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友「ハーレムエンドっていいよな」
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60 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 19:24:30.43 ID:h+a2pQxF0
男「――っ」
女「〜〜〜っ!! そ、そういうことだからじゃあねっ!!」
男「あ、えっと……」
男(今のってつまり、告白……ってことだよな。あの、女が俺に……?)
男(あの、男女の誰からも人気があって、いつもクラスをまとめている委員長が、俺に?)
男「マジ、かよ……」
男(彼女の純情で真っ直ぐな気持ちに、俺は……どう、答えればいいのだろう)
61 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 19:30:11.97 ID:h+a2pQxF0
"Man is a tool-using animal. Without tools he is nothing, with tools he is all."
『女』ルート
62 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 19:31:41.98 ID:h+a2pQxF0
こんかいはここまでです。
こんな感じに各ルートやってく感じです
63 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 20:43:05.17 ID:Yn+nauuE0
2828がとまらねぇ どうしてくれるんだ(ありがとうございます)
64 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/04(月) 22:56:29.16 ID:3XjpRe45O
放課後の行動がルート分岐になったのか
65 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 02:39:41.49 ID:8eBZ2+Rc0
なにやら神スレの予感がするな
期待してます
66 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/05(火) 21:53:41.86 ID:Ir09vrxk0
〜〜〜〜〜〜
男(あの日から、俺はおかしくなってしまった)
男『………』
後輩『……先輩? さっきからずっとポットを眺めてますけど何かあるのですか……?』
男『あ、うん……ポットの曲線美って、何だか見てて癒やされるよな』
後輩『へ……? あ、そ、そうですね……』
男(ポットの曲線美の素晴らしさを後輩に伝えていたり……)
67 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 21:54:22.21 ID:Ir09vrxk0
黒髪『男……? さっきから箸が動いてないけれど』
男『……』
焼き魚『男君になら、何をされても……いい、よ』
男『〜〜っ!!』バクバクバクバク
黒髪『何なのよそのすごい勢い』
男(焼き魚と謎の会話を繰り広げたり……)
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 21:56:14.55 ID:Ir09vrxk0
女『男君……その、おはよ……』
男『――』シュッ
友『おい、男! どこに行く! ホームルーム始まるぞぉ!』
男(……女と顔を合わせるのが恥ずかしく、逃げ出してしまった)
男(その日の授業は気まずすぎて、何か言えたもんじゃない)
男「はぁぁぁぁぁぁ…………」
男(こんなに女性耐性無かったんだな俺……)ズーン
男(今までモテた事はなかったもんな……。ただ、一回だけバレンタインに知らない女の子からチョコを貰ったことはあるけどなぁ……)
男(俺が不甲斐ないせいで女にも気を遣わせてしまった……。ここは男らしく答えを出さなければ)
男(できることなら返事は早い内に返したい。女性を待たせるような不誠実な男にはできるだけなりたくない)
69 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 21:57:19.12 ID:Ir09vrxk0
男「そもそも俺って好きな人って居たっけ……」
男(好きな人ってのは居ないと思うが……気になる人はいる)
男(……真っ先に浮かんできたのは黒髪。小さな頃から知己なだけあって、異性としては一番多く接しているからな……)
男(けど、この気持ちはきっと恋ではない。……恋だと思いたくは無い。あの人が見ているのは俺ではなく――)
男(って、そんな事を意識してはダメだ。……きっと命日が近かったからか意識してしまっているだけだ……)
男(……次に浮かんできたのは後輩の顔。稀に見るあの何か諦めたような、そんな悲しい顔をした後輩を見ていると……なぜか気になってしまう)
男(前に一度、後輩に手を貸した時の事とか関わっているのだろうか。……あれだけ取り乱した後輩を見たのは最初で最後だ)
男(けど、これも恋という気持ちとは違うような気がする。俺のお節介な部分が出てしまってるんじゃないか?)
男(その他に色んな女子の事を考えてみる……。しかし、女の事を考えたときのようにドキドキする感覚は感じられない)
男(……そこから導き出される結論はただ1つ)
男(俺も、女の事が好きなのかもしれない)
70 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 21:58:07.50 ID:Ir09vrxk0
〜〜〜〜〜〜
男(週明けの月曜日。いつもより自分の容姿に気をつかう)
男(下手に髪がボサボサだったり、前歯に何か付いてたりしては格好がつかない)
男(だってそうだろ? 好きな人の目の前ではより魅力的な自分でいなければダメだ)
男「兄。俺、好きな人ができた。告白されたんだ、彼女から」
男「その人に俺は今日返事を返すつもり。……もちろん、OKの」
男「俺が不甲斐なくて、少し待たせてはしまったけどな……」
男「黒髪の事は……大丈夫だ。兄の代わりにこれからも俺が見守っていくから。彼女ができたからって簡単に見捨てたりするワケ無いだろ?」
男「……それじゃ、今日も行ってくるよ、兄」
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 21:58:38.46 ID:Ir09vrxk0
友「よーっ」パンッ
男「おっ、友か。ういっす」
友「先週までおかしい男では……もうないか」
男「それについては迷惑をかけた。すまん」
友「迷惑なんてしてねーよ。むしろ男の行動にめちゃくちゃ笑わせてもらったから感謝したいぐらいだ」ハハハ…
男「やめろ思い出したくない」
友「……それで、あんだけおかしくなったって事は……何かあったんじゃないのか?」
72 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 21:59:28.24 ID:Ir09vrxk0
男「……女に告白された」
