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ドラえもん「ダンガンロンパ?」

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304 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/03/18(日) 01:05:24.90 ID:Pe+kUqiB0

苗木「……じゃ、じゃあ霧切さんを探そうか」

ドラえもん「霧切さんなら事情を言えば手伝ってくれると思うよ」

のび太「うん、ぼくもそう思う」

苗木(なにこの信頼の差)


  ― 苗木の部屋 ―


のび太「で、どうすればいいの?」

ドラえもん「まずは反応の差をまとめてみようか」


・好意的
舞園、不二咲

・協力はしてくれそう
石丸、大和田、霧切

・微妙(だけどノリはいいので持って行き方次第)
朝日奈、大神

・無理
その他


苗木「うーん、まあ協力してくれる人をいれれば半分いるだけいいと思おうかな。
    とりあえず霧切さんには僕が事情を説明するから、後で集まって話し合いしよう」

ドラえもん「じゃあ他のみんなに声をかけておくね」


こうして苗木の部屋に半数近くの人間が集まり対策会議を開くことになった。

305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/18(日) 01:13:34.01 ID:LsSYgtUXO
あらかじめ日記は使えないのかな
306 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/03/18(日) 01:14:49.62 ID:Pe+kUqiB0

ここまで。何度かお目汚しをしてしまい失礼しました。
もう五年くらいSS書いてるんだけど、今日は特別調子悪かったみたいです。

あと、前は自動でsaga入ってたのに今はなんでsageになってるんだろう
前から思ってるけどほんとフィルター邪魔ですよね。困る…
307 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/03/18(日) 01:18:17.85 ID:Pe+kUqiB0
>>305
確か危険なので燃やしたはず
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 01:25:43.09 ID:T4I3gfNg0
未来の道具なのに融通きかないのはあり得ないだろ、キャンセル機能ぐらい付けろよとは思う、バイバインとか、あらかじめ日記とか
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/18(日) 10:38:26.72 ID:L5hno159O
乙乙
この十神の信頼の無さと来たら……豚神は逆に好かれそうだけどな
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/18(日) 13:18:17.60 ID:+JNJHE8MO
>>303のび太「高校生にもなって支配者とか帝王とかふつう言わないよね」

田中「」グサッ
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/18(日) 15:40:34.88 ID:i2KJyjXvo
何気ないのび太の一言が田中の心を傷付けた
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/18(日) 23:05:41.05 ID:T4I3gfNg0
未来の道具って危険なの多いよな、どこでもドアだって深海や宇宙と繋げると危険だし
313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/20(火) 20:37:16.11 ID:Vty+KNmK0
時間を巻き戻す逆時計ってあったよね?
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/22(木) 17:51:25.63 ID:jV4sQy+V0
女神の泉に落としてきれいな十神にしようぜ
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/23(金) 04:59:20.82 ID:nBHzA3IO0
つまり豚神だな
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/23(金) 18:03:51.92 ID:cvvhPxcs0
詐欺師だと判明してるのに入学できるのはおかしい
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/25(日) 11:03:18.60 ID:odD1RSyxO
早く供給がほしい
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/03/25(日) 13:58:36.49 ID:Oy+hIwOm0
苗木の家族も助けてやれよドラえもん
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/27(火) 18:16:53.50 ID:u/2MQ5L70
苗木の家族は生きてたっけ?
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/27(火) 18:25:50.40 ID:Wcm6RkxFo
この時点ではまだ全員生きてるはず
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/29(木) 08:29:46.90 ID:2gn2OQzb0
まだかな
322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/03/29(木) 21:48:53.90 ID:wNignFJ70
ドクターKの方のSSカルテ7まで読んだんだが(とても面白かった)
どうやったら続きが読めるんだ?
78期生達の行く末が気になるよ…
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/31(土) 08:22:43.85 ID:/k+rRVDL0
324 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/03/31(土) 22:41:55.05 ID:uwbNG8xM0


  第十三話 腐川さんをすくえ!(後編)


石丸「それではこれより、第一回腐川君を救おう会の開始をここに宣言する!」


ワーパチパチパチ!

呼ばれた側なのにいつの間にか議長となっている石丸の音頭によって話し合いは始まったのだった。


石丸「とは言ったものの、正直僕も腐川君のことはまだ怖いしさっぱり名案がわかない。
    なので、まずはこの会の主催者である苗木君に意見を求めるぞ!」

苗木「えっ、僕?! えっと……僕もみんなの案が聞きたくて呼んだから、特に意見は……」

大和田「おいおい、しっかりしろよ主催者」

不二咲「でも、こういうのはデリケートな問題だからちょっと難しいかも……」

のび太「霧切お姉さんはなにかいいかんがえない?」

霧切「……悪いけど、コミュニケーションに関しては私よりみんなの方が得意だと思うわ」

石丸「何ということだ。これだけの人数が集まって一つも案が出ないとは……」

大和田「あー、どうすんだよ」

舞園「あの……」

苗木「舞園さん? 何か思いついたの?」

舞園「案という程でもないんですが……この場に腐川さんを呼んだらどうでしょう?」

石丸「そんな! 腐川君を救うための会なのに君は本人自らに案を出させると言うのかね?!」

舞園「いえ、そうではなくて……自分に味方がいる、一人じゃないってわかるだけで、
    人は安心出来るものだと思うんです。……私がそうでしたから」

ドラえもん「ああ、なるほど……」

325 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/03/31(土) 22:50:25.83 ID:uwbNG8xM0

苗木「そっか。僕達がいくらこうして頭を悩ませていても、本人に伝わらなきゃ意味がないもんね」

不二咲「まずはみんなに理解してもらうことより、僕達が味方だよって腐川さんに伝えるんだね!」

大和田「なかなかいい案じゃねえか? 最悪他のヤツらと和解できなくてもなんとかなるだろ」

のび太「じゃあ、ぼくがさっそく呼んでくる!」

ドラえもん「行ってきます!」


               ◇     ◇     ◇



腐川「なななな、なんなのよ一体?! アタシをどこに連れて行こうっての?!」

のび太「そんなこと言わないで!」

ドラえもん「きっといいことがあるから」

腐川「ウソ、ウソよ! どうせアタシを騙すための罠だわ。アタシにその手は聞かないわよ……!」

のび太(うたぐりぶかいなぁ……)

ドラえもん(なんというか、腐川さんの性格はアニメ以上だよね……)

腐川「こ、ここ苗木の部屋じゃない……?! こんな所に連れ込んで何を……?!」


ガチャリ。


「いらっしゃーい!」

腐川「……は?」

326 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/03/31(土) 23:00:14.25 ID:uwbNG8xM0

苗木「いらっしゃい、腐川さん。飲み物はみんなと一緒のお茶でいい?」

腐川「は?」

舞園「そんな所に立ってないで、こっちに来て座ってください」

腐川「はあ?」

不二咲「みんなでお菓子を食べながらおしゃべりしてたんだぁ。腐川さんも一緒に話そうよぉ」

腐川「……え?」

のび太「どうしたの、お姉さん?」

ドラえもん「なんか固まっちゃってるけど」

腐川「…………」

大和田「おい、なにぼーっとしてんだよ。大丈夫か?」

腐川「……わよ」

霧切「腐川さん? どうかしたのかしら?」

腐川「許さないわよ!」

「えぇっ?!」

腐川「あ、あああ、あんた達……あ、アタシにこんな優しくして、許さないから!」


ガチャッ、ダダダダダ!


のび太「ど、どうしたんだろう? よろこぶと思ったのに!」

石丸「まさか怒らせてしまったのか?!」

327 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/03/31(土) 23:10:12.58 ID:uwbNG8xM0

大和田「ハア? 優しくされて怒るとか頭おかしいんじゃねえかアイツ?」

苗木「いや、怒ってるというかあれは……」

舞園「照れてるんですね」

ドラえもん「つまり、急に優しくされて恥ずかしかったってこと?」

のび太「へんなの。イミがわからないよ」

舞園「そういう人もいるんですよ。そして、ここで引いては行けません! 全力で押すべきです!」

のび太「じゃあ、もう一度呼びに行こうか?」

霧切「今行ってもきっと開けてくれないわよ。少し時間を開けて冷静になってから
    連れて来た方がいいわ。そうね、夕食の後部屋に戻る前に確保が妥当かしら」

石丸「よし、腐川君捕獲作戦だな!」

苗木「動物じゃないんだから……」

舞園「今度こそ逃がさないでバッチリ料理しちゃいますよ!」

苗木「舞園さんまで……どうしたの、急に張り切って?」

舞園「だってかわいいじゃないですか。照れて逃げちゃうなんて。私、腐川さんのこと誤解してました」

不二咲「うん。もっと、キツイ人なのかと思ってたけど、素直になれないだけなんだねぇ」

大和田「あぁ〜、そういう言い方をされると俺もちっと来るかもなぁ。俺もあんまり素直じゃねえし」

ドラえもん「根は良い子なんだよ」

ドラえもん(――みんなね)

のび太「よーし、じゃあまたばんごはんのあとにあつまろう!」エイエイオー!

