ウェイバー「なんだよこいつ…」ガッシュ「ウヌ?」

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322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/14(日) 22:09:38.42 ID:tkyCW2cZ0
綺礼「私だけで勝てるとは微塵も思っていない。お前達の助力はありがたい…が、残りのマスターの力も借りたい」

ウェイバー「なら、そのマスター達は…」

綺礼「教会の指令に素直に従うかは分からん…魔術師というやつは、どいつもこいつもひねくれているのが多いからな…」

ガッシュ「お主は人のことは言えぬのでは…」

綺礼「ん?なんだね?もう一度言ってくれ」

ガッシュ「ヒッ!?およ…およよ…」

ウェイバー「びびるなよ…」

綺礼「とにかく、今のお前達には休息が必要だ。少し休め。私も…疲れ…」

二人は気づかなかったが、綺礼の心身は限界を迎えていた。淡々と状況を説明していた神父は、電池が切れたようにその場に倒れこんだ。

ウェイバー「お、おい!」

綺礼「……」

ガッシュ「…心配いらぬ。寝ておるのだ」

ウェイバー「…なんだ。じゃあ僕も眠る…」

ガッシュ「私も…」

そして二人も眠りについた。ガッシュ達の長い一日は、一先ず幕を下ろした。
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/14(日) 22:20:51.24 ID:tkyCW2cZ0
 (ウ…バー …ウイバー…! ウェバー!) 

「ウェイバー!!!!!」

ウェイバー「うわあああああ!?」

朝…というには少し早く空もまだ暗い。普段なら寝ている時間…だったが、ウェイバーはこのパートナーによって飛び起きた。

ガッシュ「ヌ?目覚めたか!おはようなのだ!」 

ウェイバー「お前かよ…驚かせ…」

ガッシュ「寝ている場合などではないのだ!私たち以外のマスターが来たのだ!さあ急ぐのだ!」

ウェイバー「何だって!?それはどこに…」

「お前の後ろにだ」

最悪の目覚めだった。朧気な頭が一瞬で覚醒する。経験したことはあるはずもないがはっきりと分かる。自分の頭には、銃口が突きつけられていた。
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/14(日) 22:36:49.81 ID:tkyCW2cZ0
「油断しているにも程があるな。安全地帯が何時危険地帯に変わるかなんて、お前達は更々考えていないらしい」

ガッシュ「ウェイバーをバカにするな!」

ウェイバー「…おいガッシュよ、なぜお前はこの状況でそんな口を利けるんだ」

「…お前も、よくこの場面で発言できるものだな」

殺気を感じた。いつか殺されるかもしれないと覚悟はしていたが、どうやらこの戦争の認識を改めたほうがいいようだ。

ウェイバー「…僕を脅迫してどうするつもりだ」

「脅迫?ふっ…生ぬるいな。寝ぼけているのか?僕はお前を殺す。そして聖杯を手にいれる。そう、それだけだ。その為に僕は…」

「どれだけの犠牲も厭わない」

その男が引き金を引こうとしている事は顔が見えずとも感じ取れた。今から起ころうとすることに耐えきれず、目をつぶる。

ガッシュ「やめろ!!」

「終わりだ」



「切嗣ーーーーーーー!!!!!」
325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/14(日) 22:50:32.71 ID:tkyCW2cZ0
ガッシュ「お、お主は…」

ウェイバー「セイバー!」

「ちっ…ここまで早く勘づかれるとはな」

セイバー「計画の二時間前に事を進めようとするとは…おかげで急いで走ってきたんですよ私は!」

「別に同じ時間に出発するとは一言も口にしていないが?」

セイバー「また屁理屈を…それより切嗣、銃を下ろしなさい」

切嗣「サーヴァントの命令に従うつもりはない…僕はこいつらを始末する」

セイバー「もし私の前でそのような行動をとるならば、私が貴方を切りましょう」

切嗣「何を言い出すかと思えば…君は勝ちたくないのか?」

セイバー「この誉れある戦いの中で、汚れた勝利など言語道断だ!」

切嗣「まったく…英雄様の悪い癖だな。手段を選ばないのが戦争だろう。お前のそれは、戦友とやらを擁護する詭弁にすぎない」

セイバー「貴様…!今ここで叩き斬ってやろうか!」

「そこまでにしてもらおうか、衛宮切嗣。そしてそのサーヴァント」
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/14(日) 23:02:05.34 ID:tkyCW2cZ0
綺礼「おはよう諸君。監督役の言峰綺礼だ」

ガッシュ「オオ!助かったのだ!」

切嗣「…!」

ウェイバー「なんかすっきりした顔しやがって…」

ウェイバー(それに少し笑ってないか…?)

綺礼「ここに来てくれたということはすなわち、我らに協力してくれるという…」「勘違いするな」

切嗣「僕はお前…言峰綺礼から、話を聞き出しにきた」

セイバー「…」

綺礼「話?伝達ならば済ませたが…」

切嗣「とぼけなくていい。お前はアサシンを通じて知っているはずだ、あの夜の出来事を」

ウェイバー(あの夜…?)

綺礼「…いいだろう。他でもない衛宮切嗣からの頼みだ。私の知る限りの事象を語ってやる」

綺礼「さあ、銃を下ろしてもらおうか。ソレも、一応仲間なのでな」

ガッシュ「一応ではないのだー!!私たちは…」

ウェイバー(僕の知らない裏側の話…聞く価値はありそうだ)

綺礼「お前達は奥にこい。今からする話はここにいる全員に聞いてもらおう」
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/14(日) 23:03:25.63 ID:tkyCW2cZ0
ここまで
休み長かったわりに短くてすいません。
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 21:35:09.57 ID:jZHW6YGt0
再開します
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 21:52:39.42 ID:jZHW6YGt0
ウェイバー達は決して広いとはいえない部屋に案内され、それぞれ用意されていた椅子に腰掛けた。

ガッシュ「おのれキレイめ…私をバカにしておるな…」

ウェイバー「バカなのは事実だろ」

ガッシュ「グヌ…」 

綺礼「さて…これからどうする?衛宮切嗣」

切嗣「お前、頭は大丈夫か?僕はあの時の話をしろと…」

綺礼「まあそう急かすな…話すにあたって条件がある。そうだな…二つだ」

切嗣「条件だと…?」

綺礼「ああ。まさか無償でこの情報が手に入れられるとでも?」

セイバー「サーヴァントを失った貴様が、これ以上何を望むというのだ」

ウェイバー「おい…」

綺礼「私が出す条件…まずひとつは、我々に協力することだ」

切嗣「…」

綺礼「そしてもうひとつは…」

綺礼「貴様が聖杯に託す願望…今ここで、教えてもらおう」

切嗣「!…どういうつもりだ」
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/15(月) 22:36:35.41 ID:jZHW6YGt0
綺礼「興味本意だ」

切嗣「下らない…僕の願いを聞いて、お前に得があるとは思えない」

ウェイバー「そうだよ言峰。そんなこと知って一体なんになるのさ」

綺礼「人の願望だからではない。衛宮切嗣…お前の願望だからこそだ」

切嗣「…?」

切嗣(やはり危険な奴だ…こいつが今何を考えているか、僕には理解できないよ)

ウェイバー「おいおい…誰だって聞かれたくないことのひとつやふたつはあるもんだろ?…なあセイバー」

セイバー「話しましょう切嗣」

ウェイバー「え?」

セイバー「今すぐに。話しましょう切嗣」

ガッシュ「ナ…止めぬのかセイバー…」

セイバー(これが切嗣を知れる最後の機会かもしれない…!) 

