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勇者「魔王を倒しに行くぜ!」
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60 :
◆EpvVHyg9JE
[saga]:2017/12/16(土) 14:26:25.43 ID:J5eINESa0
ラベンダー畑の中央で剣をぶつけ合う二人の剣士。
見ただけでは、黒騎士の方に分があった。彼は王の矛として、想像を絶するほどの過酷な修練を積んできたのだ。
火花と共に、勇者が吹っ飛ばされた。
勇者「ぐわあッ!」
黒騎士「そこまでか? 腹ごなしの運動にすらならんわ」
勇者「テメェ……絶対にウェイターの首は渡さねぇ!」
再びぶつかりあう勇者と黒騎士。
黒騎士(この小僧もなかなかセンスがある。磨けば光るダイヤモンドの原石と呼ぶべきか)
黒騎士(だが、磨いていない以上はただの石ころ……。私の敵ではないッ!)
勇者「うう……クソッ! ふざけんなぁああああ!」
黒騎士(自分が勝てないと知り、技を捨て突進してきたか。やれやれ、もう少し楽しめると思っていたのだが)
デブ「ヤバい、このままだと勇者が斬られちまうよ!」
ハゲ「最悪、拙僧の回復魔法で傷は癒せます。しかし、それは黒騎士に好き勝手振る舞う権限を与えてしまうのと同義。マズいですぞ!」チラッ
デブ「うぐう、僕はどうすることもできないのかよぉ!」チラッ
フード女「どうしてあたしを見るんだ」
デブ「単刀直入に言うぜ。重力魔法で勇者の助太刀をしてくれ」
フード女「は? 決闘だろ? 外野は口挟まないで、おとなしく観戦に徹するのが礼儀だよ」
ハゲ「拙僧からもお頼みします。勇者殿が、魔王を倒す唯一の希望! ここで失うわけにはゆきませぬ!」
フード女「な、なんだよあんたら。あたしにズルしろってのかい……」
61 :
◆EpvVHyg9JE
[saga]:2017/12/16(土) 14:57:30.27 ID:J5eINESa0
デブ・ハゲ「「そうだ!」」
フード女「仕方ないねぇ……いっちょやったげるか」
フード女は渋々、黒騎士の背に手を向けた。黒騎士の鎧にかかる重力を五倍にする。
並大抵の騎士なら、剣を振ることはおろか地に這いつくばる他なにもできなくなるのだ。
指先に紫色のマナが集まり始める。
フード女「潰れろ」
ウェイター「ちょっと待ってください!」
フード女を押しのけて、ウェイターが外へ駆け出していった。
押す押されるを繰り返す勇者と黒騎士に声をかける。
黒騎士「貴様、決闘の邪魔をする気か」
勇者「そうだ、まだ決着はついていない」
ウェイター「炊けたのです、白米が!」
黒騎士「何ッ!? 白米が!? 見せろッ」
ウェイターの持つ皿をひったくると、黒騎士はこんもりと盛られたライスを食い入るように見つめた。
黒騎士「確かに、白い。貴様、これを15分で炊いたのか」
ウェイター「いえ、恥ずかしながら30分かかってしまいました。それだけあなた方が決闘に夢中だった、ということでございましょう」
勇者「時を忘れるほど、戦いが激しかったんだな……。いつの間に30分も経っていたなんて」
黒騎士「フン、我が猛攻を受けて生き延びるとはな。褒めてやってもいい」
勇者「あんたこそ、聖剣の威力を前に持ちこたえた方だぜ」
ウェイター「雨降って地固まる、ですね。それでは将軍、改めて席にご案内致します」
黒騎士「フッ、面白い小僧だ。貴様の成長、遠くから見守らせてもらう」
勇者「次は勝つ。あんたも、武運を祈ってるぜ」
その後、黒騎士と一緒に昼食を食べた。
62 :
◆EpvVHyg9JE
[saga]:2017/12/16(土) 15:10:17.64 ID:J5eINESa0
デブ「あ〜、おいしかった。久々に食事というものをした気がする」
勇者「あの黒騎士も神経質なだけで、根は悪い奴じゃなかったな。食卓を共に囲んだことだし、次に会ったら遠慮なく首を掻き切れるぜ」
ハゲ「そうそう。黒騎士殿が仰っていたのですが、この先にジャングルがあるようですな」
デブ「ジャングル? なんか食人族とか山賊が住み着いてそうだな。装備も一新した方がいいんじゃない? フードさんも仲間に加わったしさ」
勇者「俺は聖剣があるからいいとして、デブとハゲ、お前らの装備は流石に強化すべきだと思うぞ」
ハゲ「鉄球と普通の剣ですからな。拙僧も薄々『このままじゃマズい』と感じておりました」
フード女「とは言っても、武器屋がある街までは密林地帯を越えなければならない。あんたら、覚悟はできてるだろうね」
デブ「こ、怖いこと言うなよ……。やばい、なんか食べたくなってきた」
勇者「ストレス食いは体に悪い。そこらへんに落ちてる石でも舐めとけ。キャンディのように」
デブ「分かったよ、この苔が生えてるやつね。ぺろっ、苦いッ!」
フード女「バカな真似してないで、さっさといくよ」
63 :
◆EpvVHyg9JE
[saga]:2017/12/16(土) 15:42:43.77 ID:J5eINESa0
勇者、ハゲ、フード女。前を歩く三人の背中を見ながら、デブは自分の存在意義について考えていた。
勇者には魔王を討つ大義がある。
ハゲには仲間の傷を癒す力がある。
フード女は強力な魔物を倒す魔法がある。
なら自分には何がある? ただの暴食漢ではないのか?
