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【艦これ】戌と兎の百年戦争
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2 :
◆E7idzvHwo6
[sage]:2018/01/07(日) 21:04:45.69 ID:CTEpQFTU0
―執務室―
コンコン
ガチャ
荒潮「失礼しま〜す。提督、荒潮をお呼びですか〜?」
提督「ん?荒潮か。別に呼んでいないぞ」
荒潮「あら〜?提督が私を血眼になって探してるっていうから急いで来たのだけど〜…違ったかしら?」
提督「特に血眼になってまでお前を呼び出す用はないな」
荒潮「私のタイツが欲しくて欲しくて飢えてるって聞いたのだけど〜…違ったかしら?」
提督「絶対違う」
荒潮「あらあら。それじゃあタイツだけ差し上げて、私は失礼するわ〜」スルスル
提督「いらん!穿いて帰れ!」
3 :
◆E7idzvHwo6
[sage]:2018/01/07(日) 21:05:40.76 ID:CTEpQFTU0
〜三十分後〜
コンコン
ガチャ
大潮「失礼します!司令官!」
提督「おぉ、大潮か。相変わらず元気いっぱいだな」
大潮「はい!大潮、一年中アゲアゲです!歯医者の日を除いて」
大潮「それで、何かご用でしょうか!」
提督「んあ?いや、用なら特にはないはずだが…」
大潮「司令官が、大潮のとんがり帽子を欲しがっていると聞きました!」
大潮「愛着があるので名残惜しいですが…司令官に差し上げます!どうぞ!」
提督「えぇ?いや、どうぞと言われてもな…」
大潮「それでは大潮、失礼しますね。とんがり帽子、大事にしてください!」
4 :
◆E7idzvHwo6
[sage]:2018/01/07(日) 21:06:40.62 ID:CTEpQFTU0
〜三十分後〜
コンコン
ガチャ!
満潮「失礼するわ」
満潮「何か用なの、司令官」
提督「んー…用はなにもないんだよなあ」
満潮「は?じゃあどうして呼んだのよ」
提督「いや、そもそも俺は満潮を呼んでない」
満潮「でも、探してるって聞いたわよ」
提督「うん。実を言うとな?荒潮と大潮もさっき、そう言って俺の所に来た」
提督「その時、俺が何かを欲しがっていると言っていたんだが…お前も何かを?」
5 :
◆E7idzvHwo6
[sage]:2018/01/07(日) 21:07:12.36 ID:CTEpQFTU0
満潮「あぁ、私のドーナツが欲しいのなんのって。私、ドーナツなんて持ってないんだけど?」
提督「満潮のドーナツ……となると、それじゃないか?頭で髪の毛をくるくる巻いているやつ。フレンチクルーラーに見えるしな」
満潮「は?バッカじゃないの。食べられるわけないじゃない、髪の毛なんだから」
提督「そうだな。食べるためでなく、可愛い満潮を更に引き立てるためのアクセントだ」
満潮「どわああ!うっさい!もう、なんなのよ!用がないなら帰るわよ!?」
提督「ちょっと待った!帰るついでに、大潮にとんがり帽子を返してやってくれ」
満潮「はあ?なんで私が小間使いなんて……まあいいけど……」
提督「それともう一つ、念のために聞いておこう」
提督「お前に用を頼んだのは誰だ?」
6 :
◆E7idzvHwo6
[sage]:2018/01/07(日) 21:07:58.78 ID:CTEpQFTU0
―食堂―
卯月「ひゃあ〜っ!羊羮がおいしいっぴょん♪」モグモグ
弥生「なんだか…嬉しそう。何かあった?」
卯月「なんにもなくても、うーちゃんはいつも元気だびょ〜ん!」
如月「あら。うーちゃんたら、ほっぺに羊羹付いてるわよ。とってあげるわ」
卯月「如月ありがとぴょん♪」
如月「…はい。取れたわ」パクッ
睦月「任務明けのおやつは、特に美味しく感じられるよね♪」
卯月「これくらいのご褒美がなきゃ、やってられないっぴょん!」
7 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:08:53.20 ID:CTEpQFTU0
ガララ
朝潮「失礼します」
朝潮「卯月。話があるわ。こっちを見て」
卯月「ん〜?朝潮だぴょん。うーちゃんとにらめっこ〜?」
朝潮「違います」
如月「あら、朝潮ちゃん?そんな怖い顔しちゃダメよぉ。スマイルスマイル♪」
朝潮「私は今、真剣な話をしにきています。和やかな雰囲気は必要ありません」
睦月「あ、あれ?なんだか不穏な気配…」
8 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:09:26.15 ID:CTEpQFTU0
朝潮「卯月。あなた、荒潮たちに嘘をついたわね?司令官がお呼びだと」
卯月「あっはっはっ〜!騙されたぴょ〜ん」
卯月「でも、それくらいの嘘なら許されるぴょん。皆司令官とお話したいに決まってるぴょーん」
朝潮「何を言っているの!荒潮達に迷惑がかかっていることに、どうして気付かないの!」
卯月「ぴょん?」
朝潮「荒潮達だけに止まらず、あろうことか司令官の邪魔までして。あなたの行動は、とうてい許されるものではありません」
朝潮「卯月。あなたの行動は、前々から気になっていました。他人を小バカにしたような嘘で、無闇やたらと翻弄して。被害は多人数にまで渡っているわ」
朝潮「今回こそは、あなたが反省するまで許しません!」
卯月「ぴょー…」
9 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:10:47.59 ID:CTEpQFTU0
卯月「あはは!朝潮は大げさだぴょん。ちょっと嘘ついただけなのに。うーちゃんのは、嘘の内に入らないような嘘だぴょ〜ん」
朝「そんな言い訳は通りません」
卯月「うーちゃんだって、考えて嘘ついてるっぴょん。出撃前の子とか、忙しそうな人には絶対つかないもーん」
朝潮「そんなことが免罪符になるとでも?とにかく、卯月!」
朝潮「このままでは鎮守府の規律に関わります。よって、あなたには相応の罰を受けてもらいます」
卯月「ぴょ?罰ぅ!?」
朝潮「今回を初犯と見なして、軽いものにします。ですが、常習性が今後も見てとれるようであれば、当然重くなります。覚悟しなさい」
卯月「ぴょ…ぴょ〜ん…」
10 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:12:19.55 ID:CTEpQFTU0
如月「待って、朝潮ちゃん」
朝潮「異議を認めます。如月」
如月「確かに嘘をついたのは、うーちゃんが悪いかもしれないわ。けれど、それで罰を科すというのは、さすがにやりすぎじゃない?」
朝潮「そんなことはないわ。嘘をつくという行為が、どれだけ重いことか分かっていませんね。閻魔さまだって舌を引っこ抜く所業です」
如月「それは詭弁だわ。それに、司令官の許可は得ているの?」
朝潮「はい。司令官は、話し合った上で双方納得のできる結論を出せと仰っていました」
如月「なら、朝潮ちゃんの意見に私達は納得できないわ」
朝潮「嘘をついたのは事実です。見逃してもいい理由はどこにもないわ」
如月「荒潮ちゃん達はなんて言っているの?」
朝潮「まだ意見は聞いていません。ですが、迷惑だったに決まっています」
如月「ならば今、この場に呼んで意見を求めましょうよ」
朝潮「望むところです」
11 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:13:04.77 ID:CTEpQFTU0
睦月「あわわ…なんだか話が大きくなってきちゃった…」
弥生「…でもまあ、卯月が原因なのは間違いない…」
卯月「ていうか、うーちゃんそっちのけで話が進んでるぴょん」
12 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:13:46.13 ID:CTEpQFTU0
―十分後―
ガヤガヤ ワイワイ
なんだなんだー喧嘩かー?
