他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
エンド・オブ・オオアライのようです
Check
Tweet
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 00:42:49.95 ID:rQqPPYkso
そろそろ話進んだかなと思ったら全然状況動いてないのね
160レス使ってこれだと終わるまでスレ跨ぎそう
162 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/22(月) 01:05:48.37 ID:0WyQqsPm0
二田さんや、北方さんの射撃によって破壊されたわけではない。元々上半分が空気が抜けたボールのようにヘコんでいたその個体の頭は、ぐしゃりと鈍く湿った音を立てて内側から砕け散る。
そして、“それ”は姿を現した。
『オギァアアアアアアアアッ!!!』
金切り声を上げるソレを“化け物”以外の何と呼べばいいのか、私の知識と語彙では解らない。ただ、ウミヘビとミミズを掛け合わせたような形状の、白くぶよぶよとした細長い胴に黒く固い光沢を放つ頭部を持ったそいつの姿は、一目見ただけで私達人間を害する存在だと本能的に理解できた。
『『『ギィアアアアアアアアッ!!!!』』』
その出現が皮切りとなったかのように、【群れ】が一斉に動きを止めて咆哮する。生々しい破裂音が幾つも幾つも重なり、胴から、頭部から、様々な箇所を食い破って同じ様な形状をした“化け物”達が這い出てくる。
(;*‘ω‘ *)「ほんっっとに冗談じゃねえっぽ…!」
群れを成し、胴をくねらせ、鎌首をもたげる怪物達の姿を前に、レボルバーに新たな弾薬を装填しながら北方さんが呻いた。
(;*‘ω‘ *)「ゾンビに怪獣、今度はエイリアン!大盤振る舞いにも程があるっぽ!」
163 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/22(月) 01:52:59.65 ID:0WyQqsPm0
『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!』
「来るぞ!撃t」
怪物の内一体が、予備動作も無しに首を伸ばしてくる。バグンッと音が鳴り、拳銃を構えようとした保安官の首が掻き消える。
この瞬間、狩りは機械的な殺戮に変わった。
「うわっ、うわっ、うぉあああああっ!!!?」
「ひっ……!?」
まるで、鳥が足下の虫を啄むみたいに。
化け物達は首を伸ばし、獲物を───つまり樹木園の中を逃げ惑う私達を、追い立て、絡め取り、食らって行く。二田さんたちが必死に射撃を加えようとするけど、凄まじい速度で自由自在に動き回る怪物に翻弄されて照準をろくに合わせることすらできない。
「く、くそ、当たらない────ぁあああああああっ!!!?」
化け物を捕捉しようとしていた保安官が、後ろから噛みつかれて高々と持ち上げられる。咀嚼音が頭上で聞こえると同時に断末魔はなくなり、ぼとりと彼の下半身が地面に落下してきた。
“暴徒”を殲滅したか撃退したらしい機動保安隊も追いついてきたけど、彼らも二田さんたち同様まともな迎撃はできていない。早々に一人が、牽制射撃を加えようとして襲撃してきた化け物に攫われた。
「正門だ、正門の方に向かえ!樹木園の中だとまともに逃げられない!」
「自殺行為です!正門にも深海棲艦がいるんですよ!」
「逃げ道がない……救助は……」
「どうしたらいいのよ……どうしたら……」
悲鳴と怒号が飛び交い、誰も彼もが逃げることも戦うことも許されずに理不尽に殺されていく。
私自身も、最早どうすればいいか解らない。目の前の惨状を、ただ呆然と眺めている。
(ああ、そっか)
ぐるぐると纏まらない思考の中で、混乱する脳の奥で、妙に冷静な部分がぽつりと呟く。
皆、ここで死ぬんだ。
「アリサさん!発煙筒を使って!!」
164 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/22(月) 02:19:40.53 ID:0WyQqsPm0
「Roger!!」
その声にすぐ反応できたのは、或いはアリサちゃんも生きることをまだ諦めていなかったのかも知れない。引き続き中等部の子を抱えながら“化け物”と追いかけっこをしていた彼女は、腰元から指示されたそれを───恐らくスパイ活動用の道具として用意していた発煙筒を抜き放ち点火する。
「私の方にも何本か寄越して下さい!とにかくありったけの本数に火をつけて!」
「OK!! ニシズミ、そっちに投げるわよ!!」
まるで手品のように、そこかしこから次々と取り出される発煙筒。どこにどうやってそれだけしまっていたのやら、西住ちゃんに投げ渡された分も含めて優に30本を越えるそれらが、点火されて色取り取りの煙を吐き出し樹木園をたちまち覆い尽くす。
『……ギ?』
『ア゛ア゛……』
そして………視界を奪われ獲物を見失った化け物達の動きが、止まった。
「はっ、諜報活動用に煙幕としても使える特注品よ!!ざまぁないわねファッキンモンスター!」
「煙幕は長く持ちません!保安官の人達も含めて、皆全速力で東へ向かってください!煙を吸い込まないよう姿勢は低くすることを忘れずに!」
煙る樹木園で、中指を突きたてた姿勢を取っていることが目に浮かぶようなアリサちゃんの台詞が響き渡る。そして、その後すぐに西住ちゃんの─────常に私達を導いてきた、“軍神”の声が続く。
165 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/22(月) 02:20:13.56 ID:0WyQqsPm0
「【真・モクモク作戦】を開始します!
目標は────戦車格納庫です!!」
.
166 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/22(月) 02:42:19.30 ID:mWaQtlnBO
秋山好子は、その光景を未だに現実のものとして受け入れることが出来ずにいた。
突如としてテレビで流れた、深海棲艦の襲来を報ずる緊急ニュースと街中に響き渡ったJ-ALERT。そして居住区の“下”から、甲板を突き破って現れた巨大な怪物───本物の深海棲艦。
既に、“信じがたい光景”については夫共々一生涯分見尽くした。ついさっきだって、“これ以上信じられないことは起きないだろう”と思った矢先にゾンビとエイリアンを掛け合わせたような怪物の群れに襲われたのだ。
今度こそもうこの先、何が起きても驚かない───そもそも“この先”とやらが存在しない可能性も大いにあったことはさておき、好子が抱いた確信は、たった五分でひっくり返された。
「………これが例の“寄生体”かしら。
確かに、司令官の言うとおりこいつらだけならものすごく弱いわね」
100体は優に超える化け物の群れをただ一人で殲滅した、目の前に立つ銀髪の美少女によって。
167 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/22(月) 03:26:42.28 ID:0WyQqsPm0
「とりあえず、このエリアは概ね殲滅した……とはいえ、問題はヌ級をどうするかよね。流石に艤装無しで軽空母と正面切って戦うのはキツいし……あ、ねぇちょっと」
「ふぁいっ!?」
「ひゃいっ!?」
大洗女子学園の方を睨みブツブツと一人呟いていた少女が、突然好子達の方を向き声を掛ける。夫婦揃ってびくりと身体を震わせ全く同時に奇声を発してしまったが、向こうはまるで気に掛ける素振りを見せない。
「貴方たち、さっきも言ったけどとっとと避難所に戻りなさい。第5指定避難所ならたまたま“寄り道”したからしばらくは安全よ。
子供が心配なら尚更、ね」
「はい……」
「本当にすみません……」
少しきつめの語尾で釘を刺され、今度は二人揃って悄気返る。
一人娘が危ない───その事を理解した瞬間、淳五郎も好子も他の事柄について冷静に考えることが出来なくなっていた。着の身着のまま店を飛び出し、避難民の流れに逆流して学園に向かい、そしてその途上さっきの化け物の群れに襲われた。
目の前の少女に諭されるまで、二人の頭からは様々なことが抜け落ちていた。自分たちだけで学園に向かったところで、それで何が出来るのか。自分たちが死んだら、それこそ娘はどうなるのか。どころか、自分たちのような素人が保安隊の避難誘導や遅滞戦を邪魔したせいで、娘の避難に影響が出たらどうするのか………
顔から火が出るどころではない。その指摘を化け物の殲滅を終えた直後の少女から受けたとき、二人の背筋は氷を直接突っ込まれたかのように冷たくなっていた。
168 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/22(月) 03:40:04.25 ID:0WyQqsPm0
「じゃあ私はこのまま学園に向かうから、ここでお別れね。
念を入れてもう一回言うけど、ちゃんと避難場所に向かうのよ」
「はい。このたびは本当にご迷惑を────」
「あの!」
「………なぁに?正直、ちょっと急いでるんだけど?」
深々と頭を下げる淳五郎の横で、好子は踵を返した少女の背に声を掛ける。冷たい眼で睨まれて少し怯んだが、それでも好子の矜持としてこれだけは聞かずにはいられない。
「貴女の名前を、教えてくれませんか?