友「へー委員長がねー……。えっ、委員長が!!???!!!?」
男「あ、ああ……」
友「こいつぅ! 知らぬ間にマセやがって〜! このこの〜!」
男「くっつくな暑苦しいっ……!」
友「んで、返事はどうするんだ?」
男「……色々と考えたんだが……俺は女にOKを出すつもりだ」
友「……そか」
友「……ったく、俺もリアルでエロゲみたいな恋愛してぇなあ」
男「いや、決して俺は漫画とかみたいな恋愛じゃ……」
男(って、アレ? 妙にテンプレじみた事が多かったような記憶が……)
73 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 22:00:46.76 ID:Ir09vrxk0
友「それでさあ、そこで言うセリフがこれまた痛快なんだよなあ」
男「へー……。なんかそれも気になるな」
友「じゃ、今度貸してやるよ! ってまだ俺が全部読み終わってないんだけどな」
男「……楽しみに待ってる」
「友君、おはようっ」
友「おっ、可愛い彼女さ――」ボソッ
男「バ、バカッ!」
友「モガーっ!」
74 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 22:01:34.06 ID:Ir09vrxk0
女「……朝から元気だねぇー。もうそろそろホームルームだから自分の席に戻ってね」
友「ぷはぁ! りょーかい!」ビシッ
女「それと……。男君も、おはよう」
男「ああ。おはよう」
男(……あくまで女は普通を装うつもりか)
女「……月曜日ってやっぱり憂鬱だよね。や、やっぱり――「女」
女「……え? ど、どうしたかな?」
男「大事な話するから、放課後、教室に残ってくれないか」
女「え、あ、う、うん……。わかった」
75 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 22:02:40.26 ID:Ir09vrxk0
男(その日の授業は緊張のせいか、今まで一番過ぎるのが早かったかもしれない)
男(彼女になんて伝えればいいのか。どんな言葉を言えば喜んでもらえるのか)
男(……そんな事を考えていると、あっという間に放課後になっていた)
女「うん! また明日ねっ」
ジャアネイインチョー マタアシター
女「……」
女「……これで、二人っきりだね男君」
76 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 22:03:26.91 ID:Ir09vrxk0
男「そうだな」
女「……っ」
女「だ、大事な話って何? も、もしかしてこの間の言葉だったり……」
男「その通り。あれは告白されたって思っていいんだよな?」
女「そ、それは……。は、はい。そ、そうです……」
男「……それを聞いて安心したよ」
男「女、俺も好きだ。こんな俺でよければ……付き合ってください」
77 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 22:03:59.59 ID:Ir09vrxk0
女「……ぁ」
女「……わ、私も好きです。こちらこそこんな私だけれど……よろしくお願いします」
男「……」 女「……」
男「クックックッ……」
女「……フフッ」
男「なんで、俺達敬語になってんだ」クスクス
女「だね、なんだかおかしいね」クスクス
男「今更こんな改まって言うってのは、な」
78 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 22:04:50.97 ID:Ir09vrxk0
女「……そうだ、男君。私を彼女にするなら1つ言っておかないといけない事があります」
男「なんだ?」
女「私って実は……すっごく甘えん坊なの」
女「だから、男君には下の名前で呼んでほしいなぁ……」ウワメ
男「……それぐらいなら全然いいよ。えーと、お、”女”?」
女「もう一回」
男「女……これでいいか?」
女「うん、うん……。私も男君の事、名前で呼んでもいいよね?」
男「ああ。カップルだからそれが当たり前……だと思う」
女「ふふっ……そうだねっ」
女「大好きだよ、”男”君っ♪」
79 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/05(火) 23:00:26.27 ID:ZP9e4j46O
ふおおおおおおおおおあああああん
80 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/06(水) 00:32:56.61 ID:9qscI95E0
〜〜〜〜〜〜
女「はい、あ〜ん」
男「……」
女「男君、固まってないで口を開けて」
男「あ、あーん……」
男「ん……」モグモグ
女「……どうかな?」
81 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:33:23.31 ID:9qscI95E0
男「……うまい」
女「よかったぁ……。男君の舌に味が合うかなって心配してたんだ。もしかしたら、食べてくれないかもって……」
男「そんな心配なんてする必要ないって。十分おいしいよ」
女「じゃあ、もっと食べてねっ」アーン
男「いや、食べさせてくれるのはもういい……」
男(俺が女に告白して数日後。女がいつも俺が昼食を学食などで食べているのに気づき)
女『だったら、私がお弁当作ってくるよっ!』
男(なんて言い出して、只今ワガママな彼女と絶賛バカップル中でございます)
82 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:34:17.32 ID:9qscI95E0
男(あんまり人に見られないような学校の敷地内のベンチで食べているが……こんな姿を誰かに見られたら大変だろうな)
黒髪『……』ニコニコ
男(……大変で済むかどうかもわからない。黒髪にも隠してたりせず、早めに言っておくか……)
黒髪「……メスの匂いがするわ」
エッ、ドウシタノクロカミサン…… ドウドウ……
83 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:35:04.50 ID:9qscI95E0
男「しかし悪いな……。俺なんかに弁当作ってもらって」
女「そんなことないよ。いつも自分の分を作ってるんだから、一人分増えた所で大した手間じゃないから」
女「それに、”俺なんかって”言っちゃダメだよっ。なんたって私の自慢の彼氏なんだから……ね?」
男「す、すまん。気をつける」
男(それにしても、付き合い始めてから女の隠れていた本性が見えてきた気がする)
男(普段は委員長としてサバサバしてるけど、二人きりになると途端にベタベタしてきたり)
男(結構、仕草だったりとかも凄く女の子っぽいと感じる)
84 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:35:30.36 ID:9qscI95E0
女「あ、そうだっ。男君、今週の日曜って空いてる?」
男「えと……多分大丈夫」
女「それじゃ映画見に行こっ! ちょうど見たい映画が今週から始まるんだ」
男「もしかして例の恋愛映画か?」
女「当たりっ。ということで日曜は映画館デートだねっ」
男(そうか。二人で出かけるんだからデートってことか)