やっちゃえ満潮、返り討ちだー
穏やかじゃないっぽいー
睦月ちゃん怪我しないでねー
弥生「…ものすごく注目されてる…」
荒潮「あらあらぁ、照れちゃうわね〜」
如月「ごめんなさいね、三人とも。呼び立てしちゃって」
大潮「大潮はぜんぜん構いません!」
満潮「私も構わないけどさ、今はやることないし。用件なら早いところ終わらせてよね」
卯月「あっはっは〜。三人とも見事にうーちゃんの嘘に騙されたっぴょん!」
満潮「やっぱりあったわ。卯月、歯ァ食い縛りなさい」
睦月「わぁダメダメ!満潮ちゃん落ち着いて!」
朝潮「嘘をつかれたら、怒るのが当然よ」
13 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:14:16.71 ID:CTEpQFTU0
朝潮「さて、荒潮、大潮、満潮。あなたたちは、共通して卯月の被害者です。司令官が入り用だと嘘をつき、あまつさえ三人と司令官の時間を無駄にしました」
弥生「さすがに…それは大げさ」
朝潮「そんなことはありません。仲間との信頼関係が求められるこの鎮守府において、不必要にその絆を引っ掻き回す行為は重罪とも言えるわ」
如月「朝潮ちゃん。うーちゃんの嘘は、別に誰かとの関係性を破壊するようなものではないわ。今までだって、変にこじれた人は誰もいないもの」
朝潮「たとえそうだとしても、嘘は嘘。きちんとした対処を考える必要があるわ」
如月「もう。少しは開放的に考えた方がいいわよ?四六時中、規律だ法規だと意気込んでると、疲れちゃうもの」
朝潮「私は今、卯月が嘘をついたことを問うているの。そうやって論点をずらすのは、卑怯よ」
如月「あら…言ってくれるじゃない?」
14 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:14:56.88 ID:CTEpQFTU0
満潮「ちょっとちょっと…睦月?」チョンチョン
睦月「ん?なあに?」
満潮「この二人、どうしちゃったのよ?なんだか妙にピリピリしてるじゃない」
睦月「うん…睦月たちも驚いてるよ」
満潮「どういう流れでこうなったのよ」
睦月「朝潮ちゃんが食堂にやってきて、卯月ちゃんを叱って、そしたら如月ちゃんが卯月ちゃんを庇い始めたところから…かな?」
満潮「ふうん…ウサギ一羽のイタズラなんて、そこまで目くじら立てるほどでもないでしょうに、朝潮もなにやってるんだか」
満潮「まあ迷惑だったのはそうだけど」
15 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:15:33.70 ID:CTEpQFTU0
睦月「如月ちゃんはお姉ちゃんみたいなところがあるから、卯月ちゃんを庇ってるんだと思うの」
満潮「お互い意見をぶつけて睨みあってんのね」
睦月「うん」
満潮「今のところは、どっちの意見が理にかなってるわけ」
睦月「うーん…五分五分ってところかな?」
満潮「はぁ…長引きそう」
16 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:16:35.64 ID:CTEpQFTU0
朝潮「さて。一人ずつ訊いていくわ。率直な気持ちを言ってちょうだい」
朝潮「荒潮。あなたは卯月に嘘をつかれて、どうだった?」
荒潮「そうねぇ…嘘にもいろいろあるのは分かるのだけれどぉ、火急の用だと言うのはちょっとねぇ。さすがに驚いちゃうわ〜」
如月「…まず一人目は、否定的。満潮ちゃんは?」
満潮「取り立てた用も無いとはいえ、無駄に翻弄されるのは好きじゃないわ」
朝潮「二人目も、否定的です」
卯月「ぴょーん…」
17 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:17:17.09 ID:CTEpQFTU0
朝潮「さて、最後に大潮。あなたは卯月に嘘をつかれて、どうだった?」
大潮「えーと…」
大潮「大潮は、司令官とお話できて嬉しかったです!なので、卯月さんには感謝しています!」
朝潮「えぇ!?」
如月「これで二対一、ね」ニヤリ
朝潮「お、大潮!私が訊いているのは嘘そのものであって、結果がどうとかは関係ないの!」
大潮「特に悪い気はしません。最近司令官とお話できてなかったので、楽しかったです!」
朝潮「そうじゃなくて…あぁ、これ以上聞いても変わらなさそうね」
18 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:17:53.05 ID:CTEpQFTU0
朝潮「ですが、結論は既に出ています。三人中二人が否定的となれば、やはり卯月の嘘で迷惑を被っていたということです」
如月「あら、多数決で判断するなんて一言もなかったわよ。それに、明らかに分母が足りないわ。全員が同じ意見なら考えようがあったけれど…この少なさで意見が割れたのなら、それはまだ結論が出ていないのと同じよ」
荒潮「私は司令官とお話できて嬉しかったわよ〜」
朝潮「荒潮!余計な事は言わなくていいの」
如月「結果は大勢に寄与しないんじゃなかったの?」
朝潮「うっ…」
19 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:18:54.06 ID:CTEpQFTU0
如月「この結果から、私達がうーちゃんへの懲罰を納得することは、難しいわね」
朝潮「でも!常識的に考えて嘘が許されるはずがないわ」
如月「意見が折り合うことはないわね」
朝潮「信じがたいけれど、そのようね」
卯月「うーちゃんは人を不快にさせるような嘘はつかないっぴょん!」
20 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:19:28.50 ID:CTEpQFTU0
睦月「じゃあ…どうやって話をまとめるの?」
卯月「朝潮がうーちゃんの嘘を許せば、全部解決だぴょ〜ん♪」
弥生「まったく悪びれてない…」
満潮「こっちだって、卯月が謝れば許してやるつもりはあるけど?」
荒潮「まあまあ、カリカリしないで穏便にいきましょ〜」
大潮「カリカリ梅は大好きです!」
21 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:20:11.00 ID:CTEpQFTU0
如月「さあ、どうするの?原因はうーちゃんだけど、話を焚き付けたのは朝潮ちゃん。どう決着を付けるつもりかしら」
朝潮「司令官は、お互いに納得のいく結論を出せと仰っていました。ならば、話は簡単です」
朝潮「如月。そして、睦月、弥生、卯月」
朝潮「我々第八駆逐艦は、あなたたちに戦いを挑みます」
睦月「え」
弥生「えぇ…」
如月「ふぅん?面白いじゃない」
卯月「やってやるっぴょん!うーちゃんが間違ってないこと、照明してやるぴょん!」
22 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:20:43.03 ID:CTEpQFTU0
如月「ならば、朝潮ちゃん。荒潮ちゃん。大潮ちゃん。満潮ちゃん」
如月「私達睦月型は、あなたたちの宣戦布告を受けてたちます」
朝潮「決まりね」
睦月「えぇー!そんなんで決まっちゃうの!?」
弥生「受けるって言われても…」
満潮「ふぅん。ま、下手に折れるよりはいいかもね」
荒潮「あらあらぁ、ドンパチはあまり好きじゃないのだけど〜」
大潮「お手柔らかにお願いしますね!」
23 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:21:41.75 ID:CTEpQFTU0
ー執務室ー
朝潮「と、言うことになりました」
如月「なっちゃったわぁ〜♪」
神通「……また駆逐艦の揉め事が一つ、増えるのですね。まあ、報告が何もないよりはマシですが…」
提督「まあまあ、神通。……ふーーむ、なるほどなぁ。どちらも、一歩も譲るつもりはないんだな?」
朝潮「はい」
如月「プライドを持っていれば、簡単には引き下がれないわよねぇ」
提督「うん……よし、あい分かった。それが双方で納得のいく結論なのだとしたら、俺は何も言わん」
提督「だがくれぐれも、人に迷惑のかけることは無きよう、ゆめゆめ忘れるな」
朝潮「承知しました」
如月「承りました♪」
朝潮「それでは、失礼致します」
如月「如月も失礼するわねぇ〜」
24 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:22:35.77 ID:CTEpQFTU0
神通「……はぁ。もう、また勝手に決めて……なんのために規律が存在していると思っているのですか」
提督「まあまあ、そう言ってやるな」
神通「今の言葉は、提督も対象ですよ」
提督「ははは!その通りだな。そこは反省するよ」
提督「でもまぁ、丁度いい議題じゃないか。嘘はどこまでなら許されるのか、それとも全て嘘は取り締まるべきか。道徳的な事を考えるのは必要だ。戦いにばかり明け暮れるよりは、よっぽど彼女達のためになる」
神通「正当な理由があれば勿論構わないのですが…はあ、これ以上言っても仕方ないですね」
神通「それで、提督はどちらの意見を支持しますか?」
提督「あえては言わん。一方に味方したとなれば、裁定者として相応しくない。どこからか情報が漏れるかも分からんからな」
提督「たとえば、そう。そこの棚入れの後ろに隠れている奴とかからな」
青葉「っ!?」
神通「…?…あ、青葉さん!?そこで何を?」
青葉「いや〜はははっ…司令官が駆逐艦の子からタイツを奪ったと言う情報を入手したもので…記者として、見逃せませんね!」
25 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:23:20.86 ID:CTEpQFTU0
青葉「改めまして、こんにちは!司令官、神通さん!さっそくですが、先程の噂は本当でしょうか?」
提督「事実無根だバカ野郎」
神通「あまり俗な噂を信じすぎるのもどうかと…」
青葉「俗ではありますが、だからこそ皆飛び付くんですよ!非常に分かりやすいストレートな内容ですから!」
青葉「それともう一つ、朝潮型と睦月型でなにやら一悶着ありそうと、みんな噂しております。何かご存知ですか?」
