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トナカイ「もうすぐクリスマスですねぇ」サンタ少女「そうですね」
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142 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/23(土) 21:15:23.66 ID:hUxk5vCzo
サンタ少女「ペンギンのぬいぐるみが欲しい」
トナカイ「…プレゼントは問題なさそうですね。届け先は間違ってないですか?」
サンタ少女「よし、地区も合ってます。大丈夫です」
サンタ少女「…ん?」
トナカイ「こ、今度は何ですか?」
サンタ少女「い、いえ…ぬいぐるみのサイズが…」
サンタ少女「な、7メートル近くになってるんですけど…これ間違ってますよね?」
トナカイ「7メートルは絶対ないです。家に入られないですよ」
サンタ少女「サ、サイズを一桁間違ってますね、これ。修正しときます」ピッ
サンタ少女「次はきいちゃんから…
>>143
が欲しい???」
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/23(土) 21:18:07.89 ID:VWzUOgzXo
サンタさんとのツーショット写真
144 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/23(土) 23:24:57.51 ID:hUxk5vCzo
サンタ少女「サンタさんとのツーショット写真…」
トナカイ「よくよく考えるとそれ、ちょっと不味くないですか?写真はかなりギリギリような」
サンタ少女「ま、まあ寝てる時にこっそり撮れば問題ないですよ。マスクを被って顔は分からないように変装しますし」
サンタ少女「住所は…ブラジル?」
トナカイ「…」
サンタ少女「な、なんでブラジルに…どうやったらこんなミスを」
トナカイ「まあぶっ通しでやってましたからね…疲れが溜まってたのもあると思います」
サンタ少女「う、うぅ…自分が情けないです」
145 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/23(土) 23:39:29.38 ID:hUxk5vCzo
………………………………………………………
…………………………………………
サンタ少女「お、終わりました…これで全部確認終了です…」
トナカイ「結構ミスありましたね…やっぱり見直して正解でしたね」
サンタ少女「で、でもこれで…あとは本番が来るのを待つだけです」
トナカイ「お疲れ様でした…サンタさん」
サンタ少女「…」
サンタ少女「トナカイさん、今からどこかに遊びに行きませんか?」
トナカイ「えっ、今からですか?」
サンタ少女「はい、本当は休んだ方がいいんですけど…どうしても一緒に行きたくて」
トナカイ「私は…全然構わないですよ。どこに行くんですか?」
サンタ少女「
>>146
です」
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/23(土) 23:41:35.31 ID:ztjN62+eO
じごく
147 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/24(日) 01:05:56.81 ID:H0v0IwPuo
サンタ少女「"じごく"です」
トナカイ「…ッ!?」ピクッ
サンタ少女「ここです、"じごく温泉"。色んなお風呂があるらしいですよ?」
トナカイ「な、なんだ…温泉ですか」
サンタ少女「はい!疲れた体にいいと思いまして」
トナカイ(び、びっくりした…どうもあのことを思い出しますね)
148 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/24(日) 01:18:38.24 ID:H0v0IwPuo
サンタ少女「まずはどのお風呂に入りますか?黒縄地獄、大叫喚地獄、大焦熱地獄、無間地獄などがありますが」
トナカイ「物騒な名前しかないですね」
チャポン
トナカイ「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ"…」グタッ
サンタ少女「すごい声出してますね…おじさんみたいですよ」
トナカイ「いやぁ…温泉に入ったのなんて久しぶりですから。気持ちよくて声が出ちゃいました」
サンタ少女「私も久しぶりに入りました。たまには大きなお風呂もいいものです」
サンタ少女「…トナカイさん、少し失礼なこと聞いてもいいですか?」
149 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/24(日) 01:27:54.32 ID:H0v0IwPuo
トナカイ「なんですかぁ?」グタァ
サンタ少女「…トナカイさんの前任のサンタさん、サンタ幼女さんって…どんな人だったんですか?」
サンタ少女「昨日…会長とトナカイさんの会話を聞いていたら、何だかワケありな感じだったので」
トナカイ「……」
サンタ少女「…言いにくいなら言わなくても大丈夫ですよ。ごめんなさい、詮索をするような真似をして」
トナカイ「あの人は―――無茶苦茶な人でしたよ」
トナカイ「頑固で、意地っ張りで、強情で、ワガママで、自己中心的で、自信過剰で」
トナカイ「その性格のおかげで、友達が一人もいませんでした」
サンタ少女「……」
150 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/24(日) 01:38:42.84 ID:H0v0IwPuo
トナカイ「だから、クリスマスを潰そうとしてたんです。幸せな人達に嫉妬して…本当、馬鹿みたいですよね」
