんな事を言ったって……私は……)

「とか言って明日に希望を託すのはやめた」

ほたる「えっ……」

「土砂降りの雨の中 ずぶ濡れで走っていけるか?」

「今日も土砂降り」

ほたる「…………」

「そういや いつかもこんな雨だった」

「雨だった」

――ジャーン……

ほたる(男の人が歌い終わり、最後に大きくかき鳴らしたギターの音が消えると、雨音だけがやけに大きく聞こえました)

ほたる(それがなんだかやけに寂しく聞こえてきて、私は思わず拍手をしていました)
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:46:53.56 ID:2X1um2xF0
「っ……」

ほたる(男の人はそれを聞いて辺りをキョロキョロと見回し、やがて私の存在に気付きました)

ほたる(しばらく無言で見つめ合っていると、男の人はベンチに立てかけてあったギターケースにギターをしまい、傘を手に持ってこちらに歩み寄ってきました)

「…………」

ほたる「あ、その……邪魔をしてごめんなさい……」

「…………」フルフル

ほたる(男の人は首を小さく横に振ると、私に傘を差しだしてきました)

ほたる「私に……?」

「…………」コクン

ほたる「でも、それだとあなたが……」

「…………」フルフル

ほたる(無言のまま差し出される傘。それをおずおずと受け取ると、男の人は今度は上着の胸ポケットから一枚の小さな四角い紙を取り出して私に差し出しました)

ほたる「名刺……ですか?」

「……自嘲気味に踏み出すその一歩は、今日も変わらず迷ってばかり」

ほたる「え?」

「それでもここに留まるよりはいくらかましだと信じてる」

ほたる(名刺も受け取った私を見て、小さな声でそう言いました。それから男の人は私に背を向けます。そしてベンチに立てかけたギターケースを手に、雨の中を歩いていきました)

ほたる(公園には青色の傘と名刺を手に、取り残される私が一人)

ほたる(寂しい雨音を聞きながら名刺に目をやると、そこには『CGプロダクション』の社名と住所、それに恐らくあの男の人の名前と所属部署)

ほたる(裏面を見ると、『アイドルに興味はありませんか?』という手書きの文字がありました)

――――――――――
―――――――
――――
……
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:47:28.73 ID:2X1um2xF0
――翌日 CGプロ――

ほたる「ここがCGプロダクション……思ってたよりもずっと大きい……」

ほたる(名刺の住所を頼りにやってきましたけど……本当に私なんかがこんな場所に来ていいんでしょうか……。また私の不幸体質のせいで、こんなに立派な場所が陰ってしまうとしたら……怖いです)

ほたる(私の手には昨日貸してもらった青い大きな傘。憎らしい快晴の青空とは不釣り合いな持ち物です)

『自嘲気味に踏み出すその一歩は、今日も変わらず迷ってばかり』

ほたる「…………」

『それでもここに留まるよりはいくらかましだと信じてる』

ほたる(ふと昨日のあの人の言葉が脳裏に蘇ります。それが迷う私の背を少し押してくれた気がしました)

ほたる「……が、頑張ります」

ほたる(私は誰に向けるでもなく呟いて、CGプロへと足を踏み入れました)

ほたる(入口に入ってすぐの受付で昨日頂いた名刺を見せると、大きな傘を持った私を訝しげな目で見ていた社員さんも合点がいったみたいで、すぐに案内をしてくれました)

ほたる(大きなエレベーターに乗って五階にたどり着くと、右手の方を指して、「あの一番奥がその部署だよ」と教えてくれました)

ほたる(私は案内してくれた社員さんにお礼を言い、その部屋に向かいます)

ほたる(部屋の扉には擦りガラスが付いていて、そこには第8アイドル事業部の文字がありました。私は一度深呼吸をしてからその扉をノックしました)
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:47:55.77 ID:2X1um2xF0
「はーい」

ほたる(ノックをしてすぐに女性の声がして、擦りガラス越しにこちらへ近づいてくるのが確認できます)

「お待たせしました、どちら様です……か?」

ほたる(扉を開けた女性の方は、私の姿を見て大きく首を傾げました)

ほたる「あっ、あの、昨日、こちらのプロデューサーさんに……スカウト? されたものですっ……!」

ほたる(それに対して、私はそう告げました)


――――――――――
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:48:41.18 ID:2X1um2xF0
千川ちひろ「いやー、まさかウチのプロデューサーさんがアイドルのスカウトに成功する日が来るなんて思いませんでしたよ!」