提督「知っているが、答えることはない」
青葉「えぇ〜?もったいぶらないで教えて下さいよ〜うりうり♪」チョンチョン
提督「やーめーろ」
26 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:24:05.50 ID:CTEpQFTU0
神通「ですが、提督。ああは言われたものの、もし必要以上に問題が尾を引けば、二つの派閥に悪い空気が流れます。何らかの形で、提督の介入が必要と判断しますが」
提督「んー。そうだなぁ…」
青葉「はいはい!なら青葉が方法を考えます!より面白い仲間の写真を撮ったほうが勝ち、とかどうでしょう。青葉が審判します!」
提督「アホか」
青葉「あぁーっ!?アホって言ったー!アホって言いましたね?アホって言った方がアホなんですー!」
提督「ばーかばーか」
青葉「バカって言った方がバカなんですー。司令官のばーか!」
神通「何を下らない言い争いをしているのですか…」
27 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:24:50.69 ID:CTEpQFTU0
提督「冗談はさておき…朝潮たちの件は、とりあえずこちらで預かる。必要ならばでしゃばるのも考えなければならん。そこは俺がなんとかする」
神通「クセの強い子ばかりですよ。大丈夫ですか?」
提督「ああ任せておけ。それと青葉、この事を記事にするのは禁止だ」
青葉「えぇ〜?何でですかー!弾圧ですー!」
提督「言ったろう。外部から不必要に圧力を加えるのは、あの子達に無用な競争心を生み出す。あくまであの子達の問題であり、俺は大人としてそれを見守る。余計な煽動はいらん」
青葉「競争は大事ですよ〜」
提督「今回はいらん。それだけだ」
青葉「うぅ〜…分かりましたよぉ。じゃあ、タイツの事だけネタにしますね」
提督「……まだ諦めてなかったのか」
28 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:27:59.87 ID:CTEpQFTU0
ー廊下ー
如月「うふふぅ♪さぁーて、どうやって白黒つけましょうか。何か案でもあったり?」
朝潮「簡単ですよ」
朝潮「如月、貴女は先程、言いましたね。分母の少ない多数決に意味はないと。確かにその通りだったわ。先刻の方法では統計的に有効ではありませんでした。少し熱が入っていたようです。そこは反省します」
朝潮「であれば、要望通りに分母を増やしましょう。鎮守府の皆さんにも協力してもらいます」
如月「全員にアンケートをとって回る、とか?」
朝潮「最終的にそうなります。ですがその前に…状況を同じにしなければ、それこそ意味が無いわね」
朝潮「卯月は荒潮達に嘘をついてまわった。それも再現しなければならないわ」
如月「…ふぅん…なぁるほどぉ…朝潮ちゃんの言いたいことが分かってきたわ」
如月「実際に、何らかの形で私達が皆に嘘をつくのね?その後で嘘に関する是非を問う、と」
朝潮「そういうことです」
29 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:28:38.41 ID:CTEpQFTU0
如月「ふふ〜ん…いいわよぉ♪それなら文句はないわぁ」
如月「ふふ…やっぱり真面目ねぇ、朝潮ちゃんは。そんな回りくどい方法を採っても、公平性を重んじるわけ?」
朝潮「それこそが最善である、と信じているだけです」
如月「そう…わかったわ。なら、勝負の着け方はそれでいきましょう」
朝潮「卯月たちにも伝えてください」
如月「りょうか〜い♪」
30 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:29:17.00 ID:CTEpQFTU0
朝潮「………」
如月「………」
朝潮「………」
如月「…あら、この不思議な沈黙は、な・あ・に?」
朝潮「いえ…せっかくなので、訊いておきますね」
如月「?」
朝潮「如月は、卯月を抜きに考えて、どちらの意見が正しいと思いますか?」
如月「うーん?そうねぇ…少しくらいは嘘があったほうが、華やかじゃないかしら?システマチックに物事が進めば、そりゃ確かに理想だけどねぇ」
朝潮「……そうですか」
如月「何か気になるかしら?」
朝潮「いえ、何でもありません」
31 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:29:46.27 ID:CTEpQFTU0
朝潮「それでは、私は失礼するわ」
如月「はぁ〜い♪」
32 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:30:26.22 ID:CTEpQFTU0
ー食堂ー
響「オオカミ少年?」
暁「そうよ!いらない嘘をつき続けて、最後には誰からも信用されなくなったっていう物語よ。教養として、大人として勿論暁は知ってるわ」
響「ふぅん…その物語がどうかしたのかい?」
暁「この物語は、実に色々な事を教えてくれるわ!嘘をつくことの罪、人から信用されない悲しさ、オオカミの怖さ。子供の時から是非とも一冊は家庭に欲しいわね!」
雷「オオカミの怖さを伝える物語だったかしら?」
電「そんなハズはなかったと思うのですが…」
暁「とにかく!大事なのは一つよ。嘘をついてはいけない。ただこれだけだわ!」
暁「暁も一人前の大人として、もちろん嘘なんてつかないわ。いーい?あなた達も、嘘はついちゃダメよ?お姉ちゃんが許さないから。お尻ぺんぺんの刑が待ってるわよ!」
33 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:31:17.48 ID:CTEpQFTU0
響「……ふぅん。なるほど」
響「嘘をついてはいけない。その通りだね。暁の言うことは正しいよ」
暁「ふっふーん!そうでしょ?」
響「そうか、そうだね…そうすると、私は暁に謝らなければいけないかな…」
暁「ん?なによ、響。なんか嘘をついてたの?いーわ。お姉ちゃんに正直に言ってごらんなさい。今なら許してあげるわ」
響「でも、暁が怒ってしまうかも」
暁「いーのよ。ほらほら、言っちゃいなさい!」
34 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:31:45.35 ID:CTEpQFTU0
響「……暁って、別に大人っぽくはないよね」
暁「!?」
響「というか、子供だよ。背伸びをしているのが丸わかりさ」
暁「うぐぅッ!?」
電「はわわ!?響ちゃん正直過ぎなのです!」
雷「暁が既に致命傷だわ!響、やめるなら今のうちよ!?」
響「いいや。嘘はよくない。暁の言葉に感銘を受けたからこそ、私は止まらないよ」
暁「こ…こ…これ以上、何が来るって言うの…?」
35 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:32:43.76 ID:CTEpQFTU0
響「いいかい。暁。大人はね、夜でも一人でトイレに行けるんだ」
響「ピーマンだって、たとえ嫌いでも残したりはしないのさ」
響「あと、口の周りをクリームだらけにするのは卒業した方がいい。可愛いけどね」
暁「あば、あばばばば、ばあああ」
雷「暁が壊れたわ!許容量を越えたみたい!暁、しっかりして!?」
響「響ちゃん!もう止めるのです!暁ちゃんのライフはもうゼロなのです!」
響「ふむ……まあそうだね、これくらいにしておこう」
36 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:34:00.18 ID:CTEpQFTU0
暁「…か…くは……そ、そんなぁ……」
響「暁。これは純然たる真実だよ」
暁「しん…じつ…?」
響「そう。暁は子供である。変えようのない真実さ。世界の真理だよ」
暁「真理……」
電「残酷なのです…そんな真実なら、知らないほうが良かったのです!」
雷「けれど、心地好い情報だけに目を向け続けていたら、人は成長できないわ…」
暁「う…うぅぅ…」
37 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:34:39.16 ID:CTEpQFTU0
暁「そうだったのね……暁は、子供……大人のレディじゃ…ないのね…」
響「そう…真実は、そうさ」
響「けれど、それが一体なんだと言うんだい?」
暁「……ふぇ?」
響「暁。君の魅力は、大人か子供か、そんな些末な事柄でははかれないよ。暁は、暁だからこそ魅力的なのさ。それ以上でもそれ以下でもない(と、それっぽく言ってみる)」
暁「暁の…魅力……?」
響「そうさ。暁には、暁だけの魅力がある。それこそが、ありのままの暁だよ。もうこれ以上自分を偽らなくてもいいんだ」
暁「……ひ…ひびきぃ〜〜……」
響「よしよし。今まで辛かったね。お姉ちゃんだからって、無理はしなくてもいいんだ」
38 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:35:33.84 ID:CTEpQFTU0
暁「うぅ……ぐすん…ありがとう響…暁が間違っていたわ。嘘をついていたのは、暁のほうだったのね…」
響「分かってくれれば、それでいいんだよ」
響「さぁ、私の手をとってごらん。一緒に嘘のない、公平で平等な世界にしようじゃないか」
暁「公平で平等……する!私、やってやるわ!」
響「一緒に共産主義を心に灯そう。誰もが対等な素晴らしい世界だよ。同志暁」
暁「すごい!共産主義って素晴らしいわ!」
響「ふふ……ガングートも喜ぶよ。共に赤い大地の統一を目指そう」
39 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:36:08.17 ID:CTEpQFTU0
雷「地に落ちた所に救いの手を差し伸べる…洗脳の一種だわ!」
電「宗教の勧誘かなにかなのですか…?」
響「二人も如何かな?」
雷「遠慮するわ。司令官のお世話で忙しいの!」
電「というか、共産主義ってなんなのですか……」
40 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:36:39.26 ID:CTEpQFTU0
