ルパン三世 Gifted Cinderella 魔法のトワレ

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 22:33:09.77 ID:L++U7Ja8o
新宿 アルタ前

次元「――おい、ルパン」

ルパン「いよ〜う次元! ひっさしぶりだなぁ!」

次元「そう思ってるのはお前さんだけだがね」
ルパン「おや? そうだったっけか?」
次元「お前に呼ばれた時は大抵ロクな目に合わないから印象が強いのさ」
ルパン「がく! そりゃないぜジゲ〜ン!」

次元「それで? 一体何の用だってんだ」

ルパン「決まってるだろ? 仕事だよ、し〜ご〜と」

次元「仕事ねぇ……」

ルパン「そ〜んなに嫌そうな顔すんなってぇ!」

ルパン「ほら、あの画面の子達みたく、ニ〜ッコリ笑っていこうぜ〜?」


https://www.youtube.com/watch?v=H0M1yU6uO30

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1512567189
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 22:40:02.68 ID:L++U7Ja8o
  ・  ・  ・
ルパン隠れ家

次元「――それで、今回の獲物は?」

ルパン「まぁまぁ、そう焦るなって」
次元「悪いが、こっちも暇じゃないんでね」
ルパン「そうかい? 貧乏暇無しって言葉もあるくらいだ、気楽にいこうじゃないの」
次元「俺ぁ働き者なのさ。どっかの誰かさんと違ってね」
ルパン「言ってくれるじゃあないのよ」

ルパン「そんじゃまあ……早速」

…キランッ

次元「そいつぁ……何だ?」
ルパン「何に見える?」
次元「俺にゃあ、ただの石っコロにしか見えんがね」
ルパン「張り合いがねぇなぁ、ったくよう!」
次元「良いからさっさと言えっての」
ルパン「……まぁ良いか」

ルパン「こいつはただの石っコロに見えてな……魔法がかかってるのさ」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 22:47:52.24 ID:L++U7Ja8o
次元「魔法? おいおい、そいつぁ一体何の冗談だ」
ルパン「冗談なんかじゃあねえさ」
次元「ルパン……お前さん、正気か?」
ルパン「正気も正気! おおマジさぁ!」
次元「なるほど、正気か」

次元「――ルパン。悪いが、俺は降ろさせてもらうぜ」

ルパン「ちょっとちょっとちょ〜っと待てって!」

ガシッ!

次元「離しやがれ!」
ルパン「話は最後まで聞けって〜の!」
次元「俺ぁな、石コロ集めて楽しむのはガキの頃に卒業してんだよ!」
ルパン「この石はただの石じゃねえんだってば!」

次元「……良いだろう、話してみやがれ」

ルパン「そんじゃあ、話す前に……タバコ買ってきてくんない?」

次元「…・・・あん?」

ルパン「ちょ〜ど切らしちまってさ〜あ。これじゃあ落ち着いて話も出来やしねぇぜ、あ〜あ困った!」
次元「……」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 22:58:48.32 ID:L++U7Ja8o
次元「おいルパン、人を馬鹿にしてんのか?」
ルパン「あら、怒っちゃった?」
次元「当たり前だろうが! 大体な、お前さんはいつも――」

ルパン「さぁて、お立ち会いだ」

次元「――……あん?」

ルパン「さっきの、一見何の変哲も無い石っコロに、特殊な薬品をかけてやる……」

トプトプトプ…

次元「おい、ルパン。一体何の真似だ」
ルパン「するとだ……なあ、次元。なんだか不思議な匂いがしてこねえか?」
次元「む……? 確かに、なんだか甘い匂いが……」
ルパン「次元、そうしたら俺の動きをよ〜っく見ててくれよ」
次元「だから、一体何を……」

ルパン「ほいっ! ほいっ! ほほいの、ほいっ!」ポコジャガ

次元「ルパン! 人をからかうのも大概にしやがれ!」
ルパン「わ〜りぃわりぃ」
次元「ったく! 何だってんだ!」

ルパン「それじゃまぁ――タバコ、買ってきてくれねえか?」

次元「――わかったよ。ひとっ走り行ってくる」

ガチャッ…バタンッ
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 23:07:43.74 ID:L++U7Ja8o
  ・  ・  ・

ガチャッ!

次元「――おい、ルパン!」

ルパン「いよ〜う次元、早かったなぁ!……あり、何も持ってな〜いじゃないの」
次元「テメェ! 俺に何しやがった!」

ガクガク!

ルパン「ニシシシシシ!」
次元「笑ってねえで答えやがれ!」
ルパン「言っただろう、次元? 魔法だよ、魔法」
次元「……ちっ!」
ルパン「どうやら、話を聞く気になったみてぇだな」

次元「……気付いたらお前さんのタバコを買おうとしてやがった、ありゃ一体どういう訳だ」

カチッ、シュボッ…

次元「……フーッ」
ルパン「おいおい、ちゃっかり自分のは買ってきたのかい?」
次元「どうせ、この匂いに何か理由があるんだろう? かき消さないと落ち着かねえ」
ルパン「ご明察」

カチッ、シュボッ…

ルパン「ふ〜っ。これで、ようやく落ち着いて話せるってもんさ」
次元「……自分のタバコ、あるじゃねえか」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 23:22:05.72 ID:L++U7Ja8o
ルパン「次元、催眠術はわかるよな?」
次元「馬鹿にすんじゃねえ。それくらいは常識だろうが」
ルパン「さっき、俺がやったのも催眠術の一種さ」
次元「あれが催眠術だってのか?」
ルパン「そうとも」

ルパン「――ただし、普通の催眠術とはちょ〜っとばかし違う、な」

次元「……確かに、ありゃ普通じゃねえ」
ルパン「だろう?」
次元「ルパン……お前まさか、俺を操って良いように使おうって腹じゃねえだろうな?」
ルパン「馬鹿言うなって! 見て、この澄み切った目!」
次元「きったねえ目だな」
ルパン「……」
次元「……」

ルパン・次元「アッハハハハ!」

次元「……強力な催眠術の秘密は、あの石っコロと薬品で発生した匂い」
ルパン「その通り。そして、お前さんに見せた踊りさ」
次元「あれが踊り? 俺にゃあ、ニワトリがはしゃいでるようにしか見えなかったがね」
ルパン「そりゃねえぜ! 俺だって、ひ〜っしこいて踊ったのよ?」
次元「へいへい」

