【鬼滅の刃】貴方の刃【あんこ】

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596 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/15(月) 17:56:09.70 ID:mQ0oXgpL0
3
597 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/16(火) 00:10:04.34 ID:eYTcqq6SO
伍:「俺は坊主じゃない、東雲太陽だ」
598 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/08/21(水) 08:44:55.70 ID:OZAUFjVIo
長期休暇をいただいていました。申し訳ない。再開します。
599 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/08/21(水) 09:04:37.83 ID:OZAUFjVIo
>>597


三鷹「ぬはははは!」

太陽「いやそもそも!」

三鷹「無……?」

太陽「おれは坊主じゃない、東雲 太陽だ」

三鷹「知っているぞ?」

太陽「」

……ああ、やりにくい、本当にやりにくい!何なんだこの人!だいたい笑ってはいるが、目がぜんぜん笑ってないんだよなあ!絶対嘘付いてるひとの顔だよこれ!
海怜も確かに嘘付いてんなあって顔してることあるけど、ここまで露骨じゃないし!

三鷹「真っ先にあの水の小僧か、東雲、君が死ぬのかと思っていたが───ふむ」

三鷹「俺の目も曇ったものよな。最初に死んだのはあの金髪だったとは」

太陽「……ッ」

不意にそんなことを言われて一瞬言葉が詰まる。夜拌のことだ。
救えなかった。いや、そもそもおれ達が出会った時には死んでいた。
あの時。試練を終えた直後。海怜や新免さんではなく、もし夜拌と一緒に来ていたのなら。
そんなことを考えないことはない。

三鷹「人の命は元より虚ろな夢のようなもの、ましてや鬼と戦う我々は風の前の塵と等しいのかもしれんな」

太陽「……」

三鷹「おお怖い。そんな目で俺を睨むな」

太陽「だって、あなたは!」

三鷹「命を軽んじている訳ではないぞ」

太陽「?!」

三鷹「死ねば皆肉の袋、立場や境遇は一切関係がない」

三鷹「あの男。金髪の男……そこそこ期待された男だったそうだ。俺には意味のないことだがな」

太陽「それを言いに来てなんだって言うんですか、と言うかそれ本命じゃないんでしょう」

先程の言葉でおれの機嫌を損ねたのが分かったのか、三鷹……さん、は真剣な顔をする。

三鷹「おう、君。今朝も見たが何か覚悟を決めた顔をしていたな。アレはなんだ?」

太陽「あなたには関係ないでしょう」

三鷹「そうだ、饅頭の早食いで試合をするか!」

……なんで?



壱:やってやろうじゃねぇか!
弐:舐めてんのか斬るぞ
参:お師匠さまにチクろう
肆:そのた

下弐
600 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/21(水) 19:20:48.79 ID:BPnFC60SO
まんじゅうこわい
601 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/08/21(水) 20:16:36.77 ID:/dg5bL92O
1
602 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/09/30(月) 21:15:51.82 ID:zppPHfBAo
>>601

太陽「やってやりますよ!」

三鷹「おお、そう来なくちゃなぁ!」


満月「ってふたりとも何してるのー!だから太陽くんは寝ててって言っ……ええ……?」


それから数分後、お師匠さまが見たものは、おれが三鷹さんに圧勝しているところだった。
なんだろうか、体中に力が漲ってきている気さえする。呼吸のおかげか、それとも饅頭の力かは分からなかった。

三鷹「ぬははは!まさか負けるとはな!」

満月「きみも大概だねぇ三鷹くん。人の家に来たかと思えば饅頭の食べ合いで戦うなんてとんでもないよ」

満月「ほんと……ふふっ、きみ達面白すぎ!ははっ!」

太陽「あは……あははは!ははは!」

満月「まあそれはそれとして言いつけ守らない太陽くんは嫌い」

太陽「はっ!!???」


お師匠さまは悲しそうな顔をしていたが、それと同じくらい楽しそうに笑いながら部屋を去り、三鷹さんは苦しそうな顔でその辺に転がっていたのだった。


三鷹「君、怪我が治ったらどうだ、ひと仕合」

太陽「いえ、結構です……」

お師匠さまの顔を見たら、おれまで悲しくなってきてしまった。
ああ、はやく怪我を治さないと。そして、戦線に復帰するんだ。早く早く早く!
焦っても仕方がないが、それでも気持ちは空回りするばかりだった。


603 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/09/30(月) 21:24:26.42 ID:zppPHfBAo


それからさらに数日。

海怜「太陽」

太陽「おれは元気です!」

どむん

太陽「お”っ」

三鷹「ぬはははは!」(頭突き)

太陽「……け”ん”き”て”す”」だばば

海怜「滝汗かいてるけど、本当に大丈夫?」


と言うわけで、全快したと言い張っておれは稽古場に現れた。
おれの言葉を海怜が補足するようにあれこれ語り、三鷹さんがおれをほめそやし、そうしてお師匠さまはやっとおれの稽古を認めてくれたのだった。
いまだ膨れっ面ではあったが、それでもおれを見てくれるのは有り難いことこの上ない。