ー鎮守府 共有畑ー
瑞穂「〜〜♪」
卯月「み〜ず〜ほ〜さーん♪」ギュウ
瑞穂「あら、卯月さん?あらあら、どうしたのですか」
卯月「にゅふふぅ〜。後ろ姿が大きなナスに見えたぴょん。つい食べたくなっちゃった♪」
瑞穂「あらあら、光栄ですね。うふふ♪」
卯月「それよりも、大変なんだぴょん!聞いてほしいぴょん!」
瑞穂「?」
卯月「来月から、資金不足と自給自足を兼ねて、新しい野菜が栽培されることになったぴょん!今すぐにでも種を蒔かないと皆が餓死しちゃうぴょん!」
瑞穂「え、本当ですか?あらあら、まあ。野菜って、なんの野菜かしら。そんなに早く育つ野菜なんてあったかしら」
41 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:37:15.72 ID:CTEpQFTU0
卯月「それが…なんと!じゃじゃん。魚雷の種だぴょん!」
瑞穂「魚雷の…種?」
卯月「そうだぴょん!妖精さんが新しく作ったんだぴょん!一ヶ月もすれば怒濤の四連装魚雷がぼかぼか採れるぴょん。もう少し待てば、無敵の八連装が生えてくるぴょん!北上さんも垂涎だぴょん!」
瑞穂「まあ!すごいものが開発されたのですね。知らなかったわ」
卯月「そうだぴょん!これはまだ極秘だけど、うーちゃんには隠し事なんて出来ないから勿論知ってるぴょん!」
卯月「ちなみに、これがその種で〜す♪瑞穂さんにあげるぴょん!」
瑞穂「よろしいのですか?ありがとう♪」
瑞穂「これが魚雷の…見た目はホウセンカみたいですね」
卯月「試しに植えてみるぴょん!来月には綺麗なお花を咲かせるぴょん」
瑞穂「そうしましょうか。皆さんのために、たくさん植えないと!」
42 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:37:46.01 ID:CTEpQFTU0
瑞穂「これをこーしてあーして、土も耕して。……はい、完了です♪あとは肥料とお水を与えれば、すくすく育ってくれるでしょう」
卯月「わーい!やったぴょん!」
卯月「それじゃあお水はうーちゃんがあげるぴょーん」
瑞穂「あまりたくさん与えすぎないよう注意してくださいね」
卯月「はーい!」
43 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:38:40.03 ID:CTEpQFTU0
ー翌日ー
瑞穂「〜〜♪〜♪」
瑞穂「魚雷のお花は〜♪血潮の香り〜♪ぱぱっと打ち出す〜二十万円〜♪」
瑞穂「……ふぅ。草抜き、終わりですね。秋になってから根草が少なくなって、助かります。この時期はやっぱり農業に向いてますね」
弥生「……すみません……瑞穂さん……あの」
瑞穂「あら、弥生さん。あらあら、いらっしゃい。千客万来ですね」
弥生「はい……お邪魔します…あの…」
瑞穂「あら、どうしました?弥生さんもお花、育ててみたくなりましたか?」
弥生「…違う。あの……これ」
瑞穂「…?布袋ですか」
44 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:40:20.15 ID:CTEpQFTU0
ちなみに瑞穂の鼻歌、真っ赤なお花のトナカイのリズムで歌うと丁度よく歌えるつもりです。
二十万円は、阿武隈のアレ。
45 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:41:31.59 ID:CTEpQFTU0
弥生「鳳翔さんから…この前頼まれてた物だって。熊本の業者が送ってくれたって…」
瑞穂「あら、そういえば頼んでいましたね。ありがとうございます、弥生さん♪」
弥生「はい……」
瑞穂「うふふ、ここ最近は、なんだか睦月型の皆さんと縁がありますね。卯月さんもこの前来られましたし、他の方にも、いつでも大歓迎だと伝えてくださいな♪」
弥生「……卯月?」
瑞穂「はい。魚雷の種をくれました。もう植えてありますよ」
弥生「……魚雷の…たねぇ…?」
瑞穂「はい♪可愛いお花が咲きそうな予感です」
弥生「……あ、ごめんなさい、瑞穂さん。それ…卯月の嘘です…」
瑞穂「あれ?あらあら、嘘だったのですか?まあ、すっかり騙されてしまいましたね、うふふ♪」
弥生「ごめんなさい……後で卯月、絞めときます…」
瑞穂「いーえ〜。嘘でもないような嘘ですから、問題ありませんよ〜」
弥生「……ていうか、魚雷の種って。なんですか。瑞穂さんももう少し、疑ったほうがいい……」
瑞穂「うふふ♪ついつい、人の言うことは信じてしまうんですよね〜」
46 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:43:14.11 ID:CTEpQFTU0
瑞穂「けれど、植物を育てたいと種を恵んでくだすった卯月さんを、私は責めませんよ♪畑が豊かになるなら、それは人の心も豊かにしてくれますからね」
弥生「はぁ……」
瑞穂「そんなわけで、弥生さんも怒らなくていいですよ♪」
弥生「はぁ……」
瑞穂「ほらほら、眉間にシワを寄せてはいけません。可愛いお顔が隠れてしまいます」
弥生「…これは素です」
瑞穂「あら…怒っていないのですか?」
弥生「怒ってないです…」
瑞穂「本当ですか?」
弥生「本当です…」
瑞穂「こころぴょんぴょんしてますか?」
弥生「してないです…」
47 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:47:00.96 ID:CTEpQFTU0
ー駆逐寮 ガンルームー
清霜「ねえ霞ちゃん!最近鎮守府では嘘を言うのが流行ってるみたいだよ!」
霞「知ってるわ。どこかの犬と卯が元凶らしいわね」
清霜「実はね、霞ちゃん。私、駆逐艦なんだよ!」
霞「なんで事実をさも嘘だと思わせたいのかしら…」
朝霜「チッチッ…甘いな、清霜は。そういう時は、こう言っときゃ霞は騙せんだよ」
朝霜「なぁ霞!お腹減ったからなんか作ってくれ!」
霞「……」
朝霜「か〜す〜み〜!お願いだよ、お腹減ったよー!」
清霜「霞ちゃーん!清霜もお腹空いたよ〜」
霞「だぁぁぁぁ鬱陶しいぃぃぃッッ!!朝潮のバカ、さっさと決着つけなさいよぉぉぉぉぉ!!」
48 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:47:45.67 ID:CTEpQFTU0
ー鎮守府 海岸沿い桟橋ー
曙「……ブゥェッッ……クシュ!!……あぁぁ、なによもう、ちくしょう…」
潮「大丈夫ですか、曙ちゃん?さっき波をおもいっきり被ったから…早くお風呂に入りましょう。体が冷えきってます」
曙「はん。この程度気にすることもないわよ。そんなやわな鍛え方してないわ」
潮「ダメです。風邪を引いちゃいます。体調不良は更なる事故の元ですよ」
曙「いーっての」
潮「よくありません。自分で入るか、私に叩き込まれるか選んでください!」
曙「いらないっての!いたいいたい、ちょっと強引に引っ張んないで!わーかったわよ、お風呂入るわよ!」
潮「よかったです」
49 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:48:28.02 ID:CTEpQFTU0
曙「はぁーもう、なんか最近、あんた乱暴になってきたわ。陽炎の悪いところばっかり吸収してるわね」
潮「そんなことありません。曙ちゃんの悪いところもしっかり吸収してます」
曙「言うわね。ま。それは間違ってないわ」
曙「とりあえずそんだけ軽口叩けりゃじょうと……ハッくしゅ!」
曙「う〜〜。悪寒も走ってきたわ…誰かが噂でもしてるのかしら……」
皐月「あれ、曙達じゃないか。お疲れ様。今帰って来たところ?ケガはないかい?うわびっしょびしょだね!近付かないで!」
曙「出会い頭に心配してるのか喧嘩売ってるのかどっちなのよアンタは!?」
皐月「あははは!もちろん心配してるよ。二人ともお疲れ様。お風呂沸いてるから、泡だらけにならないうちに入ってきなよ」
潮「ありがとうございます皐月さん。さ、曙ちゃん。早く入っちゃいましょう」
曙「わかったわよ。この期に及んで逃げないっての」
50 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:49:23.23 ID:CTEpQFTU0
ー厨房ー
皐月「ふふーん。せっかくだから何か飲み物でも持っていこうかな。どうせなら美味しいものを作ろう。そして感謝されよう。厨房って、結構いろいろ揃ってるんだよなー。前々から弄ってみたかったんだ〜」
長月「おおい、皐月。文月がお前の事を探していたぞ」
皐月「やっほー長月」
長月「……何をやってるんだ?調味料の瓶並べて、ボーリングか?」
皐月「違うよ。今ねえ、曙と潮に何か飲み物でも持っていこうかなと思ってね。あ、長月も何か考えてよ!美味しい飲み物!」
長月「あぁ、飲料物か。ふ、任せろ。この程度、私には造作もない」
皐月「お、なんか自信たっぷりだねぇ。長月って得意なの?こう、バーテンダーがカシャカシャやってるようなの」
長月「いや、そんな経験はない。そもそも飲料を合わせるというのも未経験だ。まあどうとでもなる。フィーリングだ」
皐月「そうだね。じゃあ作ってみようか」
51 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:50:09.38 ID:CTEpQFTU0
長月「とりあえず牛乳をベースにしておけば大抵飲めるんじゃないか?不味くてもスムージーだと言っておけば誤魔化せるだろう」
皐月「残念、牛乳は切らしてあるよ」
長月「そうか。では水をベースに作ろう」
皐月「それだと薄くならない?ちなみにコーラならあるよ」
長月「コーラに調味料を混ぜるのか。炭酸の効いたゴマだれとは、なかなかにカオスだな」
皐月「調味料じゃなくてもお酒とかコーヒーとかあるし。あ、アルコールとカフェインの融合とか面白そう!」
長月「アルコールで神経を鈍らせてからの、カフェインがアッパーカットを決めるわけだ。疲れが吹き飛びそうだな!」
皐月「でしょー!?それじゃあこの、ブランデー?をベースに作ってみようか」
皐月「ふーむ。ぺろ。……うわ熱い!喉が一瞬で熱くなるよこれ!」
