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【鬼滅の刃】貴方の刃【あんこ】
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513 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/04/15(月) 19:08:03.16 ID:l/XqRG/5o
月曜日なんだね
『分かるよ』
514 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/04/15(月) 19:21:53.03 ID:l/XqRG/5o
>>512
太陽「あの、【水の呼吸】の話が聞きたいんですけど……」
義勇「……」ぴくっ
おれの言葉に微妙に反応する水柱さま。ほんの刹那の間、恐ろしい表情をしておれを見た。
太陽「ひっ!?」
義勇「そうか、【水の呼吸】に興味を持ったのか」
太陽「水柱さま……?!」
それが笑顔だったと知るのはその後だ。
義勇「どこから話せば良い?」
太陽「え?」
義勇「【水の呼吸】の成り立ちか?それとも俺の師の話をするべきだろうか?あるいは呼吸の技ひとつひとつ解説した方が、お前は喜ぶだろうか」
太陽「えっと、その」
義勇「いいだろう、まずは水の呼吸とはなんたるかをお前に伝授することにしようと思う。まずこの呼吸はどのような状況下でも対応できるのが特徴だ」
太陽「水柱さ」
義勇「水は柔軟に、形を持たず、次から次へと流れ落ち変化する。技を連続して繋げることが出来るのもまた特徴のひとつだろうか」
太陽「………み」
義勇「行動が制限されても出せる型があるというのは、強みだ。それが水の呼吸であればこなすことが可能になる。お前も、俺の師に出会っていたのなら」
義勇「きっとあの人のように、立派な水の使い手になっているだろう。お前にはそれだけの熱意を見出した。でなければ、わざわざ俺にそのような質問をするはずがない」
太陽「……」
この人めちゃくちゃ喋るぞ!?なんで!?聞いていた話と違う!
本当に自分が好きなことは喋るんだなぁ!なんか分かりやすくてむしろ安心したよ!お師匠さま、おれは上手くやってけそうです!
衝撃を受けながら、ふと疑問がよぎり、そして思った。
……なんで、水柱さまは───
義勇「実践で見せるしかないな。行くぞ東雲、付いてこい」
太陽「へっ!?」
水柱さまは再び走り出す。
▼
壱:待ってください、水柱さまぁ〜!
弐:水柱さまに質問だ!(聞きたいことを書こう)
参:そのほか
下弐
515 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/15(月) 19:52:05.64 ID:3EH4AhhSO
当然、読者は作者の更新を尊重する!
安価は弐、自分が使う氷の呼吸について(水の呼吸と何か関係があるのかとか)
516 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/15(月) 20:44:50.91 ID:KXJ1lCS90
安価上
517 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/04/15(月) 21:12:16.30 ID:l/XqRG/5o
>>516
>>515
太陽「みっ、みず、水柱さま!」
慌てておれも走り出し、再び最高速での移動が行われることになる。
さて、おれは一つどうしても聞きたいことがあって、それで水柱さまをなんとか追いかけているのだ。
義勇「何だ」
太陽「おれの呼吸───【氷の呼吸】と【水の呼吸】についてです」
義勇「氷……」
太陽「おれは以前、本を読みあさり、ひたすら剣を振ってきました。そして、おれに合う呼吸を完成させたんです」
太陽「それが【氷の呼吸】……切られる相手が寒気を覚えるような鋭い切れ味の技なんですが」
義勇「……水は冷たくなればきっと凍る」
太陽「はい」
義勇「お前の読んだ書物が何かは分からんが、恐らく、水の呼吸の流れを汲んでいるはずだ」
義勇「だからと言って水を使いこなすことが出来るか、となると話は違うがな」
太陽「別のモノだから、ですか」
義勇「ああ」
前を向いたままで水柱さまは答える。
義勇「流れを元にしたとしても、まったく別物だろう。どこまでが同じかなど、それは分からない」
義勇「川もそうだ。たどりつけば本流はひとつ、しかしそれが下に行けば、どれが同じ川だったかなど分かるはずもない」
太陽「……」
義勇「細かいところは、お前の技を見て確かめることにするか。さて」
そうしてやっと立ち止まった。今度こそ、目的地だろう。しかし眼前には剣士が数名いる。いったいなぜ、と聞くよりまえに、それは言われた。
義勇「これから、村人三十三人殺しの【暴れ鬼】、並びに【十二鬼月】の討伐に向かう」
太陽「!?」
▼
壱:文句言わずに行ってくる
弐:ちょっと待って水柱さま
参:どんな鬼!?
肆:そのた
下弐
518 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/15(月) 21:23:54.26 ID:KXJ1lCS90
ksk いきなりだなあ、ハードルたけー
519 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/16(火) 00:50:34.69 ID:GPwcKPFSO
更新が早い!
安価は壱
520 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/04/22(月) 22:05:03.58 ID:YCE55JZYo
鬼ヲ始末シロ!カアア!
521 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/04/22(月) 22:10:56.00 ID:YCE55JZYo
>>519
太陽「うえええええ!?」
義勇「なんだ」
水柱さまの、揺るぎない表情に戸惑う。えっと、今なんて……おれの耳が間違っていなければ、三十三人も人を殺した鬼がいるだって?
しかも、それと別に【十二鬼月】まで?……心配しないとは言わない。新免さんですら、追い込まれてしまったのが十二鬼月だぞ、それをおれが……。
太陽「い、いえ、なんでもありません」
だけど、特に文句はない。きっとこの人はおれに何か期待してくれているのだろうと思った。
義勇(───)
義勇(お前には早い試練かもしれない。だが、ここで生き延びられなければ……)
太陽「でも、どうやって行くのですか?」
義勇「ほかの隊員がすでにこの地に鬼を追い込んでいる。そこに合流する」
太陽「……っ」
数名の隊員達は、水柱さまの到着に歓喜していた。それもそうだ、彼は柱なのだから。誰よりも強い存在がここにいることは、皆にとって励みになる。
隊員「暴れ鬼の方は我々でくい止めます!しかし、十二鬼月の方は……」
義勇「無理をするな、負傷者が出たら撤退しろ」
隊員「ですがそれでは!」
義勇「俺のことは気にするな」
隊員「……は、はい……」
太陽「水柱さま……」
義勇「行くぞ、来い」
太陽「っ、はい」
またしても森の中だ。ものすごく鬱蒼と茂っており、太陽光が直接届かない地である。だからこそ鬼達はこういうところにおびき寄せられるのだろうと分かった。
目指す前方にそれはいる。……いきなり、敵が強くなっている。おれは戦えるのか、勝てるのか?
522 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/04/22(月) 22:48:46.34 ID:YCE55JZYo
がさがさと足音を立てながら、それでも突然襲われなかったのは、十二鬼月と思わしき鬼が機会を窺っていたからだった。
そう、やつはこの場でもっとも強い人間を殺せば全員がひるみ、包囲が破れるとそう思っているようなのである。
そんなやつを殺すために現れたのが、水柱さまである義勇さまなのだが。
がさっ。
義勇「……見ろ」
まもなく鬼が潜んでいるであろう箇所というところで、水柱さまは茂みに隠れ潜むと、前方を指さした。
おれもそれを見る。目を凝らして、そいつが何者であるかを理解しようとした。
距離があり、上手く見えないのだが、両腕が鱗の固まりのようになって、毛羽立っていた。肩の辺りまで続いているように思える。
太陽「あれが……」
義勇「報告によればあれは【十二鬼月】のひとり、【下弦の伍】とのことだ」
太陽「強いのですか」
義勇「お前の同期とやらが苦戦したのが【下弦の陸】、あれのひとつ下と考えればいい」
じゃあなぜ陸からやらせてくれないんですか!と思わなくもないが、これもきっと水柱さまなりのかんがえがあるのだろう。
それにしてもあの姿。どう攻略すべきか悩むが……。
▼
壱:背後に回って奇襲
弐:ふたりで挟撃
参:自分が囮になります!