太陽「お、お願いします!」

満月「全く、きみってばほんっと強がりさんなんだから……でも、いっか」

太陽「へっ?」

満月「ぼくの家の『まわり』をぐるっと、毎日歩いてたでしょ?体力は付いたんじゃないかなぁ?」

海怜「えっ、毎日?」

満月「うん、毎日♡」

海怜「……」じとーり

太陽「はぁ……いえ、そのくらいしか出来ることがありませんでしたから……」

海怜「太陽、君って結構純粋だよな。あれを毎日ぐるっと回ってたんでしょ……?」

太陽「え?ああ、うん……?」



壱:まずは基礎だ!すぶりすぶり
弐:とにかく任務だ!鬼は殺すぞ
参:座禅が大事ってお師匠さまが
肆:そのた
下弐
604 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/30(月) 21:57:34.52 ID:evjiVIngo
605 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/01(火) 01:37:22.36 ID:Hw3pwUKSO
お師匠さまが言うなら参
606 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/10/01(火) 20:11:26.03 ID:Agoe4UUvo
次の行動で使うのでコンマ判定だけさせてください

↓1
40以下で炎柱になんかおきる

↓2
55以上あると血柱がブチ切れている

↓3
90以上で下弦戦前に水柱のトラウマ克服イベント
607 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/01(火) 20:19:11.25 ID:Pm22eUTVO
はあ
608 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/01(火) 23:13:32.72 ID:0DtDPFsM0
609 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/01(火) 23:57:43.64 ID:YC64QduQO
610 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/11/11(月) 21:20:15.39 ID:wQCG6AL9o
方針が固まったのでやっていきます
611 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/11/11(月) 21:30:10.02 ID:wQCG6AL9o
>>605


満月「でもね太陽くん、大切なのは心を乱さないことだよ」


お師匠さまはそう言った。
戦いの時に必要なのは、燃える心と、それを維持することだ。動揺したり、油断しては行けない。相手は人間とは違う存在なのだから。
当然、おれ達は人間なので、時として心が乱されたり、驚いたり、悲しんでしまうこともある。そう言ったものが力になるときと、ならないときがあるのだと言うことだ。
怒りを力にして前に進むのはいい。だけど、怒りすぎては道が見えなくなってしまう。
そのために心を自ら動かさなければ行けないこともある。


故に!座禅!


太陽「……」ぽくぽくぽく


三鷹「ちぇいっ!」

向こう側では立ち会い稽古らしい。三鷹さんと海怜が模擬戦として戦っている。
しゅば、と空気を裂く音がした。三鷹さんはどうも型らしい型を持っていないように見える。刀(今は木刀だが)を様々な使い方をして振り回すのだ。
時に斧のように、時に槍のように、時には矢のように。けれどそのどれもが自由自在で、変幻の型を持っているはずの海怜も圧されている。

かちんかちんとかち合う木刀の音はなんだか心地よく、座禅も上手く行きそうな予感がする。


なにもなければ。


どだばぁんっ!


満月「もー、なに!?静かに扉を開けられないの!?」

三鷹「ぬははは!扉を開けると言うより、突き破ってきおったか!」


───幸せが壊れる時は、底知れぬ冷たさが不意に訪れる───


鎹烏「カァー!伝令!伝令ー!」

満月「……鎹烏?」
612 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/11/11(月) 21:46:31.73 ID:wQCG6AL9o
足に着いている手紙を取り、月柱さまはそれに丁寧に目を通して……。

ぱさ、と手紙を落とした。


満月「まつりちゃん……」

太陽「え?」

その手紙を恐る恐る拾い、読み上げた。


『任務中、複数の隊士が下弦の壱と接触』

『隊士を統率していた炎柱(えんばしら)、赤銅まつりによって下弦の壱を撃破』

『その後、上弦の肆が炎柱に接近。上弦には瀕死の重傷を与えたものの、炎柱は死亡。隊士も複数名が四肢欠損の重傷』

『後詰めとして付近にいた水柱、冨岡義勇が向かったが、上弦の伍は既に逃亡していた』

『水柱により付近の鬼は既に一掃済み。近隣住民には影響無し』

『また、ほぼ同時刻に上弦の陸も別場所に出現。剣柱、日比龍士が左足を失い重傷』


太陽「な……え、炎柱が……!?」

海怜「それに、剣柱様まで」

三鷹「剣柱……」

水柱さまが言っていた、数少ない炎柱。それが、おれの合うよりも前にいなくなってしまった。
そして、剣柱だ。三鷹さんが、ここに来る前に世話になっていたと言う人。その人まで怪我を……。

