河嶋桃「西住!お前がどこかに転校しろ!!」西住みほ「……え?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/20(水) 19:30:19.81 ID:1v1aLXDJo
学園艦

みほ「行っちゃいましたね、愛里寿ちゃん」

桃「他の高校に入学するとはどういうことだぁー!!」

杏「西住ちゃんとは永遠のライバルでいたいってことだね」

柚子「残念だけど仕方ないよね」

桃「仕方なくない!!」

桃「――西住!! お前がどこかに転校しろ!!!」

みほ「えぇー!?」

みほ「……え?」

杏「河嶋」

桃「なんですか?」

柚子「それは言い過ぎだよ、桃ちゃん」

桃「う……。そうだな……。すまない、西住。今のは言い過ぎた」

みほ「いえ、気にしてませんから、大丈夫です」

みほ「……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1513765819
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 19:33:43.92 ID:1v1aLXDJo
みほの部屋

みほ「ただいまー」ガチャ

みほ「よいしょっと」

みほ「洗濯しなきゃ」

『お前がどこかに転校しろ!!』

みほ「……」

みほ「あ、ごはん、作らないと」

『お前がどこかに転校しろ!!』

みほ「……」

みほ「明日の授業の準備しておこう」

『お前がどこかに転校しろ!!』

みほ「……」

みほ「お風呂、入らなきゃ」

『お前がどこかに転校しろ!!』

みほ「……」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 19:38:59.76 ID:1v1aLXDJo
翌日 大洗女子学園

沙織「あっれー。みぽりん、まだ来ないね」

華「そうですね。何かあったのでしょうか」

ねこにゃー「ネトゲを朝までやってて、寝落ちしてるとか……」

沙織「猫田さんじゃないんだから」

華「電話してみましょう」ピッ

沙織「風邪ひいたのかなぁ。もし風邪ならおかゆぐらいは作りにいってあげないと」

ねこにゃー「おかゆ、作れるの? すごい、女子力。ボクには無理……」

沙織「猫田さんだってできるってー。おかゆのコツは、愛情っ! だからね!」

ねこにゃー「そうなの……?」

華「んー……」

沙織「みぽりん、出ないの?」

華「はい。益々、心配になってきました」

ねこにゃー「戦車道の授業、どうしよう。西住さんがいないと始められないような……」

沙織「そうだよね。まぁ、始業まであと10分あるし、もうちょっと待ってみようよ」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/20(水) 19:43:15.78 ID:i6J6YumU0
ポンコツ桃ちゃんのほうこそどっか行ってくれませんかねぇ?

5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 19:45:15.37 ID:1v1aLXDJo
戦車倉庫

梓「えぇー!? 西住先輩、欠席してるんですか!?」

優季「そんなぁ。西住先輩がいないと誰が指揮してくれるんですかぁ」

あゆみ「風邪ですか?」

桂利奈「深夜アニメで面白いの始まったからですか!?」

あや「お腹痛くなる日とか?」

紗希「生々しい」

沙織「いやいや、そういうのじゃないと思うんだけど」

優花里「そうです! たとえ西住殿は体調不良でも隊長を務めてくれていましたから!!」

麻子「秋山さんは西住さんの体調管理までしていたのか」

華「すごいですね」

あや「逆にこわくない?」

優季「こわいかもぉ」

優花里「えぇぇ!? 何故!?」

沙織「と、とにかく、今日の戦車道はみぽりん抜きでやるよー。ほら、準備して、じゅんびっ」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/20(水) 19:59:34.24 ID:Y/YjaoiTO
>>4
まあこの時のしっぺ返しが最終章でのあれになったと思えば…
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 20:04:00.77 ID:1v1aLXDJo
カエサル「ふむ。将を欠くことは、隊にとって大きな痛手だな」