328 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/03/31(土) 23:28:35.23 ID:uwbNG8xM0


そして夕食後。


腐川「な、な、なんなのよあんた達?! さっきといい今といい、アタシの執筆の邪魔をしたいの?!」

のび太「ジャマだなんて、そんな」

ドラえもん「ぼく達はただ腐川さんと仲良くしたいだけだよ」

腐川「そ、そんな訳ないわ。あんた達みんなでアタシをハメるつもりなんでしょ!」

舞園「そんなことないですよ」

腐川「ウソ! ウソよ……だって……」


ここで腐川はとんでもない話をし始める。それは彼女自身の辛い経験だった。


腐川の悲しい過去@


腐川「か、過去にもあったわこんなこと……小学生の時、浮いてるアタシと一人だけ仲良く
    話してくれる男の子がいて、アタシは勇気を振り絞ってラブレターを書いたのよ」

石丸「小学生にしてラブレターなど不純d 舞園「少し黙っていてください」

腐川「でも次の日、そのラブレターは学校の掲示板に張り出されて晒し者にされたわ」

一同「…………うわぁ」


思わず変な声が出る。


石丸「なんと酷い輩だ! 僕がその場にいたら成敗してやったものを!」

苗木「さっきラブレターは不純とか言ってなかった?」

329 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/03/31(土) 23:39:19.55 ID:uwbNG8xM0

石丸「それとこれとは別問題だ! 人が真心込めて書いた手紙を衆目に晒すなど論外だろう!」

大和田「まったくだぜ! そんな野郎はぶん殴るべきだ!」

腐川「……ア、アタシが悪いのよ……向こうが嫌がってたのに気付かなかったから……」

舞園「そんなことありませんよ……」

不二咲「そうだよ……酷い」ウルウル


  腐川の悲しい過去A


腐川「これだけじゃないわよ……アタシ、中学の時生まれて初めてデートに誘われたの」

石丸「デートだと?! 不純異性交遊は禁止… 舞園「石丸君は黙っていてください」

腐川「一緒に映画を見ていたんだけど、気が付いたらいなくなっていて……
    後から知ったけど、アタシを誘ったのは仲間内での罰ゲームだったの」

「あぁ……」


また変な声が出る。


のび太「ひ、ひどい……」

ドラえもん「なんて人達だ!」

石丸「あああ、許せん! 何故その場に僕はいなかった! そんな輩まとめて取り締まってやったものを!」

苗木「さっき不純異性交遊は禁止とか言ってなかった?」

石丸「それとこれとは別問題だ! 人の心を弄ぶなど言語道断! 更正するまで説教してやりたい!!」

大和田「まったくだぜ! ぶっ飛ばしてやる!」

330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/03/31(土) 23:41:17.58 ID:/k+rRVDL0
見た目は悪くないけど風呂入らないから不潔なんだもんそりゃ嫌われるよ
331 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/03/31(土) 23:57:54.82 ID:uwbNG8xM0

腐川「ま、まだまだあるわよ」

のび太「えぇ〜?!」

苗木「まだあるの……?」

霧切「腐川さん、なかなかハードな経験をしているのね……」

ドラえもん(これは予想外だ……もしかしてアニメでは語られていなかっただけで、
       ゲームでは語られてるのかな? ゲームの知識もないと不味いかもしれないな)


その後も腐川の不幸話は延々と続いた。


             ・

             ・

             ・


腐川「と、とにかくあんた達があたしに優しくするなんて罠なのよ! わかったでしょ?!」

のび太「ぜんぜんわかんない!」

腐川「ハァ?!」

霧切「腐川さんが今まで酷い人間関係に悩まされていたのはよくわかったわ」

腐川「だったら、あたしのことはもうほっとい……」

霧切「でも見てちょうだい。苗木君、石丸君、大和田君、のび太君。この人達に嘘がつけるかしら」

舞園「そうですよ。正直四人組って言ってもいいくらいすぐ顔に出ますよ!」

苗木「なにその変なユニット名みたいなまとめ方」

332 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/01(日) 00:15:34.96 ID:DWzWVao10

不二咲「今までは酷い人達ばかりだったかもしれないけど、ここのみんなは大丈夫だよ。だって、
     考えてみて。僕みたいな女装したなよなよした男子も受け入れてくれたんだよ?」

腐川「う、それは……」

ドラえもん「腐川さんは人と関わるのに臆病になってしまってるだけだ。
       もう一度、信じてみてよ。ぼく達は裏切ったりしないよ!」

腐川「…………」

苗木「ね、腐川さん?」

腐川「…………」

のび太「信じてよ!」ジッ

腐川(…………)

腐川「……わかったわよ」


子供の純真で真っ直ぐな眼差しに、とうとう腐川も根負けした。


苗木「やった!」

石丸「おお、腐川君! 君を信じていたぞ」

腐川「べ、別にあたしはあんた達を信じた訳じゃないわよ! た、ただあんまり
    しつこいからちょっと付き合うくらいならしてあげるって言ってんの!」

一同(素直じゃないなぁ……)

石丸「よし! では腐川君を迎え、改めて会を始めようではないか」

腐川「……そもそもこれなんの会なのよ」

舞園「腐川さんを救う会です!」

腐川「ハ?」

333 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/01(日) 00:27:19.66 ID:DWzWVao10

苗木「あ、ええとね……」カクカクシカジカ

腐川「全員と仲良くなんてなれる訳ないでしょ。あたしはただでさえ嫌われ者なんだから……」

石丸「そんなことはない! 僕だって今まで友達はいなかったがここに来て親友が出来たぞ!」

不二咲「ぼ、僕も女装する前は男のくせになよなよしてっていじめられてたよ!」

大和田「俺はつええからイジメられたりとかはなかったけどよ、学校で浮くのなんざしょっちゅうだぜ?」

霧切「私もあまりみんなと仲良くしていなかったけど、この会に呼んでもらえたわ」

腐川「な、なによこの流れ……カミングアウト大会? あたしは傷の舐め合いなんてしないわよ!」

ドラえもん「まあまあ」

のび太(ほんとめんどくさいな、この人……)

苗木「舐め合いとかじゃなくて、みんな腐川さんに元気になってもらいたいんだよ」

腐川「なによ……あんた達、あたしが怖くないの? あたしは人殺しなのよ?」

不二咲「正直に言うと怖いよ。腐川さんには悪いけど、僕いつも胡椒を持ち歩いてるんだ」

腐川「は? ……じゃ、じゃあ、なんで?」

石丸「元々、今回の事を言い出したのはのび太君達なのだ。子供が頑張っているのに、
    高校生の僕が怖いからと見て見ぬ振りをする訳にはいかないだろう!」

石丸「そもそも、悩んでいるクラスメイトがいたら助けるのが風紀委員の務めだ!
    もし君のことを見捨てたら、僕はもう超高校級の風紀委員を名乗れなくなる」

大和田「俺も似たようなもんだ。正直、お前の中のアイツを許したワケじゃねえ。
     でも、俺はこいつらのダチだ。だからダチのやることには黙って協力する」

舞園「私ものび太君とドラえもんさんに助けてもらいました。だから今度は私が助けたいんです!」

334 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/01(日) 00:50:29.54 ID:DWzWVao10

苗木「ほら! みんな腐川さんのこと心配してるんだよ。もうちょっと素直になったらどうかな?」

腐川「眩しい……」

ドラえもん「ん?」

腐川「眩し過ぎるわよ、あんた達! あ、あたしみたいな日陰者には、
    あんた達は眩し過ぎる。もう、見てられない!」


ガシッ!


舞園「逃がしませんよ、腐川さん」ニッコリ♪

霧切「私もどちらかと言えばあなた寄りだし眩しいという意見には同感だけど、
    ずっと見ていれば目も慣れるんじゃないかしら?」

舞園「今日は夜まで語り合いましょう!」

腐川(振りきってもしつこくしつこく食い下がってくる……
    もう、なんなのよなんなのよなんなのよ〜?!)

腐川「わ、わかった。わかったわよ! この変な会に付き合えばいいんでしょ! ……ハァ」

苗木「でもどうしようか。元はと言えば人が集まれば何か名案が出るかもって言って集まったんだよね」

腐川「……やっぱり無理よ。あたしみたいな根暗と仲良くしたがる変わり者なんてあんた達くらいよ」

腐川「正直、あんた達だけでもあたしは十分……」


そう言って腐川は俯く。


舞園「実は、私に案があるんです!」

のび太「えっ、なになに??」

335 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/01(日) 01:00:15.38 ID:DWzWVao10

舞園「なんだか、あの秘密暴露のせいですっかり私達の空気が悪くなってしまったじゃないですか。
    まずはその空気を何とかしないと腐川さんを受け入れる余裕も生まれないと思うんです」

ドラえもん「なるほど。それは確かにね」

舞園「そこで、まずは親睦会を開いて皆さんがリラックスしたあたりに、
    腐川さんの良い面を全面的にアピールしていくというのはどうでしょうか?」

のび太「いいね! 楽しそう!」

不二咲「パーティーだねぇ!」

霧切「それならみんなも協力するでしょうし、いい案じゃないかしら?」

腐川「で、でもあたしにはアピールする良い面なんてないわよ!」

ドラえもん「そんなことないよ! どんな人にだって必ずいいところはあるんだから」

腐川「じゃあ具体的に言ってみなさいよ……!」

ドラえもん「えーと、急に言われても……」

のび太「う〜んう〜ん……」

腐川「出ないんじゃない!」

苗木「ま、待って待って! 今考えるから……」

霧切「腐川さんは超高校級の文学少女。作家としての感性、執筆能力は誰にも負けないはず」

大和田「勉強はできるんじゃねえか? とりあえず国語は得意だろ?」

不二咲「色んな小説の知識を持ってそうだよね」

石丸「それは素晴らしい長所ではないか! 勉強が得意なのは良いことだぞ」

舞園「そうです。腐川さんと言えばやはり小説――」


舞園「だからみんなで劇をしましょう!」

336 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/01(日) 01:12:35.08 ID:DWzWVao10

『劇?』


舞園「はい! 親睦会の出し物として劇を行うんです」

霧切「成程ね。その脚本を腐川さんに書いてもらうということかしら?」

舞園「そうです。超高校級の文学少女である腐川さんが書いた脚本なら
    必ずや皆さんの心を動かすはずです!」

ドラえもん「うん。いいんじゃないかな?」

のび太「おもしろそう! さすが舞園お姉さん!」

舞園「頑張って考えました!」フンスー!

