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【ミリマス】765学園物語HED √MT
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312 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/07/05(木) 02:44:14.16 ID:vtm43xeEo
朋花「あら…おはようございます〜」
百合子「お、おはようございます先輩!」
P「ん?おお、百合子に天空橋さん、おはよう」
冬馬「朋花様!おはようございます!」
志保「おはようございます」
通学路で百合子、天空橋さんと遭遇する
何気に通学路で会うのは初めてだ
P「あ、天空橋さん」
朋花「はい?」
313 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/07/05(木) 02:47:58.30 ID:vtm43xeEo
土曜日のあの表情は…と聞こうとして踏み止まる
少なくとも今聞くような事じゃない
P「…いや、後にするよ」
朋花「そうですか〜」
冬馬「P、朋花様の手を患わせるんじゃねーぞ!」
P「わあってるよ」
子豚ちゃん状態の冬馬は面倒くさいな
314 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/07/05(木) 02:48:39.65 ID:vtm43xeEo
一旦ここまで
315 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/07/29(日) 23:24:53.16 ID:bVP00+Qzo
その後も天空橋さんに話を聞こうと思ったのだが…
無遠慮に踏み込んで良いものか迷いながらプロダクションで忙しい日々を過ごすうちに
気が付けば球技大会の日になっていた
今年の球技大会は琴葉の方針により、プロダクションの面々は各クラスを優先することになっている
が
P「はー無理ゲ無理ゲ」
トーナメント一回戦で3年A組と当たり、羅刹と翔太に徹底的にマークされた俺は、試合終了まで何も出来ず、ウチのクラスは負けてしまった
P「ったく…板橋め、後で覚えてろよ」
ぶつくさと文句を言いながらプロダクション本部のテントに向かうと
朋花「あら…」
天空橋さんがいた
316 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/07/29(日) 23:38:48.38 ID:bVP00+Qzo
P「お疲れさま天空橋さん」
朋花「ふふ、お疲れさまです〜」
ここに居るということは天空橋さんのクラスも負けたのだろうか
しかし、その割には百合子がいないような…
朋花「百合子さんなら、無事初戦を突破しましたよ〜」
P「百合子が?」
朋花「はい〜、ソフトボールで見事にボールをキャッチしてクラスを勝利に導きました〜」
P「ちょっと意外だ」
今までの百合子を見ているとあまり運動は得意では無さそうだったのだが
…これは百合子の評価を見直すべきかな
317 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/07/29(日) 23:47:40.43 ID:bVP00+Qzo
P「天空橋さんは…」
朋花「私は、残念ながら負けてしまいましたので」
P「そっか…」
何でも無いような言い方をしているものの微妙に悔しさが滲み出ている天空橋さん
思ったより負けず嫌いなのかもしれない
P「天空橋さん、今から見回りに行こうと思うんだけど、一緒に行かない?」
朋花「構いませんよ〜」
天空橋さんが立ち上がったのを確認し、テントから出る
P「よし、それじゃあ行こうか」
318 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/07/30(月) 00:49:33.09 ID:PEB74XY6o
天空橋さんと2人で様子を見て回る
高等部のサッカーでは羅刹がグラウンドで犬神家状態になっていた
それを見て少し溜飲が下がった
女子サッカーの方ではエレナと海美が無双しており、正直余りにも一方的過ぎる試合になっていた
…去年同じクラスで良かった
そして女子ソフトでは、百合子が意気揚々とバッターボックスに立ち、見事な空振り三振を見せてくれたのだった
319 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/07/30(月) 01:03:54.24 ID:PEB74XY6o
P「みんな楽しそうだな」
朋花「そうですね〜」
去年と同じくらい…いや、それ以上にみんな楽しそうに球技大会に参加している
きっと琴葉の政策が上手くいったからだろう
やっぱり琴葉がプロデューサーで良かった
一時間位見回りをしただろうか、俺達は木陰に移動する
P「天空橋さん、少し休もうか?」
朋花「そうですね〜少し休憩しましょうか〜」
320 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/07/30(月) 01:05:25.06 ID:PEB74XY6o
一旦ここまで
321 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/07/30(月) 21:29:13.76 ID:xjeuIauv0
乙
待ってた
322 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/03(金) 00:02:55.11 ID:03z7Dzhno
P「良い天気だ」
雲一つ無い晴れやかな空
気温もそこそこ高く、もう間もなく夏の訪れを感じさせる頃だろう
朋花「ふふ、皆さん頑張っていますね〜」
そう言いながらどこからともなく扇子を取り出し、扇ぎ始める天空橋さん
P「綺麗な…水色?の扇子だね」
朋花「ええ、私のお気に入りなんですよ〜」
朋花「私は扇子を集めるのが趣味ですから〜」
P「へ〜 」
そう言われてみれば先週天空橋さんの部屋に行ったとき、部屋に扇子が飾ってあったな
323 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/03(金) 00:19:51.84 ID:03z7Dzhno
P「良いセンスだ!…なんちゃって」
咄嗟に思い付いたバカウケ間違いなしなギャグを披露する
しかし
朋花「………」
天空橋さんの底冷えするような視線を浴び、体感温度が一気に下がっただけだった
…うん、涼しくて良いよ
324 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/03(金) 00:26:33.68 ID:03z7Dzhno
天空橋さんの冷たい視線を浴びて涼みながら海美達の試合を観る
…おかしいな、涼しい筈なのに変な汗が出て来たぞ?
朋花「ふふ、先輩、どうしましたか〜?汗を掻いているみたいですよ〜?」
P「そ、そうだな、何でだろうな」
朋花「暑いなら、少し扇いであげますよ〜?」
そう言ってニコニコしながら俺を扇ぐ天空橋さん
P「は、はは…」
しかし表情は笑顔でも、体からはプレッシャーを発しており、俺はまるで縫い止められたように体が動かなかった
…動け俺の身体!…何故動かん!?
325 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/03(金) 00:36:49.05 ID:03z7Dzhno
動かない身体をなんとか動かそうとしていると
海美「P!避けて!」
P「は?んお”!?」
金縛りが解け、振り向いた顔面に
サッカーボールが直撃した
直撃したボールで脳が揺れ、身体が後ろにぐらつくのがわかる
そして地面に倒れ込む前に、俺の意識は途絶えた
…意識が途絶える直前、後頭部が何か柔らかいものに触れたような、そんな気がした
326 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/04(土) 01:41:17.90 ID:2GQFfBtVo
P「んっ…あ?」
不意に目を覚ますと、知らない…事は無くも無い、保健室の天井が目に入る
…なんで俺、保健室に?