ルパン「――今回の狙いは、あの石っコロに含まれた特殊な結晶」

ルパン「その、人を惑わす魔法の結晶の塊さ」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 23:32:06.33 ID:L++U7Ja8o
ルパン「人は、古来から神様って奴に、歌と、踊りと、音楽を奉納する儀式を行ってきた」

次元「まあ、そいつぁよく聞く話だな」

ルパン「だがよ次元、おかしいと思ったことはねえか?」

次元「あん? 何がだ」

ルパン「――どうして、歌、踊り、音楽を捧げてたんだ?」

次元「……」

ルパン「距離も文化も離れた場所なのに、捧げ物の共通点が似通りすぎてやしねえか」

ルパン「勿論、歌も踊りも音楽もそれぞれ違ったもんだ」

ルパン「だが……多くの古い文化には、それを捧げる習慣があった」

次元「……おいルパン、まさか」

ルパン「正確な事はわからねえぜ? ただよ、俺ぁ間違いねえと思ってる」

ルパン「捧げ物の儀式にかこつけて、この結晶を利用し、集団を催眠状態にしてた支配者が居る、ってな」

次元「……」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 23:43:19.29 ID:L++U7Ja8o
次元「歌、踊り、音楽……そして匂い、か」
ルパン「俺は歌わなかったのにアレだぜ?」
次元「そう考えるととんでもねえな、その結晶は」
ルパン「いんや、コイツはもうダメさ」

ポイッ…カコンッ

次元「おい、もったいねえじゃねえか!」
ルパン「焦るなって。あの石っコロに含まれた程度の結晶じゃ一回でオシャカなのよ、これが」
次元「なるほどな」
ルパン「だからこそ、でかい結晶を狙う」
次元「するってぇと……目星はついてるのか」
ルパン「ああ」

ルパン「先日遺跡から発掘された結晶を研究してたチームがいてな」

ルパン「俺もそこを狙ってたんだけどよ〜お、先を越されちまったんだわ」

次元「ほう? 先を越されるたぁ、ヤキが回ったな」
ルパン「あ〜んまりイジめるなってぇ。さっきの事、根に持ってんのかい?」
次元「けっ! さてね!」

ルパン「結晶を奪ったのはネームレスって言われてる革命家さ」

ルパン「俺が調べた限りじゃ、資金の全てを持って組織からトンズラ」

ルパン「そして、顔を変え、名前を偽り、この日本で――」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 23:54:48.22 ID:L++U7Ja8o
  ・  ・  ・
LiPPS 楽屋

名無「――本日の合同LIVE、よろしくお願いします」

LiPPS「よろしくお願いします!」

P「こちらこそよろしくお願いします。しかし、挨拶ならこちらから……」
名無「いえ、我が774プロは出来たばかりの事務所ですから」
P「しかし、社長自らおいでにならなくても……」
名無「はっはっは! 人手が足りませんから、私も自ら足を動かしませんと」


美嘉「……へぇ、すっごく感じの良い人じゃん」
フレデリカ「プロデューサー、困ってるね〜♪」
奏「こら、楽しそうにしないの」
周子「でも、あのプロデューサーが困るのを見られるのは……って」

志希「……」

周子「志希ちゃん、どしたの?」
志希「う〜ん、なんだか気になるというか、気になる匂いというか……」
奏「気になる?」
志希「気にしすぎなのか、う〜ん、わかんないにゃ〜」


名無「……――それでは、今日のLIVE、楽しみにしていますよ」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 00:12:10.66 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・

奏「今日のLIVE、盛り上がってるわね」
フレデリカ「んふふふー♪ やっぱり、LIVEは楽し〜よね〜♪」
美嘉「だね★ この後も、774プロの子達と一緒に『Tulip』を歌うし、もっと盛り上げよっ★」
周子「うんうん、ま、気楽にがんばろー」
美嘉「ってコラ! いきなりテンション下げないの!」
奏「あら、今は774プロの子達が歌ってるんだし、メリハリは大事よ」
フレデリカ「そうだよミカちゃん! メリハリメリハリ、ボン・キュッ・ボンッ、だよ!」
美嘉「は、はい!? 一体何の話!?」

志希「……」

奏「? どうしたの、今日は、嫌に静かじゃない」
志希「……」
フレデリカ「シキちゃ〜ん? お〜い、もしも〜し?」
周子「……って、全然聞こえてないみたいだね」
美嘉「さっきから、774プロの子達のステージを見たと思ったら、パッと目を離したりしてるけど……」

志希「……クンクン」

志希「微かに匂う……あの子達の動き……観客席に向けられたスモーク……」

奏「ほら、もうすぐ出番よ!」
志希「……奏ちゃん、もしかしたら、この後何か起こるかも」
奏「はっ?」

志希「わかんないけど……うーん、多分、きっと何か起こるから、皆気をつけて」

奏・フレデリカ・周子・美嘉「?」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 00:25:02.99 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・

フレデリカ「……わぉ」

「ひっこめー!」
「お呼びじゃないんだよー!」

美嘉「ちょっ、ちょっと、おかしくない!?」
奏「さっきまで、あんなに応援してくれてたのに……」
志希「……いやー、まさか、ここまでとは志希ちゃんも思ってなかったかなー」

774プロアイドル達「……フフフ」

「おい、アイツらをステージからひきずり下ろしちまえ!」
「そうだそうだ! 邪魔なんだよお前ら!」
「これでもくらえ!」

ブンッ!

周子「!? うわっ!?」
志希「っ!? 周子ちゃん、危なっ――」


???「きえいっ!」


――シュピンッ!……パラパラッ


五エ門「……サイリウムは投げる物ではない、振る物だ」


周子「さ……侍……?」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 00:35:22.72 ID:aR/iSXPzo
「なんだアイツ!」
「俺たちの邪魔をする気か!」


五エ門「……お怪我は」

周子「ううん、大丈夫。おかげで助かったよ」

五エ門「……///」コクリ


「あんな変な奴無視して、さっさとアイツらを引きずり下ろすぞ!」
「やっちまえ!」

五エ門「――彼女達には……ちぇいやっ!」

シュピンッ!