言葉だけじゃなくて、いつかしっかりとした形のお礼をしたいんです」
「………お気持ちは嬉しいけれど、ごめんなさい。私、名乗れるような大層な者じゃないのよ」
少女は束の間眼を丸くした後、手元に拳を当ててクスクスと笑みを漏らした。
「ただの“追っかけ”だもの、大洗女子学園戦車道チームの、ね」
169 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/22(月) 03:44:36.57 ID:0WyQqsPm0
今更新ここまで。大変だ2時間しか寝られない。
>>160
の点は私としても課題・反省点だと思っておりました。ご指摘いただきありがとうございます。
また23:00頃に再更新できればと思います。
170 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/22(月) 03:45:37.29 ID:0WyQqsPm0
返信先修正
>>160
×→
>>161
○
失礼致しました。
171 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 06:01:04.78 ID:uBHoYMTF0
つまんね
172 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 08:31:11.47 ID:vPFTGTXA0
おつです
叢雲は叢雲で対処しながらだったのか
…というか目の前の惨状に怯まないヒロインの方がやべえw
>169 これだけの密度と更新頻度で書いてくれる人の方が稀なので気にしなくても…そもそも書き手に注文付ける方がアレなんだし
てか数えたら40レス近く話の中身と関係無い無駄話が続いてるだけだから、そこまで気にしなくていいかと
173 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 11:22:15.37 ID:AxRoM7fWo
お疲れ様です
174 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 11:22:44.38 ID:AxRoM7fWo
お疲れ様です
175 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 12:09:16.64 ID:J8WQk23q0
乙
アリサの活躍が嬉しい
そして西住流が半端ない
176 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/22(月) 18:00:16.39 ID:bXVZMii5o
おつ
177 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/23(火) 23:23:04.56 ID:Ks7nPssD0
《番組の予定を変更して、引き続きニュースをお送りします。大洗女子学園甲板上に深海棲艦が出現してから1時間が経過しましたが事態収拾の目処は未だに立っておらず、生徒・教員・居住者の安否が気遣われます》
《大洗町は引き続き県警、自衛隊、艦娘による全住民の避難誘導が行われています!沖合いには激しく炎を噴き上げる大洗女子学園の艦影があり、町の人達が避難しながら心配そうに振り返る様子が見られます!》
《警視庁、並びに各県警はパニックの拡大を防ぐため主要地域に機動隊を配備。また、各学園艦における生徒・居住者の退艦誘導と学園艦保安隊による艦内の安全確認も急ピッチで進められていますが、進捗は芳しくありません》
《政府は先程、南鳥島方面から本土に接近する敵艦隊と自衛隊・艦娘部隊が 交戦状態に入ったと正式に発表しました。詳細な戦闘経過は開示されませんでしたが、戦況は優勢であるとのことです》
《在日米軍のポージー=ハメルス司令官は、全戦力を上げて自衛隊・艦娘部隊に協力する用意があると表明。既に三沢基地からは、南鳥島方面の深海棲艦攻撃に向けて第35航空団全機が離陸した事を明らかにしています》
《中華人民共和国の外交部は、“友好な隣国である日本の危機は、我々の危機も同然である”と声明を発表。
また、“軍事的な支援は惜しまない”と迎撃作戦への参加の意思があることを示唆しました》
《専門家、並びに各人権団体からは、深海棲艦に“意志”がある以上対話による解決を試みるべきではないのかという声が上がっています》
《マレーシア、インドネシア、タイ、台湾など東南アジア各国は既に日本・アメリカと全面的に連携する旨を発表》
《“新型”深海棲艦攻撃作戦に投入される戦力は、【第二次マレー沖海戦】に匹敵する史上最大規模のものになると予想されます》
《24x7より、衝撃のニュースをインド国民の皆様にお伝え致します。
政府は先程、アラビア海において深海棲艦の大規模な浮上を確認したという情報を開示。欧州派遣のため近隣海域に停泊していたインド・アメリカ・日本3ヵ国連合艦隊が襲撃を受け、現在交戦状態にある模様です》
178 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/24(水) 00:11:25.61 ID:tuxLkFI50
「────で、結局あれから状況はどうなってんだよクソ眼鏡」
「誰がクソ眼鏡だ。
……何一つとして変わっておらん。状況は常に、“最悪”を更新し続けているのである」
「大洗女子学園は全域で完全に通信が途絶、他の学園艦や沿岸部の避難は人員の不足から遅々として進まず混乱に対する備えから戦力抽出も滞っている。
防空機動艦隊も再編や洋上退避、“支援の用意”と表して領海沿いに武装漁船を並べ始めた中国に対する備えなどで対応に回せるのは【いせ】と【もがみ】だけだ。
第2防空機動艦隊の【かが】じゃあパイロットの一人が暴力沙汰を起こして営倉行きになった」
「第2っていったら、空自の最精鋭集めた花形ではありませんでしたか?」
「流石の取材力であるなパパラッチ重巡。何でも、大洗女子学園に深海棲艦が現れたと聞いた途端半狂乱で無断出撃しようとして取り押さえられたらしい」
「最精鋭がそれとは大分末期だな、名は変われど日本の軍人だというのに肝が据わっていないのはいただけん」
「ええ、【かが】の乗組員はダメダメね、【 か が 】の乗組員は……いだだだだだだっ!!?」
「頭にきました」
「いやマジで頭にキテるから!ちょっ、ツインテールの片方に全体重かけるのやめろ!!」
「たまご」
「いやどっから出したその卵焼き」
「如何なる時でも貴様ら変わらんな本当に」
179 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/24(水) 01:04:54.13 ID:tuxLkFI50
「まぁまぁイボ痔マン、いい加減慣れなよ。そして禿げろ」
「我が輩の遺伝子に賭けてぜってえ禿げねえ。あと後ろ手に隠し持ってる練り辛子しまえクソガキ。
……深海棲艦側の攻勢は、恐らく開戦最初期のものすら凌ぐ過去最大規模のものだ。今確認されているのは南鳥島、フィリピン海、そして今さっき情報が入ってきたアラビア海の3ヶ所だが、今後攻勢地点は加速度的に増えていくことになる」
「間違いなく、此方は手数が足りませんね」
「察しがいいな。他国や他地域の“海軍”からの増援は期待できん。否、来ないことが確定しているといって差し支えはないのである。
……特に、オーストラリアとニュージーランドは致命的な損害を受けておりそもそも増援を出せるような余力がない」
「……天下のアメリカ軍に“海軍”の艦娘部隊まで参加して、しかも指揮はてめえが取ったのに足止めすら出来なかった相手、か」
「いやぁ楽しみですね!!今からわくわくが止まりませんよ!!!」
「えっ、なんで満面の笑みなの怖い」
180 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/24(水) 01:53:27.08 ID:tuxLkFI50
「………頼もしい反応であるが、今回は少し本気で忠告させて欲しい。
奴は────【学園艦棲姫】は、今までの深海棲艦とは比べものにならん重大な脅威だ。“格”や“ケタ”ではなく、“次元”が違う。
それに大洗女子学園の件も、未だかつて前例がない事象だ。どのような事態が発生するのか、我が輩にも全く予想が付かない」
「……ロマさんでも、ですか」
「正直、貴様らを投入するかどうかも最後まで迷った。だが、3ヶ国分の戦力を叩き潰した化け物を倒せる可能性がある艦隊も、これほどの災禍を乗り切れる猛者も、我が輩には貴様らしか知らん」
「“最も強い駒を、最も厄介な場所に”ってか」
「下策中の下策だ。そして………我が輩には、その“下策”以上の策がどうしても思いつかなかった」
「あぁ確かにな。脳筋の俺でも解るクソ策だ」
「っ、すまn」
「───だが、俺は乗る」
「………」
「てめえはクソ眼鏡だし、ロリコンだし、キングダムの49巻俺より先に読んだ挙げ句その事をわざわざ電話で自慢してきたし、冷血非道のロマさんだが」
「お前それホントやめろ」
「テメェは少なくとも、思考停止して無謀な策に飛びつくようなオツムの人間じゃない。
杉浦六真がそれしかないと踏んだなら、策は本当に“それしかない”んだろうよ」
「……………」
「さぁ、准将殿。いつも通り、俺たちに命じろ。
とっとと俺たちを、解き放て」
「……………………全く、貴様と話していると頭痛が治まらんな」
( ФωФ)「“海軍”准将杉浦六真より、【地獄の血みどろマッスル鎮守府】全艦に命ずる。
いつもの如く、敵を殺し尽くせ」
( T)「承った、『准将』殿」
181 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/24(水) 01:55:18.06 ID:tuxLkFI50
盛大な修正入れざるを得ずKONOZAMA.
明日(今日)からようやく学園艦棲姫と殴り合います
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/24(水) 03:39:31.56 ID:LNPzFPjEo
しょうがないことなんだろうけど、こういうのって主要な登場人物とかは結局死なないんだろうなぁってご都合主義に思えてしまう
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/24(水) 10:16:58.22 ID:BRJ2gAvA0
キングダムの新刊もコンビニに置かれるようになって嬉しい
破滅が目の前に迫っても、お花畑とお隣さんのブレなさにワロタ
…てか総力戦とは言え瑞鳳も出るのかw
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/24(水) 10:21:25.87 ID:BRJ2gAvA0
>>182
手法というべきなんだろうけど、「化け物の暴走を凌げずに全滅しました、バッドエンド」じゃ文字通りお話にならないし。
諸々あるけどそこをどう描くかが腕な訳で。
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/24(水) 11:24:05.67 ID:C4tWa+pz0
だが面白くないのが致命的
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/24(水) 20:29:16.46 ID:u6ue/bknO
拗ねるからあんま言うな
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/24(水) 21:49:04.89 ID:h+U5N2UZ0
乙
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/25(木) 07:24:31.56 ID:fVCmGkwnO
自演してしまうから中々書き込めないんやろなぁ
189 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/25(木) 10:01:06.61 ID:WlNx4HUP0
大幅な書きためタイムに入るためしばらく更新止まります。
ご了承下さい。
1/26からの更新再開を予定しております
190 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/25(木) 10:01:34.25 ID:WlNx4HUP0
28日のミスですorz
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/25(木) 11:08:38.97 ID:AiqnzzCXo
お疲れ様です
気にすんな
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/25(木) 12:07:28.69 ID:jSd4mgfv0
こりゃ嫌われるわけだ
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/25(木) 19:05:24.78 ID:5P3ZArel0
構わん
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/25(木) 21:32:54.16 ID:+YM5pjmA0
おつおつ、待ってますよ〜
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/26(金) 17:31:51.40 ID:xkEv6TjkO
面白くなるのこれ?