肆:そのほか
下弐
523 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/22(月) 22:53:21.79 ID:TumfYH6K0
壱
524 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/23(火) 04:08:11.18 ID:64jHvfPW0
弐
525 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/04/29(月) 20:34:34.76 ID:h4Lsm7x9o
今日って月曜日ですよ
526 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/04/29(月) 20:45:46.70 ID:h4Lsm7x9o
>>524
太陽(ここは挟撃が良いと思います)
さらに声を潜めておれは言う。まさか聞かれていることはないと思うが、この作戦、一発勝負だ。成功させなければ。
隣で水柱さまが納得したようにうなずいて、口元をわずかにゆがめた。
義勇(いいだろう。俺は向こうに回る。お前のやりたいようにやってみろ)
刹那、その姿は霞のごとく消えていた。早い、やっぱり本気を出したらこの速度なんだ。つまり、先程までのはぜんぜん……。
ちょっとだけ落ち込みそうになったが、それはそれ。おれは様子をうかがって、鬼を見る。気配を醸しだし過ぎればきっと見つかるだろう。だから、早期に決めてしまいたい。
───そう、風が吹いたら、おれも一緒に、鳥のように、氷のように!
ヒュオオオオオッ
下弦の伍「!?」
氷の呼吸 壱ノ型
寒声一叫
ヒュシュッ
太陽(ふたりがかりなら、おれが仕留める必要はない)
太陽(確実に鬼が殺せるなら、おれが手柄を奪う必要はない───ッ)
この鱗は、見たところ固いのだろう。推測を立て、その上で水柱さまの斬撃を防がれないように肩口、鱗のない部分を狙った。
がりっ
太陽(……!?)
狙ったんだ。
がりがりがりがりっ
いやな音がして、背筋が凍りそうだった。刀が鬼の体に傷一つ付けていないのを確認する。
太陽(な……肩に、さらに見えないほど細かい鱗が!?)
下弦の伍「馬鹿は良いよな、見える物を総て信じるから」
太陽(く、反撃を受ける!その前に回避を……)
下弦の伍「!」
527 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/04/29(月) 20:56:13.49 ID:h4Lsm7x9o
しかし追撃がおれを襲うことはなかった。反対側から押し寄せた水柱さまが、刀を振るったのだ。がちん、と固いもの同士がぶつかる音がする。
さすがにそこは柱、腕の鱗などはあまり問題にはならないようで、鬼の片腕はあっと言う間にその場に落ちた。
驚愕にゆがんだ表情を後目に、おれは体を捻って必死に距離を取る。情けないけれど、やはり真理は同じ事だ。鬼を殺せるならば、最後に鬼が死ぬならば、それでいい。
義勇「……大したことはないな」
下弦の伍「鬼だからと下に見ているな」
義勇「当然だ。鬼に配慮など必要ない」
下弦の伍「其れは其れで寂しい物が在る」
義勇「黙れ」
ひゅっ、と風の音がして、それから金属音が何度か響いた。
刀を抜いたのか?いや、バカな。おれには見えなかった。それだけの速度を出したって言うのか、水柱さまが!
ずるん、と腕を生やして、鬼は嗤う。
下弦の伍「成る程、速さは在るようだ。が、悲しいかな、此の鎧は砕けない」
義勇「……【凪】で斬れんとはな」
下弦の伍「私は他の鬼とは違う。変わらない事、傷付かない事に掛けては、上弦にも劣らないと自負して居る」
義勇「妙に芝居がかった口調だな」
会話の最中に再び距離が縮まるが、結果は同じだ。
太陽「くっ!おれも……」
下弦の伍「思い上がるな、小僧」
太陽「え……!?」
下弦の伍「此奴よりも弱いお前の剣が、私に通用すると思うのか?」
太陽「!!」
下弦の伍「態態(わざわざ)、目を離してやって居るのだ。今直ぐ此処を離れろ」
義勇「それは出来ん。東雲、お前がこいつを倒せ」
太陽「ええ!?」
下弦の伍「……倒す?此の小僧が、私を?」
▼
壱:素早く頸を狙え
弐:どこかに弱点があるはず
参:やーいお前の喋り方、変ーと挑発
肆:そのた
下弐
528 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/29(月) 21:11:41.28 ID:OJMoksoE0
参
529 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/29(月) 21:13:53.29 ID:1xIfK9ESO
俺が加速してひとっ飛びですよ 安価なんて
おまかせくださいな
踏んでたら弐
530 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/04/29(月) 22:22:38.96 ID:h4Lsm7x9o
>>529
太陽(そんなはずは、ない)
いや、誰だって弱点がないなんてはずがない。生物ならば必ず弱点がある。それは鬼だって変わらないはずだ。
あの腕の鱗は見せかけだった、と言う訳でもないんだろう。だが、全身の鱗よりも少し柔らかいのか?……このまま頸を狙ったとて斬れるはずもない。まずは弱点を……!
太陽(止まるな、滑るんだ、駆け抜けろ)
ヒュオオオオオッ
氷の呼吸 参ノ型
瓦解氷消
ひゅしょあぁぁぁっ
太陽(全身を斬りつける!柔らかいところがあればこれで───!?)
続けて聞こえてきたのが金属音ばかりだ。
がぎぎぎぎぎんっ!
手が痺れるかと思った。少し感覚が麻痺して、体の自由が奪われる。目の奥がちかちかする……!
太陽(……なんだ、こいつ!全身かったぁ!)
義勇「……!」
見たことのない技を、水柱さまが使ったのを見た───まるで舞のようにくるりと回って、剣を鬼に向ける。やはり金属のような音がしたがそこまで来て鬼が少し距離を取った。
下弦の伍「……貴様」
義勇「確かに硬い。だが、何度も叩けばいずれ斬れる」
下弦の伍「正確に、同一箇所を、連続攻撃?」
下弦の伍「其のような真似、人には出来まい」
義勇「出来ないはずがない」
義勇(人はそのために鍛錬する)
義勇(人は大切な者のために鍛錬する)
義勇(それでもまだ足りなくて、だから届くように祈っていて───)
義勇「俺が鬼に負ける道理が存在しない」
下弦の伍「……ほう」
義勇「変わらないことだけに集中したお前に、変わっていく人間のことは分からない」
再び斬撃を聞いた。同時に鬼の顔はさらに歪んでいる。
下弦の伍「知ったような口を、戯れ言をほざくな」
義勇「お前にとっての戯れ言は、俺達の真実なんだよ」
太陽「!」
義勇「東雲、やれるな」
太陽(ですから突然無茶なことを言わないでください、水柱さま!?うーんうーん)
太陽(同じ箇所を複数回、連続攻撃……??)
▼
壱:今の要領で、参ノ型を重ねる?
弐:火力が欲しい、弐ノ型を重ねる?
参:いや、いっそ新しい技を思いつけおれ!
肆:水柱さまと連携攻撃(予定)
伍:そのほか
下弐
531 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/29(月) 22:28:09.42 ID:OJMoksoE0
一発の斬撃で切れないなら一千発の斬撃を(ry
壱
532 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/30(火) 10:49:06.76 ID:657HTbS+O
壱
533 :
◆z.6vDABEMI
[saga sage]:2019/05/06(月) 23:40:58.86 ID:pG0BQuMyo
ごめんなさいです、今週はお休みです
534 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/05/13(月) 22:23:17.22 ID:cIXJHs3to
月曜日だ!やったー!
535 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/13(月) 22:26:39.09 ID:1XSsm4Ba0
やったー
536 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/05/13(月) 22:37:33.45 ID:cIXJHs3to
>>532
手数は参ノ型が一番多い!今のままじゃきっとこいつの硬い装甲は破れない!
だけど、そうだ、水柱さまはおれに賭けてくれた!掛けてくれた!
おれには出来る、絶対に出来る───そうだ、そのためにおれら!戦ってきたはずだ!
太陽「……はい!行けます!」
下弦の伍「まさか本気か?」
太陽「本気でなけりゃあ言葉にはしない!」
一歩、足を踏み出して。
二歩、その希望を叶えるために。
三歩、その希望に答えるために。
太陽「………おおっ!」
ヒュオオオ
氷の呼吸 参ノ型
下弦の伍「出来る筈が無い!」
血鬼術 金剛体
下弦の伍「此の躯は鋼の如く!貴様の刀で斬れるまい!」
太陽(斬る!!斬ってみせる!!)