三鷹「龍士……クソ、俺がもっと早く動いていれば……」

太陽「……続きがあります」


『柱二名の脱落は非常に隊にとっても大きな損失である』

『炎柱の弔いと、これからの隊についての方針を固めるため』


『柱合会議を開く』


満月「……ごめん、すぐに発たなきゃ」



壱:おれも行きます!行かせてください
弐:ちゅうごうかいぎってなんでっしゃろ
参:炎柱と剣柱について
肆:上弦の鬼について
伍:そのた

下弐
613 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/11(月) 23:36:54.21 ID:ofaDfA5ho
踏み台
614 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/11(月) 23:55:13.28 ID:22iRGq2Z0
615 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/11/12(火) 00:08:36.83 ID:qwA2EXEwo
>>614


太陽「おれも行きたいです!行かせてください!」

満月「だめに決まってるでしょ」

太陽「なんでええ!?」

ふう、と月柱さまは息を吐いた。

満月「柱合会議───各地にいる柱達が集まる会議なんだよ。柱と、親方様との大切な会議だ」

満月「そこに!柱じゃない!きみを連れて行くわけには!いか……ん?いや、ちょっと待って」

初めのうちは怒っていたお師匠さまだったのだが、ふと何かに気付いたようにぶつぶつ言い出した。
おれ、なんかしたのかなぁ……?

海怜「と言うか、なぜついて行こうなんて?」

太陽「また水柱さまに会えるかもしれないし……それに」

三鷹「それなら俺も行こう」ずぃ

太陽「え?なんで三鷹さん、行くなら剣柱さまのところに」

三鷹「それより先に行くべきところがあるのでな」

太陽「……はあ……?」


満月「よし」

そんなこんな言っているうち、お師匠さまは何かを思い付いたようだった。
手紙に書かれた事実のせいで未だ顔色は悪いままなのだが、それでもなんとかそこに立っているのは、きっとおれ達がここにいるからなんだろう。
そりゃあ、そうか。弟子の前でふらついている訳にはいかない。

満月「弟子、っていうか継子(つぐこ)なら別にいいよね」

太陽「へ?」

満月「ぼくのことをちゃんと分かってないといけないわけだし……あ、柱合会議に行くための言い訳だから、ほんとに継子になるわけじゃないよ?」

満月「そもそも、月はその、まあうん、いろいろあって継子は選ばれるから!」

太陽「何で全部ごまかしたんです!?」


616 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/11/12(火) 00:15:01.19 ID:qwA2EXEwo


海怜「まあ、留守番なら仕方がない。そんなに大人数で動くわけにもいかないしね」

海怜はなんだか妙すぎるくらいおとなしく、何かを悟ったような様子でそう言った。いや、おれが気付いていない何かに気付いたなら、それを教えてくれよ!
などと言っている時間もなく、そこそこに出発することになってしまった。
目的地にはろくな交通手段はない。残念ながら歩くしかないらしい。
都会の町には汽車があるそうだが、よく分からない。書物では見たけれど、実際乗ったことなんて……。


満月「さて」

ぎゅ。

満月「ものすごい急ぐから、全力で駆けるよ。それですぐに着けるはず」

三鷹「あい分かった。どれほど走れば良い?」

満月「まあ、そうだね。あの日が沈むまでは走ろうか。無理のない程度にね」

太陽「それって昼間はほぼ走ってるじゃないですか!?」

満月「大丈夫大丈夫、太陽くんは体力付いてるからー」

本当ですかお師匠さま!?

満月「とりあえず行くよ。周囲に敵の反応があったら、都度敵は倒す。いいね?」

満月「急ぐことも大切だけど、それ以上に人命を守ることが大切。ぼく達は鬼殺の隊士なんだから」

きりりと、月のように美しい瞳を輝かせて彼は言った。
そうだ、この人は……可憐だし、小さいし、美しく見えるけれど、柱で、お師匠さまで、男なんだ。

満月「……女みたいだって、思った?」

太陽「えっ?いや、そんな」

満月「いいよ、ほんとのことだし。それに、そんなことは些細なことだ」

満月「戦うのに理由も性別も関係ない。そうは思わない?」

太陽「……」

そうしていよいよおれ達は走り始めた。



なんか今のうちに話しておきたいこととかあれば下参くらいまで
617 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/12(火) 12:08:11.92 ID:+YNbXfepo
親方ってどんな人
618 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/13(水) 23:32:06.79 ID:HngkJA1e0
自我を保ち害をなさない鬼の存在
619 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/14(木) 01:37:30.06 ID:jp4vmsPx0
お師匠さまに師匠はいるのか
620 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/11/14(木) 18:44:58.40 ID:kcnzu+rZ0
そっ!そうですねっ!愛に理由も性別も関係ないですっ! 
621 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/12/09(月) 20:25:18.12 ID:u6LKAO65o
お師匠さまの立ち回りがだんだん固まってきました。
622 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/12/09(月) 21:16:42.71 ID:u6LKAO65o
>>617-620


ち、沈黙が苦しい……。

太陽「そ、そうですね……愛に理由も性別も関係ないですね!!」

満月「何言ってるの?」

太陽「ええ……?おれは真剣にそう思って言ってますよ!」

三鷹「時に月柱、貴方は男だろう?」

満月「そうだけど……、……ねえ太陽くん、まさかさあ」

太陽「ち、違いますよ!違うんです!誤解誤解!」

まさかお師匠さまが炎柱に惚れているのでは?なんて聞けたわけが───

三鷹「坊主、君はこの師匠に惚れていると見える」

太陽「ごがっ……!!」ぶふー

三鷹「ああ、そうさな。愛に性別は関係ないさ」

いや、そっちかい!!