長月「理想じゃないか!これでいい、これがいい!」
52 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:51:14.15 ID:CTEpQFTU0
長月「ところで曙と潮はアルコールが飲めたか?」
皐月「大丈夫じゃない?この前、みんなでビールを回し飲みしたじゃないか。特に変わった様子はなかったし、好んで飲まないだけでしょ」
長月「確かに。では問題ないな」
皐月「それよりさあ、このサラトガクーラーって凄い美味しいよ!誰かの作り置きかなあ、サラトガさん?」
長月「ん?これノンアルじゃないか。こっちのカンパリはどうだ?……不味い!苦い!」
皐月「うえ、こっちのパッソアもボクは好きじゃないな〜」
長月「なんだこれ、アブサン…?ぶふっ、ハハハ!阿武隈さんみたいな名前だな!」
皐月「アマレットとかいうのも、ちょっと甘すぎるなぁ〜。こんな甘いのと果物なんて合わせてたらもっと甘くなっちゃうよ。くどすぎるよ」
53 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:52:50.62 ID:CTEpQFTU0
長月「うーむ。意外と飲めないものが多いな……こんな不味いものを、よくまあグビグビとあおるものだ。サイボーグか何かか?」
皐月「僕たちはビールから始めろってことなのかなぁ」
長月「それすらも不味くて吐きそうだった。分からんものだな」
皐月「ちぇー。曙達に美味しいものを飲ませようと思ったのに、全然決まらないや」
長月「いっそのこと牛乳を潮の胸から取り出すか…」
皐月「あはは、それはいいや!あんなに大きいんだから、少しくらいは恵んで貰わないとね!」
長月「……」
皐月「……」
54 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:55:14.93 ID:CTEpQFTU0
長月「我々が飲めない酒を、無理に曙達に飲ます訳にはいかん…疲れてくたくたなのに、それは酷と言うものだな」
皐月「そうだね…仕方ない、もっと滋養が付きそうなものを作ってあげよう」
長月「うむ。滋養と言うなら、あれだな」
皐月「オロナミンCをベースにして」
長月「塩分摂取のためにめんつゆを足して」
皐月「消化を助けるためにショウガを混ぜて」
長月「味を整えるためにミルメークを加えて」
皐長「「完成だ!」」
55 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 21:57:35.14 ID:CTEpQFTU0
―脱衣場―
皐月「はいウーロン茶」コト
曙「あら、気が利くじゃない。さんきゅ………ブゥゥゥゥゥゥフゥゥゥゥゥッッッ!!!??」
潮「グムゥッッッ………!?………〜〜〜〜!!??」
皐月「わあスゴい!虹だよ虹、屋内なのに七色の虹が出来てる!雨も降ってないのに!」
長月「違うぞ皐月。雨ならちゃんと降っているぞ。二人の心の中でな!わはははは!」
皐月「あはははは!確かに降ってるね。こりゃいいや!」
曙「だったらついでに血の雨を降らせてやろうじゃないのよ!?オラー!」
長月「はははは!風呂上がりのダルい体でキレが無くなってるぞ曙。では我々は失礼する」
皐月「僕ももう行くね〜。あ、文月が探してるんだっけ?じゃあね二人とも!」
曙「待ちなさい!私らに何飲ませたのよ!?ちょっと、こらー!」
潮「うぅぅぅぅ………不味いです………あ、でも慣れるとそうでもないかも…?」
曙「冗談でしょ……」
56 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:02:19.55 ID:CTEpQFTU0
―食堂―
陽炎「ねえ不知火、このお酒飲んでみて!」
不知火「いやです」
57 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:03:16.22 ID:CTEpQFTU0
ー廊下ー
朝潮「如月。ちょっといいですか」
如月「あら、どうしたの朝潮ちゃん?」
朝潮「明確に決めていた訳ではないのですが…貴女達四人以外からも騙されたとの報告があるのですが」
如月「知ってるわよ。皆で話し合った結果、睦月型全員でやってみようという話になったからね」
朝潮「事後報告でも、事前にそういうことは知らせてほしいわね。曙たちが変な苦情を入れてきて困ってるわ」
如月「ふふ、ごめんなさい。それじゃあ今伝えたわ。ルールは全員できちんと遵守するわよ」
朝潮「むぅ……納得できる事案ではありませんね」
如月「これは私が悪かったわ。ごめんなさい。でも、私が言ったことを覚えているかしら?朝潮ちゃんの宣戦布告を、睦月型の全員で受けると宣言したはずよ。少なくともルール違反ではないわ」
朝潮「……」
58 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:04:50.10 ID:CTEpQFTU0
朝潮「確かに言いましたね。それは覚えていますし、如月から指摘されなくとも心に引っ掛かってはいましたが……」
朝潮「そういうのは、ズルいと思わないかしら。後だしジャンケンと変わらないわ」
如月「……それを言うなら、高圧的な態度の朝潮ちゃんも、ちょっとズルいんじゃない?あの時私が口を挟まなかったら、うーちゃんに無理矢理頷かせるつもりだったでしょ」
朝潮「反論があるならもちろん聞くわ」
如月「違うわ。そもそも、話し合えという司令官からの言伝ても、朝潮ちゃんは最初に言うべきだったんじゃない?私が尋ねなかったらお口チャックを貫くつもりだったのかしら」
朝潮「……」
朝潮「言いたいことがあるなら、直接言ってもらって構わないわ」
如月「朝潮ちゃんがやろうとしていることは、圧政と変わらないってことよ」
朝潮「…なるほど。別の喧嘩をお望みのようね。構わないわ。普段からデザートばかり食べて常時バルジ装甲の人には負けませんから」
如月「んなっ……!?……ふふん、如月のスリムな体つきが目に入らないなんて、測距擬が壊れてるのね。整備は初心の初心よ」
朝潮「生憎と、醜い脂肪を捉えるためには使っておりませんので」
如月「……っ……」
59 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:05:22.99 ID:CTEpQFTU0
如月「ふふ、ふふふふ……うふふ……」
如月「少し……顔貸して貰えるかしら?」
朝潮「……望むところよ」
川内「ストォォォォッッップゥゥゥゥゥゥっっ!!そぉこまぁでぇぇーー!!」
朝如「「 っ!?」」
60 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:05:56.07 ID:CTEpQFTU0
川内「あっはっはっはっ〜!やあやあ二人とも、偶然だねえ!こんなところで何をしているのかな?じっとりじめじめな空気は良くないぞ〜」
如月「せ……川内さん、どうして?」
川内「どうしてって?そうです!私が変な忍者です!って、まあまあ細かいところはいいじゃない!」
川内「ようし、じゃあ如月、一緒にお風呂に入ろうか!背中を流し合おう、湯船で遊ぼう!よーし行くぞ〜」グワシ
如月「えぇ、ちょっ!?川内さん待って!」ズルズル
川内「いやぁ、駆逐艦の子と一緒にお風呂入れて幸せだなぁ!遠慮なんてしなくていいのにさ!それじゃあまた後でね、朝潮!」
朝潮「は、はい……」
61 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:09:29.24 ID:CTEpQFTU0
朝潮「……」
朝潮「何故急に川内さんが……」
62 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:10:25.59 ID:CTEpQFTU0
ー金剛型の部屋ー
金剛「ン〜〜……少しハングリーな気分デース……」
比叡「それってつまり、私の料理が恋しいってことですよね!?」
Warspite「Reject。拒否するわ」
比叡「酷いです……」
比叡「ていうか、そんなに私の料理って不味いですか?そこまででもないと思うんですけど。確かに調味料とかは私の好みが入ってますけども……」
金剛「それじゃあ自分で作って自分で食べてみるデース(棒)」
スパ子「もし生きて帰ってこれたら、私たちも食べてもいいわよ」
金剛「ダメよウォースパイト!余計な事はミッフィー!」
比叡「分かりました!この比叡、お二人が喜んでくれるような料理を作ってきます!」
金剛「やっちまった…デース……」
63 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:11:40.63 ID:CTEpQFTU0
ー食堂ー
比叡「〜〜♪〜♪」
卯月「くんくん。なんだか料理をしている匂いが……びょわああぁっ!?」
望月「あんだよ卯月。ンな皮を剥ぎ取られたアンゴラウサギみたいな声……っ!!?」
比叡「あ、お疲れ様でーす!すみません今厨房使ってるんですよー」
望月「ひ、比叡……さん……お疲れ様…あの〜、念のため聞くけどさ、何を?」
比叡「え?見ての通りですよ。料理です」
卯月「その時点だけでも驚嘆に値するぴょん…悪い意味で」
望月「鍋の色…赤いなオイ。紅いわ」
比叡「はい!カレーの身上は辛さだって言うじゃないですか!だからとっておきの具材を入れてみたんですよ!」
64 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:12:18.63 ID:CTEpQFTU0
望月「……う、目が痛ってぇ…」
卯月「ひりひりしてきたぴょん…なんで比叡さんは平気なんだぴょん?」
比叡「へ?だって料理してるだけなんですし、そりゃそうですよ。やだな〜二人とも、科学実験してるんじゃないんだから!」
望月「まあフグは自分の毒で死なないしな……それと似た原理か」
卯月「絶対違うぴょん!体からトウガラシがぽんぽん出てきたら怖いぴょん!」
比叡「あははは〜、まあトウガラシはそのままたくさん食べるとお腹痛くなりますからね〜」
比叡「…あ、ところで二人とも、今お暇?」
望月(不味い、バスターコールだ!)
卯月(今のうちに逃げるぴょん!)