男(……そう思うと変に緊張してきたな)
女「えへへー。楽しみにしてるね!」
男「ああ。俺も楽しみだ」
85 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:36:15.14 ID:9qscI95E0
〜〜〜〜〜〜
男(集合時間まで後10分……か)
男(駅前に10時集合とはいえまさか、9時半に着いてしまうとはちょっとやりすぎてしまったか)
男(待たせるのは良くないとは思って早めに出たが……。少し見積もりを誤ったか)
男(……それほど楽しみにしているって事にしておくか)
男(念のためもう一回時計を確認しようとすると、見慣れた姿を見つける)
男(あれはクラスの……。へぇ……あいつら付き合ってたのか)
男(たしかにクラスで一緒の所はよく見てはいたが……)
男(駅の中に消えてく彼らを見ていると、その反対方向から人混みの中でも一際目立つ存在がこちらに向かってきている)
86 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:36:55.53 ID:9qscI95E0
女「はぁ……はぁ……ごめん、また待たせちゃったね」
男「いや、全然待ってないから大丈夫」
男(恥ずかしいので30分前にいたとは口が裂けても言えない)
男「それよりまだ集合時間前だぞ? そんなに急ぐ必要なかったじゃないのか」
女「あ、いや、その……」
女「待っている男君の姿見えたら、早く会いたいなーって思っちゃって……」セキメン
男「」
女「じゃ、じゃあ早く映画館に行こうっ」
男「そ、そうだな! せっかく早く来たことだしな」
87 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:37:38.37 ID:9qscI95E0
男(そういえば、女いつもより綺麗だな……)
女「……」
男(化粧もナチュラルにしていて、服装も見慣れている制服じゃないせいか新鮮に見えて、それでまた緊張してしまう)
男(俺と会うためにここまでしてくれてるって思うとなんだか嬉しいもんだな……)
男(……そういう所は俺の方から褒めるべきだよな)
男「女、今日はいつもより、そのっ……か、かわいいな」
女「――!」
女「今日は男君と会うためにいつも以上に気合い入れてきたんだ」
女「そう言ってくれると、うれしいな……」
女「男君もいつもより髪とかキマってて、かっこいいよ」
男「ア、アリガトウ……」
88 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:38:25.03 ID:9qscI95E0
男「えーと、高校生二人で……」
2600エンニナリマース
男「これでお願いします」
400エンにオツリデース
男「はい、これチケット」
女「あっ、ありがとう。でも本当にいいの? チケット代払ってもらって」
男「気にしないでくれ。こういうのが男が払ってなんぼだから」
女「でも……」
男「じゃあ、代わりにポップコーンでも買うか?」
女「んーー……。そうしようかなっ」
女「味は私が買うんだからキャラメルね! サイズは二人で食べるから――」
89 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:39:57.38 ID:9qscI95E0
『ジョニー! 行かないで! 無理にでも行くのなら、私も共に行くわ!』
『すまないエリザベス……。これは俺個人の問題なんだ……。本当に、済まないっ……!』
『待って、ジョニィー……!』
男「……」
男(ベタだなぁ……。でも王道だからこその良さってのがあるよな)
男(女は――)
女「……」
男(……え?)
90 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:40:30.74 ID:9qscI95E0
女「わ、わっ……。い、いきなり見られるとびっくりしちゃうよ」コソコソ
男「あ、すまん……」コソコソ
女「……私、ちょっとトイレ行ってくるね」
男「あ……」
男(その時の女の表情は、いつものような快活な印象とはかけ離れていて)
男(むしろ冷めきった様な……そんな風に感じた)
91 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:41:25.40 ID:9qscI95E0
女「〜〜〜! おいしい〜」
男「気に入ってもらえたようで何より」
女「まさか男君がこんなお店知ってたなんて、ちょっと惚れ直しちゃったかも」
男「ま、まぁな……」
男(昼前から映画を見る予定だったから必然的に昼食を食べる事になってくるし、そうすると駅前まで来ているとなると外食になるのは自然の流れだ)
男(しかし、今までファミレスやラーメン屋とかしか行ったことないし、彼女をそんな所に連れていくわけに行かないしな)
男(事前に調べておいてよかった。ここなら女性向けのカロリー控えめなメニューもあるし、喜んでくれるだろうと思っていた)
92 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:41:57.34 ID:9qscI95E0
女「ごちそうさまっ。あー、お腹いっぱいだよーっ」
男「えと……この後はどうしようか」
女「うーん、せっかく駅前まで来てるんだし……カラオケなんてどうかな?」
男「お、いいな。女はいつもどんなの歌うんだ?」
女「えーっと、最近は――」
男(この後のデートの予定を話す彼女はいつも通りの明るくて、二人きりになると少しワガママになる……いつもの女だ)
男(……きっと、さっきのは俺の見間違いだったんだろう)
男(せっかく彼女とデートに来ているんだ。思いっきり楽しまないとな)
93 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:44:27.08 ID:9qscI95E0
女「ん〜っ! 楽しかったーっ!」
男「歌、上手かったな。以外とかっこいい系の曲とかも歌っててビックリしたけど」
女「実はああいうのはあんまり歌わないんだけど、男君の前なのでちょっとカッコつけてみましたっ」
男「なんだよそれっ。別にカッコつける必要はないだろ」ハハハ
女「テンション上がっちゃって、つい……えへへ」
女「……今日は、ありがとね。時間を忘れちゃうほど楽しかった」
94 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:45:04.52 ID:9qscI95E0
男「俺も。こんなに楽しい時間を過ごせたのは久々かな」
女「えへへ……ありがとう」
女「それじゃあ、また明日」
男「ああ。また学校で」
女「……ばいばい」
男(そう言うと、女は俺の家とは逆方向へ向かって歩き始めた)
男(さてと……俺も家に帰るとしますか)
男(久々にはしゃぎ過ぎたかな。今日は湯船にでも浸かるかー……)
95 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 00:45:58.61 ID:9qscI95E0
こんかいはここまでです
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 01:48:28.93 ID:FZIOmfZAO