切嗣「…はぁ」
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/16(火) 00:04:49.91 ID:pthOTr8P0
なんだったっけ?
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/16(火) 00:07:24.44 ID:EgH71mM7o
永遠の平和のために争うという行為をなくすじゃなかったかな
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 00:54:47.83 ID:DkLKjts/0
切嗣「僕の願いは…人類の闘争の抑止…いわば、この世界全体の救済…といったところかな」

切嗣「僕は人類全体を救う…そのためになんだってしてきたつもりさ。でもそれじゃあ足りない…足りないんだよ」

綺礼「人類の救済…?ふっ、笑わせるな。貴様が目指していたものは、そのような世迷い事だと?嘲るなよ衛宮切嗣!」

綺礼「闘争を止めるだと!?人間の本質こそが闘争にあることがなぜ分からん!?貴様の願いは無意味なものだ!そんなものなのか!私の追い求めた貴様は…!」

ウェイバー「落ち着けよ言峰…でも、そうだな…その願いは…」

切嗣「そうだ。この願いは奇跡にも等しい。だがその奇跡すら叶える器こそ聖杯。だから僕はどんな犠牲を払おうと、聖杯を手にいれる…」

切嗣「この醜い争いの…終わらぬ連鎖を終わらせるためにな」

セイバー「……それが、貴方の理想ですか」

切嗣「…お前達のような奴等が…いや、いい」

切嗣「満足か?言峰綺礼。こちらは不愉快極まりない、さっさと話を聞いてここから立ち去りたいんだが…」

綺礼「…ふざけるな…ぐっ…」

切嗣「聞いちゃあいないか…」
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 01:05:25.54 ID:DkLKjts/0
切嗣「…時間の無駄だったか。失礼する」

ガッシュ「…お主…」

切嗣「…?なんだ、何か用か」

ガッシュ「ウヌ…お主、すごいではないか!お主が聖杯にお願いするのは良いことだ!見直したぞ!」

切嗣「な…?」

ガッシュ「ケンカは良くないのだ。止めなきゃいけないというのも分かる。ウヌ、やっぱりお主はいいヤツなのだ!そうだの…お主がなりたいのは…えっと…」


ガッシュ「正義の味方なのだな!」


切嗣「ーーー!」

《ケリィはさ、どんな大人になりたいの?》

《僕はね…》

切嗣「…」

さっきまで平静を保っていた男は、血相を変えてガッシュに向かってきた。

ウェイバー「…おい。地雷踏んだんじゃ…」

ガッシュ「ウヌ?間違ってはおら…ヌオオ!?」

その男はガッシュのマントを掴み、子供に向けていいとは思えない視線を、目の前のガッシュに向けていた。

切嗣「…もう少し話しをしてやる」
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 01:20:21.06 ID:DkLKjts/0
切嗣「正義の味方なんてのは、そんな甘い考えでなれるもんじゃない…!常に多数のために少数を切り捨てる、そんなエゴイストの塊だ…」

ガッシュ「ウ、ウヌ?しかしだの…」

切嗣「お前はまだ、この世界がとっくの昔に狂っている事に気づいちゃいない…だから正義を軽々しく口に出せるんだ…!」

切嗣「いいか!正義の味方ってのは…!」

《見ていてくれたかい…シャーレイ》

《ふざけるな……ふざけるなッ! 馬鹿野郎ッ!!》

怒りで我を忘れ、殴りかかろうとしていた切嗣の拳を、セイバーが抑える。

セイバー「切嗣…もういいでしょう」

切嗣「…っ!僕としたことが…」

ウェイバー「…」

ガッシュ「…すまなかったのだ。私が悪かった。お主の気持ちを考えずに…」

セイバー「ガッシュ…」

綺礼「…ふん、くだらない結末だ」
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 01:29:16.01 ID:DkLKjts/0
綺礼「どうやら、お前に期待した私が愚かだったらしい。私はまだ答えを得ることはできないのか…」

切嗣「それは良かったな。…それで、条件は達成したが?」

綺礼「いいや、まだだ。…お前達は、我々に協力してくれるのか?」

切嗣「…」

セイバー「私は…構いませんが」

切嗣「そうか。じゃあセイバーはそちらにくれてやる。さあ話せ」

セイバー「!?」

ウェイバー「アンタ…自分のサーヴァントを…」

切嗣「本人の了承を得てるんだ。僕が指図できる立場じゃない」

セイバー「…」

切嗣(…?いつもなら反論してくるが…)

綺礼「では、お前はどうする。お前が単独行動したところで、なす事はたかが知れているだろう」

切嗣「さあね。…これから考えるさ」

ガッシュ「…キリツグとやら」
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 01:42:13.89 ID:DkLKjts/0
ガッシュ「一つ聞きたい。そこまで正義の味方にこだわるのなら、どうして正義の味方を否定するのだ?」

切嗣「それは…そうだ、一つ質問する。これに答えられるなら質問の答えを教えてやってもいい」

ガッシュ「ウヌ!どんとこい!」

切嗣「自分の大切な人…家族やガールフレンドの命と、この世界全ての命…どちらか一方を救った場合、一方は死ぬ。さあ、お前はどちらを選ぶ?」

ウェイバー「な!?メチャクチャだろそんなの!!」

切嗣「僕ならば答えは一瞬で出せる。…が、お前はどうだ?」

ガッシュ「ウ、それは…」

ガッシュ「ヌウウ……」
 
切嗣「もういい。…もしまた出会うことがあれば、お前の出した答えを聞いてやる」

切嗣「言峰。契約成立だ。これだけ待たされたんだ、それなりの内容でないと、僕はお前を殺す」

綺礼「正義の味方を論じておいてそれか…無益な殺生はよせ」

切嗣「聖職者かお前は…」

セイバー「き、切嗣!私は!」

切嗣「…」

セイバー「マスター!!!」

ウェイバー「…ドンマイ」
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 01:42:54.00 ID:DkLKjts/0
ここまで
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/16(火) 22:35:33.85 ID:DkLKjts/0
すみません今日は無理です
不定期すぎてがっかりさせて本当申し訳ないです
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 01:50:22.99 ID:kIbQ9Ln90
綺礼「では、どこから話そうか…」

ウェイバー「あの夜ってのはいつの話だ?」

綺礼「そこのセイバーや、ライダー、アーチャー、バーサーカーがしのぎを削った…大々的に聖杯戦争が始まった夜の時だ」

ガッシュ「ウヌ、私たちもいたのだ!」

ウェイバー「言わんでいいわ!」

切嗣「…問題は一度決着がついた後の事だ。お前は全貌を知っているんだろう、言峰綺礼」

綺礼「全てを認知しているわけではない。…が、私含め、その場にいたアサシンも目を疑った出来事はあった」

綺礼「お前達が聞いても信じられないと思うが…」

セイバー「…一体、何なのですか」

綺礼「ふん…まず念頭に置いてほしいのは、キャスターゾフィスは、完全な英霊ではない。いや、奴は英霊などではないという方が的を得ているか」

ウェイバー「?…それのどこが変なんだよ」

綺礼「…驚くべきなのは奴の召喚方法だ」
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 02:19:06.00 ID:kIbQ9Ln90
綺礼「…」

ーーーーーーーーーーーーーー


雁夜『ふっ…ははははは!あのサーヴァント、逃げやがった!見たか時臣!…かはっ!』

雁夜『…くそっ、バーサーカー…もういいってのに…ごほっ!やめ…』

目的を成し遂げ気分が良かった雁夜だったが、アーチャーに次ぎ、セイバーとの戦闘による魔力供給で苦しんでいた。

雁夜『ぐっ…』

『グ…』

雁夜『…?…なんだこの声…』

少しでも体を楽にしようとした雁夜に、呻き声が耳に入ってきた。

雁夜『野良犬か…?いや…』

『ウウウ…』

雁夜『まさか…敵…!』

その気配は背後から近づいてきた。野良犬なんかじゃない。あってほしくない予想は、的中してしまった。

『ガァァァァ!!』

雁夜『…敵ならしょうがない!バーサーカー!来い!』

自分の危機のため、サーヴァントを令呪で呼び出す。ここで死ぬわけにはいかない。

バーサーカー『uuu…』

雁夜『けほっ…頼んだ…バーサーカー…』

『アアアア!!』

アサシン(…なんだ、あれは…)
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 02:33:29.87 ID:kIbQ9Ln90
アイリ『消えた!?』

セイバー『…令呪か』

ライダー『ふむ…』

ーーーーーーーーーーーーーー

拠点に戻っていた切嗣達を襲ったのは、キャスターとそのマスターだった。キャスターとはいえサーヴァント、人間が勝てるはずもなく、マスターが素人だといえ相手にすらならなかった。