トナカイ「…多分、あの人は誰よりも孤独が怖かったんだと思います。その憂さ晴らしをしたかったんでしょうね」
サンタ少女「…そうだったんですか」
トナカイ「でも、そこまで悪い人じゃありませんでしたよ?」
トナカイ「私を鹿鍋にしようとしたり、特攻させたり、街の人達に嫌がらせをしたり、サンタ狩りと手を組んだり、人をソリで轢いたり、殺し屋を雇ったり…」
サンタ少女「それって完全に悪い人だと思うんですけど…」
トナカイ「…訂正します。そこそこ悪かったです」
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/24(日) 01:42:57.72 ID:a8acBFrG0
そこそこってレベルじゃない気がする
152 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/24(日) 01:52:17.11 ID:H0v0IwPuo
トナカイ「そこそこ悪かったんですけど…多分、あの人本人も完全にクリスマスを潰す気はなかったんだと思います」
トナカイ「――――今思えば、誰かに構ってほしかったんでしょうね。ただの子供ですよ、まったく」
トナカイ「ここだけの話、私も…サンタさんに付いて行くのは楽しかったんです。いきあたりばったりな行動で、何をしでかすか分からなくて…」
トナカイ「そんなめちゃくちゃなクリスマスとサンタさんが…私はちょっぴり好きでした」
サンタ少女「……」
トナカイ「でもサンタさんも、いい加減に懲りたのか、今年でサンタを辞めたみたいで…もう二度と会えないんです」
トナカイ「…正直、後悔しています。最後まで私はサンタさんの孤独を埋めることが出来なかったんですから」
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/24(日) 01:56:36.96 ID:v2uGi5DXo
そこまでやらかしても好きだって言えるこのトナカイの器がデカいな
154 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/24(日) 02:00:17.34 ID:H0v0IwPuo
トナカイ「だから…もし、また会えたら―――友達になってあげようかと思ってます。部下と上司の関係ではなく、対等な存在に」
トナカイ「…なんて、何様だって話ですよね。ハハハ」
サンタ少女「……」
サンタ少女「とても…面白い人だったんですね。そのサンタさんは」
トナカイ「いや全然面白くないですよ。付き合ったら分かりますけど、あの人のテンションに追いつくには並のトナカイじゃ無理です」
トナカイ「私も何度、この角で刺してやろうかと思ったか…いや実際に刺したんですけどね」
サンタ少女「…フフッ、気付いていないんですか?」
サンタ少女「そのサンタさんのことを話している時のトナカイさん、とても楽しそうに話していますよ」クスッ
155 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/24(日) 02:08:37.11 ID:H0v0IwPuo
トナカイ「えっ…そ、そうですか?」
サンタ少女「はい、正直嫉妬しちゃいます」
サンタ少女「…私も、そのサンタさんと会いたくなってきました。もし再会出来たら、私にも紹介してもらえませんか?」
トナカイ「いいですけど…止めといた方がいいですよ。いくらサンタさんでもアレ相手だとドロップキックかましたくなると思いますから」
サンタ少女「フフッ…余計に興味が出てきました」
サンタ少女「…そろそろ上がりますか。長風呂し過ぎましたね」チャプッ
トナカイ「えぇ、そうですね。のぼせたら大変ですし…」スッ
―――――――――――――――ドンッ
156 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/24(日) 02:13:17.24 ID:H0v0IwPuo
トナカイ「!?」ピクッ
トナカイ(えっ、い、今…あの音が……)
サンタ少女「トナカイさん?どうしました?」
トナカイ「い、いえ…ちょっと」
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼‼
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼‼
トナカイ「ッッ…!!」フラッ
トナカイ(な……こ、この前より音が大きい!?)
サンタ少女「トナカイさん!?」バッ
157 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/24(日) 02:17:48.02 ID:H0v0IwPuo
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
トナカイ(か、数も叩く音も増えている…!?頭が割れそうッ…立っていられない)
トナカイ(ど、どうなって……これがトビラ?)
サンタ少女「トナカイさん!?大丈夫ですか!しっかりしてください!!」
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
ドンドンドンドンドンドンッッッッッッ‼‼‼‼‼‼‼
パキッ…
トナカイ「!?」
トナカイ「ダ、ダメッッ!!!!!」
158 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/24(日) 02:23:11.93 ID:H0v0IwPuo
トナカイ「はぁっ…はぁっ…うっ」
トナカイ(や、止んだ…?)
サンタ少女「大丈夫ですか!?トナカイさん!私が分かりますか!?」
トナカイ「は、はい…サンタ、さん……」
トナカイ(い、今、確かに聴こえた)
トナカイ(何か壊れる音…間違いない、ヒビが割れるような音がハッキリ聴こえた)
トナカイ(ま、まさか…これって…)
トナカイ(トビラが―――――――開いた?)