P「…………」

ほたる(対応してくれた方――事務員の千川ちひろさんは最初に私の言葉を聞いて『そんなまさか』というような表情をしたあと、プロデューサーさんに取り次いでくれました)

ほたる(そして私が本当にスカウトされたんだと分かると、笑顔で私を室内へ招き入れて、応接室に通してくれました)

ほたる(今は応接室の対面になってるソファーの片側に私、もう片側にプロデューサーさんと千川さんが座る形で向き合っています)

ほたる(プロデューサーさんは一度私に会釈をした後からずっと無言です)

ちひろ「えーっと、それで白菊ほたるちゃん……でしたっけ?」

ほたる「は、はい。あ、履歴書がこちらに……」

ちひろ「はい、ありがとうございます。ご実家は……鳥取! もしかして鳥取からこっちに一人で?」

ほたる「……はい。私、どうしてもアイドルになりたくて……」

ちひろ「なるほどなるほど。すごい熱意ですね!」

P「…………」

ほたる(ちひろさんは笑顔でうんうんと頷いていますが、プロデューサーさんは先ほどから黙ったままです)

ほたる(もしかして私、何かやってしまったのでしょうか。考えられるとしたら、昨日の名刺はスカウトでもなんでもなかったという事くらいしか……)
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:49:22.31 ID:2X1um2xF0
ちひろ「呼び方は……ほたるちゃんでいいですか?」

ほたる「はっ、はい、大丈夫です」

ちひろ「はい、それじゃあほたるちゃん。早速でこんな事を聞くのも変なんだけど……昨日、ウチのプロデューサーさんにおかしな事とか言われませんでした?」

ほたる「おかしな事……ですか。いえ、そんな事はなかった……です」

ほたる(どちらかというと背中を押してくれるような言葉をもらいました)

ちひろ「そう、それなら良かった……」

ちひろ「何となく分かるとは思いますけど、ウチのプロデューサーさん、朴念仁……というよりもうコミュ障の域にいる人間なんですよね」

ほたる「は、はぁ……」

ちひろ「スカウトとかまず向かない人間で、今まで何度か警察まで身元引受に行ったこともあるんですよ」

P「…………」フイ

ほたる(プロデューサーさんは無言のまま顔を明後日の方向へ逸らしました)

ちひろ「まぁしばらく一緒に働いていれば何を言いたいかが分かるようにもなるんですけど、流石に初対面の人間に「あの子のスカートになりたい」なんてスカウトしたら通報もされますよ」

P「……過ぎた憂鬱は悲劇ではなく喜劇的であると主張したい」

ほたる(あ、今日はじめて喋った……)
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:50:11.56 ID:2X1um2xF0
ちひろ「まぁ、こんな感じにですね……。ちょっと取っつき辛いですけど、根は悪い人じゃないんです。ただコミュ障なだけで」

P「刃渡り15センチのそれで最終的な自己帰結を試みたい」

ちひろ「はいはい、死なないで下さいね。せっかく初めてウチの部署にアイドルが来てくれたんですから」

P「…………」

ほたる「初めてって……私以外のアイドルはいないんですか?」

ちひろ「そうなんですよ。ほら、こんなプロデューサーさんですから。だから今までこの第8アイドル事業部は窓際事業部ってずっと言われてたんですよ」

ちひろ「人員も私とプロデューサーさんの二人だけですから。だから今までやる事と言えば他の事業部の庶務手伝いばっかりで……本当に役に立たないショ〇ニ状態だったんですよね」

ほたる「シ〇ムニ……?」

ちひろ「あ、ごめんなさい、世代じゃないですよね。気にしないで下さい」

ちひろ「とにかく、今までお荷物扱いされていて、プロデューサーさんはともかく私は悔し涙を流していたんです」

P「……裏通りのどぶ川みたいな色の涙です」

ちひろ「何か言いましたかプロデューサーさん?」

P「…………」フルフル

ちひろ「まったく、誰のせいでこうなってるんだと思ってるんですか……」

P「北風に僕は答えを探す」

ちひろ「また訳の分からないことを……。とにかく、これからよろしくお願いしますね、ほたるちゃん。頼りないかもしれないけど、私は精いっぱいサポートしますからね!」

ほたる「は、はい」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:50:44.32 ID:2X1um2xF0
ちひろ「プロデューサーさんもちゃんと話をして下さいね、ほたるちゃんや営業先の人と!」