おりょう「うむ。長とは存在だけで兵の士気をあげることができるぜよ」

左衛門佐「桶狭間も織田信長が先陣を切らなければ大敗していたはず」

エルヴィン「日露戦争も士気が結果に大きく左右されたと言われているな」

左衛門佐「それなら富士川の戦いも中々」

カエサル「トレビアの戦いではローマ軍が冷たい川を渡ったことで士気が低下し、負けたとか」

おりょう「第二次長洲征伐ぜよ」

カエサル・エルヴィン・おりょう「「それだ!!」」

ナカジマ「まぁ、要するに西住さん抜きだと授業にならないってことだよね」

ツチヤ「西住さんの寮には行ってみたの?」

沙織「そこまでは……」

みどり子「心配なのはわかるけど、授業を抜け出してまで様子を見に行くのは感心しないわね」

ホシノ「西住さんがもし重度の病に倒れていたらどうするの?」

スズキ「そうだそうだ」

みどり子「わ、私だって授業がなければ西住さんの寮まで走っていってるわよ!!」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/20(水) 20:05:30.11 ID:1v1aLXDJo
>>7
訂正

カエサル・エルヴィン・おりょう「「それだ!!」」→カエサル・エルヴィン・左衛門佐「「それだ!!」」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 20:13:06.42 ID:1v1aLXDJo
モヨ子「心配だね」

希美「そど子は友情よりも授業をとる悪魔だった……」

みどり子「うるさいわね!! 風紀委員として授業はサボれないでしょ!!」

麻子「そど子は悪魔か」

みどり子「もー!! なら、今からいくわよ!! 見てなさい!! 私だって、授業をサボるぐらいわけないんだから!!」

ナカジマ「まぁまぁ、園さん。落ち着いて」

桃「欠席の理由は不明なのか」

優花里「はい。私たちも何回か連絡を試みているのですが……」

桃「何をしているんだ、全く。あいつはこれからも隊長として大洗を引っ張っていくんだぞ」

杏「はむっ……」モグモグ

桃「私が西住のところへ行ってくる」

柚子「今からぁ?」

桃「私も心配だからな。あの西住が連絡すらよこさないのも気になる」

柚子「そうだけど……」

典子「河嶋先輩に任せて大丈夫だろうか……」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 20:19:28.40 ID:1v1aLXDJo
あけび「逆に病気が悪化しそう……」

妙子「あぁ……ありえそう……不安……」

忍「ここは私たちが!」

桃「なんだとお前ら!! 私が見に行くだけなのに何がそんなに不安にさせる!!」

梓「なんだか私も不安になってきました!! 私が西住先輩のお見舞いにいきます!!」

優季「あぁ〜、梓だけずるーい。私もいきたぁい」

あゆみ「だったら私も!」

桂利奈「はいはいはーい!! 西住先輩のお見舞いにいきたいでーす!!」

あや「紗希ちゃんも行きたいってまーす!!」

桃「お前らは今から戦車道の授業だろう!! 来年度もそれから復活が噂されている無限軌道杯とやらにもお前らたちは出場するんだぞ!!」

ナカジマ「むげんきどうはい?」

優花里「二十年前に中止になった戦車道連盟主催の大会なんですが、今年から復活するとかしないとか」

ナカジマ「へー」

桃「西住のことは副隊長である私にまかせろ!! お前たちは練習だ!! いいな!!」

沙織「は、はい。みぽりんのことお願いしますね」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 20:25:17.96 ID:1v1aLXDJo
カエサル「この胸騒ぎはなんだ……」

おりょう「風が止んだぜよ……」

左衛門佐「河嶋先輩が向かうのは鬼門の方角でござる」

エルヴィン「それは西住先輩の寮の方角ってだけじゃないか」

桃「ごちゃごちゃ言うな!! うるさいぞ!!」

ぴよたん「西住隊長、死んでないかな」

ももがー「復活呪文、間違えないようにするぞな」

杏「かわしまぁ」

桃「はい」

杏「ま、がんばってねぇ。何かあったらすぐに相談することー」

桃「はっ。では、行ってまいります。あんこうチーム、今日の授業はお前たちが指揮をとるように」

沙織「わかりました!」

優花里「了解です!! 西住殿の代わりとまではいかないですが、精一杯頑張ります!!」

華「お気をつけて」

麻子「たのむぞー」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 20:39:02.47 ID:1v1aLXDJo
典子「本当に大丈夫でしょうか。私たちも西住隊長のところへいったほうが」