159 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/24(日) 02:25:26.86 ID:H0v0IwPuo
今日はここまで
次の更新はほぼ安価なしで書き溜め投下になると思います
今日中に終わります
160 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/24(日) 02:27:14.39 ID:a8acBFrG0
乙乙ー
161 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/24(日) 03:10:40.68 ID:JmP78nPaO
うわークリスマスといえばこれがあったなぁ
162 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:18:11.31 ID:7O6126swo
☆☆☆☆ 12月24日 ☆☆☆☆
トナカイ(…今日はクリスマス。世界中の人々が待ち望んでいる祭典の日)
トナカイ(昨日はサンタさんにのぼせたと言ってごまかすことが出来たけど…やはり、このことを伝えるべきなんだろうか)
トナカイ(…いや、言えない。私だって何が起こるのか分からないし、そもそも、こんな脈絡もない話を聞かされたって混乱するだけ)
トナカイ(…クリスマス当日だっていうのに、変な不安を持たせるのはよくない)
トナカイ「……」
トナカイ(トビラが開いたら…どうなるんでしょうか)
163 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:19:46.33 ID:7O6126swo
ガチャ
サンタ少女「あっ、トナカイさん!大丈夫でしたか?昨日は…」
トナカイ「はい、本当にただのぼせただけなので、プレゼントを配るのに支障はないです」
サンタ少女「良かった…!てっきりトナカイさんに負担をかけ過ぎて、無理をさせてしまったのかと」
サンタ少女「では、今から本部に向かいましょうか」
トナカイ「え?本部にですか?」
サンタ少女「はい、今日の夜に向けて、世界中のサンタが集まって集会をするんです」
サンタ少女「毎年やっているんですけど…もしかして知りませんでした?」
トナカイ「えぇ、初耳でした」
サンタ少女「ちょっとしたパーティーのようなものですからね。料理も出ますし、楽しいですよ」
164 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:20:58.04 ID:7O6126swo
☆☆☆☆ サンタ協会本部 ☆☆☆☆
ザワザワ ザワザワ
トナカイ「うわぁ…凄い人ですね」
サンタ少女「各国のサンタが集まってますかっらね。私は自宅にプレゼントを贈るようにしていますが、直接受け取りに来る人もいますし」
トナカイ(あの人がここに集まっていたサンタさんのプレゼントを燃やしたことがありましたが…そういうことですか)
サンタ少女「あ、私は少し先輩のサンタ方に挨拶をしてくるので、トナカイさんは料理を食べていてください」スッ
トナカイ「はーい…っと」
トナカイ(…サンタさんも行ったことだし、ちょうど良かったな。聖女さんに昨日のことを伝えなくちゃ)
165 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:21:54.20 ID:7O6126swo
コンコン
『どうぞ』
トナカイ「失礼します」
聖女「あっ、トナカイさん。どうしたんですか?」
トナカイ「今日はサンタさんの集いがあると聞いたので、その付き添いです。あと...」
トナカイ「…また、あの音を聞きました。しかも今度は...」
聖女「…立ち話もなんですし、座ってください。今、お茶を出します」
166 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:24:38.90 ID:7O6126swo
トナカイ「…ということがありまして」
聖女「……」
トナカイ「…間違いなく、あれは壊れる音でした。これがもしあの子の言っていたトビラが開くという言葉に関係していたら…」
聖女「近いうちに、何か起こる、ということですね」
トナカイ「……」
聖女「…...」
トナカイ「…どうなるんでしょうか、これから」
聖女「…すみません。まだこちらも何も掴めていない状況です」
トナカイ「聖女さんでも分からないなんて…わ、私…昨日から、すごく嫌な予感がしているんです。言葉で表現するのが難しいんですけど…何かに背後を取られているような、危機感を感じるような…」
トナカイ「今日に…何かあるようなんてことはないですよね。せっかくのクリスマスなのに」
聖女「…そんなことは私がさせませんよ。サンタ会長の名に懸けて、必ず守ります」
167 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:25:50.13 ID:7O6126swo
ピピッ
聖女「あ、どうやら時間みたいです。トナカイさんも一緒に行きますか?」
トナカイ「時間?どこに行くんですか?」
聖女「毎年、私が挨拶をすることになっているんですよ。これでも会長ですからね、偉そうなところを見せないと」
トナカイ「…じゃあ私も、サンタさんも聞きに来ると思いますし」
ザワザワ ザワザワ
サンタ少女「あ、トナカイさん。どこに行っていたんですか?」
トナカイ「すみません、少しトイレに」
サンタ少女「これから会長さんの挨拶が始まるみたいですよ。人が集まってきました」
168 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:26:59.82 ID:7O6126swo
ゾロゾロ ゾロゾロ
トナカイ「本当ですね。いつの間にか会場にこんなに多くの人が」
サンタ少女「会長さんは人気高いですからねぇ…サンタの中でもファンクラブがあるくらいですし」
サンタ少女「中には、次の神様候補だって言う人もいるくらいです」
トナカイ「ハハ…あの人が神様はちょっと困りますね」
バッ
サンタ少女「あ、電気が消えました。そろそろ出てくるみたいですね」
169 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:28:27.24 ID:7O6126swo
聖女「みなさん、ごきげんよう。今日は遥々、本部までお越しいただいて、ありがとうございます」
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!