正確に、間違いもなく、ひたすら、ひたすらにひたむきに。ただ一点、鬼を殺すために、鬼を切り刻むために、狂いなく。
同じ場所に重ねる。同じ斬撃を繰り返す。今までだって何度も練習してきた。練習はやがて本番で開花するものだ。
だからそう、今だって、何も変わらない。
───瓦解氷消・襲
がかいひょうしょう・かさね
537 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/05/13(月) 22:47:01.74 ID:cIXJHs3to
金属を擦り合わせたような音が何度も響きわたった。同時に、鬼の呻き声がする。さらに続けて、重いものが落ちる音。
太陽「……はっ……!?」
下弦の伍「ッ!? 何故、貴様……!」
やりきった。
と思った途端、全身が凍り付いたように動かなくなる。呼吸を深くしすぎたのか?ダメだ、体が動かない……!足に重い氷の塊でもくっついたみたいだ。
体を無理矢理ひねって振り返る。背後では驚いた鬼の両腕が斬られて落ち、その体にも確実に切り傷が付けられている。
これを?おれが……やった、できた?
充実感はあまりない。というよりも、現実味が余りにも無さすぎて呆然としてしまう。
義勇「まだ戦いは終わっていないぞ!」
太陽「!」はっ
義勇「しっかり息をしろ!お前は死にたいのか!」
義勇「まだ鬼は生きている!お前の殺したい鬼はまだ生きている!」
義勇「剣を握れ!お前が倒せ!」
義勇「お前はまだ何も成していない!」
太陽「っ、ぐうう……!」
息をして、息をして、息を……!
下弦の伍「舐めるなよ、小僧……ぁ?」
義勇「どうした?腕が生やせないのか?」
下弦の伍「ぐぅ、グォォォォ!」
息を!
太陽(っ、お、おおお!落ち着けおれ!肺に息を入れるんだ!体に血液を回せ!)
▼
壱 氷の呼吸を繰り返せ
弐 攻撃技以外を作っちゃいけないなんて作法はなかったはずだぜ
参 全身を稼働させろ
肆 水柱さま!力貸して!
伍 そのほか
下弐
538 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/13(月) 22:50:39.93 ID:1XSsm4Ba0
参
539 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/13(月) 22:57:02.28 ID:1mUUSt1SO
参
540 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/05/13(月) 23:10:30.91 ID:cIXJHs3to
>>539
脈動しろ!体を稼働させろ!おれがあいつを殺すために───いけるか?いや、行くんだ!
太陽「う、おおおお!」
がくがくと震える足をしゃんとして、なんとか立ち上がる。この戦いに幕を下ろすのはおれだ、そう水柱さまが思ってくれた。
期待に応えたい。水柱さまのことを信じたい。水柱さまを信じるおれを信じたい!
なんとか、さっきのをもう一回!
下弦の伍「腕が!何故生えぬ!」
太陽「おれの呼吸か……」
立ち上がれ。
立ち上がれ!
おれならやれる!おれなら倒せる!
下弦の伍「! 未だ動けるのか!」
太陽「おれの剣は、冷たく凍えるんだ」
下弦の伍「ぐうう!だが!未だ私の躯は金剛の如く!」
太陽「切り口が凍ったみたいにつるんとしてるだろ」
下弦の伍「私を斬る等と二度もさせん!」
太陽「それがおれが死ぬ気で完成させた、おれの、おれだけの、」
太陽「おれの剣だよ」
ヒュオオオオオオッ
下弦の伍「!」
薄く、軽い刃が、風の中を滑る。
もう見えている。こいつの体は、おれと同じくらいにボロボロなんだろう。
よし、死ね。
───瓦解氷消・襲
541 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/05/13(月) 23:20:12.59 ID:cIXJHs3to
下弦の伍「か……ッ!」
全身のほとんどに傷を付け、バラバラになったと言ってもよかった。しかし、肝心の頸が斬れなかった。斬り斬れなかった。
それだけが無念だ。
残りの力をありったけ使ってしまい、一時的な呼吸困難に陥った。全身がこわばり、氷に閉じこめられたかと錯覚するほど寒気がする。
ちゃんと着地をとれずに、どさっと倒れる。体を投げ出し、草木に四肢を委ねている状態だ。
目の奥にちりちりと光が見えた。あれは一等星なのか、それともおれの命の光なのか、何にしてもこれが見えるのはまずそうだ。
太陽「……ぁ……、か……は……」
義勇(この状態は恐らく続いて四十秒と言うところか)
義勇(だが、それは余りに長すぎる。体勢を整えるのに、四十秒は実践では使えない)
義勇(まあ一般隊士と考えれば上出来なのかもしれないな。俺が高い期待を抱いてどうするんだ)
義勇(その期待でまた人が死ぬ。そんな馬鹿なことを繰り返さないために、俺は……)
一方で、切り刻まれた鬼の方も虫の息だった。全身は再生があまりに遅く、未だ地面を這いずっていたらしい。
水柱さまはそれを一瞥し、情けと言わんばかりに一振りで頚を斬った。
そいつはあっさりと、そう、実にあっさりと……死んだ。何も説明をされるわけでもなく。
義勇(よくやった、とはまだ言わないぞ、東雲)
義勇(お前にはまだ序の口なのだから)
太陽「は……はぁーっ、はぁーっ……」
義勇(……徐々に正常な呼吸が戻りつつあるな。意外に頑丈で何よりだ)
▼
壱 これより暴れ鬼討伐を行う!
弐 水柱さまが暴れ鬼殺して休憩
参 太陽、夢を見る
肆 そのころの月柱さまは
伍 そのほか
下弐
542 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/13(月) 23:24:09.26 ID:1XSsm4Ba0
壱
543 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/13(月) 23:25:25.22 ID:KwsmNMKl0
参
544 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/14(火) 00:00:22.06 ID:VjZwnOCSO
水柱さまと協力して壱
545 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/05/20(月) 14:26:31.67 ID:GatyuWMBo
>>543
夢を、見た。
朧気な夢だった。
きれいな、きれいな赤い花を、母さんに渡した。それを見て、母さんはふっと笑うんだ。
遠くの方に妹もいて、母さんも笑っていて、
突然目の前が赤くなる。
「母さん」
呼ぶ声は届かない。
「 」
呼んだはずの妹がいない。
「……なに……なんなんだよ……」
遠くに見えるのは父さんだ。
えがおを浮かべた父さんが、母さんの胸のあいだを、うでで貫いていて、ちが、血が流レ、母さんは
(忘れるな)
(怒りを忘れるな)
(鬼を殺せ)
(許すな、鬼を許すな)
(お前はお前のなすべきことをなせ)
太陽「───母さん」
横たわっていた。
全身がびっしょりと汗に濡れていることが分かる。疲れているように見えるけれど、妙に体が軽くてその場から起きあがる。
あれ、おれはさっきまで……そうだ、鬼!振り返ると、水柱さまが凛とした表情で立っていた。
義勇「起きたか」
太陽「あ……すみません、おれ……」
義勇「目が覚めたなら良い。鬼は俺が斬った」
太陽「……すみませ」
義勇「謝るな。お前はなすべきことをなせ」
太陽「!」
▼
壱 「それより、暴れ鬼は……」
弐 「おれの妹の話なんですが」
参 「水柱さまはなぜ強いんですか?」
肆 そのた
下弐
546 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/20(月) 14:52:39.68 ID:MgpZxU4n0
2
547 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/20(月) 18:26:24.05 ID:zivCFl2SO
参
548 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/05/20(月) 19:20:21.74 ID:GatyuWMBo
>>547
太陽「あの!初歩的なことを聞いてもよい、でしょうがぼぼぼぼ」げほぉ
全然体力が戻ってないじゃないか!少し力んだだけで溺れそうになったので、まずは呼吸を取り戻すことを注意しながら問いを投げる。
義勇「なんだ」
太陽「水柱さまは、どうしてそんなに強いのですか?」
義勇「───」
ぴくり、と。
水柱さまの、ほとんど動かなかった表情が変わる。悲しみと言うよりも、複雑な何かを抱いて。
義勇「俺が強いはずはない」
太陽「」!?