「……」

……ドサドサドサリ

五エ門「――周子ちゃんには、指一本振れさせんッ!」


フレデリカ「わーお! シューコちゃんのファンのお侍さん、凄いねー!」
周子「……あたしのファンなんだ」
美嘉「関心してる場合じゃないでしょ!」

P「早くこっちに! 急いで!」

奏「とにかく、ここは逃げるわよ! LIVEどころじゃないもの!」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 00:50:05.51 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・

美嘉「……はぁ……はぁ……!」
周子「一体なんなのさ、何が起こってるの?」

P「話は後。今は、ここから離れる事が先決です」

奏「プロデューサー! ちょっと待って!」
フレデリカ「シキちゃんが居ないの! どうしよー! やばいよー!」

P「……――ああもう、あの子はすぐこれなんだから!」

奏・美嘉・周子・フレデリカ「ぷ、プロデューサー……?」


黒服A「おい、いたぞ!」


P「動きが早いわね。中々訓練されてるじゃない」


黒服B「アイドル達は無傷で確保しろ! Pの方は殺して構わん!」


奏・美嘉・周子・フレデリカ「!?」


P「……あら……」

…バサッ

不二子「……――出来ると思って?」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 00:52:02.15 ID:aR/iSXPzo
寝ます
おやすみなさい
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 01:05:58.54 ID:TwbTdqaSO
乙です。
面白そうなので期待。
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 01:42:13.00 ID:ng9QlYbA0
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 03:33:06.62 ID:97Mhm+mfo
んー、ローゼンの作者ではないな
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 09:34:25.56 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・

黒服C「逃がすな! 追えっ!」


志希「はぁ……! はぁ……!」

志希(やっぱり、狙いはあたしだったかー)

志希(皆の方にも何人か行ってたけど、かなりの数がこっちに来たもんねぇ)

志希(巻き込んだ?……いや、多分違う)

志希(あたしを狙うのは、何かの目的のついで、って感じだよねぇ)


スタッフ「こっちに隠れてください!」


志希「っ!? キミは……?」
スタッフ「早く! 急いで!」
志希「……おっけー」


黒服C「チッ! 逃げ足の早い! 探し出せ!」


ドタドタドタドタ!


スタッフ「……どうやら行ったみたいですね」

志希「……」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 09:49:26.45 ID:aR/iSXPzo
スタッフ「さあ、今のうちに逃げましょう」
志希「……クンクン、クンクン」
スタッフ「あの……何を……?」

志希「うーん、キミはちょっと信用出来ないかな。明らかにスタッフさんじゃないしねー」

スタッフ(?)「……そりゃまた、どうしてそう思ったんだい?」
志希「キミからは、と〜っても危険な匂いがするんだ」
スタッフ(?)「……」
志希「最近担当になった、峰ってプロデューサーととっても似てる匂い」

スタッフ(?)「へ〜! こいつぁ驚いた! 良〜い鼻を持ってるじゃないの!」

志希「にゃははは♪ 観察も趣味だしねー」
スタッフ(?)「そりゃあ良い趣味をお持ちですこと」
志希「気配も足音もなく突然現れる人なんて、そうそう居ないよー!」
スタッフ(?)「……」

スタッフ(?)「ナーッハッハッハ! こりゃあ、一本取られっちまったぜ!」


志希「――あたしは一ノ瀬志希、とってもキュートなアイドルだよー♪」

スタッフ(?)「クックック! 自己紹介されちゃあ仕方ない!」

ビリイッ!

ルパン「――俺の名は、ルパ〜ン三世。とぉ〜っても危険な……泥棒さ」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 10:02:41.75 ID:aR/iSXPzo
「おい! こっちから声が聞こえたぞ!」


ルパン「いっけね、あんまりにも楽しくてハシャギすぎちまったぜ」
志希「クヨクヨしててもはじまらなーい。これからどう逃げるかを考えよー」
ルパン「おいおい、泥棒って言ったのに信用するのかい?」
志希「泥棒だったら、危険な匂いがするのも納得だからね!」
ルパン「……なるほど、こいつぁとんだじゃじゃ馬だ」

ルパン「――さすがは、あの一ノ瀬博士の娘なだけはあるぜ」

志希「……えっ?」
ルパン「っとと、話てる時間は無さそうだな」
志希「ねえ、待って。ダッドと……知り合いなの?」


黒服C「居たぞ!」

ドンドンッ!

ルパン「うわっちちち! コラ〜! 危ねえじゃねえか!」
志希「撃ってきた……!?」
ルパン「お嬢ちゃん、走れるかい?」

志希「……志希で良いよ。あたしも、キミの事ルパンって呼ばせて貰うから」

ルパン「オーケー、志希」

ルパン「さぁ、逃走劇のレッスンの始まりだ〜!」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 10:23:37.32 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・
https://www.youtube.com/watch?v=kU5ii7DAyxU

黒服A「……!」
黒服B「……!」

ドンドンッ!


不二子「もう、こっちはレディーしか居ないのに失礼しちゃうわ!」


ドンドンッ!


奏「……ねえ、プロデューサー。貴女、一体何者なの?」
美嘉・周子・フレデリカ「……」
不二子「うふっ、いつもは強気なアンタ達も、そうしてしおらしくしてると可愛いものじゃない」
奏「質問に答えて!」
不二子「ねぇ、奏。その三人を連れて、先に逃げてくれない?」
奏「答えになってない!」
不二子「ご褒美のキスがお望み? 生憎だけど、先払いはしない主義なの……よっ!」

ドンドンッ!

不二子「教えておいてあげるわ。秘密の数だけ、女は魅力的になるの」
奏「……後で、絶対に聞かせて貰うから」

不二子「良いわ、約束してあげる。……そうねぇ、ご褒美は後払いでも?」

奏「……遠慮しておくわ。だって、貴女にキスされたら、何もかも奪われてしまいそうだもの」

不二子「うふっ、賢い子は好きよ。さっ、行きなさい!」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 10:43:32.22 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・

奏「……どうやら、もう追って来てないみたいね」
フレデリカ「フジコちゃん、一体何者なのかなぁ?」
周子「それに、あんなにバンバン撃ち合いして……あれ、多分本物だよね」
美嘉「……」ブルブル
奏「美嘉、大丈夫? 顔が真っ青よ」
美嘉「何なの!? こんなの、普通じゃないよ……!」

フレデリカ「そう言えば、LIVEの時からいつもとは違ったよねぇ」

周子「志希ちゃんも様子がおかしかったし……」

奏「……」
美嘉「っ、そうだ! 志希ちゃんは大丈夫なのかな!?」
奏「美嘉、貴女……志希の起こした厄介事に巻き込まれたとは思わないの?」
美嘉「えっ、どうして?」
奏「どうして、って……」

美嘉「だって、あの子がアタシ達をこんな危ないことに巻き込む訳ないもん」

美嘉「そりゃ、何か関係はあるのかもとは思うけど……絶対にあの子は悪くない」

奏「美嘉……貴女って、ホント素敵よね」

ぎゅっ!

