夢現の愚か者

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 00:29:25.19 ID:gfQt0UCSO

考えるのも面倒になり横になると、私の目の前を鼠が横切った。


とても急いでいる様子、あの鼠にも目的地はあるのだろうか?


そうだ、目的地は鼠にしよう。


あの鼠が向かう先を、私の目的地にしようじゃないか。


幾ら悩み抜いても出て来なかったものが、たかが鼠の現れによって生じるとは面白いものだ。


目的と厄介者は意外と簡単に見付かるらしいことが分かった。

3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/06(水) 00:44:47.16 ID:YGRMzW53O

どうしたものか。


森を抜けたところまでは追い掛けることが出来たが、見失ってしまった。


しかし、山火事に巻き込まれずに済んだのは幸運と言うべきだろう。



何が火元なのかは分からないが、鼠に気を取られて焚き火の始末をするのを忘れてしまった。


今から戻って始末しようにも、あの大火だ。あれに向かえば、あっという間に消し炭だ。


薪を一つくべるようなものだ。


とにかく、あの森には戻らない方が良いだろう。


私は再び当てもなく歩き出した。歩きながら、先の鼠を考えた。


礼を言おうにも居場所が分からない。また横になれば現れるだろうか?


そうだ、あの鼠の足跡を捜してみよう。


鼠は火事の予兆を察知すると言うが、どうやら本当のことらしい。


4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/06(水) 00:54:15.54 ID:xTAJoFDsO

鼠の足跡を捜していると、火がそこまで迫っていることに気が付いた。


物事に熱中するのは大変良いことだが、熱中するにも限度があるようだ。


あの鼠のせいで、とんでもない目に遭った。次に会ったらどうしてくれようか。


窮鼠は猫を噛むと言うが、あの鼠は至って健康であったし、私は猫ではない。


物思いに耽っていると、周囲の熱気が高まってきた。


どうやら、火が迫っているのを忘れていたらしい。


私は慌てて走りだした。
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/06(水) 01:07:00.61 ID:xTAJoFDsO

火に追いかけ回されて疲労困憊だ。


まったく、あの鼠のせいでとんでもない一日になってしまった。


こんなことになるなら、あのまま森で一夜を明かした方が良かった。


しかしながら、火事とは大変恐ろしいものだ。


今後何があるとも分からない、今日は川辺で眠るとしよう。


そう思って横になったのだが、目の前で魚が跳ねた。


散々走り回って腹が減っている。晩飯はあの魚にしよう。

6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2017/12/06(水) 01:11:23.36 ID:xTAJoFDsO

しかし、魚を捕まえる道具がない。


何もしなければ、あの魚が逃げることもないはずだ。


どうやって捕まえるかを考えながら、今日は眠るとしよう。
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/06(水) 01:26:52.35 ID:cxaeNXJLO
期待
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