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/27(土) 20:45:26.91 ID:t5PaRYJuO
なるとでも?
197 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/28(日) 20:36:21.07 ID:P6+LOOVt0
どうせ自演するさ
198 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/28(日) 23:07:41.88 ID:JMvyrWZc0
日米と東南アジア諸国連合────所謂【ASEAN】が、深海棲艦との戦争が始まる以前より中華人民共和国という仮想敵国を共有していたことはある種の幸運といえるかも知れない。
対中協調外交の下で行われた日本とアメリカによる大規模な“投資”を受け、ASEAN加盟各国は空軍・海軍を中心に戦力の増強と最新鋭兵器の導入を促進した。タイ王国の航空母艦【チャクリ・ナルエベト】の竣工──空母ヌ級に早々に沈められたが──や、マレーシア空軍のF/A-18D保有数増大などがその成果の表れだ。
もしもこの時の急速な軍備増強がなければ、開戦当初行われた深海棲艦による苛烈極まる攻勢をこれらの国々が耐え抜くのは不可能だったに違いない。また【艦娘】の実装に伴い行われた大規模反攻作戦において、ASEAN各国と日本が見せた強固かつ迅速な連携も「対中協調外交」が下地にあったからという面は確かに存在する。
ただ背景はどうあれ、東南アジアは日米の、特に日本の経済支援によって陥落を免れた。そして、艦娘実装後は日本の軍事支援によって制海権の奪回に成功した。
大打撃を受けた深海棲艦がアジア方面での活動を沈静化させて以降も、両者は相互防共協定を正式に締結するなど関係を強めていった。今やASEANは、アメリカやドイツ、ロシアと並ぶ日本の重要な同盟勢力の一つとなっている。
199 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/28(日) 23:12:45.67 ID:JMvyrWZc0
尤も、両者の歩み寄りはあくまでも外交的な判断の結果に過ぎない。
ASEAN加盟国にとって、日本は艦娘という強力な【兵器】を多数保有する「アジアの盾」である。同時に未だに同じ人類への牙も隠そうとしない中華人民共和国への抑えにもなり、自国の安全保障の観点から見てその存在は何者にも替えがたい。
日本にとって、ASEANほど都合のよい“友好的な周辺国”は存在しない。ドイツほど遠くなく、韓国と違って価値観の共有ができ、アメリカのように艦娘の利権を水面下で激しく奪い合う必要もない。素直に此方の庇護を受けてくれる一方で共闘に値するそれなりの軍事力も有し、しかも潤沢な市場を提供してくれる存在は、日本からすればこの上なく都合がよかった。
そこに、世間が夢見る「国家間の有情」や「人類の共和」といった美しい思想は介在しない。あるのはただ、「互いの国益に見合うかどうか」、ギブとテイクは見合っているのかという政治的判断の世界のみ。
だが、友情だの理念だのの不確定な要素がないからこそ、両者が結んだ“防共協定”の効力は絶大だった。互いが互いにとって“有益な存在”である以上、失わえば著しく“国益”が損なわれる。故に日本と東南アジア諸国連合は、互いの危機を看過することができない。
実際【第二次マレー沖海戦】では、日本は東南アジアの防衛に文字通り死力を尽くした。極秘裏に“海軍”を動かしてまで守りざるを得ないほど、【絶対優位が確立された市場】が失われることは日本としては避けねばならなかった為だ。
フィリピン海防衛線を突破し日本領海へと北上を続ける“新型”深海棲艦の存在は、ASEANにとって日本の【マレー沖】と同等………否、“それ以上”に重大な事象だった。
200 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/28(日) 23:54:22.33 ID:JMvyrWZc0
日本の失陥とは即ち、アジアにおける艦娘戦力の完全喪失とほぼ同義だ。もしもこれが現実になれば、いかに戦力増強を進めてきたとはいえ独自に保有している艦娘が皆無で深海棲艦への有用な迎撃手段を持たない東南アジアは──のみならず、本来なら中国や韓国、北朝鮮も──誇張抜きに国家存亡の危機に直面する。
フィリピン海防衛線崩壊と、“新型”の日本本土への北上は、詰まるところASEANにとっても全く他人事ではない。
そのため、彼らは日本の要請に──────
─────【学園艦棲姫】攻撃作戦に、文字通り総力を挙げての参加を余儀なくされた。
201 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/28(日) 23:55:47.51 ID:JMvyrWZc0
復帰更新体調の関係もありましてたった3Pですが一旦終了です、明日から本格復帰させていただきます
第一次更新は昼頃を予定しております
202 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/29(月) 01:18:13.73 ID:MXT9+GUNo
お疲れ様です
203 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/29(月) 01:42:24.61 ID:wknXyXSA0
おつおつ
日本のおかげで友邦以外の余計な部分まで守られるってのも皮肉過ぎるなw
204 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/29(月) 10:36:32.27 ID:cL4m4hmkO
働けニート
205 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/29(月) 17:31:32.90 ID:MBaCdNhro
>>204
お前モナー
206 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/30(火) 11:17:00.31 ID:43zTCo6g0
>>205
顔赤くしないで働けニート
207 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/30(火) 13:58:17.66 ID:2NfYnN+bo
ゆっくりでもいいからちゃんと完結させておくれ
208 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/30(火) 19:46:44.71 ID:0ZiRSFXd0
↑ここまで自演
↓ここからも自演
209 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/30(火) 23:01:34.64 ID:LBS9mjJd0
軍事学者のフレデリック=フラーが提唱した【戦いの原則】の1つに、“物量の原則”がある。軍事行動の際には戦闘力を決定的な地点と時点に集中させるべきとする、所謂【戦力の集中運用】の重要性を説いたものだ。
太平洋上に集結した連合空軍の規模は、この原則を十二分に満たしたといえる。
9カ国、764機。在日・在韓米軍のF/A-18Fスーパーホーネットを主力として、これに航空自衛隊のF-15J並びにF-2支援戦闘機、更に本来退役間近のF-4EJ改と防空指揮艦【いせ】より飛び立ったF-14J 16機が加わる。日本政府の要請に応え、中華民国空軍────台湾空軍からもF-KC-1、F-16が合流している。
そしてASEANは、マレーシア、フィリピン、カンボジア、インドネシア、タイ、ベトナムがそれぞれ保有する戦闘機の7割を出撃させた。特にマレーシア空軍は、虎の子のF/A-18D全機を投入という大盤振る舞いだ。
この時点で、数的な面だけでいっても一年前に行われた【第二次マレー沖海戦】の実に1.5倍に相当する。これにグアム島から離陸したB-2爆撃機と護衛のF-22及びF-35を加えれば、最終的な機体数は900に迫る。
最早現実味に欠けるほどのこの大編隊が、1隻の深海棲艦を迎撃するために差し向けられた。全く事情を知らない人間が見れば、例え相手が【棲姫】だとしても首を傾げるに違いない。
深海棲艦はあくまで近代兵器が相手取るには“相性が悪い”というだけであり、よくあるファンタジーもののようにダメージを与えられないというわけではない。仮に深海棲艦が連合艦隊規模だったとしても、これほどの航空兵力からの攻撃となれば最初の一撃で塵芥すら残らず全滅する。
ましてや相手は、【棲姫】とはいえたった1隻。常識的に考えれば、連合空軍に負ける要素はない。
210 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/30(火) 23:13:05.13 ID:LBS9mjJd0
だが、参加したパイロット達の中には、勝利を確信している者も、状況を楽観視している者も、一人としていなかった。
たった、1隻。
その1隻に、フィリピン海の防衛線は崩壊した。オーストラリア空軍、ニュージーランド海軍、そしてアメリカ海軍の原子力潜水艦に、数十名の艦娘までが迎撃したにもかかわらず、その悉くを退けて“棲姫”は………【学園艦棲姫】は日本への進撃を続けている。しかも交戦した部隊から入ってくる断片的な情報によれば、敵に損害らしい損害は全く見られないという。