美嘉「か、奏!?」
フレデリカ「はいはーい、アタシもミカちゃんハグハグしちゃうーぎゅー」
周子「それならあたしも、ぎゅー」
美嘉「ちょっ、ちょっと皆!?」
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 11:01:47.01 ID:aR/iSXPzo
奏「……美嘉、落ち着いた?」
美嘉「……うん、アリガトね★」
フレデリカ「いやー、こうやって皆でハグするのも悪くないねぇ♪」
周子「フレちゃんは、ブレないねぇ」


「オッホホホ! こりゃまた、仲のよろしいこって!」


奏・美嘉・フレデリカ・周子「!?」

志希「あたしも仲間に入れてー! どーん!」

ぎゅっ!

奏「志希! 無事だったのね!」
フレデリカ「いえーいシキちゃん! 元気してたー?」
志希「してたしてた! 元気いっぱいだよー!」
美嘉「馬鹿っ! すっごく心配したんだから!」
志希「美嘉ちゃん……〜〜〜っ、ありがとうの、ぎゅーっ!」
周子「あはは、本当に元気そう」


ルパン「……あんのさ〜あ? おじさんも、放っておかれっと寂しくなっちまうんだぜ?」

LiPPS「あっ」

ルパン「ってなわけで、おじさんもどーん!」

ぴょいーん!

LiPPS「それはダメ」

サッ

ルパン「あいたっ!」

ベチャリ!

ルパン「……トホホ、そりゃないぜ〜」
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 11:19:41.96 ID:aR/iSXPzo
志希「ってルパン! 遊んでる場合じゃないよー!」

ルパン「志希にゃ〜ん、お前さんが始めたんだろ〜?」

志希「あれ、そうだったっけ?」
ルパン「おいおい、もう忘れっちまったのかい?」
志希「あたしは過去を振り返らない!」
ルパン「奇遇だな、そいつぁ俺もだ」

ルパン・志希「……」

ルパン・志希「ヌフフフフ!」

美嘉「な、なんだか随分仲が良さそうだけど……知り合い?」
志希「うん、さっき知り合った泥棒さんだよ!」
奏「ど、泥棒?」
フレデリカ「初めまして! アタシ、性は宮本、名はフレデリカ! フレちゃん、って呼んでね〜♪」

ルパン「こいつぁご丁寧にどうも! 俺の名はルパン三世、ルパンって呼んでねぇん♪」

志希・フレデリカ「ルパ〜ン♪」
ルパン「ハァ〜イ♪」
周子「……全く、これだからネジの外れた天才肌達は」
ルパン・志希・フレデリカ「イエーイ♪」

ルパン「……っと、そろそろお迎えが来るはずだぜ」

プップー!

ルパン「さっすが次元、噂をすれば良〜いタイミングだぁ!」
奏「窓の外……あのトラックがお迎え?」
ルパン「その通り! さっ、乗った乗った!」

美嘉「ねえ……ここ、三階なんだけど……飛び乗るの!?」
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 11:20:30.08 ID:aR/iSXPzo
昼寝
26 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 13:05:34.97 ID:yk2adVvio
おつ
27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 15:50:13.76 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・
774プロ 事務所ビル前
https://www.youtube.com/watch?v=JwE3Ok-RMzs

銭形「……ほう、こいつぁまた随分とデカイビルだなぁ」

銭形「一体、ワシの給料何年分だぁ?」

銭形「……」

カツカツ


受付嬢「ようこそ、774プロダクションへ。今日は、どういったご用件で?」

銭形「インターポールの銭形です。ルパンが現れたと聞いたので、すぐにでもお話を伺いたい」

受付嬢「恐れ入りますが、お約束はありますか?」

銭形「や、約束ぅ? そんなモンありゃしませんが……」

受付嬢「申し訳ありません。お約束の無い場合、すぐという訳には……」
銭形「る、ルパンが現れたんですぞ! 社長を呼んでいただきたい!」
受付嬢「わ、私に言われましても……!?」
銭形「ぐぬぬぬぬ! お話を聞けるまで、ワシぁここを一歩も動きませんからな!」
受付嬢「そんな、こっ、困りますー!」


名無「……おやおや、これは一体何の騒ぎで?」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 16:01:51.05 ID:aR/iSXPzo
受付嬢「しゃ、社長!?」

銭形「おおっ! アナタが!」

名無「初めまして。この774プロダクションの社長、名無です」
銭形「ワシぁICPOの銭形です。先日のコンサートに、ルパンが現れたと聞きましてな」
名無「コンサート……ああ、合同LIVEの時ですね」
銭形「今はライブと言うんですな……どうにも最近の流行には疎くて」
名無「流行という程の事ではありませんよ。お気になさらず」
銭形「そう言って頂けると助かります」

名無「立ち話も何です。宜しければ、私のオフィスへどうぞ」

銭形「おおっ、そいつぁ有り難い!」

名無「――キミ、私は銭形さんと話をする」
受付嬢「はい」
名無「各所に連絡し、時間の調整をするよう手配しておくように」
受付嬢「はい、かしこまりました」

名無「……さて、それでは行きましょうか」

銭形「いやぁ! 急成長中の事務所ってぇのは、受付嬢も美人で優秀ですなぁ!」

名無「フフフ……」

名無「……従順すぎて、融通がきかないのには困りますがね」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 16:17:39.71 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・
名無オフィス

銭形「……こいつぁまた……えらく豪勢なオフィスですなぁ」
名無「あの有名な銭形警部にそう言って頂けるとは、光栄ですね」
銭形「おや、ワシの事をご存知で?」
名無「対ルパンのスペシャリスト、銭形警部を知らない人間はいませんよ」
銭形「……それでは、早速そのルパンに関する事をお聞きしたい」
名無「ええ、勿論」