デブ(旅が進めば進むほど、自分の無力さを痛感するんだ。僕はいつも、みんなに助けられてばかり)
デブ(勇者とハゲとフード女だけで、魔王を倒せるんじゃないか? 僕がパーティーにいる必要などあるのか?)
デブ(これまで何度も家に帰ろうとしてきた。でも、僕の故郷は魔王軍の爆撃で消し飛んだ。僕に帰る家はない。だからパーティーにいる)
デブ(結局、後ろ向きな理由でついてきているだけ。だったらせめて、パーティーで一番強くなって、みんなに迷惑をかけないようにしたい)
フード女「デブ、浮かない顔をしているようだけど。ジャングルがよほど嫌いなのかい? 確かにここはジメジメしてるし、虫も多い」
デブ「別に、虫は嫌いじゃない。ただ、少し考え事をね」
フード女「勇者、ハゲ。止まってくれ。ここで一旦休止だ。デブの気分が悪いようだから、あたしが介抱してくる、ちょっと待っててくれ」
勇者「デブが? 珍しいな。デブといやあ無尽蔵の体力だけが取り柄だったろ」
ハゲ「拙僧も疲れました。近くに川もあるみたいですし、休むのもありですね」
64 :
◆EpvVHyg9JE
[saga]:2017/12/16(土) 16:02:53.94 ID:J5eINESa0
デブは小川のそばに連れて来られた。
勇者とハゲは離れたところで休んでいるらしい。
フード女「あたしはウジウジした男が嫌いだ。思っていることを簡潔に話せ」
デブ「強くなりたい」
フード女「あんたは今のままでも十分に強いじゃないか」
デブ「もっとだよ。勇者や君を凌ぐくらいに強くなりたい」
フード女「それは無理だな。人にはそれぞれ、限界というものがある。力の上限みたいなものさ。分析してみるに、いくら頑張っても勇者の半分程度の力にしかならない。聖剣ってのは、それほど強力なんだ」
デブ「これ以上、パーティーのお荷物にはなりたくない。僕だって、黒騎士と互角に闘いたいんだ」
フード女「太っちょのくせに、言うことだけは一人前なんだね。で、どうしたい?」
デブ「良い鍛錬場を知っていたら、教えてほしい」
フード女「なるほどね。知らないことはない。でも、本当に良いのか? 全てを捨てることになる」
デブ「僕に捨てるものなんかない」
フード女「よろしい。じゃあこの小瓶を渡そう。中にエリクサーが入っている。飲みな」
デブ「う、うん」
ごくり。甘い液体が喉を通る。
眩暈がする。視界が狭まる。デブは地面に倒れた。
最後に目にしたのは、ジャングルの緑だけだった。
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/16(土) 22:00:34.94 ID:aNzpQgUOo
あ、そう。一生懸命頑張ってね
まだ続くの?
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/18(月) 02:44:02.25 ID:gd53D+3DO
乙
>>65
ウゼェから艦コレスレから出てくんなよ
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/18(月) 02:54:11.19 ID:18D9OHSA0
>>66
この作者が他のスレで
あ、そう。一生懸命頑張ってね
ってレスしてたんだぞ
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/18(月) 09:35:14.15 ID:gd53D+3DO
>>67
やられた当事者がやり返すなら話はわかるが?
てかそのスレでは読者様だから何言っても良いんじゃないのか?
自分は批判するけど他が批判するのは許しませんってどんな理屈だよ
まあID変えるくらいはしろよと思うけどww
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/18(月) 10:51:46.75 ID:AZMb198iO
>>68
何が読者様だよ、糞作者にして糞読者だろ
というか、その言い分が通るならこのスレで誰が何を言っても問題ないよな?