キャスター?『……』

舞弥『う…あ…』

切嗣『舞弥!!』

舞弥『切嗣…生きて…』

キャスター?『…まずは一人…』

切嗣『…くそっ!』

龍之介?『…旦那…みんな殺しちまおうぜ』

キャスター?『ええ龍之介…このまま…』

『『全員を』』

切嗣『!?何を…している…!?』

『『ハハハハハハハハハ!!』』

出会って間もないが、立ち振舞いから精神異常者だとは理解していた。…しかし、彼らは想像をはるか越えた行動に出た。
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/18(木) 02:47:32.39 ID:kIbQ9Ln90
『『ギャハハハハハハハハハ!!』』

彼らは味方同士で殺し合いを始めたのだ。相手の姿が血で見えなくなるまで、互いを傷つけ、切り裂き、引き裂く。先程まで車が通っていた車道は、おぞましい惨状に変わっていた。

切嗣『これは…どういう…』

もう切嗣など眼中にない。彼らはただ血だけを求めていた。

『『ハハハ…ハハ…』』

目を背けていた切嗣がもとの場所を見ると、一人の死体が転がっていた。吐き気に襲われるが、心を落ち着かせようとする。

切嗣『…なんだったんだ奴らは』

『楽しんでいただけましたか?』

切嗣『!? 誰だ!』

『…これは挨拶が遅れました』

ゾフィス『私はキャスター…この者とは違い、正々堂々と聖杯を争う一人…お見知りおきを、衛宮切嗣』

切嗣『キャスターだと!?キャスターならもう…』

ゾフィス『いいえ、私こそが真のキャスター…さあ、戦いを始めましょうか?』

切嗣『…!』
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/18(木) 02:48:06.68 ID:kIbQ9Ln90
ここまで
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 09:02:46.19 ID:wGhlFScrO
考えた結果、あまり使いたくないのですが戦闘で擬音を使わせていただきます。私の語彙力不足のせいです。申し訳ない。

346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 09:14:06.11 ID:wGhlFScrO
バーサーカー『ーーーーー!』

『ウウウウ!!』ドゴッ

バーサーカー『…a……』ガクッ

雁夜『そんな…バーサーカーが手も足も出ないなんて…』

アサシン(あの強さ…やはりサーヴァントなのか。しかし、それならば我等が見過ごすなど…)

雁夜『…重ねて…令呪だ…!バーサーカー!!!』

バーサーカー『ーーーーーー!!!』ダッ

『グッ!ゥゥアァ!』ガキィン

令呪によりバーサーカーの魔力は増幅したが、それでもやっと、まともに渡り合えるようになった程度だった。

バーサーカー『uuu……!』グラッ

『…ァァ!!!』ドスッ

雁夜『あ…』

アサシン(…決まったな)

…結果は、火を見るよりも明らかだった。
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 09:32:00.66 ID:FfSs2m3k0
バーサーカー『Aーー』ドサッ

雁夜『あ…ああ…』

『……』ガシッ

サーヴァントらしきモノは、雁夜とバーサーカーを掴むと、任務を終えたと言わんばかりに撤退する。

雁夜『え!?は…放せ…うわっ!』

『…』ヒュッ

アサシン『!? 何処へ向かうつもりだ!』

アサシンも行方を追うが、どうにか見失わないようにするのが限界だった。

アサシン『…速いな…だが、二人とも痛手を負っているのは確か…仕留めるならば今だ』

アサシン(妄想幻像!)

アサシン(有利とはいえ油断はしない。ここで倒す。そのためだけに、我等の半数でかかる)

アサシン『…行くぞ!』ブワァ

『……!』
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 16:13:04.61 ID:FfSs2m3k0
アサシン『獲った…!』シュン

全方位より数を使って強襲する。逃げ場などはない。

アサシン『もらっ…』

『ウウ…アアアア!!』ビリビリ

雑魚は目障りだというような咆哮をあげ、ついに隠された姿を顕にした。

アサシン『…!その装い…貴様…何故だ!?』

『…ァ!』バリバリ

アサシンは動揺を抑えきれない。正体不明だったサーヴァントの正体は、ほんの少し前に自分達と戦った者と姿が瓜二つだったからだ。
349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 16:23:25.80 ID:FfSs2m3k0
切嗣『…く…この…』ボロ

ゾフィス『フッ…殺し屋のくせして、非情になりきれてないですねェ!』

切嗣『…お前は!自分のやっていることを何とも思わないのか!』

ゾフィス『つまらない事を聞きますね…決まっているじゃあありませんか。これは戦争なのでしょう?勝つためにどんな駒を使おうと自由…たとえ』

ゾフィス『その命が果てた者でも』

舞弥?『……』カチャ

切嗣『舞弥…!』

ゾフィス『フフ…邪魔ならば殺せばいい。一度死んでいるのだから躊躇うことはないでしょう?』

切嗣(…僕は勝つ。勝って聖杯を手に入れる!だから僕は…!)

切嗣(そうだ…所詮舞弥は僕の道具にすぎない。僕のモノを僕がどうしようと…!)

舞弥『…き…りつぐ…』

切嗣『!!』
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 16:35:57.00 ID:FfSs2m3k0
舞弥『やめ…て…』

切嗣『…ッ!』ビクッ

切嗣は迷いから引き金を引けなかった。そして舞弥は迷いもなく、切嗣を持っていた銃で強打する。

切嗣『ぐっ…』

ゾフィス『ハハハハハッ!人の心があるからこそ、人一人殺せない!面白い!最高の見世物だ!』

切嗣『貴様ァ!!』

ゾフィス『…なんです?文句があるなら、その女を撃ち殺してしまえばいいではないですか。まさか出来ないとは言わないでしょう…フフ…』

切嗣『…』カチャ

舞弥『…切…嗣』

ゾフィス『さあ…さあ!』

切嗣『…うわあああああ!!』

ーーーーーーーーーーーー
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 16:48:33.67 ID:FfSs2m3k0
ハサンs『…』ドサッ

『カ……』

雁夜『…倒しやがった…何十体もいたアサシンを…一瞬で…』

アサシン『…はぁ…はぁ…』

雁夜『! まだ残っていたのか!けど…』

『ググァ……』

アサシン『…!』ゾクッ

アサシン『…撤退だ。この事は、必ず綺礼様に伝えねばなるまい』ダッ

『…ガ!』

アサシンを始末するために後を追おうとするが、そこでゾフィスから指令が来た。

ゾフィス(そこまでです。早く来なさい)

アサシン『……』
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/20(土) 16:54:13.63 ID:JFowK6px0
ゼオンに勝つの無理だろ
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 17:01:01.31 ID:FfSs2m3k0
衛宮切嗣は、殺すという選択を選んだ。放心状態より意識が戻ると、切嗣の目には、血だらけの相棒が転がっていた。

切嗣『……』ポトッ

ゾフィス『…おや、どうしました?』

切嗣『…う…ああ…』ポロ

ゾフィス『もしや…泣いているのですか?…貴方、思っていたよりつまらなくない人かもしれませんね』

ゾフィス『どうです?私の下僕になれば、貴方の願いを聞き入れても…』

切嗣『あ…あああ…』ガバッ

舞弥『……』

ゾフィス『…チッ』

ゾフィス『ナァ、衛宮切嗣。これだけは忘れるなよ』

ゾフィス『そいつを殺したのはお前だ。私でも、あのキャスターでもない。お前が、そいつを殺したんだよォ!!ハハハハハハ!』

切嗣『!!』

ゾフィス『では挨拶も済ませたことですし…サヨウナラ』

切嗣『違う…キャスターが殺した…でも、最後は…』

『やめて…』

切嗣『僕が…殺した…殺したんだ…!うわああああああ!!!』


ゾフィス『フッ…人間とは…脆いものですね』
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 17:02:00.88 ID:FfSs2m3k0
ここまで
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/20(土) 17:06:24.35 ID:FfSs2m3k0
あれ?おかしいな、だんだん虚淵モドキみたいな感じに…
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/20(土) 18:47:14.94 ID:i6RhoWS+o
ハードやね
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2018/01/20(土) 20:01:14.89 ID:JFowK6px0
最終回後のガッシュだから本来の強さを取り戻せばワンチャン勝ち目がある
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/21(日) 15:25:37.64 ID:s/XoQn6gO
少年はゾフィスの命令に従い、アサシンを無視して一直線にある場所に向かっていった。