名無「ルパンは、先日の合同LIVEに現れ、混乱に乗じてLiPPSの五人を誘拐」

銭形「LiPPSってぇと、五人組のアイドルグループですな。それは聞いとります」

名無「それを止めようとした者も重傷を負わされ、話はほとんど聞けませんでした」

銭形「しかし……ワシぁ、あのルパンがただ誘拐をするとは思えんのです」
名無「だが、事実彼女達は今も行方不明だ」
銭形「……」
名無「これは私の推測なのですが」

名無「……LIVEで起こった混乱は、ルパンとLiPPSが仕組んだものなのではないか、と」

銭形「いや、そいつは有り得ませんな。断言出来ます」

名無「……何故です?」
銭形「ルパンってぇ男は、女にゃ騙されはしますが、女を利用するような輩じゃありませんからな」
名無「……ふむ、なるほど」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 16:28:18.79 ID:aR/iSXPzo
名無「……しかし、事実はわかりません」
銭形「なぁに、全部ルパンをとっ捕まえて白状させればわかる事です!」
名無「ええ、よろしくお願いします」
銭形「このワシ、銭形にまかせてください!」
名無「……それではすみません、この後も約束がありますので」
銭形「おおっ、こいつぁ失礼。何かありましたら、こちらにご連絡ください」
名無「はい、必ず」

銭形「……」
名無「……」

ガシッ!

  ・  ・  ・

銭形「……」

銭形(握手をしてわかったが、アイツぁただの社長じゃあないな)
銭形(手の感じに立ち振舞……一般人を装っちゃいるが、ワシの目は誤魔化せんぞ)

銭形「……全く、アイツと言いルパンと言い、この事件は厄介そうだ」


  ・  ・  ・

名無「……」

名無(恐らく、銭形は気付いたかもしれんが確信は無いようだ)
名無(……だが、わかった時にはもう遅い。全ては終わっている)

名無「……一週間後の魅惑の舞踏会まで、精々頑張ってくださいよ、銭形警部」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 16:46:08.71 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・
ルパン隠れ家

prrrr!prrrr!

不二子『ハァ〜イ、ルパン。お久しぶりね』

ルパン「こ〜ら不二子っ! どうしてもっと早く連絡しやがらねえんだ!」

不二子『まあ! そんな事言うなら、切っちゃおうかしら』
ルパン「わ〜っ! 待て待て! 悪かったよ〜、機嫌直して、ねっ、お願い」
不二子『……ウフフ、その様子だと、随分あの子達に手を焼いてるみたいね』
ルパン「面白そうにしてんじゃねえっての! こっちゃ大変なんだぜ?」
不二子『わかってるわよ、そんなの。私だって苦労したんだから』

ルパン「ところでよぉ不二子……今回、お前さんが狙ってるのは何だい?」

不二子『狙ってるものなんて無いわよ。今回はね、頼まれたの』

ルパン「へぇ、そいつぁまた、どこの誰に頼まれたか教えちゃくれるのかい?」
不二子『とぼけちゃって。わかってるんでしょう?』
ルパン「まぁな。だがよ、お前さんがお守りをする程魅力的な報酬だったのかと思ってね」
不二子『ええ、勿論よ!』

不二子『天才、一ノ瀬博士が作った若さと美貌を保つ魔法のお薬だもの』

ルパン「……っかー! あのオッサン、どこまで読んでやがるんだっつたくよーぉ!」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 17:00:37.56 ID:aR/iSXPzo
ルパン「ったく、手の平の上で踊らされてる気分だぜ!」
不二子『あら、ルパン貴方、ダンスは苦手だったかしら?』
ルパン「いんや、得意も得意、大得意さ! 悲しいことによ!」
不二子『ねぇルパン? 志希には研究をさせてるの?』
ルパン「ああ。今も実験室に篭ってるよ」

不二子『……そう』
ルパン「ん? どうした不二子?」
不二子『いいえ、なんでもないわ』
ルパン「まさか情でも移ったってのかい? おいおい、らしくないぜ〜ぇ?」
不二子『そんなんじゃないわよ!』

ルパン「……一ノ瀬博士はこう言った」

ルパン「――魅惑の水晶の催眠効果はまだ完全ではない」

ルパン「――匂いに関しては、娘の方がスペシャリストだ」

ルパン「――効果を完全にするには、娘の協力が不可欠だ」

ルパン「……ってな」

不二子『それで、研究の方は順調なの?』
ルパン「順調すぎてこっちが驚く位だぜ。子は親に似る、って事なのかねぇ」
不二子『ルパンもそれを体現するうちの一人でしょう?』
ルパン「ヌフ! そいつぁちげぇねぇ! 俺の場合は、じいさまだけどな!」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 17:16:56.29 ID:aR/iSXPzo
ルパン「しっかし、親子揃ってこのルパン様をこき使おうってんだから大したもんだぜ」

  ・  ・  ・

志希『良いよん♪ 魅惑の水晶の研究、協力してあげる』

ルパン『やけに軽く返事してくれるが、本当に良いのかい?』
志希『トーゼン! ダッドがあたしにしか出来ないって言ったんだよね?』
ルパン『まあな』
志希『だったら、やってやろうじゃないか、と思っちゃうのが志希ちゃんなのです♪』
ルパン『それで犯罪の片棒を担ぐ事になってもかい?』
志希『ちっちっち! 研究成果がどう使われようと気にせず、目の前の謎を解き明かす!』
ルパン『……』
志希『それが研究者ってもの! ルパンがどうしようと、あたしには関係なーい!』
ルパン『……やれやれ、親父さんに似て、とんだ変人だな』

志希『――というわけで、交換条件♪』

ルパン『良いぜ、聞こうじゃあねえか』

志希『ほとぼりが冷めるまで、あたし達の安全を保障して欲しいにゃ〜♪』

ルパン『……ヌフフ! ちゃっかりしてやがるぜ、ったく!』

  ・  ・  ・

ルパン「……――ってな! おんもしれえ嬢ちゃんだよ!」
不二子『ええ、困ったことにね!』
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 17:31:44.13 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・

ガチャッ

次元「おら、お嬢ちゃん達! メシ買ってきたぞ!」

美嘉「あ……ありがとう、ございます」
フレデリカ「やーん、美味しそうなにおい! ジゲンちゃんありがとー♪」
奏「サラダは買ってきてくれた? 栄養が偏るといけないから」
周子「あたしが頼んだデザートの和菓子は? あと、お茶も」
美嘉「ねえ、あんた達馴染みすぎじゃない!?」

