トナカイ「サンタさん!私と友達になりませんか?」サンタ幼女「…は?」

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50 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/29(金) 18:44:27.17 ID:owmFcIx4o
女「お前の右前足の蹄を自分で切断しろ」グッ

老婆「アグぅッ…ゴゥッ……」ググッ


トナカイ「え、えっ…ひ、蹄って…そ、そんな……」


女「そして、ここからが難しいんだがな、そいつをまた二つに包丁で切って、一つを食え。もう一つは残しておくからまだ食わなくていい」ポイッ

老婆「」バタッ


トナカイ「た、食べるんですか!?自分の蹄をっ!?」


女「あぁ、そうすることで、お前自身が鍵としての力を身に宿すことが出来る」

女「多少の痛みは我慢しろ。これも世界を救う為だ」
51 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/29(金) 18:54:32.07 ID:owmFcIx4o
トナカイ「ひ、蹄を切って食べるなんて…」ブルブル

トナカイ(う、うぅ…ど、どう考えてもおかしい。常軌を逸している…)

トナカイ(そ、それに…こんな簡単に人を殺すなんて…こ、これじゃあの化け物と同じ…)チラッ



会社員「」

主婦「」

老婆「」



女「おい、どうした。早くしろ」


トナカイ「ひっ…」

トナカイ「む、無理ですっ!ごめんなさい!!」ダッ


女「あ、おい!待て、逃げるな!」
52 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/29(金) 19:13:30.10 ID:owmFcIx4o
トナカイ「ハァッ…ハァッ…」ダダダッ

トナカイ(に、逃げないと!逃げないと…!)


女「おい、今更それはなしだろ」スタスタ


トナカイ「!?」ビクッ

トナカイ(えっ…う、嘘、なんで前から突然…)


女「あのな、もう逃げられないんだよ。二つ目のお願いの時に言ったろ、今なら引き返せるって」

女「だがお前は進むことを選択した。三つ目のミッションになったら戻ることは許されない。進むしかないんだ」


女「…ほら見ろ。お前が逃げたせいで状況がまた変わった」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……



トナカイ「じ、地震っ!?」
53 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/29(金) 19:18:21.97 ID:owmFcIx4o
女「お前は世界の鍵なんだ。お前がする行動によって、世界がどちらに傾いてもおかしくないんだよ」

女「今の逃げるという行為のおかげで、かなり不味い事態になったぞ…上で暴れている奴等が降りてきた。もう本当に時間がない」


トナカイ「う、上?どういうことですか…?」


女「後ろを見てみろ、この世とあの世の狭間がなくなってきている。死者が歩き出すぞ」


トナカイ「後ろ…」クルッ





会社員「」フラッ

主婦「」ピクッ

老婆「」スッ
54 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/29(金) 19:25:42.91 ID:owmFcIx4o
トナカイ「!?」ビクッ

トナカイ「なっ…あ、あの人達は今さっき、あなたが殺したはずじゃ……」


女「あぁ、確かに殺した。だが魂がまた肉体に戻って、怪物となりまた動き出したんだよ」

女「これで死という概念は崩壊した。今頃世界中でゾンビ共が動き出しているだろうな。まさに地獄だ」


トナカイ「じ、地獄…私のせいで…」


女「とにかく、こっちの部屋に入れ。鍵は閉めておけよ。あいつらが入ってくるからな」スタスタ


トナカイ(私が…我が身可愛さで逃げたせいで…もっと酷いことに)

トナカイ(ど、どうしよう…約束したのに。私は……)
55 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/29(金) 19:33:29.86 ID:owmFcIx4o
バタン


女「さて、悪いニュース続きだが…少しミッションの内容が変わってしまった」

女「先程までは蹄一個でよかったが、お前の行動によって、それだと足りなくなった」


トナカイ「足りなくなったって…」


女「もう一つ、お前には自分の部位を切断してもらう」

女「だが半分自己責任のようなものだ。大人しく腹を括れ」


トナカイ「も、もうひとつは一体どこなんですか?」


女「>>56だ」
56 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/29(金) 19:36:26.77 ID:bc1yHCZIo
鼻の表面の皮
57 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/30(土) 00:54:17.76 ID:L1wc9ezso
女「鼻の表面の皮を自分で抉れ」