杏「まぁまぁ。大人数で押しかけても西住ちゃんが困るだろうから、いいんじゃない?」

妙子「それなら会長が言ってくれた方がまだ安心できます」

あけび「河嶋先輩は……」

忍「うん……」

柚子「えっと、ああ見えて桃ちゃんは面倒見がすごい良いから、大丈夫、大丈夫」

忍「それは分かりますが、けど、何か余計な一言を言ってしまうこともありそうで……」

妙子「わかる」

あや「忍ちゃんの気持ち、すっごくわかるよー」

優季「うん、そうだよねぇ」

柚子(一年生たちの信頼度、もう少しあげてよぉ、桃ちゃん……)

杏「とにかく、西住ちゃんは河嶋に任せて、私たちは戦車にのろー!」

ナカジマ「臨時の隊長は誰にします?」

エルヴィン「そんなの決まっている。グデーリアンだ」

優花里「わ、わたしですかぁ!? いえいえ!! そんな!! 滅相もありません!!」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 20:44:20.03 ID:1v1aLXDJo
みほの寮

桃「よし。ここだな」

桃「……」ピンポーン

桃「……」

桃「西住、いるか? 皆、お前のことを心配しているぞ。何かあったのか?」

桃「……」

桃「ええい! 西住、入るからな!! 我々、生徒会はこういうときのために寮の合鍵を持っている!!」

桃「……」

桃「入るぞ!! 悪く思うな!!」ガチャガチャ

桃「にしず――」

みほ「……」

桃「はぁ……。よかった」

桃「おい、西住!! 何をしている!! お前は大洗女子学園の隊長なんだぞ!! しっかりしろ!!」

みほ「……」

桃「立て!! 西住!! 皆、お前のことを待っているんだ!! ほら!!」グイッ
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 20:49:43.20 ID:1v1aLXDJo
みほ「……いま、いいところなんです」

桃「な、なに?」

『やってやるやってるやーってやるぜー』

桃「なんだこれは……」

みほ「ぼこのてれびしりーず、そのDVDです。いま、ぜんわとおしてみているんです。あと11わでおわりますから」

桃「そんなことは授業が終わってからしろ!! 今は戦車道が優先だ!!」

みほ「……」

桃「西住!! おい!!」

みほ「やってやるやってやるやーってやるぜー……」

桃「……!?」

みほ「いーやなあーいつをぼーこぼこにー……ふふっ……」

桃「西住……? な、なにかあったんだな? よ、よし、わかった。私でよければ相談に乗る。話してくれ」

みほ「……」

桃「西住? きいているか?」

みほ「すみません。ひとりにしてください」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/20(水) 20:53:43.25 ID:BkoMZwWDO
いやなアイツって誰のこと?(すっとぼけ)
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/20(水) 20:56:57.01 ID:hrwDVHiyO
しゃーない、さすがに俺もあのシーンだけは桃ちゃんを海に突き落としてもええんちゃうかと思ったわ
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 20:57:54.34 ID:1v1aLXDJo
バタンッ

桃(勢いに負けて、外に出てしまった)

桃「……に、西住ー!! 必ず、明日は授業にでるようになー!! いいなー!!」

桃「……」

桃(しかし、なんだあの西住は……。見たことがないほど憔悴していたが……)

桃(あんな顔の西住を見るのは、我々が戦車道に無理矢理引き込もうとしたとき以来だな)

桃(あのときは本当に悪いことをした……。きっと西住にとって相当ショックだったに違いない)

桃(今の西住を見る限り、あのときと同等のショックな出来事があったんだろうな)

桃(一体、なんだ。島田が去ってしまったことか? いや、西住は納得していたようにも見えるし、それ以外か……?)

桃「西住をこれほどまでに落ち込ませる原因……」

桃「……」

――西住!お前がどこかに転校しろ!!