満月「へ?そうなの?へ?へ!?!?」


それから数分後、お師匠さまの体調整うの待ちと称して進軍が止まったのだった。ご、ごめんなさい、おれのせいで。

いや……そうなのかもしれない。
だって、あんなに愛らしい顔をするお師匠さまが悪いんだ。大切なものを失うお師匠さまを、おれはどうにかして元気づけたいって思ってしまった。
それが恋ならきっと恋なんだろう。否定する意味は無い。

満月「も、もう、次はそういうの、なしだからね!柱たちのために急がなきゃいけないんだし……」

太陽「は、はい……すみません……」

うう、なんで謝ってるんだおれは。お師匠さまもなんでそんな悲しそうな顔してるんだ!
お師匠さまは気を取り直してゆっくりと歩き出した。そして、その足取りは数分も経たずにさらに加速する。以前なら着いていけていなかったであろうその速度に、おれが対応していたことに気付くのは、その日の夜の事だったが。
623 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/12/09(月) 21:29:39.10 ID:u6LKAO65o
やっぱり道中は沈黙が苦しく、おれはつい声をかけた。

太陽「お、お師匠さま」

満月「……」

シイイイイ、と独特の呼吸音が周りに響く。ああ、おれもそれに合わせなければ……。
ぬはははは、と後ろで三鷹さんが笑っているのが聞こえた。あう、おれが話しかけようとしたのが失敗したのが分かったからって。

それからとにかく、ひたすら走り回り、日が暮れる直前には藤の紋を掲げた家に入ることが出来た。全国各地にこの紋があること、そしてそれら全てが鬼殺隊を助けてくれていることがありがたかった。


太陽「お師匠さま」

満月「んー?どうしたの?太陽くん」

夜になって、寝る前にふと思い出したことを聞いてみることにした。

太陽「いえ、お師匠さまにも師匠がいるのかなと思って」

満月「ふふ、なにそれ!」

太陽「ご、ごめんなさい、なんか気になってしまって!」

満月「いるよ」

太陽「!」

満月「ううん、いたよ、の方が合ってるのかな。いたよ?今では現役じゃあないから、稽古なんてつけてもらわないけどね」

太陽「そ、そうなんですか……」

満月「まあ、ぼくとは血は繋がってないんだけどね」

太陽「え?」

満月「まあ、それはそれ、これはこれ。……ちょっと、まさかそんなことをあの時言おうとしてたわけ?」

それ以上のことを言われたはずのお師匠さまは、その事実(おれがお師匠さまに惚れているかもしれないということ)は一応黙っておくことにしたらしく、触れないようにしながらそんなふうに言った。

太陽「あ、お師匠さまもそうですけど……その、これから会いに行く方……御館様、でしたっけ。どんな方なんですか?」

前々から聞けなかったことを、今聞いてしまおうと思った。
考えても見れば、おれはこの鬼殺隊の長についての情報に乏しすぎる。どんな人なのか、性別も性格も、何もかもわからなかった。
最初はもちろん、そんなこと考えずに入隊したからそれはそれで良かったんだけど、今考えたら不思議に思えてくる。
果たして、こんなとんでもない集団を束ねている人とはどんな人なのだろう?
624 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/12/09(月) 21:40:17.30 ID:u6LKAO65o
満月「ああ、御館様についてか。話してなかったね」

三鷹「その方は【産屋敷 輝哉】さまと仰るお方でな」

太陽「うおおお!?み、三鷹さん!いつからいたんですか!」

三鷹「今来た」

満月「ちょっと!来たんなら来たって言ってよ!」

三鷹「ぬはははは!面目ない!」

満月「そもそもどこ行ってたの君は!もー!」

太陽「まあまあまあ!……で、その三鷹さん、御館様の話を」

三鷹「ああ。俺も一度しかお見かけしたことは無いが、あの方は当主たるお方だよ」

三鷹「心に直接話しかけられているような柔らかい声音の方だ。病弱が故、館からでられないのだがな」

満月「それでもぼく達のことを考えてくれている。普段は様々な商売でお金を稼いでいるから、資金面はそちらで工面できてるってわけ」

太陽「なるほど……」

満月「きみも見れば分かるよ。あの御方をおいて、鬼殺隊の当主は有り得ないって」

そこまで話を聞いていると、本当に興味が湧いてくる。一体、その方はどんな方なのだろう?
話を聞いているだけでは、なんだか全く想像ができない。けれども、なぜだか鳥肌が立っている。

