【艦これ】鳳翔「天龍型と提督の居酒屋での記録」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:19:16.24 ID:xeBVZAH/0



澤野弘之氏の「A LETTER」という曲を聞いて、ふと出来上がりました。




ぜひ曲を聞きながら読んでくださると、幸いです。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1514078355
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:19:51.33 ID:xeBVZAH/0

天龍『・・・なんだよ、撮るなよ。・・・・は?記念?やめろやめろ』

天龍『いや別に嫌じゃないけどよ、なんか、恥ずかしいだろ』

天龍『は?怖がってねぇよ!あほか。いやだから別に嫌なわけじゃないって、いや恥ずかしいけどよ』

天龍『あーもういいよ、勝手にしろ・・・・ったく』

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:20:20.58 ID:xeBVZAH/0

天龍『ていうか龍田はおっせえよ、もうさきにふたりではじめるか?』

天龍『・・・わかってるって、待てるよ。ったく堅えやつだな、冗談だよ』

4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:20:47.29 ID:xeBVZAH/0

天龍『外は雨だな』

天龍『どしゃぶりだ、どしゃぶり』

天龍『・・・お、電たちがずぶぬれで走ってるぞ、手ぇ振ってやるか、はははっ』

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:21:25.09 ID:xeBVZAH/0

天龍『・・・・・・』

天龍『・・・は?いや・・・提督お前な・・・・俺だって物思いにふけることだってあるわ』

天龍『とくに雨を見ているとな』

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:22:00.25 ID:xeBVZAH/0

天龍『ここの雨は美しいな』

天龍『・・・おいなに笑ってんだよ。ガラじゃないって?はんっ、ギャップだよギャップ』

天龍『雨でも、虹でも、夕焼けでも、美人でも、綺麗なもんは綺麗なんだ』

天龍『それはぜひとも口にすべきだ。恥ずかしがることなんてないんだぜ』

7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:22:26.17 ID:xeBVZAH/0

龍田『ごめんなさぁ〜い、遅くなっちゃって〜』

天龍『おっせえよ、なにやってたんだよ』

龍田『ちょっと解剖のお手伝いを〜』

天龍『おうお疲れ!俺らも今来たとこだから!』

龍田『うふふ』

8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:23:04.71 ID:xeBVZAH/0

天龍『鳳翔さん枝豆と生みっつー』

龍田『ふたりで何話してたの〜?』

天龍『提督がお前の事好きだってよ』

龍田『あら〜そうなの〜?私もお慕い申しております〜』

天龍『ははは、あほだ』

9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:23:30.95 ID:xeBVZAH/0
ザァァァァ・・・