次元「……言っちゃなんだが、俺ぁピンク髪の嬢ちゃんの反応を見ると安心するぜ」

美嘉「……アハハ」
フレデリカ「わーお! 安心するって事は癒やしだね! ミカちゃんは癒し系でもあったんだね!」
奏「次元さん。お漬物は確かに野菜だけど、サラダじゃないと思うわ」
周子「和菓子って……この五個入りのあんぱん? 確かにあんこだけど、うーん微妙かなー」

次元「あーもう! うるせぇうるせぇ!」

次元「おい五エ門! お前が何とかしやがれ!」

五エ門「うむ。拙者が羊羹を買ってこよう」

次元「……ったく! どいつもこいつも!」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 17:46:18.21 ID:aR/iSXPzo
次元「あのな、お前さん達ゃ、言うなれば攫われてここに居るんだぜ!?」

フレデリカ「でも、ジゲンちゃんもルパンちゃんも、ゴエちゃんもフジコちゃんも助けてくれたよね?」

次元「そいつぁたまたまと言うかだな……!?」

奏「ストックホルム症候群、ってやつかしら。ふふっ、だとしたら困ったわね」
周子「いやー、でもあの時のゴエちゃんすっごく格好良かったからなぁ」

五エ門「……///」

次元「……なぁ、アイドルって奴は皆こうなのか?」

美嘉「違うから! この子達が特殊なだけで、アタシはまともだから!」
フレデリカ「ミカちゃんひどーい! まるで、アタシ達がまともじゃないみたい! しくしく!」
奏「あら、私はまともよ。ここまで来たら、焦っても仕方ないと思ってるだけ」
周子「それで落ち着いてられるんだから、まともじゃないと思うんだけどなー」
奏「ふふっ、こういう時に不二子さんみたいな良い女なら、焦ったりしないと思って」


次元・五エ門「アイツを参考にするのはやめておけ」


奏・美嘉・フレデリカ・周子「……」

美嘉「……なーんかさ、そういう所が憎めないというか、怖くない原因かも★」
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 17:46:56.11 ID:aR/iSXPzo
休憩
37 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 21:14:10.88 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・
渋谷 駅前

銭形「……」

銭形(……ルパンめ、あれからちっとも尻尾を掴ません)

銭形(それに、あの名無という男も……経歴が綺麗すぎる)


??「ご協力、お願いしまーす!」


銭形「――ほう! あんなに若いのに募金活動とは、人は見かけによらんなぁ」

銭形「どれ! ワシもちょいとばかり協力を……」

ヒュウウウ……

銭形「……トホホ、こりゃ、情けないにも程があらぁな、チクショウ」


莉嘉「お姉ちゃん……城ヶ崎美嘉に関して何か知ってたら、教えてくださーい!」


銭形「……ふむ、思ってたのとはちょいとばかし違うが、協力は出来そうだなアリャ」
38 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 21:24:49.95 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・

莉嘉「はい、缶コーヒー!」

銭形「おおっと、そいつぁ受け取れん。ワシにもプライドってもんがある」
莉嘉「えー、でもブラック買っちゃったから、アタシじゃ飲めないよー!」
銭形「そ、そうかぁ? それじゃあ、お言葉に甘えて……」

莉嘉「じゃあ、早速お姉ちゃんについて教えて!」

ズズイッ

銭形「わ〜ああ! 近い近い!」
莉嘉「これくらい別に普通だよー☆ あっ、おじさんもしかして照れちゃった?」
銭形「照れとりゃせん! 日本女子たる者、もっと慎みを持ってだな〜あ」
莉嘉「アハハッ、おじさんチョー面白い☆」

銭形「……おじさんじゃない、ワシぁ銭形だ」

莉嘉「銭形さんね、オッケー☆ アタシ、城ヶ崎莉嘉! カリスマJCアイドルだよ☆」

銭形「城ヶ崎美嘉さんの妹さん、ってぇ言ってたな」
莉嘉「……うん」グスッ
銭形「あわわわ! そんな急に落ち込まんでくれぃ!」
莉嘉「……お姉ちゃん」グスッ

銭形「〜〜〜っ! 年頃の娘さんの相手は、ワシにゃあ荷が重すぎる!」
39 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 21:35:05.82 ID:aR/iSXPzo
莉嘉「だって……お姉ちゃん、ルパンって悪い奴に攫われちゃって……!」グスッ


「……何あの人、小さい女の子泣かせてる」
「警察に通報した方がいいのかな」

ザワザワ…


銭形「こ、こりゃいかん!」


銭形「アー、ゴホン! お嬢ちゃん!」
莉嘉「……何?」グスッ
銭形「お姉さんの心配をする必要は無い! ルパンは女に乱暴をするような奴じゃあないからな!」
莉嘉「……ホントに?」
銭形「ああ、このワシが保証しよう! アイツは、ただの女好きだからな!」
莉嘉「えーっ!? じゃあ、もっとヤバいじゃん!」
銭形「な、何だ〜ああ!?」

莉嘉「お姉ちゃん、ああ見えて男の人への免疫全然ないんだから! 大ピンチだよ!」

  ・  ・  ・

美嘉「……へぷちっ!」
ルパン「お〜っとと、カワイコちゃんはいっぱい噂されっから、クシャミもよくするのかい?」
美嘉「そ、そんなんじゃないし!/// きゅ、急に可愛いとか言わないでくれる!?」

  ・  ・  ・

銭形「そりゃあ……うむむ、大ピンチだなぁ」
40 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 21:49:28.05 ID:aR/iSXPzo
莉嘉「どうしようどうしよう……!」

銭形「なぁに、このワシに任せとけ!」

莉嘉「……銭形さんに?」
銭形「ふっふっふ、ワシぁこう見えて、対ルパンのスペシャリストなのよ」
莉嘉「ホントに!?」
銭形「待っとれ、今ICPOの身分証を……っと、ほれ、本物だろう?」
莉嘉「本物見たことないからわかんないよー」
銭形「あん?……って、そりゃそうか」

銭形「とにかく! ワシに任せておきなさい!」

莉嘉「……信じてもいいの?」
銭形「この目を見なさい! これが、嘘をついてる人間の目に見えるかね?」
莉嘉「……うぇー、銭形さん、目ヤニついてるよ」
銭形「だぁ〜ああ!」
莉嘉「……」

