結衣「え、ヒッキーってパン屋さんでバイトしてるの?」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 21:56:09.11 ID:GjG/7KC80
八幡「まあ、広義に解釈すればパン屋と言えなくもないようなところだが」

結衣「へー、意外ー。ヒッキーってもっと暗い感じなとこでバイトしてるんだと思ってた」

八幡「何だよその偏見。まあ確かに世の中には暗いっつーか黒い(ブラック)バイトもわんさかあるがな」

結衣「パン屋さんかー。ふーん……。あ、あのさっ」

八幡「何だ?」

結衣「あたし最近、結構出費とか多くて……ちょっとお小遣い稼ぎにバイトしたいなーとか……思ったりしてて」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/16(土) 21:57:17.92 ID:oI90n6LAo
  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄○ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
           O 。
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|__|__|__|_   __((´∀`\ )< というお話だったのサ
|_|__|__|__ /ノへゝ/'''  )ヽ  \_________
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|_|_| 从.从从  | \__ ̄ ̄⊂|丿/
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|_|_|///ヽヾ\  /   ::::::::::::ゝ/||
────────(~~ヽ::::::::::::|/        = 完 =
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 21:57:29.60 ID:GjG/7KC80
八幡「……別に、バイトしたいならしたらいいんじゃねぇの。学校にはちゃんと届け出しとけよ」

結衣「う、うん。で、でさー。いきなり、全然知ってる人のいないバイト先に行くとかちょっと勇気いるし……」

八幡「三浦とか葉山に相談したらいいだろ。あいつらなら人脈広いだろうし適当にそれなりのバイト先を見繕ってくれるんじゃね」

結衣「あ、あーうん。でも優美子は今バイトとか探してる感じじゃないし、隼人くんは部活で忙しいから今はバイトとか考えてないと思うし」

八幡「じゃあほら、前に深夜のバイトとかしてた川……川越?川満?川本?イチローの追っかけ?に聞いてみたらどうだ。いろいろ知ってるだろ」

結衣「川……って誰だし!」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 21:58:22.38 ID:GjG/7KC80
八幡「それじゃ、平塚先生にでも相談したらどうだ。生活指導だし、何だかんだで顔は広そうだからな。高校生向けの優良なバイトとか知ってるかもしれないぞ」

結衣「平塚先生も忙しそうだし、あんまり個人的なことで相談するのもなんだかなって」

八幡「じゃあ――」

結衣「もぉー! ヒッキーのバカっ!」

八幡(え、何……この子なんでいきなりキレてるの? キレやすいお年頃なの? まあ花の17歳だもんなぁ)
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 21:59:42.45 ID:GjG/7KC80
結衣「だ、だからその……何ていうかパン屋さんでバイトとか、何かいいなぁーって思ったりして。つまみ食いとかできそうだし」

八幡「理由が安直過ぎる……」

結衣「で、それでね! ヒッキーのバイト先のパン屋さんって……バイト募集したりしてるのかな?」

八幡「ああ、してるぞ。つーか、常に求人誌開いたら載ってるし大量募集しているな」

結衣「そ、そうなんだ。じゃあさ、そのパン屋さんの名前とか教えてくんない? その、バイト探しの参考にしたいっていうか」

八幡「参考に、か。それならまあ教えてやってもいいけどよ……」

結衣「うん、ありがと」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 23:43:54.19 ID:GjG/7KC80
――某パン工場前――

結衣「もうヒッキーの嘘つき! どこがパン屋だし! これパン工場じゃん!」

八幡「だから広い意味でって言っただろうが……」

八幡(つか、マジでこいつ応募してくるとは思わなかった……。これならちゃんと、このバイトについて詳しく説明して辞退させておくべきだったな)

八幡(正直、由比ヶ浜のような日の当たる側の世界の人間をこの暗黒の工場の中に押し込むのは申し訳ない)

八幡「つか、何で俺のシフトと同じ日時に合わせたんだ?」

結衣「え、だって……今日初めてのバイトだし、不安だし……」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 23:44:58.41 ID:GjG/7KC80
八幡(まあ、初のバイトなら不安になる気持ちは分かる。特にこのバイト先なんか、俺もネットの評判見ただけで行くの躊躇したもんな)