乙
ところどころ不穏なのが面白いな
97 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 02:44:01.16 ID:8d9VEw7PO
ちんこ
なんか伏線たくさんあってワクワクするわ
読みやすいし
98 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/06(水) 23:36:57.93 ID:9qscI95E0
〜〜〜〜〜〜
男「……ごちそうさん」
黒髪「お粗末さんでした」
男「ふぅ……。今日の麻婆豆腐、いつもより辛かったような気がするなー」チラッ
黒髪「あらそう……? 気の所為だと思うのだけれど」
男「おい待て、その手に握っている赤い物体はなんだ」
黒髪「……あなた、幻覚が見えてるんじゃない?」
男「おい」
99 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:37:29.22 ID:9qscI95E0
黒髪「……冗談よ。色々とあって、味を変えてみようと思ったの」
男「その味を変えるに至った理由を詳しく聞きたい」
黒髪「……男、あなたがいつまで経っても話してくれないのが悪いのよ」
男「いや、何の事だ?」
男(女との件はこの後に言うつもりではいたが……)
黒髪「言うこと、あるんじゃないの?」
男(黒髪のその眼差しは、俺の目を捉えて離させてくれようとせずに、俺を覗き込むように見ていた)
男(……こりゃあ、もうバレてるんだな)
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:37:56.44 ID:9qscI95E0
男「ああ。……俺、彼女できた」
黒髪「……やっぱり、ね」
男「……悪い」
黒髪「何で私に謝る必要があるのかしら。男にやっと彼女ができたっていうのに」
男「それはお前は――――」
男(その時、気づいた)
黒髪「――」
男(黒髪はもう覚悟を決めてきたんだ。それなら、俺は野暮にそれを穿る真似はするべきではないと)
101 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:38:36.99 ID:9qscI95E0
男「……いや、何でもない。言うのが遅れて悪かった」
黒髪「なんなら一番初めに言ってきてほしいぐらいよ。小さな頃から見てきた男に彼女ができたなんて、”姉”として嬉しいわ」
男「あ、ありがとう……。……ん? ”姉”?」
黒髪「? だって、あなたは私の弟であり、私はあなたのお姉ちゃんでしょう?」」
黒髪「小さな頃からあれだけ触れ合ってきたんだもの……。これはもう完全に姉弟だと思うのだけれど。いや、完全に姉弟ね」
男(こ、こいつ……。おかしな方向に吹っ切れてやがる……!)
102 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:39:03.44 ID:9qscI95E0
黒髪「なので今から姉弟としてのスキンシップをしましょう。それが一番だわ」ダキッ
男「ちょっ! いきなり抱きついてくるなっ! やばいって!!!!」
男(主に背中に当たっているその2つの球体が!!!!)
黒髪「いいじゃない。勉強会の時だっていつもしてきたことじゃない。それに……」
黒髪「こんなに大きな胸は、あの娘には無いのよ?」ササヤキ
男「〜〜〜〜〜〜っ!」ゾクゾク
黒髪「……この様子だとまだ一夜を過ごしたわけではなさそうね」
男「ば、ばか! 離れろおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
103 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:39:31.32 ID:9qscI95E0
友「よぉー男ー。……大丈夫かお前? 妙にげっそりしてるけど」
男「……黒髪のせいで大変な目にあった」
友「黒先輩にか。……このリア充め、ざまあみろ」
男「はあ……。夜ご飯作ってくれるのはありがたいんだけどなー……」
「誰が夜ご飯作ってくれるの?」
男「おわぁ! ……なんだ、女か。おはよう」
友「お、いいんちょおはよー」
女「友君、それに男君もおはよっ」
104 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:40:09.69 ID:9qscI95E0
男「昨日メールで言ってた実行委員の仕事はもう終わったのか?」
女「うん。最初の予定だとホームルームに間に合うかどうか微妙だったけど、以外と早く終わっちゃった」
友「……」ニヤニヤ
男「そうか。そりゃあよか――」
女「それで、さっきの話の事。詳しく聞きたいな〜」ニコニコ
男「あ、いや、その……」
女「ききたいなぁ〜♪」ニコニコ
男「アッハイ」
105 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:40:35.43 ID:9qscI95E0
女「そんなのずるいよっー!」
男「悪い……。確かに彼女がいるのに他の女子に夕飯作ってもらってるってのは無神経だった」
女「……私も作りに行く」
男「……はい?」
女「今日、男君の家にご飯作りに行くから放課後は買い物に付き合ってね?」
男「でも女は委員会じゃ……」
女「委員会より大事な事ができたの」
男「わ、分かりました……」
友「……」ニコニコ
友「イイナー。オレモカノジョホシイナー」ニコニコ
106 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:42:15.15 ID:9qscI95E0
女「じゃがいも、人参、玉葱……」
男「……」
男(結局女に押し切られて、食材の買い出しに来た。ちなみに何を作るのか聞いてみたが一向に教えてくれそうにない)
女「しらたきと豚肉っと。そういえば男君の家に調味料って揃ってる?」
男「一般的な調味料なら大丈夫だ」
女「そっか。じゃあ後は――」
107 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:42:41.37 ID:9qscI95E0
男(……なんかこの時点で作るメニューが分かってきた気がするな)
女「ねぇ、男君……なんだかこうやって買い物してると……夫婦みたいだね」
男「 」
女「私達、今新婚さんみたいにアツアツだもんね♪」
男「お、俺はこんな子に育てた覚えはないぞっ……!」
女「……?」
108 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:43:08.70 ID:9qscI95E0
女「ごめんね、荷物持たせちゃって。重かったら持つよ?」
男「これぐらい大した事ないって。女はこれから料理作るんだから、それに備えてもらわないと」
女「そう言われたら仕方ないなぁー。よーっし! 気合い入れて作るよ―っ!」
男(彼女の手料理か……。今まで黒髪に作ってもらってはいたけど、それとはまた別だよな……)
男(やっぱ、雰囲気とか違うもんですよ。それだけに彼女の手料理というのは魔翌力を持っているはず)
男(くぅー! 楽しみだな……!)