65 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:12:58.22 ID:CTEpQFTU0
卯月「い、今暇じゃな……」
望月「私は作業が残っておりますゆえ、今しばらくしたら戻らねばなりません。ですが卯月は今日非番のため、いくらでも時間が余っております。ですので卯月は暇です」
卯月「ぴょぉおおおっ!?何勝手なこと言ってるぴょん!!?」
比叡「あ、そうだったんですね!それじゃあ望月さんは残念ですけど、卯月さん、少し試食していってくれませんか!?自信作なんです!」
卯月「やぁぁぁだぁあああああ!!」
望月「それでは私は失礼しますご健闘をお祈りします我が戦友骨を拾うのは任せてくれそれじゃあな!」
卯月「もっちぃぃぃいいいいいっ……!」
66 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:14:00.60 ID:CTEpQFTU0
卯月「…」
比叡「はい!出来ました!それじゃあレビューお願いします!」コト
卯月(………うわあ、マジで赤いぴょん…)
卯月「これ…材料は何を使ってるぴょん?」
比叡「えーとですね、玉ねぎニンジン豚肉じゃがいも。普通の具材ですね!」
卯月「この赤いのは何ぴょん?」
比叡「ビリーズブートキャンプ的なトウガラシです!スタミナが付くこと請け負いです!」
卯月「絶対嘘びょん!デタラメはダメぴょん!」
比叡「え?でも卯月さん、よく嘘付いてますよね。嘘付くのは良くないですよ〜」
卯月「………何も言い返せねぇ……」
卯月「………」チラ
67 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:18:16.05 ID:CTEpQFTU0
ここのビリーズブートキャンプ的な唐辛子とは、ブートジョロキアのことです。
少し前まではギネス記録に登録されていたほどに辛い唐辛子なんですね。
ちなみに現在世界で一番辛いのは、カロナイナ・リーパー。その名の通り命を刈り取るほどの辛さを持っています。
ですが、なんとなんと、この死神を超える辛さを持つ唐辛子がただいま開発中とのことです。
唐辛子の世界は意外にも激戦区なんですね。
68 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:19:44.41 ID:CTEpQFTU0
卯月(……何度見ても、赤いのは変わらないぴょん)
卯月「これ……味見してみたぴょん?」
比叡「もちろんですよ!えっへん!」
卯月「そんな、太陽みたいな笑顔で言われると疑えないぴょん…」
卯月「………」
69 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:21:30.55 ID:CTEpQFTU0
卯月(こ、これが地獄の業火……閻魔翌様に舌を引っこ抜かれる代わりに、こんなものでうーちゃんの体は燃やされてしまうなんて…)
卯月(もしかしてうーちゃん、嘘を付きすぎてしまったぴょん?神様がうーちゃんを懲らしめるためにこんな罰を用意して……)
卯月「……」プルプル…
比叡「さあさあ卯月さん!是非是非食べちゃってください!自信作ですので!」
卯月「……う、ぉぉぉぉぉ……うーちゃんわぁ……うーちゃんわぁぁ〜……」
卯月「た、たとえこれが罰だとしても、うさぎみたいな可愛い嘘を付いてくことに変わりはないぴょん…」
卯月「だから、例えこれが致死量だったとしても、比叡さんのために嘘をつくんだぴょん!その場しのぎの悲しい嘘になったとしても!」
卯月「うおおおおおおおぉぉぉぉぉ!」
ガラララ
水無月「お邪魔しま〜す。わあ、なんだか美味しそうな匂いがするね」
卯月「へ……水無月?」
比叡「いらっしゃい水無月さん!水無月さんもこの匂いの良さが分かってくれますか!?」
70 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:22:14.64 ID:CTEpQFTU0
卯月「水無月…?どうしたぴょん、こんな地獄の狭間に」
水無月「ん〜?なんかね、もっちーが食堂にいるうーちゃんを助けてやれって。なんだ、カレーを食べてるだけだったんだね。心配しちゃったよ」
水無月「くんくん……美味しそうなカレーじゃない。少し貰っても大丈夫?」
卯月「か、構わないぴょん…」
水無月「…ぱく。うん、美味しいよ。ちゃんと食べられるようーちゃん」
卯月「え、あ、えぇ?」
比叡「やったぁ!なんだ、私の舌がおかしい訳じゃないんですよね、やっぱり!金剛お姉さまもウォースパイトさんも食べず嫌いなんだからなーもー」
水無月「勿体無いなぁ、美味しいのに」パクパクモグモグ
71 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:22:56.50 ID:CTEpQFTU0
卯月「……」
卯月(うーちゃんは知ってるぴょん。水無月はとっても優しくて、人が傷付く事は絶対にしないんだぴょん)
卯月(これは比叡さんを傷付けまいとして、嘘を付いているんだぴょん!)
卯月(証拠に、水無月の額から汗が永続的に流れてるぴょん……)
卯月「み、水無月?無理は良くないぴょん!今すぐ食べるのを止めて、牛乳を飲むぴょん!潮ちゃんから貰ってくるぴょん!」
水無月「ん?あはは、何を言ってるのさうーちゃん。僕は無理なんてしてないよ。美味しいと思ってるから食べてるんだよ」
卯月「でも汗が……」
水無月「さっきまでランニングをしていたからね。仕方ないよ」
卯月「でも目が真っ赤ぴょん!」
水無月「ランニングしながら映画を見てたんだ。スッゴく泣ける映画だよ」
卯月「でも腕が震えてるぴょん!」
水無月「貧乏揺すりみたいなものだよ」
72 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:23:59.95 ID:CTEpQFTU0
水無月「うーちゃん、いいかい。食べ物は見た目で判断しちゃダメだよ。それは人を見た目で判断するのと同じなんだ。とっても悪いことだよ」
水無月「ほら、このカレーだって、とっても辛いけれど芳醇な味わいで、唐辛子が食欲を刺激して夏なんかにはとっても人気が出そうなマズごぱァっ!?!?」ビシャ
卯月「」
水無月「……おっと、少し噎せたみたいだね。あはは、ごめんね」
卯月「吐血なのかカレーなのか判断出来ないぴょん……」
卯月「ていうか、今不味いって言った!絶対言った!!」
73 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:24:47.19 ID:CTEpQFTU0
―10分後―
水無月「ごちそうさま。ふう、全部食べちゃったよ」
比叡「ありがとうございます!如何でしたか!?」
水無月「そうだね。とっても美味しかったよ。今度は甘口も作ってみるのもアリなんじゃないかな?もしかしたら、そっちのほうが上手く作れるかもしれないよ」
比叡「はい!ありがとうございます!水無月さんからのアドバイス、忘れません!それでは金剛お姉さま達に食べさせてきますね。それじゃあ!」
卯月「……」
水無月「……」
74 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:25:41.80 ID:CTEpQFTU0
卯月「……お腹、大丈夫ぴょん?」
水無月「……うーちゃん。世の中にはね、命を懸けても貫かなくちゃいけない場面があるんだ」
水無月「きっとさっきのは、そういうことだったんだよ。比叡さん、とっても嬉しそうだったよ」
水無月「これくらい、なんてことないよ」ニッコリ
卯月(ま、眩しい……なんて眩しい後光だぴょん…!慈愛に満ちすぎているぴょん!)