大和田「劇かぁ。やったことねえなあ」

苗木「劇なら、朝日奈さんや大神さんも協力してくれるんじゃないかな?」

不二咲「いいねえ。恥ずかしいけど、みんなでやるなら僕もやってみたいな」

石丸「それはとても良い案だと僕も思う。……だが、まだ足りないな!」

ドラえもん「足りない?」

のび太「え? なにが?」

石丸「腐川君が素晴らしい脚本を書いたとしよう。それでみんなが感動している中、
    平然と水を差しそうな人間がここにはいるだろう!」

セレス『まあ、腐川さんは作家でプロなのですからこのくらいは書けて当然ですわね』

十神『酷い大根演技だったな。話が全く頭に入ってこなかった。
    これなら葉隠のくだらんオカルト談義を聞かされる方がまだマシだな』

ドラえもん・のび太「あぁー……」


容易に想像が付きすぎて思わずため息が出る。

337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 01:28:26.74 ID:KVB9HeysO
腐川なら十神の酷評を寧ろ喜びそうだなw
338 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/01(日) 01:29:29.86 ID:DWzWVao10

腐川「そ、そもそもあたしまだやるなんて言って……」

舞園「書いてくれますよね?」キラキラ

腐川「う……(断れる雰囲気じゃない……)」

苗木「でも、足りないってじゃあどうすればいいの?」

霧切「石丸君には何か考えがあるのかしら?」

石丸「ウム! 当然だとも!」

大和田「さすが兄弟だぜ! で、なにすんだ?」

石丸「一発芸だ!!」

腐川「は……?!」

石丸「普段の君が根暗で取っ付きづらいというなら、普段と違う面を見せてみんなに
    見直してもらえばいいのだ。忘れろビームでも撃って君の過去を忘れさせればいい!」

腐川「何言い出すの、こいつ……?!」


その時ドラえもんは気付いた。


ドラえもん(あー……もしかしてそのつもりであの時はふざけてたのかな?)

ドラえもん(確かに日頃から考えてないといきなりあんな動き出来ないよね。忘れろビームは、
       周りと仲良くするために石丸くんが前から考えてたギャグだったんだ)

339 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/01(日) 01:37:43.13 ID:DWzWVao10

石丸「という訳で一緒に練習しようではないか! さあ、さあ、さあ!!!」

苗木「え、いやいや、いくらなんでもそれは……」

大和田「おお、名案だな! よし、腐川やってやれ!」

不二咲「僕も一緒にやるよぉ!」

腐川「え? えっ?! はいぃ?!」

のび太「うん。たしかに腐川さんがそんなことしたらぼくもビックリしちゃうな」

舞園「……アリかもしれないですね」

ドラえもん「ぼくも腐川さんの忘れろビーム見てみたい!」

苗木(え、なにこの異様なビーム推し)

霧切(ご愁傷様ね……)

腐川「や、やらない! 絶対やらないわよあたし!!」

石丸「忘れろ忘れろ忘れろビーム!」

腐川「だから無理だってぇーっ!!!」


一発芸をするかどうかはともかくとして、親睦会を開く方向に決まりその日の会は終了したのだった。

340 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/01(日) 01:44:14.06 ID:DWzWVao10

ここまで!更新遅れてゴメン

投下予告はツイッターでしているので、良かったらどうぞ
http://twitter.com/doctor_ronpa_K

ドクターKの方も執筆中。皆様の感想や合いの手のお陰で
モチベアップに繋がります。いつもありがとうございます!
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 07:01:29.61 ID:FWKnRXMTO
投稿乙
毎度楽しみにしてるで
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/01(日) 12:41:56.62 ID:/9tPGIBhO
乙乙
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/02(月) 18:55:43.06 ID:lyzn5UEp0
このSSとか道具の使い方が上手かったな
http://syosetu.org/novel/84767/
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/02(月) 20:14:35.68 ID:YxYove2io
わちゃわちゃパートもいいね
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/05(木) 23:05:36.27 ID:ns9mBc0s0
ドクターの方来たな
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/12(木) 17:32:32.27 ID:BTMLGeMx0
まだか
347 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 21:51:01.92 ID:NAMMexg10


  第十四話 とどけ、ゆうじょうのビーム!



親睦会当日――


舞園「舞園さやか歌いまーす!」

大和田「やっぱ舞園のヤツうめえな」

桑田「さやかちゃん最高ー! よし、次は俺が歌うぜ!」

のび太「お兄さん、ぼくのにがおえ描いて!」

山田「フフン、お安いご用ですぞ!」

ドラえもん「葉隠くん、ぼくを占ってよ」

葉隠「ロボットを占う日が来るとはちょっと予想がつかなかったなぁ」

朝日奈「私が作ったドーナツまだまだあるから!」

大神「どんどん食べてくれ」

苗木(親睦会を開いたのは大正解だったようで、大盛り上がりだった。
    やっぱり、みんなどこかストレスが溜まっていたんだね)

苗木(出し物をしようって話だけあらかじめしてあって、舞園さんと桑田君が歌を披露、
    僕は倉庫にあった手品セットを使ってドラえもんと一緒に手品をした)

苗木(ちなみにこれも全部作戦だ。この後のね)

のび太「ぼくたちは劇をします!」

不二咲「この劇は観客巻き込み型だから、みんなも参加していってねぇ!」

山田「巻き込み型? 遊園地のヒーローショー的なものですかな?」

348 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 22:02:09.44 ID:NAMMexg10

舞園「ガンガンアドリブしていきますよ〜!」

江ノ島「へえ、面白そうじゃん!」

十神「くだらん。素人の大根演技など見てもな」

セレス「まあまあ、退屈凌ぎの余興と思えばよろしいのでは?」

のび太「バカにしないでよ! きっとぎゃふんと言わせてみせるからね!」

ドラえもん(ちなみに、脚本はみんなのアイディアを元に腐川さんに書いてもらったんだ)

苗木「それではスタートするよ! タイトルは、『桃の果実の割れぬ間に』」


完全なオリジナル作品より、誰もが知る国民的おとぎ話を元にした方が
とっつきやすいだろうと桃太郎をベースにしたのだが……
腐川が一人で考えたのではなく全員の思い付いたしっちゃかめっちゃかな
アイディアを全てつめ込んだため、その劇の内容はまさしくカオス――混沌を極めた。


苗木「さやかさん……僕、ずっと君を見ていたいんだ」

舞園「ダメです、誠さん。私、洗濯物を洗いに行かないと……」

苗木「僕だって芝刈りに行かないといけない! でも、僕には今しかないんだ!」

舞園「誠さんっ……!」


――ある時はラブロマンス!


のび太「グエエエエ」

苗木「拾った桃から手が! 手が!」

舞園「きゃああああああああ!!」


――ある時はホラー!

349 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 22:10:14.21 ID:NAMMexg10

朝日奈(ナレーション)「桃太郎はきび団子を使って猿と犬と雉、そして猪八戒を仲間にしました」

山田「え、猪八戒?!」

江ノ島「豚ですらないんだ……」

朝日奈「ほら、早く猪八戒来て! ほらほら!」

山田「ブヒイイ、僕?! 猪八戒ナンデ?!」

桑田(猿)「俺だって何故か参加させられたんだからオメーも来い!」

石丸(犬)「ハッハッハッ! これで鬼どもは一網打尽だな!」

不二咲(雉)「そだねー」


――唐突な無茶振り!


のび太「わあ! 鬼の襲撃だー!」

大和田「こいつらはさらっていくぜ!」

不二咲「桃太郎くーん!」


大和田は不二咲の腕と石丸の足を掴んで引きずっていく。

ズリズリズリ……ドゴッ!


大和田(あっやべ)

石丸「ゴハッ……」

苗木(大和田君、いくらなんでも足を持って引きずらなくても……
    というか今盛大に石丸君の頭をテーブルの脚にぶつけたよ?!)


ドッ!←気の毒なのだが思わず笑う一同の声。


――予想外のアクシデント!

350 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 22:19:34.51 ID:NAMMexg10

舞園「ああ、可哀想な桃太郎……鬼にやられて逃げ帰って来たのですね。
    西の山に大賢者がいるはずです。その方に助言を貰うといいですよ」

ドラえもん(流石舞園さんだ。長いセリフもスラスラと話すな。アドリブも難なくこなすし)←道具係

のび太「大賢者さん、どうすれば鬼を倒せますか?」

舞園(一人二役)「伝説の水晶玉とギャンブラーの勝利の指輪。その二つを手に入れなさい。
          勇者に道を示してくれるでしょう。世界を救いなさい、選ばれし少年よ」

のび太「伝説の水晶玉ってどこー?!」

舞園「龍の山へ向かうんです」

セレス(これはわたくしも舞台に上がる必要があるのでしょうか)ドキドキ

葉隠(後で水晶球のレンタル料もらわねえとな!)ウキウキ


――何故か始まる壮大なファンタジー!