桃「……」

桃「はっ……!?」

桃「西住!! 昨日のことは謝る!! すまない!! 機嫌を直してくれ!! 頼む!!」ドンドンッ!!!
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:07:49.35 ID:1v1aLXDJo
桃「西住ー!! 聞こえているんだろ!! 頼むから何か返事をくれー!!」

桃「あれはその、勢いで言ってしまっただけなんだ!! 本心じゃない!! 冗談だ!!」

桃「いや、冗談でも言っていいことを悪いことがあるな。あれは、悪いほうだった。認める。認める!!」

桃「全て私が悪かった!! 大洗最大の功労者に対して、私は最大の失言をしてしまった!!」

桃「本当にすまない!! あ、謝って済む問題でないことも分かっている!! 西住!! お前の要求にはなんでも答える!!」

桃「お前が望むなら私が……学園を去っても良い……!!」

桃「ダメだ!! 私は卒業するから意味がないか……。そ、そうだ!! だったら、中途退学でもしてやろう!!!」

桃「私が大洗から去っても問題は……すこしぐらいあってほしいが……お前はこれからの大洗になくてはならない存在なんだ!!」

桃「転校なんてしてほしいと誰が思う!?」

桃「西住!! だから、許してくれ!! お願いだ!!」

桃「はぁ……はぁ……」

桃「……」

『やってやるやってやるやってやるぜー♪ いーやなあーいつをぼーこぼこにー♪』

桃「ひっ……」

桃「う……うわぁぁぁん……!!」ダダダッ
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:14:04.08 ID:1v1aLXDJo
桃「うっ……ぐすっ……どうしよう……これでは……会長や柚子ちゃんにあわせるかおがないよぉ……」

桃「それどころか……」


梓『はぁ? どうしてくれるんですか?』

優季『ほんと、河嶋先輩って無能ですよねぇ。うふふ』

あや『河嶋先輩が転校しちゃえばいいのに』

あゆみ『ホントだよね』

桂利奈『河嶋先輩だけ大洗に戻ってこなきゃよかったのに』

紗希『消えてください』

忍『幻滅しました』

妙子『バレー部、復活でいいですよね?』

あけび『河嶋先輩を的にしてスパイクの練習とか考えたんですけど』


桃「あぁぁ……!! どうしよう……!! どうしたら……!!」

桃「なにか……なにか手をかんがえないと……私は……学園にもどれない……」

桃「そ、そうだ!! ボコだ……! 西住にボコシリーズのグッズをプレゼントすれば……!!」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:21:09.27 ID:1v1aLXDJo
大洗女子学園 ヘッツァー車内

優花里『ウサギさんチームはレオポンチームと連携をとりつつ、アヒルさんチームを狙ってください!!』

梓『了解です! 秋山隊長!!』

ナカジマ『おっけー、秋山たいちょー』

典子『そう簡単にアヒルさんチームに当てられないってところを秋山隊長にみせてやれー!!』

妙子・あけび・忍『『おぉー!!!』』

優花里『隊長って呼ばれるの、なんだか恥ずかしいです……』

柚子「桃ちゃん、戻ってきませんね……」

杏「なーにしてんだろーねー」

柚子「やっぱり、昨日のアレかなぁ」

杏「どうだろうねー」

柚子「杏? 心配じゃないの?」

杏「べっつにぃ」

優花里『カメさんチーム! あんこうについてきてください!』

杏「はいよぉ、あきやまたいちょー」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:26:29.31 ID:1v1aLXDJo
優花里「本日はここまでにします!!」

「「ありがとうございました!!」」

沙織「結局、河嶋先輩は戻ってこないし、みぽりんからは連絡もないし……」

華「もしや……!」

優花里「な、なんですか、五十鈴殿」

華「みほさんの部屋に入った者は皆、出られなくなっているとしたら……」

麻子「怖い話なら私が家に帰ってからしてくれ」

沙織「今のでダメなの?」

杏「あながち五十鈴ちゃんの予想、間違ってないかもねぇ」

沙織「そんなわけ……」

ねこにゃー「西住さんの部屋がソウみたいになってるのかな……」

ぴよたん「密室脱出ゲーになってるのかなぁ?」

ももがー「机の裏にハンガーが隠してあったりするかも」

杏「どうする?って聞くまでもないかぁ」

沙織「みぽりんのところ、行ってきます」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:34:59.30 ID:1v1aLXDJo