とにかく状況を把握しようと起き上がろうとした時だった
「あら、目が覚めたようですね〜」
俺の隣から優しげな、それでいて安堵の色を含んだ声が聞こえてきた
P「あれ…天空橋さん?」
朋花「はい〜」
P「…?なんで天空橋さんが保健室に?」
朋花「先輩に付き添っていましたから〜」
P「俺の付き添い…?」
327 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/04(土) 02:45:23.47 ID:2GQFfBtVo
そこまで言ってからようやく思い出す
(恐らく)海美のシュートしたボールが俺の顔面にクリーンヒットした事を
…多分あれで気絶したんだな
P「そう言えば、海美は?」
朋花「とても泣いていましたけど、先輩が目を覚ます少し前に志保さんに連れられて帰りましたよ〜」
P「そっか…」
後で…というか帰ったらフォローしておくとするか
流石に海美に泣かれるのはきつい
P「天空橋さんは…俺の付き添いだっけ」
朋花「はい〜プロダクションのパートナーですからね〜」
328 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/08/04(土) 15:40:47.70 ID:Nwkep2G3O
悲報
クソまとめサイトあやめ速報、あやめ2nd
創作活動への冒涜続行
・SSちゃおラジシリーズの盗作が発覚
作者も自白済み
・各まとめサイトにちゃおラジの盗作が伝えられる
真っ当なまとめサイトはちゃおラジシリーズを削除
・まとめサイトあやめ2ndはちゃおラジの削除を拒否
独自の調査により盗作に当たらないと表明
・あやめ2ndが荒れる
あやめ管理人は盗作だというちゃんとした証拠をもってこいと言う
・かと思いきやあやめ管理人、盗作に当たらない発言も証拠を求めた発言も寄せられたコメントもなにもかも削除
全部もみ消してなかったことにする気かとあやめ2ndもっと荒れる
・あやめ2nd、ちゃおラジシリーズは盗作ではないがこのままではサイト運営に不都合なためと削除
・後日あやめ2nd、ちゃおラジが盗作ではない独自の理論を公開
ちゃおラジシリーズ再掲載
・あやめ2nd、多数のバッシングにあい数時間後ちゃおラジシリーズ全削除
自らの非を全て認める謝罪記事を掲載
・謝罪記事掲載から5日後、あやめ2nd謝罪記事削除
サイトは謝罪時から通常通りの運行だった
またもみ消して逃げるのかと荒れる
・あやめ2ndに迷惑だから釈明するなり謝罪するなりしろとの訴えが出される
・あやめ管理人釈明なし
責任を逃れ私欲に走る
この間、あれだけちゃおラジへのコメントを削除したにも関わらず以下のようなコメントの掲載を承認
ダブルスタンダードは健在
http://ayamevip.com/archives/52295361.html#comments
ご意見はこちらまで
ayamevip@gmail.com
あやめ管理人は謝罪記事の再掲載を行え
329 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/30(木) 00:06:48.53 ID:3QShiwBBo
P「ごめんな、付き添わせちゃって」
朋花「いえいえ〜私にも責任がありますからね〜」
P「そう言えば俺、頭打たなかった?」
朋花「頭は打っていませんよ〜?」
P「そうなのか…そう言えば頭に何か柔らかいモノが触れたような…アレは何だったんだろう」
朋花「…」
天空橋さんの方を見ると、少し顔が赤くなっていた
330 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/30(木) 00:14:55.77 ID:3QShiwBBo
P「天空橋さん?なんか顔が赤いみたいだけど」
331 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/30(木) 00:15:21.60 ID:3QShiwBBo
ミス
332 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/30(木) 00:18:56.32 ID:3QShiwBBo
P「天空橋さん?なんか顔が赤いみたいだけど、大丈夫?」
朋花「大丈夫ですよ〜?」
P「それなら良いけど…」
光の反射でそう見えただけかな
P「よし、身体も動くしそろそろ戻ろうか」
朋花「どこに?」
P「プロダクションの仕事、あんまり抜けるわけにはいかないしさ」
朋花「先輩、もう球技大会は終わって放課後ですよ〜?」
P「…マジ?」
朋花「はい」
333 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/30(木) 00:34:35.65 ID:3QShiwBBo
P「うーん、結構がっつり気絶してたんだな」
朋花「そうですね〜頭へのダメージなので皆さんとても心配していましたよ〜?」
P「ところで、俺を運んだのは…?」
朋花「天ヶ瀬冬馬さんが運んでくれました〜、働き者の子豚ちゃんにら後で何かご褒美をあげないといけませんね〜」
P「そっか…冬馬が」
もっとも冬馬の事だから天空橋さんにいいとこを見せようとした可能性も高いが
P「…」イラッ
朋花「先輩?どうかしましたか〜?」
P「い、いや、何でも無い」
334 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/30(木) 00:41:52.16 ID:3QShiwBBo
…どうして今、冬馬にイラついたのだろうか
助けて貰ったことに感謝こそすれどイラつく理由なんて無いのに
…冬馬が天空橋さんにいいとこを見せようとしたから?