『…ゥゥ…』ピョン
 
雁夜『…こいつ、どこ向かってるんだ?』

バーサーカー『…r……』

ゾフィス《そろそろですね…》

『…』

雁夜(にしてもなんで俺達を殺さないんだ…?俺はともかく、せめてサーヴァントだけでも倒すべきだ。いや、死にたくはないけども)

『…ガウ!』ビュン

雁夜『うおっ!…この身体でそのスピードアップは…ぐほっ!』

ゾフィス《そうです…ここですよ…》
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/21(日) 16:10:48.90 ID:s/XoQn6gO
叫び、涙も枯れ、目も虚ろになっていた切嗣を、ゾフィスは手を下さずじっと見つめていた。

切嗣『…僕を殺さないのか』

ゾフィス『ええ…止めにしましょう。丁度いいので、これからショーの第二幕を始めることにしました』

切嗣『! まだ何かするつもりか!下衆が!』

ゾフィス『フフ…まあ楽しみにしていてください』

『アアアアアアア!!!』

切嗣『…!?なんだこの音は…』

ゾフィス『おや、到着したようですね。…では、また後ほど』フワァ

切嗣『待て!』

ゾフィス『貴方こそ、そこで待っていてくれればいいんですよ』

ゾフィスは切嗣を置いて、その音がする方に飛んでいった。

切嗣『…』
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/21(日) 16:28:31.06 ID:s/XoQn6gO
『…ゥゥ…』

ゾフィス『ほう…ちゃんと働けるようだ。ご苦労』

雁夜『おい!なんなんだお前は!…ぐほっ!』

ゾフィス『…どうやら、本当にゾウケンから知らされていないようですね』

雁夜『臓硯だと?』

ゾフィス『まあいいでしょう。やはり貴方は、計画の駒にすらなれないクズだということか』

雁夜『計画…?』

ゾフィス『ええ。貴方は、私のマスターになるんですよ』

雁夜『え?』

ゾフィス『そう…貴方は…私の…』キィン

雁夜にゾフィスが得意とする暗示をかける。心が弱い雁夜は、抵抗すらできなかった。

雁夜『俺は…お前の…』

雁夜『…』

ゾフィス『フ…そして…こいつも…』

バーサーカー『A…r…』
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/22(月) 00:26:07.19 ID:aDBTV6/+0
アサシン(…ここか)

アサシンはマスターへの報告用とは別で、念のために一人だけを追跡に向かわせていた。

アサシン(あれは…?)

ゾフィス『ーーーー』

アサシン(また素性の分からん奴…なにかしら、この件には裏があるようだな)

雁夜『ーーー』

アサシン(…間桐雁夜!…そして、あの者…!)

『……』

アサシン(…これは、もしや『殺しなさい』

アサシン『!!馬鹿な…気づかれ…!』

ゾフィス『…雷帝ゼオン!』

ゼオン『……!!』ビシュン
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/22(月) 00:38:18.34 ID:aDBTV6/+0
驚くべき反応速度でアサシンに接近した。距離を詰められたならば、気配遮断も意味をなさない。

アサシン『速…』

ゼオン『…』バキッ

アサシン『ぐっ!』

容赦ない一撃が顔に食らわされた。仮面に皹が入るような痛みがアサシンを襲う。

アサシン『…あっ…』

ゾフィス『…』ニィ

ゼオン『…アア!!』ドガァ

アサシン『ぐああああ!!』

身体が地面に叩きつけられる。今度は全身に痛みが流れる。それでも休む隙もなく、ゼオンに追撃される。

ゼオン『……』ガッ

アサシン『…ここまで…か…』

ゼオン『…』ブォン

しかし殺すのではなく、ゼオンはゾフィスの方へアサシンを投げ出した。

アサシン『うっ!』

ゾフィス『…ありがとうゼオン。一応試しておきたいとは思っていたのですよ』

アサシン『…か…』

ゾフィス『始めましょうか』

ゾフィス『これより私は…サーヴァントになる』
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/22(月) 00:40:01.61 ID:aDBTV6/+0
ここまで

もしかすると前半書いてた部分と今の内容が矛盾するかも…できるだけは合わせる
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/23(火) 08:37:25.67 ID:tLy9kdT+0
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/24(水) 18:15:16.15 ID:b7qnuboN0
再開します
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/24(水) 18:27:12.96 ID:b7qnuboN0
ゾフィス『ハッ!』

アサシン『…カハッ!?』ドクン

アサシン(力が…吸いとられ…アレ……)

アサシン『…ク…ァ…』シュイン

ゾフィス『…力がみなぎる…』

ゾフィス『アハ…無事、完了しましたね』

ゾフィス『ではゼオンも…』

ゼオン『!!』

バーサーカー『urrrrrrrr…!』シュイン

ゼオン『ガァァァ!!…ガ…』ガタガタ

ゼオン『……』

雁夜『…』

ゾフィス『さ…行きましょうか。私の人形達』
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/24(水) 18:39:38.46 ID:b7qnuboN0
切嗣『…僕は…』

ゾフィス『…お待たせしました』
 
切嗣『!!』

ゾフィス『いやァ、まさか素直に待っているとは。益々面白いですね貴方』

切嗣『お前…そいつは…』

ゾフィス『ええ、紹介しておきましょう。私のマスターのカリヤです』

雁夜『そう…だ。俺が…マスター』

切嗣『…なら、バーサーカーはどうした?』

ゾフィス『倒しましたよ。だから、こうやってここにいるんじゃあないですか』

切嗣『バーサーカーを倒した…!?』

《…それ以上口を滑らすでない、ゾフィス》

ゾフィス《…分かっていますよ》

ゾフィス『…残念ですがサービスはここまでです。ではまた、ごきげんよう』

切嗣『お前は…お前は、一体何を企んでいる!』

ゾフィス『言ったでしょう、私は聖杯を勝ち取るためにここにいると』

切嗣『ふざけるな!』

ゾフィス『冗談じゃないですよ?そろそろしつこいですね、貴方。ここで殺さないだけいいと思えよゴミが!』

ゾフィス『おっといけない…楽しみにしていますよ、衛宮切嗣?』フワァ

雁夜『…』

切嗣『…』ギリッ
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/24(水) 18:51:53.40 ID:U0rxcacj0
ヘタレのくせに
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/24(水) 18:53:03.10 ID:UomNOCM/o
こいつ魔界にもどったらクリアみたいに性格変えられそう
370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/24(水) 19:51:43.11 ID:b7qnuboN0
アサシン『…と』

綺礼『馬鹿な…!そのようなことがあり得るのか!?』

アサシン『ですが、事実証明されています。我等の一人を犠牲にして…』

アサシン『奴はただの魔術師から…』


アサシン『サーヴァントへと変貌しました』

ーーーーーーーーーーーーーー

切嗣「サーヴァントに変貌しただと…?」

ウェイバー「じゃあ、ゾフィスは何者なんだよ!?」

綺礼「ああ。奴は人間ではない。尚且つ、聖杯に選ばれたサーヴァント全てはアサシンが確認済みだった。恐らく、サーヴァントとして乱入した上で、この聖杯戦争を乗っとるつもりだろう」

ウェイバー「そんな真似できるのかよ!」

切嗣「…無理だろうな、一人では」

ガッシュ「キリツグ、心当たりがあるのか?」

切嗣「気安く呼ばないでくれ。…言峰、間桐雁夜は確かにゾフィスのマスターなのか?」

綺礼「何を言うかと思えば。他でもない、貴様がそう言ったではないか」

切嗣「なら、目星はついた。僕の目指すべき標的はやはり…」

切嗣「間桐臓硯だ」

言峰「!」
371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/25(木) 21:29:57.74 ID:byoUZKlZ0
ウェイバー「…誰だ?」ボソボソ

言峰「聖杯戦争の御三家のひとつ、マキリの別名…というべきかな」ボソボソ

ウェイバー「なるほど…」ボソボソ

切嗣「…聖杯戦争のシステムを作り上げた御三家は、アインツベルン、遠坂、マキリ。もちろんそれぞれに役割があったが…マキリが提供したのは」

切嗣「英霊…もとい、サーヴァントの召喚と、それを御するための令呪だ」

セイバー「私たちを…」

言峰「奴等ならば令呪を悪用し、最悪令呪を作り出すことも可能かもしれん」

ガッシュ「ゾフィスが…」

切嗣「なにより決定的なのは、奴があの屋敷に姿を隠していた事だ」

言峰「ほう…」

ガッシュ「では、そのゾウケンを倒せばいいのだな!」

切嗣「まあ、そうなるな。…だが、決着は僕一人でつける」

ガッシュ「ヌ!?」
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/25(木) 21:43:33.05 ID:byoUZKlZ0
ガッシュ「水くさいぞキリツグ!私達みんなで戦えばよいではないか!」

