【モバマス】 城ヶ崎美嘉「ステーキ宮には人生がある」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/12/02(土) 22:26:36.13 ID:1cewWq10O
[過去作]

【モバマス】 楓「日高屋には人生がある」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1510688379/

【モバマス】 速水奏「ゴーゴーカレーには人生がある」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1511034585/





※前置きが長すぎるって、それ一番ry


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1512221196
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 22:30:24.14 ID:1cewWq10O


美嘉「プロデューサーだけは、信じてくれてると思ってたのに……!!」


P「美嘉、あのな……」


美嘉「もうマジ無理!!」バァン!!


P「おい、美嘉……!!」


P「……」



P(それは、かつての俺を見ているようだった――)


P(どうしてこうなったのか……。事の発端は数日前まで遡る)



3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2017/12/02(土) 22:30:41.99 ID:uERR3zzZ0
あれ百回ぐらいスープお替りしたな
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 22:34:00.03 ID:1cewWq10O


 【数日前】


P「はぁ……」


ちひろ「あの……。その、先程のお電話はどういった……」


P「先生ですよ、先生(天海春香)」


ちひろ「先生、ですか……?」


P「はい」


ちひろ「プロデューサーさんの師匠的な人とか……?」


P「いえ、マジもんのティーチャーです」


ちひろ「……?」


P「グレートティーチャーとは、ああいった人のことを言うんでしょうね……」


ちひろ「あの、一体全体どういうことですか?」


P「先生からお電話を頂いたんです――美嘉の学校の担任教師から」


ちひろ「え……。えぇ……!?」


ちひろ「マジッすか!?」


P「マジです」


ちひろ「確かに美嘉ちゃんは高校生ですし、アイドルをしていることは学校側も知っていると思いますが……」


ちひろ「どうして私たちの事務所の電話番号を……!?」


P「まあ、さしずめ緊急連絡先として美嘉本人から聞いていたんでしょう」


P「ほら、アルバイト可能な高校とかって、たいてい学校側から許可をもらう必要があるじゃないですか? それで、アルバイト先の情報についてももちろん報告しなくてはならないし……」