それじゃあまるで…
まるで俺が、天空橋さんの事を…
朋花「それじゃあ帰りましょうか〜」
P「あ、ああ」
天空橋さんの言葉に我に帰り、ベッドから降りて立ち上がろうとした時だった
P「あ、あれ?」
上手く膝に力が入らず、ベッドから降りたところで体勢を崩した俺は
P「うわっ!」
前のめりに倒れ込んだ
朋花「えっ?きゃっ…!?」
…天空橋さんを巻き込みながら
335 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/30(木) 00:50:40.43 ID:3QShiwBBo
俺達以外誰も居ない保健室で
俺は隣のベッドに天空橋さんを押し倒していて
天空橋さんの顔が目の前にあって
その顔は滅多に見られない驚きに満ちた表情で
そして
俺の唇には、柔らかな感触があった
336 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/30(木) 00:51:45.03 ID:3QShiwBBo
一旦ここまで
337 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/08/30(木) 01:11:07.56 ID:fAjcBGnc0
乙
ようやく追いついたけど、どの√もすごく良くて面白い
338 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/31(金) 00:10:38.47 ID:CA1Ny77No
慌てて顔を上げ、天空橋さんを開放する
P「ごごごめん天空橋さん!け、怪我は無い?」
朋花「…」
P「天空橋さん?」
声をかけるも天空橋さんは唇を触ったまま、反応を示さない
…唇
もしかして、押し倒した時に感じた唇への感触は…
もしそうなら、俺はとんでもないことをしでかしたことになる
339 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/31(金) 00:18:56.17 ID:CA1Ny77No
P「天く」
朋花「…とりあえず、帰りましょうか〜」
すっと立ち上がった天空橋さんは、俺に背を向けながら、そう言った
P「あ、ああ…」
さっさと保健室を出て行った天空橋さんの後を追う
朋花「…」
P「…」
帰り道、天空橋さんと並んで歩くものの…
いつもと違って会話は無く、天空橋さんもこちらに視線を向けてはくれない
…やっぱり怒ってるよな
事故とは言えキスをしてしまった
天空橋さんだって初めてだったはずだ
それを付き合ってもいない男に奪われるなんて怒るのは当然だ
340 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/31(金) 00:27:31.97 ID:CA1Ny77No
やがていつもの公園の前で、立ち止まる
P「天空橋さん…その…」
朋花「明日」
P「え?」
朋花「いつものように、お待ちしていますね〜」
そう言って天空橋さんは俺の方を見ること無く、すたすたと歩いて行った
俺はそんな天空橋さんの背中を、ただ見つめることしか出来なかった
341 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/31(金) 00:34:59.68 ID:CA1Ny77No
朋花「…ふう」
家に帰り、部屋に戻った私は…
朋花「……〜〜!!」
枕を抱えて、ベッドの上で転げ回った
キスをした
事故とは言えキスをしてしまった
思いだすだけで顔が爆発しそうなくらい熱くなる
きっと今鏡を見たら私の顔は真っ赤になっているだろう
P先輩とは別に付き合ってもいなければ好き合っているわけでも無い
だけどキスをした時、嫌な気持ちは湧いてこなかった
朋花「…キス」
キスは愛情を示す行為だと私は思っている
だから私はキスには特別な感情を抱いていて
今はそれが、私の中で爆発しそうだった
342 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/31(金) 00:42:54.68 ID:CA1Ny77No
帰り道も先輩の顔はまともに見れなかった
見たら即座に真っ赤になっていたであろうことはたった今、先輩の顔を思い出すだけで顔が熱くなっている私自身が証明している
朋花「…」
また明日とは言ったものの…明日ちゃんと顔が見られるかどうかはわからない
というよりも見られない可能性の方が高い
朋花「まったく…困った人ですね〜」
私をこんな気持ちにさせるなんて
朋花「…ふふ♪」
本当に、困った人だ
343 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/31(金) 00:50:04.63 ID:CA1Ny77No
P「…」
家に帰った俺はぼけーっと天井を見ながら、明日のことと天空橋さんのことを考えていた
事故ってから一度も俺の方を見なかった天空橋さん
顔も見たくないほど怒っているのかと思ったのだが、それなら明日いつも通りに来るように言われたことが分からない
顔も見たくないなら誘わないはずだ
…それよりも、天空橋さんの唇…柔らかかったな
思わず唇を触り、感触を思い出してしまう
キスってあんな感じなのか
あんな柔らかなものが、俺の唇に…
P「…」
344 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/31(金) 00:55:35.73 ID:CA1Ny77No
天空橋さんの事を考えていると、控え目に窓が開いた
そして
海美「…P、いる?」
いつもと違って控え目に、海美の声が聞こえる
P「いるよ」
海美「その…入って良い?」
P「いつもは許可取らないだろ?遠慮しなくて良いよ」
海美「うん…ありがと」
ゆっくりと海美が窓を伝って部屋に入ってくる
そして海美は、ベッドの上にちょこんと座った
345 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/31(金) 01:01:59.10 ID:CA1Ny77No
P「それで、どうしたんだ?」
海美「その、今日はボールぶつけちゃったから…大丈夫だった?」
P「ああ、特に異常は無かったから大丈夫だよ」
海美「良かった…」
P「そんなこと気にしてたのか?」
海美「だって…」
P「気にしなくて良いよ、いつも通り笑っとけ」
海美「P…」
P「お前に泣かれると調子狂うからさ、いつもの海美で頼むよ」
海美「…うん!」
P「よし、やっと笑ったな!それでこそ海美だ!飯食べてくか?」
海美「うん!食べる!」
P「じゃあ行くぞ」
海美「はーい!」
海美と一緒に下に降りる
悩みはいつの間にか消えていた
346 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/08/31(金) 01:02:25.56 ID:CA1Ny77No
一旦ここまで
347 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/15(月) 23:34:55.37 ID:tM9r57V7o
翌日の土曜日
悩みは消えども緊張が消えるわけではなく、微妙に眠りの浅かった俺は少し早めに起床した
約束の時間まではまだ先で、充分二度寝出来る時間ではあるが二度寝をする気にはならず
せっかく早く起きたので少し散歩をしてみることにした
何故か俺の分を用意していた志保の出来たての朝食を食べ、サッと着替えて外に出る
天気は快晴で気候は暖かく、そろそろ夏の足音が聞こえてきそうな良い天気だった
348 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/15(月) 23:54:50.77 ID:tM9r57V7o
散歩をするとは決めたものの決まったルートなどは特に無く、ただ気ままにぶらぶらと歩いていく
そして気が付けば、いつもの場所…天空橋さんの家の近くの公園に来ていた
P「…」
無意識にここに来るなんて、我ながらよほどそわそわしているらしい
公園をぶらりと一週して帰ろうかと考えたところで
朋花「…」
うろうろそわそわとかなり挙動不審な天空橋さんが目に入った
349 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/16(火) 00:05:31.23 ID:gdHov2GOo
少し考えては足を止め、うろうろとあちこちを歩き回る天空橋さん
しかし歩き回る割には何かを探しているわけでも無く、ただただ落ち着かないようだ
これは…声をかけるべきなのだろうか?
しかしなんだか落ち着きの無い天空橋さんが妙に可愛らしく見える
普段は大人びていて落ち着いていて、クールに見えるからだろうか?