サンタ少女「す、すごい歓声ですね」
トナカイ「本当に人気あるんですね」
聖女「皆様のおかげで、このサンタ協会も創立150周年を迎えることが出来ました」
聖女「クリスマスが聖なる日として歴史に残ったのも、サンタさんやトナカイさん達が子供達にプレゼントを配り、幸せを届けてきた結果とも言えるでしょう」
聖女「…しかし、残念ながら、今でもクリスマスを滅ぼさんとする人がいるのも事実です。現に今年は嫌がらせの手紙が届いたサンタさんも多いと思います」
サンタ少女「…」
トナカイ「…」
170 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:30:07.88 ID:7O6126swo
聖女「それでも、私はこの素晴らしい日を、後世に永遠と語り継ぎたいと思っています。それが3代目会長の私の役目ですから!」
聖女「クリスマスは不滅です!!クリスマス万歳!!!!!!!!」
バンザアアアアアアアアアアアアイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!
サンタ少女「ば、ばんざーい」
トナカイ「…サンタさん、恥ずかしいなら無理しなくてもいいですよ」
聖女「…さて、長ったらしい挨拶も終わったことですし、本題に入りましょうか」
聖女「そこの黒いフードを被った仮面の人、出てきてください。さっきからこそこそ隠れて様子を伺っていたのは分かってます」
サンタ少女「え?」クルッ
トナカイ「仮面…?」クルッ
171 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:31:04.43 ID:7O6126swo
スッ
仮面『…』バサッ
サンタ少女「あ、あの人ですかね…?」
トナカイ「え、えぇ…まったく気づきませんでした」
聖女「良ければ、壇上に上がってもらえませんか?」
聖女「あなたが……サンタに呪詛の手紙を送りつけた本人なのでしょう?直接お話しようじゃありませんか」
サンタ少女「!?」
トナカイ「あ、あいつが…!?」
172 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:32:20.79 ID:7O6126swo
仮面『…』コクッ
仮面『…』スタスタ
サンタ少女「あ、あれが…犯人ですか。ずいぶん小柄な人ですね…私より小さく見える」
トナカイ「は、はい…まるで幼女のような」
トナカイ「――――ま、まさか」
聖女「さて、話し合いの場にそのふざけた仮面は相応しくないですね。取っていただけますか?」
聖女(…どう出ますか?あなたは―――)
仮面『………』
仮面『いいだろう』パカッ
173 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:33:29.51 ID:7O6126swo
サンタ幼女「…よう、久しぶりだなァ…」
聖女「…やはり、そうでしたか」
174 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:34:28.66 ID:7O6126swo
トナカイ「!!!!!!!!!」
トナカイ「サ、サンタさん…?」
トナカイ(ど、どうして消えたサンタさんがここに?それにあの手紙を出したのもサンタさんだったなんて...)
トナカイ(な、なら…どこまで関係しているんですか?あなたは…)
聖女「…一年も行方をくらませておいて、今更出勤ですか」
聖女「教えてください。あなたは誰と繋がっているんですか?そして目的はなんですか」
サンタ幼女「…私の目的なら、もう三年前から知ってるだろ」
サンタ幼女「クリスマスを潰しに来たんだよ。だからこうやってゴキブリ共の巣に私自ら出向いてやったんだ」
175 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:36:22.08 ID:7O6126swo
サンタ少女「ト、トナカイさん…あれが本当に…昨日話していたサンタ幼女さんなんですか?」
トナカイ「は、はい…間違いないです…でも」
トナカイ「何か、何か違うような…以前と比べて…...」
サンタ幼女「…それにしても、私があいつらと組んでいることをもう察知していたのか。いやはや…恐ろしい聖女様だわ」
サンタ幼女「ただ、正体までは掴んでいなかったらしいな…当然か、あいつらはこの世界の住人じゃないからな。お前の目でも視えなかっただろ」
聖女「…...」
聖女「質問に答えてください。あなたの後ろには誰がいるんですか」
サンタ幼女「誰ェ???その質問は難しいわ。だって私も直接会ったことはないし」
サンタ幼女「扉越しで力を貰っただけだ…お前を殺せる程の力をな」
176 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:37:38.09 ID:7O6126swo
トナカイ(ト、トビラ!?)
