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萩原雪歩「ココロをつたえる場所」
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◆kiHkJAZmtqg7
[saga]:2017/12/31(日) 20:51:26.48 ID:bbgcA4Fi0
「765プロライブ劇場ラジオ、今日は『ココロがかえる場所』CD発売記念特集をお送りしました。お楽しみいただけましたか?」
「ロコたちのセンスとパッションが余すことなく詰め込まれたスペシャルな一枚になってますから、マストでチェックしてくださいね!」
「また、わたくし達が主役の公演も予定されていますわ。もちろん、新曲も盛りだくさんでお送りしますのよ? 詳細は劇場のホームページをご覧になってくださいな!」
「CDでちゃーんと予習して、桃子たちに会いに来てねっ! お兄ちゃんたちに会える日を、楽しみにしてまーす!」
「そ、それでは名残惜しいですが、そろそろお別れの時間ですぅ。お相手は、萩原雪歩と」
「二階堂千鶴と」
「ロコですっ!」
「……と、周防桃子でお送りしました。ばいばーい!」
BGMがゆっくりとフェードアウトし、全員が一斉に息を吐いた。もっとも、その大きさや込められた感情はそれぞれに違っていたけれど。四人の中で最も小さく、事もなげに呼吸を整えた桃子が、一番に席を立った。
「お疲れ様でーす。桃子、先に荷物取ってきちゃうね」
「あ、それならロコも行きます!」
二人の声と、ロコが少し慌ただしく席を立つ音が防音壁に囲まれたスタジオに独特な響きを残す。そんな様子を見て、千鶴は椅子に深く腰掛けなおした。
「それでは、わたくしはここに残っていますわ。何か連絡があるかもしれませんから。……雪歩ちゃんはどうしますの?」
「……えっ? あ、えっと、私も残りますぅ。二人とも、いってらっしゃい」
少し反応が遅れた雪歩の声が、そそくさと出て行ってしまった二人に届いているかは少しばかり怪しいだろう。一仕事終えた感慨に浸っているのは自分だけだと気づいて、彼女は小さく苦笑した。
「雪歩ちゃん、改めてお疲れ様ですわ。率先して進行してくれたから、わたくしも話しやすくて助かりましたわ」
「ううん、こちらこそ……みんな、私なんかよりずっと堂々と話してて、見習わなきゃなって思いました」
「あら、そうだったかしら? 普段は確かに控えめな方かもしれませんが、今日はパーソナリティとしてしっかりとまとめていたように感じましたわよ?」
「いえいえ、私なんてまだまだぜんぜん…………ふふっ」
このままだとお互い意地になって褒めては謙遜するやり取りの繰り返しになってしまうな、と二人して笑った。
机の上に散らばったレターやメールを印刷したコピー紙を片付けていると、スタジオの扉が開く音がする。現れたのはスーツに身を包んだ男性……プロデューサーだった。
「二人とも、そっちは大丈夫だから支度して先に車に戻るようにロコと桃子にも伝えてくれ。俺も局のスタッフさんに挨拶したらすぐに行くから」
「わかりました。それでは、お先に失礼しますぅ」
「スタッフの皆様、本日はありがとうございました!」
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