歴戦のパイロット達は、誰もが険しい表情で自分たちが進む方向を見つめる。
今から自分たちが立ち向かう敵は、今までの深海棲艦と“何か”が決定的に違う────そんな漠然とした“予感”が、彼らの胸の内には渦巻いていた。
211 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/30(火) 23:59:30.68 ID:LBS9mjJd0
尤も、彼らが自分たちにとって都合が良い事態が起きることを全く想定………というよりは、“期待”していなかったわけではない。
オーストラリア、ニュージーランド、そしてアメリカ。3ヶ国の海軍・空軍に艦娘まで加わっての攻撃を受けて、本当に「損傷無し」という状況はあり得るのか。
或いは防衛線の部隊がうまく確認できなかっただけで、本当は敵に大きな損害が発生しているのではないか。
可能性が低いことは解っている。それでも、もしかしたらが起きているのではないか───願望だけなら、恐らく航空隊のほぼ全員が微かながら抱いていただろう。
そして。
《─────Engage》
そのささやかな希望的観測は、“それ”を目にした瞬間に掻き消える。
212 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/31(水) 00:39:52.11 ID:ojDau+AZ0
(;●゚ ゚●)《………》
日本航空自衛隊の築辺三等空佐の脳内では、世界的な怪獣王のテーマソングが流れ出していた。
£;°ゞ°)《…………Oh my god》
在日米空軍のロミス=J=ノートン中佐は、【インディペンデンス・デイ】でシティ・デストロイヤーと遭遇したときにスティーブン=ヒラー大尉がどのような心境だったかを正確に理解した。
(,,;゚ ゚) 《…………》
マレーシア空軍のギャシャー=アブー=バクル中尉は、故郷のラヤンラヤン島の海でダイビングの最中にサメに遭遇したときの事を思い出していた。
彼ら三人を含め、連合空軍のパイロット達が思い浮かべた情景や事柄は様々だ。クトゥルフ神話の生物を真っ先に連想した者もいれば、子供の頃に読んだセイレーン伝説が脳裏を過ぎった者もいる。築辺のように昔見た怪獣映画の記憶が蘇った者、自分が猛獣に襲われる様を想起した者、溺れて深い海の底に沈んでいくような気分に陥った者………本当に多種多様だが、ただ一つ、“恐怖”の感情が併せてわき上がるという点だけは共通している。
そう、恐怖。
【学園艦棲姫】のその姿を目にした瞬間から、幾度となく深海棲艦と戦ってきた歴戦のパイロット達が恐怖していた。
213 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/31(水) 23:27:21.07 ID:ojDau+AZ0
アマニェセル号。かつてブラジル共和国連邦が保有していた学園艦だ。ポルトガル語で“夜明け”を意味する艦名を授かり、世界で唯一の“帆船型”として知られていた。
六年前、深海棲艦の空襲によって3700人の生徒・乗員と共に海の底に沈むまでは。
£;°ゞ°)《……間違いない、確かに沈んだはずの【アマニェセル号】だ。クソッ、事前情報通りか》
(;●゚ ゚●)《確かに、形状はそうだが……しかし、あれじゃまるで》
まるで、幽霊船じゃないか。そう続けそうになった言葉を、築辺は無理やり呑み込む。
全長3200m、全幅870mなんて大きさの“帆船”など、過去の歴史を紐解いても他に存在しないのは確かだ。ジェイムズ=クックの乗船として名高い【エンデバー号】に意図的に似せてある少しずんぐりとした船体の輪郭や、船尾に翻る水平線から顔を出す太陽を模した学園旗も併せて、目の前のコレが学園艦アマニェセル号であることは疑いようがない。
だが、“世界で最も美しい学園艦”と謳われた面影は微塵も残っていない。
太陽の光をイメージしてオレンジ色に塗装されていた船体は、中ほどから上が漆黒の装甲に覆われ鈍い光沢を放っている。喫水線付近の塗装と木板は剥がれ落ち、その下からは錆び付いた鉄の船体が剥き出しになっていた。舳先の下部に備え付けられた人魚の像は腕と頭がもげ、緑色のこけと海藻に纏わり付かれた上此方も赤黒い錆に浸食されている。
そして何よりも異様なのは、甲板上に鎮座する巨大な影だ。
(,,;゚ ゚)《アレは、一体何なんですかね……》
£;°ゞ°)《わからないが碌なものじゃないのは確かだ》
本来メインマストがそびえているはずの位置────丁度船体の中央部に当たる場所で“それ”は頭を垂れている。
全長200mはあるだろうか。背面は甲板同様漆黒の甲殻に覆われる一方で、胴体の前面部分はぬらぬらと湿った青白い身体が剥き出しになっている。腰から下には足のような部位が見られないどころか、完全に船体部分と融合しているようだ。
214 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/01/31(水) 23:49:49.90 ID:ojDau+AZ0
顔と思われる部位には眼がなく、代わりに左眼にあたる位置からは船の錨を連想させる形の物体が垂れ下がり、右眼からは中世に使われていた大砲のようなものが突き出す。樹齢うん百年の大樹のように太い腕は、両方とも手首の部分に腕時計のように2連装砲が括り付けられていた。
『─────』
連合空軍は更に接近するが、“それ”は相変わらず甲板の真ん中で両手を着き、頭を下に向け続けている。攻撃をしてくる様子も、艦載機などを繰り出す素振りも見られない。
ただ喫水線の辺りで泡立つ波が、“それ”が尚も前進していることを示していた。
(,,;゚ ゚)《これが“棲姫”なら、あの真ん中の奴は特殊随伴個体って事ですかね。動かないけど、眠ってる、のかな……》
£;°ゞ°)《だとしたら大層ありがたいが、ミーが記憶する限り深海棲艦が戦闘の真っ最中に寝るなんて聞いたことないね。
それに、コイツの姿はどっちかというと────》
(;●゚ ゚●)《────まるで、騎士が主からの命令を待って膝を突いてるように見えるな》
ロミスの台詞の後半を受けて築辺が答えた、その時。
『───────ゴォアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!』
おもむろに顔を上げた怪物が、咆哮した。
(;●> <●)《………ッ!!!》
700機分の戦闘機が奏でるジェットエンジンの音を容易く掻き消し、そもそも防音性能が極めて高い風防ガラスを突き抜けて、帆船のような形のくせに蒸気船の汽笛を思わせる怪物の吠え声が築辺の鼓膜を揺らす。機体全体がびりびりと震動しているような錯覚を受け、思わず操縦桿を握る手に力がこもる。
一瞬朦朧とした視界の端に、何機かの友軍機が揺らぐ様が映る。
(;●゚ ゚●)《っ、とんでもねえバカ声出しやがって!!》
215 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/01(木) 00:13:20.44 ID:yfYfLkIn0
じわりと、掌に汗が噴き出る。
深海棲艦の鳴き声は基本的に聞くに堪えない騒音である上音量も尋常じゃないため、しばしばあれもまた立派な攻撃の一つだと揶揄されることがある。築辺も知識として元々その事は知っていたが、今の咆哮は比喩表現ではなく明らかに物理的な衝撃が襲ってきた。
仮に今の声のせいで墜落機が出たと言われても、築辺は───のみならず、航空隊のパイロット達は納得するだろう。
『ボォオオオオアアアアアッ!!』
もう一度、怪物は咆哮する。今度のものも十分に大音声ではあるが、それでも最初のものに比べれば声量は落ちている。
………ただそれは、“口内から単装砲が突き出たため”という物理的な要因も影響している筈だ。更に両腕も甲板から離れ、手首の連装砲が鈍い駆動音と共にゆっくりと仰角を調整し始めた。
《空中管制機【Sky-Eye】より航空隊各機、敵が“お目覚め”だ。攻撃を開始しろ!》
£;°ゞ°)《言われるまでもないさ、あぁ!!》
管制機からの指示が飛ぶと同時に、ロミスが先陣を切る形で航空隊から一部の機体が突出する。
一部、と言っても規模が規模だ。実に200に迫る戦闘機が、第1波攻撃をかけるべく一斉に眼前の巨大船を照準に収めた。
£#°ゞ°)《Weapon Free!!
USFJ-AF-Knight-01, FOX-3!!》
(●゚ ゚●)《JASDF-Swallow-01, FOX-3 FOX-3》
(,,#゚ ゚)《RMAF-Wyvern-01, FOX-3!!》
凄まじい数の対地・対艦ミサイルが、無線で飛び交う発射符号と共に船体或いはその上の怪物めがけて殺到する。
鳴り響く轟音。オレンジ色の炎が海面を照らす。
216 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/01(木) 00:43:17.47 ID:yfYfLkIn0
だが、それらは怪物にも船体にも届いていない。
200発近いミサイルは、悉くが【学園艦棲姫】の手前や上空で炸裂してしまっていた。まるで、“見えない壁”にでもぶち当たったかのように。
《Negative, Enemy have no damage》
£;°ゞ°)《Jesus!!》
管制機からの無情な報告を無線越しに耳にしながら、ロミスが機首を反転させつつコックピット内で毒づく。
£;°ゞ°)《これまた事前情報通りだ!