読者様なんだから
70 :
◆EpvVHyg9JE
[sage]:2017/12/18(月) 13:29:33.29 ID:0lkcQTJ9O
フード女「休みは終わりだ。二人とも立ちな」
ハゲ「[
ピザ
]殿はどうされました? 確か、貴女と一緒に川上で休むと仰っていた気がしますが」
フード女「あいつは、パーティーから抜けた。強くなるために、一人で鍛錬場に行ったのさ」
勇者「鍛錬場? なんだそれ、俺も連れていけよ」
フード女「ダメだ」
勇者「あ!? なんで!?」
フード女「鍛錬場へ行くためのエリクサーを切らしてしまったからさ。滅多に手に入らない、貴重品だった」
勇者「それを、俺じゃなくて[
ピザ
]なんかに使ったってのか! なんて無駄なことを……!」
フード女「熱意に押されたんだ。強くなりたいという精神力。少なくともあんたの数倍はあった」
フード女「あとは[
ピザ
]がどんな成長をするか。見ものだね」
フード女「それに勇者、あんたは薬なんかで強くなるような人間じゃないだろ?」
ハゲ「……貴女は一体、何者なのですか」
71 :
◆EpvVHyg9JE
[saga]:2017/12/18(月) 13:41:28.33 ID:0lkcQTJ9O
密林を抜けると、海に到着した。舐めてみると、塩ではなく泥の味がした。巨大な湖だったのである。
勇者「あ〜! 気分がいいぜ! 密林の中は息苦しかったからよ、こうやって広々とした場所に出ると叫びたくなるんだよな!」
ハゲ「海水浴、ではなく湖水浴ですかな。スイカ割りでもやってみたかったのですが」
勇者「テメェの頭をカチ割ってやらァ!」
ハゲ「おっとっと、勇者殿。聖剣を振り回すのはやめなさい。危ないではないですか。アッハッハ」
フード女「あんたら、イチャイチャしている暇じゃないだろ。湖を渡る筏を作らなきゃならない」
勇者「筏? 湖を迂回することはできねーの?」
フード女「あんたね、こんなデカい湖を回り込むったら、どれだけ時間がかかると思ってるのさ」
ハゲ「船着場で小舟を一艘借りたいところですがね」
フード女「船着場すらないね。つまり、あたしらで筏をこしらえて渡るしかないのさ」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/19(火) 23:47:52.70 ID:duZJFZFgo
あ、そう。一生懸命頑張ってね
73 :
◆EpvVHyg9JE
[saga]:2017/12/20(水) 01:23:11.20 ID:zPAwmRea0
勇者「よっしゃ、ここで聖剣の出番だな! 近くに森もあることだし、スパパァンと切り倒してやるぜ!」
勇者はポプラの木を切り倒し、いくつか丸太を作った。
並べてみると隙間ができる。
勇者「ヴォイ、隙間があったら沈んじまうじゃねぇか」
ハゲ「ゴムの木があれば、樹液で隙間を埋めることが可能なのですが……見たところポプラしかありませんな」
フード女「仕方ない奴らだね。あたしの闇魔法に、ゴムの樹脂を生成する魔法があるんだ。それでなんとかしてやるよ」
チュイーン
こうして簡単な筏が完成した。
74 :
◆EpvVHyg9JE
[saga]:2017/12/21(木) 09:32:35.51 ID:a7EgKgA3O
勇者「筏も乗ってみると意外に快適じゃねーか」
フード女「寝そべらずに櫂を漕ぎな。風も帆もないんでね、あたしらの力で筏を進めなきゃならんのさ」
勇者「あ〜めんどくさ。ハゲ、なんか釣れたか?」
ハゲ「画鋲のような頭をした魚なら数尾」
勇者「あんだって? 画鋲のような頭ァ? そんなのが魚なわけねーだろ。キモいから捨てろよ」
フード女「ヒラコテリウムという、魔物魚だね。画鋲の針のような口唇を敵に突き刺し、体液を啜るんだ」
勇者「つまり、蚊みたいなモンだろ?」
フード女「蚊でもあり、ヒルでもある」
勇者「頭を取ったら、普通に喰えそうだな」
ハゲ「拙僧は遠慮しておきます。魔物の魚など喰えたものじゃないでしょう」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/21(木) 17:42:59.30 ID:rSStM4Y7o
あ、そう。一生懸命頑張ってね
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/03(水) 14:20:23.04 ID:Ic+MS72qo
あ、そう。一生懸命頑張ってね
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/03(水) 18:00:18.59 ID:0y33kF5p0
>>76
これは完全に濡れ衣
>>60
の一回だけで、他は一切ネタレスしていないからな
こういった類の輩は言っても信じないだろうが
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/03(水) 18:04:49.78 ID:0y33kF5p0
それから
>>77
のレスは例のスレには貼るなよ
何か文句を言いたいならこっちに書け
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/03(水) 21:36:04.28 ID:8pyrz2JDO
粘着キチガイはほっとけよ
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クオリティの高いサービスを貴方に
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