トナカイ「…」


女「はぁ、逃げなければこんなことにならずに済んだんだがな。本当に馬鹿なやつだ」

女「いいか、これが最後のチャンスだ。自分の手で、蹄と鼻の表面の皮だ」

女「振り返ることはもう許されない。痛みを恐れるな、お前の覚悟はその程度のものだったか?」

女「お前の守る為に何人死んだと思っている。そいつらの犠牲を無駄にするな」


トナカイ「…」

トナカイ「分かり、ました。やります」

トナカイ「……」スッ
58 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/30(土) 01:02:01.82 ID:L1wc9ezso
トナカイ「…」フーッ

トナカイ「フーッ…フーッ…」


トナカイ(聖女さん、サンタさん…ごめんなさい)

トナカイ(私は…あと少しで取り返しのつかないことをしてしまうところでした)

トナカイ(皆さんが守ろうとした…クリスマス、世界、人々、希望…全てを私が背負っている)

トナカイ(…もう、間違えない。私は…世界を―――)


トナカイ「あああああああああああああああああああああっっっっっっ!!!!!!!!!!!!」ブンッ




ザシュッ
59 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/30(土) 01:05:22.28 ID:L1wc9ezso
……………………………………………………
………………………………………


トナカイ「ぐぅッ…あうっ…」ポロポロ

トナカイ「お、終わりました…これで、いいですか…?」


女「…よくやったな。あぁ、これでいい。蹄と鼻の皮、両方クリアだ」

女「傷口を見せてみろ。応急処置をしてやる」スッ


ピカッ


女「これで、痛みが和らいだはずだ。どうだ?」


トナカイ「…!」

トナカイ「あっ、ありがとう…ございます…!」プルプル
60 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/30(土) 01:09:54.19 ID:L1wc9ezso
女「さて、その切り取った蹄を二つに割れるか?」

トナカイ「は、はい…えいっ」グッ


パキッ


トナカイ「これを…食べるんですよね?」パクッ


女「よし、もう一つは取っておけ。最後に使うからな」

女「さて、これで四つのミッションの内の三つが終わった」

女「ここまでよくやったな。次が最後だ…これで、世界は元に戻る」


トナカイ「…さ、最後のミッションって何をするんですか?」


女「…お前にはある人物を殺してもらう」


トナカイ「殺し、ですか…」
61 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/30(土) 01:16:13.13 ID:L1wc9ezso
女「行くぞ。もう本当に時間がない、残された時間はあと数分だ」

女「覚悟は…もう聞かなくてもいいな」


トナカイ「…はい。行きましょう」


女「トナカイ、今のお前は世界の因果をその身に宿している状態だ」

女「過去、未来に置いても…そんなものを背負うやつは二度と現れないだろう」

女「…すまないな、苦労をかけた。私の力不足のせいだ」


トナカイ「…」

トナカイ「いいですよ、分かってます…決着をつけるのは私の仕事ですから」

トナカイ「行きましょう。最後の場所へ」


女「あぁ、行こうか」




シュンッ
62 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/30(土) 01:21:23.40 ID:L1wc9ezso
シュンッ


トナカイ「ここは…」


女「最初に扉が開いた場所―――サンタ協会の本部だ」

女「…あとはもう言わなくても分かるな」


トナカイ「えぇ、大丈夫です」


トナカイ(…自分を傷付けて、次は殺人。鍵である私が自ら扉を閉めないといけない)

トナカイ(…何となく、分かっていた。こうなることは最初から)

トナカイ(私が…全てを終わらせる。この手で。あの人を)


トナカイ(―――――――サンタさんを殺す)
63 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/30(土) 01:22:50.06 ID:L1wc9ezso
今日はここまで
これで明日には終わると思います
次も安価なしで書き溜めで最後まで突っ切ります
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/30(土) 01:25:46.00 ID:B/RksC8t0
乙乙
65 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:31:50.71 ID:ottQm9N6o
トナカイ「あの、私の力であの人に敵うのでしょうか」

トナカイ「…サンタ協会会長の実力でも、恐らくあの人には勝てなかったと思います。ただのトナカイの私に出来るのか不安で」


女「安心しろ。さっきも言ったが今のお前は世界の因果と繋がっているんだ」

女「お前がそうすると決断すれば、世界はそのように動くはずだ。あいつも…まだ人を捨ててはないからな、その片角で突き刺せ」


トナカイ「分かりました。やってみます」


女「…行くぞ。この門の先にやつがいるはずだ」
66 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:33:15.99 ID:ottQm9N6o
スタスタ スタスタ