Knight-01より各機、学園艦棲姫には“船体殻”がある!注意しろ!》
船体殻。主に艦娘と、ヒト型の深海棲艦が身体の周囲に展開する不可視の防壁の総称だ。
非ヒト型種の甲殻や艦娘の艤装装甲をそのままバリア化したようなものと言えなくもないのだが、此方は全身を完全に覆い尽くす上に出力が落ちるまでは攻撃を“絶対に”通さないという特性がある。
特筆すべきはその高い耐久力で、既存の陸上兵器の場合相当な集中運用が為されない限り短時間で破ることは難しい。例えば第4世代戦車一両で破ろうとするなら、睦月型駆逐艦の船体殻さえ六時間ほど砲撃を続けてようやく中破に持ち込めるかどうか。
この尋常ならざ高耐久について研究者の一人がある仮説を提唱し、現在ではそれが主流となっている。
即ち、艦娘やヒト型深海棲艦の船体殻とは、“軍艦そのもの”が人間大の防壁として圧縮された存在ではないかというもの。
もしもこの論に基づき、かつ学園艦棲姫が展開しているものも同じであると仮定するなら………それは、棲姫の周囲にもう一隻分“不可視の学園艦”が防壁として展開しているのと同義となる。
217 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/01(木) 01:41:03.27 ID:gDAMGdxA0
おつおつ…てかでけえww
この化け物ですら無理ゲーなのに、各方面で更に戦禍が膨れ上がるのか…
218 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/01(木) 01:47:13.34 ID:yfYfLkIn0
(;●゚ ゚●)《実質的には学園艦を2隻沈めにゃならんのかよ、後続部隊含めてもミサイルが足りるかどうか解らんぞ!》
(,,#゚ ゚)《それでもやるきかありません!Wyvern、反転し再度攻撃に移ります!》
《Tiger、Wyvernの突入を支援する!》
ギャシャーが率いるF/A-18Dの編隊が翼を翻してもう一度棲姫に機種を向け、これに台湾空軍のF-CK-1が続く。より低空域から突入し、更に至近距離からミサイルを撃ち込もうと32機の戦闘機が肉薄する。
(,,#゚ ゚)《Wyvern-01, FOX-3!!》
《Wyvern-04, Fox-3》
《Tiger-01, FOX-3 FOX-3》
《Tiger-15, FOX-3!!》
《Bingo, Bingo》
32発のミサイルが空を駆け、舳先で障壁に衝突し爆炎を撒き散らす。
無論、近距離から撃ち込んだとはいえ200発近いミサイルで効果がなかった障壁がたかが30発で揺らぐはずもない。管制機からは弾着が報告されるが、現段階ではあくまで“正常に起爆した”程度の意味合いだ。
(,,;゚ ゚)《っ、これも効果無し……》
£;°ゞ°)《当たり前だ、先走るな!全機一度隊列を再編、文字通りの一斉射撃で────Wyvern、避けろ!!!》
(,,;゚ ゚)《えっ………うわぁああっ!!!?》
『ボアアッ!!』
右舷側の船体殻に沿う形で飛行していたギャシャーのコックピットに、黒い影が降りる。慌てて操縦桿を左に倒した動きは、怪物の右腕が振り下ろされるよりもコンマ一秒だけ早かった。
凄まじい炸裂音と共に舞い上がる水飛沫。その中を切り裂いて、ギャシャー達Wyvern編隊が這々の体でロミス達の元へ退却してくる。
(,,;゚ ゚)《死ぬかと思った!死ぬかと思った!!》
£;°ゞ°)《フィリピン海防衛線を一方的に粉砕した個体だぞ、不用意が過ぎる!航空隊全機、全火力を一斉に投射し………》
怪物の背中に、いつの間にか瘤のような黒い塊が幾つも隆起している。
その正体が連装式の機銃でしかも自分たちに銃口を向けていると気づいたとき、ロミスの口から自然と舌打ちが漏れた。
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/01(木) 21:43:31.17 ID:0INaXDE40
乙す
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/01(木) 22:05:33.76 ID:khdJyFNXo
乙です
221 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/01(木) 23:21:29.57 ID:yfYfLkIn0
£;°ゞ°)《Break Break Break!!!!》
(;●゚ ゚●)《クソッタレ!!》
『ゴォアアアアッ!!!!』
怪物が前傾姿勢を取り、ロミスの絶叫が響く。散開運動に移った連合空軍を、“弾幕”と呼ぶに相応しい膨大な量の銃火が襲う。
《I'm hit!!》
《Oh my god……I'm going down》
《Shit, Hornet-02 Lost!!》
ロミスの判断と指示が功を奏し、航空隊の散開は迅速に行われた。だがそれでも、怪物の放つ凄まじい対空射撃の前に幾つもの機体が黒煙を噴き上げながら眼下の海へと落ちていく。
£;°ゞ°)《Sky-Eye、無事か!?》
《Sky-EyeよりKnight-01、我々は無事だ。しかし10機近い味方が撃墜された、敵は尚も攻撃を続けている!》
£;°ゞ°)《見れば解る状況を丁寧にご説明いただき感謝するよ!!》
怪物の背に現れた機銃群は、弾丸を吐き出しながら射線を扇のように両側に広げつつある。まさに薙ぎ払われる形で追い立てられる連合空軍の中から、更に数機が機銃掃射の火線に追いつかれて火達磨と化した。
£;°ゞ°)《半端に纏まるな!一度陣形を完全に崩して火線の軌道上から確実に逃れろ!》
《我々が奴の気を引く、その間に主力部隊は戦力の損耗を抑え態を立て直せ!》
連合空軍の後方に位置していたため射線からいち早く離脱できていたベトナム人民空軍のMig-21が、棲姫の右舷側から大きく回りこむようにして突撃する。
《Griffin-01, FO》
(,,;゚ ゚)《なっ……》
船体の右側面で光が瞬いた。
先頭を切っていたMig-21が、火の玉と化して海面に叩きつけられる。
222 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/02(金) 00:01:40.95 ID:hS0zNcy70
Griffin-01を撃墜した攻撃は、船体右舷側面に開いた5m四方の“砲門”から飛来したものだ。
さながら19世紀頃の戦列艦を思わせるそれが、一つ二つどころではなく何百、何千。それこそ全長3200mの船体の側面全域に満遍なく口を開けている。
突き出している兵器が時代遅れのカノン砲辺りなら、或いはまだ希望があったかも知れない。だが実際に砲門から顔を覗かせるのは、六連装式のガトリングガンや高角砲、単装砲、連装対空機銃など。
早々に指揮官機が消失して束の間呆気にとられていたGriffinチームに向かって、無数の兵器群が無慈悲に砲火を浴びせかける。
《どっから射撃を────ぐぁっ!?》
《Griffin-05もやられた!!》
《此方Griffin-02、隊長機ロストに伴い指揮を引き継ぐ!Griffin全機に通達、攻撃を中断して上方に離脱せよ!》
《Griffin-11、右翼に被弾!高度を保てなi》
《ダメだ、落ちます!》
一方的な虐殺に等しかった。
無線機越しに聞こえてくる阿鼻叫喚。通信が次々と砂嵐に変わった後途切れていき、火線に貫かれた機体が彼方此方で錐揉みしながら墜落する。
ようやくGriffinが重厚な弾幕を切り抜けたとき、機体は突貫時の半分以下まで減っていた。
《当編隊損害大!再編のため一時後退する!》
《管制機より航空隊全機、隊列再編が完了次第各自反撃に移れ!攻撃の手を緩めるな、とにかく奴の進軍を止めろ!》
£;°ゞ°)(簡単に言ってくれるネ!!)
ロミスはコックピットの中で再び舌打ちした。手を緩めるななどと言われても、既に200発を越えるミサイルを撃ち込んでけろりとしている相手にどんな工夫をしようというのか。
そもそも向こうにとって本当に“攻撃”になっているのかさえ怪しいところだ。
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/02(金) 00:17:50.31 ID:fxdeHtvt0
ゴミやね
224 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/02(金) 06:49:00.87 ID:hS0zNcy70
だが、他の選択肢が用意されていないのも事実だ。【学園艦棲姫】の戦闘能力が未だ健在である以上、奴が日本本土に近づくほど住まう国民が危険に晒される。
確かに自分はアメリカ人だが、所属は“在日”米軍だ。第二の故郷に、あのクソッタレた化け物の毒牙を届かせるわけにはいかない。
£;°ゞ°)《Knight-01よりGriffin-02、棲姫の側面武装はどの辺りまであった?!》
《舳先からケツまでびっしりだ!弾幕は突破不可能、おそらくミサイルも途中で撃墜される!》
£;°ゞ°)《ならば喫水線付近への攻撃は無理だネ!
Knight-01より全機に伝達、攻撃は船体の上部に集中!》
怪物がなおも放ち続ける弾幕から逃れるべく一度距離を大きく取りつつも、ロミスの乗るF/A-18Fは旋回してもう一度機首を学園艦棲姫に向ける。彼の部下と、連合空軍の他の機体も次々とその動きに習った。
£#°ゞ°)《一斉に突入すればかえって弾幕による迎撃を容易にする、全方位からの波状攻撃で迎撃を飽和させるヨ!