今は年相応の女の子と言った感じで可愛らしい
350 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/16(火) 00:34:14.79 ID:gdHov2GOo
このまま眺めていても良いのだが、バレた後が怖いので声をかけることにした
天空橋さんが後ろを向いたのを見計らい、歩き出す
P「やあ天空橋さん」
朋花「!?」ビクゥ
後ろから声をかけること、天空橋さんの肩が面白いくらいに跳ねた
天空橋さんはゆっくりと振り返ると
朋花「あ、あら、先輩、こんな時間に奇遇ですね〜」
何事も無かったかのように、話し掛けてきた
朋花「お散歩ですか〜?」
P「ああ、ちょっと目が覚めちゃってさ」
朋花「ふふ、早起きは良いことですね〜」
351 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/16(火) 00:41:31.99 ID:gdHov2GOo
P「ところで、天空橋さんは何を?」
朋花「私も少し早く目が覚めたので、お散歩をしているんですよ〜」
P「そっか、何だか似た者同士だな」
朋花「に、似た者…同士」
俺の言葉を聞いた天空橋さんの頬に、微かに朱が射す
朋花「先輩は、このあとどうなさるんですか〜?」
P「ん〜、約束の時間はまだ先だし一旦帰ろうかなって思ってるよ」
朋花「あら、それなら…まだ早いですけど、もう来ませんか〜?」
P「え?良いの?」
朋花「はい〜私は気にしませんよ〜」
352 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/16(火) 00:59:52.71 ID:mb7PkTZEO
待ってました!
おかえりなさい。
353 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/16(火) 01:04:33.35 ID:gdHov2GOo
天空橋さんに誘われて教会に向かう
ここは何度来ても厳かな空気が流れていて、背筋が伸びる
朋花「お掃除は少しゆっくりしてからにしましょうか〜」
P「ん、わかった」
P「お邪魔します」
靴を脱ぎ、天空橋宅へと上がる
いつものように靴箱には天空橋さんの靴しか無かった
よくよく考えてみれば天空橋さん以外の家族の人に合ったことが無い
…土曜日なのにご両親はそんなに忙しいのかな
などと考えながら、俺は居間へと向かう
354 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/16(火) 01:16:55.05 ID:gdHov2GOo
朋花「お茶ですよ〜」
P「ありがとう」
天空橋さんからお茶を受け取って口を付ける
…うん、美味い
天空橋さんもテーブルにつき、他愛ない話をしていたところでふと、テレビの隣にある写真が目に入った
その写真には恐らく幼い頃の天空橋さんと、優しそうな父親らしき人、目元や髪が天空橋さんにそっくりな母親らしき人が写っていた
…天空橋さんは母親似なんだな
そんな写真を見たからだろうか、俺は浮かび上がっていた疑問をつい口にしてしまった
355 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/16(火) 01:23:26.72 ID:gdHov2GOo
P「そう言えば天空橋さん、ご両親は忙しいの?」
朋花「…」
両親の話題を出したとき、天空橋さんが固まった
…なんだ、今致命的なミスを犯した気がする
天空橋さんはゆっくりとカップを置くと
朋花「…どうして、そう思うんですか〜?」
感情の篭もらない無機質な声でそう問い掛けてきた
P「い、いや…前遅くなったときとか、今日みたいにかなり早く来ても会ったことないなって思って…」
朋花「そうですか〜」
俺の回答に興味が無さそうに返事をする天空橋さん
しかし少しだけ拳を握るその手に力が入ったのを、俺は見た
356 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/16(火) 01:32:06.83 ID:gdHov2GOo
少しだけ間を置いてから紡がれた天空橋さんの言葉に
朋花「…私に、両親はいませんよ〜」
P「…え?」
俺は強い衝撃を受けた
P「いないって…まさか」
朋花「はい〜、二人とも二年前に神様の元に旅立ちました〜」
神様の元に旅立った
それはつまり、召されたということだろう
朋花「両親が二人で叔父の養豚場に行った帰り道、事故に遭ったんです」
P「…ごめん、俺は…」
朋花「気にしなくて良いですよ〜、いつかは話すつもりでしたから〜」
P「天空橋さん…」
朋花「ふふ、でも両親が旅立ってからはずっと一人でしたけど、最近は毎週先輩とご飯を食べるのが楽しみなんですよ〜?」
357 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/16(火) 01:52:53.73 ID:gdHov2GOo
P「…なら」
朋花「?」
P「俺、プロダクションの帰りに天空橋さんの家に寄るよ」
朋花「え?」
P「天空橋さんを独りにはしない、寂しい思いはさせたくない」
朋花「…どうして」
P「…俺も、幼い頃に父親を亡くしてるんだ」
P「今でこそ母親が再婚して、義父が出来たけど…父さんが死んだとき、凄く哀しくて寂しかった」
P「母親は気丈に振る舞ってたけど、夜には泣いてたしやっぱり家族を亡くすのは誰だって辛いよ」
P「だから俺は、一緒にいて楽しいって言ってくれた天空橋さんの力になりたい」
朋花「それは、私への同情ですか〜?」
P「同情なんかじゃない、これは俺の心からの気持ちだ」
P「そしてこれは、ただの俺の自己満足だ」
P「俺は俺のために、天空橋さんに寂しい思いをさせたくない」
358 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/16(火) 01:53:22.67 ID:gdHov2GOo
一旦ここまで
速報が復帰して良かった
359 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/16(火) 03:09:51.37 ID:9VwHGlweo
乙
このSSも復活して良かった
360 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/16(火) 07:18:11.73 ID:1rl8zZKx0
乙
361 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/17(水) 20:46:26.37 ID:GdnuA7syo
祝復活乙
362 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/18(木) 23:03:38.81 ID:N/MxbZDpo
朋花「あら…随分勝手な言い草ですね〜」
P「自覚はあるよ、」
朋花「それで、先輩は本当に今自分自身が口にしたことを実行出来るんですか〜?」
P「出来る」
朋花「っ…私は、約束を破られるのが嫌いなんですよ〜?」
P「知ってるよ、だからこそ、俺は天空橋さんが頼れるような男になりたいんだ」
P「以前天空橋さんは俺に期待すると言った、だから俺は君の期待に応えてみせる」
朋花「…」
P「…」
少しの間、天空橋さんと見つめ合う
そして