義勇「俺は守るべきものを守れなかった。隊士としては既にそこで失格だ」
義勇「だからこそ、だからこそ、もう二度と失わぬように全力をかけているだけ……強いわけではない」
太陽「そんなこと、ないです」
義勇「……?」
太陽「その思いは、強いのではないでしょうか」
義勇「何をえらそうなことを」
太陽「お、おれはまじめに思ったことを言っているだけで……げほっ」
義勇「……」
ぽん、と頭を撫でられた。意外すぎる行動に、思わず言葉を失い、目を見開いて水柱さまを見上げる。その表情はやっぱり水のようにりりしく冷たいままだ。
義勇「よくやった。無理をさせてすまない」
太陽「!!」
義勇「鴉を飛ばした、隠が来るだろう。そいつ等に運んでもらい、医療屋敷まで戻れ」
太陽「え、だけど、えっと」
義勇「俺は逃げない。鬼は逃げる。だから蹴りは付ける」
▼
壱 いや、あの、おれも連れて行って……
弐 大人しく戻るか
参 そこに太陽の仲間が現れる!
(海怜、アカリ、イツミ、選抜の時のハゲのどれか)
肆 そのた
下弐
549 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/20(月) 19:29:07.58 ID:MgpZxU4n0
3
550 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/20(月) 19:59:55.36 ID:1onVccI90
参
551 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/05/27(月) 19:36:05.04 ID:H1GcEcO8o
へい 今から更新させていただきやす、親分
552 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/05/27(月) 20:05:54.55 ID:H1GcEcO8o
>>550
ずしゃああっ!
??「無事!?」
????「あまり無理をしないで欲しいのですが」
太陽「!」
そこには───
海怜「君は本当に……いや、今はそれどころじゃないか」
イツミ「……」
海怜だ!いつの間にか逞しくなっているなあ、体がむきむきじゃあないか!
……そして、隣にいるのは御薬袋 イツミ……薬学の知識があるんだったっけ……?
イツミ「……貴方は馬鹿なのですか」
太陽「!?」
イツミ「その体は無理をしています。速やかに後方に引くべき」
イツミ「後は我々に任せるのです」
太陽「だけど……」
海怜「そう言うことだよ。僕達も、そう捨てたものじゃないと思うけど?」
太陽「……」
義勇(東雲にこれ以上無理をさせれば大怪我しかねない)
義勇(そうなれば、再起不能になってしまうこともありうる……こいつらが来てくれて助かった)
海怜「まあ、そう言って諦める君でもないだろう」
海怜「水柱様、乙津が引きます。東雲 太陽をどうか連れて行っていただけませんか」
太陽「ちょ、海怜、何言って……!」
イツミ「本当に。馬鹿なのですか」
553 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/05/27(月) 20:13:11.03 ID:H1GcEcO8o
太陽「……いや……!」
行きたい。それは本心だ。おれの心は常に、鬼を殺すことだけを考えている。だが、確かに指摘の通り体が動かない。
息をするので今はいっぱいいっぱいだ。だと言うのに、海怜はおれの心を優先させてくれようとした。もちろん、無理を言っているのは分かっているだろう。
イツミがこれだから男は、とでも言わんばかりの顔でおれ達を見比べている。
太陽「……おれは……」
義勇「賛成できないな」
当然、待ったがかかる。まあ、当たり前だろう。この人は、きっとおれが死なないように考えてくれている。
厳しい瞳が海怜を貫いたが、海怜自身は全くダメージがなさそうだ。なんだ?この自信は。
海怜「いえ、実際俺が行くよりも、太陽が行く方がいいと思いますよ」
海怜「せめて、戦闘に出さずともその戦いを見せたい。……必ず俺が守りますだなんて言えたらいいんですけどね」
義勇「そこまでして、どうしてこいつを戦闘に連れ出す?」
海怜「彼には経験がまだ足りていない」
太陽「……!」
海怜「実践でしか積めない経験もあるでしょう。当然、死ぬ可能性もあるので俺の言っていることは無茶でしかないんですが」
海怜「……さて……太陽、お前はどうしたい?」
イツミ「乙津 海怜。そこまでにして。」
海怜「……」
イツミ「貴方には命を守ると言う言葉が分からないのですか」
イツミ「鬼殺隊は殺し合い舞台ではない」
▼
壱:行くよ。おれは行く
弐:だめだよ海怜、気持ちは分かるけど
参:せめて戦闘が終わるまではここにいます
肆:そのた
下弐
554 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/27(月) 20:51:09.66 ID:QE/0ezzSO
どぉりゃアアアア!!!
天空より加速しに出でし読者のお通りじゃあアアア!!
安価なら壱
555 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/28(火) 15:10:03.65 ID:p09gTmIf0
4
では離れた少しでも安全なとこから戦いを見せてもらう
さすがに近くで見るのは犬死だ
556 :
◆z.6vDABEMI
[saga sage]:2019/06/03(月) 23:20:48.38 ID:9DRFVaA0O
申し訳ない!明日には必ず!
557 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/03(月) 23:30:48.42 ID:OK/fLhpp0
致し方なし
558 :
◆z.6vDABEMI
[saga sage]:2019/06/04(火) 19:31:45.13 ID:5sOQNMTvo
それでは貴方の物語を進めましょう
559 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/04(火) 19:39:04.72 ID:5sOQNMTvo
>>555
太陽「気持ちは……うれしい、おれも鬼は絶対に滅したい」
海怜「それなら」
太陽「だけど、このまま行っても確かに俺は荷物になるだろう。さすがに近くに寄れば犬死にだ」
太陽「だから……離れた場所から、安全なところであるときちんと確認して、そこから皆を見守りたい、です」
義勇「……乙津、責任は取れるんだな?」
海怜「何かあったのなら、俺の腹なり首なりなんとでも」
太陽「……、……!」
どうして。どうして海怜は、そこまで俺に。
まっすぐな瞳に、とうとう水柱さまは言葉を無くし、しばらく悩んでからこくりとうなずいた。
義勇「いいだろう。東雲、その辺りで眺めていればいい」
義勇「お前が俺を見たところで、得るものなどないと思うがな」
太陽「……っ」
水柱さまは。……義勇さまは。
どうしてそんな寂しそうな顔をして、自分を蔑むのだろう。
瞳の奥はいやに暗くて、夜明け前の一番暗い空のような色をしていた。吸い込まれてしまいそうで、落ちていきそうで怖かった。
イツミ「言葉で説得しても無駄ですか」
はぁ、とため息を付いたイツミは、
イツミ「仕方がないです。貴方には知性を期待したのですが」
となぜか馬鹿にされた。
義勇「行くぞ、他の隊員がもう保たない」
560 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/04(火) 19:52:07.94 ID:5sOQNMTvo
全速力よりも少し遅い速度で、おれは隊員の列についていく。実際、走るのでやっとで、これで戦えばすぐさま骨は全て砕けるだろうと思えた。
これより向かうは、もう一方、すなわち暴れ鬼の退治だ。
隊員達が押さえ込むと言ったが、水柱さまは何かいやな胸騒ぎがしたようで、やはりそちらを見に行くと頑固に言い続ける。
その脇を固めるべく、付近にいた剣士が召集され、それがイツミと海怜だった。
………と言うことのようだ。
直後、何かが弾け飛んできて、おれ達のすぐそばに落ちた。
太陽「あ……ッ!」
確か、暴れ鬼を押さえ込むと言っていた、隊員……のはずだ。顔がぼこぼこになり、一瞥しただけで同一人物かどうか分からない程になっている。
戦えないことで、突然全身に恐怖がよみがえった。力のない赤子のような声を上げ、おれは震えてしまう。けれど、
義勇「暴れ鬼!お前の暴虐もこれまでだ!」
海怜「!」
イツミ「散開します」
水柱さまが吼えて鬼の注意を引き、ふたりは左右に散っていく。おれとの距離はかなり離れているところで戦闘が開始したようで、鬼はおれのことを知覚すらしていない。
暴れ鬼はまるで相撲取りみたいな大柄の姿で、両腕は皮膚が消え失せたのか、筋骨を剥き出しにしている。なんだ、あれは。
暴れ鬼「失セロ、弱者にハ、興味ナい」
義勇「少なくとも俺はお前には負けん」
暴れ鬼「……!」
▼
義勇達の判定
↓3までのコンマで判定
目標120以上
561 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/04(火) 20:54:53.58 ID:CiB0lebd0
ちょい
562 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/04(火) 21:36:01.28 ID:e/gzGONw0
ぬ
563 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/04(火) 21:43:03.79 ID:e/gzGONw0
今一度
ダメなら安価下
564 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/04(火) 22:13:53.13 ID:uNdcvSDLO
一応
565 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/10(月) 21:40:03.52 ID:hDLUsMoyo
暴れ鬼「ォォォォォ!」
太陽(素早い!?)