莉嘉「……アハハハッ! 銭形さん、チョー面白いね☆」

銭形「ふむ、ワシぁアイドルの事ぁわからんが、そうやって笑ってるのが良いってぇなぁわかる」

莉嘉「銭形さんのおかげで、なんだか久しぶりに笑った気がする」
銭形「ハッハッハ! そいつぁ結構!」
41 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 21:55:39.75 ID:aR/iSXPzo
銭形「安心なさい! ワシがルパンを逮捕し、お姉さんも助けてみせよう!」

莉嘉「それじゃあダメ! お姉ちゃんを助ける方が先!」

銭形「な、何だって〜ぇ!?」

莉嘉「カリスマJCのぉ、オ・ネ・ガ・イ☆」

銭形「……お願いされちゃあ、聞かない訳にゃあイカンなぁ」
莉嘉「ヤッタ―! ありがとっ、銭形さん!」

ぎゅっ!

銭形「こ、こら! くっつくな!」
莉嘉「えーっ、これ位良いじゃん☆ サービスだよ、サービスぅ☆」
銭形「さ、サービス? サービスって言うなら、ワシぁもっと色っぽいお姉ちゃんの方が……グフフ」
莉嘉「あー! ひっどい!」
銭形「す、すまんすまん! つい本音がだな!」
莉嘉「もっとひどいんだけど!」

銭形・莉嘉「……」

銭形・莉嘉「アッハハハハ!」

莉嘉「……お姉ちゃんの事、よろしくお願いします」

ペコリ

銭形「了解しました! この銭形、責任を持って貴女の元へお姉さんを送り返しましょう!」

ビシイッ!
42 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 22:08:51.96 ID:aR/iSXPzo
  ・  ・  ・
ルパン隠れ家

ガチャッ!

志希「出来た――っ! 出来た出来た出来たよ――っ!!」

フレデリカ「わお、オメデトー! さっすがシキちゃん、シキハカセだねー!」
志希「フレちゃんありがとー! やっぱり、あたしって天才! いえーい♪」
フレデリカ「いえーい♪ 天才天才、だーい天才!」

くるくるっ♪

奏「ふふっ、さすがの志希もとってもテンション上がってるわね」
周子「つられてフレちゃんも一緒に踊ってるし」
美嘉「……そっか。でも、そうしたらアタシ達も帰れるって事?」

ルパン「いや〜、そいつぁちっとばかし危ねえんじゃねえかな〜あ?」

奏「……どういう事?」

ルパン「三日後に、774プロの近くのホールででっけぇLIVEが開かれる」

ルパン「恐らくだが、そこで名無社長――ネームレスは、観客を集団催眠状態にするだろう」

LiPPS「……」

ルパン「んま! それが終わるまで、ここで隠れてた方が良いと思うぜ〜?」

LiPPS「……」
43 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 22:19:19.26 ID:aR/iSXPzo
奏「ねえ、ルパン。アナタはどうするの?」

ルパン「決まってるさ。その騒ぎに乗じて、魅惑の結晶を頂戴する」

フレデリカ「えー! でもそれじゃあ、大勢の人が大変になっちゃうよー!」

次元「おいおい、俺達ゃ泥棒だぜ? 人助けなんざ、仕事の範囲外ってもんだ」

周子「でもさ、多分、その観客って元々のあたし達のファンも居るんだよね」

五エ門「……」

美嘉「うん……きっと、あの時のLIVEに居た人達も、大勢居ると思う」

奏・フレデリカ・周子・美嘉「……」


志希「――ってなわけで! ココからは、あたしが仕切る!」


奏・フレデリカ・周子・美嘉「……」


ルパン「……へぇ? 仕切るって、一体何をするつもりだい?」


志希「取られたモノは取り返す。だったら、取られたファンも取り返さないとねー♪」


ルパン・次元・五エ門「……」
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 22:33:46.72 ID:aR/iSXPzo
ルパン「ほう、そりゃまたどうやって?」

志希「そこで、取り出しましたるはこの液体」

チャポンッ

志希「これを魅惑の結晶から抽出したガスに少しでも垂らすと、化学反応を起こすんだ」
ルパン「そりゃまた、どんな」
志希「なんと! ガスの効果を変化させる事が出来るのでーす!」
ルパン「どういう風に変化するんだい?」
志希「魅惑の結晶のガスの効果を打ち消す、魔法のトワレに早変わり♪」
ルパン「な〜るほどなぁ。毒に対して、解毒薬があって完成ってぇ事か」

フレデリカ「おー! それがあれば、皆元に戻るんだね!」
奏「ふふっ、やっぱり志希はすごいわね」
周子「こういう所を見ると、普段とのギャップもあって見直しちゃうねー」
美嘉「アハハ、普段からこうやってやる気を見せてくれたら、アタシも楽なんだけどなぁ」

志希「ダッドがどう思ってたかはわからないけど、あたしが出した結論はコレだったの」

ルパン「ヌフフフ! 多分だけどよ、おんなじ結論だったと思うぜ〜!」

ルパン「……でも、それじゃあ俺の質問にゃあ答えてねえなぁ、志希ちゃんよ」

志希「……にゃははは、だよねー。うん、知ってる」

ルパン「魔法のトワレ……良いねぇ、実に良い」

ルパン「だがよ、問題はそいつをどうやって使用するか、だ」

奏・フレデリカ・周子・美嘉「……あっ」

志希「……」
45 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 22:34:22.79 ID:aR/iSXPzo
一服
46 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 22:55:44.85 ID:aR/iSXPzo
ルパン「それによ、魔法のトワレを散布した所で、それだけじゃあダメだろう?」
志希「……ご明察」
ルパン「今までの効果をも打ち消そうってんだ。歌と踊りと音楽もセット、だよな〜あ」
志希「さっすがルパン、話が早くてあたしも助かるよ―!」
ルパン「それで? お前さんは、どうやってファンを取り戻そうってんだい?」
志希「にゃははは♪ 自分一人じゃ無理なら、出来る人にお願いするんだよー!」