「あら」
男「え」
女「あっ」
109 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:44:09.51 ID:9qscI95E0
黒髪「これは奇遇ね。男に……女さんでよかったかしら」
男(ラスボスktkr)
女「あ、はい。私、女って言いますっ。その男君とは……」
黒髪「聞いてるわ。付き合ってるんでしょ、あなた達」
女「そ、そうです」
黒髪「そんなに堅くならないで。別に取って食おうってわけじゃないのよ?」
女「いえ、そのぉ……あの黒先輩と話してるってだけでなんだか萎縮しちゃいますよぉ……」
110 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:44:55.80 ID:9qscI95E0
黒髪「……私ってそんなに怖い?」
女「い、いえ! そういうわけじゃないんです」
女「私達女子の間でも黒先輩は、憧れの人なんで」
黒髪「こんな可愛い子に慕ってもらえるなんて私も幸せ者ね」
黒髪「その彼女の男なんてもっと幸せものね」フフ…
女「と、とんでもないですっ!」
黒髪「……ホントに可愛い子ね」
黒髪「”で” そこでさっさと家に帰ろうとしている買い物袋を持った男君?」
111 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:46:02.70 ID:9qscI95E0
男「」ビクッ
黒髪「その買い物袋の中身、気になるのだけれども」
男「い、いやぁ……。これは……」
女「私が今日、男君に夕飯をつくるんです」
黒髪「そうだったのね……」
黒髪「……」
男(……なんでだろう。すごく不穏な気配がするのですが……)
黒髪「私も、ご一緒させてもらおうかしら」ニッコリ
112 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/06(水) 23:47:41.10 ID:9qscI95E0
今回はここまでです。 次回はほっこりまったり食卓回です(白目)
113 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 17:33:58.51 ID:Pm1DvBu30
乙です
俺バカだからよお、女ルートが確定した時の英語が何言ってるのか全然わかんなくてよぉ、誰か和訳を教えてくれねぇか
114 :
1
[sage]:2017/12/07(木) 23:23:17.00 ID:aavfjXzq0
>>113
僕の方から教えると少し野暮な気もするので……『<英文> 和訳』で調べるとすこしハッピーになります(白目)
115 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/07(木) 23:24:06.00 ID:aavfjXzq0
男(買い物をしていた時の女の”新婚”という表現はあながち間違っていなかった)
女「……っ」
黒髪「……」ニコニコ
男(一生懸命夕飯を作ってくれている女。その様子を遠巻きに微笑みながら”観察”している黒髪)
男(早くも嫁姑問題の様な形相を描き出している我が家の食は果たして大丈夫だろうか)
男(結婚とかしてないけどね! あくまでそれっぽいってだけあって、決して他意は無いからなっ!)
116 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:25:02.83 ID:aavfjXzq0
黒髪「……こうしてると、本当に弟を送り出す姉の様な気持ちになるわね」
男「”姉”じゃないけどな。どちらかと言えば姑みたいな感じ」
黒髪「いつから私はあなたの母親になったの? それとも姉を否定して母親を肯定するって事は私が年老いてるとでも言いたいのかしら?」
男「すみませんお姉様。これからは言動に気をつけます」アセアセ
黒髪「よろしい」
117 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:27:05.38 ID:aavfjXzq0
黒髪「……ところで男。あなたはどうして女さんを好きになったの?」
男「え、やだよ……。何でそんな恥ずかしい事を言わなきゃならんのよ」
黒髪「いいじゃない……。お姉さんからのお願いよ」
黒髪「言わないと……イタズラしちゃうかも」ボソッ
男「わ、わかったよ……」
男(確かに、今までそういう所を考えてこなかったな……。俺が女を好きになった理由か)
男(いつも明るくて、誰に対しても優しい。誰からも慕われる女)
男(だけど、二人きりなると俺の為に一生懸命尽くしてくれたり、少しワガママになったり、他の女子に嫉妬したりする可愛い一面もある)
男(彼女の隠された一面を知っているのは多分、俺だけ。……きっとそんな性格を好きになったのだろうな)
男(理由としてはこうだと思う。けれど、そんな事考えていた時間なんて一度も無かったんだ。だから俺の答えは……)
118 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:27:57.23 ID:aavfjXzq0
男「――気づいたら彼女を好きになっていた。ただ、それだけ」
黒髪「……ふぅん」
男「……なんだよ、興味なさそうに」
黒髪「別に? 考えた結果がそんなものかなんて思ってないわよ?」
男「絶対思ってんだろ……」
黒髪「じゃあ、ここでお姉さんからワンポイントアドバイス」
男「姉を訂正しろ姉を」
黒髪「……ノリが悪いわね。あなた気づいたら好きになってたなんて言ってたけれど」
黒髪「彼女の事、ちゃんと分かってる?」
119 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:29:26.54 ID:aavfjXzq0
男「当たり前だろ……。」
黒髪「じゃあ、彼女の好きな食べ物は?」
男「それは……」
男(あれ……? なんだっけ……? この間デートした時はパスタを美味しそうに食べてはいたが……)
黒髪「彼女の趣味、得意な事。逆に苦手な物や不得意な事……。あなたはそれが今、全て言えるの?」
男「……言えない」
黒髪「はぁ……。これだからあなたは」
120 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:31:22.42 ID:aavfjXzq0
黒髪「女さんが好きなら、彼女の事をもっと見て、もっと知りなさい」
黒髪「浮ついた気持ちじゃなくて、本当に好きになった相手なんでしょう?」
男「……ああ」
黒髪「だったら尚更よ。……女の子は好きになった相手には自分を理解してほしい生き物なの」
黒髪「彼女もきっとそれを望んでいるはず。だから、男。あなたはそれを肝に命じて置きなさい」
男「……分かった」
男(黒髪の言ったことに何も反論できなかった。そんな自分に腹が立つ)