太陽「それから、もうひとつだけいいですか?」

満月「もう寝るよ!……って、なに!」

太陽「人に害を為さない鬼は、存在すると思いますか?」

満月「え?」

太陽「た、例えば、例えばですけど、自我を持っていて、人に害を為さない鬼がいるとしたら」

満月「そう言う話は、ぼくは嫌いだな」

太陽「……あ」

ばさっ、と布団の音がした。

満月「おやすみ」


三鷹「振られたな」

太陽「う、うるさいなあ!!!!」
625 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/12/09(月) 21:47:40.93 ID:u6LKAO65o
三鷹さんにいざなわれ、少しだけ外に出た。夜の光がおれと三鷹さんを照らす。
少しだけ暗い顔をした三鷹さんが、言った。

三鷹「月柱様もな、辛い境遇にあった方なのだよ。だから、君はあんまり過去を聞かない方が良い」

三鷹「自分から話すのを待った方がいいだろうなあ。ああ、ところでさっきの話だが」

太陽「おれは……たぶん、鬼舞辻無惨が父親に化けてたんです」

三鷹「ほう」

太陽「だからたぶん、鬼は人に擬態できる」

太陽「その中で、もしも、人に害を与えない鬼がいたら。もしかしたら……」


連子の顔が浮かんだ。
浮かんでしまった。
あんなに強く決意したのに、それでもだ。

おれが斬ってしまった娘の顔が。

もしも、回避出来る未来があったなら。
そんな甘い夢が一瞬でも頭をもたげる。


三鷹「夢物語だな」

太陽「です、よね」

三鷹「だが、ないとも言いきれん」

太陽「……え?それ、どういうことですか」

三鷹「いやな、鬼舞辻達鬼の集団はどうも一枚岩ではないらしい。中には異分子もいるらしいぞ?噂だがな」

三鷹「その中にはいるかもしれんぞ、人のためになろうとする鬼、人に害を与えない鬼が」

太陽「……!」

三鷹「だが、それは広大な丘で一滴の雫を探すような有り得ない確率の話だ」

太陽「ゼロじゃないけど、そうそう見つからない」

三鷹「まあ、諦めるな青年。ありえないことが起きる時に、人は奇跡という言葉を使うのだからな。はははは!」


その去り際の三鷹さんの顔も曇っていた。
きっと、何があったのだろう。
剣柱との関係が気になるが、今聞くべきことではないか。
……おれも、寝よう。


626 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2019/12/09(月) 21:57:58.49 ID:u6LKAO65o


結局、御館様の御屋敷に辿り着いたのは翌日の昼というとこ、だった。

三鷹さんは、

三鷹「俺はやることがあるのでな!」

満月「ちょっと!?」

一言そう言ったきり、どこかに行ってしまい見つからない。
門の中に入れてもらい、はぁと大きく溜息をつきながらお師匠さまはそれでもなんとか気分を変えようとしていた。


白髪「ようこそお越しくださいました、月柱さま。他の柱の方はまだご到着されておりません」

選抜試験の時に出会った白髪の子が、そう言いながらおれ達を案内している。
向かうのは客間、つまるところここで一度待てと言うことだ。
御館様はあまり体が強くないため、柱が全員集合するまでは自室にいるとの事。
なるほど、そう頷いて、客間の戸が開かれ───


だらっとした女性「ぐかー……」

キッチリした隊服の女性「此度の会議がどれほど大切なものか、貴方は理解していないようで呆れを通り越して笑います、杉谷さん」

だらっとした女性「んぬー……まだねてるからー……まって……」

キッチリした隊服の女性「貴方が最初に到着したと聞いたので安堵していたのですが、私の安堵はやはり無意味でした。貴方がそうでなければ、もっと焦ることになるとはすぐ察せるのですが」きりっ!



太陽(え、えええー……?)



壱:ねてる人に話しかける
弐:キッチリした人に話しかける
参:お師匠さま助けて
肆:そのた

下弐
627 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/09(月) 22:00:50.18 ID:sfQB1hsRO
3
628 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/12/10(火) 01:57:52.50 ID:OXQvb1DY0
629 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2020/01/05(日) 18:27:49.16 ID:WRIq3v/Ro
アケマシテオメデトウ
ゴメンネ 遅クッテ
630 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2020/01/05(日) 18:46:36.09 ID:WRIq3v/Ro
>>628