志希「ねえ、ルパン。あたし達のファンを盗み返すの、協力して♪」


ルパン「おっほほほ! そりゃまた、大層なお願いだなぁ!」


志希「報酬は、今後あたしが得られる、アイドルとしてのお給料全部!」


ルパン「そりゃまた豪快な! お前さん、本当にそれで良いのかい?」
志希「あたしは楽しくてアイドルやってるからねー♪」
ルパン「楽しくて、か。なるほどなぁ」
志希「きっとさ、これを見過ごしたらあたしはアイドルをやってても楽しめなくなっちゃうの」
ルパン「……危険な仕事になるぜ?」
志希「天下一の大泥棒が味方につくなら、大丈夫大丈夫! でしょ?」
ルパン「へっ、言ってくれるぜ!」

奏・フレデリカ・周子・美嘉「……」
47 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 23:07:14.39 ID:aR/iSXPzo
奏「……全く、志希はたまにこうやって突っ走るのが問題よね」
志希「あたしは反省しない! 何故なら、あたしはあたしだから!」
周子「まあ、志希ちゃんらしいっちゃらしいよね」
美嘉「もう、振り回されるこっちの身にもなってよね!」

フレデリカ「シキちゃんとー、アタシの今後のお給料って合わせるといくらになるのかなー?」

志希「ふ、フレちゃん?」

奏「あら、レイジー・レイジーにだけ払わせるなんて思う? LiPPSのリーダーは私よ」

志希「ちょっ、ちょっと奏ちゃん!?」

周子「実家でバイトする分の稼ぎはセーフ? じゃないと服も買えないよー」

志希「周子ちゃんまで、何言ってるの―!?」

美嘉「は〜ぁ、莉嘉になんて説明したら怒られずに済むだろう。貧乏なカリスマJKってしまらなさすぎ」

志希「美嘉ちゃんも……ちょっ、ちょっと皆ー!?」

奏「志希、あんまり私達をなめないで貰える?」
フレデリカ「なめるんじゃなくてー、LiPPSだったらちゅーしないとだよねー♪」
周子「今後も気楽にいくためには、ここで気合入れなきゃなー、ってね」
美嘉「ここまで来たら、振り回されずにいようなんて思わないよ★」

志希「皆……!」


ルパン・次元・五エ門「……」
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 23:18:58.46 ID:aR/iSXPzo
奏「――というわけだから、ルパン三世さん」

ルパン「……」

フレデリカ「アタシ達の、今後のお給料まとめてあげます! あげちゃいます!」
周子「今までの貯金も……って、あんまり無かったや、あはは」
美嘉「三日後のLIVE……ううん、ゲリラLIVEに協力して!」

志希「……お願いします! あたし達に協力して!」

LiPPS「お願いします!」

ルパン「……プッ、ククククッ……!」

LiPPS「……?」

次元「……ヒイッ、ヒ……ヒヒヒヒッ!」
五エ門「フ、フフ……フハハハッ!」


ルパン・次元・五エ門「アーッハッハッハ! ヒーッヒッヒヒヒ!」


志希「どっ、どうして笑うのさ!」

ルパン「ンフフフフ! いや〜、わ〜りぃわりぃ、あんまりにも言ってた通りで、おかしくってよぉ!」

ルパン「――なぁ、不二子!」

ガチャッ!

不二子「――ねっ? 言ったとおり、面白い子達でしょう?」

LiPPS「プロデューサー!?」
49 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 23:36:13.37 ID:aR/iSXPzo
不二子「ハァ〜イ♪ 皆、元気してたかしら?」

志希・フレデリカ「ハァ〜イ♪」
周子「今の感じが素、ってわけね」
美嘉「アタシ……カッコイイ人だなー、としか思ってなかった」
奏「あら、今の方が素敵に見えるわ。とても危険そうで、セクシーで」

不二子「うふふ、ありがとう」

ルパン「しっかしよ、お前さんの言う通りだったなぁ」

次元「俺ぁ、五エ門だけでなく、不二子までいかれっちまったのかと思ってたぜ」
五エ門「次元、それはどういう意味だ」
次元「お前がな、アイドルの前で煙草を吸うなどもっての外、吸ったら斬るとか言ってたからだよ!」
五エ門「し、しかしそれは……」
次元「おかげで俺ぁホタル族だったんだぞ! ちったぁ反省しやがれ!」
五エ門「う、うむむ……!」

フレデリカ「ゴエちゃんファイト! ジゲンちゃんに負けるなー!」
周子「買ったら和菓子食べよー。頑張れゴエちゃーん」
奏「喫煙は個人の自由だと思うけど……私も五エ門さんの味方ね」
美嘉「煙もそうだけど……」
志希「匂いが気になる!」

五エ門「次元! 禁煙しろ!」

次元「けーっ! すぐこれだから参るってんだ! 俺の味方なんていやしねえ!」

ルパン「おいおい、どこ行くんだよ次元〜?」

次元「可愛い可愛いホタルちゃんになりにだよ! 話は進めといてくれ!」

ガチャッ! バタンッ!

一同「……アハハハッ!」
50 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/07(木) 23:53:41.34 ID:aR/iSXPzo
志希「……協力、してくれるって事で良いのかにゃー?」

ルパン「ベロベロベロベロ! ヤ〜なこった!」

美嘉「は、はぁ!? 今の、協力してくれる流れだったじゃん!」
奏「報酬が足りない、ってこと? だったら、キスでもすれば良いのかしら?」
フレデリカ「ちゅー? フレちゃんのちゅーでしるぶぷれー♪」

ルパン「わ〜りぃんだけどもさ〜あ? 報酬をもらって盗むってぇのは、俺の美学に反する」

ルパン「それによ、お前さん達ぁ盗みの素人だろう?」

ルパン「素人に仕切りを任せたとあっちゃあ、天下の大泥棒の名が廃るってぇもんだ!」

周子「……つまり」
不二子「ホント、次元もそうだけど、ルパンも大概素直じゃないんだから」
ルパン「うるせぇやい!」

ルパン「俺たちが、魅惑の結晶を盗むついでに、お前さん達のファンも盗み返してやるよ」

LiPPS「!」
ルパン「あぁ、だけど困っちまったなぁ!」
LiPPS「?」
ルパン「魔法のトワレの効果を発揮させるには、歌と踊りと音楽が必要みたいだ」
LiPPS「……!」

ルパン「どっかに、そいつが得意な……そうさなぁ、アイドルは居ないもんかね?」

LiPPS「ここに!」

ルパン「おっほほほ! 良〜い返事じゃあないの!」
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