All unit, Follow me!!》
(●゚ ゚●)《Swallow-01, Roger》
(,,#゚ ゚)《Wyvern-01, Roger!!》
各編隊隊長からの──それぞれ訛りたっぷりのやや聞き取りづらい──英語での返答を耳にしつつ、“波状攻撃”の先陣を切るべくロミスと在日米空軍機が【学園艦棲姫】へ再び突撃。また、ロミス達を支援するためインドネシア空軍のSu-30 8機が後続する。
225 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/02(金) 22:30:48.72 ID:hEif7d7Q0
£#°ゞ°)《Knight-01, FOX-3!!》
《Knight-02, FOX-3》
《Pegasus-01, FOX-3》
『オォオオオオッ!!!』
放たれたミサイルはたったの24発。当然船体殻を破れる火力ではない。それでも挑発としては十分なようで、怪物は咆哮をあげてロミス達に火線を集中させてくる。
《Arrow-01, FOX-3》
《Arrow-04, FOX-3》
そこへ、すかさず別方向から【いせ】のF-14Jによる射撃が着弾。コールサインに準えて放たれた音速の「矢」が12発、左舷側から殺到した。
《Bingo!! Bingo!!》
『ゴァアッ!?』
効いたというよりは面食らった様子で、怪物が攻撃を受けた方向に顔を向ける。だが、この時点で既に更なる追撃が迫っていた。
(,,#゚ ゚)《Wyvern-01, FOX-3!!》
(●゚ ゚●)《Swallow-01, FOX-3》
『グォオオオオッ!!?』
今度は右舷側。空自とマレーシア空軍による連携射撃が炸裂する。
F-2戦闘機が腹に抱えているのはXASM-3。自衛隊が開発した最新鋭の空対艦ミサイルで、弾頭重量だけで900kgを越える大物だ。F/A-18Dが抱えているような、本来空対空として使われるミサイルとはワケが違う。
着弾点を中心に広がる、巨大な火の玉。
『ボゥアアアアッ!!!』
甲板上の怪物は呻き声のようなものをあげ、船体殻に阻まれてその表面を焦がす炎から逃れようとするかのように身を捩る。
まだ大ダメージには程遠いだろうが、やはり最初の攻撃も含めて“全く効いていない”というわけではなさそうだ。
【学園艦棲姫】は、明らかに攻撃を受けることを嫌がっている。
226 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/02(金) 22:47:40.40 ID:hEif7d7Q0
連合空軍による波状攻撃は止まらない。五波、六波、七波と入れ替わり立ち替わり戦闘機が肉薄し、ミサイルを船体殻に叩き込んでいく。
多少の撃墜が出たとはいえ、残存機数は優に700を超える。攻撃の手数には困らない。
《Red-01, FOX-3!!》
《Lightning-09, FOX-3 FOX-3》
《War Dog-11 FOX……No!?》
無論、攻撃手段と攻撃ポイントを切り替えたからといってロミス達の側に損害が出ていないわけではない。最大仰角で放たれる船体側面の対空砲群と怪物の背中から生える多数の機銃座による弾幕に捉えられた機体が、火を噴きながら落ちていく様子も時折見られる。
しかしながら、船体からの砲火は濃密でこそあれ構造上の問題で取れる仰角が浅い。そのため、7割近い弾幕が現在の連合空軍の高度には届かず結果としてロミス達の攻撃を許す大きな隙を生んでいた。
『ウォオオオオオッ!!!』
《Tiger-01より各機、目標は現在海上で完全に停止した。奴さんどうやら俺たちを本格的に迎え撃つ腹づもりらしい》
£#°ゞ°)《臨むところだヨ!全機怯むな!攻撃を続行せよ!!》
それに、ロミス達の練度の高さは尋常ではない。深海棲艦と長らく───それこそ艦娘実装前から戦い抜いてきた精鋭揃いである彼らは、700機での連携戦闘という途方もない行為をスムーズにこなしながら巧みに弾幕を擦り抜け攻撃を当てていく。
227 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/02(金) 23:27:43.95 ID:hEif7d7Q0
最初に【学園艦棲姫】を目にしたときに航空隊を押し潰しかけていた恐怖や威圧感は、いつの間にか消え去っている。
損害は出てこそいるが極めて軽微に抑え、目標の第一段階である敵の“停止”も果たした。加えて、本当に少しずつではあるが敵はダメージを受けている───これらの事実が、ロミス達に自信を与えた。
だがその一方で、誰も油断や慢心はしていない。翻弄できているとはいえ敵の攻撃の威力は此方を一撃で粉砕し得るものだし、正直ここにある700機分のミサイルを全て撃ち尽くしても船体殻すら破れないかも知れない。
恐怖や緊張はないが、さりとて油断も慢心もない。自然体でありながら、集中力は途切れていない。ほぼ全員が、現状パイロットとしては理想的な状態になったといえる。
《Hammer-01, 位置に着いた》
《Hammer-06, ターゲットを捕捉》
《Viper Team、Hammerに後続。これを掩護する》
延べにして何十度目かの航空攻撃。ロミスとは別のF/A-18Fの編隊に護衛されて棲姫に接近するのは、Mig-21と共にベトナム空軍が投入したSu-30の4機編隊三つ。
彼らが腹に抱えるのは、旧ソ連が開発した空対艦ミサイルKH-35だ。海自のXASM-3には性能も威力もやや劣るが、それでもやはり空対空ミサイルの何倍も破壊力は大きい。命中すれば相応のダメージにはなる。
そして、目標は何せ3200mだ。電子妨害や対空砲による撃墜を避けるため肉薄する関係もあって、外しようはない。
『ヴォオオオオオオッ!!!!』
怪物が接近してくるSu-30に気づき、背中の機銃群の弾幕を其方に向ける。が、射線の隙間を巧みに擦り抜けて、航空隊はミサイルが確実に当たる距離まで更に近づいていく。
《Hammer-12, FOX-3────ウアッ!?》
そしてミサイルが放たれる直前、編隊の内1機が突然下から伸びてきた“何か”に貫かれて砕け散った。
228 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/03(土) 00:00:23.67 ID:tQ9g1u1X0
音速に近い速度で飛行していた機体が、突然の衝撃によってバラバラになる。当然破片は、物理法則に従って凄まじい速度と勢いで周囲に飛び散った。
《………What??No───》
《Damn………I'm?hit!!》
粉砕されたHammer-12の尾翼が、後方を飛んでいた機体のコックピットに突き刺さる。隣の機体は千切れたエンジンが右翼に直撃し、バランスを崩すとそのまま海面に叩きつけられる。
《攻撃中断、離脱しろ!Griffinの二の舞になるぞ!》
《クソッ、何が────うわっ!?》
隊長機の判断は早く、HammerもViperも攻撃経路から外れて離脱を謀る。だがその後ろから追いすがってきた“何か”が、最後尾のF/A-18Fを捕らえ、巻き取った。
《Ahhhhhhh!!!?》
《Fuck───》
《No no no……uh》
真っ二つにへし折られたF/A-18Fの残骸を投げつけられ、回避しきれなかったSu-30が巻き込まれて1機爆散する。これを逃れようとした別のスホーイは、急な旋回軌道をとった結果棲姫の船体殻に激突して爆炎の花を空に咲かせる。
分散して各方面に脱出を計った残りの機もまた、学園艦棲姫の対空砲火に捕まって次々と撃墜されていく。
ただそれは、甲板上の怪物が背中から放った機銃掃射ではない。船体側面から“伸びた”それらに、彼らは為す術が無かった。
《…………Viper and Hammer, All Lost. I repeat─────》
やがてロミス達の耳に届く、空中管制機からの冷酷な報告。
そんな彼らの心情を嘲笑うかのように。
『─────キァアアアアアアアッ!!!』
船体側面から伸びた────白い胴を伸ばし鎌首をもたげた“連装高角砲”が、ガラスを引っ掻いたような甲高い鳴き声を上げた。
229 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/03(土) 00:09:29.46 ID:tQ9g1u1X0
一度切ります
明日(2/3)にマッ鎮登場予定
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/03(土) 01:22:52.53 ID:fb34gLVA0
おつおつ、エグ過ぎワロタ
人類側の優位がある内は…な展望だったのに計り知れないなw
231 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/03(土) 12:38:02.17 ID:Sx4qd5nY0
つまらなさが加速するな
232 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/03(土) 17:30:19.92 ID:2smGJZYto
お疲れ様
233 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/05(月) 00:52:29.58 ID:bRFg68U50
もうやんなくていいよ
234 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/05(月) 03:36:08.03 ID:bVjCUCbC0
マダー?
235 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/05(月) 23:01:23.62 ID:mjJD5y2K0
波状攻撃という戦術の特性上、“棲姫”にある程度接近していたのは殲滅された2チームだけではない。連装高角砲がそのおぞましい姿を露わにした時点で、既に80機を越える機影が次の攻撃に繋げるため突貫を開始してしまっている。
(,,;゚ ゚)《嘘でしょ………!?》
その中には、ギャシャーが率いるWyvern編隊も含まれる。
《敵艦、“艤装”を周囲に展開!!》
(,,;゚ ゚)《急旋回、退避しろ!Break, Break!!》
車は急に止まれないというが、マッハで飛び回る戦闘機はなおのこと。凄まじいGに身体を押し潰されそうになりながら、攻撃軌道から離脱しようと必死に操縦桿を左に倒す。
結果論でいってしまうなら、ギャシャーのこの動きは最悪に近い。旋回運動のため減速しつつ無防備な横腹を見せる彼女の編隊を、“それら”は────次々と砲門から這い出してくる、無数の対空兵装群は見逃してくれなかった。
『『『キィアアアアアアアアアアッ!!!!』』』
癇癪を起こした赤ん坊の金切り声を思い起こさせる鳴き声を合唱させながら、単装砲が、機関砲が、高射砲が、三連装砲が、蛇の如く身体をうねらせて迫ってきた。速度それ自体は戦闘機に遠く及ばないが、向こうには何せ全長3700mの船体を隙間無く埋め尽くすほどの“数”がある。
《た、隊長……!》
(,,;゚ ゚)《畜生!!》
四方八方から迫り来るそれらの射線から逃れようと、更に無茶な旋回運動を強いられるWyvern編隊。堪えきれず失速した1機が隊伍から脱落し、たちまち真上から単装砲が吐き出した砲弾を受けて爆散する。
236 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/05(月) 23:18:58.57 ID:mjJD5y2K0
《Wyvern-10 Lost!!》
《敵艤装群、一斉に起動!クソッタレ、撃ってくるぞ!》
(,,;゚ ゚)《回避に全神経を集中しろ、反撃しても意味は無い!なんとかしてコイツから離れるんだ!!》
《ダメだ、弾幕に退避軌道が塞がれている!!》
ギャシャーも、マレーシア空軍への志願入隊以来5年に渡って深海棲艦と戦ってきた人間だ。まだ年若い身ながら歴戦のパイロットと言って差し支えなく、数多くの修羅場をくぐってきた。当然深海棲艦が物量に飽かせて展開してくる圧倒的な弾幕に相対したことも一度や二度ではないし、或いは火線それ自体の量という面では18隻もの姫級が集った【第二次マレー沖海戦】の方が強烈だったかも知れない。
《右翼に被弾、失速する……ダメd》
《Wyvern-05がやられました!!》
(,,;゚ ゚)《……っ!!》
しかしそんな彼女でも、“三次元的に展開された対空砲火”の直中を飛行したことは一度も無い。
(,,;゚ ゚)(そこら中から攻撃が飛んでくる、目の前が火線で真っ赤になって退避経路もまともに探せない……!)