ドラえもん「…………」スッ ←カンペも担当している。

のび太「えっと、アイテムも手に入れたしさらわれた二人も助けたし、いよいよ鬼ヶ島だね!」

猪八戒(山田)「ああ、あそこに鬼が! ……というか僕ずっとアドリブで凄くない?!」

桑田「それ言ったら俺もなんだけど。つーか、そのぉ……」

大神(E:角と棍棒)「…………」

大和田(E:道路標識)「…………」

霧切(E:鬼姫衣装)「…………」


 ズ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ! !

351 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 22:25:55.99 ID:NAMMexg10

のび太「うえーん、こわいよ〜!!」

((( 倒 す の 無 理 だ こ れ ! )))


――どう見ても倒せない強敵!


朝日奈(ナレーション)「ここは猿が一発ギャグを披露して先制攻撃だね! 行け、行くのだ猿よ〜!」

桑田「お、俺?! いやいやいや、いきなり振られてもムリだし!」

舞園(舞台袖から)「出来ますよね、猿さん?」

桑田「いや、その……」

舞園「 や り ま す よ ね ? 」

桑田「あ、はい。じゃあ、えっと、その………………だっふんだ!」


シィィィン……


のび太「えっと……」チラッ

不二咲「あ、あの、その……」

石丸「…………」←無言の肩ポン。

桑田(俺がすべったみてーじゃんか……)グスッ


――スベる桑田!!


舞園「…………。あまりのつまらなさに鬼がダメージを受けてます!」

大和田「え?! ……つ、つまらねえ。おかげで俺の心臓(ハート)が凍(フリーズ)っちまったぜ!」

朝日奈「次は誰かにモノマネしてほしいなー!」

桑田「それ台本じゃなくておめーのアドリブだろ?!」

山田「ならば拙者が! 十神白夜殿のモノマネをしますぞ!」

十神「待て、ふざけるな貴様?!」

352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/12(木) 22:26:11.01 ID:BTMLGeMx0
勝てる気がしない
353 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 22:39:55.32 ID:NAMMexg10

山田「フン、愚民が」メガネキラーン☆

江ノ島「あはは! 似てる似てる!」

セレス「まあ、意外な特技があったものですね」

葉隠「そっくりだべ!」

十神「全然似ていない!」

山田「最後に勝つのはこの俺様だ。十神の名にかけて!」

十神「俺は俺様なんて言ったことは一度も……!」

舞園「次は苗木君がやります!」

苗木「え、僕?!」


――唐突に始まる仁義なきモノマネ合戦!


石丸「……知っている。僕達は知っているぞ」

のび太「きみは……青おにだったんだ! わざとワルモノのふりをしていたあの青おにだよ!」

不二咲「自分を犠牲にして、みんなを守ってくれていたんだね……」

霧切「ごめんなさい……ずっと黙っていて……」

苗木「そんなのってないよ……あんまりだよ!」

霧切「ありがとう……でも、いいの。鬼は嫌われ者なのよ。人間とは一緒にいられない……」

大神「我等の犠牲を無駄にするな。お主らが救うのは人間の世だろう」

苗木「ダメだ……そんなのダメだ! 君達だけを犠牲になんて出来ないよッ!!」


――そして、明かされる衝撃の真実と感動!

――物語はフィナーレへ……

354 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 22:47:45.61 ID:NAMMexg10

             ・

             ・

             ・


苗木「以上、オリジナル桃太郎でした」


『……………………』


シーーーン。


のび太(あれ、つまらなかったかな? そんなはずは……)

腐川(まさか……あたしの書いた台本がダメだったからあいつらに恥をかかせたんじゃ……?!)


パチ、パチ……


腐川「……?!」


パチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!


江ノ島「めちゃくちゃ面白かったよ!」

葉隠「おうっ! すっげー良かったべ!」

山田「途中からアクター側になっちゃいましたけど、役に入り込んじゃいました!」

桑田「いやー、結末知らない分ラストの展開はマジで驚いたわー!」

セレス「正直まったく期待していなかったのですが、なかなか良かったですわね」

355 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 22:55:13.59 ID:NAMMexg10

十神「まあ、退屈凌ぎ程度にはなったな。フン……」

朝日奈「うんうん! 頑張った甲斐があったよ!」

大神「脚本が素晴らしかったな。誰が書いたのだ?」


朝日奈と大神には脚本を渡して手伝って欲しいとしか伝えていないため腐川が書いたことは知らない。


のび太「腐川お姉さんが書いてくれたんだよ!」

『えっ?!』


一瞬、場が静まる。


腐川「な、なによ……文句あるの? あたしは作家よ? 脚本くらい、別に……」

葉隠「別に文句はねえけど……」

江ノ島「フーン、腐川が書いてたんだ」

腐川(フ、フン……やっぱり空気が悪くなったわね……どうせあたしなんて
    ジメジメした根暗で嫌われ者で殺人鬼で関わりたくなんてないわよ……)

ドラえもん「そうだ。腐川さん、今こそアレだよ」ボソボソ

のび太「この空気をかえるにはアレしかないよ!」

腐川「ハァ?! アレって、ま、まさか……」


腐川の脳裏に閃くあの言葉。




『一発芸だっ!!』

356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/12(木) 22:59:36.28 ID:WyHE/NAto
行け腐川!一発かましてやれ!
357 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 23:08:14.77 ID:NAMMexg10


石丸『普段の君が根暗で取っ付きづらいというなら、普段と違う面を見せてみんなに
    見直してもらえばいいのだ。忘れろビームでも撃って君の過去を忘れさせればいい』

のび太『うん。腐川さんがそんなことしたらぼくもビックリしちゃうな』

ドラえもん『ぼくも腐川さんの忘れろビーム見てみたい!』


腐川(は? ないない、有り得ないわよ……冗談じゃないわ! このあたしが一発芸だなんて……)

舞園(腐川さん……)うるうる

不二咲(腐川さん……)うるうる

石丸(腐川君! 僕は腐川君のことを信じているぞ!)ジッ

大和田(お、おい。どうなんだ?! やるのか?!)

ドラえもん(腐川さん!)チラッチラッ

苗木(無理しなくていいんだよ!)

霧切(やるかやらないかはあなたが決めるべきだわ)


周りは腐川のことを心配そうに注視している。


腐川「…………」

358 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 23:21:31.63 ID:NAMMexg10


―ハ、ハハ……

―意味わかんない。なんでこんなことになったんだっけ?

―そうよ! アイツらが勝手に妙なこと言い出しただけであたしは関係ない。

―勝手にやってりゃいいじゃない……


―ホント、馬鹿よね。わざわざこんなパーティー開いて

―下手くそな大根芝居まで披露しちゃってさ……

―もう見てられないっての。


―……馬鹿みたい。



腐川「…………」スクッ

山田「腐川冬子殿?」

桑田「腐川、どうした?」



―馬鹿よ、馬鹿! どいつもこいつも馬鹿ばっかり!

―……でも、馬鹿があれだけやったのに


―あたしだけ何もしない訳いかないじゃないの!



腐川「……いいわよ。やってやるわよ」

359 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 23:31:10.38 ID:NAMMexg10

大神「腐川?」

朝日奈「ふ、腐川ちゃん。どうしたの?」

腐川「うっさいわね! あたしが台本書いたのが気に入らないなら忘れさせてやるって言ってんの!」

江ノ島「えっ? 忘れさせてやるって?」

腐川「あ、あたしも……一発芸を披露してやるって言ってんのよ」

桑田「えっ、マジで?!」

セレス「これは……面白くなってきましたわね」

十神「…………」

腐川(あぁ、ただでさえ白夜様には嫌われてるのに馬鹿達と一緒になってこんな
    馬鹿みたいなことしてたら、もっと嫌われるでしょうね……)

腐川(……違うか。馬鹿に乗せられてこんなことをするんだから、きっとあたしが)


―― きっとあたしが一番の大馬鹿者!!


腐川「あ、あんた達! 人生で一回しかやらないから、目ぇ見開いてしっかり見なさい!」

山田「何が始まるんです?」

葉隠「これは何か凄いものが来るべ。間違いない!」

腐川「い、いいい行くわよ……!」

苗木(腐川さん、まさか本当に……?!)


カッ!!

360 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 23:33:19.92 ID:NAMMexg10


「忘れろ」バッ!


「忘れろ」ババッ!


「忘れろ」シュババッ!


「ビィィィィィム!!」シュベェェアッッ!!!



  ド  ド  ン  ッ  ! ! ! ☆


361 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 23:36:26.70 ID:NAMMexg10



『……………………』


シィーンッ!


腐川(お、終わった……あたしの全てが……)ガックリ…

腐川「あ、あの……いいい今のはちょっとした気の迷いというか、その……!」

石丸「素晴らしい……」

石丸「心を洗われるようだ。感動したッ! 僕は感動したぞッ!」ドブシャアッ!