男(女の事、何も理解しないまま彼氏面して……。ダセえな、俺)
男(もっと彼女の事を理解していかなければ、そうしてもっと近づいていける様に)
男(そしたらきっと――)
女『……』
男(あんなにも寂しく、虚しい顔をしていた女さえも理解する事ができるはずだ)
121 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:32:16.32 ID:aavfjXzq0
女「出来ましたーっ!」
男「おぉ……!」黒髪「へぇ……」
男(明るい声と共に料理を持ってくる女。その手にあったのは俺の予想通り……肉じゃがだった)
男「やっぱり肉じゃがだったんだな」
女「あれだけ材料見られたらさすがにバレちゃうよ」
男「野菜を買っている時はまだカレーの線をまだ捨てられなかったけどな……しらたきの時点でピンときた」
女「しらたきをカレーに入れることなんて絶対無いもんね」クスッ
男「それ以外にも煮浸しとか、酢の物、これは……」
女「ほうれん草の胡麻和え。お母さんが好きだからよく作るんだ」
男「へぇ……。料理できるって言ってもまさかここまでとは思ってなかった」
122 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:33:28.92 ID:aavfjXzq0
男「じゃあ……いただきます」
黒髪「……頂きます」
女「どうぞ、召し上がれ」ニコニコ
男「んー! んまい、って熱っ!」ホフホフ
女「あっ、大丈夫?」パクパク
男「大丈夫……。いきなり一口大のじゃがいも頬張ろうとしたから……」
女「んもー……。量は多目に作ったつもりだからどんどん食べてね?」
黒髪「……」
女「黒先輩も私に遠慮しないで食べてくださいっ」
黒髪「ええ。そうさせてもらうわ」ニコ
黒髪「……ところで、これは隠し味でも入れてるのかしら。少し風味が違うように感じるわ」
女「あっ、それは味噌を――」
男(この様子だと黒髪と女の心配をする必要もないみたいだな。主に黒髪が何をしでかすか分かったもんじゃないし)
123 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:34:20.45 ID:aavfjXzq0
男「……本当に大丈夫か?」
黒髪「大丈夫よ。まだ9時も回ってないし、駅までの道も明るくて人通りも多いでしょ」
男「いや、やっぱり俺も送りに行くよ」
黒髪「たまには”女の子”だけで話したい事だってあるの。そうでしょ、女さん」
女「は、はい……」
黒髪「変な事があったらすぐ電話するから」
男「わかったよ。女、今日はありがとう」
男「よかったら……また作ってくれ」
124 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:35:22.43 ID:aavfjXzq0
女「うんっ、またその内にね」
男「じゃあ黒髪、女の事頼む」
黒髪「ええ。……では、失礼するわね」
女「男君、じゃあね〜」フリフリ
男「……」フリフリ
バタン……
男(女の肉じゃが美味かったな……。次はまた違うメニューを作って欲しいな)
男(彼女の手料理……ん〜! いい響きだなぁ〜)
125 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:36:48.22 ID:aavfjXzq0
スタスタ……
黒髪「……」
女「……」
女「……あ、あのっ」
黒髪「?」
女「話したい事があるって聞いたので何だろうと思いまして……」
黒髪「そうね……私、口下手だからあまり話題浮かばないのよねぇ……」
126 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:37:26.65 ID:aavfjXzq0
女「あ、あはは……」
黒髪「……ということでいきなり聞くけど、女さんは男のどこを気に入ったのかしら」
女「えっ、ええと……優しい所です」
黒髪「分かるわ。男は変に細かい所まで気を遣ってくるから」
女「そうですよねっ」
黒髪「男ったら小さい時なんて……これは、やめておくわ」
女「男君の小さい頃の話ですかぁ……。気になりますね」
127 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:38:41.17 ID:aavfjXzq0
黒髪「この話はまた今度でいいかしら。そろそろ駅に着くでしょう?」
女「そうですね、また機会があればその時に是非……」
黒髪「じゃあ、私から最後に一つだけ……」
黒髪「――あなたが何を目的として男に近づいたかは私は別に興味無いし、男にも言うつもりも無いわ」
女「……!!」
黒髪「ただし……」
黒髪「男に何か危害を加えるような事をしたら、私はあなたを絶対に許さない」ギリッ
女「……」
128 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:39:44.09 ID:aavfjXzq0
黒髪「……なーんて。冗談よ」
女「……ふ、ふ……」
女「ふはあぁぁぁぁ…………息が詰まるかと思いましたよぉ……」
黒髪「ごめんなさいね。ちょっとこういう事するのに憧れがあったの」
女「黒先輩、すっごく怖かったです……」
黒髪「女さんをここまで怖がらせる事ができたってことは私の演技も板に付いてきたってことかしらね」
女「今後はこういう事をしないでくださいね……。心臓いくらあっても足りません」
129 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:40:31.60 ID:aavfjXzq0
黒髪「ふふっ……。あなたも反応が可愛いわね……」
女「あ、私ここまでで大丈夫ですっ」
黒髪「そう? ……では、女さん。またいつかこうしてお話しましょ?」
女「はい……。おやすみなさい!」
黒髪「ええ。おやすみなさい……」
130 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:41:42.60 ID:aavfjXzq0
黒髪「……もしかしてと思ってカマをかけてみたけど、あの顔――」
女『……』
黒髪「……残念ながら、”クロ”ね……」
131 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/07(木) 23:42:30.27 ID:aavfjXzq0
今回はここまでですん
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/08(金) 08:55:59.51 ID:H5ZQKYqzO
乙
133 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/08(金) 21:18:07.59 ID:kHwrHMN+0
〜〜〜〜〜〜