聖女「…扉、ですか。それはもう開いているんですか?」
サンタ幼女「ほう…本当にお前は油断ならないな。どこまで筒抜けなんだか」
サンタ幼女「あぁ、もう開いているぞ…こことな」
聖女「!?」ビクッ
聖女「み、みなさん早く避難してください!!!!!!ここから離れ――――」
グッシャアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!!
177 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:39:02.59 ID:7O6126swo
スタスタ スタスタ
異形『…』
ザワザワ ザワザワ
サンタ少女「な、なんですかあれ…壁を突き破って何かが…」
トナカイ「…!…!」プルプル
サンタ少女「ど、どうしました?トナカイさん」
トナカイ「サ、サンタさん…すぐにここから離れてください。あ、あれは…」プルプル
トナカイ「わ、私の野生の勘が言っています。全速力で逃げろ、と…は、早く…」
178 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:40:20.05 ID:7O6126swo
異形『…』
異形『…』チラッ
サンタ男「おい、なんだお前?ここはサンタ協会の本部だぞ。あそこの上にいるやつの仲間か?」
聖女「ダ、ダメです!!!!!!!!!!みなさん!!!!!!早く逃げて!!!!!!!!」
サンタ幼女「馬ァ鹿ァ…一人も逃がすわけねえだろうが」ニヤリ
異形『...』
サンタ男「おい、何とか言ったら」
シュンッ
サンタ男「ど、う……なん、だ?」ボトッ
サンタ男「」バタッ
179 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:41:57.69 ID:7O6126swo
サンタ少女「ひっ…!?く、首が…」
トナカイ「こ、殺した……人を、殺した…」
「「「「「「「う、うわああああああああああああああああああ!!!!!!!!逃げろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」バタバタ
「「「「「「「殺されるぞおおおおおおおおおお!!!!!!早くしろおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」
バサッ バサッ
異形『…』
異形『…』
サンタ幼女「アッハハハハハハハハハァ!!!!!!愉快、愉快、あぁ…この時をずっと待っていた…」
聖女「あなたは…!!!」
サンタ幼女「あ、これで終わりだと思うなよ?扉が開いたのはここだけじゃないからな」
サンタ幼女「今頃世界中で…ここと同じような出来事が起きているんだよ。クリスマスはもう終わりだ」
サンタ幼女「―――いや、世界は終わりだァ」ニヤッ
180 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:43:19.26 ID:7O6126swo
聖女「…!」
聖女(やっとパズルのピースが繋がった…でもこれじゃ…もう世界は......)
聖女(…救い、希望…ッ!?)
聖女「そ、そういうことですか。トナカイさんは…」
ギャアアアアアアアアアア!!!!!!
タスケテエエエエエエエエエエ!!!!!!
トナカイ「サ、サンタさん!!!!!!」
サンタ幼女「…アァ?」クルッ
181 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:44:17.58 ID:7O6126swo
トナカイ「な、何をしているんですかぁっ!!!!!サンタさん…自分が何をやっているか分かっているんですか!?」
トナカイ「も、もうこんなの…ただのイタズラじゃ済まされない…あなたは人を殺したんですよ!!!!!」
サンタ幼女「…誰かと思ったら鹿か。まだ生きてたのかよお前」
サンタ幼女「人殺しィ?それがなに?これから世界を滅ぼしてやるんだから70億人中の一人なんて軽いもんだろ」
トナカイ「せ、世界を滅ぼすって…ほ、本気で言っているんですか!?」
サンタ幼女「当たり前だろ。私には…あいつらにはその力がある。一週間もあれば人類は死滅する」
サンタ幼女「その時こそ、私が望んだ世界の完成だ…私より幸せな人間が存在しない、理想の世界のな」
182 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:45:18.37 ID:7O6126swo
トナカイ「そ、そんな…わ、私は…し、信じていたのに……」
トナカイ「お、大馬鹿ですよ!!!!!サンタさんは世界で一番の大馬鹿です!!!!!!」
サンタ幼女「…はぁ、やっぱお前とは合わねえわ。今までご苦労だったな。私に仕えてくれて」
サンタ幼女「でも、もうお前はいらない。死んでいいぞ」シュンッ
トナカイ「!?」ピクッ
トナカイ(あ、まずい…これ、避けないと、死―――)
ピキーーーン!!!!!!