腐川「ハ?」

不二咲「凄かったよ、腐川さん!」ポロポロ

腐川(え、いや……なんで泣いてんのよ……)

大和田「良かったぜ、腐川!」

のび太「はくしんの忘れろビームだったよ!」

腐川「へぁっ?」

舞園「素晴らしかったです。掛け値なしに素晴らしかったですよ!」ポロポロ

苗木「お疲れ様! いい顔だったよ!」

霧切「よく頑張ったわね……」

ドラえもん「おめでとう! おめでとう!」

石丸「これにて一件落着だな! ハッハッハッ!」

山田「え、なにこの流れ」

江ノ島「アタシもよくわかんない」

362 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 23:46:06.56 ID:NAMMexg10

葉隠「え、えーと……よくわかんねえけどとにかくおめでとうだべ!」パチパチパチ

桑田「いや、なにがだよ……」

葉隠「シーッ! 俺に合わせろって。きっと腐川っち、ストレスでおかしくなっちまったんだ。
    あんまり追い詰めると自殺するかもしれねえぞ……流石にそれは不味いだろ?」

山田「エエエエエ?! じ、自殺ですか?!」

桑田「?! マジか……ヤバいじゃん、それ……」


殺人鬼が怖いという気持ちはあるが、自分達のせいで自殺されたとあれば寝覚めが悪い所ではない。


のび太「ねえ、お兄さん。今の良かったよね?」

桑田「お、おう! 意外と良かった……ぜ?」

朝日奈「すごい迫力だったよー!」

大神「ウム、見直したぞ」

江ノ島「なんか全然意味わかんないけど拍手した方が良さげな感じ?」

セレス「いいのではないですか? 腐川さんの変顔はなかなか笑えましたし。
     そうですね。今の衝撃で確かに全部忘れてしまいました」クスクス


やんややんや! ワー、パチパチパチ!!


腐川「ふ、ふふ……」

腐川(なんか、納得出来ないけど……こ、こういうのも悪くない……?)

十神「…………」


その後、この一件は生徒達に『ここまで腐川が追い詰められている!』という
凄まじい危機感を与え、みんな優しくしてくれるようになったそうな。

363 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/12(木) 23:51:21.61 ID:NAMMexg10


また――


十神「おい」

腐川「白夜様?! なんでしょう?!」

十神「お前さっきのやつをもう一回やってみろ」

腐川「さっきのやつ、ですか?」

十神「さっきお前がやった石丸の奇行の真似だ」

腐川「わ、忘れろビームですかっ?!」

十神「やらないのか?」

腐川「い、いえ喜んでやらせて頂きます! それでは……忘れろ忘れろ忘れろビーム!!」クワッ!

十神「下がれ」

腐川「え」

十神「下がれと言ってるんだ」ギロリ

腐川「は、はひぃぃぃ!」ダダダ



十神「…………」

十神「…………」プルプル

十神「…………プッ! クククク!」机ドンドンドン!


意外なことに、腐川の忘れろビームが十神のツボにヒットしたのだった。

364 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/13(金) 00:00:28.09 ID:xMhsP03S0

ここまで。

最近本当に忙しくてあんまり寝てないのでしばらくスローペース更新となりますが、
まだ?って言われるとプレッシャーになるので…ゆっくりお待ち頂けると嬉しいです。
更新は適宜ツイッターで告知をしていますので
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/13(金) 19:40:48.37 ID:IXBv8kzco
乙!
十神くんに喜んでもらえて腐川ちゃんよかったねの巻
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/19(木) 19:53:17.89 ID:y/QlFI11O
乙乙
367 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/21(土) 22:10:30.64 ID:SkstkMDJ0


  おまけ@


苗木(ちなみに劇のムチャ振りで、僕は葉隠君のモノマネをした)

苗木(正直全然似てないと思うんだけど、何故かみんなはバカ受けだった)


『一回十万円で占ってやるべ!』


『苗木っち〜、保証人になってくれ〜!』


『金は命より重いんだべ!!』


苗木(……多分、みんなも同じようなこと言われたことあるんだろうな)

苗木(あと、ドラえもんはモノクマのモノマネをしたんだけど……)


『オマエラ! コロシアイをするんだ!』


『イヤッッホォォォオオォオウ。アドレナリンが染みわたるゥーーー!!』


苗木(あれはもはや似ているという次元を超えていた……まるで生き写しのような……)

苗木(最終的には不気味なのでやめろと言われてたよ)

368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/04/21(土) 22:15:11.29 ID:krdxvU6K0
そりゃ声が一緒だし
369 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/21(土) 22:24:47.90 ID:SkstkMDJ0


  おまけA


腐川「ふ、ふん……それにしても酷い演技だったわね!」

不二咲「ごめんねぇ。頑張ったんだけど……」

舞園「不二咲君はとても良かったと思いますよ!」

桑田「舞園ちゃん、俺は?!」

舞園「……まあまあですかね」

桑田「まあまあ……」

腐川「次は、こんなメチャクチャなのじゃなくてちゃんとした脚本を書いてやるわよ……!」

石丸「おお! 本当かね?! 超高校級の文学少女の書き下ろしなら期待出来る!」

腐川「あんたは大根だから裏方だけどね」

石丸「(´・ω・`)」

大和田「元気出せよ、兄弟!」

腐川「あ、あんた意外と上手かったわよ」

大和田「?!」

腐川「舞園と苗木と山田と不二咲の次くらいだけど。……そうそう、何気に山田は上手かったわね」

山田「……ついに僕の時代が来たようですな!!」( ̄ー ̄)ニヤリ


そして、確かに次回の話の主役は山田なのである。それが良い意味であるかは果たして――

370 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/21(土) 22:38:09.15 ID:SkstkMDJ0

今週は更新出来ないのでおまけだけ落としておきました。

また来週?

371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/04/21(土) 23:44:02.20 ID:zJ7R+ijXO
乙!
続きも楽しみ
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/28(土) 18:55:12.48 ID:dymexoem0
•強力ウルトラスーパーデラックス錠/強力ウルトラスーパーデラックスキャンデー


『[たぬき]』に登場する、飲むとウルトラ・スーパー・デラックスマンになれる錠剤型のひみつ道具。
謳い文句は「一日一錠で君も超ウルトラ・スーパー・デラックスマンになれる!
スーパーマンよりも強い、ウルトラ・スーパー・デラックスマン!」
試供品もあり、こちらは3分間だけ効き目がある。
原作や図鑑では「錠」だが、テレビ放映では「キャンデー」に統一されている。




<原典におけるスーパーマンの力の一例>
八十万トンの物体を持ち上げる力
核爆弾の直撃で無傷
最高時速800万kmの飛行能力
レントゲンのような視認能力



新声優版「大パニック! スーパー赤ちゃん」では舐めてる間(1時間は持つ)だけ、力が100万倍(151.5パーマン)になるだけというものに弱体化している。

373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/04/30(月) 15:31:57.71 ID:3N1ruM6w0
保守
374 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 20:20:42.97 ID:bBMD0Uzt0


  第十五話 がんばれ山田くん!


のび太「ねえ、ドラえもん。……そろそろいいんじゃないかな?」


ある時、男子トイレで用を足しながらのび太が切り出した。


ドラえもん「ああ、うん。そうだね。もうみんなだいぶ打ち解けたし、
       そろそろこの厳しい現実を乗り越えられそうだよね」

のび太「じゃあ、バラしちゃう?」

ドラえもん「そうだねぇ。いくら大神さんを説得したとはいえ、あんまりトロトロすると
       あの残念なお姉さんが動くかもしれないし、そろそろ潮時かな」

のび太「のこりの事件はセレスさんと山田さんだけど、二階に行けないからアルターエゴもないしね」

ドラえもん「セレスさんも外の状況がわかれば夢がどうのなんて言ってられなくなるでしょ。
       ……ただまあ、恒例のタイムテレビで先のことを少し見ておきますか」

のび太「念入りだねぇ。いつもそのくらいシンチョウだったらいいのに」

ドラえもん「失礼な! ぼくはいつも慎重だよ。大体きみ達が勝手なことをするんじゃないか」

のび太「主にジャイアンとスネ夫だけどね。……会いたいなぁ。さいきんゼンゼン会ってないし」

ドラえもん「そうだね。ここでの生活も楽しかったけど、いい加減みんなの顔も見たいよね」


カチッ、カチカチ。


ドラえもん「さあ、何も起こってくれるなよ」


画面に映っていたのは……

375 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 20:32:10.51 ID:bBMD0Uzt0

ドラえもん・のび太「が、学級裁判だー!」

のび太「そんな、どうして?!」

ドラえもん「裁判もそうだけど、犯人は誰だ!」


ガチャガチャガチャ!



セレス『わたくしですわ』



ドラえもん・のび太「 お ま え か ー ! !」


苗木『で、でもなんで山田君を……! セレスさんとは仲良くしてたじゃないか!』

セレス『わたくしの夢のためですわ。山田君はああ見えてなかなか使える
     便利な方でしたが、外には連れて行けませんもの。仕方ありませんでした』


のび太「えっ、これって……」

ドラえもん「殺されたのは山田君だ! ちなみに動機はやっぱり……」


セレス『わたくし、西洋のお城に暮らすのが長年の夢でしたの。イケメンの執事達に
     ヴァンパイアの格好をさせて仕えさせて……ああ、なんて耽美的でしょうか』


ドラえもん・のび太(アニメより更にひどかった)


のび太「おしろとか、イケメンに囲まれたいとか……そんな理由で友だちを殺しちゃうの?!
     もう、この人はたすけなくてもいいんじゃない? あんまりだよ!」

ドラえもん「まあ、そう思うけど……ほら、二年間の間に改心してた可能性が無きにしもあらずな訳で」

376 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 20:42:09.29 ID:bBMD0Uzt0

のび太「なんだっけ? 双子の心は百までだっけ? 人の性格ってそんなにすぐかわるかなぁ?」

ドラえもん「三つ子の魂百までだね。でも、山田くんは助けないとまずいし」

のび太「ああ、そっか。ヒガイシャだもんね」

ドラえもん「まずは事件の少し前に巻き戻して、概要を調べないと」カチャカチャ


セレス『わたくし、葉隠君にイタズラされましたの』

山田『なにー?! 許さーん!! 葉隠康比呂殿ブチ殺す!』

セレス『まあ落ち着きなさいな。わたくしも悔しいですが、殺すのはやり過ぎですわ。
     ……ですから、復讐を手伝ってくださりませんこと?』<●> <●>ギョロッ!