P「変わらないものを変えるのは難しい」

ちひろ「もうその口調はとっくに諦めてるので誰とでもそうやって話せるようになって下さい」

ほたる「あ、あの! ちょっと……いいですか……?」

P「?」

ちひろ「はい、どうしました?」

ほたる「あの、その……私をスカウトして頂いたことはすごく、嬉しいです」

ほたる「嬉しいんですけど……私には不幸体質があるんです」

ちひろ「不幸体質?」

ほたる「……はい。私は、○○プロダクションと××プロダクションに所属していたことがありました」

ちひろ「え、そのプロダクションって……」

ほたる「……社長の不祥事とアイドルの不正労働が原因で、私が在籍中に倒産したプロダクションです」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:51:23.73 ID:2X1um2xF0
P「…………」

ちひろ「それとほたるちゃんに関係があるんですか?」

ほたる「私……小さな頃からそうなんです……。私自身が不幸になるのもそうなんですけど、近くにいる人まで不幸にしてしまうんです……」

ちひろ「それはただの偶然なんじゃ……」

ほたる「偶然なんかじゃない……きっと必然、です……。実は昨日、□□プロダクションからも解雇されたんです」

ちひろ「あのプロダクションって、今日の朝……重役が経営資金の持ち逃げをしたってニュースが……」

P「…………」

ちひろ「…………」

ほたる「きっと、私……プロデューサーさんにも千川さんにも……このプロダクションにも迷惑をかけてしまうと思うんです……そういう運命なんだと……思います」

ほたる「だから……だから私……」

P「……運命なんて他に選択肢が無かったってだけ」

ほたる「え……?」

P「必然なんてなんとなくなるようになったってだけ」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:52:05.17 ID:2X1um2xF0
ちひろ「いっつもよく分からない事ばっかり言いますけど、今日だけはプロデューサーさんの言葉に賛同しますよ」

ちひろ「大丈夫ですよ、ほたるちゃん。もし仮にこれから不幸が私たちの身にかかるとしても、所属アイドルの一人もいないお荷物事業部としているよりはずっと幸せですから」

ほたる「でも……」

P「時には大げさな看板を背負わされて、時には不名誉を着せられて」

P「君のこれまでを一片に語る事が出来る名前なんてそうそうないよな」

ほたる「…………」

P「だからどんな風に呼ばれようと好きにやるべきだと思うよ」

P「君を語る名前が何であろうと、君の行動一つ程には雄弁じゃない」

ちひろ「ほたるちゃんは、アイドルになりたくないですか?」

ほたる「……なりたい……です。不幸な私でも……色んな人を笑顔に出来るんだって……幸せに出来るんだって……そんなアイドルに……なりたいです……」

ほたる「本当に……こんな私でも……疫病神みたいな私でも……アイドルになっていいんですか……?」

P「君が君で居られる理由が、失くしちゃいけない唯一存在意義なんだ」

P「ここに讃えよ、愚かなジュブナイル。最後の最後に笑えたらそれでいいんだよ」

ちひろ「ちょっとズレている気がしないでもないですがそういう事です。今日からよろしくお願いしますね、ほたるちゃん」

P「物語は始まったばかりだ」

ほたる「は、はい……!」


――――――――――
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:52:42.04 ID:2X1um2xF0
ちひろ「それにしても今日のプロデューサーさんはよく喋りますね」

P「…………」

ほたる「え……いつもはもっと寡黙なんですか、千川さん」

ちひろ「ちひろでいいですよ」

ほたる「あ、はい、ちひろさん」

ちひろ「はい。で、プロデューサーさんなんですけど、普段は必要最低限の事すら口にしないで変な事しか喋らないんですよ」

ちひろ「だからほたるちゃんがスカウトされてきてすごく驚きました。どんな風にスカウトされたんですか?」

ほたる「えっと……」

P「…………」

ほたる「その、雨の公園でプロデューサーさんが弾き語りしてて……それに拍手したら名刺を渡されました」

ちひろ「ああ……アレが役に立ったんですね」

ほたる「アレ……ですか?」

ちひろ「はい。プロデューサーさん、路上弾き語りが趣味なんですけど、絶対に雨の日にしかやらないんですよ」

ちひろ「理由は『雨なら誰も近くに来ないから』とかそんな感じのものだったと思いますけど、だったら外で弾き語りするなと私は何度も言ってるんですけどね。そしたら濡れても大丈夫な安いギターだから平気とかバカな事を抜かしてましたが」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:53:39.75 ID:2X1um2xF0
P「……千川通りで轢かれていたカラスの遺体みたい」