相撲取りもそうだけど、あの巨体でよくもあんなにすごい早さで動けるものだなと驚く。そしてその通り、暴れ鬼も素早くその場から動いた。
が。
フォォオォ
海怜「……っ!」
パァァァァァァァァァァ
イツミ「……」
暴れ鬼「!」
義勇「前しか見えないのは鬼の悪癖か?直せ。直せるなら鬼にはならんだろうが」
がががががががっ!!
示し合わせた剣戟が降り注ぐ。暴れ鬼もこれにはたじたじらしい、呻きながら数歩下がった。
義勇「ほう、下がるのか」
暴れ鬼「うぐ……!」
義勇「弱い人間には興味がないんじゃなかったのか」
暴れ鬼「貴様ァ!舐めるナよ!!」
義勇「そうだ、それでいい」
そして───
まるで、息をするように極めて静かな姿勢で、それは放たれた。
義勇(水の呼吸 拾壱ノ型)
【凪】
暴れ鬼「……は?」
566 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/10(月) 21:47:24.25 ID:hDLUsMoyo
無拍子。
息をするかのように自然で、歩くのと同じくらい普通で、何もおかしい動きなど無かった。
それが、どうして。
暴れ鬼「あ、がぁぁっ!?」ぼろぼろぼろ
義勇「……」
海怜「す、すごい……」
太陽(見えなかった)
鬼が細切れになっている。いったい、あの瞬間に何度切りつければああなる?
ほろほろと崩れていくその姿を見てもなお、水柱さまは顔色を崩さない。むしろまだ警戒しているようにすら見える。
なぜ?
暴れ鬼「ぁ、あああァァあ!!」
びゅんっ!
イツミ「! 貴様」
太陽(苦し紛れにイツミに特攻を!)
義勇(だろうと思ったよ。お前は)
太陽(!?)
斬
暴れ鬼「……」さらさらさら……
イツミ「! ………………」へたん
義勇「無事か」
イツミ「あ。は……はい」
義勇「あいつは最後に、お前を道連れにしようとしていた」
義勇「女だからだ。弱いからでも、油断していたからでもない。お前が女だから」
義勇「現実はこうも不愉快で、何とも訳の分からない道理が成り立っている。だが、お前なら打開できるだろう、御薬袋」
イツミ「……はい」
太陽(すごい、そんなことまで分かるのか)
義勇「……これで、終わったな」
義勇「お前達は勝手に戻るといい。別な柱に泣きついてもいいと思うが」
義勇「……」
太陽(睨まれている)
▼
壱:大人しく治療に……
弐:お師匠さまのとこに……
参:別な柱紹介してください
肆:そのた
下弐
567 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/10(月) 21:49:19.12 ID:qLP64K2Z0
弐
568 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/10(月) 21:49:57.54 ID:8o+AerfJ0
2
569 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/10(月) 22:46:47.68 ID:hDLUsMoyo
>>568
ひいひい言っているおれは、しかし隠によって別なところに連れて行かれるのであった。
ちなみに、水柱さまは
義勇「……俺は他の柱とは違う」
そう言い残したんだとか。
満月「だからってぼくの機嫌が治るわけないんだよー」ぶにー
太陽「そうなんですけれど、師匠……」
満月「無理しちゃダメだよって言ったのに、無理するのが悪いんじゃない!」
と言うわけで、ここは月柱、満月ももとせ……お師匠さまのお家である。
太陽「うう、すみません……」
満月「だけど、下弦の鬼を倒したって?えらいえらい」なでなで
太陽「……あ、ありがとうございます」
ええい、この人は男だぞ。どんなに愛らしい容姿をしていても、男だし、柱だし、お師匠さまだぞ。鬼の前では強いんだぞ。
だっていうのに、頭を撫でられるとどうも調子が出ない。力が抜けて、フニャフニャになってしまう。
満月「うん、とりあえずそこは良しとしましょう」
満月「それで、全集中・常中も出来るようになったし、きみも強くなったってわけか!」
満月「えらいぞー、えらいえらい!」なでなで
太陽「うひひ……」
満月「だけど」
太陽「」びくっ
満月「ぼくの言葉を無視したのはだめー!ちゃんとけがが治るまでは、ぼくから稽古は付けないからね!」
満月「……あ、そうそう。一緒に来てた、乙津くんだっけ?」
太陽「あ、はい、海怜がなにか……」
満月「しばらく彼と稽古するね♡」
太陽「」ぴしっ
お、お師匠さまを取られる。やばい、まずい、どうにかしなければ。
▼
壱:もう治りましたぁぁぁ!(やせ我慢)
弐:焦らず治るまで我慢だ
参:治るまでに何か出来ることをやろう
肆:そのた
下弐
570 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/10(月) 22:49:43.88 ID:qLP64K2Z0
3
571 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/10(月) 22:55:55.74 ID:8o+AerfJ0
3
572 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/17(月) 20:21:54.88 ID:ctgzyMJjo
今週の鬼滅も面白かった
来週の鬼滅はもっと面白くなるだろう
573 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/17(月) 20:30:50.03 ID:VGYSkmY60
正直言って最高だな、鬼滅の刃。今の作品で一番好き
574 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/17(月) 20:30:55.53 ID:ctgzyMJjo
>>571
四の五の言ってる場合じゃない。治るまでに何か出来ることを探すんだ。ぼーっとして、過ごしているようでは強くなれないぞ、おれ!
なんせ新免さんはケガしてるのに腕立て伏せしてたらしいし、海怜だって素振りしてたし?
……自分の無理を、おれはまだ理解していないんじゃないか?