山田『なんなりと!』

セレス『うふふ……(計画通り!)』ニヤッ


のび太「なるほどね。だまされたんだ! かわいそう……」

ドラえもん「……可哀相は可哀相だけど、よくこんな下手な嘘に引っ掛かったなぁ」

ドラえもん「セレスさん、いつものポーカーフェイスはどこ行ったの? ってくらい露骨に
       顔に出てたし、それにこの話が本当だったらみんなにちゃんと話さないとダメだろう」

のび太「でも、内容が内容だからみんなには言えなかったんじゃないかな?」

ドラえもん「匿名にすればいい。この話が本当だったらまた別の被害者が出てたかもしれないし、
       女子達に警戒を促す効果もある。個人的に罰するのが正しいとは思えないな」

のび太「ああ、そっか。でも山田さんてぼくから見てもたんじゅんそうだし、
     そういうことは思いつかないんじゃない?」

ドラえもん「……本当にそれだけが原因なのかな?」

のび太「どういうこと?」

377 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 20:49:55.08 ID:bBMD0Uzt0

ドラえもん「ほら、山田くんて普段から割りとセレスさんの言いなりだったろう?
       だから、彼女に逆らうって発想自体がそもそもなかったんじゃない?」

のび太「セレスさんのことが好きだからじゃないの?」

ドラえもん「いや、山田くんが本当に好きだったのは不二咲さんのはずだ。だからこそ
       アルターエゴにあんなに執着したんだろうし。セレスさんのこともそれなりに
       好意はあると思うけど、いわゆる『好き』じゃないはずだよ」

のび太「ええ〜? じゃあなんであんなにこき使われてるの? へんだよ!」


腕を組んで少し考えてからドラえもんは答える。


ドラえもん「……これはぼくの予想なんだけど、嫌われたくないんじゃないかな」

のび太「あー、それなんかわかるかも。ぼくってモテないからさ、しずかちゃんに
     きらわれると思ったらどんなことでもやっちゃうかも。さすがに犯罪はしないけど」

ドラえもん「今回はセレスさんだったけど、山田くんて基本的に女の子の頼みは
       断れないタイプなんだよね。嫌われたくないから。それって普段はいい人で
       済むけど一歩間違えれば今回みたいに取り返しのつかないことになると思うんだ」

のび太「たとえば?」

ドラえもん「今回と同じさ。悪い女の人に騙されるんだよ。いいかい? 外の世界は今、
       非常に荒廃してるんだ。つまり、悪い女の人だってたくさんいるはずなんだよ」

ドラえもん「今のまま外に出しても、また今回の二の舞になる時が来るよ、きっと」

のび太「そんなこと言われてもなぁ。モテない男のえいえんのナヤミだよ、それ」

ドラえもん「どうすればいいんだろう?」

のび太「また例によってだれかに聞いてみる?」

ドラえもん「今回は今までと違って今後のことも入ってくるからね。
       出来ればぼくらの事情を知っている人の方がいいんじゃないかな?」

378 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 20:56:59.43 ID:bBMD0Uzt0

のび太「うーん……ドラミちゃんとか?」

ドラえもん「ドラミは女の子だから、男心がわかるかなぁ?」

のび太「じゃあいっそ……」


               ◇     ◇     ◇


大亜「おう、お前ら! 今度はどうした? また何かあったのか?」

のび太「お兄さん! じつは今回はちょっとソウダンがあって……」

大亜「言ってみろ。力になってやる」


               ・

               ・

               ・


大亜「…………」

ドラえもん「どうすればいいですか?」

大亜「……難しいな」

大亜「力になってやりたいが、俺や紋土とは全く違うタイプだ。俺達みたいなタイプは
    ある意味単純で叩けば直る。だが、そういうヤツは叩くと壊れたりねじくれちまうんだ」

のび太「うっ……わかる気がする」

ドラえもん「他ならぬのび太くんがそういうタイプだからね。根性なしですぐ卑屈になるし」

のび太「う、うるさいなぁ! ぼくなんてカオもあたまもわるいしスポーツもまるでダメだし、
     ぼくみたいなサエない人間は神さまに文句いうケンリだってあるよ!」

379 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 21:05:39.43 ID:bBMD0Uzt0

ドラえもん「まあ、そうだね」

のび太「そこはフォローしてよ……」ガックリ

ドラえもん「でもさあ、きみの場合それだけじゃなくて怠けているのも大きいんだよ?
       だって、ぼくが一度未来に帰るってなった時にあのジャイアンを倒したじゃないか!」

ドラえもん「石丸くんを見習いなよ! 生まれ持った才能や性質は仕方ないけど、
       努力で伸ばせるものを伸ばさないのは自分の怠慢じゃないか!」

のび太「そうやってすぐお説教する〜!」ビエーン

大亜「まあそう言うな、ドラえもん。努力も確かに大事かもしれねえが、家で勉強ばっかして
    仲間と遊ばねえのも不健全だぜ。ガキのうちはのびのび育つのが一番だろ?」

ドラえもん「だけど限度ってものがあります! 本当にのび太くんの怠けっぷりは酷いんだから!」

大亜「(よっぽど鬱憤が溜まってんだな……)それで、そのジャイアンてヤツは何者なんだ?」

ドラえもん「実はですね……」


             ・

             ・

             ・


大亜「ハッハッ! それでいじめっ子を倒したってんだな。なかなか男気あるじゃねえか」

のび太「男の中の男みたいな大亜さんにほめられるとうれしいなぁ」テレテレ

大亜「俺はな、男なら一度は魂懸けてなにかに取り組むべきだって思うんだ。出来れば
    でっかいことがいいが、別にちっぽけなことでもいい。そういう経験が男を磨くんだ」

大亜「確かにのび太は優秀じゃないかもしれねえし普段はだらしないかもしれねえ。
    ただな、目が死んでねえ。さっきみたいな経験がお前の中で生きてるからだ」

のび太「…………」

ドラえもん「経験かぁ」

380 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 21:14:38.46 ID:bBMD0Uzt0

のび太「……でも大亜さん、ぼくは勝てたからいいけど負けたら? 負けた時はどうするの?」

大亜「その時は、ああ失敗しちまったなぁっつって笑えばいい」

のび太「笑えないよ! こっちは大マジメなのに!」

大亜「まあ、最初は悔しいかもな。でもなぁ……本当に悔いがないくらい
    打ち込んだら、意外とその後はさっぱり諦めつくもんだと俺は思うぜ?」

のび太「そうかなぁ……」

大亜「ブツブツ周りに文句ばっか言ってたり、どうせ自分なんかって諦めてるヤツはなにかに
    命懸けて取り組んだことなんて一度もねえ。そういうのを本当の負け犬っていうんだ」

大亜「いいか? 必ずしも結果が出なくていい。たまには負けてもいい。ただ、自分にだけは
    負けるな。試合に負けても勝負に負けるんじゃねえ。男なら胸を張って生きろ」

のび太「うん……(うっ、なんだかすごいプレッシャーが)」

ドラえもん(大和田くんのやったことを考えると、この言葉胸に刺さるなぁ……)


  ― タイムホールの中 ―


のび太「で、結局どうするの?」

ドラえもん「うーん。少し荒療治だけど、自信をつけてあげるのが一番かなぁ」

のび太「どうやって?」

ドラえもん「なんでもいいからとにかくチャレンジさせて、周りから認められればいいんじゃない?
       超高校級の才能があるのに自信がないのは、やっぱりオタクってことに負い目があるんだ」

のび太「ぼくがジャイアンに勝ったみたいに、大和田さんとたたかうとか?」

ドラえもん「いや、ムリだろう。ガキ大将と日本最大の暴走族の総長じゃ天と地ほど違う」

381 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 21:21:00.12 ID:bBMD0Uzt0

のび太「……だよねぇ。みんな超高校級なワケだし。夢の中でもないと」

ドラえもん「夢か。……とりあえず夢の中で鍛えてみる?」

のび太「できるの?」

ドラえもん「そりゃあいくらでも。怠け者の君を鍛えるために特訓用道具はたくさんあるからね」

のび太「じゃあ、やってみようよ!」


               ◇     ◇     ◇


そしてその日の夜、二人はひみつ道具で山田の夢の中へと入った。


のび太「ここはどこだろう?」

ドラえもん「森の中だね」


女神『勇者ヒフミよ。あなたがこの世界を救うのです』

山田「僕が勇者ですか?! 異世界転生キタコレ。チートスキルください!」


のび太「女神さまに勇者? なんだかゲームの世界みたいだね」

ドラえもん「ハハーン、ファンタジーの夢を見ているんだな。だったら簡単だ。
       ぼく達はこの動物へんしんクッキーを食べて変装しよう」

のび太「森のなかまたちって感じだね」

山田「さあ、冒険に旅立つぞ!」

ドラえもん「山田くん、山田くん」

のび太「お兄さん」

山田「なんと! クマさんとタヌキさんが喋ってますよ!」

382 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 21:31:35.94 ID:bBMD0Uzt0