男(夏の気配は鳴りを潜め、いよいよ秋も深まってきた。文化祭も近づき、本格的に校内が文化祭ムードに染まりつつある)
男(それは俺の周りも例外ではなく、クラスの準備等でこれからは忙しくなりそうだ)
男(中でも女は実行委員なだけあって多忙を極めている。その為、ここ最近は放課後に共に過ごす事も少ない)
男「はぁ……」
男(そして今は部活に来て、女の仕事が終わるのを待っている。……待っている事は女に伝えてないけど)
男(サプライズの様なもんだし、作業で疲れている彼女を少しでも元気づけられる……と思う)
134 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/08(金) 21:19:14.06 ID:kHwrHMN+0
後輩「先輩、珍しくため息なんて溜め息ついてどうしたんですか?」
男「あっ、悪い。無意識に……」
後輩「何か悩みがあるのであれば、私が聞きましょうか……? 解決は、できないかもしれないですけど」
男「いや、大丈夫。別に大したことじゃないから」
後輩「そう、ですか……」シュン
男「あっ、気を悪くしないでくれ。本当に大した事じゃないんだ。これは自分で考えるべきことだから」
後輩「いえ、私が勝手な考えで先輩のお役に立とうとしただけです」
後輩「……これぐらいで、恩を返すとは程遠いことですが……」
男「いや、後輩の気遣いのお陰で少しは楽になった。ありがとな」ニコ
135 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/08(金) 21:19:41.87 ID:kHwrHMN+0
後輩「ぁ……は、はい」
男「それにあの時の事はもういいって。俺が勝手に出しゃばっただけだし」
後輩「い、いえっ! そんな事はないですっ!」
後輩「あそこで先輩がいなかったら、私はっ……!」
男「お、落ち着け後輩……」
後輩「あ……すみません」
男「いや、謝る必要はない。ただ、後輩がそこまで声を出すなんて少し珍しいから驚いた」
後輩「〜〜〜っ!!」セキメン
男(後輩は手に持っていた本で顔を隠す。よっぽど恥ずかしかったのか……)
136 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/08(金) 21:20:08.96 ID:kHwrHMN+0
後輩「わ、忘れてくださいっ……」
男「いーや、覚えとく。こんな姿の後輩なんて二度と見れないからな」
後輩「うぅ……」
男「……まーとにかく、あれは俺が勝手に恩を投げ売りしていっただけ。それに返すも何もない。それでいいな?」
後輩「……じゃ、じゃあ私からも1ついいですか?」
男「ん?」
後輩「また先輩が困っている様なことがあったら、その時は私が勝手に恩を投げ売ります」
後輩「そこに貸し借りは無い……。そういう事でよろしいですか?」ニコ
男「……まいったな。こいつは一本取られた」
男「わかったよ。ただ勝手に無茶するような事だけはしないでくれよ?」
後輩「……はいっ」
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/09(土) 21:26:01.68 ID:2nDqKBGbO
きたい
138 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/13(水) 23:14:37.86 ID:EoEKSGPbO
きたい
139 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/16(土) 09:35:57.13 ID:xmnHQospO
きたい
140 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/17(日) 14:07:34.32 ID:XKiWq6/hO
おもしろい
141 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/24(日) 14:19:26.59 ID:4EFiHtD/O
きたい
142 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2017/12/29(金) 13:21:14.64 ID:aS3arioD0
〜〜〜〜
男「……」
男(時間も頃合いになったので、後輩に別れを告げて校門に向かい、女の下校を待つ)
男(前ほどの暑さは感じられなくなり、程よく心地の良い気温なので、女が来るのを待つのも苦じゃない)
男(……女はどんな反応してくるのだろうか。少しワクワクする)
男(遠目に昇降口を見ると、下校してくる人の中に女の姿を見つける。……内心、いなかったらどうしようかと思っていた所なので、ほっとする)
143 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:21:57.57 ID:aS3arioD0
男(……さーてと。そろそろ姿を出そう)
男「よっ、お仕事おつかれ――」
男(女が校門近くまで来たのを確認し、声をかけたその瞬間)
女「――――え?」
男(女の顔は、心底驚いたような顔をしていた。それは喜ぶ類の感情ではなく……まるで凍りつくような冷たい表情だった)
144 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:22:36.16 ID:aS3arioD0
男「……あっ、ちょっとしたサプライズで……その、最近あんまり一緒に帰ってなかったし……」
女「そ、そんな……私のせいで男君に負担をかけさせたくないって前に言ったはず」
男「大丈夫だって。今日は部活に出てきたから、負担も何もかかってないから」
女「で、でも……」
男「……最近、仕事の忙しさで大分疲れていたのを見てて、俺も何か出来ないかって考えたんだ」
男「仕事を手伝おうにも女は断るから、せめて少しでも話を聞いて、疲れを癒せればと」
女「……う、ううん。大丈夫だから」
145 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:23:06.50 ID:aS3arioD0
男「……そ、そうか」
女「……」
男「……ご、ごめんなっ。俺の勘違いで返って女に負担かけさせて」
女「そんなことないよ。男君の気持ちはすごく嬉しいから……」
男「あ、うん……」
女「……」
男(女の気持ちを考えないで自分勝手な行動をしていた事に恥じなければならない)
男(そして、彼女の気持ちを第一に考え……自分の気持ちを”押し殺せばいい”)
男(少し待てば、きっとまた女と触れ合う時間は増えるはず……)
146 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:23:48.76 ID:aS3arioD0
男(――しかし、本当にそれでいいのか?)