満月「まずは歩行から見直したらいいんじゃないの?」
晩になって、ぷんすか顔のままだったがお師匠さまはそう言った。なんでも、この月屋敷の周囲は非常に広く、姿勢を正したまま歩くと疲れるらしい。
具体的にどのくらい広いかは分からなかった。
分からなかったが広いことは分かった。
満月「すずめ君ちの倍はあると思うよ」
太陽「エェーッ」ぎょえええん
そうなったのなら、まあ、そうだよな。歩かせられるハメになる。海怜はついてこないで!と念押しして、夜の中を歩くことにした。
まずは基礎体力向上だ、夜は短し歩けよ剣士。
満月「おはよう、太陽くん?」
太陽「おざまーす……」ぼろぼろり
……即落ちだった。
なにが、って。おれの体が治ってないのがひとつ、本当に周回が長かったのがひとつ、ついでに道がでこぼこだったりしたのがひとつ、道ですら無い場所があったのがひとつ。
数えるといやになるくらいの障害と関門があり、それぞれがおれをいやに歓迎してくれたのだった。あはは、はは、は……。
ばたん。
満月「限界、知れそう?」
太陽「もう、ちょっと……で……」
満月「……そ。でもあれだよ?ちゃんとケガ治してね?そっちが先だからね?」
太陽「は、はい……」
昼間は体の痛みに唸りまくっていた。部屋で寝転がっていると、ふと誰かの気配がする。
ちょこん
少女「……」
太陽「……?」
はて。誰だろう。
そう思った次の瞬間には、おれは寝落ちしていたのだった。
575 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/17(月) 20:37:27.00 ID:ctgzyMJjo
次の夜。月が妙に輝いている日だった。
屋敷の人間のことを後目に、今日もおれは走ろう。ケガを治しながら、かつ体力向上もしつつ、自分の弱さに勝つ。これが目標だ。
最初の道はいいんだ、大きくて広くて、視界もとても良い。
だけど、だんだんそれが暗くなってくる。
太陽「……」すたすたすた
ただの徒歩で何の訓練になるのだろうと思っていたが、それが思った以上だ。
ひとりで、ゆっくりと夜の闇を歩くのは存外恐ろしい。
それはまるで、おれの心が作り出した怪物のようで……。
心のニセ太陽『ふわっはっはあ!おれは天才だー!』
ぶんしゃかぶんしゃか(※剣を振り回す音)
太陽(何だあいつ……)
ニセ太陽『ふわっはっはあ!出たなおれ!』
太陽(何だあいつ……)
ニセ太陽『おれと勝負するんだ、おれ!』
太陽(ややこしいな……)
ニセ太陽『徒歩なんてまどろっこしいと思っているんだろう?もっと早くなりたい、もっと強くなりたいんだろう?』
『もっと斬りたいんだろう?』
太陽(……)
▼
壱:斬るのは目的ではない
弐:斬らなければ死ぬ
参:強くなりたいだけだ
肆: もっと速く速く斬りたい
伍:そのた
下弐
576 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/17(月) 20:54:23.59 ID:WLB2TGWT0
4
577 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/17(月) 21:25:31.38 ID:VGYSkmY60
肆
578 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/17(月) 23:23:47.76 ID:ctgzyMJjo
>>577
太陽(そうだ)
ああ、おれには、速さが足りないんだろう。水柱さまの技には心を踊らされた。海怜の動きには付いていけなかったし、陽炎にだってこてんぱんにされた。
おれはもっと速くなりたい。早く、速く鬼を斬りたいんだ。
ニセ太陽『おォー……いいねえ、自分のやりたいこと、よぉく分かってるじゃあないか』
太陽「おまえは……なんなんだ?」
ニセ太陽『おまえが徒歩で歩く間に、禅問答で生み出した幻影だろう?』
太陽「……」
脳裏にさまざま過る言葉が。色々思ってしまうことが。偽物のおれという形で、おれの脳内でしゃべっているだけなんだ。分かってる。
そいつはおれのことをよく分かっていて、おれの足りない物も必要なことも全て見抜いている。ああ、うん、だからおれは。
太陽「鬼を、滅したい。誰よりも速く、速く」
ニセ太陽『そう来なくっちゃなぁ』
にやぁ、と。
いやに不気味にやつは笑った。
ニセ太陽『あのオシショーサマの言葉も存外嘘じゃないぜ、体力がなければおれも動けない』
太陽「分かってる。だからこうして歩いてるんだろ」
ニセ太陽『ケガが回復するまで?』
太陽「……」
ニセ太陽『おまえ、もう分かってるんじゃないか?ケガが治りにくい本当の理由』
太陽「……そんな、もの」
ニセ太陽『じゃあおれが当ててやるよ!』
太陽「ッ!」
▼今の太陽がまだ強くなりきれない理由は……
壱:氷の呼吸はまだ未完成だから
弐:基礎的な訓練が自己流だったから
参:実戦経験に乏しく命の張り合いを知らないから
肆:守るべきものがあることの意味を知らないから
伍:そのほか(○○だから)
下弐
579 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/17(月) 23:33:27.35 ID:VGYSkmY60
壱
580 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/17(月) 23:35:44.86 ID:WLB2TGWT0
伍
まだ鬼への憎しみと殺意が足りないから
581 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/24(月) 19:26:31.74 ID:FMuxIDkqo
闇落ちルート不可避では……?
582 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/24(月) 19:34:59.49 ID:FMuxIDkqo
>>580
ニセ太陽『足りないからだ』
太陽「つ……」
ニセ太陽『才能?能力?体力?確かに足りない、おまえは何にも、なあんにも足りてない……が!』
ニセ太陽『何よりも。足りないんだよ、鬼への憎しみが、鬼への怒りが、殺意がなァ!』
太陽「それ、は」
ニセ太陽『それなら、どうして鬼を斬れなかった?』
太陽「───」
即答、出来ない。
ニセ太陽『海怜と最初に共闘した時もそうだよな、陽炎だって、つい数日前の下弦だってそうだ』
ニセ太陽『おまえは鬼を斬れなかった。斬り切れていなかった』
太陽「……」
重い言葉がのしかかってくる。確かに、そうだ。おれは鬼を殺し、斬れていない。味方にも被害があるのに、だ。
なのにおればかりケガをして、足を引っ張ってばかりで。これじゃあ、家族の復讐をするどころではない。
母と妹を殺した、父へ……あの男へ、復讐を、すべての鬼を殺したいと願うが、それがまだ足りない!
ニセ太陽『思い出せ、おれ。おまえの家族を殺したのは誰だ』
太陽「……あれは、父親、で」
ニセ太陽『その父親は鬼だったんだよな?』
ニセ太陽『人の姿に化けて潜む鬼はひとりだけなんだよな?』
太陽「あ……」
ニセ太陽『なあ太陽、おまえの父親が鬼舞辻無惨だったことは確かなんだ』
ニセ太陽『だからおまえは無惨を殺さなければならない』
太陽「……そうだ、おれは、おれは……殺すんだ、あいつを」
ニセ太陽『それなら、おまえにはまだ足りないよなァ……覚悟も、憎しみも殺意も!』
さらに言葉が責め立てる。
583 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/24(月) 19:42:14.89 ID:FMuxIDkqo
ニセ太陽『本当にすべての鬼を殺したいのなら、なぜ負ける!なぜ無様な姿を見せる!』
ニセ太陽『心が人の体を成長させるんだ、太陽!おまえの気持ちはまだ足りない!』
ニセ太陽『そんな半端な覚悟で鬼に挑んでいるのか?中途半端に鬼への殺意を巡らせているんじゃないのか?』
太陽「おれは、おれは……」
ニセ太陽『鬼は殺せ。鬼全てを殺せ、悉くを、一切許すな』
太陽「……」
ニセ太陽『ほら、来るぞ。はぐれ鬼だ。ここが柱の屋敷とも知らず、ふらふらと歩いてきた鬼がいる』
ざっ……ざっ……
ニセ太陽『足音がする。人ではない。分かるな?』
ざっ……
その顔を見る───
太陽「あ……」
▼相手はだーれだ?名前で太陽との関係が変わりまっせ。
壱:雷夢(らいむ)
弐:日々季(ひびき)
参:日取(ひとり)
肆:連子(れんこ)
下弐
584 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/24(月) 19:42:52.10 ID:+7X+Wty50
弐
585 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/24(月) 20:25:32.09 ID:k2eCJPfWO
4
586 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/06/24(月) 20:40:35.00 ID:FMuxIDkqo
>>585
太陽「! 連子!」
ああ、見間違えるはずがない。
連子だ。
近所のきぬ江おばさんのところの、娘さんだ。いつも笑顔で、とても愛らしくて、少しだけ大人っぽくって……。
実は、ほんの少しだけ好きだったなんて、いえないから黙って置いてくれないか。おれの心なんて、ここに持ってきてはいけないんだから。
太陽「連子、連子!おれだよ、太陽!分かるか?」
連子「……東雲、くん」
太陽「そうだ、おれだ!」
連子「う、ああ……来ないで、私ね、私……だめなの」
お母さんを食べてしまったの。
太陽「……は……?」
連子「違うのよ、お母さんに……うう、そんなひどいこと、したく、なかったのに……」
連子「ちょっと力を入れたら……首がぐにゃっ、って……あう、う……が……」
びきびきびきっ
太陽「れん、こ」
連子「私が殺した、殺した殺したコロシタァァアアア!」
太陽「つ、」
何か言おうとして、それが出るより早く突き飛ばされた。全身に痛みが走り、息も上手くできない。尻餅を付いてしまった。
何とか立ち上がり、ゆっくり視線を上げてその姿をきちんと正視する。
焦点の合わない目が金色に輝いて闇夜で光り、おれを見つめた。
太陽「……ぁあ……」
手遅れだ。救いの道はひとつしかない。
▼
壱:慈悲の剣を振るった(踏みとどまる)
弐:鬼は殺すべきと決意した(怒りを糧にする)
参:鬼舞辻を恨んだ(憎しみの力を糧にする)
肆:おれには斬れないよ(コンマ次第で???)