八幡「ま、嫌になったら昼休憩のときに帰っちまえばいい。そんなに気負うな」

結衣「そうだよね……って、いや帰らないし! ていうか、バイト初日でバックレるとかありえなくない!?」

八幡「俺が今まで見てきたここの新人バイトで、最短の奴は仕事始まって1時間で帰っちまったぞ」

結衣「え、何それ……。それヒッキーのこと?」

八幡「いや俺じゃねぇし。今日もまじめに出勤してるだろうが」

結衣「でも、それって……それだけキツい職場だっていうことだよね……。どうしよ……あたし大丈夫かな」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 23:45:35.37 ID:GjG/7KC80
八幡「まあ、何事も経験。嫌だったら本当にすぐ辞めればいいだけだ。会社側もその辺を見越して大量採用してるわけだし」

結衣「あの求人……そういうことだったんだ。でも、ヒッキーはここでのバイト、まだ続いてるんだよね?」

八幡「まあ、俺のような人間は、かえってこういうバイトの方が性に合ってるのかもしれねぇな」

結衣「どういうこと?」

八幡「ま、実際やってみりゃ分かるだろ。そろそろ出勤時間だ、行くぞ」

結衣「う、うん!」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 23:46:30.35 ID:GjG/7KC80
――バイト控室――

八幡(休日の日中のバイトとなると、出てくる年齢層も様々だ。俺達と同じ高校生風情もいれば、大学生、主婦層、おっさん、おばさん……お年寄り)

八幡(これが深夜勤務になると学生やフリーターの割合が多くなるらしい。まあ、高校生は深夜勤務できないし、若くないと夜勤はしんどいからな)

八幡(逆に高校生のバイトが多いのは午後5時から9時までの夕方勤務だ。学校帰りに軽く食べて出勤し、そこまで遅くない時間帯には仕事上がり)

八幡(4時間なので休憩はないが、まあ8時間働くのは休憩挟んでもしんどいからな。4時間くらいなら放課後でもそれなりにこなせるレベル)

八幡(正直、初のバイトに入るなら夕方勤務にしたほうが良かったと思うのだが……まあ、あいつが決めたことだしな)
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 23:47:37.55 ID:GjG/7KC80
結衣「ヒッキー、着替えてきたよ」

八幡「おう」

結衣「ど、どう……この格好、似合う?」

八幡「似合ってるって言われたら嬉しいか?」

結衣「嬉しくないかも……何か凄いダサいもん」

八幡(まあ、イメージ通り、工場用の白い制服である。制服というか作業服か。清潔さ重視だから見た目がファッション性皆無なのはいたしかたない)

八幡「髪、ヘアーネットの中にちゃんと押し込んでから帽子かぶれよ。仮にも食品工場だからな。服装チェックで注意されるぞ」

結衣「あー、うん。わかってる……」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 23:49:00.98 ID:GjG/7KC80
八幡(この制服、布地が安っぽいのか……結構薄いんだよな。だからその、下着のラインというか……そういうのが)

結衣「ヒッキー、どしたの?」

八幡「な、何でもねぇよ」

八幡(おばちゃんとかなら全然気にならないんですけどね……。JKとかJDとか、つい凝視しちゃうよ! やめようよ、こういうトラップ!)


総務「由比ヶ浜さんは今日初めてでしたよね。衛生帽子にこれつけておいてください」

結衣「あ、はい」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 23:49:58.90 ID:GjG/7KC80
結衣「何これ、バッジ?」

八幡「車の初心者マークみたいなもんだ。初バイトには配慮してやれっていう一応の免罪符だな」

結衣「あ、そうなんだ」

八幡「まあ、見ての通り分かると思うが、バイトの帽子の色は、男は青、女は桃色で分けてある」

八幡「白い帽子が社員で、灰色が準社員、白に黒の二重線が入った帽子をかぶっているのが部署のリーダー格だと思っておけばいい」

結衣「う、うん。えっと白が……」

八幡「まあ、そんなにちゃんと覚えなくても指示してくる人間の言うことに従ってりゃ基本なんとかなるけどな」

結衣「そ、そうなの?」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 23:50:54.34 ID:GjG/7KC80
ざわ・・            ざわ・・