P「まあ、隠れてバイトしてる学生なんてザラですけど……」


P「それで美嘉の場合はバイトではないですけど、だから余計に報告する必要があるんでしょう」


P「そういうわけで、何か起きた際の緊急連絡先の一つとして、うちの電話番号を本人から聞き出して登録していたと……」


ちひろ「なるほど、確かにそうですね……。動揺して気が付きませんでした……」


ちひろ「――ということは、美嘉ちゃんに何か起きたんですか!?」



5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 22:38:18.65 ID:1cewWq10O


P「まあ、起きたといえば起きました」


ちひろ「マジッすか!?」


P「マジです」


P「あ、安心して下さい。生命に関わる問題じゃないので」


ちひろ「そんなハリーポッターのスネイプ先生みたいな顔をされたら、嫌でも分かります」


P「スネイプ先生というか、例のあの人が現れた気分ですけどね私は」


ちひろ「そんな強敵ですか?」


P「強敵です」


ちひろ「それは、どういった内容で……?」


P「まあ、一言で表すと『成績の低下』です」


ちひろ「成績の、低下?」


P「ええ。ここ最近美嘉の成績が徐々に悪くなっているらしくて」


ちひろ「それで、なぜ私たちに電話を……?」


P「何か心当たりがないか――そういうことです」


ちひろ「確かに学校にとっては大事なことですけど、それでうちへ連絡されても……」


ちひろ「高校生という立場を考えて、当たり前ですが労働基準も遵守していますし」


P「まったくです。普通なら家庭の方へ連絡するでしょう――が、家庭に連絡しても見当がつかなかった、そういうわけでここにも連絡したんでしょう」



6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 22:41:34.80 ID:1cewWq10O


ちひろ「でも、なんだか今時珍しい先生ですね」


P「ええ、凄い熱血な感じでしたよ……。生徒想いと言えば聞こえはいいですが……」


P「しかし、要するに『学生である美嘉に、成績が低下するほど仕事をさせていないか』という探りもいれてきたんでしょう……」


P「美嘉ももう高校三年生になりましたし……」


P「♪赤い夕陽が校舎を染めて〜♪」


P「♪あぁあ〜あ〜あ〜あ〜 高校三年生♪」


ちひろ「それ、舟木一夫さんの『高校三年生』ですよね……?」


ちひろ「1963年にリリースされた昭和歌謡をよく知ってましたね……。プロデューサーさんって一体何歳ですか……?」


P「ちひろさんこそ、1963年にリリースされた昭和歌謡の名曲をよく知ってましたね。お歳は……」


ちひろ「……」


P「……」


P「ともかく美嘉は多感な時期ですし、進路選択も大詰めの大事な時期です」


P「そして成績低下の原因がアイドル活動じゃ元も子もないというか……」


P「見過ごせない事態ですね……。このままだと美嘉の仕事についても改めて考えないといけませんし」


P「仕事が振りにくくなる」


ちひろ「そうですね……」


P「何より一番大切なのは『本人がどう思っているか』ということでしょう」



7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 22:44:25.71 ID:1cewWq10O


P「高校三年生かぁ……。俺もそういう時期あったなぁ……」


ちひろ「ちょっと、他人事じゃないですよ」


P「ですよね(現実逃避)」


P「これはもう、本人と話すしかないでしょう」


ちひろ「ですね」


P「はぁー……。怖いなぁ(稲川淳二)」


P「まぁ、後でそれとなく話を振ってみます……」


ちひろ「頑張って下さい」


P「ちひろさんも他人事じゃないですよ」


ちひろ「――お疲れ様でーす」


P「あ、待て……!!」


P「鬼! 悪魔! ちひろ! 東京メトロ千川駅! 要町!」


8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 22:46:39.41 ID:1cewWq10O


 【現在】


P(というわけで、美嘉にそれとなく話を振って、そして俺なりの人生論を説こうとしたところ――)


 確かに成績が落ちたのはアタシが悪いけど……。アイドル活動に集中しようと思って……! アタシ、アイドルで生きていくつもりだから……! 先生も分かってない! そんなことならアイドル辞めちまえーってさ。あり得なくない!?


P(などと意味不明な供述をしており――じゃなく、気持ちは大いに分かる)


P(しかし、だからといって学業が疎かになり中途半端になるのが一番駄目だ)


P(別に学業も完璧にしろというわけではないが……)


P(この世界、いつ首が飛ぶか分からない)


P(オーディションに受からなければ失業中と同じ――そう言ったどこぞの俳優の言葉の通り、非常に厳しい世界。それはアイドルも同じ)


P(変わりはいくらでもいるのだ)


P(プロデューサーとして、俺は美嘉がそうならないように努めている)


P(しかし、肝心の美嘉自身がブレていては話にならない)


P(――選択肢は多い方が生存確率は上がるのだ)


P(何事も保険は必要なのである……。保険を準備することだけに集中するのもまずいが)


P(もし彼女が壁にぶつかって、その時何も選択肢がなかったら……)


P(これほど恐ろしいことはない)


P(まあ、要はバランスだ)


P(だから、そのバランスについて俺が説明しようと切り出したところ――)



 プロデューサーだけは、信じてくれてると思ってたのに……!!



9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 22:48:58.61 ID:1cewWq10O


P(そう言って、大粒の涙を流し事務所を出て行った……)


P「……」


P(俺が間違っていたのだろうか)


P(正しいことをしたはずなのに、間違っている気がしてならない……)


ちひろ「プロデューサーさん……!!」ガチャッ


P「……」


ちひろ「……美嘉ちゃん、追わないんですか?」


P「……」


ちひろ「私、行ってきます……!!」


P「――恐らく、家に帰ったんでしょう」


ちひろ「……!?」


P「美嘉は仕事終わりでした。だから、そのまま帰ったんでしょう……」


ちひろ「プロデューサーさん……」


P「ちょっと、事務所を空けます――」



10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 22:52:54.02 ID:1cewWq10O


P(そして、俺は美嘉を追いかけた)


P(しかし、遂に彼女を発見するには至らず……。その後自宅に連絡したところ、ちゃんと家に帰っていたのでとりあえずは一安心した)


P(それから――彼女はいつも通り事務所に顔を出した)


P(仕事もいつも通りこなした)


P(一見何も変わらない……。しかし……)


P「なあ、美嘉」


美嘉「……なに?」


P「プロデューサーのここ、空いてますよ?(激寒)」


美嘉「……いい」


P「……」


P(ファッション誌の撮影、その打ち合わせを都内のカフェで行っていた)


P(それが終わって、帰り道――社用車の中)


P(いつもなら助手席に座る美嘉が、今日は後部座席……)


P(間が持てない……!! プロデューサーのライフは0よ!!)


P(バーサーカーソウル!!)