下弐
587 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/24(月) 21:02:09.77 ID:+7X+Wty50
弐
588 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/06/24(月) 21:03:08.92 ID:D6CYIhlmo
弐
589 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/07/02(火) 00:01:28.45 ID:EvGRSiMlo
>>588
殺すべきだ。
慈悲もなく、一切を許さず、殺すべきだ。
だって鬼だから。
許すまじ。
鬼舞辻無惨が、鬼など作らなければ、こんなことにはならないのに。
許すまじ。
鬼がこの世にいなければ良いのに。
許すまじ。
鬼がいるから、このような負の連鎖が続くのだ。
ならばおれは。
ヒュンッ
連子「た”」
濁った音が聞こえた。
おれの名前を呼んだ、そんな気がしたんだ。
いいや、気のせいだ───鬼はおれのことなど、呼ぶはずもない、と。そう言い聞かせて。
『 ありがとう 』
短く聞こえたその贖罪を背負った感謝の言葉に、ぎりっと歯を食いしばった。
鬼が、いるから。鬼がいるから悲しみは生まれ、人は死に、こうして不幸が生まれるのだ。
ならばおれは何をする。何のために剣士になったのだ。おれに足りないのはなんだ?
ニセ太陽『そうだ、おまえに足りないのは怒りだ。』
ニセ太陽『怒りは人を突き動かす、怒りで人はいくらでも稼働できる』
ニセ太陽『己を燃やせ、鬼へ怒れ!』
太陽「!」
ニセ太陽『おまえには怒りと言う原動力が足りないのだ!だから動きも遅い!怪我も治らない!』
ニセ太陽『魂を焼べて光の如く駆け抜けるんだ、東雲太陽!!』
太陽「───うん」
分かった。いや、もしかしたら分かっていたのかも知れない。
590 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/07/02(火) 00:16:18.88 ID:EvGRSiMlo
◆
翌日。
満月「おはよ……、……?」
太陽「おはようございます、お師匠さま」
満月「何かした?」
太陽「え?」
満月「今までと、明らかに様子が違うからさ。そんなの、ほんの数日で出来る事じゃない」
満月「……きみ、いったい何をしたらそんな……」
太陽「うーん、何というか……覚悟した、んです」
満月「……」
満月「覚悟は大切だよ。だけど、自分を大切にしてね」
太陽「はい」
昨日よりもずいぶん、力強い回答を出来ているなと自分でも思った。
なんだか、頭がすっきりとした。自分がやるべき事がはっきりとして、もう迷いが一切なくなった。
そうだ、簡単なことだった。鬼は殺す。そうだ、なんて当たり前のことを悩んでいたのだ。
満月「……」
太陽「あ、お師匠さま」
満月「ん、え?」
太陽「まだ簡単に怪我が治ったとも言えないのですが、昨日よりもかなり良くなりました」
太陽「おれは何をしたらいいですか?」
満月「ええ……?寝てて……?」
▼
壱:ごはんを作ろう
弐:新たな柱がなぜかくるぞ!
参:最後の同期がくるぞや
肆:満月にめちゃくちゃ探り入れられる
伍:そのた
下弐
591 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/07/02(火) 01:07:58.01 ID:9SMg8q5X0
伍、師匠に言われた通りに寝る
592 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/07/02(火) 05:01:16.96 ID:efFISSCe0
参
593 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/07/15(月) 17:35:28.93 ID:rVkoKiojO
禰豆子かわいいよ禰豆子
594 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/07/15(月) 17:43:31.44 ID:rVkoKiojO
>>592
太陽「よし」
あんなに引いた顔のお師匠さまに「寝てて……?」などと言われては、あちこち歩き回るわけにも行かないか。そう言う訳なので、おれは寝ることにする。
晩の出来事が頭をよぎった。あれは夢だったのか、それとも。手の感触は絶妙にまだ残っていて、いやな感じがする。
鬼は元は人だった。
分かっちゃいるけど。だけど鬼は鬼だ。人に害を成すなら、おれから何かを奪うなら、おれはそれを許さないし、ひたすらに斬るだけだ。
だけど今は、体もがたがただし、何よりもぐだぐだだし、ゆっくり眠るしかないだろうなと思うのだ。
???「おぅい、おぅい、君」
そんなことしている内に、夢見心地のおれを呼ぶ声がする。
なんかあつい。そしてなんか近い。
???「おぅい、よもや念仏をあげねばならん体になったか?」
太陽「いやまだ死んでません!!」
がばっ、と起きると、そこには。
坊主「おお、あの時の坊主!生きていたか!」
太陽(坊主はあんたね!?)
前に会っただけの男がいた。隊服は乱して袈裟懸けに着ているがいいのか。いいんだ?
595 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/07/15(月) 17:50:18.59 ID:rVkoKiojO
坊主「ぬははは、まあそう怒るでない」
太陽「怒ってはないです!なんでここに……」
坊主「うむ。いやな、最近の鬼の活発化に伴い、隊員達の体力向上を目的とし、あちこちに走り回らされておる」
坊主「というのは建前で、本当のところは剣柱があまりにも厳しいので逃げてきた」
からっと笑いながら彼はそう言う。なんだこいつ。
坊主「俺も寺から逃げ出し鬼狩りに身をやつした以上は、隊の方針に従わねばならんのだがな」
太陽「!?」
坊主「ぬはははは!念仏で鬼は救えんのよ!」
またしても笑っている。なんて言うか、ずっと笑っている。最初に見た時はこんな人だとは思わなかったけれど、そうなのか……。
坊主「して時に坊主」
太陽「坊主はあなたでしょ、えっと……」
坊主「俺のことは【三鷹】と呼ぶといい」
太陽「……みたかさん?」
坊主「本名ではないが」
太陽「本名教えてくださいよ」
▼やりにくい男、三鷹襲来。
壱:いや、本名教えてくださいよ
弐:ナニしに来たんですか
参:剣柱そんなにヤバいんですか
肆:お師匠さまが知ったら怒りますよ
伍:そのた
下弐
596 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/07/15(月) 17:56:09.70 ID:mQ0oXgpL0
3
597 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/07/16(火) 00:10:04.34 ID:eYTcqq6SO
伍:「俺は坊主じゃない、東雲太陽だ」
598 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/08/21(水) 08:44:55.70 ID:OZAUFjVIo
長期休暇をいただいていました。申し訳ない。再開します。
599 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/08/21(水) 09:04:37.83 ID:OZAUFjVIo
>>597
三鷹「ぬはははは!」
太陽「いやそもそも!」
三鷹「無……?」
太陽「おれは坊主じゃない、東雲 太陽だ」
三鷹「知っているぞ?」
太陽「」
……ああ、やりにくい、本当にやりにくい!何なんだこの人!だいたい笑ってはいるが、目がぜんぜん笑ってないんだよなあ!絶対嘘付いてるひとの顔だよこれ!
海怜も確かに嘘付いてんなあって顔してることあるけど、ここまで露骨じゃないし!
三鷹「真っ先にあの水の小僧か、東雲、君が死ぬのかと思っていたが───ふむ」
三鷹「俺の目も曇ったものよな。最初に死んだのはあの金髪だったとは」
太陽「……ッ」
不意にそんなことを言われて一瞬言葉が詰まる。夜拌のことだ。
救えなかった。いや、そもそもおれ達が出会った時には死んでいた。
あの時。試練を終えた直後。海怜や新免さんではなく、もし夜拌と一緒に来ていたのなら。
そんなことを考えないことはない。
三鷹「人の命は元より虚ろな夢のようなもの、ましてや鬼と戦う我々は風の前の塵と等しいのかもしれんな」
太陽「……」
三鷹「おお怖い。そんな目で俺を睨むな」
太陽「だって、あなたは!」
三鷹「命を軽んじている訳ではないぞ」
太陽「?!」
三鷹「死ねば皆肉の袋、立場や境遇は一切関係がない」
三鷹「あの男。金髪の男……そこそこ期待された男だったそうだ。俺には意味のないことだがな」
太陽「それを言いに来てなんだって言うんですか、と言うかそれ本命じゃないんでしょう」
先程の言葉でおれの機嫌を損ねたのが分かったのか、三鷹……さん、は真剣な顔をする。
三鷹「おう、君。今朝も見たが何か覚悟を決めた顔をしていたな。アレはなんだ?」
太陽「あなたには関係ないでしょう」
三鷹「そうだ、饅頭の早食いで試合をするか!」
……なんで?