太陽「えっと、あの」

キッチリさん「何か?」ぎろりん

太陽「うひいいいい!?」

キッチリさん「柱でもない、唯の一般隊士ですか。部外者が何の用で、この神聖なる御館様の場所まで上がり込んでいるのです」

キッチリさん「恥を知りなさい。ここは貴方のような雑魚が足を踏み入れて良い場所ではありませぬ」

太陽「う、つう……」

確かにその通りなのだが、そう強めの口調で言われると正論がまるで刃のように強く刺さる。
なんと言うべきかまごついていると、背後から助け舟が出航した。

満月「そう怖い顔しないで、キカイちゃん」

キッチリさん「どこのどなたか分からない御方にまで優しさの心を見せるほど、甘くなった記憶はありませぬ」

満月「いちおう、ぼくの継子候補なんだ。紹介するね、東雲 太陽くんだよ」

太陽「あ、えっと……はい、東雲 太陽です!」

キッチリさん「これが?継子候補ぉ?」

ぎろん、と言う音が聞こえそうなくらいに、目がぎらぎらとこちらに向いた。

太陽「ひ」

キッチリさん「……まあ……良いでしょう。その辺りの他人の事情は、内情を知らぬ外部の人間がずけずけ立ち入って良い部分ではありませぬ」

キッチリさん「蓼丸 奇怪と申します。【人柱】と呼ばれています」

キッチリさん「あまり良い響きではありませぬが、私の血筋が遺した物が人のお役に立てるのであれば、その諱も恐ろしくはありませぬ」

太陽「ひとばしら……」

辞書にも載っているような言葉である。
神の捧げ物、何かの生贄。目的のために犠牲になる存在……そう言う意味の言葉だ。
しかし───

太陽(別な意味がある、のだろうか……)

奇怪「そも、私の家系が人柱そのものと言っても良いでしょう」

太陽「……?」

奇怪「それはまた後々。今細かく語る時間などはありませぬので……杉谷さん、そろそろ起きてはいかがですか?」

ねてるさん「んにゃー……まだ……もうちょ……い……」

奇怪「……ちなみに、こちらは杉谷 愛呪(あんじゅ)、このようにだらっとしているので信じ難いかも知れませぬが、柱を担っております」

愛呪「よろしー……くー……」
631 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2020/01/05(日) 18:55:50.06 ID:WRIq3v/Ro
満月「面白い子達でしょ?」

太陽「面白がっていいところなんですか?これ」

満月「面白いものは面白いって言わなきゃ損じゃない!奇怪ちゃんはきりきりかわいいし、愛呪ちゃんはぐだぐだかわいいし、面白いよ〜?」

太陽「こう言う時のお師匠さま、やっぱり女の子ですね……」

満月「ん?なんか言った?」

奇怪「私は自分を面白がられることは不愉快です、満月さん」

満月「えー?不愉快になっちゃった?ごめんね」

奇怪「そも、一度は地に落ちた型を再生させた事で評価されて居るのでしょうが、私は貴方自身はまだ認めておりませぬので」

満月「……! ……まあ、いいけどさ!そんな言い方無いじゃん!」

奇怪「事実を言ったまでです。貴方は……」


更なる言葉の追撃が来る直前、扉が開かれる。そこには、他の柱が到着していたのだった。


義勇「……」きょろきょろ

包帯だらけの男「……」ふしゅううううう

すずめ「あ!!ちんちん!!」

太陽「東雲太陽です!!!!!そんななまえではありません!!!!!」

奇怪「嘆かわしい……」

すずめ「キカイ、久しぶり!」

奇怪「ええ、お久しぶりです、角田さん。また成長なさいましたか?」

すずめ「えへへー、少し背が伸びた!」


太陽「……」

ちらっ。

義勇「……」

包帯「……」ふしゅう

太陽(怖……)



壱:あ、あの、義勇さん
弐:包帯の方は一体……?
参:そのた

下弐
632 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/05(日) 20:49:55.83 ID:kYma2o7K0
1
633 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/01/06(月) 13:04:56.05 ID:bePcavOSO
>>629
イインダヨ キニシナイデ

安価なら壱
634 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2020/02/03(月) 22:49:59.04 ID:onTQveszo
>>633


太陽「あ、あのう、義勇さん……」

義勇「……」

太陽「……」

たすけてくれ!!!!!


義勇「……何故お前がここに」

満月「ぼくの継子候補ってことで一緒に連れてきたのさ!」ぐっ

奇怪「全く。貴方は柱合会議をなんだと思っているのですか」

満月「会議だろ?」

奇怪「……柱が二柱も欠けたのです。異常事態ですよ」

奇怪「ああもう、くるみが現役なら……!」


太陽(くるみ)

馬酔木さんのことだ。……そういえば馬酔木さんも、蓼丸さんのことを何か言っていたような……。
確か口が悪いと注意された、とかそんな話だったな。かなり親しかったのか……。