200m程度には達そうかという長い胴を巧みに伸ばし、ギャシャーらを周囲から包み込むようにして銃口を向けてくる“艤装”の群れ。右から、左から、前から、後ろから、そして上からも下からも。本来“対空砲火”としては有り得ない角度からでも容赦なく飛来する攻撃は、歴戦のパイロット達と言えど完全に躱しきることは不可能だ。
237 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/05(月) 23:58:57.97 ID:bRFg68U50
はいクソ
238 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/02/06(火) 00:34:07.42 ID:aOfDMcbiO
粘着質過ぎて怖いわ
リアルで出会ったら顔引きつる感じの人
239 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/06(火) 13:00:27.14 ID:cRnAItAF0
猛烈な十字砲火の中で、ギャシャー達は必死に棲姫から距離を取る。だが、蠢く“艤装”とそれらが放つ弾幕の前に編隊飛行の維持すら困難になり、1機また1機と部下が脱落していく。
《Wyvern-07、高角砲に後ろに着かれた!振り切れな────》
《Wyvern-06、被弾!エンジンがやられた!》
《Wyvern-15、墜落する!》
(,,;゚ ゚)《クソッ……!》
彼女達が艤装群の火線から逃れた時点で、開戦時16機あった編隊はたったの7気に減っていた。寧ろ最初に対空砲火を受けたGriffinチームよりも厳しい攻撃に対して損害を同程度に留められたのは、彼女たちの腕前の表れと言っていい。
(,,;゚ ゚)《Wyvern-01より航空隊各位、敵艤装の動きはかなり柔軟だ!下手に突入すると容易く包囲されるぞ!》
《管制機よりKnight-01、艤装群と交戦した部隊がたった1分間で70%ロストした。
敵の対空火力は我々の予想を大きく上回る、気をつけろ》
£;°ゞ°)《あぁ、見てたから知ってるヨ!》
昼に食べたサンドウィッチが酸素マスクの中にペースト状でぶちまけられるのを必死に堪えつつ、ロミスは無線機に向かって怒鳴る。
そういう役割だから仕方ない面もあるのだろうが、たった今自身が目にしていた絶望的な光景をわざわざ言葉にされると苛立ちが無駄に募る。奴等はパイロット達が眼球の代わりにガラス玉を顔にくっつけているとでも思っているのだろうか。
£#°ゞ°)《まずは敵の対空火力を奪うヨ!
Unit, Follow me!!》
《Arrow Team、Knightを掩護する!》
《Red Team, Attack!!》
《Gamma Team、後続する》
240 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/06(火) 13:05:54.60 ID:cRnAItAF0
ロミス達のF/A-18Fが先陣を切り、鏃のような隊形を取って“棲姫”めがけて突撃。これに、在韓米軍の航空隊と【いせ】のF-14J 12機、更に航空自衛隊のF-4EJ改も呼応する。
『ボォオオオッ!!!』
『『『キィアアアアアアアアアアッ!!!!』』』
【学園艦棲姫】の対応も、早い。右舷側で動きを見せたロミス達の方に“怪物”が身体を捩りながら吠えると、それがまるで何らかの命令だったかのように組織だった動きで艤装群が一斉に頭部を持ち上げ航空隊の方をにらみ据える。
《Enemy shoot in───ぐぁっ!?》
針山の如くあらゆる方向へ伸びる火線。機銃掃射に撃ち抜かれ、F-4が1機錐揉み状態となり海面に叩きつけられる。
《なんて弾幕だ……!》
£;°ゞ°)《怯むな!とにかく突っ込むヨ!》
眼が眩むような弾幕だが、とりあえず「正面」という常識的な方角から飛来してくれる分マシだ。少なくとも先程Wyvernらが受けた全方位射撃に比べれば、遙かに対処しやすい。
£#°ゞ°)《Knight-01, Target insight!! Fire, Fire!!》
《Knight-02, Fire》
《Knight-04, Gun gun gun》
砲火を擦り抜けながらギリギリまで肉薄し、蠢く艤装群を照準に収めて操縦桿のボタンを押す。M61バルカンが唸りを上げ、吐き出された弾丸が腐乱した水死体を思わせる青白くぶよぶよとした胴体に突き刺さる。
『『ギィイイイイイッ!!!?』』
掃射を受けた幾つかの“艤装”が、耳障りな悲鳴と共に砲火を中断して仰け反った。
241 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/06(火) 13:20:18.70 ID:w8I6TZw20
否定意見は全部同一人物かよこっわ……
242 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/06(火) 13:20:59.78 ID:w8I6TZw20
すまん、勘違いさせる言い方だった。全部同一人物と思うやつの方が怖いってことな
243 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/06(火) 13:23:40.63 ID:cRnAItAF0
《Arrow-01 Shoot!!》
《Red-06, Gun Gun Gun》
《Gamma-02, Enemy lock. Fire!!》
『ギアアッ!!!?』
『ゴァッ!?』
間髪を入れず、他の編隊も機銃掃射を艤装群に向かって放つ。弾丸を受けた個体は次々と苦悶の声を上げ、深海棲艦特有の青い体液を傷口から吹き出して火線を途切れさせた。
『グァッ……アァ……』
《Enemy down》
F-14Jの内一機は、直接艤装部分を狙って射撃を加える。12.7mm単装機銃と思わしき漆黒の艤装が砕け散り、胴からぐたりと力が抜ける。
海面に水飛沫を上げて倒れ込んだ後、その個体が再び動き出す様子は無い。
£#°ゞ°)《Yes!!》
その様子を風防ガラス越しに目にして、ロミスはコックピット内で拳を握る。殲滅されたViperの内一機が艤装に“捕まれて”撃墜された光景から思いついた“博打”だったが、結果は見事なジャックポットだ。
£#°ゞ°)《思った通りだヨ!Knight-01より航空隊各位、敵の船体殻は艤装一つ一つには及んでいない!範囲外に出ている対空艤装を個別に狙え、敵の火力を減らす!》
《Arrow-09より付け足しだが、頭部の艤装部分は急所だ、狙えば恐らく即死も期待できる。また、一般的な深海棲艦の装甲や艦娘の艤装と比べて脆い。
胴であれ頭であれ機銃掃射で十分だ》
《Sky-Eyeより全航空隊、損耗が激しい部隊や残弾・残燃料が怪しい機体以外は艤装に攻撃を集中。Knight並びにArrowの報告にしたがってミサイルは温存しろ》
《Shark-01, Roger》
(●゚ ゚●)《Swallow-01, Roger》
《Tiger-01, Roger!! Attack, Attack!!》
『『『キィアアアアアアアアアアッ!!!!』』』
目まぐるしく入れ替わる攻守。ロミス達の報告と管制機の指示を受け、航空隊がまたも波状攻撃に転じる。迎え撃つ艤装群の火線を巧みに擦り抜けながら放たれる機銃掃射に、両弦のあちこちで青い血が空中に迸る。
244 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/06(火) 13:55:45.47 ID:cRnAItAF0
尤も、突破口を見出したとはいえ棲姫が展開した対空艤装の数は膨大だ。左右両弦併せて、少なくとも数千門。それが、胴が伸ばせる範囲内ではあるものの自在に蠢き、弾幕を放ってくる。
加えて、ミサイルによる攻撃は弾数が圧倒的に不足する上効率も悪い。自然、航空隊はバルカン射撃のため前にも増して肉薄しなければならない。
『『『キィイイアアアアアッ!!!』』』
《Shit, I'm hit!!》
《Purple-07 Lost!!》
《Going down, Going down───》
次々と敵の“艤装群”が動きを止めていく一方で、友軍機の被弾・撃墜報告が入る頻度も決して少なくない。また燃料や機銃弾を使い切り、補給を受けるために一時離脱せざるを得なくなる編隊もそろそろ増え始めている。
連合空軍は攻勢に出ているものの、それが“優勢”であるとは到底言い難かった。
(;●゚ ゚●)《クソッ、八岐大蛇と戦ってる気分だ!!》
£;°ゞ°)《お言葉だけど三等空佐、ミーとしてはオロチよりメドゥーサの方が適切な比喩だと思うヨ!》
高角砲の連続砲撃に追い回されながら毒づく築辺に、15.5cm砲を模したと思わしき形状の艤装を照準に収めながらロミスが軽口を叩く。
『ギュオアッ!!?』
撃ち抜かれた際に散った火花が内蔵弾薬にでも誘爆したか、その個体は派手な爆発音と共に木っ端微塵になった。
£;°ゞ°)《メドゥーサの頭髪は一本一本が毒蛇、おまけに海神ポセイドンの愛人ときた!“深海”棲艦のボスを表すにゃうってつけだヨ!!》
(#●゚ ゚●)《なら今すぐ誰かペルセウスを連れてこい!!どのみち人間が戦っていい相手じゃねえぞこいつぁ!!》
245 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/06(火) 14:25:35.52 ID:cRnAItAF0
いよいよ持って怒りに満ちた叫び声と裏腹に、築辺は果敢に学園艦棲姫を攻め続ける。彼の率いる【Swallow】編隊は、ロミスの【Knight】共々連合空軍の中でも飛び抜けて多くの攻撃運動をこなしていた。
『ギィッ、アアアッ………!!?』
(#●゚ ゚●)《Enemy down!!》
散々自分をつつき回した高角砲に向かって一瞬の隙をついて切り返し、銃火を首元にぶち込む。20×102mm弾が胴体の肉を裂き、引き千切られた艤装部分が驚いたような鳴き声を上げて海中に落下する。
(#●゚ ゚●)《全機一度距離を取った後反転、今度は船尾側から行くぞ!!》
《《《了解!!》》》
平成の零戦とも呼ばれる、F-2支援戦闘機。その軽やかな攻撃機動は、鍛え抜かれた空自パイロット達の腕前も相まって二つ名に恥じぬ機体性能を見せつける。
『ボォオオオオ………』
そんな築辺達に眼のない顔を向けながら、甲板上の“怪物”は低く忌々しげな唸り声を上げた。
246 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/06(火) 14:26:18.11 ID:cRnAItAF0
昨日はバッチリ寝落ちしました、申し訳ありません。
取り急ぎ一次更新、第二次投下は23:00から改めてです
247 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/06(火) 17:43:54.24 ID:KgotTMzA0
おつおつ
248 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/06(火) 18:36:52.69 ID:JkdHlenbO
ニートか中学生?