▼
壱:やってやろうじゃねぇか!
弐:舐めてんのか斬るぞ
参:お師匠さまにチクろう
肆:そのた
下弐
600 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/21(水) 19:20:48.79 ID:BPnFC60SO
まんじゅうこわい
601 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/21(水) 20:16:36.77 ID:/dg5bL92O
1
602 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/09/30(月) 21:15:51.82 ID:zppPHfBAo
>>601
太陽「やってやりますよ!」
三鷹「おお、そう来なくちゃなぁ!」
満月「ってふたりとも何してるのー!だから太陽くんは寝ててって言っ……ええ……?」
それから数分後、お師匠さまが見たものは、おれが三鷹さんに圧勝しているところだった。
なんだろうか、体中に力が漲ってきている気さえする。呼吸のおかげか、それとも饅頭の力かは分からなかった。
三鷹「ぬははは!まさか負けるとはな!」
満月「きみも大概だねぇ三鷹くん。人の家に来たかと思えば饅頭の食べ合いで戦うなんてとんでもないよ」
満月「ほんと……ふふっ、きみ達面白すぎ!ははっ!」
太陽「あは……あははは!ははは!」
満月「まあそれはそれとして言いつけ守らない太陽くんは嫌い」
太陽「はっ!!???」
お師匠さまは悲しそうな顔をしていたが、それと同じくらい楽しそうに笑いながら部屋を去り、三鷹さんは苦しそうな顔でその辺に転がっていたのだった。
三鷹「君、怪我が治ったらどうだ、ひと仕合」
太陽「いえ、結構です……」
お師匠さまの顔を見たら、おれまで悲しくなってきてしまった。
ああ、はやく怪我を治さないと。そして、戦線に復帰するんだ。早く早く早く!
焦っても仕方がないが、それでも気持ちは空回りするばかりだった。
◆
603 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/09/30(月) 21:24:26.42 ID:zppPHfBAo
◆
それからさらに数日。
海怜「太陽」
太陽「おれは元気です!」
どむん
太陽「お”っ」
三鷹「ぬはははは!」(頭突き)
太陽「……け”ん”き”て”す”」だばば
海怜「滝汗かいてるけど、本当に大丈夫?」
と言うわけで、全快したと言い張っておれは稽古場に現れた。
おれの言葉を海怜が補足するようにあれこれ語り、三鷹さんがおれをほめそやし、そうしてお師匠さまはやっとおれの稽古を認めてくれたのだった。
いまだ膨れっ面ではあったが、それでもおれを見てくれるのは有り難いことこの上ない。
太陽「お、お願いします!」
満月「全く、きみってばほんっと強がりさんなんだから……でも、いっか」
太陽「へっ?」
満月「ぼくの家の『まわり』をぐるっと、毎日歩いてたでしょ?体力は付いたんじゃないかなぁ?」
海怜「えっ、毎日?」
満月「うん、毎日♡」
海怜「……」じとーり
太陽「はぁ……いえ、そのくらいしか出来ることがありませんでしたから……」
海怜「太陽、君って結構純粋だよな。あれを毎日ぐるっと回ってたんでしょ……?」
太陽「え?ああ、うん……?」
▼
壱:まずは基礎だ!すぶりすぶり
弐:とにかく任務だ!鬼は殺すぞ
参:座禅が大事ってお師匠さまが
肆:そのた
下弐
604 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/09/30(月) 21:57:34.52 ID:evjiVIngo
参
605 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/01(火) 01:37:22.36 ID:Hw3pwUKSO
お師匠さまが言うなら参
606 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/10/01(火) 20:11:26.03 ID:Agoe4UUvo
次の行動で使うのでコンマ判定だけさせてください
↓1
40以下で炎柱になんかおきる
↓2
55以上あると血柱がブチ切れている
↓3
90以上で下弦戦前に水柱のトラウマ克服イベント
607 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/01(火) 20:19:11.25 ID:Pm22eUTVO
はあ
608 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/01(火) 23:13:32.72 ID:0DtDPFsM0
ぬ
609 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/10/01(火) 23:57:43.64 ID:YC64QduQO
ほ
610 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/11/11(月) 21:20:15.39 ID:wQCG6AL9o
方針が固まったのでやっていきます
611 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/11/11(月) 21:30:10.02 ID:wQCG6AL9o
>>605
満月「でもね太陽くん、大切なのは心を乱さないことだよ」
お師匠さまはそう言った。
戦いの時に必要なのは、燃える心と、それを維持することだ。動揺したり、油断しては行けない。相手は人間とは違う存在なのだから。
当然、おれ達は人間なので、時として心が乱されたり、驚いたり、悲しんでしまうこともある。そう言ったものが力になるときと、ならないときがあるのだと言うことだ。
怒りを力にして前に進むのはいい。だけど、怒りすぎては道が見えなくなってしまう。
そのために心を自ら動かさなければ行けないこともある。
故に!座禅!
太陽「……」ぽくぽくぽく
三鷹「ちぇいっ!」
向こう側では立ち会い稽古らしい。三鷹さんと海怜が模擬戦として戦っている。
しゅば、と空気を裂く音がした。三鷹さんはどうも型らしい型を持っていないように見える。刀(今は木刀だが)を様々な使い方をして振り回すのだ。
時に斧のように、時に槍のように、時には矢のように。けれどそのどれもが自由自在で、変幻の型を持っているはずの海怜も圧されている。
かちんかちんとかち合う木刀の音はなんだか心地よく、座禅も上手く行きそうな予感がする。
なにもなければ。
どだばぁんっ!
満月「もー、なに!?静かに扉を開けられないの!?」
三鷹「ぬははは!扉を開けると言うより、突き破ってきおったか!」
───幸せが壊れる時は、底知れぬ冷たさが不意に訪れる───
鎹烏「カァー!伝令!伝令ー!」
満月「……鎹烏?」
612 :
◆z.6vDABEMI
[saga]:2019/11/11(月) 21:46:31.73 ID:wQCG6AL9o
足に着いている手紙を取り、月柱さまはそれに丁寧に目を通して……。
ぱさ、と手紙を落とした。
満月「まつりちゃん……」
太陽「え?」
その手紙を恐る恐る拾い、読み上げた。
『任務中、複数の隊士が下弦の壱と接触』
『隊士を統率していた炎柱(えんばしら)、赤銅まつりによって下弦の壱を撃破』
『その後、上弦の肆が炎柱に接近。上弦には瀕死の重傷を与えたものの、炎柱は死亡。隊士も複数名が四肢欠損の重傷』
『後詰めとして付近にいた水柱、冨岡義勇が向かったが、上弦の伍は既に逃亡していた』
『水柱により付近の鬼は既に一掃済み。近隣住民には影響無し』
『また、ほぼ同時刻に上弦の陸も別場所に出現。剣柱、日比龍士が左足を失い重傷』
太陽「な……え、炎柱が……!?」
海怜「それに、剣柱様まで」
三鷹「剣柱……」
水柱さまが言っていた、数少ない炎柱。それが、おれの合うよりも前にいなくなってしまった。
そして、剣柱だ。三鷹さんが、ここに来る前に世話になっていたと言う人。その人まで怪我を……。
三鷹「龍士……クソ、俺がもっと早く動いていれば……」
太陽「……続きがあります」
『柱二名の脱落は非常に隊にとっても大きな損失である』
『炎柱の弔いと、これからの隊についての方針を固めるため』
『柱合会議を開く』
満月「……ごめん、すぐに発たなきゃ」
▼
壱:おれも行きます!行かせてください
弐:ちゅうごうかいぎってなんでっしゃろ
参:炎柱と剣柱について
肆:上弦の鬼について
伍:そのた
下弐
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