麻子「買い込んだな、沙織」

沙織「これだけ食材があればどんな病気にでも対応できるからね!」

華「わたくし、先ほどからお腹の調子がよくないのですが……」グゥ〜

優花里「それは空腹なだけではないでしょうか」

杏「みんな、やっぱり西住ちゃんのところに行きたかったんだねぇ」

柚子「かといって大所帯で行くのも迷惑よねぇ」

梓「西住先輩の体調を考慮したら、これぐらいの人数でないとダメですよね!」

典子「うんうん。バレー部の熱気で西住隊長の風邪を吹き飛ばすぞー!!」

妙子「燃えてきました! キャプテン!!」

あけび「私も微力ながらお手伝いします!」

カエサル「ふっ。風邪にはやはり、この古代ローマで使われていた薬草を……」

おりょう「それ使えるぜよ?」

みどり子「結局、みんなで来ちゃってない?」

ナカジマ「西住さん、困りそう」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:40:27.08 ID:1v1aLXDJo
桂利奈「だって、心配なんです!!」

紗希「……」コクッ

スズキ「ま、仕方ないか」

ホシノ「部屋に入るのは各チームのリーダーだけにしておけばオッケーじゃない?」

ツチヤ「根拠ないけどねー」

「にしずみ!! これでどうだ!! 一度でいいから、見てほしい!! お前のために買ってきた!!!」

モヨ子「この声……」

希美「あそこ。西住さんの部屋の前」

優季「誰かいるのぉ?」

あゆみ「だれだれー?」

杏「しっ」

優花里「(あれは……河嶋殿……)」

麻子「(大量のボコグッズが見える)」

華「(わたくしにも見えます)」

桃「西住!! これでは足りないか!? ボコミュージアムのグッズの9割……は言い過ぎか……6割……でもないか……2割ぐらいは買い占めてきた!! この中にお前の好きなボコはあるか!? あるだろう!? あってくれ!!」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:46:52.53 ID:1v1aLXDJo
柚子「(あれをわざわざ……!?)」

沙織「(ボコミュージアムって学園艦の外に行かないとダメだよね?)」

麻子「(だから授業が終わるまでには帰ってこれなかったんだろう)」

柚子「(だとしても短時間で行くには結構距離があるような……)」

杏「……」


桃「西住!! お前の好みがわからない上に、私にはボコの知識がない!! だから様々なグッズを買い揃えることしかできなかった!!」

桃「これで昨日の失言は許してもらえないだろうか!! そして!! もう一度、大洗女子学園戦車道の隊長を務めてくれないだろうか!!」

桃「頼む!! いや、お願いします!!」


柚子「桃ちゃん……」

梓「い、一体何があったんだろう……」

典子「あの西住隊長を激怒させたみたいだけど」

忍「どうしたら西住隊長って怒るんですか?」

麻子「わからん」

優花里「そもそも河嶋殿があそこまでしなければならないほど、西住殿が立腹しているというのが信じられませんが」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 21:55:13.61 ID:1v1aLXDJo
カエサル「気にするところは別にあるぞ」

左衛門佐「え? どこ?」

カエサル「河嶋先輩は「もう一度、大洗女子学園戦車道の隊長を務めてくれないだろうか」と発言した。それはつまり、今現在西住隊長は隊長の座から退いているということだ」

おりょう「おぉ……」

エルヴィン「確かにな。先輩は西住隊長を怒らせた上に「隊長をやめる」と言わせてしまったのか」

梓「そ、そんなの困ります!」

あゆみ「西住先輩がいないと私たち戦えません!」

ナカジマ「うーん……変だな……」

ホシノ「何が?」

ナカジマ「いや、河嶋さんが西住さんを怒らせることはありえなくもないけど、あそこまでしている人を無視するかなって思って」

スズキ「それだけのことをやらかした可能性は?」

ナカジマ「だったら擁護はできないなぁ。でも、私が知ってる西住さんはそこまで酷くはないかな」

梓「私もそう思います。河嶋先輩だってあんなに反省してるし、西住先輩が何も言わないのはおかしいです」

みどり子「反省してるのは一目でわかるわねぇ。行き過ぎると、次は西住さんが悪くみえてくるわ」

杏「そうだねぇ……。だから、相談しろっていったのに」
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 22:00:47.81 ID:1v1aLXDJo
優花里「どうしましょうか?」