P(こうなったら……。☆最終兵器カーステレオ☆)


P「……」ポチッ


美嘉「ごめん……。ちょっとウルサイかも……」


P「す゛み゛ま゛せ゛ん゛(号泣)」


P「……」


美嘉「……」


P(はぁー、死にたい)


P(まるで年頃の娘を持つ親父……。世のお父さんはこんな地獄を耐えているのか)


P(そのうち、『臭いんだよハゲ』とか言われる日が来るのかぁ)


P「――誰がハゲだ!!」


美嘉「……」


P「/(^q^)\ ウジュジュ」グシャア


11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 22:55:19.99 ID:1cewWq10O


 【事務所】


P「はぁー……」


ちひろ「プロデューサーさん、これで本日101回目のため息ですよ」


ちひろ「プロポーズでもするんですか?」


P「僕は死にましぇん!!」


P「――ちひろさん、年齢がバレますよ」


ちひろ「プロデューサーさんこそ、何でこのネタ知ってるんですか?」


P「……」


ちひろ「……」


P「いやぁ、反抗期の頃の自分を見ているようです……」


ちひろ「――私からも、美嘉ちゃんにお話ししてみます」


P「いや、ちひろさんだけでもアイツの受け皿になってあげて下さい……」


ちひろ「しかし……」


P「憎まれ役は俺だけで充分です……」


ちひろ「今のセリフ凄いかっこいいですけど、顔がヴォルデモートになってます」


P「褒めたいのかディスりたいのかどっちなんですか」


P「はぁ……。しかも、ここに来て追い打ちのように問題が増えました」


12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 22:57:01.67 ID:1cewWq10O


ちひろ「――えっ!?」


P「私事で非常に申し訳ないんですけど……。明後日、地元の友人の結婚式に参列することになってまして……」


ちひろ「あぁー、以前おっしゃっていましたよね」


P「はい、それです。当日は担当アイドルの仕事もゴリ押しで調整して全員オフにして、それで有休もらって行ってくるっていう、あの話です」


ちひろ「しかし、おめでたい席ですよね? 問題というのは……」


P「失礼な言い方ですけど……。こんな状況の時に人様の結婚を祝っている場合じゃないっていう……。こちらとしては、美嘉の問題に集中したいのに……」


ちひろ「まあ、そうですよね……。やっぱり、私も美嘉ちゃんに話してみます」


P「……すみません」


ちひろ「いえ、同じ女性として何か力になれるかもしれませんし……。女性という視点で……」


P「ありがとうございます」


ちひろ「こちらこそ、何もできずにすみません……」


P「いえ……」



13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 22:58:34.33 ID:1cewWq10O


ちひろ「――明日、こちらを出るんですか?」


P「そうですね。明日仕事が終わったらそのまま新幹線で地元へ戻ります」


ちひろ「あんまり、思いつめないでくださいね?」


ちひろ「せっかくの祝いの席なんですから」


P「ちひろさん……。今日はやけに優しいですね」


ちひろ「一言余計です」


ちひろ「そしてそのままプロデューサーさんが帰って来なかったら、私の仕事が増えるので」


P「――その手があったか」


ちひろ「……」



14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:00:42.87 ID:1cewWq10O


 【事務所・通路】


美嘉「……」


 明日仕事が終わったらそのまま新幹線で地元へ戻ります。


美嘉「――ッ!?」


 あんまり、思いつめないでくださいね?


美嘉「え……?」


 そしてそのままプロデューサーさんが帰って来なかったら――


美嘉「どういうこと……?」


美嘉「プロデューサーが、地元に帰る……?」


美嘉「もしかして……」


美嘉「プロデューサー、辞めちゃうの……?」


美嘉「アタシの、せいで……?」


美嘉「そんな……」



15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:03:15.05 ID:1cewWq10O


 【オフ当日、とある喫茶店。土曜日】


美嘉「なんだか、こうして二人で遊んだの久しぶりだよね」


奏「ええ、そうね。お互い忙しいものね――おかげさまで」


美嘉「うん……」


美嘉「……」


美嘉「あのさ――」


奏「どうするの?」


美嘉「……え?」


奏「プロデューサーさんと、喧嘩しちゃったんでしょ?」


美嘉「……」


美嘉「あはは……。いきなり来るか……」


奏「むしろ、それを相談したくて私を呼んだんでしょ? 今日一日中、なんだか難しい顔してたわよ?」


美嘉「奏にはお見通しってわけね……」


奏「私じゃなくても、見れば分かるわ」


美嘉「だよね……」


奏「プロデューサーさんと喧嘩しちゃった――なんてメッセージ送ってきたのに、いつ話してくれるのか私の方も一日中気が気でなかったわ」


美嘉「ごめんね、奏を巻き込んじゃって……」


奏「私のことは気にしないで。お互い様でしょ?」



16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:05:48.55 ID:1cewWq10O


美嘉「うう……。かなぁ〜……!!」


奏「もう、泣かないの」


美嘉「うう……」


奏「それで、美嘉はどうしたいの?」


美嘉「もちろん、プロデューサーと仲直りしたい……!! ってゆーか仲直りっていうより、アタシが一方的にプロデューサーに酷い言葉を言っちゃったんだよね……。だから喧嘩ってわけでもなくて……。とにかく、プロデューサーに謝りたい……」