183 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:46:49.76 ID:7O6126swo
トナカイ「」ギュッ
トナカイ(…あれ?死んでない)
聖女「…」
サンタ幼女「…チッ、邪魔しやがって」
聖女「立てますか?トナカイさん」
トナカイ「せ、聖女さん?は、はい…」
聖女「…以前、協会の下水道を通ったのを覚えていますか?あそこなら安全にここを抜けられるはずです」
聖女「…トナカイさん、必ず生き残ってください。あなたは希望です。もうこの状況を打破するにはあの人しかない」
聖女「決して、諦めないでください。どうかこの言葉を忘れないで」
トナカイ「え…?どういう意味ですか?」
184 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:48:11.94 ID:7O6126swo
聖女「…ここは私に任せて、あなたは逃げてください」
トナカイ「!?」
トナカイ「で、でも...!」
聖女「早く!!!!!!これはサンタ協会会長の命令です!!!!!」
トナカイ「…!わ、分かりました!」ダッ
サンタ幼女「逃がすかよ」シュゥゥ
聖女「あなたの相手は私です。私に復讐したいのでしょう?」
聖女「私は逃げません。ここであなたと戦います」スッ
185 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:49:13.71 ID:7O6126swo
サンタ幼女「…分からんな。なんであの鹿を逃がした?」
サンタ幼女「あんな何も役に立たない…ゴミを生かして何になる?その行動に何の意味がある?」
聖女「…去年、あなたとした賭けのことを覚えていますか?あれと同じですよ」
聖女「私はトナカイさんに賭けたんですよ…ただそれだけのことです」
サンタ幼女「意味分かんねえよ。そろそろ死ぬか?」スッ
聖女(…トナカイさん、後は任せました。あなたには酷な仕事を任せてしまいましたが…やり遂げてくれると私は信じています)
聖女(そして…ごめんなさい。サンタ幼女、あなたをあちら側に落としたのは私の落ち度です。まさかやつらが接触してくるなんて)
聖女(…次は失敗しません。必ず)
186 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:50:00.34 ID:7O6126swo
サンタ幼女「死ねェッッッッ!!!!!!!」ダッ
聖女「…!!!!」グッ
187 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:51:37.34 ID:7O6126swo
トナカイ「ッッッ!!!!!!」ダダダッ
トナカイ(聖女さんのあんな声…初めて聞きました。わ、私は…逃げないと)
トナカイ(あの人の言ったことなら…一番信用できます。私の考えよりも…)
トナカイ(…あれ?そういえばサンタさんは…)キョロキョロ
トナカイ(最後に一緒にいたのは…人が殺されたのを見て、居ても立っても居られなくなって…!?)
トナカイ「わ、私…サンタさんを…置き去りに」プルプル
サンタ少女「トナカイさん!!!!」ダッ
188 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:53:14.36 ID:7O6126swo
トナカイ「サ、サンタさん!良かった…無事だったんですね」
サンタ少女「…」
サンタ少女「はい、トナカイさんが壇上に向かった時に、逃げようかと思ったんですか…」
サンタ少女「…トナカイさんを置いて、一人で逃げるなんて出来ませんでした。だからそこに隠れていて」
トナカイ「…!ご、ごめんなさい!一人で行動してしまって…」
トナカイ「サンタさん!私の背中に乗ってください!下水道を通ってここから脱出します!」
サンタ少女「げ、下水道ですか?」
189 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:54:35.62 ID:7O6126swo
ダダダダダダダダッ!!!!!
トナカイ(…走っている途中に、何人もの死体を見た。会場に入ってきた化け物共に殺されたんだろう…)
トナカイ(…どうして、どうしてこんなことを)
トナカイ「着きました!ここから入れます!」
サンタ少女「はい…うっ!?」ズキッ
トナカイ「だ、大丈夫ですか?」
サンタ少女「…」
サンタ少女「ご、ごめんなさい…あんなものを見てしまって…気分が」
トナカイ「気を付けてください。ここから先は臭いが酷いですから」
190 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:56:43.12 ID:7O6126swo
ペチャッ…ペチャッ…
トナカイ(…ここに入るのも二年ぶりだな。あの時は―――ッ!?)
トナカイ「そ、そうだ…サンタさん!気を付けてください!ここには…!!」
グルルルルルルル……
キメラサンタ「グアアアアアアアッッッッ!!!!!!」
トナカイ「や、やっぱり…今はこんなのに構ってる暇はないのに」
サンタ少女「ト、トナカイさん。これって」
トナカイ「…一か八か、股の間をすり抜けて逃げます。掴まっていてください」
サンタ少女「…!」ギュッ
191 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:57:44.24 ID:7O6126swo
キメラサンタ「グルァッッッ!!!!!!」ダッ
トナカイ(き、来た!大丈夫、私なら…っ)
シュンッ
キメラサンタ「ガウッ!!!!!」ガシッ
トナカイ「…え?」クルッ
トナカイ(あ、あれ?私達を無視して…後ろに飛びついた?)