363 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/18(木) 23:10:01.34 ID:N/MxbZDpo
朋花「…では、明日からお願いしますね〜」
天空橋さんはそう答えた
P「ありがとう、天空橋さん」
朋花「私と毎日を共にするからには、ちゃんと私だけを見ていないと許しませんよ〜?」
P「もちろん、そのつもりだよ」
朋花「ふふ、分かっているのなら良いんですよ〜」
そう言って柔らかな笑みを見せる天空橋さん
364 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/18(木) 23:21:04.61 ID:N/MxbZDpo
朋花「ところで、なぜ私に寂しい思いをさせたくなかったんですか〜?」
P「えっ、あっ、いや…」
なぜ天空橋さんに寂しい思いをさせたくなかったのか
天空橋さんが一緒にいて楽しいって言ってくれたから
だから俺はそんな天空橋さんを独りにしたくないと思った
他に他意は無い…はずだ
P「それは、その…プロダクションのパートナーだし」
咄嗟に思い付いた言い訳を口にするも
朋花「それだけですか〜?」
天空橋さんは少し邪悪な笑みを浮かべて問い詰めてくる
P「まあ、それだけでは無いけど…」
その笑みに押されて余計なことを口走る
朋花「けど〜?」
P「て、天空橋さん、近いって」
口篭もる俺をからかうように天空橋さんは顔を近付けてきた
365 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/18(木) 23:44:23.31 ID:N/MxbZDpo
立ち上がり後退るが
P「うわっ」
ソファに足を引っ掛け、倒れ込む
朋花「ふふ、もう逃げ場はありませんよ〜?」
まるで俺をソファに押し倒すかのように迫ってくる天空橋さん
近くて良い匂いがして
正直心臓が破裂しそうなくらいどきどきする
朋花「怖がる必要はありませんよ〜」
天空橋さんの手が俺の頬に添えられる
俺は思わず目を瞑り…
P「…ほ?」
頬を突かれる感触に、目を開けた
366 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/19(金) 00:13:53.60 ID:qucXKsm8o
P「えーっと…?」
朋花「呆けた顔をしていますね〜、一体何をされると思ったんですか〜?」
P「い、いや、その…」
朋花「その?」
P「昨日あんなことがあったばかりだし、その…」
朋花「っ…あんなことって、なんですか〜?」
P「事故とは言え、その…キ、キスを…」
朋花「キ、キス…ふ、ふふ…そんな事もありましたね〜」
朋花「でもあれは事故なので、私は気にしていませんよ〜?」
その割には顔が赤いけどと突っ込みたくなったが、後が怖いのでやめておこう
367 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/19(金) 00:14:46.94 ID:qucXKsm8o
一旦ここまで
368 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/20(土) 00:10:07.23 ID:iCAlJ3QWo
P「ま、まあ天空橋さんが良いならそれで良いんだけど」
ちょっと残念な気がしなくも無い
朋花「こほん、少し早いですけど、教会のお掃除をしましょうか〜」
P「ん、了解」
天空橋さんと一緒に教会の掃除を進めていく…のだが
P「天空橋さん」
朋花「何ですか〜?」
P「近くない?」
朋花「二人で同じ所を掃除すればより綺麗になりますから〜」
P「いや、まあ、うん、そうだね」
369 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/20(土) 01:10:09.37 ID:iCAlJ3QWo
二人なら別々の場所を掃除した方が効率が良いと思うんだけど…まあ、悪い気はしないから良いか
結局いつもより掃除に時間がかかり、普段よりも早く始めたのに終わったのは普段よりも遅くなった
朋花「お疲れさまでした〜」
P「お疲れさま」
朋花「この後はもちろんお茶をしていくんですよね〜?」
P「ああ」
朋花「ふふ、なら先に座って待っていてくださいね〜」
370 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/20(土) 01:19:48.33 ID:iCAlJ3QWo
天空橋さんとのお茶会を楽しんでいると、すっかり日も暮れ、遅い時間になっていた
普段ならお暇するのだが…
P「天空橋さん」
朋花「はい〜」
P「今日の夕飯、何か作る予定はあった?」
朋花「そうですね〜、ちょうど卵があったのでオムライスでも作ろうかと思っていましたよ〜」
P「オムライスか、手伝おうか」
朋花「ふふ、今日は私が作りますから、ちゃんと全部食べて感想を聞かせてくださいね〜?」
P「ん、わかったよ」
371 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/20(土) 01:55:12.48 ID:iCAlJ3QWo
天空橋さんがキッチンに向かってから30分ほど経った頃、両手に皿を持って天空橋さんが戻ってきた
手に持った皿の上にはふわとろ卵のオムライス…ではなく
ボロボロに崩れてところどころ焦げた卵焼きとこれまた微妙に焦げたチキンライスが乗っていた
P「ま、まあ、失敗は誰にだってあるからさ」
朋花「ちゃんと、全部、食べてくださいね〜?」
P「それは大丈夫」
高坂姉妹の料理に比べれば大抵の料理はご馳走になる
P「それじゃあ、いただきます」
早速スプーンで一掬い、口に入れる
…うん、焦げてるところが苦いくらいで他の部分は美味い
P「大丈夫、美味いよ」
朋花「本当ですか〜?」
P「もちろん、俺はお世辞が下手だっていつも言われるくらいにはお世辞は言わないよ」
朋花「…それなら、良かったです〜」
372 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/20(土) 02:14:16.03 ID:iCAlJ3QWo
P「美味しかったよ、ご馳走さま」
朋花「ふふ、お粗末さまでした〜」
天空橋さんのオムライスを食べた後は少しだけゆっくりする
もっともこれ以上の長居は流石にまずいので、適当に時間を見て帰り支度を始めた
P「そろそろ帰るよ、今日は楽しかった」
朋花「そうですね〜、私も中々に楽しかったですよ〜」
玄関に向かうと、天空橋さんも後についてくる
P「天空橋さん、見送ってくれてありがとう、それじゃあまた明日…」
朋花「朋花」
P「え?」
朋花「これから私達は本格的にパートナーとして活動しますから、先輩は特別に私を呼び捨てにすることを許してあげますね〜?」
P「えっと…?」
朋花「あら…それとも、百合子さんや琴葉さんを呼び捨てにするのに私は呼び捨てに出来ないんですか〜?」
P「い、いや、そんなことは無いぞ?…朋花」
373 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/20(土) 02:36:12.10 ID:iCAlJ3QWo
朋花「良く出来ましたね〜、聖母が褒めてあげますよ〜?」
P「いいよ恥ずかしい…何はともあれ、お休み朋花、また明日」
朋花「ええ、おやすみなさい」