美嘉「――でもね、もしかしたらそれもできないかも」


奏「……どういうこと?」


美嘉「あのね……。プロデューサー、プロデューサーが……!!」


美嘉「うう……。かなぁ〜……!!」


奏「もう、泣いてちゃ分からないでしょ?」


美嘉「ごめん……」


奏「それで、プロデューサーさんがどうしたの?」


美嘉「あのね……」


美嘉「プロデューサー、もしかしたらアタシのせいで辞めちゃうかもしれないの」


奏「……」


美嘉「今日、アタシたちってオフじゃん……?」


奏「……ええ」


美嘉「アタシ、事務所の通路で聞いちゃったんだ……。今日、プロデューサーが地元に帰るって話……」



17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:07:54.38 ID:1cewWq10O


奏「でも、それだけで辞めるって……」


美嘉「うん……。でも、ちひろさんが『あんまり思いつめないで』って、『プロデューサーさんが帰って来なかったら――』って、そう言ってるのも聞こえて……」


美嘉「きっと、アタシのせいでプロデューサーは悩んでて……。それで実家に帰っちゃったんだよ……。きっと」


美嘉「だから今日、実家に帰る為にアタシたちをオフにしたんだと思うの……」


奏「美嘉、それは早計よ」


美嘉「……え?」


奏「だって、実家に帰ることと辞めることはイコールにならないじゃない」


美嘉「そうだけど……。今日は別に長期休みでもないじゃん……? それで地元に戻るっていったら、きっと両親に相談とかしてるのかなって……。もしかしたら、プロデューサーを辞めることを報告してるのかも……!!」