龍田『綺麗な雨ねぇ〜』

天龍『ああ、そうだな』

10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:24:04.85 ID:xeBVZAH/0

瑞鶴『もぉ〜なによこの雨〜!服ぬれちゃったぁ〜』

翔鶴『鳳翔さん、すこし雨宿りさせてください』

天龍『よお』

瑞鶴『あっ!て、天龍一尉!』ビシッ

天龍『かしこまらなくていいぞ、俺ら非番だから』

11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:24:38.38 ID:xeBVZAH/0

瑞鶴『し、しかし・・・ひえっ、二尉と一佐までいるし・・・・』

翔鶴『あ、あの・・・・す、すみません、お邪魔しました!』

天龍『あ、お、おい・・・』

龍田『天龍ちゃん嫌われた〜』

天龍『なんでだよ・・・』

12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:25:05.17 ID:xeBVZAH/0

天龍『提督も笑うなよな。ったく、階級なんてあがるもんじゃねえぜ』

龍田『あら、私は好きよ。いろいろ権限がふえるじゃない〜』

天龍『俺は海で戦えりゃそれでいいんだ』

13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:25:42.43 ID:xeBVZAH/0

天龍『それにしてもよ、龍田に後輩が懐かねえのはわかるけどさ、俺にまで懐かねえのはおかしいだろ、俺そんなに怖いか?』

龍田『俺様は天龍〜ふふ〜こわいか〜?』

天龍『やめろ!過去をほじくりかえすな!』

龍田『自分でいってたことじゃないの〜』

天龍『若気の至りだ。あのころは、なんつーか、こう、いろいろと先走ってたからな・・・』

14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:26:13.89 ID:xeBVZAH/0

龍田『天龍ちゃんつよいもの、みんな怖くて近づけないのよ』

天龍『あ〜・・・・・まあな・・・・だけど複雑だな・・・・』

龍田『駆逐の子たちには人気じゃない〜』

天龍『そうだけどよ・・・そうだけどよ・・・!』

15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:26:47.93 ID:xeBVZAH/0

鳳翔『おまたせしました』

天龍『なあ鳳翔さん、俺ってやっぱ近づきにくいっすかね』

鳳翔『そうですねぇ・・・最近入ってきた子はやっぱり近づきにくいんじゃないかしら』

天龍『おぉい・・・まじかよ・・・・』

龍田『ふざけて敵の内臓ちぎったりするからよ〜』

天龍『そりゃお前だろ』

龍田『そうだったかしら〜』

16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:27:14.04 ID:xeBVZAH/0

鳳翔『上下関係もありますしね、天龍さんたち、ここで戦って長いでしょう?』

天龍『何年たつんだ提督?・・・・十三年!?もうそんなたつのか!いや驚いたな・・・』

龍田『この鎮守府が出来てからずっといるものね〜』

天龍『そういや提督もだいぶ老けたな・・・・デコも広くなってるし・・・・・いや、そんなに落ち込むなよ』

17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:27:49.33 ID:xeBVZAH/0

鳳翔『ふふふ、私は昔の天龍さんたちも、いまの天龍さんたちも好きですよ。とてもあったかい人たちです』

天龍『いや鳳翔さん、こいつは違いますって。だまされちゃいけませんよ』

龍田『あら〜?奥歯ガタガタいわせるわよぉ〜?』

鳳翔『龍田さんはとても優しい方ですよ。とてもみんなのことを気にかけていらっしゃいますから』

龍田『やだ〜もう〜・・・照れるわぁ〜』

天龍『おっ、まじ照れだ。珍しいな、おい提督、撮っておけよ、めったにみられないぞ』

龍田『いや〜いじわる〜』

18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:28:18.76 ID:xeBVZAH/0

龍田『もう〜それより乾杯しましょう〜』

天龍『ははは、そうだな。よっしゃ』

19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:28:48.25 ID:xeBVZAH/0

天龍『乾杯』

キィン………

20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:29:17.48 ID:xeBVZAH/0

天龍『かぁーッ!やっぱ働いた後の一杯は最高だな!』

龍田『天龍ちゃんおじさんくさい〜』

天龍『うるせっ、俺よりこいつの方がよっぽどじじいだろ』

龍田『提督はおじさんでもすてきですよ〜』

天龍『ははは!だってよ、おっさん。おいおい、だから落ち込むなって』

龍田『時間は止められないですものね〜』

21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:29:44.65 ID:xeBVZAH/0

天龍『俺らがここにきてから、もう十三年も経つのか………』

龍田『まるで昨日のことのようね〜』

天龍『初めの頃は、ほんと何にも無かったよな。施設も物資も、いつでも不足していた』

龍田『提督室に机すら無かったものね〜』