ドラえもん「ぼくはタヌキじゃ……!」

のび太「まあまあ。お兄さん、ぼくたちはお兄さんを助けるためにきたんだよ」

ドラえもん「きみは超高校級の才能があるけど、太ってることとか勉強や
       運動が出来ないことを本当はコンプレックスに思っているでしょう?」

山田「な、何故それを?!」

のび太「ぼくたち森のようせいだから。なんでも知ってるよ」

ドラえもん「ぼくたちがきみを強くしてあげるよ! それで一緒に世界を救うんだ!」

山田「ほ、本当ですか?! これほど嬉しいことはない!」


             ・

             ・

             ・


山田「もうムリ〜! 動けないー! ヤダー!」

ドラえもん「な、情けない……」

のび太「もうちょっとがんばろうよ……」

山田「僕なんてどうせ絵が上手いだけのキモオタデブだもーん! 向いてないんだよ! 帰るー!」

のび太「うーん、高校生にもなってみっともないなぁ」

ドラえもん「でものび太くんは人のこと言えないよ。普段こんな感じなんだから」

のび太「え? ぼくってこんな感じなの?」

ドラえもん「むしろもっと酷いし見苦しいよ」

のび太「ガーン」



「まったく……みっともないですわね」

383 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 21:43:03.49 ID:bBMD0Uzt0

スタスタスタ。


セレス「…………」

山田「な、な、セレス殿?! 何故ここに?!」

のび太「あれは、確か……」ヒソヒソ

ドラえもん「ぼくが事前に用意したセレスさんのコピーロボットだよ。山田くんが上手く出来たらご褒美に
       褒めてもらうつもりだったんだ。いつもきついセレスさんに褒められたら嬉しいだろうからね」

セレスロボ「山田君が頑張っているから褒めてほしい、と言われここへ来たのにみっともなく
       泣き言をあげているとは……あなたプライドというものはありませんの?」

山田「う、それは……」

セレスロボ「だからあなたはいつまで経っても豚なのです。この豚!」

山田「ブ、ブヒィ……」

のび太「うわあ、きっつい」

ドラえもん「コピーロボットだからね。基本は本人そっくりなのさ」

セレス「大体あなた今まで何か死ぬ気になったことはありますの?」

山田「し、死ぬ気ならコミケの度に散々……」

セレス「そんなのてめえの趣味だろうがよ! 好きなことを好きなだけやるのが自慢になるか、豚あああ!」

山田「ヒィィ!」

セレスロボ「勉強も運動も出来ないならせめて痩せろよ見苦しいんだよ! どんな食生活したらそこまで
       太るんだ、ああ?! 部屋で横になってアニメや漫画見ながら食っちゃ寝してんだろが!」

山田「うっ……否定出来ない……」

セレスロボ「その醜い脂肪を半分にするまでわたくしの目の前に現れないでくださる? では」スタスタ

山田「…………」

384 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 21:53:20.00 ID:bBMD0Uzt0

ドラえもん「えっと、その……」

山田「……もうダメ」プシュー

のび太「あっちゃー……」


その瞬間、世界が白に染まる。


のび太「あれ?! きゅうにまっ白になっちゃった?! 山田さんはどこ?」

ドラえもん「恐らくさっきのショックで目を覚ましたんだ……」

のび太「山田さん大丈夫かなぁ?」

ドラえもん「大亜さんが、あの手のタイプは叩くとねじれるって言ってたのに
       モロに叩いちゃったからねぇ……ヤケを起こさないといいけど」

のび太「明日がこわいなぁ……」


               ◇     ◇     ◇


山田「ハッ! ……ここは僕の部屋。今のは、夢か」

山田(リアルな夢だったなぁ。セレス殿なら間違いなくああ言うでしょうし)

山田(夢は深層心理の現れという……)

山田(……僕だって、本当はわかってるんですよ。でも……)


  ― 翌朝 食堂 ―


のび太「お兄さん、大丈夫かなぁ」

ドラえもん「あ、来たよ」

山田「おはようございます……」

385 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 22:06:37.01 ID:bBMD0Uzt0

石丸「おはよう、山田君! 珍しく早いな。早起きは良いことだぞ! 続けたまえ。ハッハッハッ!」

のび太(うわ……よりによって……)

ドラえもん(努力の塊みたいな人が話し掛けちゃったよ。ていうか顔色見て察してよ!)

苗木「おはよう、山田君。……何かあったの?」

山田「あ、いえ、ちょっと夢見が悪くて……」

朝日奈「そういう時は運動がいいよ! 一緒に走ってさっぱりしよ!」

ドラえもん(ちょっと、朝日奈さん?!)

のび太(やめてよ! 今その話はまずいって!)

山田「運動……」

大神「そうだな。お主は少し運動不足に見える」

舞園「いいですね! 私も参加しようかな」

ドラえもん(こ、ここでやめておこうよ!)

のび太(おねがい、みんなよけいなことは……)

霧切「たまには私も参加しようかしら」

朝日奈「お、いいねいいね! ほら、山田も!」

山田「えぇ……」

桑田「ちょーどいーじゃん。せっかくだし女子にしごいてもらえよ、ブーデー」

大和田「ちったあ痩せろ」

石丸「ウム。肥満は健康の大敵だぞ!」

386 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 22:19:22.19 ID:bBMD0Uzt0

江ノ島「マジありえないって」

葉隠「内臓に脂肪がつくと価値が落ちちまうぞ?」

ドラ・のび(あ、あわわわわ!)

山田「…………」

セレス「おはようございます」

苗木「あ、おはよう。セレスさん」

山田「」ビクッ

セレス「おや、どうしたのです。山田君? そんな鬼でも見るような目でわたくしを見て」

ドラえもん(だって鬼だもん)

のび太(おにだよね)


鬼である。


朝日奈「あ、そうだ。セレスちゃんからも言ってやってよ」

大神「お主が言えば山田も言うことを聞くだろう」

セレス「何の話をしていたんです?」

桑田「山田がブーデー過ぎって話」

ドラえもん(ま、まずいぞこの展開!)

のび太「ね、ねえ! そんなにいそいで言うことないんじゃないかなぁ? きっとそのうちやるよね?!」

石丸「そのうちでは駄目なのだ! いいかね! そのうちそのうちと引き延ばすから
    夏休みの宿題をいつも最終日に泣きながらやる羽目になるのだ!」

387 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 22:27:13.72 ID:bBMD0Uzt0

不二咲「石丸君の言う通りだよ。僕も鍛えなきゃ鍛えなきゃって思って結局先延ばしにしてたし」

のび太「それはそうだけど……」

石丸「今は若いからいい。だが肥満は成人病を誘発し、将来恐ろしい目に遭うのだぞ!」

朝日奈「そうそう。みんなあんたのこと心配して言ってんだからさ!」

大神「仲間の忠告は聞いたほうが良いぞ」

不二咲「友達が病気になったら悲しいもんね」

セレス「話は分かりましたわ。まあ、せいぜい頑張りなさい」

ドラえもん「あれ? それだけ? いつもだったら罵倒……いや、もっと厳しく言いそうだけど」

セレス「だってわたくし、山田君にはまったく期待しておりませんもの。
     召し使いとしての仕事さえ出来ればそれで十分ですわ」ニコッ

山田「」ぐっさー!

のび太「うわ……」

ドラえもん「これは……」

ドラえもん(罵倒された方がまだマシだった)

苗木「は、はは……きついね、セレスさん」

セレス「うふふ。そうですか。では、いつものように紅茶をいれてくださいまし」

山田「は、はひ……ハァ」


トボトボ……

388 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 22:44:09.40 ID:bBMD0Uzt0

のび太「あちゃあ……」

ドラえもん「流石にちょっと気の毒」

石丸「ム、いじめに見えてしまったか? だが、厳しさは優しさの裏返しだ!
    甘やかすだけでは人間は駄目になるっ! だからのび太君もちゃんと勉強……」

のび太「ひ、ひえぇ〜」

桑田「オメエは説教くさすぎ」

大和田「兄弟、朝から説教は勘弁してやれよ」

のび太(ホッ、助かった)

ドラえもん「とにかく、どうしたらいいんだろう……」

霧切「何か悩んでいることがあるのかしら? 例えば――」

霧切「……人に言えないこととか」

ドラえもん「えっ、あ、その……?!」

霧切「…………」ジー

ドラえもん「(嘘を言うとバレそうだ)なにもないよ! 山田くんに自信をつけてあげたいなって……」

霧切「山田くん? ……そうね。彼はもう少し頑張った方が良いわね」

ドラえもん「ですよねー!」

ドラえもん(うまくごまかせたみたいだ。……でもあんまり時間がなさそうだな。
       霧切さんもお父さんのこととか色々あるし。朝ごはんを食べたら作戦会議だ!)