ちひろ「それは私に対する悪口ですね? そんな事を言うのはこの口ですか? んん?」グリグリ

P「痛い、痛い」

ほたる「仲がいいん……ですね、お二人は」

ちひろ「ただの腐れ縁の同期ですよ。研修会でプロデューサーさんの隣の席になったのが運の尽きでした」

ちひろ「なんだかんだ色々あってこの第8アイドル事業部の立ち上げにプロデューサーさんと私が抜擢されて、そのままかれこれ1年ちょっとくらいですかね」

ちひろ「それだけ一緒に働いていると、なんとなくプロデューサーさんの言いたい事とかも分かるようになってしまったんです」

ほたる「そうなんですね……」

ちひろ「ほたるちゃんも普段はあんまり真面目に取り合わなくていいですからね、プロデューサーさんの話」

P「…………」

ほたる「で、でも……昨日すごくいい事を言われましたっ……」

ちひろ「そうなんですか?」

ほたる「は、はい。『自嘲気味に踏み出すその一歩は今日も迷ってばかり。それでもここに留まるよりはいくらかましだと信じてる』って……私は……その言葉に少し背中を押して……もらえました」

P「…………」フイ

ちひろ(あ、この反応知ってる。ほたるちゃんに話したんじゃなくて、何を喋っていいか分からなくて自分に言い聞かせてたやつだ)
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:54:11.98 ID:2X1um2xF0
P「…………」ジー

ちひろ「はいはい、分かってますよ、私は何も言いませんから。ほたるちゃんが優しい良い子でよかったですね」

P「…………」コクン

ほたる「そんな……優しい良い子なんかじゃないです……私は……」

P「…………」フルフル

ちひろ「こういう時こそ何か言葉で伝えてあげて下さいよ……」

P「……僕が死のうと思ったのは、まだあなたに出会ってなかったから」

P「あなたのような人が生まれた世界を少し好きになったよ」

ほたる「ええっ?」

ちひろ「それは大仰すぎますね」

P「…………」

ちひろ「まぁ、まだるっこしいですけど最初はメールでのやり取りから始めたらどうです?」

ほたる「メール……ですか?」

ちひろ「ええ。トークアプリは苦手らしいので、メールで。メールなら比較的まともな会話が出来ますから、それからだんだんと慣れていくのが一番ですね」

ほたる「分かりました……これからよろしくお願いします、プロデューサーさん」

P「…………」コクン

ほたる「ちひろさんも、これから迷惑をかけてしまうかもしれませんけど……よろしくお願いします」

ちひろ「ええ。よろしくお願いしますね、ほたるちゃん」

――――――――――
―――――――
――――
……
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/17(水) 00:54:52.93 ID:2X1um2xF0
――CGプロ レッスンルーム――

ほたる「ここがレッスンルーム……すごい綺麗」

P「…………」

ほたる(プロデューサーさんとちひろさんに顔を合わせ、正式にCGプロダクション所属となった翌日、まずは私の基礎を見るということでプロデューサーさんにレッスンルームへ案内されました)

トレーナー「おはよう。君が新しく第8アイドル事業部所属になったアイドルだね?」

ほたる「あ、おはようございます。……はい、昨日からこちらのプロダクションに所属する事になりました、白菊ほたると申します。これからよろしくお願いします」

トレーナー「ああ、よろしく。……それにしてもダイハチのプロデューサーが本当にアイドルをスカウトしてくるとは驚いたな」

ほたる(サバサバした口調でトレーナーさんはそう言ってマジマジとプロデューサーさんを見つめます)

ほたる(CGプロにはアイドル事業部が多く、略称として頭の第〇だけを言う事が多い……と昨日ちひろさんに教えてもらいました)

ほたる(会う人会う人に『まさかダイハチのプロデューサーが……』なんて言われるので、もう違和感がなくなってきています)

トレーナー「やはりなかなかガッツがあるみたいだな。どうだ、ほたる君と一緒に君もレッスンを受けてみないか?」

P「…………」ブンブン

ほたる(プロデューサーさんは今まで見た事がない勢いで首を横に振りました)

トレーナー「そうか。気が変わったらいつでも言ってくれたまえ。アイドルのレッスンを身を持って知る事もきっと大事な事だぞ」
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