トナカイ「あの化け物共はここにはもういないんですね。あんなに大量にいたのに」


女「奴等の中にあるのは殺戮衝動だけだ。殺すことだけしか頭にない」

女「もう死体しかないここに留まる理由はないからな。上等な獲物を求めて散らばったんだろ」


トナカイ「…」


女「ここだ。サンタ幼女がこの先にいる」

女「私はこれ以上進むことは出来ない。最後はお前が全てを決断しなければならないからな」

女「出来るか?」


トナカイ「えぇ、もう大丈夫です」

トナカイ「では行ってきますね」クルッ


女「…」
67 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:34:33.65 ID:ottQm9N6o
女「…顔付きが変わったな。あれならもう心配はいらないか」

女「さて、と」クルッ




死体『』

死体『』


バサッ バサッ


異形『…』スタッ




女「…ようやく向こう側も事の重大さに気が付いたようだな」

女「残念だったな、お前らが殺戮を楽しんでいる間にこちらは王手をかけさせてもらった。この七日間は久方ぶりに暴れられて気分が良かっただろ、だがもうお楽しみはこれで終わりだ」スッ

女「邪魔はさせん。もう一度、扉の中に帰ってもらうぞ」




異形『…』ダッ
68 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:35:42.79 ID:ottQm9N6o
スタスタ スタスタ



トナカイ「…」

トナカイ(もし…まだ神様が生きていたら…どうか、あの人の犯した罪をお許しください)

トナカイ(許されない罪だと思うけど…誰でも一回は間違った答えを出します。大事なのはそれからの道を誤らないことだと思うのです)

トナカイ(…次は私があの人を導きますから。どうか、このトナカイに免じて…あ、でも私今から殺人犯になるんですよね)


トナカイ(…あなたが、寛大な心を持っていることを祈ります。神よ)




ガチャ
69 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:36:19.50 ID:ottQm9N6o





サンタ幼女「……」






トナカイ「…サンタさん」




70 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:38:22.69 ID:ottQm9N6o
サンタ幼女「…おい、鹿。これはどういうことだ」

サンタ幼女「何が…起きている。何が起ころうとしている…ッ」




トナカイ「…サンタさん、私は…あなたが特別悪いとは思っていません」

トナカイ「力を手に入れたら…あなたのような悪行をする人もいると思います。いえ、むしろそっちの方が多いかもしれません」

トナカイ「誰にでも起こり得たこと…たまたま選ばれただけなんですよ。あなたは」




サンタ幼女「何を言っているんだよォッッッ!!!!!!意味分かんねえんだよッッッ!!!!!!!!!!」
71 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:39:57.28 ID:ottQm9N6o
トナカイ「これから、自分が特別だと思うのは辞めてください。確かに、周りにはあなたのような境遇の人はいないかもしれません」

トナカイ「ですが、世界にはあなたより不幸な人が大勢いるんですよ。クリスマスを憎む気持ちも理解できないわけではないです」

トナカイ「でも、それはあなたが努力をしなかったから悪いんです。勇気がなかった、あなたがいつもひとりぼっちなのは…ただこれだけの理由です」

トナカイ「自分から動かないで、友達なんて出来るわけないじゃないですか。人をロボットか何かだと思っているのですか?」




サンタ幼女「な、なんだんだよォッッ!!!!!!この期に及んで…そんなことを言いに来たのかッ…!?」


サンタ幼女「ムカつくッッッ!!!!!ムカつくッッッ!!!!!!ムカツクゥッッッッッ!!!!!!!!!!!!」


サンタ幼女「お前もォ…あの聖女みたいにぶっ殺してヤルゥゥゥゥ!!!!!!!」
72 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:41:24.20 ID:ottQm9N6o
トナカイ「…本当に、あなたは愚かな人です」

トナカイ「あまりに愚か過ぎて…同情します。だから私が慈悲を与えてあげましょう」

トナカイ「次の世界では…友達になりましょう。部下と上司ではなく、対等な存在に」

トナカイ「それが…あなたと世界、そして私への救いになるはずですから」





サンタ幼女「ハ?お前、何言って……」





シュンッ





グサッ
73 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:42:20.06 ID:ottQm9N6o
サンタ幼女「――――――――え?」