八幡「おおかた、9時出勤の他のバイトも集まってきたようだ」

結衣「ヒッキー、知り合いとかいないの?」

八幡「工場の規模が大きいからバイトの数も多いんでな」

八幡「シフトもかなり自由に入れるから、何となく見覚えのあるやつはいるが名前は知らないし、特に話したこともない」

八幡「つか、わざわざ話す必要ないからむしろ気が楽まである」

結衣「……ヒッキー、そういう性格だから友達できないんだよ」

八幡「うるせーな。バイトの本分は労働だろうが。私語とか厳禁なの」

結衣「まあ、それはそうかもだけどさー」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 23:51:51.27 ID:GjG/7KC80
八幡(つーか、食品のラインで作業してる途中にぺちゃくちゃ無駄話してるおばちゃん連中は消えてくんねーかな……唾飛ぶし不衛生だろ)

結衣「あたしのほかに今日新人の人とかいないのかな?」

八幡「見たところいなさそうだな」

結衣「そっか、ひとりだけ……何か余計不安になっちゃうな」

八幡「別に新人全員が同じラインに入るわけじゃねぇから関係ないぞ。そろそろ今日の配置が宣告されるころだな」

結衣「え!? みんな同じ場所で一緒に作業するんじゃないの!?」

八幡「なわけねぇだろ……。うちの工場には食パン課とか菓子パン課とかベーカリー課とか、いろいろな課があるんだ」

八幡「バイトは基本、特定の課に専属で仕事をするわけじゃない。派遣社員のように日替わりでそれぞれの課に振り分けられるんだ」

八幡「受注量次第でその日に忙しい課と暇な課があるからな。バイトは労働力の配分のためにいいように使われる捨て駒ってことだ」

結衣「よく分かんないけど何か理不尽な気がする……」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 23:52:23.73 ID:GjG/7KC80
結衣「え、でもっ……! てことは、あたしとヒッキーも別のとこに行かされるかもってこと……?」

八幡「むしろその可能性の方が高い。十数の課にバイトが振り分けられるんだからな。勿論、暇だから今日はバイト不要な課もあるだろうが」

結衣「そ、そんな……」

八幡(おいおい、何でそんなに悲しそうな顔するんだよ……。俺がいようがいまいが仕事するのは基本的に同じような内容だぞ。心配し過ぎだ)


総務「それでは今日の配属先をお伝えしますね。AさんはOO課、Bさんは△△課、Cさんは――」


八幡「始まったな。俺達も聞きに行こうぜ」

結衣「う、うん」パンパンッ

八幡(え、何両手合せてんの? 神社にでもお参りするの?)
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 23:52:53.16 ID:GjG/7KC80
総務「比企谷くんはー、今日は和菓子課でお願いします」

八幡「はい」

総務「由比ヶ浜さんは――」

結衣「は、はいっ」

総務「由比ヶ浜さんも和菓子課ですね」

結衣「!」

総務「比企谷くん、彼女は今日が初めてなので和菓子課まで案内してもらえますか」

八幡「……はあ。はい」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/16(土) 23:53:31.19 ID:GjG/7KC80
――製造ライン入口――

結衣「もー、凄いドキドキしちゃった。こんなの受験の合格発表のとき以来かも」

八幡「どんだけ緊張してるんだよ……大げさな。さっさと行くぞ。ちゃんと手洗って消毒したか?」

結衣「ばっちり! でも和菓子課なんてのもあるんだ。パン工場なのに」

八幡「大手の製パン会社はパン以外にもいろいろ作ってるんだよ。他にもドーナツ課とか洋菓子課とかもある。クリスマスシーズンにはケーキも作ってるぞ」

結衣「ケーキ作り! わー、それいいかも。何か楽しそうだし」

八幡「ライン作業のケーキ作りだぞ。お前が想像しているであろうケーキ作りとは全く違う」

八幡「第一お前が作ったケーキとか100%検品ではねられて不良品扱いでゴミ置き場行きだからな」

結衣「ひどっ! そこまで言わなくてもいいじゃん……」
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