奏「悪い方に考えちゃダメよ、美嘉。あなたらしくないわ」


美嘉「でも……」


奏「あの人が、そんな簡単にこの仕事を放り投げるわけがないわ」


奏「……そうでしょう?」


美嘉「そう、だけど……」


奏「それに、今日のオフは結構前から決まってたじゃない? 美嘉が喧嘩する前から」


美嘉「……」


美嘉「今後のことを考えるために今日をオフにしたのかも。今回に限らずアタシは前々から、知らず知らずのうちにプロデューサーに迷惑かけていたのかも……!!」


奏「もう……。違うわ……」


奏「とにかく実家に帰ったにしても、その理由を知らないうちに決めつけるのはよくないわ。きっと他の理由があるのよ」



18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:09:38.83 ID:1cewWq10O


美嘉「他の、理由……?」


奏「地元に戻る理由――ちょっと言いにくいけど、身内にご不幸があったのかもしれないし」


奏「もしくは、結婚式とか……」


美嘉「け、結婚式……!? プロデューサーの!?」


奏「プロデューサーさんの結婚式だったら、前もって私たちに報告するじゃない」


奏「それに、式はこちらで開くはずよ」


美嘉「そそそ、そうだよね……!!」


奏「とにかく、大人が長期休みでもなく帰省するって言ったら、きっとそういう理由よ」


奏「わざわざ私たちに報告する必要もなかった――だから、説明せずに帰省したのよ」


奏「私たちに関する大事なことがあったら、あの人なら必ず説明してくれるもの……」


美嘉「そっか……。そう、だよね……」


奏「ええ。だから、あなたが原因で帰ったわけではないわ」


美嘉「うん……。それならいいんだけど……」


美嘉「もし帰って来なかったらって……。怖いんだ、アタシ……」


美嘉「ちひろさんも色々と励ましてくれたんだけどさ……。アタシ、そのことについて怖くて聞けなくて……」


奏「大丈夫。帰って来るわよ」


美嘉「うん……」


奏「……」


美嘉「あのさ――」



19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:11:22.47 ID:1cewWq10O


奏「……?」


美嘉「奏は、これからもアイドル続けるの?」


奏「急にどうしたの……?」


美嘉「うちらって、もう17歳じゃん……? その、進路とか決める時期だし……」


奏「……なるほどね」


美嘉「アタシ、最近成績落ちててさ……。先生にそれ指摘されて、ついカッとなって『アタシはアイドル続けるからいいの』って言っちゃって……」


美嘉「でも、気付いてる自分がいるんだ――それを言い訳にしてるって」


美嘉「もちろん、アタシはこれからもアイドル続けたいし、妥協したくない」


美嘉「でも……。どこかで天狗になってたのかも」


美嘉「カリスマなんて言われて、自分はいつまでもそういう存在でいられるって……」


美嘉「どこかで、甘えていたのかもしれない」


美嘉「自分自身に、そしてプロデューサーにも……」


美嘉「だからプロデューサーに指摘された時も、分かってるのに、分かりたくなくて」


美嘉「それで現実から目を背けて……。ネバーランドみたいに、いつまでもそういう世界にいたくて……」


奏「……」


美嘉「でも、おとぎ話はいつか終わってしまう……。シンデレラの魔法もいつか解ける」


美嘉「分かってるのに、その現実を受け入れたくなかった……」



奏「――私も、アイドルを続けたい」



20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:13:40.31 ID:1cewWq10O


美嘉「……?」


奏「でも美嘉が言った通り、いつかは終わりが来る」


奏「物語が終わった時、自分がどうなるか考えたら正直怖い」


奏「でも、そこで全てが終わるわけではないわ」


美嘉「……」


奏「きっと、そこには新しい道がある」


美嘉「新しい道……?」


奏「ええ……。きっと、その道を見つけろってことだと思う」


奏「美嘉の先生も、そしてプロデューサーさんも、そういうことを言っていたんじゃない?」


美嘉「……?」


奏「私もいつかアイドルを卒業する日が来る……。そしてその日を迎えた時、目の前に何も道がなかったら……。選択肢がなかったら……」


奏「もしかしたらそこで燃え尽きちゃって、最悪人生を終わりにしてしまうかもしれない」


奏「そうなって欲しくないから、広い視野で世界を見て欲しい――そう言ってくれてるのよ」


美嘉「広い、視野……」


奏「――選択肢は多い方がいいじゃない?」


美嘉「……うん」


奏「大学に行ってもいい。そこで好きな分野を学んで、その道へ行くのもいい」


奏「アイドルに専念することは大事だけど、それに依存するのは危ない」


奏「専念すること、ひたむきになることと依存は違うというか……。美嘉が言っていた通り、それを言い訳にしてはいけない」


奏「そういうことだと思う」



21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:16:11.81 ID:1cewWq10O


奏「今すぐに決める必要はないわ」


美嘉「……?」


奏「確かに私たちは進路を決める時期だけど……。人生の全てが決まるわけじゃない」


奏「私たちにはまだ、魔法がかかっているのだから」


奏「何にだってなれるのよ」


美嘉「……!!」


奏「自分は気付いてる――美嘉はそう言ったよね?」


美嘉「うん……!」


奏「なら大丈夫よ。あなたなら大丈夫」


美嘉「大丈夫、かな……」


奏「ええ。私が保証する」


美嘉「ありがとね、奏――アタシ、明日プロデューサーに謝ってみる」


美嘉「プロデューサーが予定通りなら仕事に同伴してくれるから……」


奏「ええ。応援してるわ」


美嘉「ありがと……」


美嘉「なんか、安心したらお腹空いちゃった……!」


奏「そうね、何か頼む?」


美嘉「……うん!」


奏「えーと、メニューは――」


美嘉「そういえば、奏ってプロデューサーのことどう思ってるの?」


奏「……!?」


奏「き、急に何……?」


美嘉「あ、赤くなってる!!」


奏「それを言うなら、美嘉の方こそ……!」


美嘉「――えっ!?」


奏「……//」


美嘉「……//」


22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2017/12/02(土) 23:18:50.91 ID:1cewWq10O


 【結婚式、二次会会場】


P「……」


友人「――一人で黄昏て、どうした?」


P「……また一人、独身が減っていくことに嘆いてるんだよ」


友人「ははっ、お前らしいな」


P「うるせー。新郎が抜け出して来ていいのか?」


友人「お前と同じ、タバコ休憩だ」


P「――お前、タバコ吸ってたっけ?」


友人「ああ……。だけど、これでおしまいになりそうだ」


P「奥さんがうるさいのか?」


友人「別に。ただ、そういう気分なだけだ」


P「……」


友人「……」


友人「こうして、みんなで集まるのすげー久しぶりだよな」


P「……ああ。まあ、なんつーか改めて、おめでとう」



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