249 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/06(火) 22:00:33.40 ID:Kh4VhO680
胃腸が大変なことになってるので朝更新に延期しますorz
250 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/07(水) 00:48:24.76 ID:UmzP/2lA0
ドンマイです…悪化させないよう気をつけてw
251 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/07(水) 09:32:17.63 ID:3ZaPvqmrO
漆黒の装甲に包まれた甲板が数カ所、側面から“艤装”が展開された時同様にスライドする。口を開けた正方形の穴から丸っこい“影”が数個、凄まじい速度で飛び出す。
《“棲姫”が何かを発射しました!》
《……何だありゃ。砲弾か?》
直径5m前後の、黒く塗り固められた球体。ライフリング技術が発達する以前の、大航海時代辺りに使われていた砲弾を思わせる形状のそれらは、爆発することも減速することもなく航空隊と同高度まで舞い上がる。
『『『────……』』』
£;°ゞ°)《─────ヤバいヨ》
一瞬空中で制止した“それら”から、黒い翼と猛禽類の足を思わせる突起物が生える。
瞬間、ロミスの全身から音を立てて血の気が引いていった。
£;°ゞ°)《【Black Bird】 in the air!!!》
『『『──────!!!』』』
無線への叫びは、一歩遅い。漆黒の敵機は速やかに編隊を組み終えると、風を巻いて戦闘空域へと飛び込んできた。
《Fuck……!》
黒鳥達の獲物は決まっているらしく、付近にいたロミス達には眼もくれない。不幸にも軌道を遮ってしまったF/A-18F一機を撃墜した以外は、一切の迷いを見せず一つの編隊へと突進していく。
£;°ゞ°)《Knight-01よりSwallow、敵機が其方に向かっている!注意しろ!》
252 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/07(水) 10:34:44.37 ID:Rk0DcCYD0
(;●゚ ゚●)《マジかクソッタレ……!》
自分たちの方に突っ込んできた、“球形”という常識では有り得ない機影に思わず眼を剥く。折しも反復攻撃に移っていた築辺の編隊は、恐らくは最高速で肉薄する【Black?Bird】4機を正面から迎え撃つ形となった。
(;●゚ ゚●)《Swallow-01,?Fire!!》
《Gun,?gun!!》
《Engage,?Fire!!》
16機のF-2の機首から、一斉に銃火が迸る。横一列に広がった射線、目標は直線軌道上に位置し、しかも互いに高速で接近しながらの先制射撃。常識的に考えれば、回避は非常に困難だ。
あくまで、“人間の常識”に当てはめた場合だが。
『『『──────』』』
《Miss,?Miss!!》
(;●゚ ゚●)《野郎っ……!!》
弾丸に貫かれる寸前、4羽の黒鳥が旋回する。減速を全くしない、殆ど直角に近い高速旋回の前に弾幕は虚しく空を切る。
その航空力学を無視した回避軌道は、築辺達から見れば機影が突然消失したも同然だ。
《敵機、編隊後方から来ます!》
《速すぎるだろ……!!》
(;●゚ ゚●)《散開して奴等の射線から外れろ!Break,?Break!!!》
そしてその消えたはずの敵機が、一秒と経たずに今度は自分たちの背後から風切り音と共に迫ってきている。
悪い夢なら醒めてくれ───そんな、似つかわしくない願望が築辺の胸の内を満たす。
253 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/07(水) 10:46:40.38 ID:QnHwZYNr0
読みにくいなこれ
254 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/08(木) 11:21:30.66 ID:qfG5ZA/q0
早く大洗パートをよみたいと思ってる
255 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/08(木) 14:17:45.07 ID:cm1buroS0
最高の材料を使ってゴミを作りました感
256 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/08(木) 21:15:35.39 ID:HK9FmSrLo
ぶっちゃけAAしか出てこないパートしんどいわ 長過ぎるし
257 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/08(木) 22:27:46.49 ID:LypmybcT0
明日に午前のみの休日出勤ぶっ込まれてる状態なので更新明日の昼に遅らせて下さい。度々申し訳ありません
258 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/02/09(金) 01:12:49.94 ID:16ltenhA0
おつおつ、ドンマイですw
寒さもだいぶ厳しいし、あまり無理せずに…
259 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/09(金) 15:01:38.24 ID:Wfw+ZZyrO
だが、“悪夢”は終わらない。4機の【Black Bird】は射線から外れようと旋回する築辺達の後ろにピタリと着き、瞬く間に距離を詰める。
『────』
先陣を切った一機が機関砲を放つ。燃料タンクにでも直撃したのか、火線を食らった最後尾のF-2が爆散した。
『────!!!』
《ぐぁっ!?》
そのまま、氷の上を横に滑っているかのように滑らかな動きで真横へスライド。パイロットが反応する間もなく火線が空を走り、更に一機が翼をもがれ黒煙を噴く。
《Mayday Mayday Mayday, I've been hit!! Eje─……》
《Swallow-14、被弾墜落!私も後ろに着かr》
《Swallow-12もやられました!》
(;●゚ ゚●)《こちらSwallow-01、一方的に撃たれている!全滅も時間の問題だ、掩護を求む!!》
£;°ゞ°)《Knight-01よりSwallow、掩護に───》
《敵機、多数発艦!!!!》
棲姫への攻撃を中断して反転したところで、管制機から飛び込んできたのは悲鳴にも等しいトーンの通信。
コックピットの中で反射的に振り返れば、新たに空に撃ち上げられた黒い球体が視界に映る。
『『『───────』』』
£°ゞ°)《Damn it》
優に数十を越える球体が一斉に翼を生やした瞬間、ロミスの胸の内は絶望で真っ黒に塗りつぶされた。
260 :
◆vVnRDWXUNzh3
[sage saga]:2018/02/09(金) 15:32:13.56 ID:Wfw+ZZyrO
一方的な蹂躙と言う他ない。
物理法則をせせら笑うような軌道で飛び回る【Black Bird】の前に、連合空軍は為す術がなかった。後方に占位しても全く減速せぬままの急旋回で視界から消え、逆に後ろを取られれば逃れようがなく一瞬で射程圏に捕捉され撃ち落とされる。数の差で連携して迎撃しようにも、【学園艦棲姫】からの分厚い対空弾幕に寸断されまともな編隊飛行すらままならない。
《Enemy coming!! Break!!》
《Mayday, Mayday───》
《Tiger-01 down!!》
《Shit……Ahaaaaa!!!?》
《Yellow Team, all down!! I repeat, Yellow Team all down!!》
悲鳴、絶叫、悪態、断末魔、そして寮機或いは自機の被弾・撃墜報告………無線で飛び交う内容はそんなものばかりで、【Black Bird】に関しては撃墜どころか攻撃命中の報すら皆無。
F/A-18Fが、F-15Jが、F-2が、F-KC-1が、歴戦のパイロット達共々次々と火を噴き、墜ち、砕け散る。
(,,;゚ ゚)《Wyvern-01よりSky-Eye、指示を、指示を早く…………っ!》
必死に無線に向かって叫んでいたギャシャーの目の前で、早期警戒機E-3が機首部分を火炎に包まれながら落下していく。
広域警戒レーダーからのリンクが切れる。これによって連合空軍は、圧倒的な機動力を持ち対空砲火の援護射撃がある敵機を相手に有視界戦を強いられることとなった。
562.90 KB
Speed:0.2
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)