先輩が帰ってから静まりかえった家の中
だけどいつもより寂しさは感じない
むしろ嬉しくて、早く明日が来る事を望んでいた
先輩は私を独りにさせたくないと言った
その言葉が嬉しくて、隣にいて欲しくなった
だから私は決めた
彼を私に依存させて、私無しでは生きていけないようにしようと
そうすれば彼が私から離れて、いなくなることも無いはずだ
そのためにもまずは私に依存するようにしなくてはならない
朋花「…ふふ」
どうやって堕とそうか、楽しみですね〜♪
374 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/20(土) 02:37:23.45 ID:iCAlJ3QWo
一旦ここまで
375 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/20(土) 13:58:17.42 ID:hARfwB0m0
乙
376 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/10/20(土) 20:32:01.72 ID:iCb1G6ud0
朋花様かわええ〜
377 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/21(日) 00:08:50.11 ID:QaPtdGs3o
翌日の日曜日
P「よし」
身だしなみを整えて出掛ける準備をする
…今日はいつもの休日とは出掛ける目的が違う
なので少し緊張してはいるのだが…
P「いつも通りやれば良いよな、うん」
そんな独り言を呟き、家を出た
いつもの公園を通り、最近すっかり見慣れた教会に辿り着いた
そしてその隣にある家のインターホンを鳴らす
少しの間の後
「はい〜」
声が聞こえてきた
378 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/21(日) 00:31:58.13 ID:QaPtdGs3o
P「周防です」
「ふふ、もう来たんですね〜、鍵は開いていますから入っても構いませんよ〜」
P「わかった」
お言葉に甘えて扉を開け、中に入る
P「お邪魔します」
朋花「ようこそ〜」
P「おはよう、天空橋さん」
朋花「『天空橋さん』?」
P「うっ…お、おはよう朋花」
朋花「ふふ、おはようございます〜P先輩」
379 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/21(日) 00:51:21.45 ID:QaPtdGs3o
やはりまだ名前で呼ぶのには慣れない
琴葉や百合子、貴音の時はそんなことは意識しなかったんだが…
朋花「…先輩、私が目の前にいるというのに他の女の子の事を考えていますね〜?」
P「え?なんでわかっ…あ、いや、その」
朋花「私から目を逸らすなんて、いけない人ですね〜」
P「ごめん、名前呼びにちょっと慣れなくて百合子の時はどうだったかなって思い返してたんだ」
朋花「…まあ、それくらいなら構いませんよ〜」
朋花「でも、私といる間は出来る限り私の事を考えてくださいね〜?」
P「はは…わかったよ、朋花」
380 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/21(日) 00:52:26.49 ID:QaPtdGs3o
一旦ここまで
381 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/22(月) 00:52:29.59 ID:uHUhOM/fo
朋花「それでは、早速出かけましょうか〜」
P「どこに行くんだ?」
朋花「日用品を買い足しに行くんですよ〜」
P「了解、荷物持ちは任せてくれ」
朋花「あら、殊勝な心掛けですね〜?なら商店街の方ではなく繁華街の方まで足を伸ばしますね〜」
P「はいはい、朋花様の仰せのままに」
朋花と一緒にバスに乗って繁華街へ向かう
382 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/22(月) 01:41:13.63 ID:uHUhOM/fo
P「街に来るのも久しぶりだなぁ」
繁華街とは言っても遊べる場所が多いわけでは無いし今は大抵のゲームがオンラインに繋いで遊べるからそもそも外に出る必要が無い
まあ流石に家に篭もりっぱなしなのも健康に悪いので出掛けることはあるが、バスに乗ってまで繁華街に来る事は無い
最後に来たのは…去年の夏休みに琴葉と来た時だったかな
なので街に来るのは本当に久しぶりだった
朋花「あら、そうなんですか〜?」
P「あんまりこっちの方面に用事が無くてさ」
野郎だけで繁華街に来てもゲーセンくらいしか行くところ無いしな
383 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/22(月) 01:51:10.14 ID:uHUhOM/fo
朋花「それなら、久しぶりの街を私と共に歩くご褒美をあげますね〜」
P「はは、確かに、朋花みたいに可愛い子と一緒に街を歩くのはご褒美になるかもな」
朋花「かわっ…こほん、素直なことは良いことですよ〜?それでは行きましょうか〜」
朋花と一緒に街を歩く
二人だけでこうやって出掛けて歩くのは何だか新鮮だった
薬局や雑貨屋で必要なものを買って行く朋花
そして買った物を持つ俺
このみ姉さんや莉緒さん、海美辺りの荷物持ちをするのは中々に面倒なのだが
今日はそうは思わなかった
384 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/25(木) 23:28:20.30 ID:LYofkC7oo
ある程度買い終わった昼下がりのこと
そろそろ腹が減ってきたので昼飯を食べようと朋花に提案しようとした時だった
「あれ、もしかしてP?」
後ろから、聞き覚えのある声をかけられた
P「この声は…」
後ろを振り返ると
恵美「あ、やっぱりPじゃん、やっほ!」
恵美が手を振っていた
385 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/25(木) 23:43:56.85 ID:LYofkC7oo
P「よう恵美、それと…」
恵美の隣にいる、もう1人の少女を見る
奈緒「私、横山奈緒って言いますー周防くんの事は恵美からいっつも聞いてるで」
恵美「な、奈緒!」
P「よろしく横山さん」
奈緒「よろしくー!」
P「しかし恵美が繁華街にいるなんて珍しいな?」
恵美「奈緒が美味しいタコ焼き屋を見つけたって言うから食べに来たの」
P「タコ焼きね…大丈夫なのか?」
恵美「まあ…今回は一人じゃないし、それに大通りの方通るようにしてるからさ」
P「それならなら良かったよ、ここで見たときちょっと心配になったからさ」
恵美「…ね、もしまだ心配してくれるならこの後一緒に…」
朋花「P先輩〜?」
386 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/25(木) 23:54:53.61 ID:LYofkC7oo
P「ぉヴぁ!?」
朋花に脇腹を抓られ、変な声が出る
恵美「あれ?朋花?」
朋花「ふふ、こんにちは先輩方〜」
思ったより痛かった脇腹を擦っていると、朋花が俺の前に出て、恵美と対峙した
朋花「今P先輩は私とお買い物をしているのでお引き取りをお願いしますね〜?」