太陽「馬酔木さんと同期……?」


奇怪「くるみのことを知っているの?」

太陽「うお!?」

先までおれにものすごい強い当たりだった蓼丸さん……人柱がとても近くまで寄ってきていた。慌てて後ずさりそれから言葉を選ぶ。

太陽「ええと、はい、おれが怪我した時にいくらか世話になりました」

奇怪「貴方がですか?」

太陽「はい、馬酔木さんのお陰で全集中の常中も出来るようになりましたし……」

奇怪「!?」

すると今度は人柱さまの方が驚いているようだ。何か信じられないものを見たと言わんばかりに目を向き、おれを見ている。
な、何か不味いことを言っただろうか。
そう思って振り向くと、水柱さまも少し驚いているではないか。

義勇「あの馬酔木がお前に稽古を」

包帯の人「あんにゃにが?」

義勇「……」

包帯の人「……ええと……お前にか」

義勇「夜霧」

包帯の人「すまん」


太陽「……?」

義勇「気にするな」

包帯の人「あー……加羽沢 夜霧だ。離れた土地の生まれでな」

太陽「あ!義勇さんが近寄り難いって言ってた人!?」

包帯の人「そうなのか義勇」

義勇「今それを言うな!」
635 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2020/02/03(月) 22:58:24.01 ID:onTQveszo
それにしても……これで現役の柱は揃ったのか。
そう思っていると、例の子達が来て柱を呼んでいる。ついに会議が始まるのだ。

満月「きみも一緒に来なよ、太陽くん!」

奇怪「貴方はそうやってまた……」

満月「ううん、そうじゃなくて。太陽くんは、特に色々聞きたいでしょ?」

満月「鬼舞辻 無惨。敵の首領のこと……」

奇怪「そんな理由で下っ端が入れると思っているのですか!?」

満月「奇怪ちゃん。彼は以前、無惨が親に擬態していたことがある」

奇怪「な……!?」

満月「知りたいことがあるはずだよ。それに、君でなきゃ分からないこともあるかもしれない」

太陽「おれでしかわからないこと……ですか」

しかし、そうだ。
以前鳥柱さまの館で話したことを総合すれば、そうなる。おれの親は、父親は、鬼舞辻無惨が変化していた時期があるはずだ。
他人への擬態能力は他の鬼もあるだろうが、陽炎のような何にでも化ける能力ではなかったし、なによりおれの父親は最初は普通だった。
おかしな点はなかったし、あの日、あの時、その瞬間がくるまでは普通に振舞っていた。

夜霧「そりゃあえんがみた(大変だった)な」

雀「そっかあ!きみすっごいんだね!」

太陽(本心で言ってくれているから余計に反応に困るな……)

雀「たいよー!おはなししにいこ!」

がしっ

太陽「へ?え?あの、鳥柱さま……」

雀「びゅーん!」


走り出した鳥柱さま。そして置いていかれるみんな。
おれの視界に映ったのは、驚きふためく人柱───蓼丸さんと、やっと起きた死柱───杉谷さんだった。


636 : ◆z.6vDABEMI [saga]:2020/02/03(月) 23:08:49.45 ID:onTQveszo



隠「ああもうまたかよ!鳥柱さんね、あんたね、暴れちゃだめでしょ!」

雀「おやかたさまとお話ー!」

隠「みんなまだ揃ってないから!ひとりで来ちゃダメでしょ!」

それから数分しないうち、全員が揃うはずだった場所におれと鳥柱さまは居た。
慌てて飛んできた隠の人が鳥柱さまを制止する。でなけりゃあどこかに行ってしまいそうだったのだ。

雀「えー?みんな今から来るよ!」

隠「それじゃダメだから!」


???「構わないよ」



その時。
まるで光のような明るい声が、どこかから降ってきた。

太陽「え?」

隠「!?」

雀「おやかたさま!」

太陽「ええ!?」 


慌ててその場に立膝でしゃがむ隠の人と、それを見様見真似の雰囲気で座ってみる鳥柱さま。異様な空気を察し、おれもまた慌ててその場に座り頭を垂れる。
なんだ?たった一言、声をこうして投げられただけで、おれはどうしてこんなに身が強ばったのだろう?


???「そんなに緊張しなくてもいいよ。……はいね、今ここには誰がいるのかな?」

おやかたさま、と呼ばれたその方は、帯同している少女に声をかける。はいね、と呼ばれたその人は、こちらをちらっと見たのだった。


はいね「鳥柱さまと、隠の方がひとり。それから、隊員です」

???「隊員はどんな子かな?」

雀「ちんちん!」

隠「こら鳥柱こら!柱だからってそうやって調子に……」

???「ふふふ、前に言っていた子かな?」

雀「うん!そうです!」

太陽(あの雀ちゃん二十八歳が敬語を使った!?)