トナカイ「…」





ポタッ…ポタッ…





サンタ幼女「な、なにこ…さ、刺さって……」フラッ





トナカイ「…」スッ





ビチャッ
74 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:43:04.16 ID:ottQm9N6o
サンタ幼女「ち、血が…こ、こんなに……」


サンタ幼女「や、やだ…し、死にたくなッ…あ、あともう少しで、もう少しだったのに」


サンタ幼女「な、なんで、いつも…私ばっかり。みんな幸せで、私はひとりぼっち」


サンタ幼女「羨ましかっただけなのに……どうして」







トナカイ「…今年はサンタさんの勝ちでしたよ。私が保証します」

トナカイ「無事にクリスマスは滅びました。ついでに世界も滅んじゃいましたけど」

トナカイ「…これで、満足したでしょう?もういいじゃないですか、終わっても」
75 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:44:29.12 ID:ottQm9N6o
サンタ幼女「わ、私はまだ―――――」




サンタ幼女「」










トナカイ「……」

トナカイ「…行きましたか」


トナカイ「これで…終わりました。私も…」
76 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:46:27.60 ID:ottQm9N6o
ガチャ


女「無事に四つのミッション、全てを終わらせたようだな。よくやってくれたぞ、トナカイ」ボロボロ

女「これで元に戻る。始まりの日にな」グタッ


トナカイ「!?」

トナカイ「だ、大丈夫ですか!?大怪我してるじゃないですか!!」ダッ


女「大したことはない。表で少し奴等の相手をしていただけだ。まあここまでの痛手は久しぶりに食らったがな」


トナカイ「これで…いいんですよね。間違っていないんですよね」


女「あぁ、今、世界では時間が崩れた。そのうちビデオの逆再生のように、巻き戻るだろう」

女「お前が世界を救ったんだ。トナカイ、人類を代表して礼を言う」
77 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:47:21.83 ID:ottQm9N6o
トナカイ「…あの、聞こうかどうか迷っていたんですけど」

トナカイ「サンタさんは…次の世界でも生きているんでしょうか?」


女「…...」

女「すまないな。それは私にも分からない。何と言っても前代未聞だからな。このようなことは」

女「世界が…あいつを不要だと判断したら、そこにはいないかもしれない」


トナカイ「…そうですか」


女「あんなことをしたやつでも、まだ許せるのか?お前は…」
78 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:49:00.24 ID:ottQm9N6o
トナカイ「…私は神様じゃないですから、人を許す権利も許さない権利もないですよ。でも」

トナカイ「…ある約束をしました。その約束を果たさないで破るのは…少し、心が痛みます」


女「そうか、まあ私も人のことはとやかく言える立場じゃないがな」

女「どちらかと言えば…私はあの幼女に近い立場だ。今、ここにお前といるのも…罪滅ぼしみたいなものだからな」


トナカイ「そういえば結局、あなたのことは何も分かりませんでしたね…最後に、名前くらいは教えてくれてもいいんじゃないですか?」


女「…どうせ、教えたところで記憶は持ち越せないんだぞ。すぐに忘れるだろ」

女「それに、本来では私とお前は一生交わることはない世界で生きているんだからな。話すのもこれっきりだ」
79 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:52:10.11 ID:ottQm9N6o
トナカイ「私は…そうは思いませんよ」

トナカイ「この一週間で、奇跡なんて見飽きたぐらいありました。私が生きている確率に比べたら…あなたとはまたもう一度会ってもおかしくないと思います。いっそのこと三回ぐらい会ってもおかしくないです」


女「フッ…それもそうだな。あぁ…確かに、偶然再会してもおかしくない」

女「その時は…今日の礼をさせてくれ。飯でも何でも奢ってやる」


トナカイ「はい!楽しみにしています!」

トナカイ「…それにしても、いつまで止まったままなんですかね。もう5分は経ったのに」


女「もしかしたら、このままずっと停止した世界になるのかもな。私も力を出して動かそうと試しているが、変化なしだ」


トナカイ「えぇっ!?ここまで来てそれはないですよ!」
80 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:53:19.64 ID:ottQm9N6o
女「…なら、願ってみたらどうだ。よく言うだろう、困った時の神頼みと」

女「もしかしたら…世界がこんな風になっても救いを与えなかった無能で貧弱な神がお願いを叶えてくれるかもしれんぞ」





トナカイ「…!」ギュッ


トナカイ(どうか、世界が元に戻りますように。そして願わくば…サンタさんにもう一度チャンスをください)