恵美「買い物?Pと一緒に?……………なに?デート?」
朋花「デートではありませんけど、お買い物ですよ〜」
387 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/26(金) 00:01:02.81 ID:5hFqJbw6o
恵美「…」
朋花「…」
奈緒「なあ恵美、先約があるならしゃあないって」
恵美「分かってるけど…」
奈緒「ほらまた誘えばええやん、同じ学年やねんからアドバンテージはあるって」
恵美「…ん、わかった、ごめんね朋花、邪魔しちゃって」
朋花「いえ、気にしていませんよ〜?」
恵美「あんがと、それじゃあまたね」
奈緒「朋花、周防くん、また学園でな〜?」
恵美と横山さんは俺が話の状況についていけないうちに、去って行った
388 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/26(金) 23:55:05.49 ID:5hFqJbw6o
P「なんだったんだ?」
朋花「…P先輩、もしかして気付いてないんですか〜?」
P「何の話だ?」
朋花「…流石に、恵美さんが可哀想に思えてきましたね〜」
P「???」
結局朋花はどういう意味だったのかは教えてくれず、真相は謎のままとなった
P「そろそろ昼にしないか?」
朋花「構いませんよ〜?」
P「何か食べたいものとか、苦手なものは?」
朋花「特には無いので、先輩のセンスにお任せしますね〜」
朋花「私が喜ぶようなものを期待していますよ〜?」
389 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/27(土) 22:56:34.33 ID:fm7j+Btco
P「ふむ」
朋花が喜ぶようなものか…
いや、この場合朋花がというよりは女子が喜びそうはものの方が良いような気がするな
となると…
P「昼食というよりは少しおやつっぽくなるけど、ホットケーキとかはどう?」
朋花「ホットケーキ、良いですよ〜?」
P「よし、じゃあ早速行こうか」
390 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/27(土) 23:01:19.15 ID:fm7j+Btco
そしてやって来たのは、美人三姉妹が経営していると人気のカフェだった
朋花「あら、ここは…」
P「以前来たことがあるんだけど結構美味しかったんだよ」
このみ姉さん、莉緒さん、桃子、海美と一緒に来たときは本当に美味しかった
…長女らしき人が海美の姉の歌織さんそっくりだったことには驚いたけど
朋花「ふふ、私も以前から気になっていたのでちょうど良いですね〜」
P「それじゃあここにしよう」
朋花「はい〜」
391 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/28(日) 23:41:30.87 ID:WLaoxhPXo
店に入って注文を済ませる
俺は名物のふわとろオムライスとシフォンケーキのセットを
朋花はふんわりホットケーキと紅茶のセットだ
メニューの片隅に載っていたうどんに物凄く心惹かれたものの、流石にこの雰囲気のカフェでうどんを食べる気にはなれなかった
朋花「見た目通り、良い雰囲気のお店ですね〜」
P「だろ?」
朋花「先輩がこういうお店を知っていたのは少し驚きました」
P「それ、どういう意味?」
朋花「ふふ、秘密ですよ〜?」
そう言って楽しそうに笑う朋花
…俺、あんまりこういう店に来るイメージ無いのか?
392 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/29(月) 00:16:21.21 ID:DuWKhF56o
「お待たせしました、ふわとろオムライスとシフォンケーキのセット、ふんわりホットケーキと紅茶のセットです」
朋花と話をしているとそれぞれの料理が運ばれてくる
朋花「あら、とても美味しそうですね〜」
P「ああ」
「ごゆっくりどうぞ」
長女らしき人が頭を下げた後、奥へと戻っていく
俺はその後ろ姿を、少しの間眺めていた
「一夏ちゃん、うどんあがったよ」
「ありがとう悠利くん」
393 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/29(月) 00:24:02.71 ID:DuWKhF56o
P「…」
朋花「…先輩〜?一体何をジッと見ているんですか〜?」
P「ああ…いや、あの人が顔も声も知り合いに良く似ててさ」
本当に歌織さんそっくりだ
…歌織さん、今どこで何をしてるんだろうな
朋花「知り合いの方を思い浮かべるのも良いですけど、今は私といるんですからちゃんと私のことを見ていてくださいね〜?」
P「ごめんごめん」
確かにあんまり他のことを考えるのも失礼だしな
今は朋花と遊びに来ているわけだし、朋花と楽しむことを考えよう
394 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/29(月) 00:32:32.30 ID:DuWKhF56o
P「うーん美味い」
朋花「名前の通り、ふわふわで美味しいホットケーキですね〜」
P「気に入って貰えたようで何よりだ」
朋花「ええ、なのでご褒美をあげますね〜?」
P「ご褒美?」
朋花「はい、どうぞ」
そう言いながら切り分けたホットケーキを突き刺したフォークを俺に差し出す朋花
P「えっと…?」
朋花「ご褒美のホットケーキを、私が食べさせてあげますね〜?」
395 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/29(月) 00:32:59.06 ID:DuWKhF56o
一旦ここまで
396 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2018/10/29(月) 20:10:17.53 ID:se0ZU0rK0
オーディナリィ・クローバー入れてくれるとか神か・・・
397 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/31(水) 00:17:49.35 ID:/ND3hFYWo
朋花「さ、口を開けてくださいね〜?」
P「い、いや、流石に恥ずかしいというか」
朋花「聖母からの施しを、無碍にする気ですか〜?」
P「無碍にする気は無いけど…まあ、良いか」
口を開き、ホットケーキを受け入れる
P「ん、かなりふんわりしてて美味いな」
朋花「私が手ずから食べさせてあげたんですから、当然ですね〜」
P「ははは」
その後もそれぞれ料理を楽しんだ
398 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/31(水) 00:28:10.11 ID:/ND3hFYWo
食後のコーヒーとシフォンケーキを楽しんでいると
「…にゃー」
いつの間にか、白黒の猫が足元にいた
P「お、猫だ」
朋花「可愛らしいですね〜」
その猫は俺の足下に身体を擦り付けたり、転がって腹を見せたりしてとても可愛らしい
P「可愛い猫だな〜」
俺が少し体勢を変え、猫と向き合った瞬間猫は俺の膝に飛び乗り、身体を丸めて寝転がる
P「人懐っこい子だな」
せっかくなので身体を軽く撫でてやるとゴロゴロと喉を鳴らし始める
朋花「大人しい猫ちゃんですね〜」
P「ホントにな」