切嗣「奴は…奴等は僕の獲物だ。必ず僕の手で殺す」

綺礼「そうでたか…お前だけで勝てる可能性はゼロに近い。協力しないメリットがないだろう?」

切嗣「これは僕の戦いだ!誰にも邪魔はさせない…!誰にも…」

切嗣はセイバーに目を向けながらそう断言した。それは、ここにいる誰よりも、セイバーに伝えたかった言葉だからだ。

ウェイバー「無茶言うなよ!このままみすみす戦力を失わなくても…」

セイバー「…切嗣」

ウェイバー「セイバー!お前もなんとか…」

セイバー「すみません…皆、少し席を外していただけませんか?」

ガッシュ「セイバー…?」

切嗣「…」
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/26(金) 00:45:42.69 ID:a53YE2wz0
ウェイバー「じゃあ…」ガタッ

セイバー「ええ。お気遣い感謝します」

言峰(…説得するつもりか?あの男を)

ガッシュ「ウヌ…心配なのだ…」

ウェイバー「こら、行くぞ」ガシッ

ーーーーーーー


切嗣「…何のつもりだ?」

セイバー「切嗣…前から貴方と語り合いたいと」

切嗣「僕はお前と話す事などない」

セイバー「そうはいかない。私は、アイリスフィールから貴方の事を任されていますから」

セイバー「切嗣…貴方が一人で戦う必要はない。私はサーヴァント、常に貴方と共にある、仲間ではありませんか!」

切嗣「お前と肩を並べて戦う?…ふっ、笑わせるなよセイバー。…君と僕が釣り合うとでも?騎士王様と、しがない暗殺者の僕が?」

セイバー「…何故貴方は、そうやって罵言で逃げるのですか。私が…英雄が憎いのは、痛いほどに伝わりました。しかしこのままでは…」

切嗣「戦い抜けない。なぜならそれは、僕が弱いからだ。とでも言いたいのか?だから、黙って自分に頼っていればそれでいいと?」

セイバー「…違っ…」

切嗣「君の言葉など僕には届かない。…もう僕につきまとうな、使い魔」

セイバー「…!」
374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/26(金) 01:08:00.65 ID:a53YE2wz0
ガッシュ「大丈夫かの…大丈夫かの…」ウロウロ

ウェイバー「だー!大人しくしてろっての!」

ガッシュ「ウェイバー!!お主は気にならぬのか!?」

ウェイバー「うるさいなーもう!こういうのは、僕達が横やりいれるとこじゃないんだよ!」

綺礼「私も同意だ。…あの男が応じるとは思えんがな」

ウェイバー「…うん」

ガッシュ「とにかく、私達は待つしかないのだな」

ーーーーーーー

セイバー「切嗣!貴方という人は…!」

切嗣「黙れ」

セイバー「っいい加減にしなさい!私は…」

切嗣「僕の前から消え失せろ。…いや、いっそのことここで自害させるか?」  

セイバー「ッ!!」ブルブル

セイバー「ーーーここまでだ」

セイバーは剣を切嗣に向けた。だが切嗣は、全く抵抗しない。

セイバー「口が過ぎるぞ下郎!今まで耐えてきたが、この無礼、もはや看過できるものではない!」

切嗣「言葉で勝てないなら実力行使。野蛮な奴だ」

セイバー「まだ言うか!」

切嗣「なら…殺せばいい。そう生きてきたんだろう!気に入らない奴、邪魔な奴、目障りな奴、全て殺してきてお前は王になったんだろうが!」

セイバー「…くっ!」
375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/26(金) 01:23:34.42 ID:a53YE2wz0
切嗣「今だってそうさ。自分の事を棚にあげておいて…お前は独善的な奴だ。まさに、王の器に相応しい人間ってか?」

セイバー「私は切嗣のために、私なりに切嗣を理解しようと…!」

切嗣「ほらそこだ。自分のためにこのわからず屋のマスターを理解してやろう、アイリの頼みだから仕方がない。そういうプライドがみえみえなんだよお前は」

セイバー「私はそんなつもりじゃ…」

切嗣「別に構わないさ。前にも言ったはずだ。僕達が分かり合える事はないんだよ」

セイバー「…それでも」

セイバー「それでも、私は貴方のサーヴァントだ!貴方のために戦う剣だ!貴方のために聖杯を勝ち取る!だから、だから…」

切嗣「やっぱりそうだ。セイバー、お前は…」



切嗣「人の心が分かっていないんだな」

セイバー「!!」

切嗣「君は…僕に召喚されるべきじゃなかった」

セイバー「…」

切嗣「話は終わりだ。たとえ一人でも…僕が、掴みとってみせる…」バタン

セイバー「…あ…」

セイバー「…」
376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/26(金) 01:24:13.26 ID:a53YE2wz0
ここまで
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/26(金) 10:19:34.20 ID:QLzX2vAd0
おつ
378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/27(土) 12:24:48.86 ID:UNDQUPtu0
再開します
379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/27(土) 12:25:21.97 ID:UNDQUPtu0
再開します
380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/27(土) 12:26:08.61 ID:UNDQUPtu0
連投してた…スマソ
381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/27(土) 12:44:30.28 ID:UNDQUPtu0
口論を終えた切嗣が部屋から現れると、外で待機していたガッシュ達は一目散に切嗣に駆け寄った。

ガッシュ「キリツグ!お主は…」タタッ

切嗣「…」ギロッ

ガッシュ「ヌ…」

綺礼「…行くのか?」

切嗣「セイバーはお前達に預ける。好きに使え」

ウェイバー「おい!あんたはそれでいいのかよ!」

切嗣「何が不満だ?お前達には利益しかないだろう」

ウェイバー「お前にはセイバーの気持ちってのが…」

ウェイバーが話していると、セイバーも扉から静かに出てきた。

セイバー「…いいのです」

ガッシュ「セイバー…」

切嗣「本人もこう言っている。…じゃあこれからは僕の好きにやらせてもらう」スタスタ 

綺礼(結局のところ、この男の心を動かすことは無理か…)

セイバー「…」
382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/27(土) 13:06:16.08 ID:UNDQUPtu0
綺礼「…行ったか。やれやれ…ただでさえ互角には程遠いというのに…」

ウェイバー「セイバー。お前の説得じゃダメ…」

セイバー「…」

ガッシュ「ウェイバー…今はそっとしておいたほうが…」ヒソヒソ

ウェイバー「だな…」ヒソヒソ

綺礼「いささか不本意だが…奴はいなかったものとして、足掻くしかあるまい」

ガッシュ「…ウェイバー!!!」

ウェイバー「うわ!?なんだよいきなり!」

ガッシュ「特訓なのだ!」

ウェイバー「はぁ!?」

ガッシュ「悩んでいるなら、体を動かすのが一番なのだ!」

ウェイバー「…おお!そうだそうだ!決戦の時に術を使いこなせないんじゃ話にならないからな!」

ガッシュ「よーしやるのだ!ヌオオオオオ!!」ダダダ

ウェイバー「オオオオオオ!!」ダダダ

綺礼「あいつら…万全な状態になるまで休めと…」

セイバー「…」ジー

綺礼「ん?…気にかかるならばお前も混ざってくればいい」

セイバー「…いえ…私は見ているだけで…」

セイバー「今の私には…あの二人は眩しすぎる」

綺礼「そうか…」
383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/27(土) 15:26:04.72 ID:UNDQUPtu0
ウェイバー「ザケル!!」

ガッシュ「」

ガッシュ達のやることは変わらない。ただ自分の呪文の力、心の力を高めようと、何度も術を唱えていた。

ウェイバー「よし!調子いいぞガッシュ!どんどんいくぞォ!」

ガッシュ「オオ!」

セイバー「…」ウズウズ

ウェイバー「ーーー!」

ガッシュ「」

ウェイバー「…くそっ!なんか違うんだよな…」

ガッシュ「ウヌ…」

セイバー「…ガッシュ…そこは……」ボソボソ

綺礼「…お前も」

セイバー「いけません!」

綺礼(強情な奴だ…)