ピカッ
81 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:55:46.47 ID:ottQm9N6o
女「…ん、どうやら始まったらしいぞ」ピクッ


トナカイ「えっ、本当ですか!?」


女「あぁ、あと10秒も経たないうちに…私達の肉体も時間の渦に飲み込まれて消えるだろう」

女「これで本当にさよならだ。さらばだ…世界で一番、勇敢なトナカイよ。私はお前を一生忘れないぞ」


トナカイ「…はい!私もあなたのことは…あれ?でも全部忘れちゃうんでしたっけ」

トナカイ「じゃあ…また会いましょう!いつかまた絶対に!」


女「そうだな。運命が巡り逢う、その時まで…また、な」










プツンッ
82 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:57:00.77 ID:ottQm9N6o
(…なんだろう。まるで空に浮かんでいるみたい…あれ?手足が動かせない。本当に肉体がなくなったみたいですね)


(…まさか、今年のクリスマスがこんなことになるなんて、思いもしませんでした。本当にとんでもないクリスマスでしたよ)


(…終わりよければ全てよし、とはなりませんよね。さすがに…みんなが死んだ事実は覆ることはない。ただなかったことになって、誰も覚えていないだけ)


(これで…いいのでしょうか。時間が戻っても、今回のようなことが起きる可能性はまだ残っている…元を辿れば、サンタさんを誑かした存在がいたのが原因なんですから)


(…今度は、今度こそは、私が防いでみせます。二度も同じことを繰り返させたりしません)





(サンタさん、私はあなたを―――――――)
83 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 05:58:30.05 ID:ottQm9N6o





…………………………………………………………………………………
……………………………………………………………
…………………………………………




84 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 06:00:13.45 ID:ottQm9N6o
トナカイ「……」スタスタ

トナカイ「…ふぅ」


トナカイ「う〜…き、緊張しますね。今日がトナカイとしての仕事の初出勤です」

トナカイ「い、一体どんな人なんでしょうか。優しい人だったらいいんですけど」


トナカイ「こ、ここがサンタさんの家ですね…よし!」ポチッ





ピンポーン




ガチャ
85 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 06:01:35.50 ID:ottQm9N6o
サンタ幼女「はぁい」



トナカイ「あ、あの!本日からサンタさんの助手をさせていただくトナカイです!どうぞよろしくお願いします!!」ペコリ



サンタ幼女「…」

サンタ幼女「鹿?」



トナカイ「し、鹿じゃないですよ!!トナカイです!!!!」



サンタ幼女「じゃあなんで角が片方しかないの?しかも何か鼻赤いじゃん」



トナカイ「こ、これは生まれつきで…気にしてるんですから言わないでください…」

トナカイ(な、なんだこの人、サンタの格好はしているけど、まだ幼女じゃないですか。なんでこんな人がサンタに…)
86 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 06:03:46.44 ID:ottQm9N6o
ドクンッ



トナカイ(…あれ、なんでしょうか。この気持ち)

トナカイ(どこか、懐かしいような…このサンタさんを知っているような……)

トナカイ(…気のせいですよね。初対面のはずですし)



サンタ幼女「はぁ、まあとりあえず上がれよ。お前、新人のトナカイだろぉ?」



トナカイ「え、はい。そうですけど…よく分かりましたね」



サンタ幼女「雰囲気で分かるよぉ。だってお前、何か使えなさそうな雰囲気出てるしぃ」



トナカイ「そ、そうですか」
87 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 06:06:17.06 ID:ottQm9N6o
サンタ幼女「そんなことより、早く部屋に入って、寒い」



トナカイ「あ、はい。分かりまし―――」

トナカイ「」ピクッ



サンタ幼女「ん?何してんのぉ、そんなところで突っ立って」




トナカイ「―――」ボソッ



サンタ幼女「ん?何か言ったぁ?」



トナカイ「…サンタさん、私と…私と…」



サンタ幼女「あ?なんて?」
88 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 06:07:02.08 ID:ottQm9N6o







トナカイ「サンタさん!私と友達になりませんか?」








サンタ幼女「…は?」







89 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 06:08:06.85 ID:ottQm9N6o
トナカイ「あっ…」

トナカイ(あ、あれ????な、何を言っているんでしょうか…私は)

トナカイ(きゅ、急に言葉が出た…咄嗟に、唐突に口から。一体どうなって)