399 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/31(水) 00:30:12.85 ID:XvtpccDS0
出番のないあの娘が猫に…
400 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/31(水) 00:37:09.79 ID:/ND3hFYWo
「一夏お姉ちゃん…シッポが…あのお客さんに凄く懐いてる…」
「あ、本当ね、珍しいわ」
「…あのお客さんと…一生一緒にいるって…」
「よっぽどあのお客さんの事が好きなのね、シッポちゃん」
「にゃお〜」
P「朋花も、撫でてみる?」
朋花「そうですね〜では私m」
「フーッッ!!!!!」
P「」
朋花「」
朋花が猫を撫でようと近付いた瞬間、猫ちゃんは全身の毛を逆立てて朋花を思いっきり威嚇する
そこに先ほどまでの大人しく撫でられる猫の姿は無く、ただ牙を剥く獣がいた
401 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/31(水) 00:44:34.97 ID:/ND3hFYWo
P「お、落ちつけ、な?」
「うにゃあ」
俺が撫でてやると一瞬で喉を鳴らして大人しくなるのだが…
「シャーッ!!!!」
朋花が撫でようと近付くと即座に威嚇する
…ちなみに、普通の猫は威嚇の際は思いっきり爪を立てるのだがこの猫は何故か爪は立てていなかった
猫に威嚇されて少ししょんぼりしている朋花と、撫でられて上機嫌な猫のなんとも言えない空気に晒されながら、俺はコーヒーを口にするのだった
402 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/31(水) 00:55:08.60 ID:/ND3hFYWo
「えっと……○○円です…」
P「はい」
「ん…ちょうど、いただきます…」
P「美味しかったよ、ごちそうさま」
朋花「私も、とても美味しいと思いましたよ〜」
「ありが…とう」
会計を済ませ、店員さんに感想を伝えると照れ気味にそう応える
「にゃー、にゃー」
「シッポ、駄目」
P「この子は、なんて?」
「んと…一緒に行くって…」
403 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/31(水) 01:02:50.78 ID:/ND3hFYWo
俺は猫の頭に手を乗せて、語りかける
P「ごめんな、俺は一緒にはいてやれないんだ」
「にゅう…」
P「でもまたこの店には来るから、な?」
「…にゃあ」
「ん…絶対ですよ…って…シッポが敬語使うの…初めて聞いた、かも…」
P「ああ、約束だシッポ」
「にゃー」
返事をしたシッポの頭を撫で、店を出る
良い雰囲気の店だし、これからもちょくちょく朋花と来るのも良いかもしれない
シッポに威嚇された鬱憤を晴らすかのように店の軒先でちょっと眉毛の太い子猫と戯れている朋花を見ながら、そう思った
404 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/31(水) 01:09:20.12 ID:/ND3hFYWo
P「次はどうしようか」
荷物はロッカーに預けてあるし、割と自由に行動出来る
朋花「そうですね〜…先輩にお任せしますよ〜?」
P「お任せね…」
正直思い付かない
なので
P「家に帰ってのんびりしようか」
朋花「あら…」
P「必ずしも外で何かしなきゃならないわけじゃないしな」
朋花「先輩がそれで良いなら、私も構いませんよ〜」
P「よし、じゃあ帰ろう」
朋花「はい〜」
405 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/31(水) 01:13:48.60 ID:/ND3hFYWo
朋花が微かに手を前に出してきたので、俺はその手を取ってエスコートする
朋花「あら、言われる前に実行するなんて…どうしようもない鈍感だと思っていましたけど、良い心掛けですね〜」
P「お褒めいただき光栄です…なんとなく、朋花ならこうするかなって思ったんだよ」
朋花「そうですか〜…ふふっ」
嬉しそうな朋花の手を引きながら、俺達は教会への帰路を辿るのだった
406 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/10/31(水) 01:15:17.45 ID:/ND3hFYWo
一旦ここまで
407 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/10/31(水) 14:38:30.86 ID:1OZ9HOzQO
口の中が甘い
408 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2018/11/01(木) 00:55:53.50 ID:VRhmTwbc0
猫になっても安定してるな…
409 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/11/05(月) 00:50:51.61 ID:UCCa+zBYo
教会に帰ってからは二人でのんびりとした時間を過ごす
将棋を指したり、スマホでゲームをしたりしていると、ちょうど夕飯の時間になっていた
P「もうこんな時間か…朋花、夕飯はどうしようか?」
朋花「そうですね〜…何か、食べたいものはありますか〜?」
P「食べたいものか…朋花にお任せで」
朋花「考えるのを放棄するのはいただけませんよ〜?」
P「別に放棄したわけじゃないよ、朋花が好きなものを知りたいと思っただけ」
朋花「あら…では、私のやりたいようにしますね〜」
P「楽しみだ」
410 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/11/12(月) 01:21:42.05 ID:8gJSVmK6o
朋花が台所に引っ込んだので俺はソファに寝転がる…つもりだったが、以前朋花が調理中に怪我をしたことや焦げライスのことを思いだし、こっそり様子を見る
朋花「〜♪」
上機嫌に鼻歌を歌いながら食材を切っているのだが…
手元がかなり危なっかしい
…やっぱり、あまり料理慣れしてないんだろうか
はらはらしながら見ていると、食材を切り終えた朋花は食材をまとめ、鍋に放り込む
…玉ねぎ、人参、ジャガイモと見ただけで何を作るのか大体わかる食材達を、朋花は笑顔で炒めていた
411 :
◆p7PT31uvn8zf
[saga]:2018/11/12(月) 01:40:50.48 ID:8gJSVmK6o
鍋に水を張り、食材を煮込む段階に入った朋花は豚肉を鍋に入れた後、カレールーを投入する
それをかき混ぜるとカレー特有の胃袋を刺激する美味しそうな匂いが漂い始めた
…後はもう大丈夫かな
カレーの出来を楽しみにしながら、俺は居間へと戻ることにした
朋花「もう少しで完成するので、待っていてくださいね〜?」
居間に戻ってすぐ、朋花が顔を出してそう言った
P「楽しみだよ」
漂う匂いに腹を空かせながら、朋花の方を向いてそう応え…
P「…」
朋花の方を向いた俺は、朋花の姿に思わず口をつぐむ
可愛らしいエプロンを身に着けた朋花はとても可愛らしく、かなりドキッとしている
朋花「?私をジッと見て、どうしましたか〜?」
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