セイバー「…」
384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/27(土) 15:37:41.93 ID:UNDQUPtu0
ガッシュ「ハァ…ハァ…」

ウェイバー「…今日は、こんなもんか。もう終わりに…」チラッ

セイバー「…」ソワソワ

ウェイバー「…はぁ」

ガッシュ「ウヌ?」チラッ

ウェイバー「セイバー!」

セイバー「! な、なんでしょう!」ピョコン

ウェイバー「このままの僕たちじゃ限界があるからさ…稽古、つけてくれないか?」

セイバー「…!!」

ウェイバー「言峰は…そういうのするタイプじゃないだろ?」

綺礼「…ふっ。そうだな。強くなるならば、サーヴァントに戦いの極意を授かるほうが身のためだろう」

ガッシュ「賛成なのだ!」

セイバー「…ええ、そこまで言うなら仕方ありませんね!いいでしょう!私の誇りにかけて、貴方達を一人前にしてあげます!」パァァ

ウェイバー(ほっ…少しは元気でたみたいだな)

セイバー「私の修行は甘くないですよ?覚悟なさい二人とも!」

ウェイバー「…臨むところだ!」
385 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/28(日) 16:06:30.30 ID:8nZNgabr0
岸浪ハクノ
386 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/28(日) 21:25:53.94 ID:ZSYf9SuY0
更新できずすみません
これから誰と戦わせるか、何を使うかを思索して筆が進んでいません。
一応、展開は決まったのは決まったので、迷走しないようにするつもりです。
387 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/29(月) 00:27:17.06 ID:nQuLBti40
毎日更新できて当たり前なんてのがおかしいんやで
のんびりしてくだされ
388 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/29(月) 00:53:32.16 ID:hxOMfbMOo
そうそうssなんて暇潰しだし気分転換にするもの
389 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/29(月) 22:46:39.58 ID:XK2ofQytO
再開します
390 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/29(月) 23:05:11.54 ID:XK2ofQytO
セイバー「どうしました!早く立ちなさい!」

ガッシュ「…ウヌ!」スクッ

ウェイバー「し…死ぬ…」グテー

セイバー「鍛え方が足りません。まだまだですね、ウェイバー」

ウェイバー「僕だけかよ…」

ガッシュ「頑張るのだウェイバー!」

ウェイバー「お前はいつも元気だな!」

セイバー「それは…いえ、すみません。英霊と比較するのは筋違いでした。貴方もただの魔術師にしては、動ける部類に入らないともいえないでしょう」

ウェイバー「嬉しいような悲しいような…」

セイバー「…では、次は…」

ウェイバー「まだやんのかよ〜…」

ウェイバー(今ここに、誰も止める奴がいないんだよな…この猪突猛進コンビを)


綺礼『悪いが私も暇ではないのでな…少し抜けさせてもらう。安心しろ、すぐ戻るさ。だからそれまで…』

綺礼『セイバーは頼んだぞ』ニヤァ

ウェイバー(ああ…言峰…覚えてろ…)
391 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/29(月) 23:53:40.94 ID:sRXemJc+0
ゾフィス「ふぅ…」

ケイネス「…ゾフィス」

ゾフィス「おやケイネス…どうかしま…」

ふと後ろを振り向くと、臨戦態勢に入ったケイネスが立ち塞がっていた。

臓硯「ククク…つくづく貴様は人望がないのうゾフィス」

ゾフィス「…どういうつもりですか?」

ケイネス「貴様を殺せば、ソラウは解放される…!」

ケイネス「Fervor,mei Sanguis…!」

ゾフィス「私に歯向かうのですか…やれやれ」

ゾフィス「誰が力を与えてやったと思ってんだテメェはよォ!!」

???「テオラドム!」

ケイネス「…この程度が通じるとでも?」

ゾフィス「調子に乗らないでください」パチン

ケイネス「…!?ぐっ…あ…!あああああ!」

ゾフィスの合図から、ケイネスを防御していた水銀は剥がれ落ち、暴走を始めた。

ゾフィス「その力のリソースは私…私の匙加減で、いくらでも貴方の魔力は操作できる」

ゾフィス「…ゆっくり壊してやるよ…」

ケイネス「…!」
392 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/30(火) 00:03:14.66 ID:h62wTtC10
綺礼「…驚いたな。まだ続けていたのか」

セイバー「貴方が戻る数分前には、もう終わっていました」

ガッシュ「」

ウェイバー「…」

綺礼「…死んだか」

ウェイバー「生きとるわ!」

綺礼「そうか」

綺礼(ウェイバー・ベルベットはともかく、あのガッシュが…余程しごかれたらしいな)

セイバー「…何故笑みを浮かべている?」

綺礼「…なんでもない。それより、私達も遂に動く時が来た」

セイバー「!! いよいよですね…」

綺礼「…が、その前にガッシュを起こしてやらねばな」

セイバー「…はい」
393 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/01/30(火) 00:28:46.94 ID:h62wTtC10
綺礼「まず…奴等がやろうとしている計画のおおよそは掴めた」

綺礼「恐らくだが…奴等は聖杯を使って、この世界を滅ぼすつもりだ」

ウェイバー「何だって!?」

綺礼「あくまで予想にすぎん。…だが現在、この冬木の霊脈には奴が溜め込んだであろう並々ではない魔力がある。聖杯を使ってそれを放出させれば…」

ガッシュ「ウヌ…」

セイバー「…」

綺礼「しかし、これほどまでのエネルギーをたとえサーヴァントだとしても生み出せるとは考えられん。必ず裏があるはずだ」

綺礼「それに…」

セイバー「…? なんですか?」

綺礼「いや…気にするな。どうでもよいことだ」

綺礼「とにもかくにも、今の私達はそれを阻止するほかない。…とりあえず」チラッ

「「「??」」」

綺礼「ここから出ていけ」

「「「!?」」」
394 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/01/30(火) 01:13:41.36 ID:CXH1D6Xa0
来てた
395 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/01/30(火) 17:06:08.03 ID:9YplB+ve0
一週間……イヤ、一ヶ月は待つか?
と思ってたらもう来てた
396 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 11:47:19.22 ID:5pSiD/AB0
 マッケンジー宅

ウェイバー「…」

セイバー「美味です!」

マーサ「そう!よかった、どんどん食べてね!」

セイバー「ええ!」モキュモキュ

ガッシュ「…よく食べるのう」パクパク

グレン「やるなあウェイバー!こんな美人を連れてくるなんて」

ウェイバー「ちっがーう!そんなんじゃなーい!」

セイバー「うるひゃいですよ、ウェイバー。ひょくじひゅうでひゅから、ひひんとまなーをまもって…」モキュ

ウェイバー「まず咀嚼し終わってから喋れよ!汚いぞセイバー!」

セイバー「ひょんな…うっ!」

ガッシュ「どうしたのだ!?」

セイバー「のど…つまっ…」ブルブル  

ウェイバー「バカヤロー!」トントン

セイバー「む…ありがとうございます、ウェイバー」ゴックン

ウェイバー「…こいつ呼ぶんじゃなかったな…」ヒソヒソ

ガッシュ「そ、そんなことは…ない…のだ…」ヒソヒソ

セイバー「すみません、おかわりを!!」

ウェイバー「おおい!!」
397 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 11:56:11.82 ID:5pSiD/AB0
セイバー「ご馳走さまでした。実に美味しかったです、是非またよろしくお願いします」キラキラ

マーサ「いい…食べっぷりだったわね…」

ウェイバー「遠慮しないで言ってやっていいよおばあさん。お前は食いすぎだってな」 

ガッシュ「た、たくさん食べるのはよいことなのだ!」

ウェイバー「人間限度を知らないとこうなるんだなってのが、こいつを見て分かったよ」

セイバー「む…貴方こそ、あれよりも食事を摂ったほうがいい。だから背も伸びず、貧相な体型に…」

ウェイバー「…体型に関しては人の事言えないだろ」

セイバー「…ほう?もう一度言ってみなさい!」

ウェイバー「なんだよ!ほんとのことだろ!?」

ガッシュ「ナアア!やめるのだ!!」

グレン「うんうん…仲もいいようだな」

「「仲よくない!!」」
398 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 12:05:20.90 ID:5pSiD/AB0
教会を拠点にしてこれから戦おうと思った矢先、三人は突然言峰綺礼から追い出された。