ますます恐怖だ。


???「東雲君。東雲 太陽君、だね」

太陽「! !? ……は、はい!」


この人は、なぜ、おれの名前を。



壱:御館様の声を耳に
弐:無惨とは何なのでしょう
参:そう言えばおれの仲間が
肆:剣柱と三鷹さんって……
伍:言いたいことがあれば自由安価で、詳しいほど有効

下弐

なお新免どうなったかな?判定はこのレスのコンマで、高ければ高いほど良い
637 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/05(水) 22:48:58.90 ID:dvfNLWmx0
肆 乙 いつの間に   
638 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/02/20(木) 19:25:09.37 ID:CNiesSMJ0

壱&弐
639 : ◆z.6vDABEMI [saga sage]:2020/10/08(木) 21:30:20.39 ID:YD3ya892o
お久しぶりです。ある程度物語が固まったので明日あたり再開できたらやります…!
640 : ◆z.6vDABEMI [saga sage]:2020/10/17(土) 21:35:57.94 ID:PwCS7rRpo
>>638

御館様の声が耳に入ってくる。不思議と、心が静まってくるような気がした。
隣の鳥柱さまは、気付けば顔を上げてそちらへ目を向けていた。眩しそうに、目を細めながら。
緊張感は拭えないがそれでも、おれもまた顔を上げて……ああ。

その方は。
両眼が既に光を失っているようだった。
体を支えているのは少女だ。……いや。よく見れば、少女と呼ぶには似つかわしくないほどの凛々しい表情をしている。

御館様「話はずっと聞いていたよ。太陽。本当に……ありがとう、みんなのために、家族のために戦っていてくれたんだね」

この人の心の中には、いつまでも光が残っているように感じた。そして、その光がおれにもおすそ分けされたかのようだ。

御館様「でも、これから柱の会議だ。君はもっと力をつけてから、ここに混ざろうね」

太陽「は、はい!」

御館様「よろしい。それまで、どうか死なないでおくれ、私の剣士(こ)、太陽」

太陽「……!」

心の中が熱くなる。変わったことを言われたわけじゃない、何か焚き付けられたわけじゃない。なのに、なぜだ?おれはなんで、この人の言葉に胸を動かされているんだろう?
全身に、栄養素がぐるりと回っていくみたいに、御館様の言葉が巡り巡っていく。
多幸感に包まれて、

太陽「……はっ!いけない、そうだった」

御館様に聞こうと思っていたことを思い出したのだった。いけない、あぶない。
おれを制して、行こうと仕掛けていた御館様が立ち止まる。はいねさんの手を借りながら、焦点は合わないながらもおれの方に顔を向けた。

御館様「どうしたのかな?太陽」

太陽「……無残とは」

御館様「?」

太陽「鬼舞辻無惨とは……何なのでしょう」

御館様「そうだね」

ざっくりした質問に、御館様はほんの少しだけ困ったように眉を垂らした。

雀「何言ってるの?僕もおやかたさまも、そんなの……」

御館様「鬼舞辻無惨はね、」

そうして出てきた言葉は。


御館様「悲しい生物だよ」


哀れみと、悲しみと、そんな複雑な感情が入り混じった言葉だった。


太陽「悲しい……」
641 : ◆z.6vDABEMI [saga sage]:2020/10/17(土) 21:41:53.61 ID:PwCS7rRpo
はいね「そろそろ時間です。」

御館様「またね、太陽」

雀「あ、僕もいく!」

御館様「そうだね、雀。君も話を聞こうね」

雀「うんー!」


そんな会話がなされて、すぐにあっという間に静寂が訪れた。おれは、そこに取り残されたのだ。
それにしても……、あれは果たしてどういう意味なのだろう?にくいはずだ、今すぐにでも殺したいはずだ。
そんな生物のことを、悲しいと表現するのは、いかほどばかりの心情だろうか。
もはや、おれのような凡人の考える域はとうに超えているような気がする。


隠「おい、お前」

太陽「……」

隠「お前!いつまでここでぼーっと突っ立ってるんだよ!」

太陽「おれは『おまえ』と言う名前ではありません!」

隠「知ってるわボケがァァァァ!!いつまでここにいるんだって聞いてんだよ!」

隠「柱合会議も始まった。お前がやることはなくなったの!」

太陽「ああ、うう、すみません……」


しょぼくれたおれは、ついにそこから放り出された。最初に通された部屋に戻ろうとして……。


かさかさ。


太陽「?」



壱:何奴!剣で斬る
弐:そういえば三鷹さんはいずこへ?
参:この館に何か強くなるためのものはないか……
肆:そのた

↓弐
明日というのは今なので今更新です、よろしくお願いします
642 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/12/10(木) 14:32:02.03 ID:T9dbOtmU0
すっかりこのスレ忘れててゴメンネよもやよもやだね
ちなみにおーぷんの方は完全に忘れてもOK?
643 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2020/12/10(木) 14:33:18.10 ID:T9dbOtmU0
で1
連投許してチョンマゲ
644 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2021/06/03(木) 07:56:11.52 ID:OSmGj4fMO
鬼滅の刃を乙武仁美さん中傷に使うな!
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