天龍『そうそう、最初提督どこで書類書いてたっけ』

龍田『ダンボールの上よ〜』

天龍『はははは!そうだった、そうだった!あのころは本当みじめだったよなぁー』

22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:30:20.43 ID:xeBVZAH/0

天龍『俺らが寝る部屋すらなかったもんな』

龍田『提督室でみんなで雑魚寝してたわね〜』

天龍『駆逐の奴らも提督も一緒になってな。雷の寝言がうるせえのなんのって』

龍田『あの子、夜中に突然爆笑するのよ〜?びっくりして毎回起こされてたわ〜』

天龍『あはは、そうだったなぁ。あいつが笑うと俺らもつられて笑ってたっけか』

23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:30:59.33 ID:xeBVZAH/0

龍田『も〜笑い事じゃなかったのよ〜?不眠症になりかけたんだから〜』

天龍『だからお前、いつも目の下に隈つくってたのか』

龍田『そうよ〜、でも原因は雷ちゃんだけじゃなかったのよ〜』

天龍『あっ!誰かわかった!提督もわかったよな!』

龍田『じゃあ、いっせーので言いましょう?いっせーの』

24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:31:28.30 ID:xeBVZAH/0

『暁!』

天龍『はははは!』

龍田『ふふふ〜』

25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:32:00.92 ID:xeBVZAH/0

天龍『あいつ、夜中にひとりで小便いけなかったもんな〜』

龍田『そうよ〜、毎回私がついていってあげてたのよ〜?』

天龍『そうだったのか。いやー俺と提督、いっつも爆睡してたから気付かなかったわ』

龍田『人が眠い目こすって頑張ってたのに〜、あなたたちは気持ちよく眠っちゃって〜』

天龍『あの頃はやらねえといけねえ事いっぱいあったからなぁ。夜になると疲れてすぐ寝てた』

龍田『私も疲れてたのに〜、ひどいわ〜』

天龍『お前はデリケートすぎんだよ』

26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:32:37.82 ID:xeBVZAH/0

天龍『暁かぁ。ほんとなつかしいな』

龍田『ええ、そうね〜』

天龍『あいつは何かと手を焼かせる奴だったよ』

龍田『一人前のレディを目指して、いつもから回りしてたわよね〜』

天龍『失敗しては半べそかいてたな、かわいいやつだよ』

龍田『ほんとにねぇ』

27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:33:09.20 ID:xeBVZAH/0

天龍『でも本当、いい奴だ。優しくて、芯は強い子だ』

龍田『そうねぇ〜』

天龍『なんだったけな………ほら、あれだよ………暁がリ級を庇ったあれ』

龍田『………補給路C作戦?』

天龍『ああ、そうだ…………C作戦…………』

28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:33:51.29 ID:xeBVZAH/0

天龍『補給路の確保に俺達が向かって、はじめは順調だったよな』

龍田『ええ、提督の指揮も的確だったし、いつもと変わらない退屈な作戦だったわ』

天龍『敵艦隊を破って………帰路の途中に、奇襲にあったんだったな』

龍田『ええ、重巡三隻に、駆逐三隻。突然のことで対応が遅れちゃったのよね』

天龍『………提督の責任じゃねえよ。あれは誰にも予想できなかった』

天龍『………いや、予想できたかもしれねえけど、あの頃はみんな経験を積んでなかったからな』
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:34:18.93 ID:xeBVZAH/0

天龍『死にもの狂いで戦って………弾薬も燃料も底をつきかけたころ、やっと終わった』

龍田『………みっともない戦い方だったわねぇ』

天龍『ああ、あの頃はみんな弱かった。誰も責められねえよ』

天龍『…………雷が沈んだのは、俺達が弱かったからだ』

龍田『………戦争だから、仕方のないことだったのかもしれないわね』

天龍『そうだな………俺達は戦場にいるんだ。みんなが無事って訳にはいかねえさ』

30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:34:45.65 ID:xeBVZAH/0

天龍『………そんな理屈、頭では分かってたさ。でも納得できなかった』

天龍『どいつが雷を沈めたのか分からねえのに、俺達は生き残った一匹のリ級をふくろ叩きにした』

龍田『………野蛮だったわね。でも………私は止められなかった』

天龍『俺もさ。電と響が蛮声をあげて一匹のリ級をリンチしているのを、俺はただボーっと眺めてただけだったよ』

31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/24(日) 10:35:14.64 ID:xeBVZAH/0

天龍『そんとき、俺ら泣いてたっけなぁ。ああ、泣いてたなぁ』

天龍『俺も、龍田も、電も、暁も、響も』

天龍『リ級も』

天龍『訳わかんねえよなぁ。何も考えちゃいねえはずのに、ただ涙だけが流れるんだもんなぁ』

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