ウェイバー達はマッケンジー宅に戻ろうとしたが、マスターに相手すらしてもらえないセイバーをこのまま見捨てる事もできず、了承を得て、一日のみマッケンジー宅に居候していた。

短い期間でどうにか作戦を立てよう、鍛練しようと心身をフル回転した三人は、気づけば夜を迎えていた。
399 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 12:14:00.15 ID:5pSiD/AB0
ウェイバー「疲れたし…ちょっと早いけど寝るか」フワァ

ウェイバー「ガッシュ〜…」ガチャ

ガッシュ「…」スピー

ウェイバー「もう寝てら…」

セイバー「おや、寝ていなかったのですね」

ウェイバー「うぉぉ!?…ああ、そういやいたんだったな」

部屋に戻ると、ガッシュは眠りについていたが、セイバーは窓から空を眺めていた。

マーサ『せっかくなんだし、一緒の部屋でいいわよね?』

ウェイバー『よくなーい!』

グレン『照れんでよかろう』ケラケラ

ウェイバー『て、照れてないわ!別にいいよ!同じ部屋でも!!』

マーサ『そう!』ニコニコ


ウェイバー「ったく…」ボリボリ

セイバー「…あの」

ウェイバー「ん?」
400 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 12:28:38.10 ID:5pSiD/AB0
セイバー「本当に、ありがとうございます。敵でもある私を、このように迎えてくれて」 

ウェイバー「…んだよ急に」

セイバー「これまで感謝の言葉を述べていなかったので…」

ウェイバー「…そうか。それもそうだな」

セイバー「はい。…では、お休みなさい」

一言御礼を言うと、セイバーは再び視線を外に戻した。かという自分は布団に倒れこんだが、どうしてもセイバーが気になったので、起き上がって尋ねてみる。

ウェイバー「…お前は眠らないのか?」

セイバー「…サーヴァントに睡眠は必要ありません。なにより、今ここに敵が攻めてこないとも言いきれないでしょう」

ウェイバー「けど…そう気を張りつめてもしょうがないと思うけど?」

セイバー「しかしですね…」

ウェイバー「…はぁ」

仕方ない。こいつを納得させることはできない。なら…
401 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 12:39:20.20 ID:5pSiD/AB0
ウェイバー「…」ドシッ

セイバー「どうしました?」

ウェイバー「お前が退屈しないように、僕がお前の話し相手になってやるよ」

セイバー「…?休息をとるべきでは?」

ウェイバー「そんなの僕の勝手だろ?…それに僕も気になってたんだ、お前の事と…あのマスターの事。聞くなら今だって思ってな」

セイバー「…そう…ですか。…貴方が眠くなるまでならば…」

セイバー「それと…私も、貴方とガッシュの話を聴きたい」

ウェイバー「ああ…いいよ」
402 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 13:01:06.38 ID:5pSiD/AB0


ーーーーーーーーーーーー

セイバー「…です」

ウェイバー「へえ…まさかそんな奴とは思いもしなかったな。…だからアインツベルンじゃなくて、あいつ自ら出てきたってわけか」

ウェイバー「それにしても壮絶な戦いをしてたんだな…お前達は。んでお前はマスターに同情して、つい出すぎた真似をしてしまったわけか?」

セイバー「…」

ウェイバー「でもなー…どうにかしてやりたいけど、僕がでしゃばる所でもないし…」

ウェイバー「…散々罵倒されたお前がマスターを見捨ててないのも、何か理由があるんだろ?」

セイバー「…泣いていた」

ウェイバー「え?」

セイバー「切嗣は…泣いていた。私には涙を見せる事などありませんでしたが…少しだけ見せた…あの切嗣の顔は、冷酷な暗殺者などではない、愛する人への涙を流しているようにしか感じませんでした」

ウェイバー「…」

セイバー「勿論、そうではないとは理解しています。しかし、あの時の顔を見てから…」


アイリ『…お願いね?』

切嗣『よかった…本当に』


セイバー「…私は…」
403 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/01(木) 13:16:14.68 ID:5pSiD/AB0
セイバー「分からない。どちらが本当の衛宮切嗣なのか。自分がやっていることは間違いなのか。彼の心が…私には全く…」

切嗣『お前は…人の心が分かっていないんだな』

セイバー「情けない。民を救うどころか、人一人の気持ちも汲み取れない。やはり私は、王の器ではないのでしょうね」

ウェイバー「聖杯の望みはそういうわけか…」

セイバー「…私のせいで、国が滅びたも同然です。叶うならば、王の選定のやり直しを…」

セイバー「…ああ、申し訳ない。私情を挟みすぎてしまいました。私の話は終わりです」

ウェイバー「…王の器、ね」

ウェイバー「あー…セイバー。今度は僕の番だけど、まずはじめにいいか?」

セイバー「なんでしょう?」

ウェイバー「ガッシュもな…一応、王様なんだ」

セイバー「なんと!一体どこの王なのですか?」

ウェイバー「それは…えっと…」

セイバー「何故勿体ぶる!ここまで来たならば教えてくれても…」

ウェイバー「…冗談じゃないからな?」

ウェイバー「魔界だ」

セイバー「…は?」

ウェイバー「魔界だ」

セイバー「…は??」
404 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/01(木) 14:05:21.29 ID:5pSiD/AB0
いったんここまで
405 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/01(木) 14:41:08.23 ID:uIeG3OP+0
(ルール上は本燃えたら敗退とはいえ)人or魔物が死ぬかもしれないバトルロワイヤルで王を決めるなんて聞かされたらブチギレるのでは
406 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/01(木) 16:47:59.39 ID:lCI5Ws/w0
魔物の力を悪用しまくる人間とかいたしな
407 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/01(木) 16:48:33.06 ID:lCI5Ws/w0
戦う意思のない奴に凶暴な別人格植え付けたりするし
408 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/01(木) 16:50:57.42 ID:60Tk7PVX0
「人間と共に戦う事で子供たちを精神的に成長させる」とかいう名目でまだ小学生程度の子供たちを別世界に放り込んだ上
戦場となる人間界に対して事前連絡もせず承諾すら得ないどころか戦後に被害の一切も賠償しない

アレ、人間界の事を蠱毒に使う壺くらいにしか考えてないのでは・・・
409 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/01(木) 17:07:41.65 ID:lCI5Ws/w0
まだ喋れない幼児から高校生ぐらいの子供という子供の範囲がかなりハンデあるからな、一応最後の一人が決まったら魔物が壊したものは直してくれるけど
410 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/01(木) 17:19:44.71 ID:60Tk7PVX0
>>409
ありゃ、直してたかスマン

喋れないと言えば魔物の種類によっては人間と言葉で意思疎通できない例もいくつかあったな
ただゾボロンもウマゴンもカルディオもパートナーとの意思疎通は出来てたし特にデメリットにはなり得ないのか
411 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/02/01(木) 18:10:22.66 ID:Tw61AFA7o
そもそも優勝したら願い叶えるって聞いたけど、それ知らずに戦ってるパートナー多そう
そんな話序盤に出てないよな?あの世界の人達優しい
412 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/01(木) 18:14:50.70 ID:lCI5Ws/w0
貴方が望むだけの財を与えるか、魔物との記憶を残すか選べるよ
413 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/02(金) 13:03:32.10 ID:M3xXGR0U0
セイバー「マカイ?…私は、そのような国も文明も耳にしたことはありませんが…」