サンタ幼女「えっ...い、今、なんて?私と友達になりたいって…」



トナカイ「は、はい。そう言った…みたいです」



サンタ幼女「と、友達って…えぇ…そ、そんな急に言われてもぉ…...」オロオロ



トナカイ(…友達になりたいって言われただけでこの反応、まさかこの人、友達が出来たことがないんでしょうか)
90 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 06:09:23.70 ID:ottQm9N6o
サンタ幼女「う、うん…わ、分かった……うん」

サンタ幼女「な、なってやっても……いいぞ、と、友達に……」



トナカイ「そ、そうですか。良かったです」ホッ

トナカイ(あれ…今、私…安心した?たかが友達になっただけなのに)

トナカイ(どうしてしまったんでしょうか…あまりの緊張で精神がおかしくなった?)



サンタ幼女「じゃ、じゃあ…これからよろしくな。鹿…じゃなかった。トナカイ」



トナカイ「…はい!よろしくお願いしますね!サンタさん!」








おわり
91 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 06:09:57.48 ID:ottQm9N6o
トナカイ「あれ?サンタさん、プレゼントの用意してないんですか?もうしててもおかしくない時期だと思うんですけど」

サンタ幼女「あぁ、それねぇ。まあ友達のお前になら喋ってもいいか」

サンタ幼女「私さぁ、プレゼント配る気なんてサラサラないんだよねぇ。むしろその逆のことをしようと思ってる」

トナカイ「」ビクッ

トナカイ「ぎゃ、逆って…何をするつもりなんですか?」




サンタ幼女「そんなの決まってるじゃん。この季節になると毎回騒ぎ出すリア充共…そいつらに天罰を与える。そして最終的には…」
92 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 06:11:36.57 ID:ottQm9N6o











サンタ幼女「クリスマスなんてぶっ潰してやるよぉ!!!」











本当におわり
93 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 06:20:10.78 ID:XwDDIowpo
乙でしたー
94 : ◆gqUZq6saY8cj [saga]:2017/12/31(日) 06:20:53.02 ID:ottQm9N6o
終わりです
今回は本当にこれで完結なので間違ってもタイトルに超が付いて復活とかしないですはい
何か今年は前の年と比べるとエライ展開になってますが、実は始めから最後はクリスマスは潰すつもりでした。というか後半の展開は完全にコワすぎパクってます。まんまです。ごめんなさい
あと途中で出てきた正体不明の女についてですが…もしこいつだろって心当たりがある方はそれで合っていると思います。ごめんなさい
最後に三年間お付き合い頂き本当にありがとうございました
三年連続クリスマスにSS書いてた自分が言うのも何ですが、皆様方のクリスマスが来年は素晴らしい日になることを心から願っています
95 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 06:23:00.25 ID:gJe+9gtVO
乙!サンタ幼女の暴れっぷりをもっと見たかったけどこれはこれでありやね
96 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 11:04:02.08 ID:DoF7+nn1O
もう前作から空きすぎて女が誰なのかとか登場人物が思い出せないよ
97 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 12:05:17.21 ID:8KT74bnY0

女はきっとあの人だろう
たぶん...
98 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 14:05:50.77 ID:JGxDPiHRo
前作読んでないけど面白かったよ
女の正体は過去作読めばわかるかな?
99 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 23:30:35.60 ID:DoF7+nn1O
だれも女が誰なのか思い出せない説
100 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 23:32:19.91 ID:5i+jPQ5OO
ランプの魔人じゃないの?
101 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 23:37:42.77 ID:4+hvPVMzO
俺もランプの魔人だと思ったけど、世界線が違うような気もする
102 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/31(日) 23:58:20.19 ID:5i+jPQ5OO
でもサンタ幼女シリーズに紅幼女とか雪女出てきたし
ランプの魔人シリーズでもテレビでサンタ幼女逮捕のニュース流れてたりしてたしなぁ
103 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/01(月) 00:25:15.11 ID:4Oucf7FAo
このSSのシリーズじゃなくて別のシリーズなの?
104 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/01(月) 00:37:48.26 ID:dBNEH6UmO
>>102
そういやそうだったか
ランプの魔人と獣たちの繋がりしか覚えてなかったわ
105 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/01(月) 14:57:20.03 ID:4Ny0G205O
結局ちゃんとした伏線がないから中途半端な状態なんだよな女がだれなのか
106 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/30(日) 17:00:35.73 ID:QQNhbOfuo
今年はやらなかったな
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