キメラサンタ「グゥゥッッ!!!!!ギャアッ!!!!」ガブガブ
異形『…』グッ
192 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 04:58:57.44 ID:7O6126swo
トナカイ「…!?う、後ろにあいつらが…」
サンタ少女「い、いつの間に…まったく気づきませんでした」
キメラサンタ「ガウッ!ガウッ!」クイッ
異形『…』グッ
トナカイ「…行け、と、言っているのですか?」
トナカイ「…ありがとうございます!!!!キメラさんッ!!!!」ダッ
193 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:00:16.86 ID:7O6126swo
ダダダダダダダダッ!!!!!
トナカイ「はぁっ…はぁっ…」
トナカイ(あ、あんなところにまで現れるなんて…もう逃げ場なんてないんじゃ)
トナカイ(…聖女さんも、キメラさんも、私を逃がすために…)
『救えるのはあなたしかいない』
トナカイ「…っ」
トナカイ(わ、私なんて…サンタさんのソリを引っ張ることしか出来ないトナカイなのに…なんで…)
サンタ少女「トナカイさん!あれ、出口じゃないですか!?」
トナカイ「は、はい!そうです!あそこからマンホールに上がれます!」
194 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:01:33.07 ID:7O6126swo
サンタ少女「…」
サンタ少女「トナカイさんから先に上がってください。私は後から行きます」
トナカイ「えっ…ど、どうしてですか?」
サンタ少女「…トナカイさんの手足だと、登るのも一苦労のはずです。私はすぐ行けますから、先にどうぞ」
トナカイ「で、でもサンタさんより先なんて…私が後で…」
サンタ少女「トナカイさん」
サンタ少女「これは…友人として、あなたの身を案じた言葉です。私のことを想うなら、この言葉に従ってください。時間がないんです」
トナカイ「わ、分かりました…先に行きますね」
195 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:02:57.69 ID:7O6126swo
カツン…カツン…
トナカイ「あ、あと…もう少し…」
ガラッ
トナカイ「開いた!外だっ!」ヒョイッ
トナカイ「サンタさん!開きました!さあ早く!」スッ
サンタ少女「…」
トナカイ「…サンタさん?」
サンタ少女「…ごめんなさい。私は行けません」
トナカイ「!?」
トナカイ「なっ…ど、どうしてですか!?馬鹿なこと言ってないで、早く来てください!!!!」
196 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:04:03.19 ID:7O6126swo
サンタ少女「…トナカイさんには黙っていましたが、実は私…足を怪我しているんです。トナカイさんと合流する前に、あの化け物に襲われて」
サンタ少女「その傷が…今見たら、かなり酷くなっていて。ただの切り傷だったのに」スッ
ニチャァッ…
トナカイ「うっ…そ、そんな…」
サンタ少女「…意識も、少し朦朧としてきました。このままだとトナカイさんのお荷物になって、危険な目に遭わせてしまうかもしれない」
サンタ少女「なら…少しでも、化け物から時間を稼いできます。それが今の私に…出来ることですから」
サンタ少女「ここで、さよならです。トナカイさん今までありがとうございました」
トナカイ「い、いやです…わ、私…サ、サンタさんまで…...」ポロポロ
197 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:05:25.85 ID:7O6126swo
サンタ少女「…トナカイさん、私が言うのもなんですけど…あなたは決して、諦めないでください。生きることを」
サンタ少女「諦めなければ…希望は必ずあります。その時が来るまで…耐えてください」
サンタ少女「…私の分まで、頑張ってくださいね」ダッ
トナカイ「サ、サンタさん…!?そ、そんな…うそ…」
トナカイ「サンタさん!!サンタさああああああああああああん!!!!!!!!」
198 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:06:20.34 ID:7O6126swo
……………………………………………………………………
…………………………………………………
…………………………………
199 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:07:32.32 ID:7O6126swo
☆☆☆☆ 12月31日 ☆☆☆☆
トナカイ「…」
トナカイ「…」
トナカイ「…」
トナカイ(―――あの日から、一週間が過ぎた)
トナカイ(あれから、トビラから現れた化け物は世界を侵略して各国の都市を襲ったらしい)
トナカイ(テレビも…一日が過ぎた辺りで何も映らなくなった。ラジオも三日目には受信出来なくなり、情報は完全に途絶えた)
トナカイ(最後に聞いたニュースは…あの化け物は殺せないらしい。現代兵器では歯が立たず外に出るなという警告だった)
トナカイ(だから私は…ここの家に引き籠っている。元の住人は避難したらしく、無人だった)
トナカイ(…幸い、化け物共はまだ襲ってこない。だがそれも恐らく時間の問題だろう。ここもいずれ―――)
200 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:08:48.08 ID:7O6126swo
トナカイ(…どうしてこんなことになったんだろう。どこかで変えられたはず…)
トナカイ(…私が、あの人ともっと親しくなっていたら…こんなことを起こさなかったのかもしれない。或いは…この角で刺し殺していたら)