ウェイバー「うーん…魔界…そうだなあ、人間じゃなくて、魔物…?がいる場所っていうか…とにかく、あいつはそこの王様らしい」

セイバー「魔物…?ガッシュは聖杯によって呼び出された、全うな英霊ではないのですか?」

ウェイバー「いや…呼び出したのは確かに僕なんだけど…ちょっと待ってろ」ガサゴソ

ウェイバー「…あった。ほら、見てみろ」ポイ

ウェイバーが取り出したのは、ガッシュの服の色にそっくりな、青い布の切れ端だった。

セイバー「これは?」

ウェイバー「ガッシュを召喚した時の触媒だ」

セイバー「…この布でですか?」

ウェイバー「アーチ…ちょびっとだけ優秀な魔術師が用意した逸品を拝借してきたんだけど…で、やってみたらガッシュが召喚できたってわけ」

セイバー「くすねてきたということですか…」ジトー

ウェイバー「そんな目で見ないでくれ…」
414 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/02(金) 13:32:31.34 ID:M3xXGR0U0
ウェイバー「話を戻そう。ガッシュは記憶がないってのは、お前も聞いただろ?でも、完全に記憶がない訳じゃない」

ウェイバー「あいつは王になるために戦ってきた。百人もの魔物の中で、たった一人しかなれない王様になるためにな」

セイバー「その…魔物同士で争って、王を決めていたと?」

ウェイバー「ひどい話さ。あんな子供を人間界に解き放って、仲間と戦わせるなんて。僕みたいな人間の力を借りるとはいえ、ほんと何考えてんだか」

セイバー「…年端もいかない子らをそのように扱うのは、憤りを感じます。しかし話が唐突すぎて、全ては噛み砕けていない。気の毒だ、というのが率直な感想ではあります」

ウェイバー「ま、そうだよな。僕も詳しくは知らないけど…」

セイバー「ですが、周りを蹴落としてまで王として君臨する。それはもはや暴君とも違わない。…私に言わせればその思想は、国の在り方にも、王道にも反している」

セイバー「はっきり言って今、ガッシュを哀れむと同時にガッシュに失望もしました」

ウェイバー「…なんか勘違いしてないか?」
415 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/02(金) 13:53:05.72 ID:M3xXGR0U0
ウェイバー「自分のために仲間を見捨てるなんて、ガッシュがそんな事するような奴に見えるのかよ」

ウェイバー「…一回だけ、ガッシュの記憶が僕に流れてきた。その時見えたんだ」

ウェイバー「確かにあいつは、王様を目指して戦ってた。でもそれは、自分のためなんかじゃない。あいつがなりたい王様ってのは…」

『魔界にやさしい王様がいてくれたら…こんな…つらい戦いはしなくてよかったのかな…?』

『ウヌ、ウヌ!そのとおりだ!』

ウェイバー「…やさしい王様だ」

セイバー「やさしい…王様?」

ウェイバー「うまく言えないけど…誰も傷つかないような世界のために、あいつは頑張ってたんだ。だから僕は…」

セイバー「誰も傷つかない…?そんなものは無理だ。何かの犠牲なしには国は成り立たない!」

セイバー「国のため、国を背負うのが正しき王の姿だ!たとえ苦渋の決断を迫られようと、王は耐えしのぎ、常に民のためにあらなければならない!やさしい王様など…そんな絵空事など通じない!」

ウェイバー「っおまえ…」


ガッシュ「…そんなことはない!!」
416 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/02(金) 17:07:41.65 ID:M3xXGR0U0
ウェイバー「ガッシュ…悪い、起こしちゃったか」

ガッシュ「ウヌ…よいのだ。それよりも…セイバー、どうしてやさしい王様が、いてはいけないように言うのだ?」

セイバー「…それは、優しさだけでは王として不充分だからです。国を束ね、統治するためには、優しさだけでは民も離れていくでしょう」

ガッシュ「………」

ガッシュ「なるほどのう」

ウェイバー「はあ!?納得すんのかよ!?」

ガッシュ「…正直私は、王としての在り方などはよく分からないのだ…」

ガッシュ「ウヌ、やさしいだけではダメなのだ…」

ウェイバー(おいおい、ズバッと言ってくれる流れだっただろ…)

セイバー「呆れました。そのような腑抜けた心構えでは、今はよくてもこの先…」

ガッシュ「…でもきっと、私が道を間違えても、みんなが助けてくれるのだ」

ウェイバー「!」

ガッシュ「一人で何でもやることは難しい。だから友達や、先生や、家族が、その一人に手を差し伸べてくれる」

ガッシュ「みんながいればなんだってできるのだ!どんな強い敵がいても、力を合わせて倒せるのだ!」

セイバー「…根拠はどこに?」

ガッシュ「二人とも、私の友達だからだ!」

セイバー「! 私が、友達…?」
417 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/02(金) 17:23:31.41 ID:M3xXGR0U0
セイバー「ガッシュ…気持ちは嬉しいですが、友達というのは少し…」

ガッシュ「ちがうのか!?」

セイバー「う…」

ガッシュ「悲しいのう…友達になれたと思ったのにのう…」

セイバー「…!そうか…その王の選別の時に、貴方の友は…」

ガッシュ「私は人間界での戦いの記憶は戻ってはいない。しかし、出会った魔物の友達の名は全て覚えておる!…戦った後の、記憶も…」

セイバー「その友人は、今は…もういないのですね。…いえ、不躾な問いですね。忘れてください」

ガッシュ「ウヌ?今でもみんな私の友達なのだ」

セイバー「は?」

ガッシュ「いろいろあったけどみんな、私の友達なのだ」

セイバー「…」

ウェイバー「…ぷっ、アハハハハ!」

ガッシュ「な、なにがおかしいのだ!」

ウェイバー「いやー…まさかセイバーを黙らせるなんて…見ろよあの顔、ポカーンてしてるぞ、ポカーンて!アハハハハハハ!」

セイバー「笑うなぁ!」ブォン

ウェイバー「うわぁ!」
418 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/02(金) 17:29:58.83 ID:M3xXGR0U0

ーーーーーーーーー

セイバー「すまないガッシュ、止めなければこの家ごとウェイバーを粉砕するところでした」

ガッシュ「ハァ…ウヌウ……」

ウェイバー「…くあー…そうだ、僕眠いんだった。寝よー…」

セイバー「なっ!逃げるな!」

ウェイバー「僕の負けだよ…おやすみー」

セイバー「むぅ…」

ガッシュ「…なんだか眠れないのう」

セイバー「…私たちのせいですね」

ガッシュ「ウヌ…セイバー?」

セイバー「なんでしょう?ガッシュ」

ガッシュ「さっきの話の続きなのだがの…」
419 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/02(金) 17:48:37.00 ID:M3xXGR0U0
ガッシュ「私が王様になれたのは、私一人の力ではない。私に協力してくれたみんなのおかげなのだ」

セイバー「それは…察していました。貴方が友を大事にする理由は、きっとそこからなのでしょう?」

ガッシュ「ウヌ。それで、お主の聖杯へのお願いなのだが…王のせんていのやり直しとはなんなのだ?」

セイバー「言葉通りです。至らない王のおかげで国は終わりの一途を辿った。許されるのならば、私などではない、真に相応しい王を選ぶために…」

ガッシュ「…やり直すとは、今までのすべてをなかったことにするのか?」 

セイバー「ええ。構いませんよ、それが民にとって最も…」

ガッシュ「それは、本当に正しいことなのかの?」

セイバー「…何?」

ガッシュ「お主のことを否定したくはないが…お主の全てを消してしまうことが、よいことだとはとても思えぬ!」

ガッシュ「私だって、はじめからみんなと仲がよかったのではない。それどころか…友もあまりいなかったのだ。それでも正面からぶつかりあって話し合えば、分かり合えるはずなのだ。…だから、お主に言いたいのは…」

ガッシュ「お主は過去や今にとらわれず、お主の本当にやりたいことをやればいいのだ!間違ってもいい!自分にウソをつくな!」

セイバー「…!」
420 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2018/02/02(金) 17:52:58.06 ID:M3xXGR0U0
ガッシュ「…ハッ!すまぬセイバー!つい…」

セイバー「…いえ…」

《うるさいぞー!》

ガッシュ「ア!も、もう寝ようぞ!セイバーも寝るのだ!ホラホラホラ!」バババ

セイバー「あ、ちょっ…」

ガッシュ「おやすみなさいなのだー!」シュバッ

セイバー「ガッシュ…」

セイバー「…おやすみなさい。ありがとう、やさしい王様」

ガッシュ「…ウヌ!」


ウェイバー(…よかったな…)


421 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2018/02/02(金) 18:00:40.73 ID:1Vf9kMJq0
良いこと言うなぁ
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