卯月「これが、これが嘘を付くということ…うーちゃん、全然分かってなかったぴょん!勉強になったぴょん!」
水無月「うん。そういうことさ。みんなが、笑顔だったら、僕は、う、嬉しいな、っておも、思う…思う…ん……だよ……」フラフラ
卯月「エッ!?み、水無月ぃ!?」
水無月「」
水無月「」ドサリ
卯月「メディーーーーッッック!誰か来て下さぁぁぁぁぁい!!」
75 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:27:09.57 ID:CTEpQFTU0
ー深夜 鎮守府廊下ー
菊月「天は人を作り、そして魂を吹き与えた…それが世界の真実だ……分かるな、三日月?」
三日月「ごめんなさい。分からないわ」
菊月「ふっ…まあこれしきの事、三日月なら容易く理解してくれると信じていた……」
三日月「無理矢理話を続けるつもりね」
菊月「世界は止まらない。いずれはあるべき姿へと還っていく…それが破滅か、進化か、私はそれが見たいんだ……だからそれまで、止まるなよ。ミカ」
三日月「心配しなくても、言いふらしたりなんてしないわよ」
菊月「……なんだと、いつから嘘だと見抜いていた?そうか…それが三日月の心眼の力か…クッ…侮っていた……」
三日月「はぁ……揃いも揃って、皆卯月の話に乗っちゃって。大丈夫かしら」
菊月「こういうのは多少の面白味も必要だ……で?何時になったら、私を辿り着かせてくれるんだ、ミカ?」
三日月「はいはい。トイレはもうすぐよ」
菊月「ふふふ…この菊月ともあろうものが、突然電気が消えて腰が抜けるとはな……笑止」
三日月「それだけ元気ならもう大丈夫よね?」
菊月「あ、いや……もう少しだけ頼む……」
三日月「はいはい」
76 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:28:14.66 ID:CTEpQFTU0
ー資料室ー
神通「これは、一番の棚に。緑のラベルが張ってあるものは二番にお願いします」
朝潮「分かりました」
神通「すみませんね。雑用を頼んでしまって」
朝潮「気にしないでください。お役に立てるのなら冥利に尽きます」
神通「ふふ。相変わらず真面目ですね。朝潮は」
朝潮「人が困っていれば助けるのは当然ですよ」
神通「そうですね。でも少しくらいは、年齢相応のワガママを見せてもバチは当たりませんよ?」
朝潮「……おかしい、ですか?私がこのように振る舞っているのが」
神通「そんなことはありません。駆逐艦を取りまとめてくれて非常に助かっています。ただ、頼まれ事を嫌そうな顔で見つめる朝潮の顔も、新鮮で面白いかもしれないと思っただけ」
朝潮「そんな顔はしません」
神通「ええ。そうね」
77 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:28:50.42 ID:CTEpQFTU0
神通「朝潮は昔からそのような性格を?」
朝潮「どうでしょう……ここまでではなかったと思います。艦娘になってから更に磨きがかかったような、そんな気はします」
神通「あら……となると、船の記憶が影響を与えているのかもしれませんね」
朝潮「記憶……ですか」
神通「そう。艦娘としての使命を与えられた子は皆、大なり小なり過去の影響を受けています。ある者は性格が変わり、ある者はトラウマを与えられ、またある者は勇気に満ち溢れます」
朝潮「座学で何度か扱いましたね」
神通「そうね。だから、割りと繊細なんです。最初のうちは、意図せずして相手の逆鱗に触れるなんてのはしょっちゅうです」
朝潮「面倒なものですね」
神通「そう。面倒なんですよ。でもそうも言ってられない。現実がそうである以上、私達はそれと向き合わなければならない」
神通「人には言えないだけで、悩み苦しみあがき、けれど外では平気な顔をしている。明るい振りをしている。嘘を付くのはその防衛本能からかもしれない」
神通「なかには、そんな艦娘もいるかもしれませんよ?」
朝潮「…………どう、でしょうね。判断しかねます」
神通「ふふ。あくまで個人的な所感です」
78 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:29:37.73 ID:CTEpQFTU0
神通「よければ、朝潮が持つ記憶について、お聞かせ願えないかしら」
朝潮「私のですか?聞いても面白くないですよ」
神通「いいんです。聞くことに意味があるわ」
朝潮「……朧気なので、はっきりとはしていません」
朝潮「私が見えるのは、二つの船が沈むところまでです。交わした約束を守るために死地へと赴く己の姿。それだけが頭に残っています」
朝潮「けれど、それは誇らしげで、もうすぐにでも死んでしまうというところにあって、契りを交わした二人の船長はお互いの約束を守ることに努めたのです。結局船長は、その船と共に沈んでしまいましたが」
朝潮「その記憶に恥じることがないように生きたい。それが、常々思うところです」
朝潮「…………以上です。すみません。やっぱりあんまり纏まっていないですね」
神通「そんな事はないわ。よく分かりました。ありがとう」
神通「とても朝潮らしい記憶ですね。合点がいきました」
79 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:30:16.81 ID:CTEpQFTU0
神通「駆逐艦はその性質上、血気盛んな子がとても多いんです。トラウマよりもむしろ、獰猛な虎のように相手に襲い掛かってやろうというお転婆ばかりで。数もいますし、統率させるのは至難の業です」
神通「その中でも朝潮は、理性的に皆を取りまとめてくれる。本当に感謝していますよ」
朝潮「……そう言われて安心しました。もしかしたら迷惑をかけているかもと、たまに思ったりもしていたので……」
神通「大丈夫です。提督も、他の秘書官歴任の方々も私と気持ち同じですよ」
神通「だから、朝潮が必要だと判断したなら、今回のいさかいも必要でしょう。願わくば、全員が納得する形で決着するよう私も協力します」
神通「だから、心の感じた通りに動いてご覧なさい。それが今回の事態を解決するのに役立つでしょう」
朝潮「……はい。勇気づけられました。ありがとうございます」
80 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:30:59.52 ID:CTEpQFTU0
朝潮「ちなみに、神通さんはどのような記憶を?」
神通「私ですか?そうですね……」
神通「半身を抉られようとも真っ二つに折られようとも、ただ敵を沈めんという闘志と気迫と執念を兼ね備えた自身の姿。それが印象的ですね」
朝潮「…と、とても神通さんらしい記憶ですね…」
神通「あら…そうかしら?」
朝潮「ひっ!?も、申し訳ございません!」
81 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:33:35.63 ID:CTEpQFTU0
―港―
睦月「ねえ如月ちゃん」
如月「なあに、睦月ちゃん?」
睦月「あのね…この出撃が終わったら聞きたいことが…」
如月「そのセリフは止めてちょうだい縁起でもないわ今すぐにしましょう何でも答えるわ」
睦月「わ、スゴい剣幕…うーんとね…如月ちゃんは、なんでそんなに卯月ちゃんを
庇うのかなって。卯月ちゃんが嘘を付くのは、やっぱり悪いことだと睦月は思うんだけど」
如月「なあんだ、そんなことだったの。別に私は、うーちゃんが嘘をついてるかどうかなんて気にしてないわ。重要なのはそこじゃないわよ」
睦月「え?じゃあなんで」
如月「うふふ、決まってるわよ。姉妹艦だから、よ。うーちゃんはもちろん、睦月ちゃんも、他の皆も大切よ。それじゃあ、ダメかしら?」
睦月「ダメじゃ…ないけど」
82 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:34:08.12 ID:CTEpQFTU0
睦月「ホントにそれだけ?」
如月「もちろんよ。だって、せっかく姉妹になれたんだもの。大切にしたいじゃない?」
睦月「それは、睦月もそう思ってるよ」
如月「なら問題ないわ」
睦月「うん…」
如月「ほらほら、出撃の時間よ。行きましょう」
睦月「はーい」
83 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:35:01.92 ID:CTEpQFTU0
ー中庭ー
文月「ネコがいたんだにゃ〜、にゃ〜♪」
朝潮「突然なんの報告ですか」
文月「あのね、さっきそこの中庭でネコを見かけたんだよ〜。可愛かったぁ♪」
朝潮「へえ…それは見てみたい気もするわ。どの辺りにいたの?今もいるかしら」
文月「すぐそこにいるよ〜。出ておいで〜♪」
朝潮「ははは、そんな呼び掛けて出てくるわけが……」
にゃがつき「ところがどっこい、出てくるんだなこれが!」
朝潮「うわあ!?な、長月!なんですか、サンタみたいな格好して!?」
にゃがつき「うるさい!公式が着れと言ってるんだ。仕方ないだろう!」
にゃがつき「私とて転んだからにはタダでは起きんぞ。辱しめを受けたなら、相応に返してやらんと気が済まない。というわけで、朝潮にプレゼントをやろう!」
朝潮「何がというわけで、なのですか!」
84 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:36:45.41 ID:CTEpQFTU0
にゃがつき「知っているか?サンタクロースは夜な夜な煙突から落っこちてはトナカイを馬車馬のごとく乗り回し、世界の子供たちに笑顔とほんの少しの産業生産物を届けるそうだ」
朝潮「ヒドい言い方ね」
文月「夢がないよぉ〜」
にゃがつき「だが、真実は別にある!クリスマスは下手をすれば人類滅亡の日だぞ!」
朝潮「そんなバカなことがありますか!」
にゃがつき「まあ聞け。世界中の子供たちは何人いる?約3億人だ。そして子供がいる世帯数は、おおよそ8700万戸。その家を全て回りきるには、サンタは秒速1040キロメートルでトナカイを走らさなければならん」
にゃがつき「プレゼントの総重量はいくらだ?3億人分だから、およそ30万トン。それらを運ぶためのトナカイも、230万頭必要だ。そんなわけで、何だかんだでサンタクロース一行の総重量は87万トンにも及ぶ」
にゃがつき「そんなもんが音速を越えて移動してたら、大迷惑だろうが!」
朝潮「まあ、計算上は確かに地球滅亡レベルですが……」
朝潮「けど、実際はサンタクロースではなく、お父さんやお母さんか、それに準ずる人が代わりに配っているわ。そんなのは杞憂よ」
にゃがつき「おおっと、夢の無い話しはお断りだ!子供心は大事にしてくれ」
にゃがつき「やれやれ、仕方ないな、純粋な気持ちを思い出してもらえるよう、朝潮にはこれをやろう。受け取ってくれ」ポン
朝潮「は?はぁ…ありがとう…?」
にゃがつき「それではまたな!」
85 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:38:04.95 ID:CTEpQFTU0
朝潮「……怒濤の勢いで消え去っていったわ」
朝潮「ていうか、猫じゃないじゃない。文月ったら、嘘をついたのね?」
文月「えぇ〜?違うよぉ。ちゃんとネコはいるよ〜」
朝潮「長月ならいたわ」
文月「んーとね、えーと、なんだっけ?朝潮ちゃんが受け取ったら、このボタンを押して〜」ポチ
プレゼント「」ボッッフン!!