389 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/04/30(月) 22:51:58.00 ID:bBMD0Uzt0

ここまで。

390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/01(火) 05:49:35.49 ID:L/BBSiCuO
更新乙
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/02(水) 17:16:29.71 ID:3l4lwKon0
ダイエットに最適なひみつ道具は何だろう
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/03(木) 15:37:16.15 ID:8n1kCzvv0
ヤセールトンネル
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/06(日) 23:00:17.23 ID:U/5htL0R0
そろそろかな
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/10(木) 16:50:43.01 ID:sBzCqWeh0

投下予告はツイッターでしているので、良かったらどうぞ
http://twitter.com/doctor_ronpa_K
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/05/11(金) 19:23:54.82 ID:cbmk7y+kO
主人公の霊圧が消えた
396 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/05/12(土) 22:04:48.88 ID:VGbJswOZ0

1は生きてるよー!

>>394
誘導ありがとうございます。
コピペは行頭に>を付けて頂けるとわかりやすいかもです。
397 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/05/12(土) 22:07:15.68 ID:VGbJswOZ0


  第14話 たえちゃんとおばけ寺


  ― 男子トイレ ―


のび太「で、結局どうするの?」

ドラえもん「……考えたんだけど、やっぱりセレスさんに言ってもらうしかないんじゃないかな?」

のび太「セレスさんに? ムリだよ。さっきもあんな風に言ってたじゃないか」

ドラえもん「そこをなんとかするんだよ」

のび太「なんとかって?」

ドラえもん「まあ、改心させるしかないだろうね」

のび太「どうやって? だって、あのセレスさんだよ?」

ドラえもん「舞園さんの時と同じだよ。彼女がああいう考え方になったのは
       きっと何か理由があるはずなんだ。それを探ろうと思う」

のび太「じゃあまたタイムマシンで過去に行くんだね!」

ドラえもん「行こう! セレスさんの過去を見に!」


               ◇     ◇     ◇


ドラえもん「とりあえず10年前にやってきたけど」

のび太「えっと、トチギの出身なんだっけ?」

ドラえもん「宇都宮らしい。でもかなり端の方みたいだね」

のび太「わあ! 自然が綺麗だよ」

ドラえもん「うん。でも、思っていたより随分田舎だなぁ」

のび太「たしかにセレスさんのイメージには合わないね」

398 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/05/12(土) 22:19:31.48 ID:VGbJswOZ0

ドラえもん「そこに何か鍵があるのかも。はい、タケコプター」

ドラえもん「舞園さんの時に苦労したから今回は事前に家の場所を調べておいたよ」

のび太「いつもそのくらい気がきけばいいんだけどなー」

ドラえもん「気が利かなくて悪かったね」

のび太「あ、あれ? もしかして、あそこにいるのセレスさんじゃない?」

ドラえもん「えっ、どこ?」

のび太「ホラ、あそこにいる着物を着た女の子だよ」

ドラえもん「まさか。そんなわけないよ。全然雰囲気が違うじゃないか。
       第一セレスさんが着物なんて着るわけないよ」

のび太「そうかなぁ?」

ドラえもん「そうだよ。あの子はセレスさんと違ってすごい地味だし」

のび太「言われてみたらそんな気がしてきた」

ドラえもん「それより早くセレスさんの家に行こうよ。この近くのはず」


             ・

             ・

             ・


のび太「どこにあるんだよー?」

ドラえもん「おかしいなあ。もう見えてもいいはずなんだけど」

のび太「それにしてもさっきからずっと塀が続いているね。大きな家だなあ」

ドラえもん「家じゃないよ。これはお寺だね」

のび太「フーン」

399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/05/12(土) 22:20:34.88 ID:gZcEi5yF0
名前が違うからなぁ、これはどうなる
400 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/05/12(土) 22:35:42.22 ID:VGbJswOZ0

ドラえもん「いっそ人に聞いた方がいいかもしれない。すみません!」

通行人「わあ! たぬきが歩いて喋ってる!」

ドラえもん「ボクはたぬきじゃない!」

のび太「まあまあ。あの、安広さんのお家を知りませんか?」

通行人「やすひろさん? 目の前じゃないか」

のび太「え?」

通行人「このお寺がやすひろさんの家だよ」

ドラえもん・のび太「えぇー?!」

ドラえもん「まさかこの大きなお寺がセレスさんの家だったなんて……」

のび太「信じられない。お金持ちじゃないか!」

ドラえもん「……ちょっと話を聞いてみよう。お寺ならお父さんかお母さんがいるはずだ」


二人は寺の敷地に入ると掃き掃除をしている住職に声を掛けた。


ドラえもん「こんにちは」

住職(セレス父)「おやおや、これは変わったお客さんだ。わしに何かようかい、たぬきくん?」

ドラえもん「だからたぬきじゃないって……」

のび太「ぼくたちセレス……じゃなかった多恵子さんの友だちなんです」

住職「何? 多恵子の? そうかそうか。それは良かった」

ドラえもん「よかった?」

住職「あいつにも友達がいたと知って安心したわい」

のび太「え? 多恵子さんって友だちがいないんですか?」

401 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/05/12(土) 22:48:27.05 ID:VGbJswOZ0

住職「あいつも変わり者だからな。全く寺の娘のくせして西洋かぶれで困る」

住職「セレなんちゃらとか言う変な名前を名乗ったり、本当はフランス人と
    ドイツ人のハーフだなんて吹聴して……おかげで学校では嘘つき扱いよ」

のび太「そうなんですか……」

住職「生まればっかりは本人がいくら望んでも変えられないからのう。
    だからあるがままに生きることの大切さを仏様は説いているんじゃが」

住職「ただ、寺の娘ということであいつも嫌な思いをしてきとるからのう。
    こちらとしてもあまり強く言えないんじゃよ……」

ドラえもん「イヤな思い?」

住職「墓場の隣に住んでるとかな。うちは大きいが古くてボロいから
    子供達からお化け寺とかオンボロ屋敷とか色々言われとるんじゃ」

のび太「そっかぁ」

住職「そんなわけで、これからもあいつと仲良くしてやってくれんか?」

ドラえもん「もちろんです!」

住職「おぉ、ありがたいありがたい。お礼にお菓子をやろう。こっちにおいで」

のび太「わーい。ありがとう!」


               ◇     ◇     ◇


お菓子をご馳走になったふたりは再び空からセレスの姿を探す。


のび太「あ、いたよ」

ドラえもん「やっぱり、さっきのび太くんが見つけた子がセレスさんだったんだ」

のび太「昔は着物を着てあんなに地味なフンイキだったんだね」

402 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/05/12(土) 22:59:26.29 ID:VGbJswOZ0


セレスの周囲にはクラスメイトと思しき子供達がいた。


男の子A「やーい、寺っ子! 家にユーレイいるんだろ? おばけ寺だもんな!」

男の子B「服から線香の匂いがするぞー!」

多恵子「あの家に預けられているだけよ。わたしの本当の両親はヨーロッパにいるの」

女の子「じゃあフランス語話してよ! ドイツ語だっけ?」

多恵子「……言ってもあなた達がわからないから言わない」

男の子A「うそつきー! うそつき多恵子!」

男の子B「本当はしゃべれないんだろ!」

女の子「うそつきー!」

多恵子「…………」


セレスは悔しそうにしている。


ドラえもん「セレスさん、いじめられてるんだね。かわいそうに」

のび太「でもお寺の子供だからってなんでいじめられなきゃいけないの?
     服は地味だけど顔はすごくかわいいし頭もいいのに」

ドラえもん「これは僕の推測なんだけど嫉妬じゃないかな?」

のび太「しっと?」

ドラえもん「セレスさんは綺麗だし、実家のお寺もすごく大きかっただろう?
       たぶんこの辺りの大地主なんだと思う」

のび太「地主さん?」

ドラえもん「そう。お金持ちなんだよ。彼女の着ている着物も地味だけど高価なものに見える」

403 : ◆takaJZRsBc [saga]:2018/05/12(土) 23:12:09.31 ID:VGbJswOZ0

のび太「でもお金もちだからっていじめられるならスネ夫はどうなるのさ」

ドラえもん「スネ夫くんものび太君がいなかったらいじめられてたと思うよ。
       のび太くんの方が目立つからいじめられるだけで」

のび太「どうせ僕はダメダメですよーだ」

ドラえもん「基本的に小学生は自分達と違う部分がある子をいじめるんだ。
       彼女は実家がお寺だし美人で気が強い。悪目立ちするだろうね」

ドラえもん「セレスさんは自分がいじめられる原因である実家がすごく嫌いなんだろう。
       その反動で実家と真逆の存在である西洋に強い憧れを持ったんだろうね」

のび太「だからキレイな西洋のお城に住みたいんだ……」

ドラえもん「原因はわかった。なら対策は簡単だ」

のび太「どうするの?」

ドラえもん「彼女はお寺生まれってことでイヤな思いをたくさんしてきただろう?
       だったらその反対をしてみればいい。『長所伸ばシール』」パパラパッパパー

ドラえもん「これに相手の伸ばしたい長所を書いて貼ると、周りの人が
       その長所を誉めてくれたりいいことがたくさん起こるんだ」

のび太「セレスさんにとっては欠点だったお寺生まれを長所にするんだね!」

ドラえもん「そういうこと! じゃあ早速背中に貼り付けよう」つ透明マント


             ・

             ・

             ・


セレス母「多恵子ー、買い物に行ってきてもらえる?」

多恵子「セレスティアと呼んでくれたら行ってあげるわ」

セレス母「はいはい。テレジアね」

多恵子「セレスティア!」

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