男(女の状態は明らかにいつもと違う。いつもの明るい表情は鳴りを潜め、曇った表情をしている彼女を俺は野放しにしている事が彼女の為になる?)
男(彼女を支える立場にいる俺が、今何もしないことは本当に正しいことか?)
男(……違う。それは正しい”選択”ではない。俺が成すべきことは……)
男「……女」
女「……?」
147 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:25:27.34 ID:aS3arioD0
男「俺は、女を支える立場にいる人間だと思っている」
男「だから辛いことがあれば、遠慮なく言ってほしいし、それを解決する為の手助けをしたい」
男「……彼女が暗い顔するのは、俺は嫌だから。女は笑顔の方が絶対似合っていると思うし……」
男(映画館で見た表情。そして、さっき見せた表情だって……。俺はまだ、彼女という存在を理解していない)
男(彼女には俺の知らない面が隠されている……。そう思ったから)
女「……」
男「俺の自己満足かもしれない。おこがましい事を言ってるのかもしれない……。それでも、俺は女の力になりたい」
男「悩みがあるならいくらでも聞く。何かしてほしい事があるならいくらでもやってやる」
男「……だから、手を貸してほしい時は声をかけてくれ。その時まで、俺は待つから」
男(今言っている事は、彼女に負担をかけさせてしまうかもしれない。けれど、そうしてでも言わなきゃならない)
男(彼女の様に身近な人が困っているのなら手を差し伸べなければならない)
『おれといっしょにあそぼうっ!』
男(俺がそうされた様に。手を差し伸べることが、いつかはその人を救う事になると信じているから)
148 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:29:25.04 ID:aS3arioD0
男「急に色々言ってごめん。でもこれが俺の気持ちだから。迷惑だと思ったのなら聞き流してくれ」
男「……それじゃあ、また明日」
男(ちょうどいつも別れている付近まで来たので、一言入れてさっさとと行くことにした)
男(……だって、少し恥ずかしい事言ったしなぁ……ちょっと離れたい気分もある……)
男(女も考える時間が必要だろう。だから、今はこれいいはずだ)
女「……」
149 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:30:59.77 ID:aS3arioD0
――――
「……今日で終わりだ。今までご苦労だったな」
「問題ないです。……今までに無かった体験ができましたから」
「へぇ……興味深いな。計画が終わった際には色々と聞かせてもらおうか」
「……大した事ではありません。”持った”同士で行動すると何が起きるか想定ができないというだけです」
「なるほど。”再生<ロード>”を繰り返してきたお前にとって、同じ行動を取らない対象は扱いにくいと?」
150 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:31:56.14 ID:aS3arioD0
「……そのような解釈です。第一に今回は”再生”が許可されていません」
「持っている者同士だと互いに”再生”を繰り返して行動パターンが読めなくなると説明を受けてましたから」
「そうだったな。まぁ、研究対象についてはまだアレを自覚していない点からしても、”再生”を行う可能性は極めて低いのだがな。念には念を入れとかないとな」
「……」
「だからヤツが選ばれたと言っても過言ではない。っと、他愛もない話はここまでにしとこうか」
「次に向けての準備をしなければな……」
「お前は、役目からしても少し疲れてはいるだろうから休暇を一日ほど取っても構わないが、どうする?」
「大丈夫です。私はいつでも”再生”してもらっても構いません」
「そうか。なら日付が変わる前に”再生”を実行する。三時間後、またここに来るように」
「……はい」
151 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:34:20.57 ID:aS3arioD0
〜〜〜〜
(……)
(幾度となく世界を繰り返してきた)
(何度も同じ言葉を聞いた。何度も同じ行動を見てきた。そして、私の望む展開にする為に何度も繰り返した)
(そうして、望む物全てを手に入れてきた……はず……)
(なのに……どうして、私は今こんなに動揺しているのだろう)
(行動が予測できなかったから? 再生ができなかったから? 選択を選べなかったから?)
152 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:34:53.20 ID:aS3arioD0
男『……だから、手を貸してほしい時は声をかけてくれ。その時まで、俺は待つから』
「……」
「こんな事を言われたのは、初めて」
「だから、少し動揺しているんだ私」
「でも、これでもうお終い。あなたが私を気遣うことは二度と無い」
「もうすぐあなたは、違う誰かを愛さなければならない」
「それが”計画”の中に組み込まれている、ストーリーの一つなのだから」
153 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:36:38.98 ID:aS3arioD0
女「さようなら、男君。”100人目”の偽りの彼氏」
154 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:56:19.26 ID:aS3arioD0
"There is no coincidence in fate. Before meeting a fate, a human being is making it."
『序章』 完
155 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 13:58:40.28 ID:aS3arioD0
うわスペースミスってるうううう 真ん中にあるもんだと思ってくださいというかそうしてくださいお願いします
生存報告程度にこの程度ですが、とりあえずここまでで。
156 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/29(金) 14:15:47.35 ID:ld96jtqSo
乙
157 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2017/12/30(土) 08:06:38.99 ID:H3m9n/NJO
きたい
158 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/01/04(木) 00:03:25.96 ID:un9q2faZo
なにか似た題材を昔見た気がする
それはエナったはずだから……このスレは完走してほちい期待
159 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2018/01/11(木) 12:35:31.72 ID:p3DuBpBz0
>>1
さん過去にss深夜で書いたことあります?
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