朝潮「ッッッ?!?!げほ、げほ!な、なんですか!?」
文月「わぁ〜、朝潮ちゃん粉だらけ〜。大丈夫?」
朝潮「大丈夫じゃないです!うぅ、なんか甘ったるいような、変な粉が…」
朝潮「…………」ペロッ
朝潮「なんですか、この粉」
文月「え〜っとねぇ、マタタビだって〜。ネコがごろにゃんするんだよね〜♪」
86 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:38:53.53 ID:CTEpQFTU0
朝潮「マタタビ?そんなものをぶち撒けてなんの意味が…」
ニャー
朝潮「ッ!?」
ニャーニャー
ニャー
朝潮「なっ!こ、この猫たち…いつのまに私を囲んで!」
茶ブチ「ニャーー!」
朝潮「ひゃっ!?なんか目を光らしてます!こないで!」
白黒「ニャニャーー!」
吊るし猫「キシャーーーーっ!!」
朝潮「きゃーーーー!」
文月「朝潮ちゃーん!?」
87 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:39:26.99 ID:CTEpQFTU0
文月「いっちゃった……」
文月「うーーん……如月ちゃんのアイデアだけど、ちょっとやりすきだのかな〜?」
文月「待って待って、朝潮ちゃ〜ん!」
88 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:41:12.16 ID:CTEpQFTU0
ー駆逐艦寮 ガンルームー
朝潮「きぃぃぃさぁらぁぎいいぃぃぃィィッッ!!?」
如月「きゃ!朝潮ちゃん?」
朝潮「なんのつもりですか、どういうつもりですか、腹積もりが見えてきません!ふざけてます!」
如月「あら、朝潮ちゃんたら猫の毛をいっぱい身につけて。楽しそうね」
朝潮「嫌味にしか聞こえません!」
朝潮「津波のごとく猫を侍らせられて……獣臭いったらありません!」
朝潮「そもそも、途中からおかしくなっていることに気が付くべきでした。嘘をつくのが悪いことか、そうではないのかを念頭に置いているはずなのに、何故イタズラが蔓延っているのですか!」
如月「それは、うーちゃんの真骨頂が可愛らしいお遊戯にあるからじゃない?」
朝潮「言葉を濁しても無駄です」
朝潮「あーもう、もう我慢できません!」
89 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:41:51.78 ID:CTEpQFTU0
朝潮「如月、そもそも話が大きくなっている原因は貴女にもあります。試合を受けたった手前私も強くは出ませんでしたが、勝手が過ぎます!」
如月「そういうのも含めて、今回係争中のハズよ。問題はないわ」
朝潮「そんな話しは出ていません」
如月「司令官は納得のいく結論を出せと、そう仰っていたわ。なら、納得のいく方法を採るのは当然よね」
朝潮「あくまで非を認めないつもりですか?」
如月「誰かが悪い、なんて極端に考えなくてもいいじゃない。もっと気楽に構えましょうよ。ね?」
朝潮「……っ、またそうやって論点をずらそうとして…」
90 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:43:07.66 ID:CTEpQFTU0
朝潮「前から言おうと思ってたわ。如月、あなたは人を煽って楽しいかしら?」
如月「あーら、そーいう朝潮ちゃんこそ、他人に主義主張を押し付けようとして、何様のつもり?」
朝潮「猫を被って愛想よく振る舞っても、性格の悪さが滲み出てるわよ」
如月「頭が固いと大変ねえ、古い価値観しか受け入れられないもの」
朝潮「髪が痛むなら、ワックスでぎちぎちに固定すればいいわ!」
如月「そんなに命令されたいなら、奴隷にでもなっていればいいじゃない!そっくりの奴隷ゲームがあるらしいわね!?ほーら、きゅうりなら畑にもあるわよ!」
91 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:43:53.96 ID:CTEpQFTU0
朝潮「ええい、ここまで話が合わないとは思わなかったわ!貴女は私が一番嫌いなタイプです!」
如月「嫌いなのはお互い様よ。優等生で提督に気にかけてもらえてるからって、調子に乗ってないかしら?」
朝潮「そんな適当なことを言わないで!だから三話で訳も分からず沈められるんですよ!」
如月「なぁんですってぇ!?後ろ姿しか出番が無い人に言われたくないわ!」
朝潮「ああ、あぁ、もう、本当にもう………我慢の限界です……!」
如月「あら、その手は何かしら?来るなら来なさいよ。受けて立つわよ!?」
朝潮「……そう出来るものなら……出来るならば……!」
ーー朝潮が、心の感じた通りに動いてご覧なさいな
朝潮「っ、やってやりますよー!」ボカン!
如月「うぐっ…!やったわねー!?」
92 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:45:04.05 ID:CTEpQFTU0
朝潮「耳年増!」
如月「堅物!」
朝潮「ただでさえ薄い装甲で私に勝てるとでも!?」
如月「生身なら大して変わらないわよ!」
朝潮「このすかぽんたんがぁぁぁっ!!」
如月「分からず屋ぁぁぁ!」
川内「遂に始まったーーーー!!神通の言った通りだ!?」
93 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:45:35.27 ID:CTEpQFTU0
川内「二人ともそこまで!喧嘩やめ、殴り合いやめ!」
朝潮「うがああああっ!!」
如月「なんなのよおおぉぉっ!?」
川内「わ、危ない!なんかこれって、私が危険かも?しょーがないなぁ…手刀、えい、えい!」ドスドス
朝潮「グアッ……」ドサ
如月「うぐ…」ドサ
川内「ふぅ……やー落ち着いた落ち着いた。あっははは!私の勝利だ!」
94 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:46:36.25 ID:CTEpQFTU0
ー執務室ー
朝潮「……」正座
如月「……」正座
提督「……ふむ、なるほど。経緯は理解した」
提督「こうなるまでに止められなかった俺にも責任がある。が、二人にも十分に非があることは、分かっているな?」
朝潮「……はい…申し訳ございません……」
如月「…ごめんなさい……」
提督「大事にならなかったのは僥光だ。それを踏まえて二人には追って罰を与える。当然、勝負は中止。以降の蒸し返しも禁ずる。どうしてもと言うなら、まずは俺に言え。以上だ」
提督「戻って良いぞ」
朝潮「…失礼しました…」
如月「失礼します…」
バタン
95 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:47:02.14 ID:CTEpQFTU0
提督「……はぁ」
提督「……」
提督「で、これはお前が仕組んだものか?」
神通「そうであるとも言えるし、そうでないとも。私は好きにやってもらって構わないと、背中を押しただけです」
提督「その結果がこれか。川内を監視に回したからいち早く気が付けたものの、賢いとは言えないな」
神通「やり方は確かに強引でした。けれど、拳を交わしたほうが、お互いに引っ込みがつくのではないかと」
提督「不良ではあるまいし、喧嘩すれば仲良くなると思ってるのか?」
神通「あの子達は駆逐艦です。どれだけ真面目であっても、その血に宿る闘争本能を押さえつけることは出来ません。なら、解放させてあげたほうがすっきりします」
96 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:48:06.44 ID:CTEpQFTU0
神通「必要なのは、あくまでもお互いが納得のいく結論を出すことです。傷も恥も共有した今なら、自身の想いだけでなく、相手の言い分にも耳を傾けるでしょう」
神通「あとはそこで、妥協点を見付けてもらうまでです。そこからは二人で解決できるでしょう」
提督「……はぁ」
提督「やはりお前は、華の二水戦旗艦だな。必要とあらば強行突破も辞さない、か」
神通「はい。私の方針に歪みはありません」
97 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:48:49.13 ID:CTEpQFTU0
ー食堂ー
朝潮「…………………」
如月「…………………」
はーい、お待ちどうさま。A定食大盛です
サンキュー間宮さん!うはぁ旨そう〜
旨そう、じゃなくて旨いのよ。ほら長波、後がつっかえてるから先行ってよ
朝潮「………………」
如月「………………」
98 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:49:24.49 ID:CTEpQFTU0
朝潮「……………」
如月「……………」
いっちばーん。馬刺とマグロの丼くーださーい!
変な組み合わせね。お腹壊すわよ
だって速く走れそうなんだもん
朝潮「………」
如月「………」
99 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:50:07.74 ID:CTEpQFTU0
朝潮「………」
如月「………」
ねえお姉さま!今度はカレー以外も作ってみますから、試食お願いしますね
ワッザ!?不幸な事故に巡り会うのは懲り懲りデース!
故郷のfish&chipsが懐かしいわね…レストランでも不味いところが多かったわ
朝潮「……」
如月「……」
100 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:51:00.10 ID:CTEpQFTU0
朝潮「…」
朝潮「…」
如月「…」
朝如「「あの…」」
朝潮「…あ、先にどうぞ」
如月「ううん。朝潮ちゃんから先に」
朝潮「えーと…あ、じゃあじゃんけんで決めましょう。最初はグー、じゃんけん」
朝潮「ぽん」パー
如月「」チョキ
如月「……で、どっちから?」
朝潮「しまった、決めてなかったわ……」
101 :
◆E7idzvHwo6
:2018/01/07(日) 22:51:48.31 ID:CTEpQFTU0
朝潮「あー、わかりました。私から、言わせてもらいます」
朝潮「個人的に、今回で一番許せなかったのは、如月が意図的に嘘をついたりイタズラをしかけたり…卯月に便乗して楽しんでいるみたいで、それがとても頭にきました」
朝潮「それでつい手が出てしまって……申し訳ありません……」
朝潮「でも、今まではそんな素振りはなかった…睦月型のお姉さんというイメージで、変な問題を起こすなんて信じられなくて……どうして今回、こんなことに?」
如月「……」
如月「船の記憶って、なんでそんなものを受け継がないといけないのかしらね」
朝潮「え?」
如月「ほんと、イヤよねぇ。ふとした瞬間に後悔だけが心に溜まるのよ。誰をも守れず、真っ先に沈んだ自分の不甲斐なさが悔しくて……もどかしくて……」
朝潮「前世の記憶…というやつね」
如月「えぇ。忘れたくても、忘れられないの」
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