トナカイ(どうして…なぜこんなことに…幸せなクリスマスが来るはずだったのに)
トナカイ(…私を逃がすために、聖女さんは自分を犠牲にした。まだ死んだと決まったわけではないけど…多分、助からなかったと思う)
トナカイ(キメラさんも、下水道で化け物に喰らいついた。恐らく、聖女さんから私を守るように言われていたんだと思う)
トナカイ(そして…サンタさんも――――)
201 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:09:49.88 ID:7O6126swo
トナカイ(三人の命を対価に、生き残ったのは私だけ…何の役にも立たない、トナカイ一匹…)
トナカイ(…もう、死のうかな。疲れた、どうせここにいてもいつかは死ぬんだし、ならいっそ楽になった方が……)
『ぜったいに諦めないで。必ず、あなたをたすけてくれる人がくるから』
『決して、諦めないでください。どうかこの言葉を忘れないで』
『諦めなければ…希望は必ずあります。その日が来るまで…耐えてください』
トナカイ「…」
トナカイ(どうして……私に何が出来るっていうんですか。みんな同じようなこと言って…私にどうしろと)
トナカイ(助けなんて…来るわけないですよ。もう世界は、終わりなんですから……)
トナカイ「……誰か、私を助けてくださいよぉ」グスッ
202 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:10:35.19 ID:7O6126swo
コンッ
203 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:11:30.24 ID:7O6126swo
トナカイ「!?」ビクッ
トナカイ「な、なんですか?外から音が…」
トナカイ「ま、まさか…ここがバレて…」ゾクッ
コンッコンッ
トナカイ「…」
トナカイ「ち、違う。ノックをするような音…私の他にも生存者が?」
トナカイ「……!!」ダッ
トナカイ「はい!今、出ます!!」
204 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:12:12.67 ID:7O6126swo
ガチャッ
トナカイ「――――――????」
トナカイ「あ、あれ…誰もいない。ど、どうして…?確かに音がしたのに」キョロキョロ
トナカイ「ま、まさか…幻聴?あまりの恐怖で…」
トナカイ「…...」
トナカイ「そ、そうですよね…こんなところに、都合よく生存者が来るわけがないです。はは…ここまでなると末期ですね。今日は寝ますか」スタスタ
205 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:13:06.57 ID:7O6126swo
トナカイ「きっと、これは長い夢なんです。夢が覚めたら…クリスマス当日で、サンタさんと一緒に配って…」
女「よう、邪魔しているぞ」
トナカイ「そして、プレゼントが配り終わったら、ヘトヘトで…お風呂に入って寝るんです」
トナカイ「?」クルッ
トナカイ「!?!!!!!???!!??!?!?」ビク
206 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:15:08.19 ID:7O6126swo
女「どうした、そんなに驚いて、まるで幽霊でも見たようだぞ」
トナカイ「えっ…あのっ…えっ」
トナカイ「ど、どこから入ったんですか!?表には誰も…!」
女「どうでもいいだろう。そんなことは、それより…今はもっと大事な問題があるだろ」
女「外を見てみろ。大晦日だというのに、この有様だ…まったく、どこぞの誰だ。扉を開けたやつは」
トナカイ「と、扉って…何か知っているんですか!?」
女「まあ少しはな。だからここに来た。お前を探すのに時間が掛かったがな」
女「…間違いないみたいだな。トナカイ、お前がこの世界の鍵だ」
207 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:16:08.65 ID:7O6126swo
トナカイ「か、鍵…?よく分からないですけど、私を…世界を!助けに来てくれた人ですよね!?」
女「…そいつは少し違うな」
女「世界を救うのはお前だ、トナカイ。私はその手助けに来た」
トナカイ「え?」
つづく
208 :
◆gqUZq6saY8cj
[saga]:2017/12/25(月) 05:18:35.58 ID:7O6126swo
ってことでクリスマスが終わったことですし一旦終わります
近いうちというか明日にでも次スレを立てると思うのでちょっと待っててください
最終章らしく運命に逆らいます
209 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/25(月) 08:24:52.32 ID:gWiLIPC9O
おつ
なんだか大変なことになっちゃったぞ…
女はひょっとしてあの人…?
210 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/25(月) 09:12:36.33 ID:0kaLVc5zO
乙
盛り上がってきた
211 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/25(月) 11:30:42.93 ID:S9v0hCa40
乙ー
なんかえらいことになってきた
212 :
◆gqUZq6saY8cj
[sage]:2017/12/26(火) 20:45:59.40 ID:vJtWtw7Mo
トナカイ「サンタさん!私と友達になりませんか?」サンタ幼女「…は?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1514288081/
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