華「ここはわたくしたちも――」

杏「待った」

華「はい?」

杏「今日のところは帰ろっか」

沙織「ど、どうしてですか!?」

杏「とりあえず、我らが副隊長に任せてもいいんじゃない?」

柚子「……そうですね。みんな、今日はもう帰ろう」

梓「でも!」

桂利奈「西住先輩のこと心配です!」

あや「紗希も帰りたくないっていってまーす」

紗希「……」

杏「いいから、いいから」

華「いいのでしょうか……」

優花里「私は放置していい問題ではないような気がするのですが……」
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 22:08:26.88 ID:1v1aLXDJo
桃「はぁ……はぁ……」

桃「分かった。明日までにまとまった金を用意して、ボコミュージアムにあるグッズ全てを買い占めてくる!! それでいいか!!」

桃「全てを購入するには、資金が足りないかもしれないが……そのときは……その……」

桃「は、働いてなんとか……私が卒業するまでに……買い揃える……だから……」

桃「西住!! もう一度!! 話をさせてくれ!! でなければ、私は……!! 私は……!!」

桃「もう……大洗にはいられなくなってしまう……」

桃「おまえを……傷つけ……追い詰め……こんな状態にしてしまった張本人が……大洗に居られるわけがない……」

桃「許してくれなくてもいい……ただ……わたしのはなしを……きいて……」

桃「……っ」

桃(ダメだ……。泣くな……。私はまだ甘えている……。今からいけば、間に合うか……)

桃「やはり今から行ってくる!! 少しでも多くのグッズをここに置いて行く!!」

桃「気が向いたらでいい!! 西住!! 玄関前にあるボコグッズに目を通しておいてほしい!!」

桃「……」

桃「行ってくる!!」ダダダッ

桃(なんでもしてやる……!! 私はそれだけ取り返しのつかないことをしてしまったんだ!!)
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 22:13:14.52 ID:1v1aLXDJo
ボコミュージアム

桃「そこで待っていてくれ!!」

「はい」

桃(そう何度も緊急用の船も使えない。今日はこれで終わりだ。これで西住が何も反応してくれなかったら……)

桃「余計なことは考えるな!! やるしかないんだ!!」

桃「大洗をもうなくならないようにするんだ!!」

桃(手持ちの金でどうにかなるか……?)

桃「ん?」

愛里寿「しあわせ……」ギュゥゥ

桃「お前は島田……」

愛里寿「河嶋さん? どうしてここに?」

桃「お前こそ、何をしている?」

愛里寿「ボコグッズ、買いに」

桃「もしや……その後ろの段ボールの山は……?」

愛里寿「今日の入荷分を買った。いつもより少しだけ少なかったけど、満足している」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/20(水) 22:16:31.90 ID:1v1aLXDJo
桃「今日の入荷分……?」

愛里寿「私の日課だ」

桃「全部、買ったのか?」

愛里寿「うん」

桃「一つ残らずか!?」

愛里寿「うん」

桃「お金はどうした!?」

愛里寿「カードがあるから」スッ

桃「黒いクレジットカード……!? 戦車も買えるという伝説の……!?」

愛里寿「残念ながら戦車は買えなかった」

桃「あぁ……おわりだぁ……」

愛里寿「ん?」

桃「もう……おしまいだぁ……あぁぁ……うわぁぁぁぁん……」

愛里寿「え? ど、どうしたの? あ、えっと、ほら、ボコ。オイラ、ボコだぜっ」

桃「うわぁぁぁぁん……!!」
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